説明

マイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズ

本発明に係る焦点距離可変レンズは、或る自由度回転を有する、及び/または或る自由度並進を有する複数のマイクロミラーと、駆動手段とから構成されている。焦点距離可変レンズの操作方法としては、上記駆動手段が、マイクロミラーの位置を静電的及び/または電磁的に制御する。マイクロミラーを支持する構造体と、上記駆動手段とを、上記マイクロミラー群の下方に配置することによって、焦点距離可変レンズの光学効率を高めることができる。焦点距離可変レンズは、マイクロミラーを個々に制御することにより、収差を補正することができる。焦点距離可変レンズは、任意の形状、及び/または任意のサイズに構成することが可能である。マイクロミラー群を、平面状に、もしくは所定の曲率を有する曲面状に配置することができる。マイクロミラーの位置を左右する電極は、金属のような高い導電率の材料から構成することができる。マイクロミラーの表面材料には、多層誘電体または酸化防止剤によってコーティングされたアルミニウム、銀、金のような高い反射率を有した材料が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、
・米国特許出願番号10/855,554(2004年5月27日出願)の「2自由度回転を有するマイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズ」(”Variable Focusing Lens comprising Micromirrors with One Degree of Freedom Rotation”)
・米国特許出願番号10/855,715(2004年5月27日出願)の「2自由度回転を有するマイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズ」(”Variable Focusing Lens comprising Micromirrors with Two Degrees of Freedom Rotation”)
・米国特許出願番号10/855,287(2004年5月27日出願)の「2自由度回転を有し、且つ1自由度並進を有するマイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズ」(”Variable Focusing Lens comprising Micromirrors with Two Degrees of Freedom Rotation and One Degree of Freedom Translation”)
・米国特許出願番号10/857,796(2004年5月28日出願)の「1自由度回転を有し、且つ1自由度並進を有するマイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズ」(”Variable Focusing Lens comprising Micromirrors with One Degree of Freedom Rotation and One Degree of Freedom Translation”)
・米国特許出願番号10/857,714(2004年5月28日出願)の「マイクロミラーアレイを有するレンズアレイ」」(”Array of Micromirror Array Lenses”)
・米国特許出願番号10/857,280(2004年5月28日出願)の「1自由度並進を有するマイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズ」(”Variable Focusing Lens comprising Micromirrors with One Degree of Freedom Translation”)
・米国特許出願番号10/872,241(2004年6月18日出願)の「位置可変する個別制御マイクロミラー」(”Discretely Controlled Micromirror with Multi-Level Positions”)
・米国特許出願番号10/893,039(2004年7月16日出願)の「焦点距離可変レンズ、及び個別制御マイクロミラーを備えたレンズアレイ」(”Variable Focusing Lens and Lens Array comprising Discretely Controlled Micromirrors”)
の一部継続出願である。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、複数のマイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズに関し、より詳細には、回転(rotation)、並進(translation)、回転及び並進、のいずれか1つが制御されているマイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズに関する。
【0003】
〔背景〕
汎用されている従来の焦点距離可変システムは、2つの屈折レンズを用いたものであるが、個々のレンズの相対的位置を制御するための駆動機構は複雑なものであり、且つ、応答時間が長いという欠点があった。また、これに代わり、焦点距離可変レンズというものが開発された。焦点距離可変レンズは、人間の目のようにレンズの形状を変えることによって得られるものであり、等方性の液体によって作製された複数のレンズを用いるものである。
【0004】
他には、電気的に屈折率を可変する媒体からなるレンズ群があり、このレンズ群は、従前のレンズか、電圧勾配による屈折率分布レンズかのどちらかを作製するためのものである。これらのうち、最も有用な焦点距離可変レンズは、焦点距離可変の液晶レンズであり、焦点距離を制御するために複雑な機構を有するものである。このレンズは、屈折率を変調させることによって、その焦点距離を変化させる。しかしながら、このレンズも、従前の数多くのレンズと同様に、応答時間が長いという欠点がある。上記した焦点距離可変の液晶レンズのなかで応答時間が最短なものといっても、数十ミリ秒であり、わずかな焦点距離可変であるとともに、焦点効率が低いものである。
【0005】
このような従前の焦点距離可変レンズにおける欠点を解決すべく、応答速度の速いマイクロミラーアレイが提案されてきた。例えば、J. Boyd and G. Cho, 2003, “Fast-response Variable Focusing Micromirror Array Lens,” Proceeding of SPIE Vol.5055:278-286 に記載されているようなものがある。本願明細書に明記されているように、この文献は本願明細書に参照として引用されるものである。この文献に記載のマイクロミラーアレイは、主に、複数のマイクロミラー及び駆動手段とから構成され、焦点距離可変の液晶レンズよりも簡素化された焦点制御機構を用いることができるというものである。このマイクロレミラーアレイの焦点距離は、個々のマイクロミラーの位置を変えることによって達成される。しかしながら、上記の文献では、設計及び制御に関する基本的な概念が記載されているだけである。そこで、本発明は、マイクロミラーアレイレンズにおける設計及び制御の改善を目的とするものである。また、本発明は、上記レンズに関する優位性と応用についても述べる。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、従前の焦点距離可変レンズにおける欠点を解決するものである。
