説明

マイクロコンタクトプリント用スタンプの製造に用いるマスター版とその製造方法、マイクロコンタクトプリント用スタンプとその製造方法、および、マイクロコンタクトプリント用スタンプを用いたパターン形成方法

【課題】マイクロコンタクトプリントにおいて被加工物に高い精度でパターン転写をすることができるスタンプと、このスタンプを製造するためのマスター版と、これらの製造方法、および、マイクロコンタクトプリント法による高精度のパターン形成方法を提供する。
【解決手段】マイクロコンタクトプリント用スタンプ製造用のマスター版1を、基板2と、この基板2の一方の面2aに所望のパターンで配設された樹脂凸部3と、この樹脂凸部3の非形成部位の基板2上に配設された平坦突出部4と、を備えたものとし、平坦突出部4の周縁壁部4aと樹脂凸部3の側壁3aとが微小間隙5を介して離間したものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロコンタクトプリントに係り、特にマイクロコンタクトプリントに用いるスタンプ、スタンプを製造するためのマスター版、これらの製造方法と、スタンプを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ〜ナノオーダーの微細パターニング技術として、ソフトリソグラフィがあり、これは、微細なモールドにシリコーン樹脂などの流動性のある材料を流し込み、そのまま硬化させることで微細な立体構造を転写する技術である。このソフトリソグラフィにより得られる樹脂製モールドを版としてパターニングする技術として、マイクロコンタクトプリント(以下、「μCP」とも記す)法がある。
μCP法は、1993年にアメリカのハーバード大学のG.M.Whitesidesらによって開発された微細パターン形成技術である。この微細パターン形成技術は、図8および図9に示されるように、シリコンや石英等の基板上にソフトリソグラフィで作製されたパターンを有するマスター版41(図9(A))に、ポリジメチルシロキサン(PDMS:2液硬化性のシリコーン樹脂)等の液状材料51′を流し込み(図9(B))、そのまま硬化させ、その後、マスター版41と硬化したPDMSとを引き離して、マスター版41の反転パターンを有するPDMSからなるスタンプ51を得る(図9(C))。そして、このスタンプ51の転写凸部52上にインク61を載せ(図10(A))、被加工物71にインク61を転写する(図10(B)、(C))ものである(特許文献1)。
【0003】
μCP法は、原理的にはマスター版さえあれば安価かつ簡便にPDMSのスタンプを複製することができ、PDMSからなるスタンプはそれ自体が柔軟性を有するため、被加工物への追従性が良いなどの利点がある。そして、近年、有機エレクトロルミネッセンスパネル等の大面積フレキシブルパネルにおける素子パターンの作製等において、このμCP法が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−353436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、実際には、転写凸部52が平坦形状である従来のスタンプ51を用いるμCPでは、次のような問題があった。すなわち、図11(A)に示すように、スタンプ51の転写凸部52上に載せたインク61を被加工物71に転写する際に、転写凸部52の外側にインク61がはみ出し易いという問題があった。特に、被加工物の平坦性が悪い場合、転写性向上を目的として印圧を高くすると、図11(B)に示すように、スタンプ51と被加工物71とが接触し易い箇所で、転写凸部52の外側にインク61がはみ出してしまうという問題があった。このようなインクのはみ出しが生じると、スタンプ51で設定されている転写パターンの線幅Lや隣接するパターンの間隔Sにバラツキが生じる。そして、図11(C)に示すように、本来の線幅LがL′やL″まで太り、本来の間隔SがS′やS″まで細るというパターン精度の低下を来し、また、転写パターンの中に被加工物が露出した箇所が現れることがある。したがって、例えば、インクが配線等の形成材料である場合、隣接するパターン間で短絡が生じたり、電気抵抗が増大することとなる。
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、μCPにおいて被加工物に高い精度でパターン転写をすることができるスタンプと、このスタンプを製造するためのマスター版と、これらの製造方法、および、μCP法による高精度のパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造用のマスター版は、基板と、該基板の一方の面上に所望のパターンで配設された樹脂凸部と、該樹脂凸部の非形成部位の前記基板上に配設された平坦突出部と、を備え、該平坦突出部の周縁壁部と前記樹脂凸部の側壁とが微小間隙を介して離間しているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記樹脂凸部は、前記基板側のパターン幅よりも頂部側のパターン幅が小さく、前記側壁は傾斜面をなしているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記平坦突出部の周縁壁部と前記樹脂凸部の側壁との間に存在する微小間隙の幅は、前記基板側に向かって小さくなっているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記樹脂凸部の厚みは1〜50μmの範囲内であり、前記平坦突出部の厚みは50〜1000nmの範囲内であるような構成とした。
【0007】
