説明

ポンプアップ装置、シーリング・ポンプアップ装置、及び弁体

【課題】ポンプアップ装置等の圧抜き機構の構成を簡単にする。
【解決手段】本発明のシーリング・ポンプアップ装置10では、吸気用弁体196に略C字形状の切り込み62を形成して圧力逃し用弁体60を構成しているため、一般の安全弁に用いられているケーシング(弁箱)、弁を付勢する弾性体といった部品が無く、安全弁に相当する部分の部品点数が少なく、安全弁に相当する部分の組立時間も低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮流体を生成するポンプアップ装置、及びパンクした空気入りタイヤをシールするシーリング剤を空気入りタイヤ内へ注入すると共に空気入りタイヤ内に圧縮空気を送り込んで空気入りタイヤの内圧を昇圧するシーリング・ポンプアップ装置、安全弁に用いられる弁体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際に、タイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修して所定の指定圧まで内圧をポンプアップするシーリング・ポンプアップ装置が普及している。この種のシーリング・ポンプアップ装置には、圧縮空気を生成するポンプアップ装置(エアコンプレッサ)が設けられている。
シーリング・ポンプアップ装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
また、この種のシーリング・ポンプアップ装置には、必要以上の圧力上昇を抑えるために、不要な圧力を逃す圧抜き機構、いわゆる安全弁(リリーフバルブ)がポンプアップ装置部分に設けられている。安全弁としては、例えば、特許文献2に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−44953号公報
【特許文献1】特開2001−82287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、安全弁は、弁体、弁体を収容する空間を備えたケーシング(弁箱)、弁体をケーシングに設けられた弁座に付勢するスプリング、シール部材等の多数の部品から構成されているため構造が複雑であり、かつ組立に時間がかかる問題を有していた。
【0005】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、圧抜き機構の構成を簡単にすることのできるポンプアップ装置、シーリングポンプアップ装置、及び弁体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、圧縮室に供給された気体を圧縮手段で圧縮して排出するポンプアップ装置であって、前記圧縮室または前記圧縮手段に設けられ、圧縮室内へ気体を流入させる吸気部と、前記吸気部に設けられ、圧縮室内への気体の流入を許容し、圧縮室外への気体の流出を制限する第1の開閉弁と、前記圧縮室または前記圧縮手段に設けられ、圧縮室外へ気体を排出させる排気部と、前記圧縮室または前記圧縮手段に設けられ、圧縮室外への気体の流出を許容し、圧縮室内への気体の流入を制限する第2の開閉弁と、前記圧縮室または前記圧縮手段に形成され、前記圧縮室の内外を連通する連通部と、前記連通部を閉塞可能な弁体と、前記圧縮室の内圧が予め設定された内圧以下の場合には、前記弁体による前記連通部の閉塞状態を維持し、前記圧縮室の内圧が予め設定された内圧を超えた場合には、弾性変形して前記弁体による前記連通部の閉塞状態を解除し、前記圧縮室の気体を外部に逃す弾性手段と、を有する。
【0007】
次に、請求項1に記載のポンプアップ装置の作用を説明する。
圧縮室に吸気部を介して空気等の気体が流入する際、第1の開閉弁が圧縮室内への気体の流入を許容する。この際、第2の開閉弁は、排気部を介しての圧縮室内への気体の流入を制限する。即ち、第1の開閉弁は、いわゆる吸気用弁体として作用し、第2の開閉弁は、いわゆる排気用弁体として作用する。
【0008】
また、圧縮室で圧縮された気体が排気部を介して排出される際、第2の開閉弁が圧縮室外への気体の排出を許容する。この際、第1の開閉弁は、吸気部を介しての圧縮室外への気体の排出を制限する。
なお、圧縮室の内圧が予め設定された内圧以下の場合には、弁体による連通部の閉塞状態が維持され、連通部を介して圧縮室で圧縮された気体が連通部を介して外部へ逃げることは無い。
【0009】
一方、圧縮室の内圧が予め設定された内圧を超えた場合には、弁体が該圧力を受けることで弾性体が弾性変形し、弁体による連通部の閉塞状態が解除され、圧縮室の気体が外部に逃される(安全弁としての機能)。
請求項1では、連通路、弁体、弾性体、及び連通路の形成されている圧縮室または圧縮手段が、いわゆる安全弁としての構成部材であるが、圧縮室、及び圧縮手段は、元々ポンプアップ装置としての構成部材であり、一般の安全弁のケーシング(弁箱)が不要であるため、部品点数の削減となり、組立時間も低減できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のポンプアップ装置において、前記弁体が弾性材料で形成され、前記弁体の一部分が前記弾性手段として機能している。