【0007】
本発明の目的は、マイクロミラーアレイレンズの設計と制御を改善することである。
【0008】
本発明に係る焦点距離可変レンズは、光を反射させるための複数のマイクロミラーと、マイクロミラーの位置を制御するための駆動手段とを備えている。個々のマイクロミラーは、鏡と同じ機能をもつ。従って、マイクロミラーの反射面は、金属、金属化合物、多層誘電体、または他の材料から構成される。上記他の材料としては、多層誘電体によってコーティングされたアルミニウムや、酸化防止剤によってコーティングされたアルミニウムや、多層誘電体によってコーティングされた銀や、酸化防止剤によってコーティングされた銀や、金や、多層誘電体によってコーティングされた金が挙げられる。高い反射率を有するマイクロミラー表面は、従来公知のマイクロ製造技術を用いて実現することができる。被写体の1点から拡散させた全ての光線を、同じの周期の位相で、且つ、像面の1点に集光させることによって、マイクロミラーアレイを反射型の焦点距離可変レンズとして機能させることができる。これを実現するために、マイクロミラーは、駆動手段によって、所望の位置になるように、静電的に及び/または電磁気的によって制御される。本発明に係るレンズの焦点距離は、個々のマイクロミラーの並進及び回転を制御することによって変えることができる。
【0009】
本発明に係る焦点距離可変レンズは、マイクロミラー群を極配列させることによって形成することができる。極配列させるために、個々のマイクロミラーは有効反射領域を増やすべく扇型になっており、これによって、光学効率を高めている。マイクロミラーアレイレンズの光学効率を向上させるためには、マイクロミラーを支持するための構造体、及び上記駆動手段を、マイクロミラー群の下方に配置して有効反射領域を大きくする。マイクロミラーを操作するための電気回路の変わりとして、MOSやCMOSといった公知の半導体マイクロエレクトロニクス技術を用いることができる。マイクロミラーアレイの下方にマイクロエレクトロニクス回路を採用することで、電極パッドやワイヤー用に確保していた領域が必要なくなるので、有効反射領域を更に大きくすることができる。
【0010】
マイクロミラー同士は、軸対称レンズを形成するために、1つ以上の同心円に形成されており、且つ、同じ同心円上に形成されたマイクロミラーは、同心円形状を有する同じ電極群によって制御することができる、もしくは、MOSやCMOSといった公知の半導体マイクロエレクトロニクス技術によって、個々に制御することができる。加えて、複数のマイクロミラーは、1つ以上の楕円を形成しており、同じ楕円上に配置されたマイクロミラー同士は、楕円形の同じ電極群によって制御されるか、もしくは、個々に制御される。
【0011】
望ましくは、個々のマイクロミラーは、従前の反射レンズと同じく、屈曲している。もし、平面マイクロミラーの大きさが十分に小さいならば、平面マイクロミラーによって構成されるレンズの収差も十分に小さいので、この場合は、マイクロミラーは曲率を有している必要はない。
【0012】
本発明に係るレンズは、被写体と像との間の中間物による光学効果によって生じる収差であったり、または、近軸像の規定から外れてしまう像を生じるようなレンズ系の欠陥によって生じる収差であったりを、個々のマイクロミラーを独立して制御することにより補正することができる。個々のマイクロミラーの独立制御は、電気回路を、MOSやCMOSといった半導体マイクロエレクトロニクス技術による制御に代えたり、公知の微小製造法を用いてマイクロミラーの下に回路を形成したりすることによっても実現することが可能である。
【0013】
2自由度回転を有するとともに1自由度並進を有し、且つ、これらを独立して制御することができるマイクロミラー群を備えたアレイによって、レンズは、任意の形状及び/または任意のサイズで形成することができる。入射光線は、任意の形状及び/または任意のサイズで形成されたレンズによって、任意に変調する。これをするには、2自由度回転と1自由度並進を制御することによって、入射光線を任意の方向へ屈折させる必要がある。個々のマイクロミラーの独立した並進は、位相状態を充足させるためにも必要である。
【0014】
レンズ系の光軸に対してレンズが傾斜しているような構成の場合は、2自由度回転を有するか、もしくは2自由度回転を有するとともに1自由度並進を有するマイクロミラーを備えたレンズにとって、個々のマイクロミラーは、独立して制御されることが好ましい。また、上記の構成の場合、1自由度回転を有するか、もしくは1自由度回転を有するとともに1自由度並進を有するマイクロミラーを備えたレンズにとって、マイクロミラー群は楕円に沿って配置され、且つ、そのマイクロミラー群が楕円に沿って配置された電極群によって制御されることが好ましい。
【0015】
更には、マイクロミラーは、ミラーの小さな回転で多数の絞り(アパーチャー)を容易に得るために、平板よりも、所定の曲率をもつ曲面に配置される。
【0016】
より好ましくは、電極ワイヤーは、高い導電率を有する材料(例えば、高い導電率の金属)からなり、これにより、ワイヤーの電気抵抗を低減させることができる。
【0017】
本発明の優位な点は、(1)各マイクロミラーが極めて小さい質量であるため、マイクロミラーアレイレンズは応答速度が非常に速く、(2)マイクロミラーの最大回転角度が増加したことによって実現される多数の絞りにより、本発明に係るレンズの焦点距離を様々に可変することができ、(3)本発明に係るレンズは、高い光学焦点効率を実現でき、(4)本発明に係るレンズは、光学特性を損なうことなく、大きなサイズの絞りを実現できる。本発明に係るマイクロミラーアレイレンズは、個々のマイクロミラーから構成されているので、レンズの形状誤差による収差の発生を増加させることなく、レンズサイズを大きくすることができ、(5)大量生産性に優れていることから、本発明に係るレンズを安価で提供することができ、(6)本発明に係るレンズは、収差を補正することができ、(7)本発明に係るレンズは、焦点合わせを簡素に実現でき、(8)レンズを任意の形状及び/または任意のサイズに構成することができる。
【0018】
また、以下に説明する実施形態は、本発明に対する理解をより一層深めることに役立つだろう。
【0019】
また、以下に示す図面も、本発明に対する理解をより一層深めることに役立つだろう。
【0020】
図1は、マイクロミラーアレイレンズの第1の実施形態を示す断面図である。
【0021】
図2は、マイクロミラーアレイと駆動手段とから構成される本発明に係るマイクロミラーアレイレンズの構造を示した平面図である。
【0022】
図3は、マイクロミラーアレイレンズがどのように機能して1つのレンズとなるのかを説明した図である。