また、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造マスター版の製造方法は、透明基板の一方の面に所望のパターンで遮光部を形成する工程、該遮光部を被覆するように前記透明基板上にネガ型感光性レジストを塗布し、前記透明基板側から光を照射し前記遮光部をマスクとして前記ネガ型感光性レジストの塗布膜を露光し、その後、現像して、前記遮光部の非形成部位に樹脂凸部を形成する工程、前記樹脂凸部を被覆するようにポジ型感光性レジストを塗布し、前記透明基板側から光照射し前記遮光部をマスクとして前記ポジ型感光性レジストの塗布膜を露光し、その後、現像して、前記遮光部上にエッチング用レジスト層を形成する工程、前記樹脂凸部と前記エッチング用レジスト層との間に存在する間隙からエッチャントを浸入させ前記遮光部の周縁部をエッチングすることにより、周縁壁部が前記樹脂凸部の側壁から微小間隙を介して離間している平坦突出部を形成し、その後、前記エッチング用レジスト層を除去する工程、を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記遮光部の厚みを50〜1000nmの範囲内で設定するような構成とした。
【0008】
また、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプは、基部と、該基部から所望のパターンで突出しているとともに、頂部平面の周縁部に連続した微小突起を有する転写凸部と、を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記微小突起は、断面形状が楔形であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記転写凸部の高さは1〜50μmの範囲内であり、前記微小突起の前記頂部平面からの高さは50〜1000nmの範囲内であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記転写凸部の幅は均一ではないような構成とした。
【0009】
また、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法は、基部と、該基部から所望のパターンで突出し頂部平面の周縁部には連続した微小突起を有する転写凸部と、を備えたマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法であって、上述のマスター版の前記樹脂凸部が配設されている面に硬化性材料を塗布し、該硬化性材料の塗布膜を硬化して基部と転写凸部を形成し、その後、前記マスター版から剥離するような構成とした。
また、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法は、支持基板と、該支持基板の一方の面上に配設された基部と、該基部から所望のパターンで突出し頂部平面の周縁部には連続した微小突起を有する転写凸部と、を備えたマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法であって、支持基板に硬化性材料を塗布して塗布膜を形成した成形基板を作製し、該支持基板の塗布膜側を、上述のマスター版の前記樹脂凸部が配設されている面に圧着し、前記硬化性材料の塗布膜を硬化して基部と転写凸部を形成するとともに、該基部と前記支持基板とを接合し、その後、前記マスター版から剥離するような構成とした。
【0010】
また、本発明のパターン形成方法は、上述のマイクロコンタクトプリント用スタンプの前記転写凸部の前記頂部平面上に、パターン形成用のインクを載せ、次いで、被加工物に前記インクを接触させ、マイクロコンタクトプリント用スタンプを剥離するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記転写凸部の前記頂部平面上に載せたパターン形成用のインクを半乾燥状態とした後、被加工物に前記インクを接触させるような構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造に用いるマスター版では、平坦突出部の周縁壁部と樹脂凸部の側壁とが微小間隙を介して離間しているので、頂部平面の周縁部に連続した微小突起を有する転写凸部を備えたマイクロコンタクトプリント用スタンプを確実、かつ簡便に製造することができ、また、平坦突出部の厚みを調整することにより、マイクロコンタクトプリント用スタンプの微小突起の高さを制御することができる。さらに、樹脂凸部のパターン幅が、頂部側に向かって小さく、樹脂凸部の側壁が傾斜面をなす場合、また、平坦突出部の周縁壁部と樹脂凸部の側壁との間に存在する微小間隙の幅が、基板側に向かって小さくなっている場合には、マイクロコンタクトプリント用スタンプの製造において、マスター版からのスタンプの剥離が容易になる。
【0012】
また、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造マスター版の製造方法では、透明基板側からネガ型感光性レジストの塗布膜を露光、現像して樹脂凸部を形成するので、遮光部の幅に関係なく、したがって、隣接する樹脂凸部の間隔に影響されずに均一な高さで樹脂凸部を形成することができ、また、遮光部の厚みを調整することにより、平坦突出部の周縁壁部と樹脂凸部の側壁との間に存在する微小間隙の深さを制御することができ、さらに、この微小間隙の幅の制御は、遮光部の周縁部のエッチングの時間、エッチャントの条件等を調整することにより行うことができ、所望のマスター版を高精度で、かつ、簡便に作製することができる。
【0013】
