説明

マイクロ波加熱方法及びデバイス

デバイスは、照射ゾーン(1)で単一モードの電磁放射を発生させるための手段(5、6)を有する。処理されるディスク形状の生産物は、キャリッジ(2a)内で垂直に保持され、そして、並進運動(7)により照射ゾーン(1)内に移動させられる。上流では、赤外光(9、9a、9b)がその生産物に赤外線放射を受けさせる。その結果、その生産物は、極めて迅速に解凍される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波によって、言い換えれば、生産物に含まれる特定の分子を振動(agitate)させるのに適した周波数の電磁波をその生産物に照射することによって、生産物を加熱可能とする方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
1946年におけるその発見以来、マイクロ波(電子レンジ)調理方法は、少なからぬ発展を経験し、最近では、特に食べ物の熱処理において、極めて頻繁に利用されている。電子レンジは、一般的に、プライベート及び業務用のキッチンにおける機器の一部をなす。
【0003】
従来の電子レンジでは、食べ物は、調理用筐体内に置かれる。電磁波は、マグネトロンによって生成され、導波管によってその調理用筐体内にもたらされる。そのマグネトロンは、一般的に、共振キャビティで構成される円筒アノードと、真空の相互作用空間に電子を放出する加熱用カソードとを有する。なお、その相互作用空間は、そのカソードとそのアノードとの間に存在する。磁石は、その相互作用空間における電子を加速させ、また、連続的な電場がそのアノードとそのカソードとの間に適用される。そのカソードの周りにある電子の動きは、その共振キャビティ内で電磁振動を発生させる。このようにして生成された電磁波の一部は、その導波管によって取り出され、その導波管は、それらをその調理用筐体に伝える。そのアノードにおけるキャビティの寸法は、放射される電磁波が2450MHzの周波数を持つように選択される。
【0004】
自然な状態では双極性である、すなわち、負電荷の重心が正電荷の重心と異なる水分子は、調理キャビティ内に存在する電磁波を作り出す電場に従うことで、それら自身の方向合わせをする傾向を有する。これら電磁波の性質が変化するという理由により、それら水分子は結果的に、その電磁波の変化速度で、言い換えれば、一秒間につき49億回振動することで、続けざまに一方向そして他方向に方向付けられる。
【0005】
この一般的に用いられる原理において、マグネトロンによって生成される電磁波は、その筐体の壁で反射されることで、調理用筐体全体を行き来し、また、その調理用筐体内に置かれたそれら生産物内にランダムに入り込む。このように、いわゆる“マルチモード”の電磁波が関係している。
【0006】
その調理用筐体内に置かれた誘電性の生産物の表面に電磁波が達すると、その電磁波の一部がその生産物によって反射され、また、その電磁波の一部がその生産物内に入り込んで吸収され、その生産物における双極性の水分子の振動によって熱に変換される。その生産物内に吸収されたパワーPは、近似公式P=5・56・10―4・f・ε”・Eに従って、その生産物がさらされる電界Eの強度、その周波数f、及びその生産物を構成する物質の誘電損率ε”の特性に依存する。
【0007】
熱処理の間、問題となるのは、マイクロ波で照射されるその生産物の不均一性である。その生産物の特定のゾーンは、その生産物の性質、その温度、その冷凍された若しくは解凍された物理状態といった種々のパラメータに応じて、その生産物の他のゾーンよりも大きな誘電損率を提示する場合がある。
【0008】
このことから、大きな誘電損率を持つ生産物ゾーンがより迅速に加熱されて過熱ゾーンをもたらす一方で、他のゾーンが冷たいままになるという結果になる。
【0009】
人は、一般的に、その調理用筐体の壁における電磁波の多くの反射を整理することやその生産物をターンテーブルの上で動かすことによって、そのような不均質による不利点を緩和することを試みる。
【0010】
別の問題は、その生産物に入り込まず、如何なる加熱をも保証せず、一方で、その調理用筐体の他のゾーン又は選択的にそのマグネトロンのほうに向け直されることでそれを破壊してしまう危険がある電磁波の反射に起因する。
【0011】
解凍を希望する生産物の場合、追加的な問題は、固体状態にある水の極めて低い誘電損率に起因し、それ故、一つの同じ生産物における既に解凍されたゾーンと未だ凍結したゾーンとの間の極めて顕著な不均質の出現を避ける試みのため、マイクロ波による照射期間と照射のない待機期間とが交互に繰り返される、より長い解凍サイクルを提供することが必要となる。
【0012】
これらの現象の結果として、マイクロ波による熱処理は、比較的ゆっくりしたものとなる。