【0011】
次に、請求項2に記載のポンプアップ装置の作用を説明する。
請求項2に記載のポンプアップ装置では、弁体が弾性材料で形成され、弁体の一部分が弾性手段として機能しているため、圧縮室の内圧が予め設定された内圧を超えた場合には、弁体が圧力を受けることで弁体自身が弾性変形することで連通部の閉塞状態が解除される。請求項2に記載のポンプアップ装置では、弁体と弾性体とを別部品で構成する場合に比較して、部品点数を低減できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載のポンプアップ装置において、前記第1の開閉弁は、板状に形成されて弾性変形可能とされ、前記連通部は、前記1の開閉弁に形成された開口部であり、前記弁は、前記第1の開閉弁に前記開口部を閉塞するように前記第1の開閉弁の一部分で形成されている。
【0013】
次に、請求項3に記載のポンプアップ装置の作用を説明する。
吸気部を介して空気等の気体が流入する際、第1の開閉弁が弾性変形して圧縮室内への気体の流入を許容する。
圧縮室の内圧が予め設定された内圧を超えた場合には、弁体が圧力を受けることで弁体自身が弾性変形し、第1の開閉弁に設けた開口部の閉塞状態が解除され、圧縮室の気体が開口部を介して圧縮室外に逃される。
【0014】
圧縮室の内圧が予め設定された内圧を超えた場合には、弁体が圧力を受けることで弁体自身が弾性変形することで開口部の閉塞状態が解除される。
請求項3に記載のポンプアップ装置では、弁体が第1の開閉弁の一部分で形成されているため、第1の開閉弁と弁体とを別部品で構成する場合に比較して、部品点数を低減できる。
【0015】
請求項4に記載のシーリング・ポンプアップ装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のポンプアップ装置と、タイヤに形成された孔を塞ぐシーリング剤を収容する容器と、前記シーリング剤、及び前記ポンプアップ装置で生成された圧縮気体を空気入りタイヤに供給する供給手段と、を有する。
【0016】
次に、請求項4に記載のシーリング・ポンプアップ装置の作用を説明する。
請求項4に記載のシーリング・ポンプアップ装置では、容器に収容されたシーリング剤、及びポンプアップ装置で生成された圧縮気体を、供給手段を介して空気入りタイヤへ供給することができる。
シーリング剤と空気を供給した後、走行を行うことにより、シーリング剤がパンク孔に充填されてパンク孔が塞がれる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、吸入部から吸入した気体を圧縮して排気部から排出するポンプアップ装置の吸入経路に用いられ、前記気体の吸入時には前記吸入経路の端部から離間して前記気体の吸入を許容し、前記気体の圧縮時には前記吸入経路の端部を閉塞する弾性変形可能とされた板状の弁体であって、前記吸入経路の前記開口を閉塞する本体部と、前記本体部に形成された孔と、前記孔を塞ぐように前記本体部に設けられ、前記本体部よりも前記気体の通過方向下流側の圧力が予め設定された圧力以下の場合には前記孔の閉塞状態を維持し、前記本体部よりも前記気体の通過方向下流側の圧力が予め設定された圧力を超えた場合には前記孔を開放する弾性変形可能な板状の圧力逃し弁部と、を有する弁体。
【0018】
次に、請求項5に記載の弁体の作用を説明する。
請求項5の弁体は、例えば、ポンプアップ装置の吸入経路に、本体部が吸入経路の端部を閉塞するように取り付けられる。
この弁体は、ポンプアップ装置が気体を圧縮する時に、本体部が吸入経路の端部を閉塞しており、ポンプアップ装置が気体を吸入する時には、本体部が外気に押圧(ポンプアップ装置側が負圧のため)されて弾性変形して吸入経路の端部から離間し、気体の吸入を許容する。
【0019】
ここで、本体部よりも気体の通過方向下流側(即ち、ポンプアップ装置内側)の圧力が予め設定された圧力以下の場合には、圧力逃し弁部は孔の閉塞状態を維持し、本体部よりも気体の通過方向下流側の圧力が予め設定された圧力を超えた場合には、圧力逃し弁部は孔を開放し、いわゆる安全弁として機能し、不要な圧力を外部へ逃し、ポンプアップ装置の不必要な圧力上昇を抑制する。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の弁体において、前記圧力逃し弁部は、前記本体部の一部分で形成されている。
【0021】
次に、請求項6に記載の弁体の作用を説明する。
本体部よりも気体の通過方向下流側の圧力が予め設定された圧力を超えた場合には、本体部の一部で形成された圧力逃し弁部が孔を開放し、不要な圧力を外部へ逃す。
請求項6に記載の弁体では、圧力逃し弁部が本体部の一部分で形成されているため、圧力逃し弁部を本体部と別部品で構成する場合に比較して、部品点数を低減できる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載のポンプアップ装置は上記の構成としたので、圧抜き機構の構成を簡単にすることができ、また、組立時間を低減することができる。
請求項2に記載のポンプアップ装置は上記の構成としたので、弁体と弾性体とを別部品で構成する場合に比較して部品点数を低減でき、圧抜き機構の構成を更に簡単にすることができ、また、組立時間を更に低減することができる。