また、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプでは、転写凸部の頂部平面の周縁部に連続した微小突起を有するので、マイクロコンタクトプリント時における転写凸部の外側へのインクのはみ出しが抑制され、また、転写凸部の頂部平面に載せられるインクの厚みが、転写凸部のパターン幅に関係なく均一なものとなり、高精度のパターン形成が可能である。
【0014】
また、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法では、本発明のマスター版を使用するので、大面積であっても転写凸部の高さが均一で精度の高いスタンプを製造することができ、また、使用するマスター版の平坦突出部の厚みを調整することにより、スタンプの微小突起の高さを制御することができる。
【0015】
本発明のパターン形成方法では、本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプを使用し、転写凸部の頂部平面に載せられたインクを被加工物に接触させるので、転写凸部の頂部平面に載せられるインクの厚みが、転写凸部のパターン幅に関係なく均一なものとなり、かつ、インクが転写凸部の外側にはみ出すことが抑制され、所望のパターンを高い精度で形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造に用いるマスター版の一実施形態を示す概略部分断面図である。
【図2】マスター版を構成する微小間隙の例を説明するための図である。
【図3】本発明のマスター版の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】本発明のマスター版の製造方法を説明するための工程図である。
【図5】本発明のスタンプの一実施形態を示す概略部分断面図である。
【図6】本発明のスタンプの製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。
【図7】本発明のスタンプの製造方法の他の実施形態を説明するための工程図である。
【図8】本発明のパターン形成方法の一実施形態を説明するための工程図である。
【図9】従来のマイクロコンタクトプリントの一例を説明するための工程図である。
【図10】従来のマイクロコンタクトプリントの一例を説明するための工程図である。
【図11】従来のマイクロコンタクトプリントにおける問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[マスター版]
図1は本発明のマイクロコンタクトプリント(μCP)用スタンプの製造に用いるマスター版の一実施形態を示す概略部分断面図である。図1において、本発明のマスター版1は、基板2と、この基板2の一方の面2aに所望のパターンで配設された樹脂凸部3と、樹脂凸部3の非形成部位の基板2上に配設された平坦突出部4と、を備えている。そして、平坦突出部4の周縁壁部4aと樹脂凸部3の側壁3aとが微小間隙5を介して離間している。
本発明のマスター版1を構成する基板2は、樹脂凸部3、平坦突出部4を支持できるものであれば特に制限はなく、例えば、ガラス、石英等の無機材料からなるものを使用することができ、また、樹脂材料からなるものであってもよい。
【0018】
マスター版1を構成する樹脂凸部3は、後述するようなスタンプの製造において使用される硬化性材料に対する耐性と、スタンプ製造での繰り返し使用に耐え得る耐久性とを有するものであり、例えば、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系、ポリアミド系、カルド系、ノボラック系、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の感光性レジストを硬化したものである。このような樹脂凸部3の厚みは、作製するスタンプの転写凸部の高さを決定するものであり、例えば、1〜50μmの範囲内で適宜設定することができる。また、樹脂凸部3は、基板2側のパターン幅よりも頂部3b側のパターン幅が小さく、側壁3aが傾斜面をなしているテーパー形状であってもよい。
また、マスター版1を構成する平坦突出部4は、例えば、Cr、Al、Ni、Ti、Cu、Ag等の金属材料からなるものであってよい。この平坦突出部4は、作製するスタンプの転写凸部の頂部平面の平坦性を決定するとともに、スタンプの微小突起の高さを決定するものであり、平坦突出部4の厚みは、例えば、50〜1000nmの範囲内で適宜設定することができる。
【0019】
また、平坦突出部4の周縁壁部4aと樹脂凸部3の側壁3aとを離間させるように存在する微小間隙5は、作製するスタンプの転写凸部の頂部平面の周縁部に連続して存在する微小突起の形状を決定するものである。微小間隙5の形状は、図1に示されるように、微小間隙5の幅が基板2側に向って小さくなっている楔形状であり、周縁壁部4aと側壁3aが基板2の面2a上で相互に接触しているものであってよい。また、図2(A)に示されるように、平坦突出部4の周縁壁部4aと樹脂凸部3の側壁3aとが傾斜面をなし、且つ、両者が接触していない台形形状、図2(B)に示されるように、平坦突出部4の周縁壁部4aが湾曲した面を有するような形状、図2(C)に示されるように、平坦突出部4の周縁壁部4aと樹脂凸部3の側壁3aとがほぼ平行であり、両者が接触していない長方形状等であってよい。したがって、本発明では、平坦突出部4の周縁壁部4aと樹脂凸部3の側壁3aとの離間とは、周縁壁部4aと側壁3aとが完全に接触していない状態を含むとともに、図1、図2(B)に示すように、周縁壁部4aと側壁3aが基板2の面2a上で相互に接触している状態も含む概念である。
【0020】