【0023】
図4は、マイクロミラーの2つの回転軸と、1つの並進軸とを示した図である。
【0024】
図5(a)は、六角形のマイクロミラーを備えたレンズ群を示した図である。
【0025】
図5(b)は、六角形のマイクロミラーを備えたレンズ群を示した図である。
【0026】
図6は、四角形のマイクロミラーを備えた円柱状のレンズを示した図である。
【0027】
図7は、三角形のマイクロミラーを備えた円形レンズを示した図である。
【0028】
図8は、マイクロミラーアレイレンズの第2の実施形態を示す断面図である。
【0029】
図9は、どのようにして1つのDOF回転のみで、マイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズが1つのレンズとして機能するかを示した図である。
【0030】
図10は、1つのDOF回転を有するマイクロミラー群と、駆動手段とを備えた円形のマイクロミラーアレイレンズを示した平面図である。
【0031】
図11は、四角形のマイクロミラー群を備えた円筒状のレンズを示した図である。
【0032】
図12は、マイクロミラーアレイレンズの第3の実施形態を示す断面図である。
【0033】
図13は、どのようにして2つのDOF回転で、マイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズが1つのレンズとして機能するかを示した図である。
【0034】
図14は、マイクロミラー群と駆動手段とを備えたマイクロミラーアレイレンズの構造の一形態を示した平面図である。
【0035】
図15は、マイクロミラーの2つの回転軸を示した図である。
【0036】
図16(a)は、六角形のマイクロミラーを備えたレンズ群を示した図である。
【0037】
図16(b)は、六角形のマイクロミラーを備えたレンズ群を示した図である。
【0038】
図17は、四角形のマイクロミラーを備えた円柱状のレンズを示した図である。
【0039】
図18は、三角形のマイクロミラーを備えた円形のレンズを示した図である。
【0040】
図19は、マイクロミラーアレイレンズの第4の実施形態を示す断面図である。
【0041】
図20は、マイクロミラー群と駆動手段とを備えたマイクロミラーアレイレンズの構造の一形態を示した平面図である。
【0042】
図21は、マイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズがどのようにして1つのレンズとして機能するかを示した図である。
【0043】
図22は、四角形のマイクロミラーを備えた円柱状のレンズを示した図である。
【0044】
図23は、フレネル回折理論によるフォーカスができる第5の実施形態におけるマイクロミラーアレイレンズのゾーンプレートを示した図である。
【0045】
図24は、マイクロミラーアレイレンズがどのようにして1つのレンズとして機能するかを示した図である。
【0046】
図25は、フレネル回折を利用したマイクロミラーアレイレンズの平面図と断面図である。
【0047】
図26は、マイクロミラーアレイレンズの一構造を示した平面図である。
【0048】
図27は、単一の並進を有するマイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズの断面図である。
【0049】
図28は、単一の並進を有する六角形マイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズの一例を示した図である。
【0050】
図29は、曲面上に配置されたマイクロミラーアレイレンズを示した断面図である。
【0051】
図30は、楕円形状のマイクロミラー群と、楕円形状の駆動手段とを備えたマイクロミラーアレイレンズを示した平面図である。
【0052】
図31は、分割電極を備えたマイクロミラーを示した図である。
【0053】
〔実施形態の詳細な説明〕
米国特許出願番号10/855,554、10/855,715、10/855,287、10/857,796、10/857,714、10/857,280、10/872,241、及び10/893,039は、本願明細書に明記されているように、本願明細書に参照として引用されるものである。
【0054】
本発明に係るマイクロミラーアレイレンズの第1の実施形態について、図1から図7に基づいて説明する。
【0055】
図1は、マイクロミラーアレイレンズ111の主要部を示している。所望のレンズを実現するためには、下記の2つの条件を満たす必要がある。1つ目の条件は、集光条件である。具体的には、被写体の1点からの全ての散光を、像面の1点に集光させることである。そして、2つ目の条件は、位相状態である。具体的には、像面に集光される全ての光線を、同じ位相とすることである。所望のレンズを実現するために、反射レンズ112の表面形状は、被写体の1点からの全ての散光を、像面の1点に集光させることができるように、且つ、集光される全ての光線の光学距離が互いに等しくなるように形成される。
【0056】
平面に配置されたマイクロミラーアレイは、上記の2つの条件を充足する。個々のマイクロミラー113は、散光を集光するために回転する。マイクロミラーアレイレンズ111の全てのマイクロミラー113は図1に示すように平面に配置されているから、マイクロミラー113の回転によって集光される光線の光学距離は、互いに異なる。けれども、たとえ集光光線の光学距離が互いに異なっていても、光線の位相は周期的であるので、位相を調節することによって同じ位相条件を満たすことができる。
【0057】
図2は、マイクロミラーアレイレンズ121の平面図である。マイクロミラー122は、鏡と同じ機能を有している。従って、マイクロミラー122の反射面は、金属、金属化合物、または多層誘電体といった高反射率材料か、あるいは、他の高反射率材料から構成する。公知のマイクロ製造技術を用いることによって、高い反射率のマイクロミラー表面を形成することができる。個々のマイクロミラー122は、公知の駆動手段によって、静電的に及び/または電磁気的に制御される。軸対称レンズの場合、マイクロミラーアレイレンズ121は、マイクロミラー122は、極(polar)アレイとなっている。個々のマイクロミラー122は、光学特性を高めるべく、有効反射領域を大きくするために、扇形状になっている。マイクロミラー122は、軸対称レンズを形成するべく、1つ以上の同心円を形成している。そして、同じ円に配置されているマイクロミラー122は、同じ電極群によって制御されるか、あるいは、MOSやCMOSといった公知の半導体マイクロエレクトロニクス技術を用いて、個々に制御される。
【0058】
個々の反射ミラー122を支持するための構造体と、駆動手段123とは、有効反射領域を大きくするために、マイクロミラー122の下方に配置される。また、マイクロミラーを操作するための電気回路は、MOSやCMOSといった公知の半導体マイクロエレクトロニクス技術に代えることができる。マイクロミラーアレイ下にマイクロエレクトロニクス回路を用いることにより、動作電力を提供するために用いられる電極パッドやワイヤーのために必要だったエリアを考慮する必要がなくなるため、有効反射領域を広げることができる。