請求項3に記載のポンプアップ装置は上記の構成としたので、第1の開閉弁と弁体とを別部品で構成する場合に比較して部品点数を低減でき、圧抜き機構の構成を更に簡単にすることができ、また、組立時間を更に低減することができる。
【0023】
請求項4に記載のシーリング・ポンプアップ装置は上記の構成としたので、圧抜き機構の構成を簡単にすることができる。
請求項5に記載の弁体は上記の構成としたので、圧抜き機構の構成を簡単にすることができる。
請求項6に記載の弁体は上記の構成としたので、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態に係るシーリング・ポンプアップ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】シーリング・ポンプアップ装置とタイヤとの接続を示す斜視図である。
【図3】保管時における液剤容器、注入ユニット及び押圧冶具の構成を示す断面図である。
【図4】液剤容器を押し込んだ際の液剤容器、注入ユニット及び押圧冶具の構成を示す断面図である。
【図5】注入ユニットのフランジ部分を示す平面図である。
【図6】コンプレッサーユニットの構成を示す断面図である。
【図7】コンプレッサーの要部の断面図である。
【図8】排気弁の斜視図である。
【図9】圧力逃し弁体の設けられたピストンの平面図である。
【図10】(A)は圧力逃し弁体の非作動時の吸気用弁体の断面図であり、(B)は圧力逃し弁体の非作動時の吸気用弁体の断面図である。
【図11】圧力と弁の位置との関係を示すグラフである。
【図12】第2の実施形態に係る吸気用弁体の斜視図である。
【図13】第2の実施形態に係る吸気用弁体の断面図である。
【図14】第3の実施形態に係るコンプレッサーの断面図である。
【図15】第4の実施形態に係るピストンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置について説明する。
(シーリング・ポンプアップ装置の構成)
図1には、本発明の実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置10が示されている。シーリング・ポンプアップ装置10は、自動車等の車両に装着された空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際、そのタイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修するものである。
図1に示されるように、シーリング・ポンプアップ装置10は箱状のケーシング11を備えており、このケーシング11の内部には、コンプレッサーユニット12、注入ユニット20及び、この注入ユニット20に連結固定された液剤容器18等が配置されている。
【0026】
コンプレッサーユニット12には、その内部に、後述するコンプレッサー150(図6参照)及び電源回路(図示省略)等が配置されると共に、電源回路からコンプレッサーユニット12の外部へ延出する電源ケーブル14が設けられている。この電源ケーブル14の先端部に設けられたプラグ15を、例えば、車両に設置されたシガレットライターのソケットに差込むことにより、車両に搭載されたバッテリにより電源回路を通して、コンプレッサー150へ電源が供給可能になる。
【0027】
また、コンプレッサーユニット12には、電源スイッチ128が設けられており、該電源スイッチ128をONにすると、コンプレッサー150を構成するモーター154が駆動する。コンプレッサー150は、修理すべきタイヤ100(図2参照)の種類毎に規定された指定圧よりも高圧(例えば、300kPa以上)の圧縮空気を発生可能としている。ここで、コンプレッサーユニット12には、圧力ゲージ79が備えられており、該圧力ゲージ79によってタイヤ100の内圧を測定可能としている。
【0028】
図3に示されるように、シーリング・ポンプアップ装置10には、シーリング剤32を収容した液剤容器18及び、この液剤容器18が連結される注入ユニット20が設けられている。液剤容器18の下端部には、下方に突出する略円筒状の首部26が一体的に形成されており、該首部26の上端側の容器本体部22よりも径が細く形成されている。
【0029】
首部26の下端には、シーリング剤32を吐出するための吐出口24が円形に開口しており、この吐出口24は膜状のアルミシール30により閉塞されている。アルミシール30は、その外周縁部が首部26における吐出口24の周縁部に、接着等により全周に亘って固着されている。
【0030】
ここで、液剤容器18はPP、PE等の樹脂材料により成形されており、注入ユニット20についても、液剤容器18の外環状部材28とスピン溶着により接合可能なPP、PE等の液剤容器18と同一の樹脂材料に一体成形されている。
液剤容器18内には、シーリング・ポンプアップ装置10により修理すべきタイヤ100の種類、サイズ等に応じた規定量(例えば、200g〜400g)よりも若干多めのシーリング剤32が充填されている。
【0031】
