マイクロ波エネルギー相互作用断熱シート及びシステム
電子レンジ内の食品を加熱し、焦げ目を付け、且つ/又はカリカリに焼くために用いるマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造が、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、複数の断熱セルと、少なくとも1つの開口とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで加熱できる食品を加熱又は加熱調理するための種々の材料、パッケージ、構造体及びシステムに関する。特に、本発明は、生地又は外皮を有する食品を電子レンジにおいて加熱又は加熱調理するための種々の材料、パッケージ、構造体及びシステムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2007年2月8日付で出願された米国特許仮出願第60/900,227号(その全体は参照により本明細書中に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
電子レンジは、ピザ及びパイのような生地から作られる製品を含む、種々の食品を加熱する便利な手段を提供する。しかしながら、電子レンジは、そのような食品を不均等に加熱調理する傾向があり、十分な加熱と、焦げ目が付いて、カリカリに焼けた外皮との所望のバランスを達成することはできない。したがって、生地から作られた食品を電子レンジにおいて所望の程度に加熱し、焦げ目を付け、且つカリカリに焼くことを提供する、改善された材料及びパッケージが引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は包括的には、電子レンジにおける食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを改善するためのスリーブ、ディスク、トレー、カートン、パッケージ及び他の構造体(総じて「構造体」と呼ぶ)を形成するために用いることができる種々のマイクロ波エネルギー相互作用構造又は材料に関する。本発明の種々の構造は包括的には、向かい合い、概ね接触しており、層を形成するような構成で組み立てられ、且つ/又は互いに接合される複数の構成要素又は層を含む。マイクロ波エネルギーが十分に照射されると、その構造は、概ね平坦な平面構造から、多次元の断熱構造に変形する。その構造は、食品と環境との間の断熱を提供することができ、食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを改善する1つ又は複数の特徴を備えることができる。そのような構造は、本明細書において、「マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造」、「マイクロ波エネルギー相互作用断熱材料」、「断熱材料」又は「断熱構造」と呼ばれることがある。この断熱構造は、種々の形状のシートに切断するか、若しくは形成することができ、且つ/又は種々のカートン若しくは他のパッケージに組み込むことができる。所望により、その構造は、加熱の際に食品を持ち上げるためのトレー又はプラットフォームと共に用いることができるシートに切断することができる。
【0005】
その構造は包括的には、少なくとも1つのマイクロ波エネルギー相互作用要素、例えば、入射するマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を熱エネルギーに変換するサセプタを含む。少なくとも1つの開口が、マイクロ波エネルギー相互作用要素を貫通して、且つ任意に、その構造の種々の他の層のうちの1つ又は複数を貫通して延在する。
【0006】
一態様において、本発明は、第1のポリマーフィルム層上に支持されるマイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層に接合される水分含有層と、水分含有層がマイクロ波エネルギー相互材料の層と第2のポリマーフィルム層との間に配置されるように水分含有層に接合される第2のポリマーフィルム層とを備える、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を対象とする。水分含有層は、複数の閉塞セルを画定する所定のパターンにおいて、第2のポリマーフィルム層に接合される。閉塞セルのうちの少なくともいくつかは、マイクロ波エネルギーに反応して膨張することができる。
【0007】
マイクロ波エネルギー相互作用材料は少なくとも1つの開口を囲み、その開口は一般的に、開口に直に隣接する領域において生成される熱を増加させる。その構造は、数多くの方法で配置される複数の開口を含む場合がある。
【0008】
別の態様では、本発明は、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造であって、該マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、断熱層と重ね合わせられ、向かい合う関係で配置されるサセプタフィルムを備え、該断熱層は、概ね閉塞しており、概ね蒸気不浸透性の複数の断熱セルを含む、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を包含する。1つ又は複数の開口がサセプタフィルム及び断熱層を貫通して延在する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、電子レンジにおいて食品を加熱するためのシステムを意図している。システムは、食品を受容するためのプラットフォームと、プラットフォームの上に重なるマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造とを備える。マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、入射するマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を熱エネルギーに変換するマイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層からの熱伝達を低減することができる複数の閉塞セルと、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層及び閉塞セルのうちの少なくともいくつかを貫通して延在する複数の開口とを備えることができる。マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造内の開口及び閉塞セルの相対的な面積は、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造上に置かれる食品の所望の程度の加熱、焦げ目付け、カリカリの焼き上げ及び/又は通気を提供するように選択することができる。所望により、プラットフォームは、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を貫通して延在する開口と整合するように配置される複数の開口を含むことができる。
【0010】
本発明の他の態様、特徴及び利点は以下の説明及び添付の図面から明らかとなるであろう。
【0011】
詳細な説明は添付の図面を参照しており、そのうちのいくつかは概略図であり、いくつかの図面の全体を通じて、類似の参照符号は類似の部品を指している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の種々の態様による、複数の開口を含む例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱シートの概略的平面図である。
【図1B】線1B−1Bに沿って切り取って見た、図1Aのシートの概略的断面図である。
【図1C】マイクロ波エネルギーが照射された際の図1A及び図1Bの断熱シートを示す概略図である。
【図2】本発明の種々の態様による、他の例示的な加熱シートの概略的平面図である。
【図3】本発明の種々の態様による、他の例示的な加熱シートの概略的平面図である。
【図4】本発明の種々の態様による、他の例示的な加熱シートの概略的平面図である。
【図5】本発明の種々の態様による、他の例示的な加熱シートの概略的平面図である。
【図6】本発明の種々の態様による、開口を備えるマイクロ波エネルギー相互作用断熱シート及びトレー又はプラットフォームを含む、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用加熱システムを示す概略図である。
【図7】本発明に従って用いられる場合がある他の例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱材料を示す概略図である。
【図8】本発明に従って用いられる場合がある他の例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱材料を示す概略図である。
【図9】本発明に従って用いられる場合がある他の例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱材料を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は包括的には、電子レンジにおける食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを改善するマイクロ波加熱パッケージ又は他の構造体を形成するために用いることができる種々のマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造に関する。本発明の種々の構造は包括的には、向かい合い、実質的に接触しており、層を成すような構成で組み立てられ、且つ/又は互いに接合される複数の構成要素又は層を含む。種々の断熱構造のそれぞれは、少なくとも1つのマイクロ波エネルギー相互作用要素と、マイクロ波エネルギー相互作用要素を貫通して延在する少なくとも1つの開口とを備える。マイクロ波エネルギー相互作用要素は、所望の程度の食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを達成するように選択される。理論によって束縛されることを望まないが、それらの開口によって、局所化した電界が形成され、それにより、各開口に隣接するシート内のマイクロ波エネルギー相互作用要素の温度が上昇すると考えられる。結果として、開口に隣接及び/又は近接する領域において、隣接する食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを促進することができる。さらに、開口によって、加熱中に生成される水分を放出できるようになり、それにより、食品の焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げがさらに促進される。
【0014】
典型的には、マイクロ波エネルギー相互作用要素は、入射するマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を吸収し、そのエネルギーを食品との接触面において熱エネルギー(すなわち、熱)に変換するのに役立つ、一般的に、厚みが約100オングストローム未満であり、例えば、その厚みが約60オングストローム乃至約100オングストロームであるマイクロ波エネルギー相互作用材料の薄い層(すなわち、「サセプタ」)を含む。サセプタ要素は、食品の表面の焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを促進するために用いられることが多い。サセプタは、取り扱うのを容易にするため、且つ/又はマイクロ波エネルギー相互作用材料と食品との間の接触を防ぐためにマイクロ波エネルギー透過性基材、例えば、紙又はポリマーフィルムの層上に支持される場合がある。さらに、本発明の一態様によれば、サセプタを複数の膨張したセル又は膨張可能なセルと組み合わせて、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造又は材料を形成することができる。膨張したセル又は膨張可能なセルは一般的に、隣接する食品に対して或る程度の断熱を提供することができる。
【0015】
たとえば、図1A及び図1Bはそれぞれ、本発明による例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱シート100の概略的な平面図及び概略的な断面図を示す。この例では、断熱シート100の形状は概ね正方形である。しかしながら、本明細書において示されるか、又は本明細書によって意図されるこの例及び他の例において、種々の断熱シートが、任意の他の適切な形状、例えば、円形、三角形、長方形、台形、又は任意の他の規則的若しくは不規則な形状を有することができる。
【0016】
断熱シート100はサセプタフィルムを含み、該サセプタフィルムは、第1のポリマーフィルム110、例えばポリエチレンテレフタレート上に支持され、寸法安定性のある基材120、例えば紙に接着剤115で張り合わせることによって接合される(又は他の方法で接合される)、マイクロ波エネルギー相互作用材料105の薄い層を含む。基材120は、パターニングされた接着剤130(又は他の方法)を用いて、第2のポリマーフィルム125、例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレートに接合され、材料100内に、概ね蒸気不浸透な複数の閉塞セル135が形成される。
【0017】
図1Aに示されるように、シートは、概ね中央に配置される開口145の周囲に環状に構成されるように配列される複数の開口140を含む。さらに、シート100の対向する一対の縁部155、160に近接して、3つの開口150からなる2組の開口が存在する。それらの開口のうちの少なくともいくつかは、図示される、例えば、開口150で図1Bに示されるように、シート100の全厚を貫通して延在する。開口140、145、150のうちの任意のものが、接着剤130のライン、断熱セル135又はそれらの任意の組み合わせを貫通して延在することができる。
【0018】
この例では、開口140、145、150の形状は概ね円形であり、大きさは概ね等しい。一例では、開口140、145、150は約0.25インチの直径を有する。接着剤のライン間のセルの長さ及び幅は、約1インチにすることができる。別の例では、開口140、145、150は、約0.5インチの直径を有する。他の例では、開口150は省くことができる。しかしながら、数多くの他の大きさ及び構成の開口も意図される。
【0019】
マイクロ波エネルギーが十分に照射されると、閉塞セルは膨張し、それにより、マイクロ波エネルギー相互作用材料が、断熱構造の残りの部分から離れるように、典型的には食品の表面に向かって膨れ出し、変形する。より具体的には、図1C(その図は、開口がないシート100の一部を示す)に示されるように、マイクロ波相互作用材料105が加熱されると、基材120、例えば、紙から放出される水蒸気及び他の気体、並びに閉塞セル135内の第2のポリマーフィルム125と基材120との間の薄い空間内に閉じ込められているいかなる空気も膨張する。閉塞セル135内の水蒸気及び空気の膨張は、一方において、サセプタフィルム110及び基材120に、他方において、第2のポリマーフィルム125に圧力を印加する。閉塞セル135を形成する材料100の各面は、加熱及び蒸気膨張に対して同時に反応するが、特有の反応を示す。セル135は膨張し、キルト風の上側表面165及び下側表面170を形成する。この膨張は、電子レンジ作動において1秒乃至15秒内に生じることができ、場合によっては、2秒乃至10秒内に生じることができる。結果として生じる断熱材料100’は、枕のような外観を有する。マイクロ波加熱が停止すると、セル135は典型的には収縮し、概ね平坦な状態に戻る。