【0059】
図3は、マイクロミラーアレイレンズ131が、どのように像を取得するかについて示した図である。任意の散光132,133は、マイクロミラー134の位置を制御することにより、像面の1点Pに集光する。任意の散光132,133の位相は、マイクロミラー134の並進によって、互いに等しくなるように調節される。並進は、少なくとも、光の半波長ほど必要である。
【0060】
また、個々のマイクロミラー134は、曲率を有することが望ましい。なぜなら、軸対称レンズの理想形が曲率を有したものであるからである。もしマイクロミラーのサイズが十分に小さいならば、平面のマイクロミラー134を備えたレンズの収差も十分小さくなるので、この場合は、マイクロミラーは曲率を有していなくてもよい。
【0061】
マイクロミラーアレイレンズ131の焦点距離fは、個々のマイクロミラー134の回転と並進を制御することによって可変される。
【0062】
図4は、2自由度回転を有するとともに1自由度並進を有するマイクロミラー141を示す。マイクロミラー141を有するアレイは、2自由度回転142,143と、1自由度並進144を有しており、これらは独立して制御されることによって、レンズを任意の形状及び/またはサイズに形成することを可能にしている。入射光線は、任意の形状及び/またはサイズに形成されたレンズによって任意に変調される。そのためには、2自由度回転142,143を制御することによって、入射光線を任意の方向へ屈折させる必要がある。個々のマイクロミラー141の独立した並進144は、位相状態を充足させるためにも必要である。
【0063】
図5(a)、図5(b)、図6及び図7では、マイクロミラーの回転量を矢印152の長さで表し、マイクロミラーの回転方向を示すためのプロファイル勾配方向を矢印152の方向で表している。図5(a)は、六角形のマイクロミラー151を備えた円筒形の焦点距離可変レンズを示している。図5(b)は、六角形のマイクロミラー151を備えた円形の焦点距離可変レンズ153を示している。円形の焦点距離可変レンズの形状、位置及びサイズは、2自由度回転を有し、且つ1自由度並進を有している個々のマイクロミラー151を制御することによって変えることができる。図5(b)及び図7では、レンズの構成要素ではないマイクロミラー155が、結像またはフォーカシングに影響を与えない程度に光がマイクロミラー155によって反射されるように制御されている。
【0064】
図5(a)及び図5(b)に示した六角形のマイクロミラー155を、扇型、長方形、正方形及び三角形としてもよい。扇型のマイクロミラーのアレイは、軸対称レンズに適している。図6は、長方形のマイクロミラー162を備えた円筒形の焦点距離可変レンズ161を示している。正方形あるいは長方形のマイクロミラー162を備えたアレイは、円筒型レンズ161のような面内軸を有する対称レンズに適している。同じ回転を行うマイクロミラー同士は、同じ電極によって制御されてもよく、あるいは、MOSやCMOSといった公知の半導体マイクロエレクトロニクス技術によって制御されてもよい。
【0065】
図7は、三角形のマイクロミラー172を備えた円形の焦点距離可変レンズ171を示している。三角形のマイクロミラー172のアレイは、六角形のマイクロミラーを備えたアレイと同じく、任意の形状及び/またはサイズのレンズに適している。
【0066】
マイクロミラーアレイレンズは、個々のマイクロミラーの並進144と回転142,143とを独立して制御することによって光線の位相を変化させることができるので、適応光学構造体である。適応光学マイクロミラーアレイレンズは、個々にアドレス可能な2次元アレイを必要とするものである。これを実現するためには、オンチップエレクトロニクスを有するマイクロミラー群と一体化する必要がある。そのためには、公知のマイクロエレクトロニクス回路を有するマイクロミラー群のウエハレベルの集積が必要となる。
【0067】
マイクロミラーアレイレンズは、光線の位相エラー(フェーズエラー)を補正することができる、及び/または、近軸像の規定を外れた像を生じるレンズ系の欠陥を補正することができる。上記した光線の位相エラーを補正は、適応光学構造体が、被写体とその像との間にある中間物が原因となって生じる光線の位相エラーを補正することができるからである。また、例えば、マイクロミラーアレイレンズは、並進144及び回転142,143を制御することによって、光学チルトによる位相エラーを補正することもできる。
【0068】
マイクロミラーアレイレンズによって実現された同じ位相状態のものは、単色光を占有する。従って、カラー像を得るためには、マイクロミラーアレイレンズは、赤(R)、緑(G)、青(B)の各波長に対して、それぞれ同じ位相状態を満たすように制御される。また、結像系には、赤(R)、緑(G)、青(B)の波長とともに、単色光をもたらすための帯域通過フィルターを用いてもよい。
【0069】
仮に、マイクロミラーアレイレンズを用いた結像系において、カラー光電センサが画像センサとして使用されたならば、帯域通過フィルターの有無に関わらず、マイクロミラーアレイレンズの制御と同期したR・G・Bの画像センサからの電気的信号を処理することによってカラー画像を得ることができる。或る被写体から散乱する赤(R)の光の像を形成(結像)するためには、マイクロミラーアレイレンズは、赤の光線の位相状態を充足するために制御される。操作中、R・G・Bの画像センサが、或る被写体から散乱する赤(R)・緑(G)・青(B)のそれぞれの光線の強度を測定する。それらのうち、赤の光線の強度のみが画像データとして保存される。なぜなら、赤の光線のみが適切に結像されているからである。緑もしくは青の光の像をそれぞれ形成(結像)するためには、上記した赤の場合と同様の動作が、マイクロミラーアレイレンズ及び画像センサにおいて行われる。従って、マイクロミラーアレイレンズは、赤(R)・緑(G)・青(B)の画像センサと同期している。また上記の代わりに、位相状態のための有効波長として、赤(R)・緑(G)・青(B)の光線の波長の最小公倍数を用いれば、赤(R)・緑(G)・青(B)の光線の同じ位相状態が満たされる。この場合、マイクロミラーアレイレンズは、赤(R)・緑(G)・青(B)のそれぞれの光線の位相状態が充足されるように制御される必要はない。代わりに、波長の最小公倍数の位相状態が充足される。
【0070】
簡素な制御のためには、赤(R)・緑(G)・青(B)の光線のうちの1つの光線に対する位相状態を満たすために個々のマイクロミラーの回転のみが制御されるか、赤(R)・緑(G)・青(B)のいずれの光線の位相状態を満たすためのマイクロミラーの回転の制御はまったくなされない。
【0071】
1自由度回転を有するマイクロミラー群を備えた、本発明に係る焦点距離可変レンズの第2の実施形態を、図8から図11に示す。
【0072】
図8は、図1に示した第1の実施形態に対応させて、マイクロミラーアレイレンズ211、反射レンズ212及びマイクロミラー群213の主要部を示した図である。
【0073】