【0013】
国際公開82/00403号は、冷凍された動物の部位(quarter)の表面への冷気流の適用によってその動物の部位のマイクロ波による解凍を加速させることを目的とし、その冷気は、その動物の部位の表面の冷却を確かなものとし、結果として、そのマイクロ波のその生産物への進入を助けるようにする。使用されるそのマイクロ波は、高反射壁を有する筐体内におけるマルチモードタイプである。それら動物の部位は、その筐体内で動かされ、また、複数の方向からのマイクロ波を受けるために回転可能である。
【0014】
そのような方法は、それらマイクロ波の進入が表面的で且つ不ぞろいのままであるため、遅いままである。
【0015】
特に米国特許第4775770号に記載されるような、生産物への電磁波の進入の増大を可能にする単一モードのマイクロ波技術が最近開発された。その方法は、その文書では、外部の過度の圧力にさらされる密閉パックされた液体のような対象物の加熱に適用される。相対する方向の二つの波列(wave train)が、その生産物のところで重ね合わされるように、その生産物の両側に向けられ、累積的な場を形成する。その相対する方向の二つの波列は、単一のエミッタであり、そのエネルギーが二つの相対する方向に分離されて半トーラス(semi-torus)の導波管によって方向付けられる単一のエミッタを通じて、或いは、二つのエミッタであり、実質的に等しい周波数及び振幅を持ち、それぞれがその生産物に向けられる二つの波列のうちの一つを生成する同様の極性形成を持つ二つのエミッタを通じて実現され得る。それらマイクロ波のその生産物への適用は、それらマイクロ波を受け入れるゾーンのサイズよりもその生産物が小さなサイズである場合には、静止した状態で行われ得る。より大きなサイズの生産物の場合には、走査によって、その照射ゾーン内を移動させられてもよい。
【0016】
しかしながら、そのようなデバイスによる熱処理の速度は、特に冷凍された生産物の場合には、不十分なままであり、また、それら電磁波の反射のためにそれらマグネトロンを破壊するかなりのリスクが存在する。当初−18℃に冷凍されたハンバーガーのような生産物を比較的均一な態様で約80℃の温度にまでもっていくのに約120秒が必要とされる点に留意すべきである。調理には、更なる時間が追加的に必要とされる。
【0017】
代替案では、また、より従来的な方法では、食べ物は、一般的に、ホットプレート、フライパン、ソースパンのような熱面と接触させて置かれることにより、或いは、薪の燃えさし(ember)若しくは電気抵抗による赤外線放射を通じて加熱される。これらの加熱技術は、迅速なものとなり得るが、基本的にその生産物の表面から作用し、そしてその結果、その表面でより激しい加熱をもたらすこととなる。その生産物の中心部(core)は、その表面からの伝導により熱エネルギーを受け、その結果、より弱い加熱を受ける。このことは、先と同様に、その生産物の表面とその生産物の中心部との間の処理の不均質が大きくなり過ぎるのを防止することを望む場合には、熱処理の速度に制限がかかる結果となる。
【0018】
また、この不均質は、当初冷凍状態にある生産物の中心部において更に増幅される。例えば、ハンバーガーの熱処理は、その冷凍状態から摂取に適した調理された状態にもっていくのに、例えば、ファストフードケータリングにおける最新の技術を用いて、約122秒を要する。そして、この熱処理は、現時点では自動化ができない比較的多くの操作のために、労働力の介入を必要とする。
【特許文献1】国際公開82/00403号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4775770号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明により提案される課題は、食べ物、特に、当初冷凍された状態にある食べ物のような生産物に対する、摂取に適する解凍された状態にそれらをもっていくための熱処理の速度を実質的に増大させることである。
【0020】
本発明はまた、その熱処理の自動化を可能にすることを目的とする。
【0021】
また、この熱処理では、その生産物(水、脂肪)の当初の重さを最大限保つ場合、この熱処理のための全体的なエネルギー消費を低減させる場合、環境汚染を低減させる場合、且つ、その食べ物の性質を保存する場合に、利点がある。
【0022】
