マイクロチャネル装置、および分裂流によって単位操作を実行する方法
本発明は、少なくとも1つのマニホールドと、該マニホールドに接続する複数の接続マイクロチャネルとを同じデバイス内に収容した、マイクロチャネル装置に関する。デバイス内の優れた熱流または物質移動流を実現するためには、接続マイクロチャネルの容量は、単一または複数のマニホールドの容量を上回らなければならない。また、マイクロチャネルを通じて、分裂流および非分裂流を同時に有するマイクロチャネルデバイスにおいて単位操作を実行する方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学プロセスを実行するためのマイクロチャネル装置、および分裂流によって単位操作を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロチャネル内で化学プロセスを実行することは、より良い熱および物質移動を実現する上で有利であることは既知である。多くの研究者が、寸法が小さくなるにつれて、マイクロチャネル内の物質移動が高められることを示している。Nishio(2003年)は、東京大学生産技術研究所での研究において、内径が0.1mmより大きいマイクロチャネル管に対する結果が、従来の分析と十分に一致したことを発表した。当該論文はまた、従来の相関を用いて管径の関数として熱伝達係数を示し、管径が小さくなると熱伝達係数が大きくなることを示している。したがって、従来技術では、管径が小さくなると熱伝達性能が向上することを教示している。
【0003】
Guoら(2003年)は、マイクロスケールでの単相流および熱伝達に対するサイズ効果に関する論文を発表した。研究の結論のうちの1つは、「測定誤差または入口効果による、摩擦係数の実験結果と、ヌッセルト数と、それらの標準値(従来の値)との間の相違は、マイクロスケールでの今までにない現象によって生じていると誤解される可能性がある」というものであった。彼はまた、チャネルの径が小さくなれば、体積に対する表面積の比が大きくなり、より高いヌッセルト数および摩擦係数を提供することを指摘した。
【0004】
マイクロチャネルは、従来、層流領域の操作のために設計されていることが一般に認められている。Panら(2007年)は、Chemical Engineering Journalに掲載された論文(オンラインで発表)で、「実際には、マイクロチャネル内の流速は、通常、10m/s未満であり、水力直径は500μmを超えることはないので、レイノルズ数は2000未満である」と述べた。また、0.05mmを超える臨界寸法を有するマイクロチャネルにおける、層から遷移流領域への流れ領域の遷移に対する臨界レイノルズ数は、従来の値(最大2000)に従うことが、複数の研究者(Hrnjak他(2006年))によって証明された。
【0005】
Vogelは、2006年に熱交換器の設計法を発表した。熱の増大は、高い熱伝達係数を提供する開発領域内に流れを保つことによって得られた。この方法は、より良好な熱伝達性能のために、L/D比率を100以下に保持することを教示している。しかし、この手法では、接続チャネル長が短くなるため、連結チャネルの圧力降下が小さくなる。スケールアップデバイスの場合、該手法は、多数のチャネルと、それに対応する大きなマニホールドを必要とする場合がある。
【0006】
Delsmanらは、2004年に、計算流体力学モデルを通して、マニホールドのジオメトリおよび総流量の流れ分配に対する影響を研究した。接続チャネルの(断面)寸法は、0.4mm×0.3mmに固定した。分析におけるチャネルの総数は19であった。分析では、マニホールドの形状を変更して、均一な流れ分配を得ることに焦点を絞った。分析は、マニホールドを通る速度が増加すると、分配不良が増加することを明らかに示した。接続チャネルの総数を多くして(≧100)、流量を増加した場合、この手法のスケールアップ設計に適用すると、マニホールドの容量が大きくなる。
【0007】
Tonomuraらは、2004年に、計算流体力学モデルを使用してマイクロデバイスの最適化を研究した。分析では、チャネル総数を5とした。この研究は、成形したマニホールドが、所与の接続チャネルの寸法に対しては流れ分配を改善するが、マニホールドおよび接続チャネルが、この用途に対しては一緒に設計されなかったことを示した。該研究における最適化は、デバイス全体ではなく、マニホールドの流れ領域を減少させることに基づいていた。この手法に関しては、スケールアップユニット(長いマニホールド長(≧15cm)、または多数の接続チャネルを有する)は、接続チャネルの設計が最適化に含まれないので、同様に、結局はマニホールドの寸法が大きくなる。
【0008】
Amadorらは、2004年に、電気抵抗ネットワーク手法を用いて、異なるマイクロ反応器のスケールアウトジオメトリにおける流れ分配を分析した。該論文は、連続した分岐マニホールド構造を分析するための連立方程式を提示した。提示された分析用の連立方程式は、層状領域にしか適用できない。該論文は、所要の寸法比を算出して、マニホールドおよび接続チャネルにおける層状領域に対する所与の流れ分配を達成する方法を提示した。
【0009】
Webbは、2003年に、並列マイクロチャネル内の流れ分配に対するマニホールド設計の影響を研究した。論文では、全ての接続チャネルの流れ領域の合計以上のマニホールドの流れ領域を設計して、均一な流れ分配を得る手法を示した。この手法をスケールアップしたマイクロチャネルユニット適用すると、接続チャネル数の増加につれて、マニホールドが大きくなる。
【0010】
Chongらは、2002年に、マイクロチャネルのヒートシンク設計を最適化するための、熱抵抗ネットワークを用いたモデリング手法を発表した。その結果は、層状領域内で作動するヒートシンク設計が、乱流領域におけるヒートシンク設計よりも優れていることを示した。該論文は、マニホールドサイズに関する設計の関わりについては述べていない。
【0011】
【非特許文献1】Panら、Chemical Engineering Journal、2007年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術では、接続マイクロチャネルの寸法は、熱伝達または物質移動の要件に基づいて設定することができる。例えば、熱交換器ユニットの設計の場合、接続チャネルの寸法は、全体的な熱伝達要件に基づいて決定することができる。概して、層流のための間隔が小さくなると、熱伝達率が良好になり、接続チャネルのサイズがより小さくなるが、熱伝達の最大化には、接続チャネルの最小寸法は、約2mm以下であり、0.25mm未満であることがより好ましい。その後、全体的な圧力降下の制約を満たしながら、複数のチャネル内に均一な流れ分配が得られるように、マニホールドを設計することができる。概して、マニホールドセクションで利用可能な最小寸法またはマニホールドの間隙は、接続チャネルの最小寸法に類似した寸法である。マイクロチャネル構造の利点は、寸法が小さいことであり、概して、駆動装置は、接続チャネル内の最小寸法をできるだけ小さく保つためのものである。
【0013】
チャネルの間隙が小さくなると、マニホールドセクション内の速度が速くなり、運動量効果、マニホールドの圧力降下、および流れの分配不良が大きくなる。分配不良および圧力降下を削減する一般的な手法では、マニホールド内の開口流れ領域を増加させるが、これは、幅を広くすることとなり、マニホールドセクションのサイズが大きくなる。この手法を商用のユニットに適用すると、接続マイクロチャネルセクションに比較して、マニホールドセクションが大きくなる結果となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、マイクロチャネル装置は、接続チャネルの少なくとも一部における分裂流による熱伝達および/または質量移動のために、接続チャネルおよびマニホールドの両方を制御するように設計される。
【0015】
第1の側面では、本発明は、統合型マイクロチャネル装置の単位操作を実行する方法であって、流体を装置内に通すステップであって、装置は、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、マニホールドの容量は、複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、またはマニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在するステップと、流体が、接続マイクロチャネルの少なくとも一部を通じて分裂流となるように、条件を制御するステップと、接続マイクロチャネル内の流体に単位操作を実行するステップとを含む方法を提供する。分裂流は、接続チャネルのうちの1つ以上の長さの少なくとも一部で生じ、この部分は、接続チャネルの長さの少なくとも5%を含むことが好ましく、少なくとも20%を含むことがより好ましく、少なくとも50%を含むことがさらに好ましく、いくつかの実施形態では、接続チャネルの長さの少なくとも90%を含む。複数の接続チャネルは、少なくとも10の接続チャネルを備えることが好ましく、少なくとも20を備えることがより好ましく、いくつかの実施形態では、少なくとも100の接続チャネルを備え、各接続チャネルは、その長さの少なくとも5%(少なくとも20%、少なくとも50%、または少なくとも90%)で生じる分裂流を有する(および、いくつかの実施形態では、複数の接続チャネルの長さの全てにおいて分裂流が存在する)。
【0016】
いくつかの実施形態では、マニホールドは、ヘッダであり、ヘッダは流入口を有し、流体は、2200(または少なくとも2000、あるいは少なくとも2200)を超えるレイノルズ数でヘッダ流入口を通過する。いくつかの実施形態では、接続チャネルを通じた流れは、少なくとも2200のレイノルズ数を有する。いくつかの実施形態では、本発明の統合型マイクロチャネル装置(および/または方法)は、0.01MWを超える熱負荷を有する。いくつかの実施形態では、マニホールドを通じた圧力降下は、複数の接続チャネルを通じた平均圧力降下以下である。いくつかの実施形態では、マニホールドはヘッダであり、マニホールドの圧力降下、すなわち、ヘッダ流入口と、最も低い圧力を有する接続チャネル流入口(ヘッダ流出口に相当する)との間の圧力降下は、(平均圧力降下として測定された)複数の接続チャネルを通じた圧力降下の50%未満(または25%未満)である。いくつかの実施形態では、マニホールド容量は、複数の接続チャネルの容量の50%未満(または25%未満)である。いくつかの実施形態では、統合型マイクロチャネル装置は、0.1MWを超える、好ましくは少なくとも1MWの熱負荷を有する。好適な実施形態では、マニホールドと接続チャネルとの間には、流れを制御するオリフィスが存在しない。オリフィスの断面積は、接続チャネルの平均断面積の20%未満、好ましくは10%未満である。
【0017】
いくつかの実施形態では、マニホールドは、少なくとも2つのセクションを含む。いくつかの実施形態では、マニホールドは、開口マニホールドである第1のセクションと、サブマニホールド、ゲート、または格子を含む第2のセクションとを含む。
【0018】
いくつかの好適な実施形態では、複数の接続チャネルを通じた流れは、遷移流または乱流である。いくつかの好適な実施形態では、複数の接続チャネルは、滑らかな壁を有し、表面特徴または他の障害物を持たないことが好ましく、また、いくつかの実施形態では、触媒を含まない。いくつかの好適な実施形態では、マニホールドは、マニホールド流入口を備え、マニホールド流入口および複数の接続チャネルを通る流路を備え、流路は、いかなるオリフィス、ゲート、格子、または整流器も含まない。
【0019】
本発明の実施形態のうちのいずれも、より具体的には、一組の構成要素またはステップのみから実質的に成るか、またはこれらのみから成る。例えば、好適な一実施形態では、本発明は、マニホールド流入口と、マニホールド流入口および複数の接続チャネルを通る流路とを備え、流路は、マニホールド、サブマニホールド、および接続チャネルのみから実質的に成る。
【0020】
いくつかの好適な実施形態では、マニホールドに接続された少なくとも200の接続マイクロチャネルが存在する。いくつかの好適な実施形態では、接続マイクロチャネルは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法(一般的に層状のデバイス内の間隙)を有し、いくつかの実施形態では0.7〜1.2mmの範囲の最小寸法を有する。いくつかの好適な実施形態では、マニホールドは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法を有し、一般的に、これは層状のデバイス内の1つの層の厚さの範囲内である。
【0021】
いくつかの好適な実施形態では、複数の接続マイクロチャネルは、固体触媒を備える。
いくつかの実施形態では、接続チャネルの少なくとも90%に乱流が存在し、いくつかの実施形態では、複数の接続チャネルのうちの全てに乱流が存在する。
関連する側面では、デバイスは、第1のマニホールドと、第2のマニホールドの、少なくとも2つのマニホールドを備え、第1のマニホールドは、第1の組の複数の接続マイクロチャネルに接続され、第2のマニホールドは、第2の組の複数の接続マイクロチャネルに接続される。この方法では、第1の流体は、第1のマニホールドを通じて、(少なくとも部分的に、好ましくは実質的に)第1の組の接続マイクロチャネルを通じて分裂流で流れることができ、第2の流体は、第2のマニホールドを通じて流れ、(少なくとも部分的に、好ましくは実質的に)第2の組の接続マイクロチャネルを通じて非分裂流で流れる。第1および第2の流体は、同じ種類、または異なる種類とすることができる。この場合、第1の側面とは異なり、マニホールドは、好適な実施形態では、15cmを超える長さ、および/または少なくとも100の接続チャネルを有するが、あらゆる長さのものとし、いかなる数の接続チャネルをも有することができる。
【0022】
別の側面では、本発明は、統合型マイクロチャネル装置の単位操作を実行する方法であって、流体を装置内に通すステップであって、
装置は、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、
マニホールドの容量は、複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
流体が、複数の接続マイクロチャネルのうちの少なくともいくつかをを通じて(少なくとも部分的に、好ましくは実質的に)分裂流となるように条件を制御し、流体が、複数の接続マイクロチャネルのうちのすくなくとも他のいくつかを通じて(少なくとも部分的に、好ましくは実質的に)非分裂流となるように条件を制御するステップと、接続マイクロチャネルの流体に単位操作を(分裂流および非分裂流の両方で)実行するステップとを含む方法を提供する。例えば、マニホールドは、接続チャネルのうちのいくつかの表面特徴または障害物、および接続チャネルのうちの他のいくつかの滑らかな壁を使用するなどによって、6つ以上の分裂流および4つ以上の非分裂流の接続チャネルを備えた、少なくとも10の接続チャネルを有することができる。
【0023】
別の側面では、本発明は、マイクロチャネル装置であって、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、マニホールドの容量は、複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、またはマニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在する装置を提供する。好適な一実施形態では、装置は、少なくとも10層の反応マイクロチャネルと相互接続した、少なくとも10層の熱交換マイクロチャネルアレイを備える。いくつかの実施形態では、反応マイクロチャネルは、触媒壁コーティングを含む。好適な実施形態では、熱交換マイクロチャネルアレイの各層は、マニホールドと、マニホールドに接続された熱交換接続マイクロチャネルアレイとを備える。各層の前記マニホールドは、実質的にその層のみに限定され、熱交換マイクロチャネルアレイ、および/または反応マイクロチャネルアレイの複数の層を越えて延在しないことが好ましい。いくつかの実施形態では、マニホールドは、複数の層内の熱交換接続マイクロチャネルの複数のアレイが前記マニホールドに接続するように、熱交換マイクロチャネルアレイの複数の層を越えて延在する。
【0024】
別の側面では、本発明は、デバイスおよび流体で構成されたマイクロチャネルシステムであって、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドであって、マニホールドの容量は、複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、またはマニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在するマニホールドとを備え、また、システムは、長さの少なくとも一部で分裂流で接続マイクロチャネルを通過する流体も備える。本システムは、発明的方法のうちのいずれかに対して、本願明細書に記載された特徴のうちのいずれもを有することができる。
【0025】
種々の実施形態において、本発明は、より高い熱流またはより高い物質移動を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
用語解説:
マニホールド化に関連する構造的特徴は、米国特許出願第20050087767号(2003年10月27日出願)、および米国特許第11/400,056号(2006年4月11日出願)に定義される。表面特徴および一般的なデバイス構造は、米国特許出願第11/388,792号(2006年3月23日出願)に定義される。これらの特許出願の全ては、あたかも完全に下記に複写されたかのように、参照することにより本願明細書に組み込まれる。本願明細書に記載された定義が、上述した特許出願の定義と矛盾する場合は、本願明細書に記載された定義が優先する。
【0027】
標準的な特許用語として、「備える」は、「含む」を意味し、これらの用語のどちらも追加的、または複数の構成要素の存在を除外しない。例えば、デバイスが、薄層、薄板等を備える場合は、発明的デバイスが複数の薄層、薄板等を含む場合もあると理解されたい。別の実施形態では、「備える」という用語は、より制限的な句「実質的に〜から成る」または「〜から成る」と置き換えることができる。
【0028】
チャネルは、連続する、または間隙を含むことができるチャネル壁によって画定される。モノリスフォーム(foam)またはフェルトを通じた相互接続経路は、(フォーム等は、チャネル内に配置される場合があるが)接続チャネルではない。
「接続チャネル」は、マニホールドに接続されたチャネルである。一般的に、単位操作は、接続チャネル内で生じる。接続チャネルは、入口断面と、出口断面とを有する。単位操作のいくつか、または単位操作の一部は、マニホールド内で生じる場合があるが、好適な実施形態では、単位操作の70%超(いくつかの実施形態では、少なくとも95%)が、接続チャネル内で生じる。「接続チャネルマトリクス」は、一群の隣接する、略並列の接続チャネルである。好適な実施形態では、接続チャネル壁は、まっすぐである。接続チャネルの圧力降下は、接続チャネルの入口断面の中心と、出口断面の中心との間の静的圧力差であり、全ての接続チャネルにわたって平均化される。いくつかの好適な実施形態では、接続チャネルは、実質的に方向または幅が変動しない、まっすぐなものである。複数の接続チャネルのシステムの接続チャネルの圧力降下は、個々の接続チャネル圧力降下の算術平均である。すなわち、各チャネルを通じた圧力降下の合計をチャネルの数で割ったものである。「接続マイクロチャネル」は、2mm以下、好ましくは0.5〜1.5mm、より好ましくは0.7〜1.2mmの最小寸法と、少なくとも1cmの長さとを有する。
【0029】
「分裂流」は、滑らかなマイクロチャネル内の遷移流または乱流を意味し、また、表面特徴を有するマイクロチャネルを通じた流れも含む。分裂流は、接続チャネルの長さの少なくとも一部で生じ、接続チャネルの長さの少なくとも5%で生じることが好ましく、少なくとも20%で生じることがより好ましく、少なくとも50%で生じることがより好ましく、いくつかの実施形態では、接続チャネルの長さの少なくとも90%で生じる。表面特徴は、米国特許第11/388,792号に開示されており、一般的にV形、またはチャネル壁内へくぼんだ他の形状を含み、高レイノルズ数の乱流または遷移流を生じることなく良好な混合が生じるように、流体の混合を補助する。表面特徴は、2200を超えるレイノルズ数に、または、遷移流または乱流に使用することもできる。分裂流は、流体運動を典型的な層状流またはまっすぐな流れのプロファイルから外れさせる、主チャネル内の障害物、凸部、または凹部によって形成することもできる。分裂流は、流れの主方向に対する、流れの回転、二次渦、または他の傾斜または直交する流れのベクトルを形成する、接続チャネル内の三次元的な蛇行流路によって形成することもできる。流れの偏向、またはまっすぐでない流路は、壁への熱伝達、壁への物質移動、または壁での、または液相内での均一的な化学反応を高めるのに特に有利である。