【0020】
そのような構造は、数多くの方法において、電子レンジにおける食品の加熱、焦げ目付け、及びカリカリの焼き上げを促進することができる。最初に、閉塞セル内に含まれる水蒸気、空気及び他の気体が、食品と電子レンジの周囲環境との間の断熱を提供し、それにより、食品内に留まるか、又は食品に伝達される顕熱の量を増加させる。さらに、その構造を嵩上げすることによって、その構造は、食品の表面の形状に、より近密に一致するようになり、それにより、マイクロ波エネルギー相互作用材料が食品に、より近接して配置されると共に、焦げ目付け及び/又はカリカリの焼き上げが促進される。さらに、断熱材料は、電子レンジおいて加熱調理する際に、食品内に水分を保持するのを助けることができ、それにより、食品の食感及び風味を改善することができる。そのような材料のさらなる利点及び態様は、国際出願PCT/US03/03779号、米国特許第7,019,271号、及び2006年6月1日に公開された米国特許出願公開第2006−0113300号において記載されており、それぞれ参照によりその全体が本明細書に援用される。本発明による、開口を備える断熱材料を形成するために用いることができるマイクロ波エネルギー相互作用断熱材料の一例はGraphic Packaging International社(Marietta, Georgia)から市販されているQUILTWAVE(登録商標)パッケージング材料である。
【0021】
少なくとも1つの開口を含むマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、開口を有しない類似の構造に比べて、食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを著しく促進することがわかっている。開口が存在すると、1つ又は複数の膨張可能セルが膨らむ能力が弱められ、それにより、その構造が食品の表面に向かってサセプタを付勢する能力が弱められるように思われるので、この結果は少なくとも理論的には意外である。しかしながら、理論によって束縛されることを望まないが、開口によって、局所化した電界が形成され、それにより、隣接する食品の加熱、焦げ目を付け、及び/又はカリカリの焼き上げが促進されるものと考えられる。さらに、開口が存在することによって、加熱サイクル中に生成される水分を、食品から離れるように導くことができるものと考えられる。結果として、食品の焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げをさらに改善することができる。こうして、全てを考慮すると、開口によって提供される向上された性能は、全体として、構造の断熱特性の損失を上回る。
【0022】
図2乃至図7は、図1のマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造100のいくつかの例示的な変形形態を概略的に示しており、それぞれ本発明による少なくとも1つの開口を含む。種々の例示的な実施形態が本明細書において図示され、詳細に説明されるが、それらの特徴のうちの任意のものを任意の組み合わせで用いることができること、並びに本明細書によれば、そのような組み合わせが意図されることは理解されよう。さらに、簡明化するために、限定ではないが、本明細書では、2つ以上の開口を有する構造が示される。しかしながら、本発明によれば、1つの開口しか持たない構造も意図されることは理解されよう。
【0023】
図2を参照すると、例示的な断熱シート200は、概ね円形の形状を有し、開口205、210が全体として「X」字になるように、概ね中央に配置される開口210の周囲に概ね正方形を構成するように配置される複数の開口205を含む。1つの具体例では、開口205、210は約0.5インチの直径を有することができる。
【0024】
図3では、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱シート300は、概ね中央に配置される開口310の周囲に概ねランダムな構成で配置される複数の開口305を含む。この例では、開口305、310の形状は概ね円形であり、大きさは概ね等しい。しかしながら、開口において数多くの他の形状、大きさ及び配置が意図される。1つの特定の例では、開口305、310は、約0.25インチの直径を有することができる。
【0025】
図4では、マイクロ波エネルギー相互作用断熱シート400は、開口405、410が全体として「X」字になるように、概ね中央に配置される開口410の周囲に概ね正方形を構成するように配置される複数の開口405を含む。断熱シート400は、開口405の周囲に概ね正方形又は菱形を構成するように配置される複数の開口415も含み、開口415は、開口405に対してオフセットされて互い違いに構成される。この例では、開口415のそれぞれは、隣接する開口405の各対間の概ね中央に配置される。種々の例のそれぞれにおいて、開口405は、約0.375インチの直径を有することができ、開口410は約0.25インチの直径を有することができ、且つ/又は開口415は約0.25インチの直径を有することができる。しかしながら、本発明によれば、他の大きさ及び構成も包含される。
【0026】
図5を参照すると、開口505、510は、開口505、510のいずれもが、断熱セル520のいずれにも入り込まない(又は断熱セルの膨張を妨げない)ように、図1の断熱シート100内の接着剤130のラインよりも広い、接着剤515のラインのそれぞれの部分によって囲まれる。それらの開口は、任意の適切な寸法を有することができ、1つの特定の例では、開口505、510のそれぞれは、約0.25インチ、約0.5インチ又は任意の他の適切な直径を有することができる。
【0027】
本明細書において例示される種々の例及び本明細書から意図される数多くの他の例のそれぞれの場合に、マイクロ波エネルギー断熱シートは、食品を電子レンジの床面から隔てるように置くことができるトレー又はプラットフォームと共に用いることができる。このようにして、食品は、マイクロ波エネルギー相互作用材料によって生成される、より多くの熱を断熱シート内に保持できる場合がある。断熱シートは、部分的に、実質的に、若しくは全体的にプラットフォームに固定される場合があるか、又はプラットフォームから離れていることがある。所望により、トレーは1つ又は複数の開口を含むことがあるが、それらの開口は、断熱シート内の開口の大きさ、形状、数及び構成に対応しても、しなくてもよい。このようにして、プラットフォーム及び/又は断熱シート内の開口を通して水分の放出を促進することができ、それにより、食品の焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げが改善される。
【0028】
例えば、図6は、マイクロ波エネルギー相互作用断熱シート605及びプラットフォーム610を含む、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用加熱システムの分解斜視図を示す。断熱シート605は、接着剤620のラインによって画定される複数の膨張可能な断熱セル615を含む。複数の開口625が、概ね中央に配置される開口630の周囲に正方形を構成するように配置される。同様に、プラットフォーム610は、概ね中央に配置される開口640の周囲に正方形を構成するように配置される複数の開口635を含む。開口625は、開口635と概ね整合することができる。開口630は、開口640と概ね整合することができる。
【0029】
図7乃至図9は、例えば、図1乃至図6に示される開口構成、又は任意の他の適切な開口構成を用いて、本発明による開口を設けることができる代替の断熱構造の例を概略的に示す。本明細書において示されるこれらの例及び他の例において、層厚は必ずしも正しく示されていない場合があることは理解されたい。場合によっては、例えば、接着層は他の層に対して非常に薄い場合があるが、それにもかかわらず、層の構成を明らかに示すために、或る厚みで示されている。
【0030】
最初に図7を参照すると、断熱材料700が示されており、2つの対称な層配列が、パターニングされた接着層によって互いに接着されている。第1の対称な層配列は、図の上から始めて、ポリマーフィルム層705と、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層710と、接着層715と、紙又は板紙の層720とを備える。マイクロ波エネルギー相互作用材料710は、ポリマーフィルム層705の少なくとも一部の上に蒸着される、アルミニウムのような金属を含むことができる。ポリマーフィルム705及びマイクロ波エネルギー相互作用材料710は合わせてサセプタを画定する。接着層715は、ポリマーフィルム705及びマイクロ波エネルギー相互作用材料層710を板紙層720に接合する。
【0031】
第2の対称な層配列は、図の下から始めて、ポリマーフィルム層725と、マイクロ波エネルギー相互作用材料層730と、接着層735と、紙又は板紙の層740とを備える。所望により、1つの層配列を折り曲げることによって、2つの対称な配列を形成することができる。第2の対称な層配列の層は、第1の対称な配列の層と同じようにして互いに接合される。パターニングされた接着層745が、2つの紙層720と740との間に設けられ、マイクロ波エネルギーが照射される際に膨張するように構成される閉塞セル750のパターンを画定する。2つのマイクロ波エネルギー相互作用材料層710、730を有する断熱材料700は典型的には、より多くの熱を生成し、より大きなセルの嵩上げを引き起こす。結果として、そのような材料は、その上に置かれる食品を、単一のマイクロ波エネルギー相互作用材料層を有する断熱材料よりも高く持ち上げることができる。
【0032】
図8を参照すると、さらに別の断熱材料800が示される。材料800は、ポリマーフィルム層805と、マイクロ波エネルギー相互作用材料層810と、接着層815と、紙層820とを備える。さらに、材料800は、ポリマーフィルム層825と、接着層830と、紙層835とを備える。それらの層は、パターニングされた接着剤840によって接着又は固定され、複数の膨張可能閉塞セル845が画定される。
【0033】
ここで図9を参照すると、さらに別の例示的な断熱材料900が示される。この例では、1つ又は複数の試薬を用いて、断熱材料のセルを膨張させる気体を生成する。例えば、それらの試薬は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)及び適切な酸を含むことができる。加熱されると、それらの試薬は反応して、二酸化炭素を生成する。別の例として、その試薬は膨張剤を含む。適切であり得る膨張剤の例は、限定ではないが、p-p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾジカルボンアミド及びp-トルエンスルホニルセミカルバジドを含む。しかしながら、本明細書によれば、数多くの他の試薬及び放出気体が意図されることは理解されよう。そのような構造は、2006年12月28日に公開された米国特許出願公開第2006/0289521号においてさらに詳細に記載されており、その特許出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0034】
図9に示される例では、マイクロ波相互作用材料905の薄い層が第1のポリマーフィルム910上に支持され、サセプタフィルムを形成する。任意でコーティング内にある、1つ又は複数の試薬915が、マイクロ波相互作用材料905の層の少なくとも一部の上に重なる。試薬915は、パターニングされた接着剤925若しくは他の材料を用いて、又は熱接合、超音波接合又は任意の他の適切な技法を用いて第2のポリマーフィルム920に接合され、それによって材料900内に閉塞セル930(空所として示される)が形成される。マイクロ波エネルギーが十分に照射された後に、水蒸気又は他の気体が、試薬915から放出されるか、又は試薬915によって生成される。結果として生成された気体は、閉塞セル930の一方の側において、サセプタフィルム910に、閉塞セル930の他方の側において、第2のポリマーフィルム920に圧力を印加する。閉塞セル930を形成する材料900の各側は、加熱及び蒸気膨張に対して同時に反応するが、特有の反応を示し、図1Cに示される外観に類似のキルト風の断熱材料を形成する。この膨張は、電子レンジ作動において1秒乃至15秒内に生じることができ、場合によっては、2秒乃至10秒内に生じることができる。紙又は板紙の層を用いない場合であっても、試薬から生じる水蒸気又は他の気体は、膨張可能セルを膨らませるのに十分であり、且つマイクロ波エネルギー相互作用材料から任意の余分な熱を吸収するのに十分である。
【0035】
さらに別の例(不図示)では、断熱構造は、閉塞セルフォーム(closed cell foam)、気泡材料(例えば、バブル材料、例えば、Sealed Air社から市販されるBUBBLE WRAP(登録商標))又は任意の他の断熱材料に少なくとも部分的に接合されるポリマーフィルム層(又は他の基材)上に支持されるマイクロ波エネルギー相互作用材料の層を含むことができる。その断熱構造は、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層がポリマーフィルムと断熱材料との間に配置されるように構成することができる。
【0036】
本発明によれば、数多くの他の変形形態が意図される。例えば、開口の数、形状、大きさ及び配置は、形成される構造体の型式、その中又はその上で加熱される食品、加熱、焦げ目付け及び/又はカリカリの焼き上げの所望の程度、食品の均一な加熱を達成するためにマイクロ波エネルギーの直接の照射が必要とされるか又は望まれるか否か、直に加熱することによって食品の温度の変化を調整する必要性、並びに通気口を設ける必要があるか否か、そしてどの程度必要かに応じて、用途毎に変更することが出来る。
【0037】
開口は任意の構成、タイル状に若しくは互い違いに、ランダムに若しくはパターン状に、構造にわたって均等な間隔で、1つ若しくは複数の領域内に集中的に、又は任意の他の適切な態様で、配置することができる。開口のうちの1つ又は複数を円形、楕円形、三角形、正方形、六角形、又は任意の他の規則的若しくは不規則な形状にすることができる。
【0038】
開口は、種々の寸法を有することができ、例えば、約0.1インチ乃至約1インチの主一次元寸法(major linear dimension)を有することができる。より特別には、種々の例のそれぞれにおいて、開口は、約0.2インチ乃至約0.9インチ、約0.3インチ乃至約0.8インチ、約0.4インチ乃至約0.7インチ、約0.5インチ乃至約0.6インチ、約0.25インチ乃至約0.75インチ、約0.375インチ乃至約0.675インチ、約0.1インチ、約0.15インチ、約0.2インチ、約0.25インチ、約0.3インチ、約0.35インチ、約0.4インチ、約0.45インチ、約0.5インチ、約0.55インチ、約0.6インチ、約0.65インチ、約0.7インチ、約0.75インチ、約0.8インチ、約0.85インチ、約0.9インチ、約0.95インチ、又は任意の他の適切な大きさの主一次元寸法を有することができる。
【0039】