このような本発明のマスター版1は、平坦突出部4の周縁壁部4aと樹脂凸部3の側壁3aとが微小間隙5を介して離間しているので、頂部平面の周縁部に連続した微小突起を有する転写凸部を備えたμCP用のスタンプを確実、かつ簡便に製造することができる。また、平坦突出部4の厚みを調整することにより、μCP用スタンプの微小突起の高さを制御することができる。さらに、樹脂凸部3のパターン幅が、頂部3b側に向かって小さく、樹脂凸部3の側壁3aが傾斜面をなす場合、また、微小間隙5の幅が、基板2側に向かって小さくなっている場合には、μCP用スタンプの製造において、マスター版1からのスタンプの剥離が容易になる。
【0021】
[マスター版の製造方法]
次に、本発明のマイクロコンタクトプリント(μCP)用スタンプ製造マスター版の製造方法について説明する。
図3および図4は本発明のマスター版の製造方法を説明するための工程図であり、上述のマスター版1の製造を例としたものである。図3において、まず、透明基板2の一方の面2aに所望のパターンで遮光部4′を形成する(図3(A))。使用する透明基板2は、後述する工程において透明基板2側から光を照射しネガ型感光性レジストを露光するので、露光光を透過する材質であれば特に制限はなく、例えば、ガラス、石英等の無機材料からなるもの、樹脂材料からなるもの等を挙げることができる。また、遮光部4′は、後述する工程においてエッチングを受けて平坦突出部4となるものであり、例えば、Cr、Al、Ni、Ti、Cu、Ag等の金属材料を用いて真空成膜法により薄膜を形成し、その後、所望のレジストパターンを形成し、このレジストパターンを介してエッチングすることにより形成することができる。この遮光部4′の厚みは、平坦突出部4の厚みを決定するものであり、例えば、50〜1000nmの範囲内で適宜設定することができる。
【0022】
次に、遮光部4′を被覆するように透明基板2上にネガ型感光性レジストを塗布して塗布膜3′を形成する(図3(B))。ネガ型感光性レジストとしては、例えば、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系、ポリアミド系、カルド系、ノボラック系、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の感光性レジストを使用することができる。また、ネガ型感光性レジストの塗布は、スピンコート法、ブレードコート法、バーコート法、スリットコート法、ダイコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ディスペンサーコート法等により行うことができる。このようなネガ型感光性レジストの塗布膜3′の厚みは、マスター版1の樹脂凸部3の厚みを決定するものであり、使用するネガ型感光性レジストの硬化後の体積収縮等を考慮して適宜設定することができる。
【0023】
次いで、透明基板2側から光を照射し遮光部4′をマスクとしてネガ型感光性レジストの塗布膜3′を露光し(図3(C))、その後、現像して、遮光部4′の非形成部位に樹脂凸部3を形成する(図3(D))。本発明では、ネガ型感光性レジストの塗布膜3′の露光を透明基板2側からの、いわゆるバック露光により行うので、マスクとしている遮光部4′のパターン形状を反映した高精度の露光が可能である。また、塗布膜3′が受ける厚み方向の露光エネルギー量は、光の減衰効果によって、透明基板2側が多く、表面側で少なくすることができる。これにより、図示のように、現像されて形成された樹脂凸部3は、パターン幅が頂部3b側に向かって小さく、側壁3aが傾斜面をなすテーパー形状とすることができる。
【0024】
次に、樹脂凸部3を被覆するようにポジ型感光性レジストを塗布して塗布膜6′を形成し、透明基板2側から光を照射し遮光部4′をマスクとしてポジ型感光性レジストの塗布膜6′を露光し(図4(A))、その後、現像して、遮光部4′上にエッチング用レジスト層6を形成する(図4(B))。ポジ型感光性レジストとしては、例えば、ポリイミド系、ノボラック系等の感光性レジストを使用することができる。また、ポジ型感光性レジストの塗布は、スピンコート法、ブレードコート法、バーコート法、スリットコート法、ダイコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ディスペンサーコート法等により行うことができる。本発明では、ポジ型感光性レジストの塗布膜6′の露光を透明基板2側からの、いわゆるバック露光により行うので、樹脂凸部3の側壁3aに接触している塗布膜6′も露光を受けることになる。したがって、現像して得られるエッチング用レジスト層6と樹脂凸部3の壁面3aとの間には、図示例のように間隙7が存在することになる。
【0025】
次いで、樹脂凸部3とエッチング用レジスト層6との間に存在する間隙7からエッチャントを浸入させ、遮光部4′の周縁部をエッチングする。これにより、周縁壁部4aが樹脂凸部3の側壁3aから微小間隙5を介して離間している平坦突出部4を形成する(図4(C))。その後、エッチング用レジスト層6を除去することにより、マスター版1が得られる(図4(D))。遮光部4′のエッチングに使用するエッチャントは、樹脂凸部3やエッチング用レジスト層6の材質を考慮して遮光部4′の材質に応じて適宜選択することができ、ウエットエッチングでは、例えば、遮光部4′がCrからなる場合、エッチャントは硝酸セリウム第二アンモニウム溶液等を使用することができる。また、エッチャントとして、クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、塩素ガスなどの塩素を含むガス、および、これらのガスの1種または2種以上と酸素、ヘリウム、アルゴンなどの希釈ガスとの混合ガス等を用いたドライエッチングにより遮光部4′の周縁部をエッチングしてもよい。