【0030】
「実質的に接続チャネルを通じた分裂流」は、単位操作が生じるマイクロチャネルの領域内の長さに対して、流れが実質的に分裂することを意味する(単位操作が生じるマイクロチャネルの領域内の長さの少なくとも90%が好ましい)。分裂流は、単に、出口効果または入口効果(すなわち、速度分布が変化し、流体力学的境界層が生じる長さ)によって生じるわけではない。
【0031】
「ゲート」は、マニホールドと2つ以上の接続チャネルとの間の相互接続部を備える。ゲートは、ゼロでない容量を有する。ゲートは、接続チャネルへの入口の断面積を変化させることによって、複数の接続チャネルへの流れを制御する。ゲートは、ゲートを通じて流れる流体がゲートを通過するときに、マニホールド内の流れの方向、および接続チャネル内の流れの方向の両方の正の運動量を有するという点で、単純なオリフィスとは異なる。対照的に、オリフィスを通じた流れの正の運動量ベクトルの75%超は、オリフィスの軸の方向にある。ゲートを通じた流れの断面積の典型的な比率は、ゲートによって制御された接続チャネル間の壁の断面積を含む、ゲートによって制御された接続チャネルの断面積の2〜98%(いくつかの実施形態では、5%〜52%)の範囲である。2つ以上のゲートを使用することによって、マニホールドの曲がり損失を調整する手段として、マニホールドインターフェースの断面積を使用することができ、ゲート間の流量を等しくすることができる。これらのゲートの曲がり損失を用いて、どちらもマニホールドの圧力プロファイルに対して効果を有する、摩擦圧力損失および運動量の補正によって生じるマニホールド圧力プロファイルの変化の補正を行うことができる。断面積の最大変動を最小面積で割ったものは、Ra数で与えられ、8未満が好ましく、6未満がより好ましく、さらに、より好適な実施形態では4未満である。
【0032】
「格子」は、マニホールドと単一のチャネルとの間の接続部である。格子は、ゼロでなない接続容量を有する。シム構造では、第1のシム内のクロスバーが、隣接する第2シム内のクロスバーと整列せず、流れが、第1のシム内のクロスバーの上および第2のシム内のクロスバーの下を通過するときに格子が形成される。
「熱負荷」は、デバイス内で伝達される、ワットで測定される総熱量で定義され、選択的に10kWを超え、統合型マイクロチャネルユニット装置では、10kW〜100MWの範囲が好ましい。
【0033】
「ヘッダ」は、接続チャネルに流体を送達するように配列されたマニホールドである。
「高さ」は、長さに垂直な方向である。層状のデバイスでは、高さは、積層方向である。
チャネルの「水力直径」は、チャネルの断面積を4倍して、流体に接する周辺部の長さで割ったものとして定義される。
「L形マニホールド」は、1つのマニホールドへの流れ方向が、接続チャネルの軸に垂直であり、一方で、対抗するマニホールド内の流れ方向が、接続チャネルの軸と平行である、マニホールド設計を表す。例えば、ヘッダL形マニホールドは、接続チャネルの軸に垂直なマニホールドの流れを有し、一方で、フッタマニホールドの流れは、デバイスから外への接続チャネルの軸の方向へ移動する。流れは、接続チャネルを通じて、デバイスから外へ、マニホールド流入口から「L形」の転向を生じる。2つのL形マニホールドをまとめて接続チャネルマトリクスとして機能させて、ヘッダが、マニホールドの両端に流入口を有するか、またはフッタがマニホールドの両端からの流出口を有するとき、このマニホールドは、「T形」マニホールドと呼ばれる。
【0034】
「層状のデバイス」は、デバイスを通じて流れるプロセスストリームに単位操作を実行することができる、薄層で作製されたデバイスである。
「長さ」は、チャネルの(またはマニホールドの)軸の方向、流れの方向の距離のことである。
「M2Mマニホールド」は、マクロ−ミクロマニホールド、すなわち、1つ以上の接続マイクロチャネルへ/からの流れを分配する、マイクロチャネルマニホールドである。M2Mマニホールドは、次に、マクロマニホールドとしても知られている別のより大きな断面積の送達源へ/から流れを取り込む。マクロマニホールドは、例えば、パイプ、ダクトまたは開口貯蔵容器とすることができる。
【0035】
「マニホールド」は、流れを2つ以上の接続チャネルに分配する容量である。ヘッダマニホールドの入口、すなわち流入口表面は、ヘッダマニホールドジオメトリにおいて、上流側のチャネルとは大きく異なる表面として定義される。フッタマニホールドの出口、すなわち流出口表面は、フッタマニホールドチャネルにおいて、下流側のチャネルとは大きく異なる表面として定義される。矩形チャネルおよび大部分の他の典型的なマニホールドジオメトリの場合、表面は平面である。しかし、マニホールドと接続チャネルとの間の相互接続部における半円のような、いくつかの特殊な場合では、湾曲した表面となる。マニホールドの大きな差は、流れ方向および/または物質移動流速度の大きな差を伴う。サブマニホールド化によって、流れ方向および/または物質移動流速度に大きな差を生じない場合、マニホールドはサブマニホールドを含む。マイクロチャネルヘッダのマニホールドの入口面は、平面であり、そこでマイクロチャネルヘッダは、フランジ溶接または他の接続方法を通じて、マイクロチャネルデバイスに取り付けられた、パイプまたはダクトのような、より大きな送達ヘッダマニホールドをと相互接続する。ほとんどの場合、当該技術の当業者には、一群の接続チャネルとして機能するマニホールドの境界が容易に認識されよう。
【0036】
マニホールドは、L、UまたはZ形とすることができる。「U形マニホールド」では、ヘッダおよびフッタ内の流体は、接続チャネルの軸に対する角度はゼロではないが、反対方向に流れる。
ヘッダの場合、「マニホールドの圧力降下」は、ヘッダマニホールドの流入口面の領域平均の中心圧力の算術平均(ヘッダ流入口が1つだけしかない場合は、流入口面も1つだけである)と、各々の接続チャネルの流入口面の中心圧力の算術平均との間の、静的圧力差である。ヘッダマニホールドの圧力降下は、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を含む、ヘッダマニホールドの流入口面に基づいており、それらのヘッダマニホールドの流入口面を通じた流れが、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を占める必要がない場合は、最も低い流れを有するヘッダマニホールドの流入口面は、算術平均には考慮されない。ヘッダ(またはフッタ)マニホールドの圧力降下はまた、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を含む、接続チャネルの入口(または出口)面の中心圧力だけに基づいており、それらの接続チャネルを通じた流れが、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を占める必要がない場合は、最も低い流れを有する接続チャネルの入口(または出口)面は、算術平均には考慮されない。フッタの場合、マニホールドの圧力降下は、それぞれの接続チャネルの出口面の中心圧力の算術平均と、フッタマニホールドの流出口面の領域平均の中心圧力の算術平均(ヘッダ流出口が1つだけしかない場合は、流出口面も1つだけである)との間の、静的圧力差である。フッタマニホールドの圧力降下は、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を含む、フッタマニホールドの出口面に基づいており、それらの出口面を通じた流れが、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を占める必要がない場合は、最も低い流れを有するフッタマニホールドの流出口面は、算術平均には考慮されない。マニホールドが2つ以上のサブマニホールドを備えている場合、マニホールドの圧力降下は、サブマニホールドの値の数平均に基づく。
【0037】
「マイクロチャネル」は、10mm以下(好ましくは2.0mm以下)かつ1μm(好ましくは10μmを超える)、いくつかの実施形態では50〜500μmの、少なくとも1つの内部寸法(壁から壁まで、触媒含まず)を有するチャネルである。マイクロチャネルはまた、少なくとも1つの流出口とは異なる、少なくとも1つの流入口の存在によっても画定される。マイクロチャネルは、単にゼオライトまたはメソ多孔性材料を通じたチャネルではない。マイクロチャネルの長さは、マイクロチャネルを通じた流れの方向に相当する。マイクロチャネルの高さおよび幅は、チャネルを通じた流れの方向に対して略垂直である。マイクロチャネルが2つの主要面(例えば、積層および接着した薄板によって形成された表面)を有する、層状のデバイスの場合、高さは、主要面から主要面までの距離であり、幅は、高さに対して垂直である。
【0038】
レイノルズ数の値は、ストリームの流れ領域を表す。レイノルズ数への領域の依存性は、チャネルの断面形状およびサイズの関数であり、チャネルには一般的に以下の範囲が用いられる。
層流:Re<2000〜2200
遷移流:2000−2200<Re<4000〜5000
乱流:Re>4000〜5000
【0039】
「サブチャネル」は、より大きなチャネル内にあるチャネルである。チャネルおよびサブチャネルは、チャネル壁によってそれらの長さに沿って画定される。
「サブマニホールド」は、少なくとも1つの他のサブマニホールドと連動して作動して、面内に1つの大きなマニホールドを形成する、マニホールドである。サブマニホールドは、連続壁によって互いに分離される。
【0040】
「表面特徴」は、マイクロチャネル内の流れを変更する、マクロチャネルからの突起、またはこれへの凹部である。特徴の上部の面積が、特徴の基部における面積と同じか、またはこれを超えている場合、その特徴は凹状であるとみなすことができる。特徴の基部の面積が、特徴の上部における面積を超えている場合、その特徴は凸状であるとみなすことができる(後述するCRFを除く)。表面特徴は、非円形の表面特徴に対して深さ、幅、および長さを有する。表面特徴には、主チャネルの壁内へくぼんだ、円形、長方形、正方形、チェック、V形、ジグザグ等が挙げられる。特徴は、表面積を増加させ、拡散ではなく移流によって流体をマイクロチャネルへ導く、対流を形成する。流れのパターンは、流れのパターンを渦巻き、回転、転倒させて、他の規則的、変則的、および/または無秩序なパターンを有することができるが、無秩序とする必要はなく、場合によっては極めて規則的に現れる場合がある。流れのパターンは、二次的な一過性の回転運動を受ける場合もあるが、経時的に安定している。
【0041】
表面特徴は、斜角(表面を通過する正味の流れの方向に対して、平行でも垂直でもない)であることが好ましい。表面特徴は、流れの方向に対して直交する、すなわち90°の角度とすることができるが、傾斜させることが好ましい。能動的な表面特徴は、少なくとも1つの軸の位置において、マイクロチャネルの幅に沿って、2つ以上の角度によって画定されることがさらに好ましい。表面特徴の2つ以上の側部は、物理的に接続または分離することができる。マイクロチャネルの幅に沿った1つ以上の角度は、まっすぐな層状のストリームラインから、流体を選択的に出し入れする。表面特徴の深さの範囲は、2mm未満が好ましく、1mm未満がより好ましく、いくつかの実施形態では、0.01mm〜0.5mmである。表面特徴の横幅の好適な範囲は、(ヘリボーン設計に見られるような)マイクロチャネルの幅をほぼ占めるのに十分であるが、(充填特徴のような)いくつかの実施形態では、マイクロチャネルの幅の60%以下を占め、いくつかの実施形態では40%以下であり、いくつかの実施形態では、約10%〜約50%である。好適な実施形態では、表面特徴のパターンの少なくとも1つの角度は、マイクロチャネルの幅に対して、10°、好ましくは30°、またはそれ以上の角度で配向される(90°は、長さ方向に平行であり、0°は幅方向に平行である)。横幅は、マイクロチャネルの幅と同じ方向に測定される。表面特徴の横方向の幅は、0.05mm〜100cmが好ましく、いくつかの実施形態では、0.5mm〜5cmの範囲であり、いくつかの実施形態では、1〜2cmである。
【0042】
「単位操作」は、化学反応、蒸発、圧縮、化学分離、蒸留、凝結、混合、加熱、または冷却を意味する。移送は単位操作とともにしばしば生じるが、「単位操作」は、単に流体の移送だけを意味するものではない。いくつかの好適な実施形態では、単位操作は、単に混合だけではない。
接続チャネルまたはマニホールドの容量は、空間に基づいている。容量は、表面特徴の凹部を含む。ゲートの容量または格子特徴(組み込まれた公開特許出願に開示されているような、流れ分配の均一化を助力する)は、マニホールドの容量に含まれる。これは、マニホールドと接続チャネルとの間の境界線が、方向の大きな変化によって示されるという規則に対する例外である。チャネル壁は、容量の算出には含まれない。同様に、オリフィスの容量(一般的に、ごくわずかである)および整流器(存在する場合)は、マニホールドの容量に含まれる。
【0043】
「Z形マニホールド」では、ヘッダおよびフッタ内の流体は、接続チャネルの軸に対する角度はゼロではないが、同じ方向に流れる。マニホールドシステムに入る流体は、それが入ったデバイスの反対側から出る。流れは、基本的に、流入口から流出口への「Z」方向を形成する。
【0044】
発明を実施するための最良の形態:
マイクロチャネル装置
マイクロチャネル反応器は、2mm以下(いくつかの実施形態では約1.0mm以下)かつ1μmを超える、いくつかの実施形態では50〜500μmの、少なくとも1つの寸法(壁から壁まで、触媒含まず)を有する少なくとも1つの反応チャネルが存在することを特徴とする。触媒反応チャネルは、触媒を収容するチャネルであり、触媒は、不均一または均一触媒とすることができる。均一触媒は、反応物質とともに流すことができる。マイクロチャネル装置は、触媒を収容した反応チャネルが不要であることを除き、同じように特徴付けられる。マイクロチャネルの間隙(または高さ)は、約2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。反応チャネルの長さは、一般的により長い。長さは、1cmを超えることが好ましく、いくつかの実施形態では50cmを超え、いくつかの実施形態では20cmを超え、いくつかの実施形態では1〜100cmの範囲である。
【0045】
マイクロチャネルの側部は、反応チャネル壁によって画定される。これらの壁は、セラミック、鋼のような合金ベースの鉄、モネルのようなNiベース、Coベース、またはFeベースの超合金のような硬質材料で作製されることが好ましい。また、プラスチック、ガラス、または銅、アルミニウム等のような他の金属で作製することもできる。反応チャネルの壁の材料の選択は、反応器が目的とする反応に依存する。いくつかの実施形態では、反応チャンバ壁は、耐久性があり、かつ良好な熱伝導率を有するステンレス鋼またはインコネル(商標)で構成される。合金は、低硫黄でなければならず、いくつかの実施形態では、アルミナイドの形成前に、脱硫処理を受ける。一般的に、反応チャネル壁は、一次構造支持体をマイクロチャネル装置に提供する材料で形成される。マイクロチャネル装置は、既知の方法によって作製することができ、いくつかの好適な実施形態では、交互配置したプレート(「シム」としても知られる)を積層することによって作製され、反応チャネル用に設計されたシムが、熱交換用に設計されたシムと交互配置されることが好ましい。いくつかのマイクロチャネル装置は、デバイス内に少なくとも10層が積層され、これらの層のそれぞれが少なくとも10のチャネルを含む。デバイスは、チャネルがより少ない他の層を収容することができる。
【0046】
マイクロチャネル装置(例、マイクロチャネル反応器)は、マイクロチャネル(例、複数のマイクロチャネル反応チャネル)と、複数の隣接する熱交換マイクロチャネルとを含むことが好ましい。複数のマイクロチャネルは、例えば、並行して作動することができる2、10、100、1000、またはそれ以上のチャネルを収容することができる。好適な実施形態では、マイクロチャネルは、平坦なマイクロチャネルの並列アレイ、例えば平坦なマイクロチャネルの少なくとも3つのアレイに配列される。いくつかの好適な実施形態では、複数のマイクロチャネルの流入口が、共通のヘッダに接続され、および/または複数のマイクロチャネルの流出口が、共通のフッタに接続される。動作中、熱交換マイクロチャネル(存在する場合)は、流動加熱流体および/または冷却流体を収容する。本発明に使用可能なこの種の既知の反応器の非限定的な実施例には、米国特許第6,200,536号および第6,219,973号(どちらも参照することにより組み込まれる)に例示された、マイクロコンポーネントの薄板構造の類(例、マイクロチャネルとの積層体)が挙げられる。本発明の目的に対してこの種の反応器の構造を使用する性能優位性には、比較的大きな熱伝達および物質移動の速度、および、実質上いかなる爆発限界も存在しないことが挙げられる。圧力降下を低くすることができるので、高スループットが可能となり、触媒は、アクセスしやすい形態でチャネル内に固定して、分離する必要性を排除することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、反応マイクロチャネル(または複数のマイクロチャネル)は、バルク流路を収容する。「バルク流路」という用語は、反応チャンバ内の開口経路(連続的なバルク流領域)のことである。連続的なバルク流領域によって、圧力降下を大きくせずに、反応チャンバを通じた急速な流体の流れが可能となる。各反応チャネル内のバルク流領域は、5×10-8〜1×10-2m2の断面積であることが好ましく、5×10-7〜1×10-4m2であることがより好ましい。バルク流領域は、1)マイクロチャネルの内部容積、または2)マイクロチャネルの断面のいずれかの、少なくとも5%で構成されることが好ましく、少なくとも50%であることがより好ましく、いくつかの実施形態では30〜99%である。
【0048】
多数の好適な実施形態では、マイクロチャネル装置は、好ましくは少なくとも5つの群の、より好ましくは少なくとも10の群の複数のマイクロチャネルの並列チャネルを含み、該チャネルは、デバイス(後に取り付けられた管ではない)に統合された、共通マニホールドに接続され、共通マニホールドは、マニホールドに接続されたチャネルを通じた流れを均一にする傾向のある、1つまたは複数の特徴を含む。このようなマニホールドの実施例は、米国特許出願第10/695,400号(2003年10月27日出願)に開示されており、本願明細書に組み込まれる。この文脈では、「並列」は、必ずしもまっすぐであることを意味するわけではなく、むしろ、チャネルは互いに合致する。いくつかの好適な実施形態では、マイクロチャネルデバイスは、少なくとも3つの群の並列マイクロチャネルを含み、各群内の該チャネルは、共通マニホールドに接続され(例えば、4つの群のマイクロチャネル、および4つのマニホールド)、好ましくは、各共通マニホールドは、マニホールドに接続されたチャネルを通じた流れを均一にする傾向のある、1つまたは複数の特徴を含む。
【0049】
複数のマニホールドを備えたデバイスにおいて、本発明は、接続チャネルに対する1つのマニホールドの体積比を特徴とするか、または複数のマニホールドおよびそれらの接続マイクロチャネルの容量合計を特徴とすることができる。しかし、接続チャネルがヘッダおよびフッタに接続された場合は、ヘッダおよびフッタの両方をマニホールド容量の算出に含めなければならない。サブマニホールドの容量は、マニホールドの容量に含まれる。
【0050】
熱交換流体は、プロセスチャネル(例、反応マイクロチャネル)に隣接する熱伝達マイクロチャネルを通じて流すことができ、また、ガスまたは液体とすることができ、蒸気、油、または他の既知の熱交換流体を含むことができる。システムは、熱交換器内に相変化を有するように最適化することができる。いくつかの好適な実施形態では、複数の熱交換層は、複数の反応マイクロチャネルと交互配置される。例えば、少なくとも10の熱交換器が、少なくとも10の反応マイクロチャネルと交互配置され、少なくとも10層の反応マイクロチャネルと相互接続した10層の熱交換マイクロチャネルアレイが存在することが好ましい。これらの層のそれぞれは、単純でまっすぐなチャネルを含むか、または層内のチャネルがより複雑なジオメトリを有することができる。好適な実施形態では、1つまたは複数の熱交換チャネルの1つ以上の内壁は、表面特徴を有する。
【0051】
商用スケールのマイクロチャネルデバイスを構築するための一般的な方法では、エッチング、スタンピング等のような異なる方法によって、シム内にマイクロチャネルを形成する。これらの手法は、従来技術において既知である。例えば、シムは、化学結合、ブレージング等のような異なる方法によって、互いに積層して接合することができる。接合の後、デバイスには機械加工が必要になる場合もあり、必要でない場合もある。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明の装置(または方法)は、触媒材料を含む。触媒は、バルク流路の少なくとも1つの壁の少なくとも一部を画定することができる。いくつかの好適な実施形態では、触媒の表面は、流体のストリームが通るバルク流路の少なくとも1つの壁を画定する。不均一触媒作用のプロセス中、反応組成物は、マイクロチャネルを通じて流れ、触媒を通過してこれと接触することができる。