各開口は、隣接する開口から任意の適切な距離だけ離間して配置することができる。例えば、各開口は、隣接する開口から、約0.25インチ乃至約1.5インチの距離だけ離間して配置することができる。より特別な例のそれぞれにおいて、各開口は、隣接する開口から、約0.3インチ乃至約1.4インチ、約0.4インチ乃至約1.3インチ、約0.5インチ乃至約1.2インチ、約0.6インチ乃至約1.1インチ、約0.7インチ乃至約1インチ、約0.75インチ乃至約1インチ、約0.8インチ乃至約0.9インチ、約0.25インチ、約0.3インチ、約0.35インチ、約0.4インチ、約0.45インチ、約0.5インチ、約0.55インチ、約0.6インチ、約0.65インチ、約0.7インチ、約0.75インチ、約0.8インチ、約0.85インチ、約0.9インチ、約0.95インチ、約1インチ、約1.05インチ、約1.1インチ、約1.15インチ、約1.2インチ、約1.25インチ又は約1.3インチの距離だけ離間して配置されることがある。
【0040】
同様に、閉塞セル(又は「膨張可能セル」若しくは「断熱セル」若しくは「膨張可能断熱セル」)は、任意の適切な大きさ、形状及び構成を有することができる。種々の例のそれぞれにおいて、各閉塞セルは個別に、約0.25インチ乃至約3インチ、例えば、約0.25インチ乃至約0.5インチ、約0.5インチ乃至約0.75インチ、約0.75インチ乃至約1インチ、約1インチ乃至約1.25インチ、約1.25インチ乃至約1.5インチ、約1.5インチ乃至約1.75インチ、約1.75インチ乃至約2インチ、約2インチ乃至約2.25インチ、約2.25インチ乃至約2.5インチ、約2.5インチ乃至約2.75インチ、約2.75インチ乃至約3インチ、約0.5インチ乃至約1.5インチ、又は任意の他の適切な寸法の主一次元寸法を有することができる。
【0041】
膨張可能断熱セルを、数多くの方法において、例えば、接着剤、化学接合若しくは熱接合、又は他の固定試薬若しくは過程を用いて形成して、水分含有層(たとえば、紙又は板紙)と第2のポリマーフィルム層との間に1つ又は複数の閉塞セルを形成することができる。簡明化のために、限定ではないが、接着、接合又は固定の所定のパターンは、本明細書において、「接着のライン」、又は「接着のパターン」又は「パターニングされた接着」又は「接着パターン」と呼ばれる場合がある。しかしながら、閉塞セルを形成する数多くの方法があること、及びそのような方法が本発明によって意図されることは理解されよう。
【0042】
所望により、接着のパターンを選択して、特定の食品の加熱調理を促進することができる。例えば、食品が大きな食品である場合には、概ね均一な形状の膨張可能セルを形成するように、接着パターンを選択することができる。食品が小さな食品であるか、又は小さな外形を有する場合には、個々の食品又は表面に可変的に接触できるようにするために、複数の異なる大きさのセルを形成するように接着パターンを選択することができる。本明細書において、いくつかの例が提供されるが、本明細書によれば、数多くの異なるパターンが意図されること、並びに選択されるパターンは、特定の食品の加熱、焦げ目付け、カリカリの焼き上げ、及び断熱の要件によることは理解されよう。
【0043】
開口及び膨張可能セルの相対的な大きさ及び位置によっては、セルを部分的に、又は完全に貫通して延在する開口が存在することに起因して、1つ又は複数のセルが膨張できなくなる場合があることは理解されよう。そのようなセルの断熱能力は弱められる場合があるが、それでも、開口に隣接するシートの領域が、加熱し、焦げ目を付け、且つ/又はカリカリに焼く効果を提供することができる。1つ又は複数の特定のセルの断熱効果を維持することが望ましい場合、影響を及ぼす開口が接着剤のライン内に配置される(且つ、そのラインによって囲まれる)ことが考えられる。したがって、接着剤のラインは、特定の加熱用途に応じて任意の形状及び幅を有することができる。
【0044】
さらに、各開口及び断熱セルの相対的な大きさ、及び/又は開口及び断熱セルの相対的な全面積は、開口に隣接して局所的に加熱すること、焦げ目を付けること及び/又はカリカリに焼くことと、その構造の残りの領域において全般的に加熱すること、焦げ目を付けること及び/又はカリカリに焼くこととの間の所望のバランスを達成するように調整することができる。一般的に、開口の主一次元寸法は、断熱セルの主一次元寸法以下にすることができる。より特別には、種々の例のそれぞれにおいて、各断熱セルの主一次元寸法と各開口の主一次元寸法との比は個別に、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1又は任意の他の適切な比にすることができる。
【0045】
開口は一般的に、マイクロ波エネルギー相互作用材料及び/又は平坦な状態にある断熱構造で測定した場合の断熱構造の層の全面積の約2%乃至約50%を含むことができる。種々の例のそれぞれにおいて、開口は、マイクロ波エネルギー相互作用材料及び/又は断熱構造の全面積の約2%乃至約5%、約5%乃至約10%、約10%乃至約15%、約15%乃至約20%、約20%乃至約25%、約25%乃至約30%、約30%乃至約35%、約35%乃至約40%、約40%乃至約45%、約45%乃至約50%、約5%乃至約20%、約10%乃至約25%、約15%乃至約30%、又は任意の他の適切なパーセンテージを含むことができる。
【0046】
上記のように、任意の数及び構成の開口を用いることができる。さらに、本明細書において物理的開口が詳細に検討されるが、本発明の種々の断熱構造のいずれかが1つ又は複数の「非物理的開口」(不図示)を含む場合もあることは理解されよう。非物理的開口は、構造を貫通する実際の空所又は孔を用いることなく、マイクロ波エネルギーがその構造を通過できるようにするマイクロ波エネルギー透過領域である。そのような領域は、特定の領域に単にマイクロ波エネルギー相互作用材料を塗布しないことによって、又は特定の領域においてマイクロ波エネルギー相互作用材料を除去することによって、又は特定の領域においてマイクロ波エネルギー相互作用材料を化学的に、且つ/又は機械的に非活性化することによって形成することができる。物理的開口及び非物理的開口は共に、食品をマイクロ波エネルギーによって直接加熱できるようにするが、物理的開口は、水蒸気又は他の蒸気を構造体の内部から放出させることができるようにする通気機能も提供する。
【0047】
所望により、多数の断熱シート層を用いて、断熱材料の断熱特性を高め、それにより、食品の焦げ目付け、及びカリカリの焼き上げを促進することができる。多数の層のセルは、食品が重くなり、それゆえ電子レンジの床面から持ち上げるのがより難しい場合、並びに/又は所望の程度の加熱、焦げ目付け、及び/若しくはカリカリの焼き上げを達成するために、より大きく上げる必要がある場合に、特に好都合であり得る。特定の用途のために、必要に応じて、又は所望により、類似の断熱材料及び/又は異なる断熱材料の種々のシートを任意の構成において重ね合わせることができる。例えば、それぞれのサセプタフィルム層が互いに向かい合わないように、2つの断熱材料シートを配置することができる。別の例として、それぞれのサセプタフィルム層が互いに向かい合うように、2つの断熱材料シートを配置することができる。さらに別の例において、3つ以上の断熱材料層を任意の態様で配置し、重ね合わせることができる。シートは、分離したままにすることができるか、又は任意の適切な工程若しくは技法、例えば、熱接合、接着、超音波接合又は溶着、機械的固定、若しくはそれらの任意の組み合わせを用いて接合することができる。最も高く嵩上げすることが望ましい場合には、材料内の層の膨張及び収縮を制限することがない不連続なパターニングがされた接着を用いることが好都合である場合もある。対照的に、構造的な安定性が望ましい場合には、連続した接着が所望の結果をもたらす場合がある。そのような構造の数多くの例が、2007年11月1日に公開された米国特許出願公開第2007/0251943号において提供される。
【0048】
材料が、典型的な電子レンジ加熱温度、例えば、約250°F乃至約425°Fにおいて軟化、焦げ、燃焼又は劣化に概ね耐えるのであれば、種々の材料から、本発明によって包含される構造及び構造体の任意の種々の層を形成することができる。用いられる特定の材料は、マイクロ波エネルギー相互作用材料、例えば、サセプタを形成するために用いられる材料、及び他のマイクロ波エネルギー相互作用要素、及びマイクロ波エネルギー透過性又は不活性材料、例えば、ポリマーフィルム層、水分含有層、寸法安定性支持体、トレー、プラットフォーム等を形成するために用いられる材料を含むことができる。
【0049】
マイクロ波エネルギー相互作用材料は、導電性材料又は半導体材料、例えば、金属箔として提供される金属若しくは合金、真空蒸着された金属若しくは合金、又は金属インク、有機インク、無機インク、金属ペースト、有機ペースト、無機ペースト、又はそれらの任意の組合せであり得る。本発明に使用するのに適切であり得る金属及び合金の例は、アルミニウム、クロム、銅、インコネル合金(ニオブを含むニッケル−クロム−モリブデン合金)、鉄、マグネシウム、ニッケル、ステンレス鋼、スズ、チタン、タングステン、及びそれらの任意の組合せ又は合金を含むが、これらに限定されない。
【0050】
代替的には、マイクロ波エネルギー相互作用材料は金属酸化物を含んでいてもよい。本発明に使用するのに適切であり得る金属酸化物の例は、必要であれば導電性材料と併用される、アルミニウム、鉄及びスズの酸化物を含むが、これらに限定されない。本発明に使用するのに適切であり得る金属酸化物の別の例は酸化インジウムスズ(ITO)である。ITOは、加熱効果、遮蔽効果、焦げ目を付け且つ/若しくはカリカリに焼き上げる効果、又はそれらの組合せを提供するマイクロ波エネルギー相互作用材料として用いられ得る。例えば、サセプタを作製するために、ITOを透明なポリマーフィルム上にスパッタリングしてもよい。スパッタリングプロセスは典型的に金属蒸着に用いられる蒸着プロセスよりも低温で起こる。ITOはより均質な結晶構造を有し、それゆえ大抵のコーティング厚さで透明である。また、ITOは、加熱効果又は電界制御効果(field management effect)のいずれかに用いることができる。ITOはまた金属よりも欠損を有しないため、アルミニウム等の金属の厚いコーティングよりも電界制御に適切なITOの厚いコーティングを作製し得る。
【0051】
代替的には、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、適切な導電性、半導体性、又は非導電性の人工誘電体若しくは強誘電体を含んでいてもよい。人工誘電体は、ポリマー系又は他の適切なマトリクス若しくは結合剤(binder)に細分化される導電性材料を含み、これらは導電性金属、例えばアルミニウムの断片(flake)を含むことができる。
【0052】
基材は典型的に、絶縁体、例えばポリマーフィルム又は他のポリマー材料を含む。本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」、「ポリマーフィルム」、及び「ポリマー材料」は、ホモポリマー、共重合体、たとえば、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体及び交互共重合体、ターポリマー等、並びにそれらのブレンド及び変性物(modification)を包含するが、これらに限定されない。さらに、特に限定されない限り、用語「ポリマー」は、全ての可能性のある分子の幾何学構造を包含するものとする。これらの構造は、イソタクチック、シンジオタクチック且つランダムシンメトリを含むが、これらに限定されない。
【0053】
フィルムの厚さは典型的に約35ゲージ(gauge)乃至約10ミル(mil)であり得る。一態様において、フィルムの厚さは約40ゲージ乃至約80ゲージである。別の態様では、フィルムの厚さは約45ゲージ乃至約50ゲージである。さらに別の態様では、フィルムの厚さは約48ゲージである。適切であり得るポリマーフィルムの例は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、セロハン、又はそれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。紙及びラミネート紙、金属酸化物、ケイ酸塩、セルロース系材料、又はそれらの任意の組合せ等の他の非導電性基材材料も使用し得る。
【0054】
一例では、ポリマーフィルムはポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。ポリエチレンテレフタレートフィルムは市販のサセプタ、例えば、共にGraphic Packaging International(Marietta, Georgia)から入手可能なQWIKWAVE(登録商標)Focusサセプタ及びMICRORITE(登録商標)サセプタに使用されている。基材として用いられるのに適切であり得るポリエチレンテレフタレートフィルムの例は、DuPont Teijan Films(Hopewell, Virginia)から市販されるMELINEX(登録商標)、SKC, Inc.(Covington, Georgia)から市販されるSKYROL、及びToray Films(Front Royal, VA)から市販されるBARRIALOX PET、並びにToray Films(Front Royal, VA)から市販されるQU50 High Barrier Coated PETを含むが、これらに限定されない。
【0055】
ポリマーフィルムは、種々の特性、例えば、印刷適性、耐熱性、又は任意の他の特性をマイクロ波相互作用ウェブに与えるように選択されてもよい。或る特定の例として、ポリマーフィルムは、水分バリア、酸素バリア、又はそれらの組合せを提供するように選択されてもよい。このようなバリアフィルム層は、バリア特性を有するポリマーフィルムから又は所望であれば任意の他のバリア層又はコーティングから形成され得る。適切なポリマーフィルムは、エチレンビニルアルコール、バリアナイロン、ポリ塩化ビニリデン、バリアフルオロポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6、共押出ナイロン6/EVOH/ナイロン6、酸化ケイ素コーティングフィルム、バリアポリエチレンテレフタレート、又はそれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0056】
本発明に使用するのに適切であり得るバリアフィルムの一例は、Honeywell International(Pottsville, Pennsylvania)から市販されるCAPRAN(登録商標)EMBLEM 1200Mナイロン6である。適切であり得るバリアフィルムの別の例は、同様にHoneywell Internationalから市販されるCAPRAN(登録商標)OXYSHIELD OBS一軸延伸共押出ナイロン6/エチレンビニルアルコール(EVOH)/ナイロン6である。本発明に使用するのに適切であり得るバリアフィルムのさらに別の例は、Enhance Packaging Technologies(Webster, New York)から市販されるDARTEK(登録商標)N−201ナイロン6,6である。さらなる例は、上に示される、Toray Films(Front Royal, VA)から入手可能なBARRIALOX PET、及びToray Films(Front Royal, VA)から入手可能なQU50 High Barrier Coated PETを含む。
【0057】
さらに他のバリアフィルムは、Sheldahl Films(Northfield, Minnesota)から入手可能なもの等の、酸化ケイ素コーティングフィルムを含む。それゆえ、一例において、サセプタは、フィルム上にコーティングされる酸化ケイ素の層と、酸化ケイ素上に蒸着されるITO又は他の材料とを有する、フィルム、例えばポリエチレンテレフタレートを含む構造を有し得る。必要に応じて又は所望であれば、個々の層を加工処理中の損傷から防護するようにさらなる層又はコーティングを設けてもよい。
【0058】