その目的は、例えば、当初−18℃で凍結されたハンバーガーを調理することであり、一分未満で解凍及び調理が実行されることである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、水がその固体状態からその液体状態に移る際の誘電損率における急激で大きな変化を利用することからなるアイデアに起因する。凍結した純水の誘電損率は、0.003である。典型的な冷凍生産物は、0%から95%まで変化し得る水分含量を有する。それ故に、冷凍状態におけるそれら誘電損率は、顕著に変化し得る。従って、冷凍食品生産物は、一般的に、塩の存在、乾燥物質の性質等に応じて、0.1から1.8まで変動する誘電損率を有する。解凍された状態において、同じ食品生産物であっても同様に変化する誘電損率を有し、平均ほぼ14程度である。従って、その凍結された状態からその解凍された状態に推移する際に、食品生産物の誘電損率は、その凍結された状態におけるほぼ1.6程度の値からその解凍された状態におけるほぼ14程度の値に推移する。本発明に従った、方向及び速度の点で適切な方法によりそれ自身が移動する縮小された生産物ゾーンにおける単一モードのマイクロ波の適用のおかげで、この現象の利用が体系化される。
【0024】
従って、これら及び他の目的を実現するために、本発明は、冷凍生産物の解凍及び熱処理のためのマイクロ波加熱方法であって、少なくとも一つの解凍ステップ(a)であり、その過程において、相対する波列の重ね合わせを伴う単一モードの電磁放射にさらされる照射ゾーンにその生産物の一部が置かれ、その照射ゾーンとその生産物との互いに対する相対移動が実行され、生産物の照射された部分における既に解凍されたゾーンと生産物の照射された部分における未だ凍結した隣接ゾーンとの間の境界の両側で、その移動中に、その生産物の照射された部分が不変的に延在するような速度で、且つ、そのように延在するような方向に沿って、その冷凍生産物の全体をその照射ゾーンが横切るようにする、少なくとも一つの解凍ステップ(a)を有する方法を提案する。
【0025】
このステップ(a)の過程で、生産物における少なくとも一つの照射された部分は、生産物の照射された部分における解凍されたゾーンと生産物の照射された部分における未だ凍結したゾーンとの間において各瞬間に位置付けられる移動境界を含む。単一モードの放射の場合、放射エネルギーの最も大きな部分は、比較的狭い直線的なゾーンに沿って集められ、それは、“照射ゾーン”という表現で表される。その移動境界は、その照射ゾーンの形を取り、また、概して直線的である。その生産物の照射された部分における解凍されたゾーンは、高い誘電損率を提示し、それ故、それら電磁波の熱エネルギーへの変換を集中させ、その結果、その生産物の照射された部分における解凍されたゾーンのその生産物の温度を局所的に上昇させる。熱伝導によって、その生産物の照射された部分における解凍されたゾーンに存在する熱は、その境界に沿って、その生産物の照射された部分における未だ凍結した隣接ゾーンに伝播し、その解凍をもたらす。従って、その境界は、必然的に、その生産物の未だ凍結した部分に向かって移動し、また、その生産物の照射された部分における解凍されたゾーンを以前に構成したその生産物の部分から遠ざかるように移動する傾向がある。本発明に従って、その照射ゾーンは、方向及び速度に関しては、その境界の自然な移動に追随ことによって、その生産物に対して移動させられる(或いは、同じことを意味するが、その生産物は、その照射ゾーンに対して移動させられる。)。従って、それら電磁波のエネルギーは、その境界に隣接する解凍されたゾーンだけを加熱するために用いられ、その結果、短い経路に沿った熱伝導によってその境界に隣接する凍結したゾーンを急速に解凍するのに役立つ。
【0026】
このように、その生産物の解凍は、その生産物の照射された部分における解凍されたゾーンでのそれら電磁波の顕著な吸収とその生産物の照射された部分における未だ凍結した隣接ゾーンに向かう迅速な熱伝導とを組み合わせることにより、極めて大幅に加速されることとなる。
【0027】
その生産物の照射された部分における解凍されたゾーンの範囲は、その生産物の照射された部分における凍結したゾーンとの境界の直ぐ近くのゾーンに限られ、このことは、
その解凍されたゾーンとその未だ凍結したゾーンとの間の境界の両側にある狭い生産物ゾーンにそのエネルギーが集められる単一モードの電磁放射のおかげで可能とされる。このことは、その境界から更に離れたところにある解凍されたゾーンを不必要に加熱せざるを得ない状態を回避する。なお、それらゾーンは、未だ凍結したゾーンに向けて熱を伝導するという相当の効果を持たない。
【0028】
0℃よりも顕著に大きな温度までその生産物をもっていくために、既に解凍された生産物を加熱する後続のステップ(b)であり、その過程において、その生産物の照射された部分を照射ゾーンに置くことによって、また、その生産物を所定温度にもっていくまでその照射ゾーンがその生産物の全体を横切るようにその照射ゾーンとその生産物との互いに対する相対移動を実行することによって、その生産物が単一モードの電磁放射で照射される、後続のステップ(b)が更に提供される。
【0029】