図9は、1自由度回転を有するマイクロミラーを備えたマイクロミラーアレイレンズ221が、どのように像を形成するかを示した図である。任意の散光222,223は、マイクロミラー224の位置が制御されることによって、像面の1点Pにて集光する。任意の散光222,223の位相は、同じ位相状態には調節されていない。同じ位相状態に調節されていなくとも、精度が低い結像またはフォーカシングならば可能である。
【0074】
図10は、1自由度回転を有するマイクロミラー群を備えた円形のマイクロミラーアレイレンズの平面図である。全てのマイクロミラーが平面内に配置されている。これらは、公知のマイクロ製造技術によって製造される。
【0075】
反射レンズ212の理想形は、曲率を有したものであるため、個々のマイクロミラー232も、曲率を有したものであることが好ましい。レンズの焦点距離変化に応じて、マイクロミラーの曲率が制御される。マイクロミラーの曲率の制御は、電熱的または静電気的な力によって駆動する駆動手段232によって行われる。もしマイクロミラーのサイズが十分に小さいならば、平面のマイクロミラー232を備えたマイクロミラーアレイレンズ233の収差も十分小さくなるので、この場合は、マイクロミラーは曲率を有していなくてもよい。
【0076】
図11は、長方形のマイクロミラー242を備えた円筒形の焦点距離可変レンズ241を示している。
【0077】
2自由度回転を有するマイクロミラー群を備えた、本発明に係る焦点距離可変レンズの第3の実施形態を、図12から図18に示す。
【0078】
図12は、図1に示した第1の実施形態に対応させて、マイクロミラーアレイレンズ311、反射レンズ312及びマイクロミラー群313の主要部を示した図である。
【0079】
図13は、2自由度回転を有するマイクロミラーを備えたマイクロミラーアレイレンズ321が、どのように像を形成するかを示した図である。任意の散光322,323は、マイクロミラー324の位置が制御されることによって、像面の1点Pにて集光する。任意の散光322,323の位相は、同じ位相状態には調節されていない。同じ位相状態に調節されていなくとも、精度が低い結像またはフォーカシングならば可能である。
【0080】
反射レンズ312の理想形は、曲率を有したものであるため、個々のマイクロミラー324も、曲率を有したものであることが好ましい。レンズの焦点距離変化に応じて、マイクロミラーの曲率が制御される。マイクロミラーの曲率の制御は、公知の電熱的または静電気的な力によって行われる。もしマイクロミラーのサイズが十分に小さいならば、平面のマイクロミラー232を備えたマイクロミラーアレイレンズ233の収差も十分小さくなるので、この場合は、マイクロミラーは曲率を有していなくてもよい。マイクロミラーアレイレンズ321の焦点距離fの変化は、2自由度回転を有する個々のマイクロミラーを制御することによって行われる。
【0081】
図14は、円形のマイクロミラーアレイレンズ331と、マイクロミラー332と、駆動手段333とを、第1の実施形態の図2に示した構成に対応させて示した平面図である。全てのマイクロミラーが平面内に配置されている。これらは、公知のマイクロ製造技術によって製造される。
【0082】
図15は、2自由度回転を有するマイクロミラーを示した図である。個々に制御可能な2自由度回転342,343を有するマイクロミラー341を備えたアレイは、任意の形状及び/またはサイズのレンズを実現することができる。入射光線は、任意の形状及び/またはサイズのレンズを形成することで、任意に変調させることができる。そのためには、2自由度回転342,343を制御することによって、入射光線を任意の方向へ屈折させる必要がある。
【0083】
図16(a)、図16(b)、図17及び図18では、マイクロミラーの回転量を矢印352の長さで表し、マイクロミラーの回転方向を矢印352の方向で表している。図16(a)は、六角形のマイクロミラー351を備えた円筒形の焦点距離可変レンズを示している。図16(b)は、六角形のマイクロミラー351を備えた円形の焦点距離可変レンズ353を示している。円形の焦点距離可変レンズ353の形状、位置及びサイズは、2自由度回転を有している個々のマイクロミラー351を制御することによって変えることができる。図16(b)及び図18では、レンズの構成要素ではないマイクロミラー355が、結像またはフォーカシングに影響を与えない程度に光がマイクロミラー355によって反射されるように制御されている。
【0084】
図17は、長方形のマイクロミラー362を備えた円筒形の焦点距離可変レンズ361を示している。正方形あるいは長方形のマイクロミラー362を備えたアレイは、円筒型レンズ361のような面内軸を有する対称レンズに適している。同じ回転を行うマイクロミラー同士は、同じ電極か、個々に電極によって制御される。
【0085】
図18は、三角形のマイクロミラー372を備えた円形の焦点距離可変レンズ371を示している。
【0086】
1自由度回転を有するとともに1自由度並進を有するマイクロミラー群を備えた、本発明に係る焦点距離可変レンズの第4の実施形態を、図19から図22に示す。
【0087】
図19は、図1に示した第1の実施形態に対応させて、マイクロミラーアレイレンズ411、反射レンズ412及びマイクロミラー群413の主要部を示した図である。
【0088】
図20は、マイクロミラーアレイレンズ431と、マイクロミラー432と、駆動手段433とを、第1の実施形態の図2に示した構成に対応させて示した平面図である。
【0089】
図21は、上記した第1の実施形態の図3に対応させて、入射光線432,433と、マイクロミラー群434と、マイクロミラーアレイレンズ431がどのように像を形成するかを示した図である。
【0090】
図22は、上記した第1の実施形態の図6に対応させて、長方形のマイクロミラー422を備えた円筒形の焦点距離可変レンズ441を示している。
【0091】
本実施形態のマイクロミラーアレイレンズは、個々のマイクロミラーの並進と回転とを制御することで光線の位相を変えることから、上記した第1の実施形態のマイクロミラーアレイレンズと類似した適応光学構造体であるといえる。
【0092】
上記した第1の実施形態で説明した単色光、及びR・G・Bの光における等しい位相状態は、本実施形態においても当てはまる。
【0093】
1自由度並進を有するマイクロミラー群を備えた、本発明に係る焦点距離可変レンズの第5の実施形態を、図23から図28に示す。
【0094】
図23は、ゾーンプレートを示している。グレー領域(ゾーン)511は、光が遮断されている領域である。図23の左側にある(a)のゾーンプレートは、偶数ゾーンで光が遮断されており、図23の右側にある(b)のゾーンプレートは、奇数ゾーンで光が遮断されている。けれども、これらのゾーンプレートは、ともに同じ焦点で同じ強度である。ゾーンは全て同じ面積であり、且つ、隣接するゾーン毎から焦点までの光路長の差は、半波長である。焦点距離は、ゾーンの幅を変えることによって変化する。
【0095】
図24は、上記した第1の実施形態の図1に対応させたマイクロミラーアレイレンズの主要部を示した図である。図24には、上記した第1の実施形態の図3に対応させて、マイクロミラーアレイレンズ521がどのように像を形成するかについても示している。
【0096】