バリアフィルムは、ASTM D3985を用いて測定される場合、約20cc/m2/日未満の酸素透過率(OTR)を有し得る。一例において、バリアフィルムは約10cc/m2/日未満のOTRを有する。別の例では、バリアフィルムは約1cc/m2/日未満のOTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.5cc/m2/日未満のOTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.1cc/m2/日未満のOTRを有する。
【0059】
バリアフィルムは、ASTM F1249を用いて測定される場合、約100g/m2/日未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し得る。一例において、バリアフィルムは約50g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する。別の例では、バリアフィルムは約15g/m2/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約1g/m2/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.1g/m2/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.05g/m2/日未満のWVTRを有する。
【0060】
金属酸化物、ケイ酸塩、セルロース系材料、又はそれらの任意の組合せ等の他の非導電性基材材料も本発明によって使用し得る。
【0061】
マイクロ波エネルギー相互作用材料を任意の適切な方法で基材に塗布してもよく、場合によっては、マイクロ波エネルギー相互作用材料を、基材上に印刷、押出し、スパッタリング、蒸着又は積層してもよい。マイクロ波エネルギー相互作用材料を任意のパターンで任意の技法を用いて基材に塗布して、食品の所望の加熱効果を得ることができる。例えば、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、円、環、六角形、島、正方形、長方形、及び八角形等を含む連続的又は不連続的な層又はコーティングとして提供されてもよい。本発明に使用するのに適切であり得る種々のパターン及び方法の例は、米国特許第6,765,182号、同第6,717,121号、同第6,677,563号、同第6,552,315号、同第6,455,827号、同第6,433,322号、同第6,410,290号、同第6,251,451号、同第6,204,492号、同第6,150,646号、同第6,114,679号、同第5,800,724号、同第5,759,418号、同第5,672,407号、同第5,628,921号、同第5,519,195号、同第5,420,517号、同第5,410,135号、同第5,354,973号、同第5,340,436号、同第5,266,386号、同第5,260,537号、同第5,221,419号、同第5,213,902号、同第5,117,078号、同第5,039,364号、同第4,963,420号、同第4,936,935号、同第4,890,439号、同第4,775,771号、同第4,865,921号、及び米国再発行特許第34,683号に提示されている。マイクロ波エネルギー相互作用材料のパターンの特定の例を本明細書に示して説明するが、マイクロ波エネルギー相互作用材料の他のパターンが本発明によって意図されることを理解されたい。
【0062】
マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、寸法安定性を有し、水分含有の1つ又は複数のマイクロ波エネルギー透過層も含むことができる。一態様において、断熱構造は、一般的に約15lbs/ream乃至約60lbs/ream(lb/300平方フィート)、例えば約20lbs/ream乃至約40lbs/reamの坪量を有する紙又は紙ベースの材料を含むことができる。或る特定の例では、紙は約25lbs/reamの坪量を有する。
【0063】
本発明は以下の実施例を参照してさらに理解され得るが、これらの実施例は任意の形に限定されると解釈されるものではない。
【実施例】
【0064】
Kraft DiGiornoピザを、種々のマイクロ波エネルギー相互作用シート及びプラットフォームを用いて、1000Wのシャープ製電子レンジにおいて加熱した。各ピザは約6分間加熱され、冷ましておき、裏返してピザ外皮の底面を調べた。各評価の結果が表1において提示される。表中で、
優秀:外皮に均一に焦げ目が付き、カリカリに焼けている;焼け過ぎ、過剰な乾燥は見られなかった。
優良:中央部分に焦げ目が付き、カリカリに焼けている;外側の部分に焦げ目は付いたが、全体的な均一性を欠いていた。
良:中央部分に焦げ目が付き、カリカリに焼けている;外側の部分はわずかに焦げ目が付いたか、又は少しも焦げ目が付かなかった。
可:外皮の部分によっては、焼け過ぎ、及び/又は過剰な乾燥が生じた。
不可:外皮の大部分において、焼け過ぎ、及び/又は過剰な乾燥が生じた。
【0065】
【表1】
【0066】
本発明の特定の実施形態を或る程度詳細に説明したが、当業者は、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく開示の実施形態に多数の変更を行うことができるであろう。方向の指示(例えば、上の、下の、上方の、下方の、左の、右の、左方の、右方の、頂部、底部、上に、下に、垂直の、水平の、時計回りに、及び反時計回りに)は全て、読者が本発明の様々な実施形態を理解するのを助けるために、単に識別表示目的で使用され、添付の特許請求の範囲に具体的に記載しない限り、特に位置、方向、又は本発明の利用に関して限定するものではない。接合の指示(たとえば、接合、取付、結合、接続等)は、広義に解釈され、要素の接続間の中間部材及び要素間の相対運動を含み得る。このように、接合の指示は必ずしも2つの要素が直接、且つ互いに固定された関係で接続されることを意味するものではない。
【0067】
本発明の範囲内の全く新しい実施形態を作り出すために、様々な実施形態を参照して検討される様々な要素を交換してもよいことは当業者には明らかであろう。上記の詳細な説明に記載されるか又は添付の図面に示される全ての事柄は、単に例示として解釈され、限定するものではないことが意図される。本発明の精神を逸脱することなく、細部又は構造の変更を行なってもよい。本明細書中に記載される詳細な説明は、本発明を限定するか、又は他の態様で本発明の任意のそのような他の実施形態、適合、変形、改良、及び等価の構成を除外するように意図又は解釈されるものではない。
【0068】
したがって、本発明の上記の詳細な説明に鑑みて、本発明が広い効用及び用途に適用可能であることが当業者には容易に明らかとなるであろう。本明細書中に記載されるもの以外の本発明の多くの適合、並びに多くの変形、改良、及び等価の構成が、本発明の内容又は範囲を逸脱することなく、本発明及び本発明の上記の詳細な説明から明らかであるか、又は十分に示唆されている。
【0069】
本発明は特定の態様に関して本明細書中に詳細に説明されているが、この詳細な説明は単に本発明の例証及び例示であり、単に本発明の完全で有効な開示を提供する目的で作成されていることが理解されるであろう。本明細書中に記載される詳細な説明は、本発明を限定するか、又は他の態様で本発明の任意の他の実施形態、適合、変形、改良、及び等価の構成を除外するように意図又は解釈されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで加熱できる食品を加熱又は加熱調理するための種々の材料、パッケージ、構造体及びシステムに関する。特に、本発明は、生地又は外皮を有する食品を電子レンジにおいて加熱又は加熱調理するための種々の材料、パッケージ、構造体及びシステムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2007年2月8日付で出願された米国特許仮出願第60/900,227号(その全体は参照により本明細書中に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
電子レンジは、ピザ及びパイのような生地から作られる製品を含む、種々の食品を加熱する便利な手段を提供する。しかしながら、電子レンジは、そのような食品を不均等に加熱調理する傾向があり、十分な加熱と、焦げ目が付いて、カリカリに焼けた外皮との所望のバランスを達成することはできない。したがって、生地から作られた食品を電子レンジにおいて所望の程度に加熱し、焦げ目を付け、且つカリカリに焼くことを提供する、改善された材料及びパッケージが引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は包括的には、電子レンジにおける食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを改善するためのスリーブ、ディスク、トレー、カートン、パッケージ及び他の構造体(総じて「構造体」と呼ぶ)を形成するために用いることができる種々のマイクロ波エネルギー相互作用構造又は材料に関する。本発明の種々の構造は包括的には、向かい合い、概ね接触しており、層を形成するような構成で組み立てられ、且つ/又は互いに接合される複数の構成要素又は層を含む。マイクロ波エネルギーが十分に照射されると、その構造は、概ね平坦な平面構造から、多次元の断熱構造に変形する。その構造は、食品と環境との間の断熱を提供することができ、食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを改善する1つ又は複数の特徴を備えることができる。そのような構造は、本明細書において、「マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造」、「マイクロ波エネルギー相互作用断熱材料」、「断熱材料」又は「断熱構造」と呼ばれることがある。この断熱構造は、種々の形状のシートに切断するか、若しくは形成することができ、且つ/又は種々のカートン若しくは他のパッケージに組み込むことができる。所望により、その構造は、加熱の際に食品を持ち上げるためのトレー又はプラットフォームと共に用いることができるシートに切断することができる。
【0005】
その構造は包括的には、少なくとも1つのマイクロ波エネルギー相互作用要素、例えば、入射するマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を熱エネルギーに変換するサセプタを含む。少なくとも1つの開口が、マイクロ波エネルギー相互作用要素を貫通して、且つ任意に、その構造の種々の他の層のうちの1つ又は複数を貫通して延在する。
【0006】
一態様において、本発明は、第1のポリマーフィルム層上に支持されるマイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層に接合される水分含有層と、水分含有層がマイクロ波エネルギー相互材料の層と第2のポリマーフィルム層との間に配置されるように水分含有層に接合される第2のポリマーフィルム層とを備える、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を対象とする。水分含有層は、複数の閉塞セルを画定する所定のパターンにおいて、第2のポリマーフィルム層に接合される。閉塞セルのうちの少なくともいくつかは、マイクロ波エネルギーに反応して膨張することができる。
【0007】
マイクロ波エネルギー相互作用材料は少なくとも1つの開口を囲み、その開口は一般的に、開口に直に隣接する領域において生成される熱を増加させる。その構造は、数多くの方法で配置される複数の開口を含む場合がある。
【0008】
別の態様では、本発明は、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造であって、該マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、断熱層と重ね合わせられ、向かい合う関係で配置されるサセプタフィルムを備え、該断熱層は、概ね閉塞しており、概ね蒸気不浸透性の複数の断熱セルを含む、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を包含する。1つ又は複数の開口がサセプタフィルム及び断熱層を貫通して延在する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、電子レンジにおいて食品を加熱するためのシステムを意図している。システムは、食品を受容するためのプラットフォームと、プラットフォームの上に重なるマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造とを備える。マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、入射するマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を熱エネルギーに変換するマイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層からの熱伝達を低減することができる複数の閉塞セルと、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層及び閉塞セルのうちの少なくともいくつかを貫通して延在する複数の開口とを備えることができる。マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造内の開口及び閉塞セルの相対的な面積は、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造上に置かれる食品の所望の程度の加熱、焦げ目付け、カリカリの焼き上げ及び/又は通気を提供するように選択することができる。所望により、プラットフォームは、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を貫通して延在する開口と整合するように配置される複数の開口を含むことができる。
【0010】
本発明の他の態様、特徴及び利点は以下の説明及び添付の図面から明らかとなるであろう。
【0011】
詳細な説明は添付の図面を参照しており、そのうちのいくつかは概略図であり、いくつかの図面の全体を通じて、類似の参照符号は類似の部品を指している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の種々の態様による、複数の開口を含む例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱シートの概略的平面図である。
【図1B】線1B−1Bに沿って切り取って見た、図1Aのシートの概略的断面図である。
【図1C】マイクロ波エネルギーが照射された際の図1A及び図1Bの断熱シートを示す概略図である。
【図2】本発明の種々の態様による、他の例示的な加熱シートの概略的平面図である。
【図3】本発明の種々の態様による、他の例示的な加熱シートの概略的平面図である。
【図4】本発明の種々の態様による、他の例示的な加熱シートの概略的平面図である。
【図5】本発明の種々の態様による、他の例示的な加熱シートの概略的平面図である。
【図6】本発明の種々の態様による、開口を備えるマイクロ波エネルギー相互作用断熱シート及びトレー又はプラットフォームを含む、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用加熱システムを示す概略図である。
【図7】本発明に従って用いられる場合がある他の例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱材料を示す概略図である。