なお、本実施形態の液剤容器18においては、空間を設けることなくシーリング剤32が隙間無く充填されているが、シーリング剤32の酸化、窒化等による変質を防止するため、出荷時にAr等の不活性ガスをシーリング剤32共に液剤容器18内へ若干量封入するようにしても良い。
【0032】
一方、注入ユニット20には、上端側が開口した略有底円筒状に形成されたユニット本体部34及び、このユニット本体部34の下端部から外周側へ延出する円板状のフランジ36が一体的に設けられている。
フランジ36には、図1及び図5に示すように、円形のガイド孔104、円弧状の長孔106、及び保持孔108が形成されている。円形のガイド孔104には、底板11Aに立設された円柱状のガイドピン110が挿入されている。
【0033】
長孔106は、図4に示すように、ケーシング11の底板11Aに立設するフランジロック爪126を引っ掛け可能とされている。フランジロック爪126は、弾性変形可能な弾性片126Aの先端部に爪部126Bが設けられており、長孔106へ挿入された後、爪部126Bが長孔106のエッジ部分に引っ掛かることで、注入ユニット20が抜け止めされる。
【0034】
保持孔108は、円形の孔の内周部分に十字状の橋渡し部108Aを設けたもので、橋渡し部108Aが底板11Aに立設された円柱状のストッパピン112の上部に搭載されている。ストッパピン112の上部には、一対の突起112Aが形成されており、各々の突起112Aは、保持孔108が橋渡し部108Aで区画された扇形の孔部分に挿入されている。なお、橋渡し部108Aは、液剤容器18の自重を支持する剛性を有しているが、所定以上の力が作用することで破断するようになっている。
【0035】
また、シーリング・ポンプアップ装置10では、液剤容器18の首部26の中間部分に形成された段部26Aがユニット本体部34の上端部にスピン溶着により接合されることにより、液剤容器18が注入ユニット20に連結固定されている。液剤容器18の首部26がユニット本体部34に接合されると、液剤容器18と注入ユニット20との間には、加圧給液室40が形成される。この加圧給液室40は、後述する押圧冶具82によりアルミシール30が突き破られると液剤容器18の内部と連通する。
【0036】
注入ユニット20には、ユニット本体部34の中心部に、注入ユニット20の下端面と加圧給液室40との間を貫通する断面円形の冶具挿入孔44が形成されている。
注入ユニット20には、ユニット本体部34を貫通して外周側へ延出する円筒状の空気供給管52が形成されており、空気供給管52の管路52Aは、冶具挿入孔44内へ連通している。この空気供給管52の外周側の先端部に配管50の一端部が接続されている。
【0037】
また、注入ユニット20には、ユニット本体部34の周壁部の下端側を貫通して加圧給液室40と連通するように円筒状の気液供給管74が一体的に形成されている。気液供給管74の外周側の先端部には、ニップル76を介してジョイントホース78の基端部が接続されている。
【0038】
そして、図2に示すように、ジョイントホース78の先端部には、タイヤ100のタイヤバルブ102に取付可能に接続されるバルブアダプタ80が設けられている。このバルブアダプタ80をタイヤバルブ102に取付けることで、ジョイントホース78を通して加圧給液室40とタイヤ100とが連通可能となる。
【0039】
一方、ケーシング11の底板11Aには、液剤容器18からシーリング剤32を吐出させる際に用いる棒状の押圧冶具82が配置されている。この押圧冶具82には、上端面から下方に向けて延び、中間部で複数本(例えば、4本)に分岐し、分岐した部分がそれぞれ外周側へ延出した冶具連通部88が形成されている。
【0040】
押圧冶具82の外周面には、冶具連通部88の開口部分に空気通路となる環状の連通溝90が形成されている。また、押圧冶具82の外周面には、連通溝90の上側及び下側にそれぞれ嵌挿溝92及び嵌挿溝94が形成されており、これら一対の嵌挿溝92、94には、それぞれOリング96が嵌挿されている。
【0041】
冶具挿入孔44には、容器側に突き破りパーツ98の軸部98Aが挿入されており、突き破りパーツ98は、軸部98Aの上端部に、径方向外側へ拡径する円盤状の穿孔部98Bを備えている。この穿孔部98Bの上面には、アルミシール30を突き破りやすくするための刃98Cが複数形成されている。
【0042】
また、液剤容器18を注入ユニット20の上側に直立した状態では、液剤容器18内のシーリング剤32が自重により、液剤容器18のアルミシール30は加圧された状態となる。そして、穿孔部98Bはアルミシール30の正面中央に対向しており、穿孔部98Bとアルミシール30との間には若干の隙間を設けている。
【0043】
上記の構成により、押圧冶具82が冶具挿入孔44内へ挿入されると、押圧冶具82の先端が突き破りパーツ98を押し、突き破りパーツ98の穿孔部98Bがアルミシール30を突き破り、図4に示されるように突き破りパーツ98が液剤容器18内まで押し出される。
【0044】
また、図4に示すように、押圧冶具82が冶具挿入孔44内へ挿入された状態では、押圧冶具82の連通溝90と空気供給管52とが軸方向に沿って一致する。これにより、連通溝90を介して空気供給管52の管路52Aが押圧冶具82の冶具連通部88と連通する。また、一対のOリング96は、押圧冶具82が冶具挿入孔44に挿入された状態で、それぞれ外周面を冶具挿入孔44の内周面へ全周に亘って圧接させている。