図25(a)は、奇数及び偶数ゾーンプレート531を備えたレンズを示している。2つのゾーンプレートでの半有り難うございます半波長位相差を補償するために、奇数ゾーン532が並進される。表面全体は、平面に対する正常軸に沿って並進されたマイクロミラーから構成される。マイクロミラーは光を反射させることから、必要とするマイクロミラーの並進距離は、半波長の位相差となるために4分の1波長とする。
【0097】
図26は、マイクロミラーアレイレンズ541と、マイクロミラー542と、駆動手段543とを、第1の実施形態の図2に示した構成に対応させて示した平面図である。
【0098】
個々のマイクロミラー551の並進動作を精度良く行うことにより、より一層改善した像を得ることができる。図27は、これを図示したものである。レンズの放射軸に沿って、各ゾーンは複数のマイクロミラー552を備えている。1つのゾーン内における相変化がΠラジアン(pi radian)であるから、レンズの収差は非常に大きなものとなる。もし、個々のマイクロミラーのサイズをより高精度に制御することができるなら、レンズの収差は、低減することができる。
【0099】
個々に制御されたマイクロミラーは、任意の形状及び/または任意のサイズのレンズを形成することができる。入射光線は、任意の形状及び/またはサイズのレンズを形成することで、任意に変調させることができる。そのためには、並進を制御することによって、入射光線を任意の方向へ屈折させる必要がある。
【0100】
図28には、六角形のマイクロミラー561を備えたマイクロミラーアレイレンズ562の一例を示している。明るいグレーの各マイクロミラー561は、大きく並進したミラーを示し、濃いグレーの各マイクロミラー561は、わずかに並進したミラーを示している。レンズの構成要素ではないマイクロミラー563が、結像またはフォーカシングに影響を与えない程度に光がマイクロミラー563によって反射されるように制御されている。
【0101】
扇型、長方形、正方形及び三角形のマイクロミラーのアレイを、マイクロミラーレンズとして用いることができる。扇型のマイクロミラーのアレイは、軸対称レンズに適している。正方形あるいは長方形のマイクロミラーを備えたアレイは、円筒型レンズのような面内軸を有する対称レンズに適している。三角形のマイクロミラー172のアレイは、六角形のマイクロミラーを備えたアレイと同じく、任意の形状及び/またはサイズのレンズに適している。
【0102】
本実施形態のマイクロミラーアレイレンズは、個々のマイクロミラーの並進と回転とを制御することで光線の位相を変えることから、上記した第1の実施形態のマイクロミラーアレイレンズと類似した適応光学構造体であるといえる。
【0103】
上記した第1の実施形態で説明した単色光、及びR・G・Bの光における等しい位相状態は、本実施形態においても当てはまる。
【0104】
以上の5つの実施形態においては、レンズは、更なる改良を加えることによってより一層改善することができる。
【0105】
上記した5つの実施形態の焦点距離可変レンズにおいては、図1に示したように、全てのマイクロミラーが平面内に配置している。マイクロミラーアレイレンズの絞りを多数実現するためには、大きな角度でマイクロミラーを回転する必要がある。これは、非常に困難なことである。この難点は、マイクロミラー613は、図29に示すように、所定の曲率で湾曲した面612に配置するか、もしくは、所定のフォーカスを有する放物面に配置することによって解消することができる。
【0106】
他の改善点としては、電極ワイヤーを、金属のような高導電率材料から構成することが挙げられる。これにより、電気抵抗を低くして、マイクロミラー用の電極への電圧供給をより一層容易にできる。
【0107】
他の改善点としては、マイクロミラーの反射率を高めるために、多層誘電体によってコーティングされたアルミニウムや、酸化防止剤によってコーティングされたアルミニウムや、多層誘電体によってコーティングされた銀や、酸化防止剤によってコーティングされた銀や、金や、多層誘電体によってコーティングされた金が挙げられる。アルミニウムは、可視光の帯域において高い反射率を有しており、且つ、加工しやすく、安価である。銀は、可視光の帯域において非常に高い反射率を有している。金は、赤外線の帯域で非常に高い反射率を有している。アルミニウムや銀や金を多層誘電体でコーティングすることによって反射率をより一層高めることができる。酸化防止剤は、アルミニウムや銀や金を経時的な酸化から守る機能を有している。
【0108】
更には、焦点距離可変レンズは、適応光学構造体である。レンズが反射型であるから、像に対してレンズを斜めに配置する必要がある。これは、収差のことを考慮したためである。マイクロミラーを個々に制御することにより、レンズは、被写体が光軸上から外れている場合に収差を補正する。
【0109】
SPIE論文や上記した実施形態においては、レンズは軸対称で、電極群は、同心円に沿って配置されている。レンズ系の光軸に対してレンズが斜めに配置されているいくつかの例においては、2自由度回転を有するマイクロミラーを個々に制御するか、マイクロミラーを楕円に沿って配置して、楕円に沿って配置された電極によって制御されることが好ましい。図30は、マイクロミラー732を1つ以上の楕円形731を形成するように配置したものである。同じ楕円に配置されたマイクロミラー同士は、軸対称レンズのように、同じ電極群によって制御される。
【0110】
分割電極860を用いた個別制御マイクロミラー(Discretely Controlled Micromirror (DCM))の形態を図31に示している。静電マイクロミラーとの比較において、この形態は、異なる領域、異なる位置、個別の電圧を有する複数の分割電極860を備えている。この形態の場合、制御回路用の公知マイクロエレクトロニクス技術との互換性を除いて、静電マイクロミラーと同じ欠点がある。マイクロミラー861は、異なる領域、異なる位置、個別の電圧を有する分割電極860との組み合わせにより、好ましくは3自由度を有している。
【0111】
なお、本発明の実施形態およびその利点について詳しく説明してきたが、添付の請求項によって規定される本発明の精神と範囲とに反することなく、様々な変更、置換、改変を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】マイクロミラーアレイレンズの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】マイクロミラーアレイと駆動手段とから構成される本発明に係るマイクロミラーアレイレンズの構造を示した平面図である。
【図3】マイクロミラーアレイレンズがどのように機能して1つのレンズとなるのかを説明した図である。
【図4】マイクロミラーの2つの回転軸と、1つの並進軸とを示した図である。
【図5(a)】六角形のマイクロミラーを備えたレンズ群を示した図である。
【図5(b)】六角形のマイクロミラーを備えたレンズ群を示した図である。
【図6】四角形のマイクロミラーを備えた円柱状のレンズを示した図である。
【図7】三角形のマイクロミラーを備えた円形レンズを示した図である。