【図8】本発明に従って用いられる場合がある他の例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱材料を示す概略図である。
【図9】本発明に従って用いられる場合がある他の例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱材料を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は包括的には、電子レンジにおける食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを改善するマイクロ波加熱パッケージ又は他の構造体を形成するために用いることができる種々のマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造に関する。本発明の種々の構造は包括的には、向かい合い、実質的に接触しており、層を成すような構成で組み立てられ、且つ/又は互いに接合される複数の構成要素又は層を含む。種々の断熱構造のそれぞれは、少なくとも1つのマイクロ波エネルギー相互作用要素と、マイクロ波エネルギー相互作用要素を貫通して延在する少なくとも1つの開口とを備える。マイクロ波エネルギー相互作用要素は、所望の程度の食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを達成するように選択される。理論によって束縛されることを望まないが、それらの開口によって、局所化した電界が形成され、それにより、各開口に隣接するシート内のマイクロ波エネルギー相互作用要素の温度が上昇すると考えられる。結果として、開口に隣接及び/又は近接する領域において、隣接する食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを促進することができる。さらに、開口によって、加熱中に生成される水分を放出できるようになり、それにより、食品の焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げがさらに促進される。
【0014】
典型的には、マイクロ波エネルギー相互作用要素は、入射するマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を吸収し、そのエネルギーを食品との接触面において熱エネルギー(すなわち、熱)に変換するのに役立つ、一般的に、厚みが約100オングストローム未満であり、例えば、その厚みが約60オングストローム乃至約100オングストロームであるマイクロ波エネルギー相互作用材料の薄い層(すなわち、「サセプタ」)を含む。サセプタ要素は、食品の表面の焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを促進するために用いられることが多い。サセプタは、取り扱うのを容易にするため、且つ/又はマイクロ波エネルギー相互作用材料と食品との間の接触を防ぐためにマイクロ波エネルギー透過性基材、例えば、紙又はポリマーフィルムの層上に支持される場合がある。さらに、本発明の一態様によれば、サセプタを複数の膨張したセル又は膨張可能なセルと組み合わせて、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造又は材料を形成することができる。膨張したセル又は膨張可能なセルは一般的に、隣接する食品に対して或る程度の断熱を提供することができる。
【0015】
たとえば、図1A及び図1Bはそれぞれ、本発明による例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱シート100の概略的な平面図及び概略的な断面図を示す。この例では、断熱シート100の形状は概ね正方形である。しかしながら、本明細書において示されるか、又は本明細書によって意図されるこの例及び他の例において、種々の断熱シートが、任意の他の適切な形状、例えば、円形、三角形、長方形、台形、又は任意の他の規則的若しくは不規則な形状を有することができる。
【0016】
断熱シート100はサセプタフィルムを含み、該サセプタフィルムは、第1のポリマーフィルム110、例えばポリエチレンテレフタレート上に支持され、寸法安定性のある基材120、例えば紙に接着剤115で張り合わせることによって接合される(又は他の方法で接合される)、マイクロ波エネルギー相互作用材料105の薄い層を含む。基材120は、パターニングされた接着剤130(又は他の方法)を用いて、第2のポリマーフィルム125、例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレートに接合され、材料100内に、概ね蒸気不浸透な複数の閉塞セル135が形成される。
【0017】
図1Aに示されるように、シートは、概ね中央に配置される開口145の周囲に環状に構成されるように配列される複数の開口140を含む。さらに、シート100の対向する一対の縁部155、160に近接して、3つの開口150からなる2組の開口が存在する。それらの開口のうちの少なくともいくつかは、図示される、例えば、開口150で図1Bに示されるように、シート100の全厚を貫通して延在する。開口140、145、150のうちの任意のものが、接着剤130のライン、断熱セル135又はそれらの任意の組み合わせを貫通して延在することができる。
【0018】
この例では、開口140、145、150の形状は概ね円形であり、大きさは概ね等しい。一例では、開口140、145、150は約0.25インチの直径を有する。接着剤のライン間のセルの長さ及び幅は、約1インチにすることができる。別の例では、開口140、145、150は、約0.5インチの直径を有する。他の例では、開口150は省くことができる。しかしながら、数多くの他の大きさ及び構成の開口も意図される。
【0019】
マイクロ波エネルギーが十分に照射されると、閉塞セルは膨張し、それにより、マイクロ波エネルギー相互作用材料が、断熱構造の残りの部分から離れるように、典型的には食品の表面に向かって膨れ出し、変形する。より具体的には、図1C(その図は、開口がないシート100の一部を示す)に示されるように、マイクロ波相互作用材料105が加熱されると、基材120、例えば、紙から放出される水蒸気及び他の気体、並びに閉塞セル135内の第2のポリマーフィルム125と基材120との間の薄い空間内に閉じ込められているいかなる空気も膨張する。閉塞セル135内の水蒸気及び空気の膨張は、一方において、サセプタフィルム110及び基材120に、他方において、第2のポリマーフィルム125に圧力を印加する。閉塞セル135を形成する材料100の各面は、加熱及び蒸気膨張に対して同時に反応するが、特有の反応を示す。セル135は膨張し、キルト風の上側表面165及び下側表面170を形成する。この膨張は、電子レンジ作動において1秒乃至15秒内に生じることができ、場合によっては、2秒乃至10秒内に生じることができる。結果として生じる断熱材料100’は、枕のような外観を有する。マイクロ波加熱が停止すると、セル135は典型的には収縮し、概ね平坦な状態に戻る。
【0020】
そのような構造は、数多くの方法において、電子レンジにおける食品の加熱、焦げ目付け、及びカリカリの焼き上げを促進することができる。最初に、閉塞セル内に含まれる水蒸気、空気及び他の気体が、食品と電子レンジの周囲環境との間の断熱を提供し、それにより、食品内に留まるか、又は食品に伝達される顕熱の量を増加させる。さらに、その構造を嵩上げすることによって、その構造は、食品の表面の形状に、より近密に一致するようになり、それにより、マイクロ波エネルギー相互作用材料が食品に、より近接して配置されると共に、焦げ目付け及び/又はカリカリの焼き上げが促進される。さらに、断熱材料は、電子レンジおいて加熱調理する際に、食品内に水分を保持するのを助けることができ、それにより、食品の食感及び風味を改善することができる。そのような材料のさらなる利点及び態様は、国際出願PCT/US03/03779号、米国特許第7,019,271号、及び2006年6月1日に公開された米国特許出願公開第2006−0113300号において記載されており、それぞれ参照によりその全体が本明細書に援用される。本発明による、開口を備える断熱材料を形成するために用いることができるマイクロ波エネルギー相互作用断熱材料の一例はGraphic Packaging International社(Marietta, Georgia)から市販されているQUILTWAVE(登録商標)パッケージング材料である。
【0021】
少なくとも1つの開口を含むマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、開口を有しない類似の構造に比べて、食品の加熱、焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げを著しく促進することがわかっている。開口が存在すると、1つ又は複数の膨張可能セルが膨らむ能力が弱められ、それにより、その構造が食品の表面に向かってサセプタを付勢する能力が弱められるように思われるので、この結果は少なくとも理論的には意外である。しかしながら、理論によって束縛されることを望まないが、開口によって、局所化した電界が形成され、それにより、隣接する食品の加熱、焦げ目を付け、及び/又はカリカリの焼き上げが促進されるものと考えられる。さらに、開口が存在することによって、加熱サイクル中に生成される水分を、食品から離れるように導くことができるものと考えられる。結果として、食品の焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げをさらに改善することができる。こうして、全てを考慮すると、開口によって提供される向上された性能は、全体として、構造の断熱特性の損失を上回る。
【0022】
図2乃至図7は、図1のマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造100のいくつかの例示的な変形形態を概略的に示しており、それぞれ本発明による少なくとも1つの開口を含む。種々の例示的な実施形態が本明細書において図示され、詳細に説明されるが、それらの特徴のうちの任意のものを任意の組み合わせで用いることができること、並びに本明細書によれば、そのような組み合わせが意図されることは理解されよう。さらに、簡明化するために、限定ではないが、本明細書では、2つ以上の開口を有する構造が示される。しかしながら、本発明によれば、1つの開口しか持たない構造も意図されることは理解されよう。
【0023】
図2を参照すると、例示的な断熱シート200は、概ね円形の形状を有し、開口205、210が全体として「X」字になるように、概ね中央に配置される開口210の周囲に概ね正方形を構成するように配置される複数の開口205を含む。1つの具体例では、開口205、210は約0.5インチの直径を有することができる。
【0024】
図3では、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用断熱シート300は、概ね中央に配置される開口310の周囲に概ねランダムな構成で配置される複数の開口305を含む。この例では、開口305、310の形状は概ね円形であり、大きさは概ね等しい。しかしながら、開口において数多くの他の形状、大きさ及び配置が意図される。1つの特定の例では、開口305、310は、約0.25インチの直径を有することができる。
【0025】
図4では、マイクロ波エネルギー相互作用断熱シート400は、開口405、410が全体として「X」字になるように、概ね中央に配置される開口410の周囲に概ね正方形を構成するように配置される複数の開口405を含む。断熱シート400は、開口405の周囲に概ね正方形又は菱形を構成するように配置される複数の開口415も含み、開口415は、開口405に対してオフセットされて互い違いに構成される。この例では、開口415のそれぞれは、隣接する開口405の各対間の概ね中央に配置される。種々の例のそれぞれにおいて、開口405は、約0.375インチの直径を有することができ、開口410は約0.25インチの直径を有することができ、且つ/又は開口415は約0.25インチの直径を有することができる。しかしながら、本発明によれば、他の大きさ及び構成も包含される。
【0026】
図5を参照すると、開口505、510は、開口505、510のいずれもが、断熱セル520のいずれにも入り込まない(又は断熱セルの膨張を妨げない)ように、図1の断熱シート100内の接着剤130のラインよりも広い、接着剤515のラインのそれぞれの部分によって囲まれる。それらの開口は、任意の適切な寸法を有することができ、1つの特定の例では、開口505、510のそれぞれは、約0.25インチ、約0.5インチ又は任意の他の適切な直径を有することができる。
【0027】
本明細書において例示される種々の例及び本明細書から意図される数多くの他の例のそれぞれの場合に、マイクロ波エネルギー断熱シートは、食品を電子レンジの床面から隔てるように置くことができるトレー又はプラットフォームと共に用いることができる。このようにして、食品は、マイクロ波エネルギー相互作用材料によって生成される、より多くの熱を断熱シート内に保持できる場合がある。断熱シートは、部分的に、実質的に、若しくは全体的にプラットフォームに固定される場合があるか、又はプラットフォームから離れていることがある。所望により、トレーは1つ又は複数の開口を含むことがあるが、それらの開口は、断熱シート内の開口の大きさ、形状、数及び構成に対応しても、しなくてもよい。このようにして、プラットフォーム及び/又は断熱シート内の開口を通して水分の放出を促進することができ、それにより、食品の焦げ目付け、及び/又はカリカリの焼き上げが改善される。
【0028】
例えば、図6は、マイクロ波エネルギー相互作用断熱シート605及びプラットフォーム610を含む、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用加熱システムの分解斜視図を示す。断熱シート605は、接着剤620のラインによって画定される複数の膨張可能な断熱セル615を含む。複数の開口625が、概ね中央に配置される開口630の周囲に正方形を構成するように配置される。同様に、プラットフォーム610は、概ね中央に配置される開口640の周囲に正方形を構成するように配置される複数の開口635を含む。開口625は、開口635と概ね整合することができる。開口630は、開口640と概ね整合することができる。
【0029】
図7乃至図9は、例えば、図1乃至図6に示される開口構成、又は任意の他の適切な開口構成を用いて、本発明による開口を設けることができる代替の断熱構造の例を概略的に示す。本明細書において示されるこれらの例及び他の例において、層厚は必ずしも正しく示されていない場合があることは理解されたい。場合によっては、例えば、接着層は他の層に対して非常に薄い場合があるが、それにもかかわらず、層の構成を明らかに示すために、或る厚みで示されている。
【0030】
最初に図7を参照すると、断熱材料700が示されており、2つの対称な層配列が、パターニングされた接着層によって互いに接着されている。第1の対称な層配列は、図の上から始めて、ポリマーフィルム層705と、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層710と、接着層715と、紙又は板紙の層720とを備える。マイクロ波エネルギー相互作用材料710は、ポリマーフィルム層705の少なくとも一部の上に蒸着される、アルミニウムのような金属を含むことができる。ポリマーフィルム705及びマイクロ波エネルギー相互作用材料710は合わせてサセプタを画定する。接着層715は、ポリマーフィルム705及びマイクロ波エネルギー相互作用材料層710を板紙層720に接合する。