【0053】
好適な実施形態では、各接続マイクロチャネルの幅は、その長さに沿って略一定であり、一組の接続チャネル内の各チャネルは、略一定の幅を有する。「略一定」は、いかなる幅の変動によっても、基本的に流れが影響を受けないことを意味する。これらの実施例の場合、マイクロチャネルの幅は、略一定に保持される。「略一定」は、加工ステップの許容範囲内で定義される。マイクロチャネルの幅は、一定に保持することが好ましいが、これは、マイクロチャネルの幅の両側に関連する支持リブを備えたマイクロチャネルの幅と、異なる温度および圧力で作動している場合のある隣接する薄層またはマイクロチャネルを分離する材料の厚さとの組み合わせ、および最終的に、選択した材料および対応する材料の強度が、デバイスの機械的一体性または許容可能な温度および動作圧力を定める、という点で、この幅がデバイスの機械的設計において重要なパラメータだからである。
【0054】
いくつかの好適な実施形態では、接続マイクロチャネルは、表面特徴を持たない。いくつかの実施形態では、マイクロチャネルデバイスは、接続チャネルへの流れを調整するゲート、格子、整流器、またはオリフィスを持たない。いくつかの好適な実施形態では、流れは、サブマニホールドを介して複数の接続チャネルに分配される。
【0055】
マイクロチャネル(表面特徴の有無に関わらず)は、触媒、または吸着剤のような他の材料でコーティングすることができる。触媒は、洗浄コーティングのような従来技術において既知である手法を使用して、マイクロチャネルの内部へ適用することができる。CVDまたは無電解めっきのような手法を利用することもできる。いくつかの実施形態では、含水塩類による含浸が好適である。いくつかの実施形態では、Pt、Rh、および/またはPdが好ましい。一般的に、この後には、従来技術において既知である熱処理および活性化ステップが行われる。他のコーティングには、ゾル、または触媒前駆体および/または担体を含むスラリーベースの溶液が挙げられる。コーティングには、無電解めっきまたは他の表面流体反応のような、壁に適用する反応法も挙げられる。
【0056】
積層したシム構造内にM2Mマニホールドを備えたマイクロチャネルデバイスの場合、M2Mマニホールドが、デバイスの容量全体を増加させるので、マニホールドの収容量を最大化するのに望ましい。本発明の好適な実施形態では、M2Mは、少なくとも0.1kg/m3/s、好ましくは1kg/m3/s以上、より好ましくは少なくとも10kg/m3/sを分配し、いくつかの好適な実施形態では、30〜5000kg/m3/s、いくつかの実施形態では、30〜1000kg/m3/sを分配する。
【0057】
本発明は、本願明細書に記載の装置内で化学反応および他の単位操作を実行するプロセスを含む。本発明は、記載された構造の、および/または本願明細書によって形成された、予接合したアセンブリおよび積層デバイスも含む。積層デバイスは、光学および電子顕微鏡検査、または他の既知の手法によって、非積層デバイスと区別することができる。本発明は、本願明細書に記載された装置内で化学プロセスを実行する方法も含み、該方法は、マニホールドを通じて流体を流すステップと、接続チャネル内で単位操作を実行するステップとを含む(マニホールドがヘッダである場合、流体は、接続チャネルに入る前にマニホールドを通過し、マニホールドがフッタである場合、流体は、接続チャネルを通過した後に流入する)。いくつかの好適な実施形態では、本発明は、熱交換器、攪拌器、化学分離器、接続チャネル内での固体形成プロセス、凝結および蒸発のような相変化の単位操作等を含む、非反応性の単位操作を含む。このようなプロセスは、概して化学プロセスと称され、その最も広義の意味(本明細書において)では熱交換を含むが、好適な実施形態では、単に熱交換だけでなく、熱交換および/または混合以外の単位操作も含む。
【0058】
本発明は、本発明の設計または方法のうちのいずれかにおいて、1つ以上の単位操作を実行するプロセスも含む。単位操作を実行するための好適な作動条件は、ルーチン実験を通じて特定することができる。本発明の反応には、アセチル化、付加反応、アルキル化、脱アルキル化、水添脱アルキル化、還元的アルキル化、アミノ化、アンモ酸化芳香族化、アリール化、自己熱改質、カルボニル化、脱カルボニル、還元的カルボニル化、カルボキシル化、還元的カルボキシル化、還元的カップリング、凝結、分解、水素化分解、環化、シクロオリゴマー化、脱ハロゲン化、脱水素化、オキシ脱水素化、二量体化、エポキシ化、エステル化、交換、Fischer−Tropsch、ハロゲン化、ハロゲン化水素添加、同族体化、水化、脱水、水素化、脱水素化、ハイドロカルボキシル化、ヒドロホルミル化、水素化分解、ハイドロメタル化、ヒドロシリル化、加水分解、水素化処理(水素化脱硫 HDS/HDNを含む)、異性化、メチル化、脱メチル化、メタセシス、ニトロ化、酸化、部分酸化、重合、還元、再形成、逆水性ガスシフト、Sabatier、スルホン化、テロメリゼーション、エステル交換反応、三量体形成、および水性ガスシフトが挙げられる。上述した反応のそれぞれに対して、当業者に既知の触媒および条件が存在する。また、本発明は、これらの触媒を用いた装置および方法を含む。例えば、本発明は、アミノ化触媒を通じたアミノ化の方法、およびアミノ化触媒を収容する装置を含む。したがって、本発明は、個々に(例、水素化分解)、または群で(例、それぞれ、ハロゲン化水素添加、ヒドロメタル化およびヒドロシリル化触媒による、ハロゲン化水素添加、ヒドロメタル化およびヒドロシリル化)、上述の反応のそれぞれに対して開示することができる。本発明の装置および触媒を用いた、各反応に対する好適なプロセス条件は、従来技術の知識、および/またはルーチン実験を通じて特定することができる。一例を挙げれば、本発明は、本願明細書に記載の設計特徴のうちの1つ以上を有するデバイス(具体的には、反応器)を使用した、Fischer−Tropsch反応を提供する。
【0059】
一組の接続チャネルを通じた圧力降下は、500psi未満であることが好ましく、50psi未満であることがより好ましく、いくつかの実施形態では、0.1〜20psiの範囲である。いくつかの実施形態では、マニホールドがヘッダであり、マニホールド内の圧力降下は、ヘッダの流入口と接続チャネルの流入口(ヘッダ流出口に相当)との間のpsiで測定したときに、複数の接続チャネルを通じた圧力降下(複数の接続チャネルにわたる平均圧力降下として測定される)未満である(より好ましくはその80%未満、より好ましくは半分(50%)未満であり、いくつかの実施形態では20%未満である)。
【0060】
いくつかの好適な実施形態では、マニホールド容量は、複数の接続チャネルの容量の80%未満または50%(半分)未満であり、いくつかの実施形態では40%以下、また、いくつかの実施形態では20%未満である。いくつかの実施形態では、マニホールド容量は、複数の接続チャネルの容量の10%〜80%である。積層デバイス内の全てのマニホールドの組み合わせ容量は、デバイス内の全ての接続チャネルの組み合わせ容量の50%以下であることが好ましく、いくつかの実施形態では40%以下であり、いくつかの実施形態では10%〜40%である。
【0061】
品質指数因子「Q1」は、マニホールドが、流れの分配においてどの程度効果的なのかを示す測度である。それは、接続チャネルの最高速度と最低速度との差を、最高速度で割った比率である。一定のチャネル寸法を有する接続チャネルのシステムの場合、しばしば、チャネルごとの質量流量を等しくするよう求められる。この場合の式を下記に示し、Q1で定義される。
【0062】
【数1】
【0063】
式中、
mmax[kg/秒]は、接続チャネルの最大質量流量であり、
mmin[kg/秒]は、接続チャネルの最少質量流量である。
接続チャネルの寸法が変動する場合、所望の単位操作の負荷が達成されるように、滞留時間、接触時間、速度、または質量流束速度は、チャネルからチャネルまでの変動が最小であることがしばしば望まれる。そのような場合は、品質指数因子Q2を定義する。
【0064】
【数2】
【0065】
式中、Gは、質量流束速度である。(本発明のいくつかの実施形態のように)全ての接続チャネルが同じ断面積である場合、Q2の式はQ1に簡約される。品質指数因子は、接続チャネルの流量の範囲を表し、0%で完全な分配となり、100%は、少なくとも1つのチャネルでの停滞(流れ無し)を示し、100%を越えた値は、少なくとも1つのチャネルでの逆流(所望の流れ方向の逆方向への流れ)を示す。Q1およびQ2は、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を含むチャネルに基づいて定義され、それらのチャネルを通じた流れが、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を占める必要が無い場合は、最も低い流れのチャネルは考慮しない。本発明の方法では、品質係数は、10%以下であることが好ましく、5%がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、いくつかの実施形態では、0.5%〜5%の範囲である。
【0066】
品質係数Q値は、メトリックとして使用して、接続チャネルを収容する装置を特徴付けることもできる。好適な実施形態では、本発明の装置は、10%以下、好ましくは5%以下、または2%以下の品質係数Q値(Q1)を特徴とすることができ、いくつかの実施形態では、0.5〜5%の範囲である。デバイスの品質係数Q値の特性を決定するために、20℃およびMo=0.5で、デバイスを通じて空気を流す。接続チャネルを通じた分配は、直接測定するか、または計算流体力学(CFD)モデリングによって測定することができる。
【0067】
部分エッチングまたは材料の積層体からの除去を使用して作製された熱交換器は、本出願に特に有利である。チャネル間隙は、0.5〜1.5mmの範囲であることが好ましく、したがって、製造中には、最小数の積層体が必要とされる。チャネルの深さは、流れチャネル間に介在する壁を残して、好ましくは、温度における差圧に対して壁を支持し、好ましくは高アスペクト比のマイクロチャネル(間隙に対する幅の比率が2を超える)を形成するリブを残して、積層体から除去される。いくつかの実施形態では、整流器および流れ変更子が、M2Mセクションに配置される。
【0068】
図1は、マニホールド、接続チャネル、およびシム上のそれらの間の接続部の一般的概念の概略図である。シムは、あらゆる材料(金属、ポリマー等)から、部分エッチングによって作製することができる。一実施形態では、シムは、片側だけしかエッチングされない。別の実施形態では、シムは、図2のセクションA−Aの断面図で示されるように、両側からエッチングされる。化学エッチング以外の方法でも、同様の特徴を形成することができると理解されたい。シムの両側がエッチングされたときの実施形態では、シムの片側のエッチングの深さは、反対側のエッチングの深さと異ならせるか、または同様にすることができる。
【0069】
流体は、複数の小さな断面の開口部である2を通じてシムに入る。流れは、次いで、流入口サブマニホールドと称される3に入る。流入口サブマニホールドは、リブ9を介して互いに分離される。
【0070】
いくつかの実施形態では、流入口サブマニホールドは、図1に示されるように、矩形断面である。別の実施形態では、流入口サブマニホールドは、図3に示されるように、徐変断面を有する。流入口サブマニホールドの断面の変化は、連続的(図3に示す)とするか、またはステップ型とすることができる。流入口サブマニホールドは、接続チャネルへ向かう長さ方向において、断面積を増減させることができる。一実施形態では、流入口サブマニホールドは、鋭利なコーナー部を有する。別の実施形態では、サブマニホールドは、図4に示されるように、丸みを帯びたコーナー部を有する。
シム内のサブマニホールドの所与の空間に関して、シム内の流入口サブマニホールドの数は、サブマニホールド間のリブを減らすことによって、増加させることができる。
【0071】
各流入口サブマニホールド内には、圧支特徴7を存在させることができるが、これは必要となる場合もあり、必要としない場合もある。圧支特徴は、あらゆる形状またはサイズとすることができるが、これらの特徴の高さは、エッチングの深さと同じである。これらの特徴は、流入口サブマニホールドセクション内のストリーム間の差圧を支持する。また、特徴は、障害物としての役割を果たし、圧力降下を高めることができる。圧支特徴の形状、サイズ、および数は、全体的な圧力降下要件および応力要件から決定すべきである。
【0072】
流入口サブマニホールドからの流れは、流入口整流器5が後に続く、流入口ゲート4に入ることができる。一実施形態では、1つの流入口サブマニホールドは、2つの流入口ゲートを有する。別の実施形態では、1つの流入口サブマニホールドは、接続チャネルの数6(図示せず)に等しい流入口ゲートの数を有する。流入口ゲートのサイズは、接続チャネル内に極めて均一な流れ分配を提供するように制御されることが好ましい。
【0073】
流入口の整流器は、接続チャネルに垂直な流れのあらゆる方向成分を除去する。したがって、必要となる場合や必要とならない場合がある。一実施形態では、流入口ゲートから接続チャネルへの流れの遷移は、図1に示されるように、流入口整流器を通じて階段状である。別の実施形態では、流入口ゲートから接続チャネルへの流れの遷移は、図5に示されるように、緩やかであり、サブマニホールドから接続チャネルへ向かって、断面積が増加することが好ましい。上述のように、ゲート容量は、マニホールド容量の一部とみなされる。流入口ゲートおよび流入口整流器のコーナー部は、鋭利とするか、または丸みを帯びさせることができる。
【0074】
流れは、次いで、接続マイクロチャネルに入る。接続チャネルの数は、サブマニホールドによって異なるか、またはシムの幅全体で同様とすることができる。接続チャネルは、プロセスチャネル内で流れを連通させないリブによって、互いに分離される。別の実施形態では、リブを不連続にして、並列マイクロチャネル間でいくらか流体連通させるようにすることができる。本実施形態では、流体連通は、流れの再分配、および品質指数の改善または低下を可能にする。次いで、流れは、出口整流器8、出口ゲート10、出口サブマニホールド11、および出口開口部12を通じてデバイスから出る。図示の実施形態では、出口整流器、出口ゲート、および出口サブマニホールドは、それぞれ流入口整流器、流入口ゲート、および流入口サブマニホールドと同じ特徴を有する。接続チャネルは、図6に示されるように、出口サブマニホールドに直接接続することができる。別の実施形態では、流入口サブマニホールドは、チャネルに直接接続され、一方で、出口整流器、出口ゲート、出口サブマニホールドは、デバイスの出口で使用される。
図7は、壁シムを示す図である。図8は、マニホールドおよび壁シムを積み重ねることによって、デバイススタックを作成する、アセンブリを示す図である。マニホールドシムおよび壁シムは、スタックにおいて同じように繰り返して、デバイススタックを形成する。一実施形態では、少なくとも1つのマニホールドシムは、スタック内の他のマニホールドシムとは異なる。別の実施形態では、全てのマニホールドシムは、他のマニホールドシムとは設計が異なる。
【0075】
一実施形態では、スタックアセンブリ内の壁シムは、マニホールドシムとともにスタッキングした後に、マニホールドシム内のサブマニホールドと、壁シムとが整列するように、マニホールドシムに類似したサブマニホールドを有する。このような壁シムの実施形態の一実施例を図9に示す。流れは、マニホールドシムのサブマニホールドセクションおよび壁シムに入り、次いで、マニホールドシム内へ分かれて、ゲートおよび接続チャネル内を流れる。出口サブマニホールドでは、2つのサブマニホールドシム内の流れが再結合してデバイスを出る。
【0076】
一実施形態では、ゲート、格子、ポスト、整流器等を含む、1つの流体ストリームの流れ分配特徴およびマニホールドは、マルチストリーム熱交換器内の少なくとも1つの第2のストリーム、または他の単位操作の流れ分配特徴およびマニホールドに対応しない、デバイスの長さに沿った位置に配置することができる。例えば、隣接する層内の流体流路は、層間に対応しない流れ分配特徴およびマニホールドを有することができる。
【0077】
いくつかの好適な実施形態では、3つ以上の流体ストリームを本発明のデバイス内で使用して、熱伝達、流体混合、反応、および/または分離を実行する。マイクロマニホールドセクションは、好ましくは、接続チャネルのチャネル間隙よりも大きいチャネル間隙(「間隙」は、積層方向内に測定される)を備えて作製できるように、類似した流体ストリームがプロセスチャネル内で互いに隣接することが好ましい場合がある。
【0078】
いくつかの好適な実施形態では、サブマニホールドの数は、層流が保持されるように、あらゆるサブマニホールド内の総流量を削減するように設定される。サブマニホールド内の層だけの流れでは、単位長さあたりの圧力降下は、遷移流または乱流よりも低くなる。
【0079】
化学反応、分離、または混合への分裂流の使用は、接続チャネルの長さの少なくとも5%である接続チャネルの一部において特に有利である。質量交換の単位操作(反応、分離、および/または混合)に適用するときに、分裂流を用いることによって、好ましくは0.5mm〜1.5mmの範囲のプロセスチャネルの間隙による性能を高めることができ、同時に、接続チャネルにおいて層流で動作する小型マイクロチャネルによる質量交換用途よりもコンパクトなM2Mを可能にする。不均一反応の一例として、反応物質を触媒に導く層流拡散に対して、反応物質を壁上の触媒に導く分裂流の使用は、物質移動の限界を克服する。触媒の実効性能は、層のみの流れの、2倍以上、5倍、10倍、100倍、または1000倍以上となり得る。触媒に対するより有効な物質移動性能によって、接続チャネルの容量をより小さくすることができ、一方で、M2M内のチャネル間隙を0.5〜1.5mmの好適な領域内に保持することも可能にし、したがって、M2Mの容量が最小限に抑えられる。化学的分離には、吸収、吸着、蒸留、膜等も挙げられる。化学的分離、混合または化学反応は、接続チャネルの少なくとも一部が分裂流である場合に、M2Mに接続チャネルの容量を加えた総容量の最小化に対して、特に最適化される。
【実施例】
【0080】
実施例―2つの熱交換器設計の算出比較:
一方は大型マイクロチャネルを備え、他方は小型マイクロチャネルを備えた、2つの熱交換器設計を比較した。熱交換器は、図10に示されるように、2ストリームの逆流熱交換器とした。表1(熱交換器の流入口条件および流出口要件)は、2つのストリームの流入口条件および流出口要件のリストである。
【0081】
【表1】
【0082】
ストリームAおよびストリームBの組成を、下記表2(ストリームAおよびストリームBのモル組成)に要約する。
【0083】
【表2】
【0084】
ストリームAおよびストリームBの熱物理特性(比熱、熱伝導率、粘度)は、ChemCAD V5.5xを使用して算出した。ストリームAおよびストリームBの密度は、理想気体法則で算出した。
【0085】
設計1:小型マイクロチャネル設計:
コアセクションの設計 コアセクションの繰り返しユニット内の2つのストリームの配置を下記に示す。
【0086】
単一の繰り返しユニットの寸法を図11に示す。流れ方向は、図の面に垂直である。接続チャネルの開口部は、ストリームAが0.05インチ×0.006インチであり、ストリームBが0.05インチ×0.005インチであった。壁の厚さは、繰り返しユニット内いずれの場所においても0.004インチであった。繰り返しユニットは、コアセクションを形成するように、流れに垂直な方向に展開する。
【0087】
熱伝達に必要な熱交換器コアの長さは、3.4インチであった。シムのスタック方向における繰り返しユニットの数は7358であり、シム内の繰り返しユニットの数は593であった。ストリームの予測流出口温度も図12に示す。高温ストリームの平均レイノルズ数は722であり、低温ストリームの平均レイノルズ数はほぼ762であった。ストリームAおよびストリームBの予測圧力降下を表3(設計1の予測圧力降下―コアセクション)に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
コアセクション内で移送された総熱量は、13.7MWであった。
【0090】
マイクロチャネル内の流れを分配するマニホールドセクションの設計:
マニホールドセクションの設計上の前提条件を下記に記載する。
1.マニホールドセクション内に熱伝達がない。
2.図13に示されるように、ストリームAはZ形マニホールド設計を有し、ストリームBはまっすぐ進む。したがって、内部マニホールドは、ストリームAに対してのみ設計した。
3.コアは、図14に示されるように、32.0インチの寸法(593の繰り返しユニット)に沿って4つのセクションに分割し、次いで、各セクションに内部マニホールドを設計する。
【0091】
図15に示されるように、マニホールドセクション内の流れに利用可能な間隙は、主チャネル間隙と同じである。図16は、デバイスの4つのコアセクションのうちの1つへの、流れの入口および出口のスケッチである。