【図8】マイクロミラーアレイレンズの第2の実施形態を示す断面図である。
【図9】どのようにして1つのDOF回転のみで、マイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズが1つのレンズとして機能するかを示した図である。
【図10】1つのDOF回転を有するマイクロミラー群と、駆動手段とを備えた円形のマイクロミラーアレイレンズを示した平面図である。
【図11】四角形のマイクロミラー群を備えた円筒状のレンズを示した図である。
【図12】マイクロミラーアレイレンズの第3の実施形態を示す断面図である。
【図13】どのようにして2つのDOF回転で、マイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズが1つのレンズとして機能するかを示した図である。
【図14】マイクロミラー群と駆動手段とを備えたマイクロミラーアレイレンズの構造の一形態を示した平面図である。
【図15】マイクロミラーの2つの回転軸を示した図である。
【図16(a)】六角形のマイクロミラーを備えたレンズ群を示した図である。
【図16(b)】六角形のマイクロミラーを備えたレンズ群を示した図である。
【図17】四角形のマイクロミラーを備えた円柱状のレンズを示した図である。
【図18】三角形のマイクロミラーを備えた円形のレンズを示した図である。
【図19】マイクロミラーアレイレンズの第4の実施形態を示す断面図である。
【図20】マイクロミラー群と駆動手段とを備えたマイクロミラーアレイレンズの構造の一形態を示した平面図である。
【図21】マイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズがどのようにして1つのレンズとして機能するかを示した図である。
【図22】四角形のマイクロミラーを備えた円柱状のレンズを示した図である。
【図23】フレネル回折理論によるフォーカスができる第5の実施形態におけるマイクロミラーアレイレンズのゾーンプレートを示した図である。
【図24】マイクロミラーアレイレンズがどのようにして1つのレンズとして機能するかを示した図である。
【図25】フレネル回折を利用したマイクロミラーアレイレンズの平面図と断面図である。
【図26】マイクロミラーアレイレンズの一構造を示した平面図である。
【図27】単一の並進を有するマイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズの断面図である。
【図28】単一の並進を有する六角形マイクロミラー群を備えたマイクロミラーアレイレンズの一例を示した図である。
【図29】曲面上に配置されたマイクロミラーアレイレンズを示した断面図である。
【図30】楕円形状のマイクロミラー群と、楕円形状の駆動手段とを備えたマイクロミラーアレイレンズを示した平面図である。
【図31】分割電極を備えたマイクロミラーを示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロミラーを備えた焦点距離可変レンズであって、
個々の上記マイクロミラーが制御されることによって、該焦点距離可変レンズの焦点距離が変わることを特徴とする焦点距離可変レンズ。
【請求項2】
上記マイクロミラーの1自由度並進が、制御されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項3】
上記マイクロミラーの1自由度回転が、制御されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項4】
上記マイクロミラーの1自由度並進及び1自由度回転が、制御されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項5】
上記マイクロミラーの2自由度回転が、制御されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項6】
上記マイクロミラーの2自由度回転及び1自由度並進が、制御されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項7】
上記マイクロミラー同士は、独立して制御されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項8】
1つの上記マイクロミラーは、該マイクロミラーの位置を決定するための複数の分割電極を有していることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項9】
上記ワイヤーは、高い導電率を有する材料から構成されていることを特徴とする請求項11に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項10】
上記ワイヤーは、金属から構成されていることを特徴とする請求項12に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項11】
マイクロエレクトロニクス製造技術を用いることによって、上記マイクロミラー下に制御回路網が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項12】
上記マイクロミラーの反射面は、ほぼ平坦であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項13】
上記マイクロミラーの反射面は、曲率を有していることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項14】
上記マイクロミラーの上記曲率は、調整されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項15】
上記マイクロミラーの上記曲率は、電熱力を用いて調整されることを特徴とする請求項17に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項16】
上記マイクロミラーの上記曲率は、静電力を用いて調整されることを特徴とする請求項17に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項17】
上記マイクロミラーは、扇型であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項18】
上記マイクロミラーは、六角形であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項19】
上記マイクロミラーは、長方形であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項20】
上記マイクロミラーは、正方形であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項21】
上記マイクロミラーは、三角形であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項22】