【0026】
このような本発明のマスター版の製造方法では、透明基板2側からネガ型感光性レジストの塗布膜3′を露光、現像して樹脂凸部3を形成するので、遮光部4′の幅に関係なく、したがって、隣接する樹脂凸部3の間隔に影響されずに均一な高さで樹脂凸部3を形成することができる。また、遮光部4′の厚みを調整することにより、平坦突出部4の周縁壁部4aと樹脂凸部3の側壁3aとの間に存在する微小間隙5の深さを制御することができる。さらに、この微小間隙5の幅の制御は、遮光部4′の周縁部のエッチングの時間、エッチャントの条件等を調整することにより行うことができる。
【0027】
[スタンプ]
次に、本発明のマイクロコンタクトプリント(μCP)用スタンプについて説明する。
図5は、本発明のスタンプの一実施形態を示す概略部分断面図である。図5において、本発明のスタンプ11は、支持基板12と、この支持基板12の一方の面12aに配設された基部13と、この基部13から所望のパターンで突出している転写凸部14と、この転写凸部14の頂部平面14aの周縁部に位置する連続した微小突起15と、を備えている。
スタンプ11を構成する支持基板12は、基部13と転写凸部14を支持できるものであれば特に制限はなく、例えば、ガラス基板、シリコン基板、ケイ素酸化物からなる基板等の可撓性のないリジット基板や、可撓性を有するフレキシブル基板を使用することができる。フレキシブル基板としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPS、PEI等の樹脂材料からなるものであってよい。支持基板12の厚みは、材質、スタンプ11の用途等を考慮して適宜設定することができる。
【0028】
基部13および転写凸部14は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS:2液硬化性のシリコーン樹脂)、フッ素エラストマー(信越化学工業(株)製 SHIN−ETSU SIFEL)等を硬化させたものとすることができる。基部13の厚みは、スタンプ11の用途等を考慮して適宜設定することができる。
転写凸部14の高さHは、転写凸部14が存在しない支持基板12に付着したインクが被加工物に転写される地汚れを抑制するように、材質、スタンプ11の用途等を考慮して設定することができ、例えば、1〜50μmの範囲内で設定することができる。
また、転写凸部14の頂部平面14aの周縁部に連続して配設されている微小突起15の頂部平面14aからの高さhは、スタンプ11の用途、μCPで使用するインクの特性等を考慮して適宜設定することができ、例えば、50〜1000nmの範囲内で設定することができる。微小突起15の高さhが50nm未満であると、パターン形成するインクの厚みが不十分となったり、転写凸部14の外側にインクがはみ出すことがあり、また、1000nmを超えると、転写不良の原因となることがあり好ましくない。このような微小突起15の断面形状は、先端部が先鋭な楔形、先端部が幅の狭い台形、半円形、長方形等であってよい。
【0029】
このような本発明のスタンプ11は、転写凸部14の頂部平面14aの周縁部に連続した微小突起15を有するので、μCP時における転写凸部14の外側へのインクのはみ出しが抑制される。また、転写凸部14の頂部平面14aに載せられるインクの厚みが、転写凸部14のパターン幅に関係なく均一なものとなり、高精度のパターン形成が可能である。したがって、本発明のスタンプ11は、種々の幅をもつ転写凸部14を有するものであってよく、このようなスタンプ11を使用することにより、種々の線幅からなるパターンを高精度で形成することができる。
尚、本発明のスタンプは支持基板12を備えていなものであってもよい。
【0030】
[スタンプの製造方法]
次に、本発明のマイクロコンタクトプリント(μCP)用スタンプの製造方法について説明する。
図6は本発明のスタンプの製造方法の一実施形態を説明するための工程図であり、上述の本発明のマスター版1を使用したスタンプ11の製造例を示している。図6において、まず、マスター版1の樹脂凸部3が配設されている面に硬化性材料を塗布して塗布膜13′を形成する(図6(A))。使用する硬化性材料は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS:2液硬化性のシリコーン樹脂)、フッ素エラストマー(信越化学工業(株)製 SHIN−ETSU SIFEL)等を挙げることができる。このような硬化性材料のマスター版1への塗布は、例えば、スピンコート法、ブレードコート法、バーコート法、スリットコート法、ダイコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ディスペンサーコート法等により行うことができる。尚、硬化性材料の塗布膜13′を塗布する前に、硬化後の硬化性材料の剥離性を向上させる目的で離型剤をマスター版1に塗布してもよい。
【0031】
次に、硬化性材料の塗布膜13′の表面に支持基板12を接触させ(図6(B))、その後、硬化性材料を硬化させて基部13と転写凸部14を形成するとともに、基部13と支持基板12とを接合する(図6(C))。使用する支持基板12は、例えば、ガラス基板、シリコン基板、ケイ素酸化物からなる基板等の可撓性のないリジット基板や、可撓性を有するフレキシブル基板を使用することができる。フレキシブル基板としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPS、PEI等の樹脂材料からなるものであってよい。