流れは、サブマニホールドに入り、熱交換器のコアセクション内の接続チャネル内で流れを分配する。4つのコアセクションのうちの1つにおいて流れを分配するには、2つ以上のサブマニホールドが必要である。4つのコアセクションのうちの1つにおけるストリームAの均一な分配のための寸法要件を示す、マニホールド設計の状況を図17に示す。
【0092】
図17に示されるジオメトリは、シムにエッチングすることができ、単一のコアセクションのフットプリントとなる。周辺部においてシムに0.25インチ(約6.35mm)の金属の許容量が与えられた場合、端板の厚さに0.25インチが与えられた場合、マニホールドを備えた単一の熱交換器コアの全体的な寸法は、25.0インチ×8.5インチ×140.3インチとなる。熱交換器(4つのコア)の総容量は、119,260立方インチとなる。Aの接続チャネルの容量は、マニホールド容量を含む総容量のわずか14%であった。
【0093】
設計2:大型マイクロチャネル設計:
同じ設計方法を用いて、より大きなマイクロチャネルを備えた熱交換器を設計した。コアセクション内の反復ユニットを下記に示す。
【0094】
単一の繰り返しユニットの寸法を図18に示す。流れ方向は、図の面に垂直である。チャネルの寸法は、ストリームAが0.05インチ×0.03インチ、ストリームBが0.05インチ×0.03インチであった。壁の厚さは、繰り返しユニット内いずれの場所においても0.004インチであった。繰り返しユニットは、コアセクションを形成するように、流れに垂直な方向に展開する。
【0095】
推定されるコアの全体的なサイズを図19に示す。シムのスタック方向における繰り返しユニットの数は1013であり、シム内の繰り返しユニットの数は593であった。必要な熱交換器コアの長さは、25.8インチであった。ストリームの予測流出口温度も図19に示す。高温ストリームの平均レイノルズ数は3670であり、低温ストリームの平均レイノルズ数はほぼ3810であった。0.03インチのチャネルの間隙内の層流の熱伝達係数と比較して、0.03インチより大きなマイクロチャネルの間隙が許容されるように、マイクロチャネル内で低い乱流への遷移を用いることによって、より高い熱伝達係数が生じる。ストリームAおよびストリームBの予測圧力降下を表4(設計2の予測圧力降下―コアセクション)に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
コアセクション内で移送された総熱量は、13.7MWであった。
【0098】
4つのコアのうちの1つにおいてストリームAを分配する設計を図20に示す。
周辺部においてシムに0.25インチの金属リムが与えられた場合、マニホールドを備えた単一の熱交換器コアの全体的な寸法は、33.1インチ×8.5インチ×69.4インチとなる。熱交換器(4つのコア)の総容量は、78,100立方インチとなる。接続チャネルの容量は、マニホールド容量を含む総容量の79%であった。
【0099】
設計3:大型マイクロチャネル設計−2:
同じ設計方法を用いて、さらに大きなマイクロチャネルを備えた熱交換器を設計した。コアセクション内の反復ユニットを下記に示す。
【0100】
単一の繰り返しユニットの寸法を図21に示す。流れ方向は、図の面に垂直である。チャネルの寸法は、ストリームAが0.05インチ×0.05” インチ、ストリームBが0.05インチ×0.05インチであった。壁の厚さは、繰り返しユニット内いずれの場所においても0.004インチであった。繰り返しユニットは、コアセクションを形成するように、流れに垂直な方向に展開する。
【0101】
推定されるコアの全体的なサイズを図22に示す。シムのスタック方向における繰り返しユニットの数は641であり、シム内の繰り返しユニットの数は593であった。必要な熱交換器コアの長さは、36.2インチであった。ストリームの予測流出口温度も図21に示す。高温ストリームの平均レイノルズ数は4650であり、低温ストリームの平均レイノルズ数はほぼ4800であった。ストリームAおよびストリームBの予測圧力降下を表5(設計2の予測圧力降下―コアセクション)に示す。
【0102】
【表5】
【0103】
コアセクション内で移送された総熱量は、13.7MWであった。
【0104】
4つのコアのうちの1つにおいてストリームAを分配する設計を図23に示す。
周辺部においてシムに0.25インチの金属リムが与えられた場合、マニホールドを備えた単一の熱交換器コアの全体的な寸法は、44.3インチ×8.5インチ×69.8インチとなる。熱交換器(4つのコア)の総容量は、105,133立方インチとなる。接続チャネルの容量は、マニホールド容量を含む総容量の82%であった。
表6は、小型のマイクロチャネルおよび大型マイクロチャネルによる設計のサイズおよび性能を比較したものである。
【0105】
【表6】
【0106】
要約すれば、文献によって教示されているような小型チャネルの間隙は、必ずしも最良の設計をもたらすとは限らない。0.5mm〜1.5mmの範囲のマイクロチャネルは、良好な対流熱伝達特性を提供する遷移流または乱流領域を有するのに十分な大きさとすることができ、より大きな間隙は、比較的小容量での流れをマニホールド化させるのに十分な空間を提供する。上述の実施例に関して、チャネル間隙の関数としての総デバイス容量の変動を、図24に示す。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、マニホールド、接続チャネル、およびシム上のそれらの間の接続部を概略的に示す図である。
【図2】図2は、(a)シムの片側を部分エッチングするか、または(b)シムの両側を部分エッチングした、図1のA−A断面の断面図である。
【図3】図3は、徐変断面を有するサブマニホールドを示す図である。
【図4】図4は、サブマニホールドの丸みを帯びたコーナー部を示す図である。
【図5】図5は、ゲートから接続チャネルへの緩やかな遷移を示す図である。
【図6】図6は、出口サブマニホールドへの接続チャネルの別の接続を示す図である。
【図7】図7は、壁シムを示す図である。
【図8】図8は、デバイススタックを形成する、マニホールドおよび壁シムのアセンブリを示す図である。
【図9】図9は、サブマニホールドを備えた壁シムを示す図である。
【図10】図10は、熱交換器の設計要件を示す図である。
【図11】図11は、小型のマイクロチャネルのための単一の繰り返しユニットの寸法を示す図である。
【図12】図12は、小型のマイクロチャネルの設計1の中心的な寸法を示す図である。
【図13】図13は、実施例におけるストリームAおよびストリームBのマイクロチャネルユニット内の流れ方向を示す図である。
【図14】図14は、設計したコアをマニホールド化するために用いる方法の概略図である。
【図15】図15は、マニホールド設計の概略図である。
【図16】図16は、実施例における4つのコアセクションのうちの1つでの流出入の概略図である。
【図17】図17は、小型マイクロチャネルのための4つのコアセクションのうちの1つでの、ストリームAの分配のためのマニホールド設計を示す図である。
【図18】図18は、大型マイクロチャネルのための単一の繰り返しユニットの寸法を示す図である。
【図19】図19は、大型マイクロチャネルを備えた設計2のコア寸法を示す図である。
【図20】図20は、大型マイクロチャネルのための4つのコアセクションのうちの1つを流れるストリームを分配するためのマニホールド設計を示す図である。
【図21】図21は、実施例に由来する大型マイクロチャネルのための単一の繰り返しユニットの寸法を示す図である。
【図22】図22は、大型マイクロチャネルを備えた設計2コア寸法を示す図である。
【図23】図23は、4つのコアのうちの1つのストリームを分配するための設計を示す図である。
【図24】図24は、実施例から計算した、チャネル間隙の関数としての総デバイス容量のグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学プロセスを実行するためのマイクロチャネル装置、および分裂流によって単位操作を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロチャネル内で化学プロセスを実行することは、より良い熱および物質移動を実現する上で有利であることは既知である。多くの研究者が、寸法が小さくなるにつれて、マイクロチャネル内の物質移動が高められることを示している。Nishio(2003年)は、東京大学生産技術研究所での研究において、内径が0.1mmより大きいマイクロチャネル管に対する結果が、従来の分析と十分に一致したことを発表した。当該論文はまた、従来の相関を用いて管径の関数として熱伝達係数を示し、管径が小さくなると熱伝達係数が大きくなることを示している。したがって、従来技術では、管径が小さくなると熱伝達性能が向上することを教示している。
【0003】
Guoら(2003年)は、マイクロスケールでの単相流および熱伝達に対するサイズ効果に関する論文を発表した。研究の結論のうちの1つは、「測定誤差または入口効果による、摩擦係数の実験結果と、ヌッセルト数と、それらの標準値(従来の値)との間の相違は、マイクロスケールでの今までにない現象によって生じていると誤解される可能性がある」というものであった。彼はまた、チャネルの径が小さくなれば、体積に対する表面積の比が大きくなり、より高いヌッセルト数および摩擦係数を提供することを指摘した。
【0004】
マイクロチャネルは、従来、層流領域の操作のために設計されていることが一般に認められている。Panら(2007年)は、Chemical Engineering Journalに掲載された論文(オンラインで発表)で、「実際には、マイクロチャネル内の流速は、通常、10m/s未満であり、水力直径は500μmを超えることはないので、レイノルズ数は2000未満である」と述べた。また、0.05mmを超える臨界寸法を有するマイクロチャネルにおける、層から遷移流領域への流れ領域の遷移に対する臨界レイノルズ数は、従来の値(最大2000)に従うことが、複数の研究者(Hrnjak他(2006年))によって証明された。
【0005】
Vogelは、2006年に熱交換器の設計法を発表した。熱の増大は、高い熱伝達係数を提供する開発領域内に流れを保つことによって得られた。この方法は、より良好な熱伝達性能のために、L/D比率を100以下に保持することを教示している。しかし、この手法では、接続チャネル長が短くなるため、連結チャネルの圧力降下が小さくなる。スケールアップデバイスの場合、該手法は、多数のチャネルと、それに対応する大きなマニホールドを必要とする場合がある。
【0006】
Delsmanらは、2004年に、計算流体力学モデルを通して、マニホールドのジオメトリおよび総流量の流れ分配に対する影響を研究した。接続チャネルの(断面)寸法は、0.4mm×0.3mmに固定した。分析におけるチャネルの総数は19であった。分析では、マニホールドの形状を変更して、均一な流れ分配を得ることに焦点を絞った。分析は、マニホールドを通る速度が増加すると、分配不良が増加することを明らかに示した。接続チャネルの総数を多くして(≧100)、流量を増加した場合、この手法のスケールアップ設計に適用すると、マニホールドの容量が大きくなる。
【0007】
Tonomuraらは、2004年に、計算流体力学モデルを使用してマイクロデバイスの最適化を研究した。分析では、チャネル総数を5とした。この研究は、成形したマニホールドが、所与の接続チャネルの寸法に対しては流れ分配を改善するが、マニホールドおよび接続チャネルが、この用途に対しては一緒に設計されなかったことを示した。該研究における最適化は、デバイス全体ではなく、マニホールドの流れ領域を減少させることに基づいていた。この手法に関しては、スケールアップユニット(長いマニホールド長(≧15cm)、または多数の接続チャネルを有する)は、接続チャネルの設計が最適化に含まれないので、同様に、結局はマニホールドの寸法が大きくなる。
【0008】
Amadorらは、2004年に、電気抵抗ネットワーク手法を用いて、異なるマイクロ反応器のスケールアウトジオメトリにおける流れ分配を分析した。該論文は、連続した分岐マニホールド構造を分析するための連立方程式を提示した。提示された分析用の連立方程式は、層状領域にしか適用できない。該論文は、所要の寸法比を算出して、マニホールドおよび接続チャネルにおける層状領域に対する所与の流れ分配を達成する方法を提示した。
【0009】
Webbは、2003年に、並列マイクロチャネル内の流れ分配に対するマニホールド設計の影響を研究した。論文では、全ての接続チャネルの流れ領域の合計以上のマニホールドの流れ領域を設計して、均一な流れ分配を得る手法を示した。この手法をスケールアップしたマイクロチャネルユニット適用すると、接続チャネル数の増加につれて、マニホールドが大きくなる。
【0010】
Chongらは、2002年に、マイクロチャネルのヒートシンク設計を最適化するための、熱抵抗ネットワークを用いたモデリング手法を発表した。その結果は、層状領域内で作動するヒートシンク設計が、乱流領域におけるヒートシンク設計よりも優れていることを示した。該論文は、マニホールドサイズに関する設計の関わりについては述べていない。
【0011】
【非特許文献1】Panら、Chemical Engineering Journal、2007年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術では、接続マイクロチャネルの寸法は、熱伝達または物質移動の要件に基づいて設定することができる。例えば、熱交換器ユニットの設計の場合、接続チャネルの寸法は、全体的な熱伝達要件に基づいて決定することができる。概して、層流のための間隔が小さくなると、熱伝達率が良好になり、接続チャネルのサイズがより小さくなるが、熱伝達の最大化には、接続チャネルの最小寸法は、約2mm以下であり、0.25mm未満であることがより好ましい。その後、全体的な圧力降下の制約を満たしながら、複数のチャネル内に均一な流れ分配が得られるように、マニホールドを設計することができる。概して、マニホールドセクションで利用可能な最小寸法またはマニホールドの間隙は、接続チャネルの最小寸法に類似した寸法である。マイクロチャネル構造の利点は、寸法が小さいことであり、概して、駆動装置は、接続チャネル内の最小寸法をできるだけ小さく保つためのものである。
【0013】
チャネルの間隙が小さくなると、マニホールドセクション内の速度が速くなり、運動量効果、マニホールドの圧力降下、および流れの分配不良が大きくなる。分配不良および圧力降下を削減する一般的な手法では、マニホールド内の開口流れ領域を増加させるが、これは、幅を広くすることとなり、マニホールドセクションのサイズが大きくなる。この手法を商用のユニットに適用すると、接続マイクロチャネルセクションに比較して、マニホールドセクションが大きくなる結果となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、マイクロチャネル装置は、接続チャネルの少なくとも一部における分裂流による熱伝達および/または質量移動のために、接続チャネルおよびマニホールドの両方を制御するように設計される。
【0015】
第1の側面では、本発明は、統合型マイクロチャネル装置の単位操作を実行する方法であって、流体を装置内に通すステップであって、装置は、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、マニホールドの容量は、複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、またはマニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在するステップと、流体が、接続マイクロチャネルの少なくとも一部を通じて分裂流となるように、条件を制御するステップと、接続マイクロチャネル内の流体に単位操作を実行するステップとを含む方法を提供する。分裂流は、接続チャネルのうちの1つ以上の長さの少なくとも一部で生じ、この部分は、接続チャネルの長さの少なくとも5%を含むことが好ましく、少なくとも20%を含むことがより好ましく、少なくとも50%を含むことがさらに好ましく、いくつかの実施形態では、接続チャネルの長さの少なくとも90%を含む。複数の接続チャネルは、少なくとも10の接続チャネルを備えることが好ましく、少なくとも20を備えることがより好ましく、いくつかの実施形態では、少なくとも100の接続チャネルを備え、各接続チャネルは、その長さの少なくとも5%(少なくとも20%、少なくとも50%、または少なくとも90%)で生じる分裂流を有する(および、いくつかの実施形態では、複数の接続チャネルの長さの全てにおいて分裂流が存在する)。
【0016】
いくつかの実施形態では、マニホールドは、ヘッダであり、ヘッダは流入口を有し、流体は、2200(または少なくとも2000、あるいは少なくとも2200)を超えるレイノルズ数でヘッダ流入口を通過する。いくつかの実施形態では、接続チャネルを通じた流れは、少なくとも2200のレイノルズ数を有する。いくつかの実施形態では、本発明の統合型マイクロチャネル装置(および/または方法)は、0.01MWを超える熱負荷を有する。いくつかの実施形態では、マニホールドを通じた圧力降下は、複数の接続チャネルを通じた平均圧力降下以下である。いくつかの実施形態では、マニホールドはヘッダであり、マニホールドの圧力降下、すなわち、ヘッダ流入口と、最も低い圧力を有する接続チャネル流入口(ヘッダ流出口に相当する)との間の圧力降下は、(平均圧力降下として測定された)複数の接続チャネルを通じた圧力降下の50%未満(または25%未満)である。いくつかの実施形態では、マニホールド容量は、複数の接続チャネルの容量の50%未満(または25%未満)である。いくつかの実施形態では、統合型マイクロチャネル装置は、0.1MWを超える、好ましくは少なくとも1MWの熱負荷を有する。好適な実施形態では、マニホールドと接続チャネルとの間には、流れを制御するオリフィスが存在しない。オリフィスの断面積は、接続チャネルの平均断面積の20%未満、好ましくは10%未満である。
【0017】
いくつかの実施形態では、マニホールドは、少なくとも2つのセクションを含む。いくつかの実施形態では、マニホールドは、開口マニホールドである第1のセクションと、サブマニホールド、ゲート、または格子を含む第2のセクションとを含む。
【0018】
いくつかの好適な実施形態では、複数の接続チャネルを通じた流れは、遷移流または乱流である。いくつかの好適な実施形態では、複数の接続チャネルは、滑らかな壁を有し、表面特徴または他の障害物を持たないことが好ましく、また、いくつかの実施形態では、触媒を含まない。いくつかの好適な実施形態では、マニホールドは、マニホールド流入口を備え、マニホールド流入口および複数の接続チャネルを通る流路を備え、流路は、いかなるオリフィス、ゲート、格子、または整流器も含まない。
【0019】
本発明の実施形態のうちのいずれも、より具体的には、一組の構成要素またはステップのみから実質的に成るか、またはこれらのみから成る。例えば、好適な一実施形態では、本発明は、マニホールド流入口と、マニホールド流入口および複数の接続チャネルを通る流路とを備え、流路は、マニホールド、サブマニホールド、および接続チャネルのみから実質的に成る。
【0020】
いくつかの好適な実施形態では、マニホールドに接続された少なくとも200の接続マイクロチャネルが存在する。いくつかの好適な実施形態では、接続マイクロチャネルは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法(一般的に層状のデバイス内の間隙)を有し、いくつかの実施形態では0.7〜1.2mmの範囲の最小寸法を有する。いくつかの好適な実施形態では、マニホールドは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法を有し、一般的に、これは層状のデバイス内の1つの層の厚さの範囲内である。
【0021】
いくつかの好適な実施形態では、複数の接続マイクロチャネルは、固体触媒を備える。
いくつかの実施形態では、接続チャネルの少なくとも90%に乱流が存在し、いくつかの実施形態では、複数の接続チャネルのうちの全てに乱流が存在する。
関連する側面では、デバイスは、第1のマニホールドと、第2のマニホールドの、少なくとも2つのマニホールドを備え、第1のマニホールドは、第1の組の複数の接続マイクロチャネルに接続され、第2のマニホールドは、第2の組の複数の接続マイクロチャネルに接続される。この方法では、第1の流体は、第1のマニホールドを通じて、(少なくとも部分的に、好ましくは実質的に)第1の組の接続マイクロチャネルを通じて分裂流で流れることができ、第2の流体は、第2のマニホールドを通じて流れ、(少なくとも部分的に、好ましくは実質的に)第2の組の接続マイクロチャネルを通じて非分裂流で流れる。第1および第2の流体は、同じ種類、または異なる種類とすることができる。この場合、第1の側面とは異なり、マニホールドは、好適な実施形態では、15cmを超える長さ、および/または少なくとも100の接続チャネルを有するが、あらゆる長さのものとし、いかなる数の接続チャネルをも有することができる。
【0022】