【0045】
(コンプレッサーユニット)
次に、コンプレッサーユニット12について説明する。
図6、及び図7に示すように、本実施形態のコンプレッサー150はレシプロ式のものが用いられている。コンプレッサー150は、円柱状のモーター154を備えており、ケーシング11の底板11A(図1参照)に設けられた台座156に固定されている。
【0046】
モーター154は電源回路から供給される電力によって駆動可能とされており、モーター154の回転軸158には、ピニオン162が固定され、モーター154の駆動と共に回転する。このピニオン162に、減速機として把握される減速ギア164が噛み合っている。減速ギア164の軸部には、クランクシャフト166を構成するシャフト168が固定されており、減速ギア164と一体に回転可能とされる。
【0047】
また、コンプレッサー150には、クランクシャフト166及びシリンダ182(後述する)が収容される略筒状のクランクケース170が備えられている。このクランクケース170には、ピニオン162及び減速ギア164の上面側及び下面側を囲むようにして軸板(フレーム)171、173が設けられており、該軸板171、173に設けられた一対のベアリング172によってシャフト168が回転可能に支持されている。
【0048】
シャフト168の一端部には、ダブルナット175がねじ込まれており、ねじの締め付け力を保持し、ねじを緩み難くしている。また、シャフト168の他端部には、カウンタウェイトの役割を兼ねたクランク174が固定され、該クランク174がシャフト168と一体に回転可能とされている。なお、クランクとカウンタウェイトを別々に設けても良いのは勿論のことである。
【0049】
クランク174は、シャフト168と軸芯をずらして配置された支持ピン176を介してピストンロッド178の一端部と連結している。このピストンロッド178は、支持ピン176を中心に回転可能となっている。ここで、ピストンロッド178の他端部には、ピストン180が設けられており、クランクケース170内に収容されたシリンダ182内に収容されている。また、ピストンロッド178の他端とピストン180とは、支持ピン179を介して連結されている。
【0050】
モーター154の駆動により、ピニオン162、減速ギア164、シャフト168を介してクランク174が回転すると、ピストン180がシリンダ182内で往復移動(図6の矢印A方向)する。
【0051】
シリンダ182は、軸方向一端側が蓋部182Aで閉塞されており、シリンダ182の内部には、ピストン180と蓋部182Aの間にシリンダ室Gが形成され、ピストン180の往復移動に伴って、シリンダ室Gが膨張及び収縮を繰り返す構成とされている。シリンダ182の蓋部182Aには圧縮空気Mを吐出するための吐出口184が形成されており、蓋部182Aの外面には、吐出口184から吐出される圧縮空気Mを注入ユニット20へ送る配管50の他端部が接続されている。
【0052】
(排気弁)
蓋部182Aの外面には、シリンダ室Gから配管50への空気の吐出を許容するとともに、配管50側からシリンダ室Gへの空気の流入を阻止する図8に示すような排気用弁体54が設けられている。
この排気用弁体54は、弾性変形可能な板材、例えば、ステンレススチール等の金属板で形成されており、吐出口184を閉塞する円形の弁本体部54Aと、弁本体部54Aと一体的に形成され、弁本体部54Aを蓋部182Aに取り付けるための矩形の取付部54Bとを備えている。
本実施形態ではリベット56によって取付部54Bが蓋部182Aに固定されているが、取付部54Bは他の方法で固定されていても良い。
【0053】
ピストン180の静止時は、弁本体部54Aが蓋部182Aの外面に密着して吐出口184を閉塞しており、ピストン180が蓋部182A側へ移動してシリンダ室Gの圧力が上昇すると、シリンダ室Gの圧力によって弁本体部54Aが押されて弾性変形し、弁本体部54Aと蓋部182Aの外面との間に生じた隙間から圧縮された空気が配管50へ排出される。
一方、ピストン180が蓋部182Aから離れる側へ移動してシリンダ室Gの圧力が負圧になると、蓋部182Aの外面に密着し、吐出口184を閉塞する。
【0054】
(吸気用弁体)
図6,7,9に示すように、 ピストン180には、軸方向に貫通する丸孔状の吸入口194が形成されており、この吸入口194は、シリンダ室Gへ空気を吸入するために用いられる。
ピストン180の端面180Aには、シリンダ室Gへの空気の吸入を許容するとともに、この吸入口194からの空気の漏洩を阻止する吸気用弁体196が設けられている。
【0055】
この吸気用弁体196は、弾性変形可能な板材、例えば、ステンレススチール等の金属板で形成されており、吸入口194を閉塞する円形の弁本体部196Aと、弁本体部196Aと一体的に形成され、弁本体部196Aをピストン180に取り付けるための矩形の取付部196Bとを備えている。本実施形態では取付部196Bがリベット198によってピストン180に固定されているが、取付部196Bは他の方法で固定しても良い。
【0056】