支持基板12と硬化性材料の塗布膜13′との接触では、両者の表面が平行である状態を維持したまま接触させることができ、また、両者の表面が所定の角度を有する状態で接触させてもよい。また、支持基板12と硬化性材料の塗布膜13′とを接触した後、支持基板12を塗布膜13′方向に押し込んでもよく、この押し込み量は、例えば、5mm以下の範囲で適宜設定することができる。
【0032】
硬化性材料の硬化条件は、使用する硬化性材料に応じて適宜設定することができる。尚、また、ガス、気泡が硬化性材料の塗布膜13′に取り込まれることを防止するために、硬化前、あるいは、硬化時に真空中で脱気処理を施してもよい。
次いで、硬化性材料を硬化して形成された基部13と転写凸部14を支持基板12とともに、マスター版1から剥離して、マスター版1の反転パターンを有するスタンプ11を得ることができる(図6(D))。マスター版1からスタンプ11を剥離する方法は、両者に損傷を与えないような方法であれば特に制限はなく、通常、スタンプ11をマスター版1から物理的に引き離す方法を用いることができる。
【0033】
尚、上述の実施形態では、マスター版1の樹脂凸部3が配設されている面に硬化性材料を塗布して塗布膜13′を形成し、この塗布膜13′の表面に支持基板12を接触させているが、この方法の限定されるものではない。例えば、図7(A)に示されるように、支持基板12に硬化性材料を塗布して塗布膜13′を形成した成形基板17を予め作製し、図7(B)に示されるように、この成形基板17をマスター版1の樹脂凸部3が配設されている面に圧着してもよい。
このような本発明のスタンプの製造方法では、本発明のマスター版1を使用するので、大面積であっても転写凸部14の高さが均一で精度の高いスタンプ11を製造することができる。また、使用するマスター版1の平坦突出部4の厚みを調整することにより、スタンプ11の微小突起15の高さを制御することができる。
【0034】
[パターン形成方法]
次に、本発明のパターン形成方法について説明する。
図8は、本発明のパターン形成方法の一実施形態を説明するための工程図であり、上述の本発明のスタンプ11を用いた例を示している。図8において、まず、本発明のμCP用のスタンプ11の転写凸部14の頂部平面14a上に、パターン形成用のインク21を載せる(図8(A))。インク21としては、例えば、半導体パターン、電極パターン、配線パターン、誘電体パターン等の形成目的のパターンに応じた原料溶液を使用することができる。したがって、例えば形成目的のパターンが電極パターンである場合、導電性微粒子を含有した導電性ペーストをインク21として使用することができる。このようなインク21は、転写凸部14の頂部平面14aに対する密着性よりも、被加工物に対する密着性が高くなるように設計されている。また、転写凸部14の頂部平面14a上へのインク21の供給は、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ディスペンサーコート法、インクジェット法等により行うことができる。このように転写凸部14の頂部平面14a上に載せられたインク21は、頂部平面14aの周縁部に連続して配設されている微小突起15によって確実に保持され、インク21の厚みが、転写凸部14のパターン幅に関係なく均一なものとなり、かつ、転写凸部14の側壁に流れ落ちることが防止される。
【0035】
尚、本発明では、転写凸部14の頂部平面14a上に載せられたインク21を半乾燥状態としてもよい。これは、インク21に含有される溶剤をある程度蒸発させて、被加工物に対するインク21の密着性を高くするためであり、使用するインクによって乾燥、加熱条件を種々設定することができる。
次いで、被加工物31にインク21を接触させ(図8(B))、その後、μCP用のスタンプ11を剥離する(図8(C))。本発明では、使用するスタンプ11の転写凸部14の頂部平面14aの周縁部に連続した微小突起15が配設されているので、インク21が転写凸部14の外側にはみ出すことが抑制される。したがって、仮に被加工物31の平坦性が悪く、転写性向上を目的として印圧を高くしても、スタンプ11と被加工物31とが接触し易い箇所での転写凸部14外側へのインク21のはみ出しは防止され、所望のパターンを高い精度で形成することが可能である。
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例]
<マスター版の作製>
透明基板として、Cr薄膜(厚み150nm)付きのガラス基板(300mm×400mm、厚み0.7mm)を準備し、この透明基板のCr薄膜上に感光性レジスト(AZエレクトロニックマテリアル社製 AZ 5206−E)をスピンコート法で塗布し、130℃で3分間乾燥させた。次に、ライン/スペースが10μm/10μmの櫛形の透光部を有するフォトマスクを介して露光(50mJ/cm2)し、現像してレジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクとしてCrを硝酸セリウム第二アンモニウム溶液でエッチングし、その後、レジストパターンを剥離した。これにより、フォトマスクの透光部と同等の櫛形パターンを有するCrからなる遮光部を形成した。
【0037】
次に、遮光部を被覆するように透明基板2上に、ネガ型感光性レジスト(日本化薬(株)製 SU−8)をスピンコート法で塗布し、100℃で3分間乾燥して塗布膜を形成した。
次いで、透明基板側から光を照射してバック露光(露光量30mJ/cm2))し、更に、硬化を促進させるために65℃で1分間乾燥した。その後、現像して、遮光部の非形成部位に樹脂凸部を形成した(図3(D)参照)。このように形成された樹脂凸部は、厚みが μmであり、透明基板側の幅が10μm、表面側の幅が9.9μmであるテーパー形状であった。