別の側面では、本発明は、統合型マイクロチャネル装置の単位操作を実行する方法であって、流体を装置内に通すステップであって、
装置は、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、
マニホールドの容量は、複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
流体が、複数の接続マイクロチャネルのうちの少なくともいくつかをを通じて(少なくとも部分的に、好ましくは実質的に)分裂流となるように条件を制御し、流体が、複数の接続マイクロチャネルのうちのすくなくとも他のいくつかを通じて(少なくとも部分的に、好ましくは実質的に)非分裂流となるように条件を制御するステップと、接続マイクロチャネルの流体に単位操作を(分裂流および非分裂流の両方で)実行するステップとを含む方法を提供する。例えば、マニホールドは、接続チャネルのうちのいくつかの表面特徴または障害物、および接続チャネルのうちの他のいくつかの滑らかな壁を使用するなどによって、6つ以上の分裂流および4つ以上の非分裂流の接続チャネルを備えた、少なくとも10の接続チャネルを有することができる。
【0023】
別の側面では、本発明は、マイクロチャネル装置であって、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、マニホールドの容量は、複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、またはマニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在する装置を提供する。好適な一実施形態では、装置は、少なくとも10層の反応マイクロチャネルと相互接続した、少なくとも10層の熱交換マイクロチャネルアレイを備える。いくつかの実施形態では、反応マイクロチャネルは、触媒壁コーティングを含む。好適な実施形態では、熱交換マイクロチャネルアレイの各層は、マニホールドと、マニホールドに接続された熱交換接続マイクロチャネルアレイとを備える。各層の前記マニホールドは、実質的にその層のみに限定され、熱交換マイクロチャネルアレイ、および/または反応マイクロチャネルアレイの複数の層を越えて延在しないことが好ましい。いくつかの実施形態では、マニホールドは、複数の層内の熱交換接続マイクロチャネルの複数のアレイが前記マニホールドに接続するように、熱交換マイクロチャネルアレイの複数の層を越えて延在する。
【0024】
別の側面では、本発明は、デバイスおよび流体で構成されたマイクロチャネルシステムであって、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドであって、マニホールドの容量は、複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、またはマニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在するマニホールドとを備え、また、システムは、長さの少なくとも一部で分裂流で接続マイクロチャネルを通過する流体も備える。本システムは、発明的方法のうちのいずれかに対して、本願明細書に記載された特徴のうちのいずれもを有することができる。
【0025】
種々の実施形態において、本発明は、より高い熱流またはより高い物質移動を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
用語解説:
マニホールド化に関連する構造的特徴は、米国特許出願第20050087767号(2003年10月27日出願)、および米国特許第11/400,056号(2006年4月11日出願)に定義される。表面特徴および一般的なデバイス構造は、米国特許出願第11/388,792号(2006年3月23日出願)に定義される。これらの特許出願の全ては、あたかも完全に下記に複写されたかのように、参照することにより本願明細書に組み込まれる。本願明細書に記載された定義が、上述した特許出願の定義と矛盾する場合は、本願明細書に記載された定義が優先する。
【0027】
標準的な特許用語として、「備える」は、「含む」を意味し、これらの用語のどちらも追加的、または複数の構成要素の存在を除外しない。例えば、デバイスが、薄層、薄板等を備える場合は、発明的デバイスが複数の薄層、薄板等を含む場合もあると理解されたい。別の実施形態では、「備える」という用語は、より制限的な句「実質的に〜から成る」または「〜から成る」と置き換えることができる。
【0028】
チャネルは、連続する、または間隙を含むことができるチャネル壁によって画定される。モノリスフォーム(foam)またはフェルトを通じた相互接続経路は、(フォーム等は、チャネル内に配置される場合があるが)接続チャネルではない。
「接続チャネル」は、マニホールドに接続されたチャネルである。一般的に、単位操作は、接続チャネル内で生じる。接続チャネルは、入口断面と、出口断面とを有する。単位操作のいくつか、または単位操作の一部は、マニホールド内で生じる場合があるが、好適な実施形態では、単位操作の70%超(いくつかの実施形態では、少なくとも95%)が、接続チャネル内で生じる。「接続チャネルマトリクス」は、一群の隣接する、略並列の接続チャネルである。好適な実施形態では、接続チャネル壁は、まっすぐである。接続チャネルの圧力降下は、接続チャネルの入口断面の中心と、出口断面の中心との間の静的圧力差であり、全ての接続チャネルにわたって平均化される。いくつかの好適な実施形態では、接続チャネルは、実質的に方向または幅が変動しない、まっすぐなものである。複数の接続チャネルのシステムの接続チャネルの圧力降下は、個々の接続チャネル圧力降下の算術平均である。すなわち、各チャネルを通じた圧力降下の合計をチャネルの数で割ったものである。「接続マイクロチャネル」は、2mm以下、好ましくは0.5〜1.5mm、より好ましくは0.7〜1.2mmの最小寸法と、少なくとも1cmの長さとを有する。
【0029】
「分裂流」は、滑らかなマイクロチャネル内の遷移流または乱流を意味し、また、表面特徴を有するマイクロチャネルを通じた流れも含む。分裂流は、接続チャネルの長さの少なくとも一部で生じ、接続チャネルの長さの少なくとも5%で生じることが好ましく、少なくとも20%で生じることがより好ましく、少なくとも50%で生じることがより好ましく、いくつかの実施形態では、接続チャネルの長さの少なくとも90%で生じる。表面特徴は、米国特許第11/388,792号に開示されており、一般的にV形、またはチャネル壁内へくぼんだ他の形状を含み、高レイノルズ数の乱流または遷移流を生じることなく良好な混合が生じるように、流体の混合を補助する。表面特徴は、2200を超えるレイノルズ数に、または、遷移流または乱流に使用することもできる。分裂流は、流体運動を典型的な層状流またはまっすぐな流れのプロファイルから外れさせる、主チャネル内の障害物、凸部、または凹部によって形成することもできる。分裂流は、流れの主方向に対する、流れの回転、二次渦、または他の傾斜または直交する流れのベクトルを形成する、接続チャネル内の三次元的な蛇行流路によって形成することもできる。流れの偏向、またはまっすぐでない流路は、壁への熱伝達、壁への物質移動、または壁での、または液相内での均一的な化学反応を高めるのに特に有利である。
【0030】
「実質的に接続チャネルを通じた分裂流」は、単位操作が生じるマイクロチャネルの領域内の長さに対して、流れが実質的に分裂することを意味する(単位操作が生じるマイクロチャネルの領域内の長さの少なくとも90%が好ましい)。分裂流は、単に、出口効果または入口効果(すなわち、速度分布が変化し、流体力学的境界層が生じる長さ)によって生じるわけではない。
【0031】
「ゲート」は、マニホールドと2つ以上の接続チャネルとの間の相互接続部を備える。ゲートは、ゼロでない容量を有する。ゲートは、接続チャネルへの入口の断面積を変化させることによって、複数の接続チャネルへの流れを制御する。ゲートは、ゲートを通じて流れる流体がゲートを通過するときに、マニホールド内の流れの方向、および接続チャネル内の流れの方向の両方の正の運動量を有するという点で、単純なオリフィスとは異なる。対照的に、オリフィスを通じた流れの正の運動量ベクトルの75%超は、オリフィスの軸の方向にある。ゲートを通じた流れの断面積の典型的な比率は、ゲートによって制御された接続チャネル間の壁の断面積を含む、ゲートによって制御された接続チャネルの断面積の2〜98%(いくつかの実施形態では、5%〜52%)の範囲である。2つ以上のゲートを使用することによって、マニホールドの曲がり損失を調整する手段として、マニホールドインターフェースの断面積を使用することができ、ゲート間の流量を等しくすることができる。これらのゲートの曲がり損失を用いて、どちらもマニホールドの圧力プロファイルに対して効果を有する、摩擦圧力損失および運動量の補正によって生じるマニホールド圧力プロファイルの変化の補正を行うことができる。断面積の最大変動を最小面積で割ったものは、Ra数で与えられ、8未満が好ましく、6未満がより好ましく、さらに、より好適な実施形態では4未満である。
【0032】
「格子」は、マニホールドと単一のチャネルとの間の接続部である。格子は、ゼロでなない接続容量を有する。シム構造では、第1のシム内のクロスバーが、隣接する第2シム内のクロスバーと整列せず、流れが、第1のシム内のクロスバーの上および第2のシム内のクロスバーの下を通過するときに格子が形成される。
「熱負荷」は、デバイス内で伝達される、ワットで測定される総熱量で定義され、選択的に10kWを超え、統合型マイクロチャネルユニット装置では、10kW〜100MWの範囲が好ましい。
【0033】
「ヘッダ」は、接続チャネルに流体を送達するように配列されたマニホールドである。
「高さ」は、長さに垂直な方向である。層状のデバイスでは、高さは、積層方向である。
チャネルの「水力直径」は、チャネルの断面積を4倍して、流体に接する周辺部の長さで割ったものとして定義される。
「L形マニホールド」は、1つのマニホールドへの流れ方向が、接続チャネルの軸に垂直であり、一方で、対抗するマニホールド内の流れ方向が、接続チャネルの軸と平行である、マニホールド設計を表す。例えば、ヘッダL形マニホールドは、接続チャネルの軸に垂直なマニホールドの流れを有し、一方で、フッタマニホールドの流れは、デバイスから外への接続チャネルの軸の方向へ移動する。流れは、接続チャネルを通じて、デバイスから外へ、マニホールド流入口から「L形」の転向を生じる。2つのL形マニホールドをまとめて接続チャネルマトリクスとして機能させて、ヘッダが、マニホールドの両端に流入口を有するか、またはフッタがマニホールドの両端からの流出口を有するとき、このマニホールドは、「T形」マニホールドと呼ばれる。
【0034】
「層状のデバイス」は、デバイスを通じて流れるプロセスストリームに単位操作を実行することができる、薄層で作製されたデバイスである。
「長さ」は、チャネルの(またはマニホールドの)軸の方向、流れの方向の距離のことである。
「M2Mマニホールド」は、マクロ−ミクロマニホールド、すなわち、1つ以上の接続マイクロチャネルへ/からの流れを分配する、マイクロチャネルマニホールドである。M2Mマニホールドは、次に、マクロマニホールドとしても知られている別のより大きな断面積の送達源へ/から流れを取り込む。マクロマニホールドは、例えば、パイプ、ダクトまたは開口貯蔵容器とすることができる。
【0035】
「マニホールド」は、流れを2つ以上の接続チャネルに分配する容量である。ヘッダマニホールドの入口、すなわち流入口表面は、ヘッダマニホールドジオメトリにおいて、上流側のチャネルとは大きく異なる表面として定義される。フッタマニホールドの出口、すなわち流出口表面は、フッタマニホールドチャネルにおいて、下流側のチャネルとは大きく異なる表面として定義される。矩形チャネルおよび大部分の他の典型的なマニホールドジオメトリの場合、表面は平面である。しかし、マニホールドと接続チャネルとの間の相互接続部における半円のような、いくつかの特殊な場合では、湾曲した表面となる。マニホールドの大きな差は、流れ方向および/または物質移動流速度の大きな差を伴う。サブマニホールド化によって、流れ方向および/または物質移動流速度に大きな差を生じない場合、マニホールドはサブマニホールドを含む。マイクロチャネルヘッダのマニホールドの入口面は、平面であり、そこでマイクロチャネルヘッダは、フランジ溶接または他の接続方法を通じて、マイクロチャネルデバイスに取り付けられた、パイプまたはダクトのような、より大きな送達ヘッダマニホールドをと相互接続する。ほとんどの場合、当該技術の当業者には、一群の接続チャネルとして機能するマニホールドの境界が容易に認識されよう。
【0036】
マニホールドは、L、UまたはZ形とすることができる。「U形マニホールド」では、ヘッダおよびフッタ内の流体は、接続チャネルの軸に対する角度はゼロではないが、反対方向に流れる。
ヘッダの場合、「マニホールドの圧力降下」は、ヘッダマニホールドの流入口面の領域平均の中心圧力の算術平均(ヘッダ流入口が1つだけしかない場合は、流入口面も1つだけである)と、各々の接続チャネルの流入口面の中心圧力の算術平均との間の、静的圧力差である。ヘッダマニホールドの圧力降下は、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を含む、ヘッダマニホールドの流入口面に基づいており、それらのヘッダマニホールドの流入口面を通じた流れが、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を占める必要がない場合は、最も低い流れを有するヘッダマニホールドの流入口面は、算術平均には考慮されない。ヘッダ(またはフッタ)マニホールドの圧力降下はまた、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を含む、接続チャネルの入口(または出口)面の中心圧力だけに基づいており、それらの接続チャネルを通じた流れが、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を占める必要がない場合は、最も低い流れを有する接続チャネルの入口(または出口)面は、算術平均には考慮されない。フッタの場合、マニホールドの圧力降下は、それぞれの接続チャネルの出口面の中心圧力の算術平均と、フッタマニホールドの流出口面の領域平均の中心圧力の算術平均(ヘッダ流出口が1つだけしかない場合は、流出口面も1つだけである)との間の、静的圧力差である。フッタマニホールドの圧力降下は、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を含む、フッタマニホールドの出口面に基づいており、それらの出口面を通じた流れが、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を占める必要がない場合は、最も低い流れを有するフッタマニホールドの流出口面は、算術平均には考慮されない。マニホールドが2つ以上のサブマニホールドを備えている場合、マニホールドの圧力降下は、サブマニホールドの値の数平均に基づく。
【0037】
「マイクロチャネル」は、10mm以下(好ましくは2.0mm以下)かつ1μm(好ましくは10μmを超える)、いくつかの実施形態では50〜500μmの、少なくとも1つの内部寸法(壁から壁まで、触媒含まず)を有するチャネルである。マイクロチャネルはまた、少なくとも1つの流出口とは異なる、少なくとも1つの流入口の存在によっても画定される。マイクロチャネルは、単にゼオライトまたはメソ多孔性材料を通じたチャネルではない。マイクロチャネルの長さは、マイクロチャネルを通じた流れの方向に相当する。マイクロチャネルの高さおよび幅は、チャネルを通じた流れの方向に対して略垂直である。マイクロチャネルが2つの主要面(例えば、積層および接着した薄板によって形成された表面)を有する、層状のデバイスの場合、高さは、主要面から主要面までの距離であり、幅は、高さに対して垂直である。
【0038】
レイノルズ数の値は、ストリームの流れ領域を表す。レイノルズ数への領域の依存性は、チャネルの断面形状およびサイズの関数であり、チャネルには一般的に以下の範囲が用いられる。
層流:Re<2000〜2200
遷移流:2000−2200<Re<4000〜5000
乱流:Re>4000〜5000
【0039】
「サブチャネル」は、より大きなチャネル内にあるチャネルである。チャネルおよびサブチャネルは、チャネル壁によってそれらの長さに沿って画定される。
「サブマニホールド」は、少なくとも1つの他のサブマニホールドと連動して作動して、面内に1つの大きなマニホールドを形成する、マニホールドである。サブマニホールドは、連続壁によって互いに分離される。
【0040】
「表面特徴」は、マイクロチャネル内の流れを変更する、マクロチャネルからの突起、またはこれへの凹部である。特徴の上部の面積が、特徴の基部における面積と同じか、またはこれを超えている場合、その特徴は凹状であるとみなすことができる。特徴の基部の面積が、特徴の上部における面積を超えている場合、その特徴は凸状であるとみなすことができる(後述するCRFを除く)。表面特徴は、非円形の表面特徴に対して深さ、幅、および長さを有する。表面特徴には、主チャネルの壁内へくぼんだ、円形、長方形、正方形、チェック、V形、ジグザグ等が挙げられる。特徴は、表面積を増加させ、拡散ではなく移流によって流体をマイクロチャネルへ導く、対流を形成する。流れのパターンは、流れのパターンを渦巻き、回転、転倒させて、他の規則的、変則的、および/または無秩序なパターンを有することができるが、無秩序とする必要はなく、場合によっては極めて規則的に現れる場合がある。流れのパターンは、二次的な一過性の回転運動を受ける場合もあるが、経時的に安定している。
【0041】
表面特徴は、斜角(表面を通過する正味の流れの方向に対して、平行でも垂直でもない)であることが好ましい。表面特徴は、流れの方向に対して直交する、すなわち90°の角度とすることができるが、傾斜させることが好ましい。能動的な表面特徴は、少なくとも1つの軸の位置において、マイクロチャネルの幅に沿って、2つ以上の角度によって画定されることがさらに好ましい。表面特徴の2つ以上の側部は、物理的に接続または分離することができる。マイクロチャネルの幅に沿った1つ以上の角度は、まっすぐな層状のストリームラインから、流体を選択的に出し入れする。表面特徴の深さの範囲は、2mm未満が好ましく、1mm未満がより好ましく、いくつかの実施形態では、0.01mm〜0.5mmである。表面特徴の横幅の好適な範囲は、(ヘリボーン設計に見られるような)マイクロチャネルの幅をほぼ占めるのに十分であるが、(充填特徴のような)いくつかの実施形態では、マイクロチャネルの幅の60%以下を占め、いくつかの実施形態では40%以下であり、いくつかの実施形態では、約10%〜約50%である。好適な実施形態では、表面特徴のパターンの少なくとも1つの角度は、マイクロチャネルの幅に対して、10°、好ましくは30°、またはそれ以上の角度で配向される(90°は、長さ方向に平行であり、0°は幅方向に平行である)。横幅は、マイクロチャネルの幅と同じ方向に測定される。表面特徴の横方向の幅は、0.05mm〜100cmが好ましく、いくつかの実施形態では、0.5mm〜5cmの範囲であり、いくつかの実施形態では、1〜2cmである。
【0042】
「単位操作」は、化学反応、蒸発、圧縮、化学分離、蒸留、凝結、混合、加熱、または冷却を意味する。移送は単位操作とともにしばしば生じるが、「単位操作」は、単に流体の移送だけを意味するものではない。いくつかの好適な実施形態では、単位操作は、単に混合だけではない。
接続チャネルまたはマニホールドの容量は、空間に基づいている。容量は、表面特徴の凹部を含む。ゲートの容量または格子特徴(組み込まれた公開特許出願に開示されているような、流れ分配の均一化を助力する)は、マニホールドの容量に含まれる。これは、マニホールドと接続チャネルとの間の境界線が、方向の大きな変化によって示されるという規則に対する例外である。チャネル壁は、容量の算出には含まれない。同様に、オリフィスの容量(一般的に、ごくわずかである)および整流器(存在する場合)は、マニホールドの容量に含まれる。
【0043】
「Z形マニホールド」では、ヘッダおよびフッタ内の流体は、接続チャネルの軸に対する角度はゼロではないが、同じ方向に流れる。マニホールドシステムに入る流体は、それが入ったデバイスの反対側から出る。流れは、基本的に、流入口から流出口への「Z」方向を形成する。
【0044】
発明を実施するための最良の形態:
マイクロチャネル装置
マイクロチャネル反応器は、2mm以下(いくつかの実施形態では約1.0mm以下)かつ1μmを超える、いくつかの実施形態では50〜500μmの、少なくとも1つの寸法(壁から壁まで、触媒含まず)を有する少なくとも1つの反応チャネルが存在することを特徴とする。触媒反応チャネルは、触媒を収容するチャネルであり、触媒は、不均一または均一触媒とすることができる。均一触媒は、反応物質とともに流すことができる。マイクロチャネル装置は、触媒を収容した反応チャネルが不要であることを除き、同じように特徴付けられる。マイクロチャネルの間隙(または高さ)は、約2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。反応チャネルの長さは、一般的により長い。長さは、1cmを超えることが好ましく、いくつかの実施形態では50cmを超え、いくつかの実施形態では20cmを超え、いくつかの実施形態では1〜100cmの範囲である。