ピストン180の静止時は、吸気用弁体196の弁本体部196Aがピストン180の端面180Aに密着して吸入口194を閉塞しており、ピストン180が蓋部182Aから離れる方向へ移動してシリンダ室Gが負圧になると、吸気用弁体196が外気によって押されて弾性変形し、弁本体部196Aとピストン180の端面180Aとの間に生じた隙間から外気がシリンダ室Gの内部に流入する。
なお、ピストン180が蓋部182A側へ移動してシリンダ室Gの圧力が上昇している状態では、弁本体部196Aがピストン180の端面180Aに密着し、吸入口194を閉塞する。
【0057】
また、吸気用弁体196の弁本体部196Aには、圧力逃し用弁体60が一体的に形成されている。弁本体部196Aには、略C字形状の切り込み62が形成されており、この切り込み62で囲まれた略円形の部分が圧力逃し用弁体60として構成されている。
この圧力逃し用弁体60は、シリンダ室Gの圧力が予め設定した圧力を超えた際に弾性変形して図10(A)に示す状態から図10(B)に示す状態へとなり、圧力逃し用弁体60の周囲に隙間が形成され、該隙間を介して圧力が逃されるように構成されている。
【0058】
即ち、本実施形態では、吸気用弁体196に安全弁が構成されていることになり、この安全弁の作動圧力は、例えば、圧力逃し用弁体60の板材の材質、板材の剛性、板材の厚さ、圧力逃し用弁体60が塞いでいる吸入口194の面積、切り込み62の端部間距離L(図9参照)等によって調整することができる。
【0059】
次に、本実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置10を用いてパンクしたタイヤ100を修理する作業手順を説明する。
【0060】
タイヤ100にパンクが発生した際には、先ず、作業者は、電源スイッチ128及び圧力ゲージ79が上を向くようにシーリング・ポンプアップ装置10を、例えば路面の上等に配置する(図1参照。)。
次に、図2に示すように、ジョイントホース78のバルブアダプタ80をタイヤ100のタイヤバルブ102にねじ止めする。これにより、ジョイントホース78を通して加圧給液室40(図3参照)とタイヤ100とが連通可能となる。
【0061】
次いで、作業者は、手などで液剤容器18を強制的に下方へ押し込む(図4参照)。これにより、橋渡し部108Aがストッパピン112に押圧されて破断し、注入ユニット20は、ガイドピン110に案内されながら下方へ移動する。この移動に伴い、押圧冶具82が突き破りパーツ98を押し上げ、突き破りパーツ98の穿孔部98Bがアルミシール30を突き破って容器内に進入する。
【0062】
図4に示すように、アルミシール30が突き破られると、アルミシール30に開けられた孔31を通して液剤容器18内のシーリング剤32が加圧給液室40へ流出する。
また、液剤容器18が押し込まれると、ケーシング11の底板11Aに形成されたフランジロック爪126の爪部126Bが、フランジ36に形成された長孔106のエッジ部分に引っ掛かると共に、液剤容器18の突起114がケーシング11の液剤容器挿入孔122に形成された爪124の先端を乗り越え、爪124の先端が上側の突起114の平面部118に接触する。
【0063】
このように液剤容器18を押し込んだ後、電源スイッチ128をオンとし、コンプレッサーユニット12を作動させる。コンプレッサーユニット12により発生した圧縮空気は、冶具連通部88を通して液剤容器18内に供給される。
【0064】
圧縮空気が液剤容器18内に供給されると、この圧縮空気が液剤容器18内でシーリング剤32上方へ浮上し、液剤容器18内のシーリング剤32上に空間(空気層)を形成する。この空気層からの空気圧により加圧されたシーリング剤32は、アルミシール30に開けられた孔31を通して加圧給液室40内へ供給され、加圧給液室40内からジョイントホース78を通って空気入りタイヤ100内へ注入される。
【0065】
また、圧縮空気が液剤容器18内に供給されると、押圧冶具82の上端に圧力がかかって冶具挿入孔44から押圧冶具82が抜け出る方向の力、即ち、液剤容器18及び注入ユニット20を上方へ移動する力が作用するが、ケーシング11の爪124の先端が突起114の平面部118に接触して、液剤容器18の上方への移動を阻止すると共に、ケーシング11の底板11Aに設けたフランジロック爪126の爪部126Bがフランジ36の長孔106のエッジ部分に引っ掛かって注入ユニット20の上方への移動を阻止するため、押圧冶具82が冶具挿入孔44から抜けてシーリング剤32が冶具挿入孔44を介して装置外へ漏れ出ることが防止される。
【0066】
なお、液剤容器18内のシーリング剤32が全て排出された後は、加圧給液室40内のシーリング剤32が加圧されてジョイントホース78を通って空気入りタイヤ100内へ供給される。加圧給液室40及びジョイントホース78から全てのシーリング剤32が吐出されると、圧縮空気は液剤容器18、加圧給液室40、及びジョイントホース78を介してタイヤ100内へ注入される。
【0067】
次に、作業者は、圧力ゲージ79によりタイヤ100の内圧が指定圧になったことを確認したならば、コンプレッサーユニット12を停止し、バルブアダプタ80をタイヤバルブ102から取り外す。
【0068】