次に、樹脂凸部を被覆するようにポジ型感光性レジスト(AZエレクトロニックマテリアル社製 AZ 5206−E)をスピンコート法で塗布し、130℃で3分間乾燥して塗布膜を形成した。
【0038】
次いで、透明基板側から光を照射してバック露光(露光量50mJ/cm2))した。その後、現像して、遮光部上にエッチング用レジスト層を形成した。このように形成されたエッチング用レジスト層は、厚みが1μmであり、樹脂凸部の壁面との間には、0.1μm程度の間隙が存在するものであった(図4(B)参照)。
次いで、エッチャントとしての硝酸セリウム第二アンモニウム溶液(液温23℃、濃度5%)に浸漬し、1分間放置した後に引き上げ水洗し、その後、エッチング用レジスト層を除去して本発明のマスター版を得た。このエッチングにより、遮光部の周縁部がエッチングされて平坦突出部が形成された。この平坦突出部は、その周縁壁部が樹脂凸部の側壁から楔形状の微小間隙を介して離間したものであった。
【0039】
<スタンプの作製>
上記のように作製したマスター版に、ポリジメチルシロキサン(PDMS:2液硬化性のシリコーン樹脂)の剥離性を向上させる目的で離型剤(ハーベス社製 デュラサーフ)をスピンコート法で塗布し乾燥した。
次に、マスター版1の樹脂凸部が配設されている面に、硬化性材料(主剤90gに硬化剤9gを混合したポリジメチルシロキサン(PDMS:信越化学(株)製 KE−106))をディスペンサーコート法により塗布して塗布膜(厚み約2mm)を形成した。その後、この塗布膜中の気泡を除去するために減圧乾燥機中にて脱気処理(0.1torrで5分間保持)を施した。
次に、支持基板としてガラス基板(300mm×400mm、厚み0.7mm)を準備し、これを東芝機械(株)製 ST−50を用いて、硬化性材料の塗布膜と支持基板の表面が平行である状態を維持したまま接触させ、さらに、硬化性材料の塗布膜に1mmの押し込み量で支持基板を押し込んだ。その後、16時間放置して硬化性材料を硬化させた。
【0040】
次いで、硬化された硬化性材料と支持基板をマスター版から剥離してμCP用のスタンプを得た。このスタンプは、硬化性材料が硬化されて形成された基部と転写凸部を支持基板上に備え、光学顕微鏡で観察した結果、転写凸部はマスター版の反転パターンであることが確認された。したがって、転写凸部の頂部平面の周縁部には、マスター版の平坦突出部(Cr遮光部)の厚みに相当する高さ(150nm)を有する断面楔形状の微小突起が連続して存在し、各転写凸部の微小突起先端部の距離(ライン幅に相当)は10μmであった。
【0041】
<パターン形成>
上記のように作製したμCP用のスタンプに、電極パターン形成用のインク(Agナノインキ)をスピンコート法で塗布して、転写凸部の頂部平面上にインクを載せた。その後、23℃、1分間の条件でインクを半乾燥状態とした。
次いで、被加工物であるシリコン基板上にインクを接触させた後、スタンプを剥離して、シリコン基板上にインクパターンを転写し、180℃、30分間の乾燥を行って櫛形の電極パターンを形成した。
形成した電極パターンを光学顕微鏡で観察した結果、電極幅が9.8〜10.2μmであり、バラツキが極めて小さいとともに、スタンプのライン幅10μmの再現性に優れており、また、厚みは200〜210nmで均一なものであり、高い精度でパターンが形成されていることが確認された。
【0042】
[比較例]
マスター版の作製工程において、エッチング用レジスト層の形成と、エッチャントによる遮光部(Cr薄膜)のエッチングとを行わない他は、実施例と同様にして、マスター版を作製した。
また、このマスター版を使用して、実施例と同様に、μCP用のスタンプを作製した。このスタンプは、硬化性材料が硬化されて形成された基部と転写凸部を支持基板上に備え、転写凸部はマスター版の反転パターンであることが確認された。また、転写凸部の頂部平面は、周縁部も含めた平坦なものであり、各転写凸部の頂部平面の幅(ライン幅に相当)は10μmであった。
次に、このスタンプを使用して、実施例と同様に、櫛形の電極パターンを形成した。
形成した電極パターンを光学顕微鏡で観察した結果、電極幅は10〜11μmであり、スタンプのライン幅10μmに対してパターンの太りが確認され、また、厚みは150〜250nmの範囲でありバラツキが大きく、実施例に比べてパターン精度が劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
マイクロコンタクトプリント法によるパターン形成を行う種々の装置、部品、機器に製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…マイクロコンタクトプリント用スタンプ製造用のマスター版
2…基板
3…樹脂凸部
3a…側壁
4…平坦突出部
4a…周辺壁部
5…微小間隙
3′…ネガ型感光性レジストの塗布膜
4′…遮光部
6′…ポジ型感光性レジストの塗布膜
6…エッチング用レジスト層
11…マイクロコンタクトプリント用スタンプ
12…支持基板
13…基部
14…転写凸部
14a…頂部平面
15…微小突起
13′…硬化性材料
17…成形基板
21…インク
31…被加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板の一方の面上に所望のパターンで配設された樹脂凸部と、該樹脂凸部の非形成部位の前記基板上に配設された平坦突出部と、を備え、該平坦突出部の周縁壁部と前記樹脂凸部の側壁とが微小間隙を介して離間していることを特徴とするマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造用のマスター版。
【請求項2】