【0045】
マイクロチャネルの側部は、反応チャネル壁によって画定される。これらの壁は、セラミック、鋼のような合金ベースの鉄、モネルのようなNiベース、Coベース、またはFeベースの超合金のような硬質材料で作製されることが好ましい。また、プラスチック、ガラス、または銅、アルミニウム等のような他の金属で作製することもできる。反応チャネルの壁の材料の選択は、反応器が目的とする反応に依存する。いくつかの実施形態では、反応チャンバ壁は、耐久性があり、かつ良好な熱伝導率を有するステンレス鋼またはインコネル(商標)で構成される。合金は、低硫黄でなければならず、いくつかの実施形態では、アルミナイドの形成前に、脱硫処理を受ける。一般的に、反応チャネル壁は、一次構造支持体をマイクロチャネル装置に提供する材料で形成される。マイクロチャネル装置は、既知の方法によって作製することができ、いくつかの好適な実施形態では、交互配置したプレート(「シム」としても知られる)を積層することによって作製され、反応チャネル用に設計されたシムが、熱交換用に設計されたシムと交互配置されることが好ましい。いくつかのマイクロチャネル装置は、デバイス内に少なくとも10層が積層され、これらの層のそれぞれが少なくとも10のチャネルを含む。デバイスは、チャネルがより少ない他の層を収容することができる。
【0046】
マイクロチャネル装置(例、マイクロチャネル反応器)は、マイクロチャネル(例、複数のマイクロチャネル反応チャネル)と、複数の隣接する熱交換マイクロチャネルとを含むことが好ましい。複数のマイクロチャネルは、例えば、並行して作動することができる2、10、100、1000、またはそれ以上のチャネルを収容することができる。好適な実施形態では、マイクロチャネルは、平坦なマイクロチャネルの並列アレイ、例えば平坦なマイクロチャネルの少なくとも3つのアレイに配列される。いくつかの好適な実施形態では、複数のマイクロチャネルの流入口が、共通のヘッダに接続され、および/または複数のマイクロチャネルの流出口が、共通のフッタに接続される。動作中、熱交換マイクロチャネル(存在する場合)は、流動加熱流体および/または冷却流体を収容する。本発明に使用可能なこの種の既知の反応器の非限定的な実施例には、米国特許第6,200,536号および第6,219,973号(どちらも参照することにより組み込まれる)に例示された、マイクロコンポーネントの薄板構造の類(例、マイクロチャネルとの積層体)が挙げられる。本発明の目的に対してこの種の反応器の構造を使用する性能優位性には、比較的大きな熱伝達および物質移動の速度、および、実質上いかなる爆発限界も存在しないことが挙げられる。圧力降下を低くすることができるので、高スループットが可能となり、触媒は、アクセスしやすい形態でチャネル内に固定して、分離する必要性を排除することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、反応マイクロチャネル(または複数のマイクロチャネル)は、バルク流路を収容する。「バルク流路」という用語は、反応チャンバ内の開口経路(連続的なバルク流領域)のことである。連続的なバルク流領域によって、圧力降下を大きくせずに、反応チャンバを通じた急速な流体の流れが可能となる。各反応チャネル内のバルク流領域は、5×10-8〜1×10-2m2の断面積であることが好ましく、5×10-7〜1×10-4m2であることがより好ましい。バルク流領域は、1)マイクロチャネルの内部容積、または2)マイクロチャネルの断面のいずれかの、少なくとも5%で構成されることが好ましく、少なくとも50%であることがより好ましく、いくつかの実施形態では30〜99%である。
【0048】
多数の好適な実施形態では、マイクロチャネル装置は、好ましくは少なくとも5つの群の、より好ましくは少なくとも10の群の複数のマイクロチャネルの並列チャネルを含み、該チャネルは、デバイス(後に取り付けられた管ではない)に統合された、共通マニホールドに接続され、共通マニホールドは、マニホールドに接続されたチャネルを通じた流れを均一にする傾向のある、1つまたは複数の特徴を含む。このようなマニホールドの実施例は、米国特許出願第10/695,400号(2003年10月27日出願)に開示されており、本願明細書に組み込まれる。この文脈では、「並列」は、必ずしもまっすぐであることを意味するわけではなく、むしろ、チャネルは互いに合致する。いくつかの好適な実施形態では、マイクロチャネルデバイスは、少なくとも3つの群の並列マイクロチャネルを含み、各群内の該チャネルは、共通マニホールドに接続され(例えば、4つの群のマイクロチャネル、および4つのマニホールド)、好ましくは、各共通マニホールドは、マニホールドに接続されたチャネルを通じた流れを均一にする傾向のある、1つまたは複数の特徴を含む。
【0049】
複数のマニホールドを備えたデバイスにおいて、本発明は、接続チャネルに対する1つのマニホールドの体積比を特徴とするか、または複数のマニホールドおよびそれらの接続マイクロチャネルの容量合計を特徴とすることができる。しかし、接続チャネルがヘッダおよびフッタに接続された場合は、ヘッダおよびフッタの両方をマニホールド容量の算出に含めなければならない。サブマニホールドの容量は、マニホールドの容量に含まれる。
【0050】
熱交換流体は、プロセスチャネル(例、反応マイクロチャネル)に隣接する熱伝達マイクロチャネルを通じて流すことができ、また、ガスまたは液体とすることができ、蒸気、油、または他の既知の熱交換流体を含むことができる。システムは、熱交換器内に相変化を有するように最適化することができる。いくつかの好適な実施形態では、複数の熱交換層は、複数の反応マイクロチャネルと交互配置される。例えば、少なくとも10の熱交換器が、少なくとも10の反応マイクロチャネルと交互配置され、少なくとも10層の反応マイクロチャネルと相互接続した10層の熱交換マイクロチャネルアレイが存在することが好ましい。これらの層のそれぞれは、単純でまっすぐなチャネルを含むか、または層内のチャネルがより複雑なジオメトリを有することができる。好適な実施形態では、1つまたは複数の熱交換チャネルの1つ以上の内壁は、表面特徴を有する。
【0051】
商用スケールのマイクロチャネルデバイスを構築するための一般的な方法では、エッチング、スタンピング等のような異なる方法によって、シム内にマイクロチャネルを形成する。これらの手法は、従来技術において既知である。例えば、シムは、化学結合、ブレージング等のような異なる方法によって、互いに積層して接合することができる。接合の後、デバイスには機械加工が必要になる場合もあり、必要でない場合もある。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明の装置(または方法)は、触媒材料を含む。触媒は、バルク流路の少なくとも1つの壁の少なくとも一部を画定することができる。いくつかの好適な実施形態では、触媒の表面は、流体のストリームが通るバルク流路の少なくとも1つの壁を画定する。不均一触媒作用のプロセス中、反応組成物は、マイクロチャネルを通じて流れ、触媒を通過してこれと接触することができる。
【0053】
好適な実施形態では、各接続マイクロチャネルの幅は、その長さに沿って略一定であり、一組の接続チャネル内の各チャネルは、略一定の幅を有する。「略一定」は、いかなる幅の変動によっても、基本的に流れが影響を受けないことを意味する。これらの実施例の場合、マイクロチャネルの幅は、略一定に保持される。「略一定」は、加工ステップの許容範囲内で定義される。マイクロチャネルの幅は、一定に保持することが好ましいが、これは、マイクロチャネルの幅の両側に関連する支持リブを備えたマイクロチャネルの幅と、異なる温度および圧力で作動している場合のある隣接する薄層またはマイクロチャネルを分離する材料の厚さとの組み合わせ、および最終的に、選択した材料および対応する材料の強度が、デバイスの機械的一体性または許容可能な温度および動作圧力を定める、という点で、この幅がデバイスの機械的設計において重要なパラメータだからである。
【0054】
いくつかの好適な実施形態では、接続マイクロチャネルは、表面特徴を持たない。いくつかの実施形態では、マイクロチャネルデバイスは、接続チャネルへの流れを調整するゲート、格子、整流器、またはオリフィスを持たない。いくつかの好適な実施形態では、流れは、サブマニホールドを介して複数の接続チャネルに分配される。
【0055】
マイクロチャネル(表面特徴の有無に関わらず)は、触媒、または吸着剤のような他の材料でコーティングすることができる。触媒は、洗浄コーティングのような従来技術において既知である手法を使用して、マイクロチャネルの内部へ適用することができる。CVDまたは無電解めっきのような手法を利用することもできる。いくつかの実施形態では、含水塩類による含浸が好適である。いくつかの実施形態では、Pt、Rh、および/またはPdが好ましい。一般的に、この後には、従来技術において既知である熱処理および活性化ステップが行われる。他のコーティングには、ゾル、または触媒前駆体および/または担体を含むスラリーベースの溶液が挙げられる。コーティングには、無電解めっきまたは他の表面流体反応のような、壁に適用する反応法も挙げられる。
【0056】
積層したシム構造内にM2Mマニホールドを備えたマイクロチャネルデバイスの場合、M2Mマニホールドが、デバイスの容量全体を増加させるので、マニホールドの収容量を最大化するのに望ましい。本発明の好適な実施形態では、M2Mは、少なくとも0.1kg/m3/s、好ましくは1kg/m3/s以上、より好ましくは少なくとも10kg/m3/sを分配し、いくつかの好適な実施形態では、30〜5000kg/m3/s、いくつかの実施形態では、30〜1000kg/m3/sを分配する。
【0057】
本発明は、本願明細書に記載の装置内で化学反応および他の単位操作を実行するプロセスを含む。本発明は、記載された構造の、および/または本願明細書によって形成された、予接合したアセンブリおよび積層デバイスも含む。積層デバイスは、光学および電子顕微鏡検査、または他の既知の手法によって、非積層デバイスと区別することができる。本発明は、本願明細書に記載された装置内で化学プロセスを実行する方法も含み、該方法は、マニホールドを通じて流体を流すステップと、接続チャネル内で単位操作を実行するステップとを含む(マニホールドがヘッダである場合、流体は、接続チャネルに入る前にマニホールドを通過し、マニホールドがフッタである場合、流体は、接続チャネルを通過した後に流入する)。いくつかの好適な実施形態では、本発明は、熱交換器、攪拌器、化学分離器、接続チャネル内での固体形成プロセス、凝結および蒸発のような相変化の単位操作等を含む、非反応性の単位操作を含む。このようなプロセスは、概して化学プロセスと称され、その最も広義の意味(本明細書において)では熱交換を含むが、好適な実施形態では、単に熱交換だけでなく、熱交換および/または混合以外の単位操作も含む。
【0058】
本発明は、本発明の設計または方法のうちのいずれかにおいて、1つ以上の単位操作を実行するプロセスも含む。単位操作を実行するための好適な作動条件は、ルーチン実験を通じて特定することができる。本発明の反応には、アセチル化、付加反応、アルキル化、脱アルキル化、水添脱アルキル化、還元的アルキル化、アミノ化、アンモ酸化芳香族化、アリール化、自己熱改質、カルボニル化、脱カルボニル、還元的カルボニル化、カルボキシル化、還元的カルボキシル化、還元的カップリング、凝結、分解、水素化分解、環化、シクロオリゴマー化、脱ハロゲン化、脱水素化、オキシ脱水素化、二量体化、エポキシ化、エステル化、交換、Fischer−Tropsch、ハロゲン化、ハロゲン化水素添加、同族体化、水化、脱水、水素化、脱水素化、ハイドロカルボキシル化、ヒドロホルミル化、水素化分解、ハイドロメタル化、ヒドロシリル化、加水分解、水素化処理(水素化脱硫 HDS/HDNを含む)、異性化、メチル化、脱メチル化、メタセシス、ニトロ化、酸化、部分酸化、重合、還元、再形成、逆水性ガスシフト、Sabatier、スルホン化、テロメリゼーション、エステル交換反応、三量体形成、および水性ガスシフトが挙げられる。上述した反応のそれぞれに対して、当業者に既知の触媒および条件が存在する。また、本発明は、これらの触媒を用いた装置および方法を含む。例えば、本発明は、アミノ化触媒を通じたアミノ化の方法、およびアミノ化触媒を収容する装置を含む。したがって、本発明は、個々に(例、水素化分解)、または群で(例、それぞれ、ハロゲン化水素添加、ヒドロメタル化およびヒドロシリル化触媒による、ハロゲン化水素添加、ヒドロメタル化およびヒドロシリル化)、上述の反応のそれぞれに対して開示することができる。本発明の装置および触媒を用いた、各反応に対する好適なプロセス条件は、従来技術の知識、および/またはルーチン実験を通じて特定することができる。一例を挙げれば、本発明は、本願明細書に記載の設計特徴のうちの1つ以上を有するデバイス(具体的には、反応器)を使用した、Fischer−Tropsch反応を提供する。
【0059】
一組の接続チャネルを通じた圧力降下は、500psi未満であることが好ましく、50psi未満であることがより好ましく、いくつかの実施形態では、0.1〜20psiの範囲である。いくつかの実施形態では、マニホールドがヘッダであり、マニホールド内の圧力降下は、ヘッダの流入口と接続チャネルの流入口(ヘッダ流出口に相当)との間のpsiで測定したときに、複数の接続チャネルを通じた圧力降下(複数の接続チャネルにわたる平均圧力降下として測定される)未満である(より好ましくはその80%未満、より好ましくは半分(50%)未満であり、いくつかの実施形態では20%未満である)。
【0060】
いくつかの好適な実施形態では、マニホールド容量は、複数の接続チャネルの容量の80%未満または50%(半分)未満であり、いくつかの実施形態では40%以下、また、いくつかの実施形態では20%未満である。いくつかの実施形態では、マニホールド容量は、複数の接続チャネルの容量の10%〜80%である。積層デバイス内の全てのマニホールドの組み合わせ容量は、デバイス内の全ての接続チャネルの組み合わせ容量の50%以下であることが好ましく、いくつかの実施形態では40%以下であり、いくつかの実施形態では10%〜40%である。
【0061】
品質指数因子「Q1」は、マニホールドが、流れの分配においてどの程度効果的なのかを示す測度である。それは、接続チャネルの最高速度と最低速度との差を、最高速度で割った比率である。一定のチャネル寸法を有する接続チャネルのシステムの場合、しばしば、チャネルごとの質量流量を等しくするよう求められる。この場合の式を下記に示し、Q1で定義される。
【0062】
【数1】
【0063】
式中、
mmax[kg/秒]は、接続チャネルの最大質量流量であり、
mmin[kg/秒]は、接続チャネルの最少質量流量である。
接続チャネルの寸法が変動する場合、所望の単位操作の負荷が達成されるように、滞留時間、接触時間、速度、または質量流束速度は、チャネルからチャネルまでの変動が最小であることがしばしば望まれる。そのような場合は、品質指数因子Q2を定義する。
【0064】
【数2】
【0065】
式中、Gは、質量流束速度である。(本発明のいくつかの実施形態のように)全ての接続チャネルが同じ断面積である場合、Q2の式はQ1に簡約される。品質指数因子は、接続チャネルの流量の範囲を表し、0%で完全な分配となり、100%は、少なくとも1つのチャネルでの停滞(流れ無し)を示し、100%を越えた値は、少なくとも1つのチャネルでの逆流(所望の流れ方向の逆方向への流れ)を示す。Q1およびQ2は、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を含むチャネルに基づいて定義され、それらのチャネルを通じた流れが、接続チャネルを通じた正味の流れの95%を占める必要が無い場合は、最も低い流れのチャネルは考慮しない。本発明の方法では、品質係数は、10%以下であることが好ましく、5%がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、いくつかの実施形態では、0.5%〜5%の範囲である。
【0066】
品質係数Q値は、メトリックとして使用して、接続チャネルを収容する装置を特徴付けることもできる。好適な実施形態では、本発明の装置は、10%以下、好ましくは5%以下、または2%以下の品質係数Q値(Q1)を特徴とすることができ、いくつかの実施形態では、0.5〜5%の範囲である。デバイスの品質係数Q値の特性を決定するために、20℃およびMo=0.5で、デバイスを通じて空気を流す。接続チャネルを通じた分配は、直接測定するか、または計算流体力学(CFD)モデリングによって測定することができる。
【0067】
部分エッチングまたは材料の積層体からの除去を使用して作製された熱交換器は、本出願に特に有利である。チャネル間隙は、0.5〜1.5mmの範囲であることが好ましく、したがって、製造中には、最小数の積層体が必要とされる。チャネルの深さは、流れチャネル間に介在する壁を残して、好ましくは、温度における差圧に対して壁を支持し、好ましくは高アスペクト比のマイクロチャネル(間隙に対する幅の比率が2を超える)を形成するリブを残して、積層体から除去される。いくつかの実施形態では、整流器および流れ変更子が、M2Mセクションに配置される。
【0068】
図1は、マニホールド、接続チャネル、およびシム上のそれらの間の接続部の一般的概念の概略図である。シムは、あらゆる材料(金属、ポリマー等)から、部分エッチングによって作製することができる。一実施形態では、シムは、片側だけしかエッチングされない。別の実施形態では、シムは、図2のセクションA−Aの断面図で示されるように、両側からエッチングされる。化学エッチング以外の方法でも、同様の特徴を形成することができると理解されたい。シムの両側がエッチングされたときの実施形態では、シムの片側のエッチングの深さは、反対側のエッチングの深さと異ならせるか、または同様にすることができる。
【0069】
流体は、複数の小さな断面の開口部である2を通じてシムに入る。流れは、次いで、流入口サブマニホールドと称される3に入る。流入口サブマニホールドは、リブ9を介して互いに分離される。
【0070】
いくつかの実施形態では、流入口サブマニホールドは、図1に示されるように、矩形断面である。別の実施形態では、流入口サブマニホールドは、図3に示されるように、徐変断面を有する。流入口サブマニホールドの断面の変化は、連続的(図3に示す)とするか、またはステップ型とすることができる。流入口サブマニホールドは、接続チャネルへ向かう長さ方向において、断面積を増減させることができる。一実施形態では、流入口サブマニホールドは、鋭利なコーナー部を有する。別の実施形態では、サブマニホールドは、図4に示されるように、丸みを帯びたコーナー部を有する。
シム内のサブマニホールドの所与の空間に関して、シム内の流入口サブマニホールドの数は、サブマニホールド間のリブを減らすことによって、増加させることができる。
【0071】
各流入口サブマニホールド内には、圧支特徴7を存在させることができるが、これは必要となる場合もあり、必要としない場合もある。圧支特徴は、あらゆる形状またはサイズとすることができるが、これらの特徴の高さは、エッチングの深さと同じである。これらの特徴は、流入口サブマニホールドセクション内のストリーム間の差圧を支持する。また、特徴は、障害物としての役割を果たし、圧力降下を高めることができる。圧支特徴の形状、サイズ、および数は、全体的な圧力降下要件および応力要件から決定すべきである。
【0072】
流入口サブマニホールドからの流れは、流入口整流器5が後に続く、流入口ゲート4に入ることができる。一実施形態では、1つの流入口サブマニホールドは、2つの流入口ゲートを有する。別の実施形態では、1つの流入口サブマニホールドは、接続チャネルの数6(図示せず)に等しい流入口ゲートの数を有する。流入口ゲートのサイズは、接続チャネル内に極めて均一な流れ分配を提供するように制御されることが好ましい。
【0073】
流入口の整流器は、接続チャネルに垂直な流れのあらゆる方向成分を除去する。したがって、必要となる場合や必要とならない場合がある。一実施形態では、流入口ゲートから接続チャネルへの流れの遷移は、図1に示されるように、流入口整流器を通じて階段状である。別の実施形態では、流入口ゲートから接続チャネルへの流れの遷移は、図5に示されるように、緩やかであり、サブマニホールドから接続チャネルへ向かって、断面積が増加することが好ましい。上述のように、ゲート容量は、マニホールド容量の一部とみなされる。流入口ゲートおよび流入口整流器のコーナー部は、鋭利とするか、または丸みを帯びさせることができる。
【0074】