作業者は、タイヤ100の膨張完了後一定時間内に、シーリング剤32が注入されたタイヤ100を用いて一定距離に亘って予備走行する。これにより、タイヤ100内部にシーリング剤32が均一に拡散し、シーリング剤32がパンク穴に充填されてパンク穴を閉塞する。
【0069】
予備走行完了後に、作業者は、タイヤ100の内圧を再測定し、必要に応じて再びジョイントホース78のバルブアダプタ80をタイヤバルブ102にねじ止めし、コンプレッサーユニット12を再作動させてタイヤ100を規定の内圧まで加圧する。これにより、タイヤ100のパンク修理が完了し、このタイヤ100を用いて一定の距離範囲内で一定速度以下(例えば、80Km/h以下)での走行が可能になる。
【0070】
本実施形態のシーリング・ポンプアップ装置10では、図9に示すように、吸気用弁体196に略C字形状の切り込み62を形成して圧力逃し用弁体60を構成しているため、一般の安全弁に用いられているケーシング(弁箱)、弁を付勢する弾性体といった部品が無く、安全弁に相当する部分の部品点数が少なく、安全弁に相当する部分の組立時間も低減できる。
【0071】
図11のグラフは、横軸にシリンダ室Gの圧力P1とシリンダ室Gの外側(大気)の圧力P2との差圧(P1−P2)が示されており、縦軸に吸気用弁体196、及び圧力逃し用弁体60の位置が示されている。図11のグラフに示すように、シリンダ室Gが負圧になると負圧の大きさに応じて吸気用弁体196が開き、シリンダ室Gの圧力が予め設定した圧力PAを超えると、シリンダ室Gの圧力に応じて圧力逃し用弁体60が開くようになっている。
そして、シリンダ室Gの圧力が予め設定した圧力を超えた際には、図10(B)に示すように圧力逃し用弁体60が弾性変形して隙間が形成され、該隙間を介して圧力が逃されるので、シーリング・ポンプアップ装置10、及びタイヤ100に必要以上の圧力が作用することは無い。
【0072】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置10を図12,13にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
第1の実施形態では、吸気用弁体196を構成している板材の一部分で圧力逃し用弁体60を形成していたが、図12,13に示すように、各々別部品として製造した吸気用弁体196と圧力逃し用弁体60とを互いに連結しても良い。
【0073】
本実施形態の吸気用弁体196には、孔64が形成され、この孔64をシリンダ室Gの反対側から塞ぐように、板材で形成された圧力逃し用弁体60の一端側が溶接66等で吸気用弁体196に固着されている。
本実施形態では、シリンダ室Gの圧力が予め設定した圧力を超えた際に、圧力逃し用弁体60が図13の2点鎖線で示すように弾性変形して孔64を開放し、開放された孔64を介して圧力が逃される。なお、その他の作用効果は第1の実施形態と同様である。
【0074】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置10を図14にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
第1の実施形態、及び第2の実施形態では、ピストン180に吸入口194が形成され、ピストン180に吸気用弁体196が設けられていたが、図14に示すように、シリンダ182の蓋部182Aに吸入口194を形成し、蓋部182Aの内壁に吸入口194を塞ぐ様に吸気用弁体196を取り付けても良い。
【0075】
本実施形態では、シリンダ室Gが負圧になると、吸気用弁体196がシリンダ内壁から離れるように弾性変形し、吸入口194から吸気を行う。また、シリンダ室Gの圧力が予め設定した圧力を超えた際に、圧力逃し用弁体60がシリンダ室Gとは反対側に弾性変形して孔64を開放し、開放された孔64を介して圧力が逃される。その他の作用効果は第1,2の実施形態と同様である。
なお、図示は省略するが、吸入口194、及び吸気用弁体196をシリンダ182の側部に設けても良い。
また、吸気用弁体196としては、第1の実施形態のものでも良く、第2の実施形態のものでも良い。
【0076】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置10を図15にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
前記第1〜3の実施形態では、吸気用弁体196に圧力逃し用弁体60が設けられていたが、図15に示すように、本実施形態ではピストン180に吸気用弁体196と圧力逃し用弁体60とが別々に設けられている。
ピストン180には、吸入口194とは別に孔68が形成されており、吸入口194には圧力逃し用弁体60の設けられていない吸気用弁体196が取り付けられ、圧力逃し用弁体60はピストン180のシリンダ室Gとは反対側の面に取り付けられている。
【0077】
本実施形態では、シリンダ室Gの圧力が予め設定した圧力を超えた際に、圧力逃し用弁体60が弾性変形して孔68を開放し、開放された孔68を介して圧力が逃される。なお、その他の作用効果は第1の実施形態と同様である。