全ての上記マイクロミラーによって、面一の平板が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項23】
全ての上記マイクロミラーによって、所定の曲率を有する曲面が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項24】
複数の上記マイクロミラーは、1つ以上の同心円となるように配置されて、1つのレンズを形成していることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項25】
各上記同心円上にある上記マイクロミラーは、該同心円に対応する1つ以上の電極によって制御されることを特徴とする請求項27に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項26】
複数の上記マイクロミラーは、1つ以上の楕円となるように配置されて、1つのレンズを形成していることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項27】
同じ上記楕円に配置されている上記マイクロミラー同士は、同じ電極によって制御されることを特徴とする請求項29に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項28】
上記マイクロミラーは、静電力によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項29】
上記マイクロミラーは、電磁力によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項30】
上記マイクロミラーは、静電力及び電磁力によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項31】
上記マイクロミラーの表面材料は、高い反射率を有するもので構成されていることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項32】
上記マイクロミラーの表面材料は、金属であることを特徴とする請求項34に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項33】
上記マイクロミラーの表面材料は、多層誘電体によってコーティングされたアルミニウムであることを特徴とする請求項34に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項34】
上記マイクロミラーの表面材料は、酸化防止剤によってコーティングされたアルミニウムであることを特徴とする請求項34に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項35】
上記マイクロミラーの表面材料は、多層誘電体によってコーティングされた銀であることを特徴とする請求項34に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項36】
上記マイクロミラーの表面材料は、酸化防止剤によってコーティングされた銀であることを特徴とする請求項34に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項37】
上記マイクロミラーの表面材料は、金を含有していることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項38】
上記マイクロミラーの表面材料は、多層誘電体によってコーティングされた金であることを特徴とする請求項42に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項39】
上記マイクロミラーの下方に、上記マイクロミラーを支持するための構造体と、駆動手段とが配設されていることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項40】
上記焦点距離可変レンズは、被写体と該被写体の像との間にある中間物によって生じる光線のフェーズエラーを補償する適応光学構造体であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項41】
上記焦点距離可変レンズは、収差を補正する適応光学構造体であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項42】
上記焦点距離可変レンズは、近軸像の規定から外れた像を生じる結像システムの欠陥を補正する適応光学構造体であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項43】
上記焦点距離可変レンズは、光軸上に位置していない被写体を巨視的な機械移動をさせることなく、結像させる適応光学構造体であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項44】
上記焦点距離可変レンズは、光軸上に位置していない被写体であっても、個々の上記マイクロミラーを制御することによって、収差を補正できる適応光学構造体であることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項45】
カラー画像を得るために、上記焦点距離可変レンズは、赤、緑、青の各波長を、等しい位相状態にするように制御することを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項46】
カラー画像を得るために、上記焦点距離可変レンズは、赤、緑、青の波長の中から1つの波長を、等しい位相状態にするように制御することを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項47】
カラー画像のための上記等しい位相状態を得るために、該位相状態の有効波長として、赤、緑、青の光線の最小公倍数の波長が用いられることを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。
【請求項48】
上記マイクロミラーは、カラー画像のための上記等しい位相状態を得るためには制御されないことを特徴とする請求項1に記載の焦点距離可変レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2008−519313(P2008−519313A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540143(P2007−540143)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/040329
【国際公開番号】WO2006/052908
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(506277258)ステレオ ディスプレイ,インコーポレイテッド (13)
【出願人】(506278004)アングストローム,インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】