流れは、次いで、接続マイクロチャネルに入る。接続チャネルの数は、サブマニホールドによって異なるか、またはシムの幅全体で同様とすることができる。接続チャネルは、プロセスチャネル内で流れを連通させないリブによって、互いに分離される。別の実施形態では、リブを不連続にして、並列マイクロチャネル間でいくらか流体連通させるようにすることができる。本実施形態では、流体連通は、流れの再分配、および品質指数の改善または低下を可能にする。次いで、流れは、出口整流器8、出口ゲート10、出口サブマニホールド11、および出口開口部12を通じてデバイスから出る。図示の実施形態では、出口整流器、出口ゲート、および出口サブマニホールドは、それぞれ流入口整流器、流入口ゲート、および流入口サブマニホールドと同じ特徴を有する。接続チャネルは、図6に示されるように、出口サブマニホールドに直接接続することができる。別の実施形態では、流入口サブマニホールドは、チャネルに直接接続され、一方で、出口整流器、出口ゲート、出口サブマニホールドは、デバイスの出口で使用される。
図7は、壁シムを示す図である。図8は、マニホールドおよび壁シムを積み重ねることによって、デバイススタックを作成する、アセンブリを示す図である。マニホールドシムおよび壁シムは、スタックにおいて同じように繰り返して、デバイススタックを形成する。一実施形態では、少なくとも1つのマニホールドシムは、スタック内の他のマニホールドシムとは異なる。別の実施形態では、全てのマニホールドシムは、他のマニホールドシムとは設計が異なる。
【0075】
一実施形態では、スタックアセンブリ内の壁シムは、マニホールドシムとともにスタッキングした後に、マニホールドシム内のサブマニホールドと、壁シムとが整列するように、マニホールドシムに類似したサブマニホールドを有する。このような壁シムの実施形態の一実施例を図9に示す。流れは、マニホールドシムのサブマニホールドセクションおよび壁シムに入り、次いで、マニホールドシム内へ分かれて、ゲートおよび接続チャネル内を流れる。出口サブマニホールドでは、2つのサブマニホールドシム内の流れが再結合してデバイスを出る。
【0076】
一実施形態では、ゲート、格子、ポスト、整流器等を含む、1つの流体ストリームの流れ分配特徴およびマニホールドは、マルチストリーム熱交換器内の少なくとも1つの第2のストリーム、または他の単位操作の流れ分配特徴およびマニホールドに対応しない、デバイスの長さに沿った位置に配置することができる。例えば、隣接する層内の流体流路は、層間に対応しない流れ分配特徴およびマニホールドを有することができる。
【0077】
いくつかの好適な実施形態では、3つ以上の流体ストリームを本発明のデバイス内で使用して、熱伝達、流体混合、反応、および/または分離を実行する。マイクロマニホールドセクションは、好ましくは、接続チャネルのチャネル間隙よりも大きいチャネル間隙(「間隙」は、積層方向内に測定される)を備えて作製できるように、類似した流体ストリームがプロセスチャネル内で互いに隣接することが好ましい場合がある。
【0078】
いくつかの好適な実施形態では、サブマニホールドの数は、層流が保持されるように、あらゆるサブマニホールド内の総流量を削減するように設定される。サブマニホールド内の層だけの流れでは、単位長さあたりの圧力降下は、遷移流または乱流よりも低くなる。
【0079】
化学反応、分離、または混合への分裂流の使用は、接続チャネルの長さの少なくとも5%である接続チャネルの一部において特に有利である。質量交換の単位操作(反応、分離、および/または混合)に適用するときに、分裂流を用いることによって、好ましくは0.5mm〜1.5mmの範囲のプロセスチャネルの間隙による性能を高めることができ、同時に、接続チャネルにおいて層流で動作する小型マイクロチャネルによる質量交換用途よりもコンパクトなM2Mを可能にする。不均一反応の一例として、反応物質を触媒に導く層流拡散に対して、反応物質を壁上の触媒に導く分裂流の使用は、物質移動の限界を克服する。触媒の実効性能は、層のみの流れの、2倍以上、5倍、10倍、100倍、または1000倍以上となり得る。触媒に対するより有効な物質移動性能によって、接続チャネルの容量をより小さくすることができ、一方で、M2M内のチャネル間隙を0.5〜1.5mmの好適な領域内に保持することも可能にし、したがって、M2Mの容量が最小限に抑えられる。化学的分離には、吸収、吸着、蒸留、膜等も挙げられる。化学的分離、混合または化学反応は、接続チャネルの少なくとも一部が分裂流である場合に、M2Mに接続チャネルの容量を加えた総容量の最小化に対して、特に最適化される。
【実施例】
【0080】
実施例―2つの熱交換器設計の算出比較:
一方は大型マイクロチャネルを備え、他方は小型マイクロチャネルを備えた、2つの熱交換器設計を比較した。熱交換器は、図10に示されるように、2ストリームの逆流熱交換器とした。表1(熱交換器の流入口条件および流出口要件)は、2つのストリームの流入口条件および流出口要件のリストである。
【0081】
【表1】
【0082】
ストリームAおよびストリームBの組成を、下記表2(ストリームAおよびストリームBのモル組成)に要約する。
【0083】
【表2】
【0084】
ストリームAおよびストリームBの熱物理特性(比熱、熱伝導率、粘度)は、ChemCAD V5.5xを使用して算出した。ストリームAおよびストリームBの密度は、理想気体法則で算出した。
【0085】
設計1:小型マイクロチャネル設計:
コアセクションの設計 コアセクションの繰り返しユニット内の2つのストリームの配置を下記に示す。
【0086】
単一の繰り返しユニットの寸法を図11に示す。流れ方向は、図の面に垂直である。接続チャネルの開口部は、ストリームAが0.05インチ×0.006インチであり、ストリームBが0.05インチ×0.005インチであった。壁の厚さは、繰り返しユニット内いずれの場所においても0.004インチであった。繰り返しユニットは、コアセクションを形成するように、流れに垂直な方向に展開する。
【0087】
熱伝達に必要な熱交換器コアの長さは、3.4インチであった。シムのスタック方向における繰り返しユニットの数は7358であり、シム内の繰り返しユニットの数は593であった。ストリームの予測流出口温度も図12に示す。高温ストリームの平均レイノルズ数は722であり、低温ストリームの平均レイノルズ数はほぼ762であった。ストリームAおよびストリームBの予測圧力降下を表3(設計1の予測圧力降下―コアセクション)に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
コアセクション内で移送された総熱量は、13.7MWであった。
【0090】
マイクロチャネル内の流れを分配するマニホールドセクションの設計:
マニホールドセクションの設計上の前提条件を下記に記載する。
1.マニホールドセクション内に熱伝達がない。
2.図13に示されるように、ストリームAはZ形マニホールド設計を有し、ストリームBはまっすぐ進む。したがって、内部マニホールドは、ストリームAに対してのみ設計した。
3.コアは、図14に示されるように、32.0インチの寸法(593の繰り返しユニット)に沿って4つのセクションに分割し、次いで、各セクションに内部マニホールドを設計する。
【0091】
図15に示されるように、マニホールドセクション内の流れに利用可能な間隙は、主チャネル間隙と同じである。図16は、デバイスの4つのコアセクションのうちの1つへの、流れの入口および出口のスケッチである。
流れは、サブマニホールドに入り、熱交換器のコアセクション内の接続チャネル内で流れを分配する。4つのコアセクションのうちの1つにおいて流れを分配するには、2つ以上のサブマニホールドが必要である。4つのコアセクションのうちの1つにおけるストリームAの均一な分配のための寸法要件を示す、マニホールド設計の状況を図17に示す。
【0092】
図17に示されるジオメトリは、シムにエッチングすることができ、単一のコアセクションのフットプリントとなる。周辺部においてシムに0.25インチ(約6.35mm)の金属の許容量が与えられた場合、端板の厚さに0.25インチが与えられた場合、マニホールドを備えた単一の熱交換器コアの全体的な寸法は、25.0インチ×8.5インチ×140.3インチとなる。熱交換器(4つのコア)の総容量は、119,260立方インチとなる。Aの接続チャネルの容量は、マニホールド容量を含む総容量のわずか14%であった。
【0093】
設計2:大型マイクロチャネル設計:
同じ設計方法を用いて、より大きなマイクロチャネルを備えた熱交換器を設計した。コアセクション内の反復ユニットを下記に示す。
【0094】
単一の繰り返しユニットの寸法を図18に示す。流れ方向は、図の面に垂直である。チャネルの寸法は、ストリームAが0.05インチ×0.03インチ、ストリームBが0.05インチ×0.03インチであった。壁の厚さは、繰り返しユニット内いずれの場所においても0.004インチであった。繰り返しユニットは、コアセクションを形成するように、流れに垂直な方向に展開する。
【0095】
推定されるコアの全体的なサイズを図19に示す。シムのスタック方向における繰り返しユニットの数は1013であり、シム内の繰り返しユニットの数は593であった。必要な熱交換器コアの長さは、25.8インチであった。ストリームの予測流出口温度も図19に示す。高温ストリームの平均レイノルズ数は3670であり、低温ストリームの平均レイノルズ数はほぼ3810であった。0.03インチのチャネルの間隙内の層流の熱伝達係数と比較して、0.03インチより大きなマイクロチャネルの間隙が許容されるように、マイクロチャネル内で低い乱流への遷移を用いることによって、より高い熱伝達係数が生じる。ストリームAおよびストリームBの予測圧力降下を表4(設計2の予測圧力降下―コアセクション)に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
コアセクション内で移送された総熱量は、13.7MWであった。
【0098】
4つのコアのうちの1つにおいてストリームAを分配する設計を図20に示す。
周辺部においてシムに0.25インチの金属リムが与えられた場合、マニホールドを備えた単一の熱交換器コアの全体的な寸法は、33.1インチ×8.5インチ×69.4インチとなる。熱交換器(4つのコア)の総容量は、78,100立方インチとなる。接続チャネルの容量は、マニホールド容量を含む総容量の79%であった。
【0099】
設計3:大型マイクロチャネル設計−2:
同じ設計方法を用いて、さらに大きなマイクロチャネルを備えた熱交換器を設計した。コアセクション内の反復ユニットを下記に示す。
【0100】
単一の繰り返しユニットの寸法を図21に示す。流れ方向は、図の面に垂直である。チャネルの寸法は、ストリームAが0.05インチ×0.05” インチ、ストリームBが0.05インチ×0.05インチであった。壁の厚さは、繰り返しユニット内いずれの場所においても0.004インチであった。繰り返しユニットは、コアセクションを形成するように、流れに垂直な方向に展開する。
【0101】
推定されるコアの全体的なサイズを図22に示す。シムのスタック方向における繰り返しユニットの数は641であり、シム内の繰り返しユニットの数は593であった。必要な熱交換器コアの長さは、36.2インチであった。ストリームの予測流出口温度も図21に示す。高温ストリームの平均レイノルズ数は4650であり、低温ストリームの平均レイノルズ数はほぼ4800であった。ストリームAおよびストリームBの予測圧力降下を表5(設計2の予測圧力降下―コアセクション)に示す。
【0102】
【表5】
【0103】
コアセクション内で移送された総熱量は、13.7MWであった。
【0104】
4つのコアのうちの1つにおいてストリームAを分配する設計を図23に示す。
周辺部においてシムに0.25インチの金属リムが与えられた場合、マニホールドを備えた単一の熱交換器コアの全体的な寸法は、44.3インチ×8.5インチ×69.8インチとなる。熱交換器(4つのコア)の総容量は、105,133立方インチとなる。接続チャネルの容量は、マニホールド容量を含む総容量の82%であった。
表6は、小型のマイクロチャネルおよび大型マイクロチャネルによる設計のサイズおよび性能を比較したものである。
【0105】
【表6】
【0106】
要約すれば、文献によって教示されているような小型チャネルの間隙は、必ずしも最良の設計をもたらすとは限らない。0.5mm〜1.5mmの範囲のマイクロチャネルは、良好な対流熱伝達特性を提供する遷移流または乱流領域を有するのに十分な大きさとすることができ、より大きな間隙は、比較的小容量での流れをマニホールド化させるのに十分な空間を提供する。上述の実施例に関して、チャネル間隙の関数としての総デバイス容量の変動を、図24に示す。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、マニホールド、接続チャネル、およびシム上のそれらの間の接続部を概略的に示す図である。
【図2】図2は、(a)シムの片側を部分エッチングするか、または(b)シムの両側を部分エッチングした、図1のA−A断面の断面図である。
【図3】図3は、徐変断面を有するサブマニホールドを示す図である。
【図4】図4は、サブマニホールドの丸みを帯びたコーナー部を示す図である。
【図5】図5は、ゲートから接続チャネルへの緩やかな遷移を示す図である。
【図6】図6は、出口サブマニホールドへの接続チャネルの別の接続を示す図である。
【図7】図7は、壁シムを示す図である。
【図8】図8は、デバイススタックを形成する、マニホールドおよび壁シムのアセンブリを示す図である。
【図9】図9は、サブマニホールドを備えた壁シムを示す図である。
【図10】図10は、熱交換器の設計要件を示す図である。
【図11】図11は、小型のマイクロチャネルのための単一の繰り返しユニットの寸法を示す図である。
【図12】図12は、小型のマイクロチャネルの設計1の中心的な寸法を示す図である。
【図13】図13は、実施例におけるストリームAおよびストリームBのマイクロチャネルユニット内の流れ方向を示す図である。
【図14】図14は、設計したコアをマニホールド化するために用いる方法の概略図である。
【図15】図15は、マニホールド設計の概略図である。
【図16】図16は、実施例における4つのコアセクションのうちの1つでの流出入の概略図である。
【図17】図17は、小型マイクロチャネルのための4つのコアセクションのうちの1つでの、ストリームAの分配のためのマニホールド設計を示す図である。
【図18】図18は、大型マイクロチャネルのための単一の繰り返しユニットの寸法を示す図である。
【図19】図19は、大型マイクロチャネルを備えた設計2のコア寸法を示す図である。
【図20】図20は、大型マイクロチャネルのための4つのコアセクションのうちの1つを流れるストリームを分配するためのマニホールド設計を示す図である。
【図21】図21は、実施例に由来する大型マイクロチャネルのための単一の繰り返しユニットの寸法を示す図である。
【図22】図22は、大型マイクロチャネルを備えた設計2コア寸法を示す図である。
【図23】図23は、4つのコアのうちの1つのストリームを分配するための設計を示す図である。
【図24】図24は、実施例から計算した、チャネル間隙の関数としての総デバイス容量のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合型マイクロチャネル装置の単位操作を実行する方法であって、
流体を装置内に通すステップであって、
前記装置は、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、
前記マニホールドの容量は、前記複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
前記マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、または前記マニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在するステップと、
前記流体が、前記接続マイクロチャネルの少なくとも一部を通じて分裂流となるように、条件を制御するステップと、
前記接続マイクロチャネル内の前記流体に単位操作を実行するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記装置は、第1のマニホールドと、第2のマニホールドの、少なくとも2つのマニホールドを備え、前記第1のマニホールドは、第1の組の複数の接続マイクロチャネルに接続され、前記第2のマニホールドは、第2の組の複数の接続マイクロチャネルに接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の流体は、前記第1のマニホールドを通じて流れ、実質的に前記第1の組の接続マイクロチャネルを通じて分裂流で流れ、第2の流体は、前記第2のマニホールドを通じて流れ、実質的に前記第2の組の接続マイクロチャネルを通じて非分裂流で流れる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マニホールドはヘッダであり、前記ヘッダは流入口を有し、流体は、2200を超えるレイノルズ数で前記ヘッダ流入口を通過する、請求項1〜3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記統合型マイクロチャネル装置は、0.01MWを超える熱負荷を有する、前記請求項1〜4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記統合型マイクロチャネル装置は、0.1MWを超える熱負荷を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記統合型マイクロチャネル装置は、1MWを超える熱負荷を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マニホールドを通じた圧力降下は、接続チャネルを通じた平均圧力降下以下である、前記請求項1〜7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記マニホールドは、ヘッダであり、前記マニホールドの圧力降下、すなわち、前記ヘッダ流入口と、最も低い圧力を有する前記接続チャネル流入口(ヘッダ流出口に相当する)との間の圧力降下は、(平均圧力降下として測定された)前記複数の接続チャネルを通じた圧力降下の50%未満である、前記請求項1〜8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記マニホールドは、ヘッダであり、前記マニホールドの圧力降下、すなわち、前記ヘッダ流入口と、最も低い圧力を有する前記接続チャネル流入口(ヘッダ流出口に相当する)との間の圧力降下は、(平均圧力降下として測定された)前記複数の接続チャネルを通じた圧力降下の25%未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マニホールド容量は、前記複数の接続チャネルの容量の50%未満である、前記請求項1〜10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記マニホールド容量は、前記複数の接続チャネルの容量の25%未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マニホールドと前記接続チャネルとの間には、流れを制御するオリフィスが存在せず、オリフィスの断面積は、前記接続チャネルの平均断面積の20%未満である、前記請求項1〜12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記マニホールドは、2つのセクションを備える、請求項1〜13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
2つの部分は、第1および第2のセクションを備え、前記第1のセクションは、開口マニホールドであり、前記第2のセクションは、サブマニホールド、ゲート、または格子を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の接続チャネルを通じた流れは、遷移流または乱流である、請求項1〜15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記マニホールドは、マニホールド流入口を備え、前記マニホールド流入口および前記複数の接続チャネルを通る流路を備え、さらに、前記流路は、オリフィス、ゲート、格子、または整流器を備えない、請求項1〜17いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記マニホールドは、マニホールド流入口を備え、前記マニホールド流入口および前記複数の接続チャネルを通る流路を備え、前記流路は、マニホールド、サブマニホールド、および接続チャネルのみから実質的に成る、請求項1〜17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記マニホールドに接続された少なくとも200の接続マイクロチャネルを備える、請求項1〜18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記接続チャネルを通じた流れは、少なくとも2200のレイノルズ数を有する、請求項1〜19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記接続マイクロチャネルは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法を有する、請求項1〜20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