前記樹脂凸部は、前記基板側のパターン幅よりも頂部側のパターン幅が小さく、前記側壁は傾斜面をなしていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造用のマスター版。
【請求項3】
前記平坦突出部の周縁壁部と前記樹脂凸部の側壁との間に存在する微小間隙の幅は、前記基板側に向かって小さくなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造用のマスター版。
【請求項4】
前記樹脂凸部の厚みは1〜50μmの範囲内であり、前記平坦突出部の厚みは50〜1000nmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造用のマスター版。
【請求項5】
透明基板の一方の面に所望のパターンで遮光部を形成する工程、
該遮光部を被覆するように前記透明基板上にネガ型感光性レジストを塗布し、前記透明基板側から光を照射し前記遮光部をマスクとして前記ネガ型感光性レジストの塗布膜を露光し、その後、現像して、前記遮光部の非形成部位に樹脂凸部を形成する工程、
前記樹脂凸部を被覆するようにポジ型感光性レジストを塗布し、前記透明基板側から光照射し前記遮光部をマスクとして前記ポジ型感光性レジストの塗布膜を露光し、その後、現像して、前記遮光部上にエッチング用レジスト層を形成する工程、
前記樹脂凸部と前記エッチング用レジスト層との間に存在する間隙からエッチャントを浸入させ前記遮光部の周縁部をエッチングすることにより、周縁壁部が前記樹脂凸部の側壁から微小間隙を介して離間している平坦突出部を形成し、その後、前記エッチング用レジスト層を除去する工程、を有することを特徴とするマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造マスター版の製造方法。
【請求項6】
前記遮光部の厚みを50〜1000nmの範囲内で設定することを特徴とする請求項5に記載のマイクロコンタクトプリント用スタンプ製造マスター版の製造方法。
【請求項7】
基部と、該基部から所望のパターンで突出しているとともに、頂部平面の周縁部に連続した微小突起を有する転写凸部と、を備えることを特徴とするマイクロコンタクトプリント用スタンプ。
【請求項8】
前記微小突起は、断面形状が楔形であることを特徴とする請求項7に記載のマイクロコンタクトプリント用スタンプ。
【請求項9】
前記転写凸部の高さは1〜50μmの範囲内であり、前記微小突起の前記頂部平面からの高さは50〜1000nmの範囲内であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のマイクロコンタクトプリント用スタンプ。
【請求項10】
前記転写凸部の幅は均一ではないことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のマイクロコンタクトプリント用スタンプ。
【請求項11】
基部と、該基部から所望のパターンで突出し頂部平面の周縁部には連続した微小突起を有する転写凸部と、を備えたマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法において、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマスター版の前記樹脂凸部が配設されている面に硬化性材料を塗布し、該硬化性材料の塗布膜を硬化して基部と転写凸部を形成し、その後、前記マスター版から剥離することを特徴とするマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法。
【請求項12】
支持基板と、該支持基板の一方の面上に配設された基部と、該基部から所望のパターンで突出し頂部平面の周縁部には連続した微小突起を有する転写凸部と、を備えたマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法において、
支持基板に硬化性材料を塗布して塗布膜を形成した成形基板を作製し、該支持基板の塗布膜側を、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマスター版の前記樹脂凸部が配設されている面に圧着し、前記硬化性材料の塗布膜を硬化して基部と転写凸部を形成するとともに、該基部と前記支持基板とを接合し、その後、前記マスター版から剥離することを特徴とするマイクロコンタクトプリント用スタンプの製造方法。
【請求項13】
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載のマイクロコンタクトプリント用スタンプの前記転写凸部の前記頂部平面上に、パターン形成用のインクを載せ、次いで、被加工物に前記インクを接触させ、マイクロコンタクトプリント用スタンプを剥離することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項14】
前記転写凸部の前記頂部平面上に載せたパターン形成用のインクを半乾燥状態とした後、被加工物に前記インクを接触させることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−5768(P2011−5768A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152283(P2009−152283)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超フレキシブルディスプレイ部材技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】