【0031】
第2の対称な層配列は、図の下から始めて、ポリマーフィルム層725と、マイクロ波エネルギー相互作用材料層730と、接着層735と、紙又は板紙の層740とを備える。所望により、1つの層配列を折り曲げることによって、2つの対称な配列を形成することができる。第2の対称な層配列の層は、第1の対称な配列の層と同じようにして互いに接合される。パターニングされた接着層745が、2つの紙層720と740との間に設けられ、マイクロ波エネルギーが照射される際に膨張するように構成される閉塞セル750のパターンを画定する。2つのマイクロ波エネルギー相互作用材料層710、730を有する断熱材料700は典型的には、より多くの熱を生成し、より大きなセルの嵩上げを引き起こす。結果として、そのような材料は、その上に置かれる食品を、単一のマイクロ波エネルギー相互作用材料層を有する断熱材料よりも高く持ち上げることができる。
【0032】
図8を参照すると、さらに別の断熱材料800が示される。材料800は、ポリマーフィルム層805と、マイクロ波エネルギー相互作用材料層810と、接着層815と、紙層820とを備える。さらに、材料800は、ポリマーフィルム層825と、接着層830と、紙層835とを備える。それらの層は、パターニングされた接着剤840によって接着又は固定され、複数の膨張可能閉塞セル845が画定される。
【0033】
ここで図9を参照すると、さらに別の例示的な断熱材料900が示される。この例では、1つ又は複数の試薬を用いて、断熱材料のセルを膨張させる気体を生成する。例えば、それらの試薬は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)及び適切な酸を含むことができる。加熱されると、それらの試薬は反応して、二酸化炭素を生成する。別の例として、その試薬は膨張剤を含む。適切であり得る膨張剤の例は、限定ではないが、p-p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾジカルボンアミド及びp-トルエンスルホニルセミカルバジドを含む。しかしながら、本明細書によれば、数多くの他の試薬及び放出気体が意図されることは理解されよう。そのような構造は、2006年12月28日に公開された米国特許出願公開第2006/0289521号においてさらに詳細に記載されており、その特許出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0034】
図9に示される例では、マイクロ波相互作用材料905の薄い層が第1のポリマーフィルム910上に支持され、サセプタフィルムを形成する。任意でコーティング内にある、1つ又は複数の試薬915が、マイクロ波相互作用材料905の層の少なくとも一部の上に重なる。試薬915は、パターニングされた接着剤925若しくは他の材料を用いて、又は熱接合、超音波接合又は任意の他の適切な技法を用いて第2のポリマーフィルム920に接合され、それによって材料900内に閉塞セル930(空所として示される)が形成される。マイクロ波エネルギーが十分に照射された後に、水蒸気又は他の気体が、試薬915から放出されるか、又は試薬915によって生成される。結果として生成された気体は、閉塞セル930の一方の側において、サセプタフィルム910に、閉塞セル930の他方の側において、第2のポリマーフィルム920に圧力を印加する。閉塞セル930を形成する材料900の各側は、加熱及び蒸気膨張に対して同時に反応するが、特有の反応を示し、図1Cに示される外観に類似のキルト風の断熱材料を形成する。この膨張は、電子レンジ作動において1秒乃至15秒内に生じることができ、場合によっては、2秒乃至10秒内に生じることができる。紙又は板紙の層を用いない場合であっても、試薬から生じる水蒸気又は他の気体は、膨張可能セルを膨らませるのに十分であり、且つマイクロ波エネルギー相互作用材料から任意の余分な熱を吸収するのに十分である。
【0035】
さらに別の例(不図示)では、断熱構造は、閉塞セルフォーム(closed cell foam)、気泡材料(例えば、バブル材料、例えば、Sealed Air社から市販されるBUBBLE WRAP(登録商標))又は任意の他の断熱材料に少なくとも部分的に接合されるポリマーフィルム層(又は他の基材)上に支持されるマイクロ波エネルギー相互作用材料の層を含むことができる。その断熱構造は、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層がポリマーフィルムと断熱材料との間に配置されるように構成することができる。
【0036】
本発明によれば、数多くの他の変形形態が意図される。例えば、開口の数、形状、大きさ及び配置は、形成される構造体の型式、その中又はその上で加熱される食品、加熱、焦げ目付け及び/又はカリカリの焼き上げの所望の程度、食品の均一な加熱を達成するためにマイクロ波エネルギーの直接の照射が必要とされるか又は望まれるか否か、直に加熱することによって食品の温度の変化を調整する必要性、並びに通気口を設ける必要があるか否か、そしてどの程度必要かに応じて、用途毎に変更することが出来る。
【0037】
開口は任意の構成、タイル状に若しくは互い違いに、ランダムに若しくはパターン状に、構造にわたって均等な間隔で、1つ若しくは複数の領域内に集中的に、又は任意の他の適切な態様で、配置することができる。開口のうちの1つ又は複数を円形、楕円形、三角形、正方形、六角形、又は任意の他の規則的若しくは不規則な形状にすることができる。
【0038】
開口は、種々の寸法を有することができ、例えば、約0.1インチ乃至約1インチの主一次元寸法(major linear dimension)を有することができる。より特別には、種々の例のそれぞれにおいて、開口は、約0.2インチ乃至約0.9インチ、約0.3インチ乃至約0.8インチ、約0.4インチ乃至約0.7インチ、約0.5インチ乃至約0.6インチ、約0.25インチ乃至約0.75インチ、約0.375インチ乃至約0.675インチ、約0.1インチ、約0.15インチ、約0.2インチ、約0.25インチ、約0.3インチ、約0.35インチ、約0.4インチ、約0.45インチ、約0.5インチ、約0.55インチ、約0.6インチ、約0.65インチ、約0.7インチ、約0.75インチ、約0.8インチ、約0.85インチ、約0.9インチ、約0.95インチ、又は任意の他の適切な大きさの主一次元寸法を有することができる。
【0039】
各開口は、隣接する開口から任意の適切な距離だけ離間して配置することができる。例えば、各開口は、隣接する開口から、約0.25インチ乃至約1.5インチの距離だけ離間して配置することができる。より特別な例のそれぞれにおいて、各開口は、隣接する開口から、約0.3インチ乃至約1.4インチ、約0.4インチ乃至約1.3インチ、約0.5インチ乃至約1.2インチ、約0.6インチ乃至約1.1インチ、約0.7インチ乃至約1インチ、約0.75インチ乃至約1インチ、約0.8インチ乃至約0.9インチ、約0.25インチ、約0.3インチ、約0.35インチ、約0.4インチ、約0.45インチ、約0.5インチ、約0.55インチ、約0.6インチ、約0.65インチ、約0.7インチ、約0.75インチ、約0.8インチ、約0.85インチ、約0.9インチ、約0.95インチ、約1インチ、約1.05インチ、約1.1インチ、約1.15インチ、約1.2インチ、約1.25インチ又は約1.3インチの距離だけ離間して配置されることがある。
【0040】
同様に、閉塞セル(又は「膨張可能セル」若しくは「断熱セル」若しくは「膨張可能断熱セル」)は、任意の適切な大きさ、形状及び構成を有することができる。種々の例のそれぞれにおいて、各閉塞セルは個別に、約0.25インチ乃至約3インチ、例えば、約0.25インチ乃至約0.5インチ、約0.5インチ乃至約0.75インチ、約0.75インチ乃至約1インチ、約1インチ乃至約1.25インチ、約1.25インチ乃至約1.5インチ、約1.5インチ乃至約1.75インチ、約1.75インチ乃至約2インチ、約2インチ乃至約2.25インチ、約2.25インチ乃至約2.5インチ、約2.5インチ乃至約2.75インチ、約2.75インチ乃至約3インチ、約0.5インチ乃至約1.5インチ、又は任意の他の適切な寸法の主一次元寸法を有することができる。
【0041】
膨張可能断熱セルを、数多くの方法において、例えば、接着剤、化学接合若しくは熱接合、又は他の固定試薬若しくは過程を用いて形成して、水分含有層(たとえば、紙又は板紙)と第2のポリマーフィルム層との間に1つ又は複数の閉塞セルを形成することができる。簡明化のために、限定ではないが、接着、接合又は固定の所定のパターンは、本明細書において、「接着のライン」、又は「接着のパターン」又は「パターニングされた接着」又は「接着パターン」と呼ばれる場合がある。しかしながら、閉塞セルを形成する数多くの方法があること、及びそのような方法が本発明によって意図されることは理解されよう。
【0042】
所望により、接着のパターンを選択して、特定の食品の加熱調理を促進することができる。例えば、食品が大きな食品である場合には、概ね均一な形状の膨張可能セルを形成するように、接着パターンを選択することができる。食品が小さな食品であるか、又は小さな外形を有する場合には、個々の食品又は表面に可変的に接触できるようにするために、複数の異なる大きさのセルを形成するように接着パターンを選択することができる。本明細書において、いくつかの例が提供されるが、本明細書によれば、数多くの異なるパターンが意図されること、並びに選択されるパターンは、特定の食品の加熱、焦げ目付け、カリカリの焼き上げ、及び断熱の要件によることは理解されよう。
【0043】
開口及び膨張可能セルの相対的な大きさ及び位置によっては、セルを部分的に、又は完全に貫通して延在する開口が存在することに起因して、1つ又は複数のセルが膨張できなくなる場合があることは理解されよう。そのようなセルの断熱能力は弱められる場合があるが、それでも、開口に隣接するシートの領域が、加熱し、焦げ目を付け、且つ/又はカリカリに焼く効果を提供することができる。1つ又は複数の特定のセルの断熱効果を維持することが望ましい場合、影響を及ぼす開口が接着剤のライン内に配置される(且つ、そのラインによって囲まれる)ことが考えられる。したがって、接着剤のラインは、特定の加熱用途に応じて任意の形状及び幅を有することができる。
【0044】
さらに、各開口及び断熱セルの相対的な大きさ、及び/又は開口及び断熱セルの相対的な全面積は、開口に隣接して局所的に加熱すること、焦げ目を付けること及び/又はカリカリに焼くことと、その構造の残りの領域において全般的に加熱すること、焦げ目を付けること及び/又はカリカリに焼くこととの間の所望のバランスを達成するように調整することができる。一般的に、開口の主一次元寸法は、断熱セルの主一次元寸法以下にすることができる。より特別には、種々の例のそれぞれにおいて、各断熱セルの主一次元寸法と各開口の主一次元寸法との比は個別に、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1又は任意の他の適切な比にすることができる。
【0045】
開口は一般的に、マイクロ波エネルギー相互作用材料及び/又は平坦な状態にある断熱構造で測定した場合の断熱構造の層の全面積の約2%乃至約50%を含むことができる。種々の例のそれぞれにおいて、開口は、マイクロ波エネルギー相互作用材料及び/又は断熱構造の全面積の約2%乃至約5%、約5%乃至約10%、約10%乃至約15%、約15%乃至約20%、約20%乃至約25%、約25%乃至約30%、約30%乃至約35%、約35%乃至約40%、約40%乃至約45%、約45%乃至約50%、約5%乃至約20%、約10%乃至約25%、約15%乃至約30%、又は任意の他の適切なパーセンテージを含むことができる。
【0046】
上記のように、任意の数及び構成の開口を用いることができる。さらに、本明細書において物理的開口が詳細に検討されるが、本発明の種々の断熱構造のいずれかが1つ又は複数の「非物理的開口」(不図示)を含む場合もあることは理解されよう。非物理的開口は、構造を貫通する実際の空所又は孔を用いることなく、マイクロ波エネルギーがその構造を通過できるようにするマイクロ波エネルギー透過領域である。そのような領域は、特定の領域に単にマイクロ波エネルギー相互作用材料を塗布しないことによって、又は特定の領域においてマイクロ波エネルギー相互作用材料を除去することによって、又は特定の領域においてマイクロ波エネルギー相互作用材料を化学的に、且つ/又は機械的に非活性化することによって形成することができる。物理的開口及び非物理的開口は共に、食品をマイクロ波エネルギーによって直接加熱できるようにするが、物理的開口は、水蒸気又は他の蒸気を構造体の内部から放出させることができるようにする通気機能も提供する。
【0047】
所望により、多数の断熱シート層を用いて、断熱材料の断熱特性を高め、それにより、食品の焦げ目付け、及びカリカリの焼き上げを促進することができる。多数の層のセルは、食品が重くなり、それゆえ電子レンジの床面から持ち上げるのがより難しい場合、並びに/又は所望の程度の加熱、焦げ目付け、及び/若しくはカリカリの焼き上げを達成するために、より大きく上げる必要がある場合に、特に好都合であり得る。特定の用途のために、必要に応じて、又は所望により、類似の断熱材料及び/又は異なる断熱材料の種々のシートを任意の構成において重ね合わせることができる。例えば、それぞれのサセプタフィルム層が互いに向かい合わないように、2つの断熱材料シートを配置することができる。別の例として、それぞれのサセプタフィルム層が互いに向かい合うように、2つの断熱材料シートを配置することができる。さらに別の例において、3つ以上の断熱材料層を任意の態様で配置し、重ね合わせることができる。シートは、分離したままにすることができるか、又は任意の適切な工程若しくは技法、例えば、熱接合、接着、超音波接合又は溶着、機械的固定、若しくはそれらの任意の組み合わせを用いて接合することができる。最も高く嵩上げすることが望ましい場合には、材料内の層の膨張及び収縮を制限することがない不連続なパターニングがされた接着を用いることが好都合である場合もある。対照的に、構造的な安定性が望ましい場合には、連続した接着が所望の結果をもたらす場合がある。そのような構造の数多くの例が、2007年11月1日に公開された米国特許出願公開第2007/0251943号において提供される。
【0048】
材料が、典型的な電子レンジ加熱温度、例えば、約250°F乃至約425°Fにおいて軟化、焦げ、燃焼又は劣化に概ね耐えるのであれば、種々の材料から、本発明によって包含される構造及び構造体の任意の種々の層を形成することができる。用いられる特定の材料は、マイクロ波エネルギー相互作用材料、例えば、サセプタを形成するために用いられる材料、及び他のマイクロ波エネルギー相互作用要素、及びマイクロ波エネルギー透過性又は不活性材料、例えば、ポリマーフィルム層、水分含有層、寸法安定性支持体、トレー、プラットフォーム等を形成するために用いられる材料を含むことができる。
【0049】
マイクロ波エネルギー相互作用材料は、導電性材料又は半導体材料、例えば、金属箔として提供される金属若しくは合金、真空蒸着された金属若しくは合金、又は金属インク、有機インク、無機インク、金属ペースト、有機ペースト、無機ペースト、又はそれらの任意の組合せであり得る。本発明に使用するのに適切であり得る金属及び合金の例は、アルミニウム、クロム、銅、インコネル合金(ニオブを含むニッケル−クロム−モリブデン合金)、鉄、マグネシウム、ニッケル、ステンレス鋼、スズ、チタン、タングステン、及びそれらの任意の組合せ又は合金を含むが、これらに限定されない。
【0050】