層状のデバイス内で実行され、前記接続チャネル内の間隙は、0.5〜1.5mmの範囲である、請求項1〜21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
分裂流は、前記接続チャネルのうちの1つ以上の長さの少なくとも一部で生じる、請求項1〜22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記複数の接続チャネルは、前記チャネル長の少なくとも一部で分裂流が生じる、少なくとも10の接続チャネルを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の接続チャネルは、前記チャネル長の少なくとも一部で分裂流が生じる、少なくとも20の接続チャネルを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の接続チャネルは、前記チャネル長の少なくとも一部で分裂流が生じる、少なくとも100の接続チャネルを備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
分裂流は、少なくとも1つの接続チャネルの長さの少なくとも5%で生じる、請求項23〜26いずれか1項記載の方法。
【請求項28】
分裂流は、少なくとも1つの接続チャネルの長さの少なくとも20%で生じる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
分裂流は、少なくとも1つの接続チャネルの長さの少なくとも50%で生じる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
分裂流は、少なくとも1つの接続チャネルの長さの少なくとも90%で生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
分裂流は、前記複数の接続チャネルのうちの全てにおいて生じる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記接続マイクロチャネルの長さの少なくとも90%を通じて分裂流が存在する、請求項1〜31いずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記複数の接続チャネルは、滑らかな壁を有する、請求項1〜32いずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記複数の接続チャネルは、表面特徴を持たない、請求項1〜33いずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記複数の接続マイクロチャネルは、固体触媒を備える、請求項1〜34いずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記複数の接続マイクロチャネルは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法を有する、請求項1〜35いずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記マニホールドは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法を有する、請求項1〜36いずれか1項記載の方法。
【請求項38】
マイクロチャネル装置であって、
複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、
前記マニホールドの容量は、前記複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
前記マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、または前記マニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在する、
装置。
【請求項39】
少なくとも10層の反応マイクロチャネルと相互接続した、少なくとも10層の熱交換マイクロチャネルアレイを備え、前記反応マイクロチャネルは、触媒壁コーティングを含む、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
熱交換マイクロチャネルアレイの各層は、マニホールドと、前記マニホールドに接続された熱交換接続マイクロチャネルアレイとを備える、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
各層の前記マニホールドは、実質的にその層のみに限定され、熱交換マイクロチャネルアレイの複数の層を越えて延在しない、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
マニホールドは、複数の層内の熱交換接続マイクロチャネルの複数のアレイが前記マニホールドに接続するように、熱交換マイクロチャネルアレイの複数の層を越えて延在する、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
デバイスおよび流体で構成されたマイクロチャネルシステムであって、
複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドであって、
前記マニホールドの容量は、前記複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
前記マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、または前記マニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在するマニホールドと、
前記長さの少なくとも一部において分裂流で前記接続マイクロチャネルを通過する流体と、
を備える、システム。
【請求項44】
統合型マイクロチャネル装置の単位操作を実行する方法であって、
流体を装置内に通すステップであって、
前記装置は、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、
前記マニホールドの容量は、前記複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
前記流体が、実質的に少なくとも一部の前記複数の接続マイクロチャネルを通じて分裂流となるように条件を制御し、前記流体が、実質的に少なくとも他の一部の前記複数の接続マイクロチャネルを通じて非分裂流となるように条件を制御するステップと、
分裂流である前記接続マイクロチャネル内の前記流体に単位操作を実行し、非分裂流である前記接続マイクロチャネル内の前記流体に単位操作を実行するステップと、
を含む、方法。
【請求項1】
統合型マイクロチャネル装置の単位操作を実行する方法であって、
流体を装置内に通すステップであって、
前記装置は、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、
前記マニホールドの容量は、前記複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
前記マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、または前記マニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在するステップと、
前記流体が、前記接続マイクロチャネルの少なくとも一部を通じて分裂流となるように、条件を制御するステップと、
前記接続マイクロチャネル内の前記流体に単位操作を実行するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記装置は、第1のマニホールドと、第2のマニホールドの、少なくとも2つのマニホールドを備え、前記第1のマニホールドは、第1の組の複数の接続マイクロチャネルに接続され、前記第2のマニホールドは、第2の組の複数の接続マイクロチャネルに接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の流体は、前記第1のマニホールドを通じて流れ、実質的に前記第1の組の接続マイクロチャネルを通じて分裂流で流れ、第2の流体は、前記第2のマニホールドを通じて流れ、実質的に前記第2の組の接続マイクロチャネルを通じて非分裂流で流れる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マニホールドはヘッダであり、前記ヘッダは流入口を有し、流体は、2200を超えるレイノルズ数で前記ヘッダ流入口を通過する、請求項1〜3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記統合型マイクロチャネル装置は、0.01MWを超える熱負荷を有する、前記請求項1〜4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記統合型マイクロチャネル装置は、0.1MWを超える熱負荷を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記統合型マイクロチャネル装置は、1MWを超える熱負荷を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マニホールドを通じた圧力降下は、接続チャネルを通じた平均圧力降下以下である、前記請求項1〜7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記マニホールドは、ヘッダであり、前記マニホールドの圧力降下、すなわち、前記ヘッダ流入口と、最も低い圧力を有する前記接続チャネル流入口(ヘッダ流出口に相当する)との間の圧力降下は、(平均圧力降下として測定された)前記複数の接続チャネルを通じた圧力降下の50%未満である、前記請求項1〜8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記マニホールドは、ヘッダであり、前記マニホールドの圧力降下、すなわち、前記ヘッダ流入口と、最も低い圧力を有する前記接続チャネル流入口(ヘッダ流出口に相当する)との間の圧力降下は、(平均圧力降下として測定された)前記複数の接続チャネルを通じた圧力降下の25%未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マニホールド容量は、前記複数の接続チャネルの容量の50%未満である、前記請求項1〜10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記マニホールド容量は、前記複数の接続チャネルの容量の25%未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マニホールドと前記接続チャネルとの間には、流れを制御するオリフィスが存在せず、オリフィスの断面積は、前記接続チャネルの平均断面積の20%未満である、前記請求項1〜12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記マニホールドは、2つのセクションを備える、請求項1〜13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
2つの部分は、第1および第2のセクションを備え、前記第1のセクションは、開口マニホールドであり、前記第2のセクションは、サブマニホールド、ゲート、または格子を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の接続チャネルを通じた流れは、遷移流または乱流である、請求項1〜15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記マニホールドは、マニホールド流入口を備え、前記マニホールド流入口および前記複数の接続チャネルを通る流路を備え、さらに、前記流路は、オリフィス、ゲート、格子、または整流器を備えない、請求項1〜17いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記マニホールドは、マニホールド流入口を備え、前記マニホールド流入口および前記複数の接続チャネルを通る流路を備え、前記流路は、マニホールド、サブマニホールド、および接続チャネルのみから実質的に成る、請求項1〜17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記マニホールドに接続された少なくとも200の接続マイクロチャネルを備える、請求項1〜18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記接続チャネルを通じた流れは、少なくとも2200のレイノルズ数を有する、請求項1〜19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記接続マイクロチャネルは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法を有する、請求項1〜20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
層状のデバイス内で実行され、前記接続チャネル内の間隙は、0.5〜1.5mmの範囲である、請求項1〜21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
分裂流は、前記接続チャネルのうちの1つ以上の長さの少なくとも一部で生じる、請求項1〜22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記複数の接続チャネルは、前記チャネル長の少なくとも一部で分裂流が生じる、少なくとも10の接続チャネルを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の接続チャネルは、前記チャネル長の少なくとも一部で分裂流が生じる、少なくとも20の接続チャネルを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の接続チャネルは、前記チャネル長の少なくとも一部で分裂流が生じる、少なくとも100の接続チャネルを備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
分裂流は、少なくとも1つの接続チャネルの長さの少なくとも5%で生じる、請求項23〜26いずれか1項記載の方法。
【請求項28】
分裂流は、少なくとも1つの接続チャネルの長さの少なくとも20%で生じる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
分裂流は、少なくとも1つの接続チャネルの長さの少なくとも50%で生じる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
分裂流は、少なくとも1つの接続チャネルの長さの少なくとも90%で生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
分裂流は、前記複数の接続チャネルのうちの全てにおいて生じる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記接続マイクロチャネルの長さの少なくとも90%を通じて分裂流が存在する、請求項1〜31いずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記複数の接続チャネルは、滑らかな壁を有する、請求項1〜32いずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記複数の接続チャネルは、表面特徴を持たない、請求項1〜33いずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記複数の接続マイクロチャネルは、固体触媒を備える、請求項1〜34いずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記複数の接続マイクロチャネルは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法を有する、請求項1〜35いずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記マニホールドは、0.5〜1.5mmの範囲の最小寸法を有する、請求項1〜36いずれか1項記載の方法。
【請求項38】
マイクロチャネル装置であって、
複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、
前記マニホールドの容量は、前記複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
前記マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、または前記マニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在する、
装置。
【請求項39】
少なくとも10層の反応マイクロチャネルと相互接続した、少なくとも10層の熱交換マイクロチャネルアレイを備え、前記反応マイクロチャネルは、触媒壁コーティングを含む、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
熱交換マイクロチャネルアレイの各層は、マニホールドと、前記マニホールドに接続された熱交換接続マイクロチャネルアレイとを備える、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
各層の前記マニホールドは、実質的にその層のみに限定され、熱交換マイクロチャネルアレイの複数の層を越えて延在しない、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
マニホールドは、複数の層内の熱交換接続マイクロチャネルの複数のアレイが前記マニホールドに接続するように、熱交換マイクロチャネルアレイの複数の層を越えて延在する、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
デバイスおよび流体で構成されたマイクロチャネルシステムであって、
複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドであって、
前記マニホールドの容量は、前記複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
前記マニホールドの長さは、少なくとも15cmであるか、または前記マニホールドに接続された少なくとも100の接続チャネルが存在するマニホールドと、
前記長さの少なくとも一部において分裂流で前記接続マイクロチャネルを通過する流体と、
を備える、システム。
【請求項44】
統合型マイクロチャネル装置の単位操作を実行する方法であって、
流体を装置内に通すステップであって、
前記装置は、複数の接続マイクロチャネルに接続されたマニホールドを備え、
前記マニホールドの容量は、前記複数の接続マイクロチャネルの容量未満であり、
前記流体が、実質的に少なくとも一部の前記複数の接続マイクロチャネルを通じて分裂流となるように条件を制御し、前記流体が、実質的に少なくとも他の一部の前記複数の接続マイクロチャネルを通じて非分裂流となるように条件を制御するステップと、
分裂流である前記接続マイクロチャネル内の前記流体に単位操作を実行し、非分裂流である前記接続マイクロチャネル内の前記流体に単位操作を実行するステップと、
を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2009−541053(P2009−541053A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530709(P2009−530709)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/071409
【国際公開番号】WO2007/149793
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(504455241)ヴェロシス インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/071409
【国際公開番号】WO2007/149793
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(504455241)ヴェロシス インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]