【0078】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置10を説明する。図示は省略するが、シリンダ182の蓋部182A又はシリンダ182の側部に孔を形成し、シリンダ182の蓋部182Aの外面又はシリンダ182の側部外面に、該孔を覆うように圧力逃し用弁体60を取り付けても良い。
第5の実施形態も第4の実施形態と同様に、孔を形成して圧力逃し用弁体60を取り付けるのみで安全弁を簡単に構成することができる。
【0079】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、吸気用弁体196をコンプレッサー150を構成する部品に直接的に取り付けた例を示したが、大気からシリンダ室Gに至る吸気経路に設けられれば良く、コンプレッサー150に直接的に取り付けられていなくても良い。
上記実施形態では、吸気用弁体196をシーリング・ポンプアップ装置10のコンプレッサー150に設けた例を示したが、吸気用弁体196は一般の流体機器に用いられるエアコンプレッサー、油圧ポンプ等の吸入経路に適用可能である。
【0080】
上記実施形態の圧力逃し用弁体60の形状は略円形であったが、矩形等、他の形状であっても良い。
上記実施形態の圧力逃し用弁体60は、自身がスプリングの役目をしていたが、圧力逃し用弁体60を付勢する別部品としてのスプリングを別途設ける構成としても良い。
上記実施形態では、コンプレッサー150がレシプロタイプのものであったが、コンプレッサー150はロータリータイプ等の他の形式のものであっても良い。
さらに、本発明は、前述した実施形態に限定されることは無く、特許請求の範囲に含まれる範囲で各種変更して実施可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
10 シーリング・ポンプアップ装置
20 注入ユニット(供給手段)
18 液剤容器
32 シーリング剤
54 排気用弁体
78 ジョイントホース(供給手段)
150 コンプレッサー(ポンプアップ装置)
180 ピストン(圧縮手段)
182 シリンダ(圧縮室)
184 吐出口
194 吸入口
196 吸気用弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮室に供給された気体を圧縮手段で圧縮して排出するポンプアップ装置であって、
前記圧縮室または前記圧縮手段に設けられ、圧縮室内へ気体を流入させる吸気部と、
前記吸気部に設けられ、圧縮室内への気体の流入を許容し、圧縮室外への気体の流出を制限する第1の開閉弁と、
前記圧縮室または前記圧縮手段に設けられ、圧縮室外へ気体を排出させる排気部と、
前記圧縮室または前記圧縮手段に設けられ、圧縮室外への気体の流出を許容し、圧縮室内への気体の流入を制限する第2の開閉弁と、
前記圧縮室または前記圧縮手段に形成され、前記圧縮室の内外を連通する連通部と、
前記連通部を閉塞可能な弁体と、
前記圧縮室の内圧が予め設定された内圧以下の場合には、前記弁体による前記連通部の閉塞状態を維持し、前記圧縮室の内圧が予め設定された内圧を超えた場合には、弾性変形して前記弁体による前記連通部の閉塞状態を解除し、前記圧縮室の気体を外部に逃す弾性手段と、
を有するポンプアップ装置。
【請求項2】
前記弁体が弾性材料で形成され、前記弁体の一部分が前記弾性手段として機能している、請求項1に記載のポンプアップ装置。
【請求項3】
前記第1の開閉弁は、板状に形成されて弾性変形可能とされ、
前記連通部は、前記1の開閉弁に形成された開口部であり、
前記弁体は、前記第1の開閉弁に前記開口部を閉塞するように前記第1の開閉弁の一部分で形成されている請求項2に記載のポンプアップ装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のポンプアップ装置と、
タイヤに形成された孔を塞ぐシーリング剤を収容する容器と、
前記シーリング剤、及び前記ポンプアップ装置で生成された圧縮気体を空気入りタイヤに供給する供給手段と、
を有するシーリング・ポンプアップ装置。
【請求項5】
吸入部から吸入した気体を圧縮して排気部から排出するポンプアップ装置の吸入経路に用いられ、前記気体の吸入時には前記吸入経路の端部から離間して前記気体の吸入を許容し、前記気体の圧縮時には前記吸入経路の端部を閉塞する弾性変形可能とされた板状の弁体であって、
前記吸入経路の前記開口を閉塞する本体部と、
前記本体部に形成された孔と、
前記孔を塞ぐように前記本体部に設けられ、前記本体部よりも前記気体の通過方向下流側の圧力が予め設定された圧力以下の場合には前記孔の閉塞状態を維持し、前記本体部よりも前記気体の通過方向下流側の圧力が予め設定された圧力を超えた場合には前記孔を開放する弾性変形可能な板状の圧力逃し弁部と、
を有する弁体。
【請求項6】
前記圧力逃し弁部は、前記本体部の一部分で形成されている、請求項5に記載の弁体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−126185(P2011−126185A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287838(P2009−287838)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】