代替的には、マイクロ波エネルギー相互作用材料は金属酸化物を含んでいてもよい。本発明に使用するのに適切であり得る金属酸化物の例は、必要であれば導電性材料と併用される、アルミニウム、鉄及びスズの酸化物を含むが、これらに限定されない。本発明に使用するのに適切であり得る金属酸化物の別の例は酸化インジウムスズ(ITO)である。ITOは、加熱効果、遮蔽効果、焦げ目を付け且つ/若しくはカリカリに焼き上げる効果、又はそれらの組合せを提供するマイクロ波エネルギー相互作用材料として用いられ得る。例えば、サセプタを作製するために、ITOを透明なポリマーフィルム上にスパッタリングしてもよい。スパッタリングプロセスは典型的に金属蒸着に用いられる蒸着プロセスよりも低温で起こる。ITOはより均質な結晶構造を有し、それゆえ大抵のコーティング厚さで透明である。また、ITOは、加熱効果又は電界制御効果(field management effect)のいずれかに用いることができる。ITOはまた金属よりも欠損を有しないため、アルミニウム等の金属の厚いコーティングよりも電界制御に適切なITOの厚いコーティングを作製し得る。
【0051】
代替的には、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、適切な導電性、半導体性、又は非導電性の人工誘電体若しくは強誘電体を含んでいてもよい。人工誘電体は、ポリマー系又は他の適切なマトリクス若しくは結合剤(binder)に細分化される導電性材料を含み、これらは導電性金属、例えばアルミニウムの断片(flake)を含むことができる。
【0052】
基材は典型的に、絶縁体、例えばポリマーフィルム又は他のポリマー材料を含む。本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」、「ポリマーフィルム」、及び「ポリマー材料」は、ホモポリマー、共重合体、たとえば、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体及び交互共重合体、ターポリマー等、並びにそれらのブレンド及び変性物(modification)を包含するが、これらに限定されない。さらに、特に限定されない限り、用語「ポリマー」は、全ての可能性のある分子の幾何学構造を包含するものとする。これらの構造は、イソタクチック、シンジオタクチック且つランダムシンメトリを含むが、これらに限定されない。
【0053】
フィルムの厚さは典型的に約35ゲージ(gauge)乃至約10ミル(mil)であり得る。一態様において、フィルムの厚さは約40ゲージ乃至約80ゲージである。別の態様では、フィルムの厚さは約45ゲージ乃至約50ゲージである。さらに別の態様では、フィルムの厚さは約48ゲージである。適切であり得るポリマーフィルムの例は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、セロハン、又はそれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。紙及びラミネート紙、金属酸化物、ケイ酸塩、セルロース系材料、又はそれらの任意の組合せ等の他の非導電性基材材料も使用し得る。
【0054】
一例では、ポリマーフィルムはポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。ポリエチレンテレフタレートフィルムは市販のサセプタ、例えば、共にGraphic Packaging International(Marietta, Georgia)から入手可能なQWIKWAVE(登録商標)Focusサセプタ及びMICRORITE(登録商標)サセプタに使用されている。基材として用いられるのに適切であり得るポリエチレンテレフタレートフィルムの例は、DuPont Teijan Films(Hopewell, Virginia)から市販されるMELINEX(登録商標)、SKC, Inc.(Covington, Georgia)から市販されるSKYROL、及びToray Films(Front Royal, VA)から市販されるBARRIALOX PET、並びにToray Films(Front Royal, VA)から市販されるQU50 High Barrier Coated PETを含むが、これらに限定されない。
【0055】
ポリマーフィルムは、種々の特性、例えば、印刷適性、耐熱性、又は任意の他の特性をマイクロ波相互作用ウェブに与えるように選択されてもよい。或る特定の例として、ポリマーフィルムは、水分バリア、酸素バリア、又はそれらの組合せを提供するように選択されてもよい。このようなバリアフィルム層は、バリア特性を有するポリマーフィルムから又は所望であれば任意の他のバリア層又はコーティングから形成され得る。適切なポリマーフィルムは、エチレンビニルアルコール、バリアナイロン、ポリ塩化ビニリデン、バリアフルオロポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6、共押出ナイロン6/EVOH/ナイロン6、酸化ケイ素コーティングフィルム、バリアポリエチレンテレフタレート、又はそれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0056】
本発明に使用するのに適切であり得るバリアフィルムの一例は、Honeywell International(Pottsville, Pennsylvania)から市販されるCAPRAN(登録商標)EMBLEM 1200Mナイロン6である。適切であり得るバリアフィルムの別の例は、同様にHoneywell Internationalから市販されるCAPRAN(登録商標)OXYSHIELD OBS一軸延伸共押出ナイロン6/エチレンビニルアルコール(EVOH)/ナイロン6である。本発明に使用するのに適切であり得るバリアフィルムのさらに別の例は、Enhance Packaging Technologies(Webster, New York)から市販されるDARTEK(登録商標)N−201ナイロン6,6である。さらなる例は、上に示される、Toray Films(Front Royal, VA)から入手可能なBARRIALOX PET、及びToray Films(Front Royal, VA)から入手可能なQU50 High Barrier Coated PETを含む。
【0057】
さらに他のバリアフィルムは、Sheldahl Films(Northfield, Minnesota)から入手可能なもの等の、酸化ケイ素コーティングフィルムを含む。それゆえ、一例において、サセプタは、フィルム上にコーティングされる酸化ケイ素の層と、酸化ケイ素上に蒸着されるITO又は他の材料とを有する、フィルム、例えばポリエチレンテレフタレートを含む構造を有し得る。必要に応じて又は所望であれば、個々の層を加工処理中の損傷から防護するようにさらなる層又はコーティングを設けてもよい。
【0058】
バリアフィルムは、ASTM D3985を用いて測定される場合、約20cc/m2/日未満の酸素透過率(OTR)を有し得る。一例において、バリアフィルムは約10cc/m2/日未満のOTRを有する。別の例では、バリアフィルムは約1cc/m2/日未満のOTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.5cc/m2/日未満のOTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.1cc/m2/日未満のOTRを有する。
【0059】
バリアフィルムは、ASTM F1249を用いて測定される場合、約100g/m2/日未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し得る。一例において、バリアフィルムは約50g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する。別の例では、バリアフィルムは約15g/m2/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約1g/m2/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.1g/m2/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.05g/m2/日未満のWVTRを有する。
【0060】
金属酸化物、ケイ酸塩、セルロース系材料、又はそれらの任意の組合せ等の他の非導電性基材材料も本発明によって使用し得る。
【0061】
マイクロ波エネルギー相互作用材料を任意の適切な方法で基材に塗布してもよく、場合によっては、マイクロ波エネルギー相互作用材料を、基材上に印刷、押出し、スパッタリング、蒸着又は積層してもよい。マイクロ波エネルギー相互作用材料を任意のパターンで任意の技法を用いて基材に塗布して、食品の所望の加熱効果を得ることができる。例えば、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、円、環、六角形、島、正方形、長方形、及び八角形等を含む連続的又は不連続的な層又はコーティングとして提供されてもよい。本発明に使用するのに適切であり得る種々のパターン及び方法の例は、米国特許第6,765,182号、同第6,717,121号、同第6,677,563号、同第6,552,315号、同第6,455,827号、同第6,433,322号、同第6,410,290号、同第6,251,451号、同第6,204,492号、同第6,150,646号、同第6,114,679号、同第5,800,724号、同第5,759,418号、同第5,672,407号、同第5,628,921号、同第5,519,195号、同第5,420,517号、同第5,410,135号、同第5,354,973号、同第5,340,436号、同第5,266,386号、同第5,260,537号、同第5,221,419号、同第5,213,902号、同第5,117,078号、同第5,039,364号、同第4,963,420号、同第4,936,935号、同第4,890,439号、同第4,775,771号、同第4,865,921号、及び米国再発行特許第34,683号に提示されている。マイクロ波エネルギー相互作用材料のパターンの特定の例を本明細書に示して説明するが、マイクロ波エネルギー相互作用材料の他のパターンが本発明によって意図されることを理解されたい。
【0062】
マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、寸法安定性を有し、水分含有の1つ又は複数のマイクロ波エネルギー透過層も含むことができる。一態様において、断熱構造は、一般的に約15lbs/ream乃至約60lbs/ream(lb/300平方フィート)、例えば約20lbs/ream乃至約40lbs/reamの坪量を有する紙又は紙ベースの材料を含むことができる。或る特定の例では、紙は約25lbs/reamの坪量を有する。
【0063】
本発明は以下の実施例を参照してさらに理解され得るが、これらの実施例は任意の形に限定されると解釈されるものではない。
【実施例】
【0064】
Kraft DiGiornoピザを、種々のマイクロ波エネルギー相互作用シート及びプラットフォームを用いて、1000Wのシャープ製電子レンジにおいて加熱した。各ピザは約6分間加熱され、冷ましておき、裏返してピザ外皮の底面を調べた。各評価の結果が表1において提示される。表中で、
優秀:外皮に均一に焦げ目が付き、カリカリに焼けている;焼け過ぎ、過剰な乾燥は見られなかった。
優良:中央部分に焦げ目が付き、カリカリに焼けている;外側の部分に焦げ目は付いたが、全体的な均一性を欠いていた。
良:中央部分に焦げ目が付き、カリカリに焼けている;外側の部分はわずかに焦げ目が付いたか、又は少しも焦げ目が付かなかった。
可:外皮の部分によっては、焼け過ぎ、及び/又は過剰な乾燥が生じた。
不可:外皮の大部分において、焼け過ぎ、及び/又は過剰な乾燥が生じた。
【0065】
【表1】
【0066】
本発明の特定の実施形態を或る程度詳細に説明したが、当業者は、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく開示の実施形態に多数の変更を行うことができるであろう。方向の指示(例えば、上の、下の、上方の、下方の、左の、右の、左方の、右方の、頂部、底部、上に、下に、垂直の、水平の、時計回りに、及び反時計回りに)は全て、読者が本発明の様々な実施形態を理解するのを助けるために、単に識別表示目的で使用され、添付の特許請求の範囲に具体的に記載しない限り、特に位置、方向、又は本発明の利用に関して限定するものではない。接合の指示(たとえば、接合、取付、結合、接続等)は、広義に解釈され、要素の接続間の中間部材及び要素間の相対運動を含み得る。このように、接合の指示は必ずしも2つの要素が直接、且つ互いに固定された関係で接続されることを意味するものではない。
【0067】
本発明の範囲内の全く新しい実施形態を作り出すために、様々な実施形態を参照して検討される様々な要素を交換してもよいことは当業者には明らかであろう。上記の詳細な説明に記載されるか又は添付の図面に示される全ての事柄は、単に例示として解釈され、限定するものではないことが意図される。本発明の精神を逸脱することなく、細部又は構造の変更を行なってもよい。本明細書中に記載される詳細な説明は、本発明を限定するか、又は他の態様で本発明の任意のそのような他の実施形態、適合、変形、改良、及び等価の構成を除外するように意図又は解釈されるものではない。
【0068】
したがって、本発明の上記の詳細な説明に鑑みて、本発明が広い効用及び用途に適用可能であることが当業者には容易に明らかとなるであろう。本明細書中に記載されるもの以外の本発明の多くの適合、並びに多くの変形、改良、及び等価の構成が、本発明の内容又は範囲を逸脱することなく、本発明及び本発明の上記の詳細な説明から明らかであるか、又は十分に示唆されている。
【0069】
本発明は特定の態様に関して本明細書中に詳細に説明されているが、この詳細な説明は単に本発明の例証及び例示であり、単に本発明の完全で有効な開示を提供する目的で作成されていることが理解されるであろう。本明細書中に記載される詳細な説明は、本発明を限定するか、又は他の態様で本発明の任意の他の実施形態、適合、変形、改良、及び等価の構成を除外するように意図又は解釈されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造であって、該マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、
第1のポリマーフィルム層上に支持されるマイクロ波エネルギー相互作用材料の層であって、該マイクロ波エネルギー相互作用材料は少なくとも1つの開口を囲む、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、
前記マイクロ波エネルギー相互作用材料の層に接合される水分含有層と、
前記水分含有層に所定のパターンにおいて接合される第2のポリマーフィルム層であって、それによって前記水分含有層と該第2のポリマーフィルム層との間に複数の閉塞セルが画定される、第2のポリマーフィルム層と、
を備え、
前記水分含有層は、前記マイクロ波エネルギー相互材料の層と前記第2のポリマーフィルム層との間に配置される、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造。
【請求項2】
前記閉塞セルは、マイクロ波エネルギーに反応して膨張するようになっている、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記開口は、前記開口に直に隣接する領域において前記マイクロ波エネルギー相互作用材料によって生成される熱を増加させる、請求項1又は2に記載の構造。
【請求項4】
前記開口は、前記第1のポリマーフィルム層、前記水分含有層及び前記第2のポリマーフィルム層を貫通して延在する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の構造。
【請求項5】
前記所定のパターンは、前記水分含有層と前記第2のポリマーフィルム層との間に配置される接着剤のラインによって画定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の構造。
【請求項6】
前記開口は前記接着剤のラインによって囲まれる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の構造。
【請求項7】
前記開口は、約0.15インチ乃至約0.75インチの主一次元寸法を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の構造。
【請求項8】
前記開口は、約0.25インチの主一次元寸法を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の構造。
【請求項9】
前記開口は、約0.5インチの主一次元寸法を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の構造。
【請求項10】
前記閉塞セルのうちの少なくともいくつかは、約0.5インチ乃至約1.5インチの主一次元寸法を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の構造。
【請求項11】
前記開口は複数の開口のうちの第1の開口である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の構造。
【請求項12】
前記複数の開口は、概ね中央に配置される開口を含む、請求項11に記載の構造。
【請求項13】
前記複数の開口は、前記概ね中央に配置される開口の周囲に配置される複数の開口を含む、請求項12に記載の構造。
【請求項14】
前記複数の開口はランダムな構成で配置される、請求項11に記載の構造。
【請求項15】
前記水分含有層は紙、板紙又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の構造。
【請求項16】
前記第2のポリマーフィルム層は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の構造。
【請求項17】
マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造であって、該マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、
断熱層と重ね合わせられ、向かい合う関係で配置されるサセプタフィルムであって、該断熱層は、概ね閉じており、概ね蒸気不浸透性の複数の断熱セルを含む、サセプタフィルム
を備え、
複数の開口が前記サセプタフィルム及び前記断熱層を貫通して延在する、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造。
【請求項18】
前記断熱層は、
寸法安定性のある水分供与層と、
前記断熱セルを画定するパターン化された構成で水分含有層に接合されるポリマーフィルム層とを備える、請求項17に記載の構造。
【請求項19】
前記セルのうちの少なくともいくつかは、マイクロ波エネルギーが十分に照射されると膨らむ、請求項18に記載の構造。
【請求項19】
前記サセプタフィルムは前記水分供与層に接合される、請求項18に記載の構造。
【請求項20】
前記断熱層は、閉塞セルフォーム、気泡材料、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項17に記載の構造。
【請求項21】
前記構造は、或る全面積を有し、
前記開口は前記全面積の約5%乃至約20%を含む、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の構造。
【請求項22】
電子レンジにおいて食品を加熱する際に用いるシステムであって、該システムは、
食品を受容するためのプラットフォームと、
前記プラットフォームの上に重なるマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造と、
を備え、
該マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、
入射するマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を熱エネルギーに変換するマイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、
前記マイクロ波エネルギー相互作用材料の層からの熱伝達を低減することができる複数の閉塞セルと、
前記マイクロ波エネルギー相互作用材料の層及び前記閉塞セルのうちの少なくともいくつかを貫通して延在する複数の開口と、
を備える、電子レンジにおいて食品を加熱する際に用いるシステム。
【請求項23】
前記開口は、前記開口に直に隣接する領域において前記マイクロ波エネルギー相互作用材料によって生成される熱を増加させる、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記開口は、前記マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を通して通気を提供する、請求項22若しくは23に記載のシステム。
【請求項25】
前記マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造内の前記開口及び前記閉塞セルの相対的な面積は、前記マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造上に置かれる食品の所望の程度の加熱、焦げ目付け、カリカリの焼き上げ及び/又は通気を提供するように選択される、請求項22乃至24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記プラットフォームは、前記マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を貫通して延在する開口と整合する関係で配置される複数の開口を含む、請求項22乃至25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項1】
マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造であって、該マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、
第1のポリマーフィルム層上に支持されるマイクロ波エネルギー相互作用材料の層であって、該マイクロ波エネルギー相互作用材料は少なくとも1つの開口を囲む、マイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、
前記マイクロ波エネルギー相互作用材料の層に接合される水分含有層と、
前記水分含有層に所定のパターンにおいて接合される第2のポリマーフィルム層であって、それによって前記水分含有層と該第2のポリマーフィルム層との間に複数の閉塞セルが画定される、第2のポリマーフィルム層と、
を備え、
前記水分含有層は、前記マイクロ波エネルギー相互材料の層と前記第2のポリマーフィルム層との間に配置される、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造。
【請求項2】
前記閉塞セルは、マイクロ波エネルギーに反応して膨張するようになっている、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記開口は、前記開口に直に隣接する領域において前記マイクロ波エネルギー相互作用材料によって生成される熱を増加させる、請求項1又は2に記載の構造。
【請求項4】
前記開口は、前記第1のポリマーフィルム層、前記水分含有層及び前記第2のポリマーフィルム層を貫通して延在する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の構造。
【請求項5】
前記所定のパターンは、前記水分含有層と前記第2のポリマーフィルム層との間に配置される接着剤のラインによって画定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の構造。
【請求項6】
前記開口は前記接着剤のラインによって囲まれる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の構造。
【請求項7】
前記開口は、約0.15インチ乃至約0.75インチの主一次元寸法を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の構造。
【請求項8】
前記開口は、約0.25インチの主一次元寸法を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の構造。
【請求項9】
前記開口は、約0.5インチの主一次元寸法を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の構造。
【請求項10】
前記閉塞セルのうちの少なくともいくつかは、約0.5インチ乃至約1.5インチの主一次元寸法を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の構造。
【請求項11】
前記開口は複数の開口のうちの第1の開口である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の構造。
【請求項12】
前記複数の開口は、概ね中央に配置される開口を含む、請求項11に記載の構造。
【請求項13】
前記複数の開口は、前記概ね中央に配置される開口の周囲に配置される複数の開口を含む、請求項12に記載の構造。
【請求項14】
前記複数の開口はランダムな構成で配置される、請求項11に記載の構造。
【請求項15】
前記水分含有層は紙、板紙又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の構造。
【請求項16】
前記第2のポリマーフィルム層は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の構造。
【請求項17】
マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造であって、該マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、
断熱層と重ね合わせられ、向かい合う関係で配置されるサセプタフィルムであって、該断熱層は、概ね閉じており、概ね蒸気不浸透性の複数の断熱セルを含む、サセプタフィルム
を備え、
複数の開口が前記サセプタフィルム及び前記断熱層を貫通して延在する、マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造。
【請求項18】
前記断熱層は、
寸法安定性のある水分供与層と、
前記断熱セルを画定するパターン化された構成で水分含有層に接合されるポリマーフィルム層とを備える、請求項17に記載の構造。
【請求項19】
前記セルのうちの少なくともいくつかは、マイクロ波エネルギーが十分に照射されると膨らむ、請求項18に記載の構造。
【請求項19】
前記サセプタフィルムは前記水分供与層に接合される、請求項18に記載の構造。
【請求項20】
前記断熱層は、閉塞セルフォーム、気泡材料、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項17に記載の構造。
【請求項21】
前記構造は、或る全面積を有し、
前記開口は前記全面積の約5%乃至約20%を含む、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の構造。
【請求項22】
電子レンジにおいて食品を加熱する際に用いるシステムであって、該システムは、
食品を受容するためのプラットフォームと、
前記プラットフォームの上に重なるマイクロ波エネルギー相互作用断熱構造と、
を備え、
該マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造は、
入射するマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を熱エネルギーに変換するマイクロ波エネルギー相互作用材料の層と、
前記マイクロ波エネルギー相互作用材料の層からの熱伝達を低減することができる複数の閉塞セルと、
前記マイクロ波エネルギー相互作用材料の層及び前記閉塞セルのうちの少なくともいくつかを貫通して延在する複数の開口と、
を備える、電子レンジにおいて食品を加熱する際に用いるシステム。
【請求項23】
前記開口は、前記開口に直に隣接する領域において前記マイクロ波エネルギー相互作用材料によって生成される熱を増加させる、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記開口は、前記マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を通して通気を提供する、請求項22若しくは23に記載のシステム。
【請求項25】
前記マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造内の前記開口及び前記閉塞セルの相対的な面積は、前記マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造上に置かれる食品の所望の程度の加熱、焦げ目付け、カリカリの焼き上げ及び/又は通気を提供するように選択される、請求項22乃至24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記プラットフォームは、前記マイクロ波エネルギー相互作用断熱構造を貫通して延在する開口と整合する関係で配置される複数の開口を含む、請求項22乃至25のいずれか一項に記載のシステム。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2010−518350(P2010−518350A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549250(P2009−549250)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/053391
【国際公開番号】WO2008/098156
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(504075588)グラフィック パッケージング インターナショナル インコーポレイテッド (137)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/053391
【国際公開番号】WO2008/098156
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(504075588)グラフィック パッケージング インターナショナル インコーポレイテッド (137)
【Fターム(参考)】
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