このように、解凍工程と0℃超に加熱する工程とは分離される。このようにして、その後続の加熱工程の過程では、その処理される生産物は、それら電磁波のエネルギーを吸収するための低容量のゾーンを構成する傾向にある未だ凍結したゾーンを少しも含まない。このようにして、加熱の均一性が改善される。
【0030】
好適には、その照射ゾーンは、その解凍されたゾーンとその未だ凍結した隣接する生産物ゾーンとの間の境界線を定義する、延長方向に沿った細長い形状を提示する。その照射ゾーンとその生産物との相対移動は、その延長方向に対して横方向に実行される。その電磁放射は、その照射ゾーンにおいて、その延長方向及びその相対移動の方向に実質的に垂直な伝播方向に沿って伝播する。
【0031】
好適には、その生産物における単一パスでの解凍をもたらすために:
・照射ゾーンは、その延長方向に沿って、処理される生産物の第一の対応する寸法に実質的に等しい長さを提示し、
・照射ゾーンは、その移動方向に沿って、その長さより短く、且つ、この移動方向と同じ方向におけるその処理される生産物の寸法より顕著に短い幅を提示する。
【0032】
有利な実施例によると、その照射ゾーンとその生産物との相対移動の間、その照射ゾーンが固定され、そして、その生産物が移動する。
【0033】
電磁波を受ける生産物の表面は、全体的に追加の熱にさらされ、そのことは、液体又は脂肪の流れを引き起こし得る。この流れを排出するために、その照射ゾーンの延長方向が実質的に垂直な平面に含まれることが有利である。液体及び脂肪は、排出され、その生産物から取り除かれて集められ、その結果、電磁放射によるその生産物自身の加熱を妨げることはない。
【0034】
マグネトロンに向かう電磁波の反射の問題は、好適には、その生産物の照射された部分によって吸収され得る容積力(volumic power)と実質的に等しいか或いはそれほど変わらないレベルでの容積力の調整をその照射された部分において恒久的に確かなものとするため、その照射ゾーンとその生産物との相対移動の間、注入される電磁力が、処理される生産物における照射された部分のサイズ及び誘電特性に適合されるよう措置を行うことによって解決され得る。
【0035】
この目的のため、その容積力の調整は、その照射ゾーンとその生産物との間の相対移動の速度を変えることによって、且つ/或いは、注入される全体的な電磁力を変えることによって、実現され得る。
【0036】
別の態様によると、本発明は、解凍され、調理され、且つ、その表面をグリルされなければならない生産物の処理に上述の方法を適用するように措置を行う。この目的のため、有利的には、解凍ステップ(a)に先立って、少なくとも一つの赤外線放射にその生産物がさらされるよう措置が行われてもよい。
【0037】
赤外線放射によるこの先行処理は、肉製品のような生産物に適用された場合、それらの表面を約208℃超に加熱することによって、その焦げ目付け(browning)を通じた審美的な要素と、その生産物の中心部を取り囲み、後に加熱ステップ(b)の過程でマイクロ波による照射の間それが乾燥するのを防止する保護要素とを一度に且つ同時に構成するクラストを作り出す。
【0038】
更に、このようにして赤外線により処理された表面ゾーンは、マイクロ波にとって基本的に透明である表面ゾーンを構成し、それは更に、そのマイクロ波による生産物の中心部の加熱を助けるようにする。
【0039】
有利的には、その赤外線放射は、その照射ゾーンの近くにある生産物に適用され、結果として、その生産物の相対移動に追随する走査による赤外線の適用をもたらす。
【0040】
熱処理の速度を更に増大させるために、赤外線放射は、その生産物の表面全体に同時に適用されてもよい。
【0041】
好適には、解凍ステップ(a)に先立ち、その生産物は、短波長の赤外線放射、及び、長波長の赤外線放射にさらされる。その短い赤外線波は、その生産物の表面膜を乾燥させ、一方で、その長い赤外線波は、より深い深さにまで作用し、その結果、その生産物の表面ゾーンの加熱を増進させる。
【0042】
好適には、その赤外線放射への暴露の間、蒸発した水を排出するために、且つ、その生産物の表面を乾燥させるために、気流が生成される。この配置は更に、その表面にあるクラストの質及び有効性を向上させる。
【0043】
処理の間、適切な位置に適切な状態でその生産物を維持することが好適である。
【0044】
別の態様によると、本発明は、上述の方法を実現させるマイクロ波加熱デバイスであって:
・少なくとも一つの照射ゾーンで、相対する方向に伝播方向に伝播する波列を持つ単一モードの電磁放射を発生させるための放射発生手段、
・生産物における少なくとも一つの照射される部分をその照射ゾーンに置くために、処理される生産物を保持するための手段、
・その放射の伝播方向に対する横断移動方向に沿った、且つ、その処理される生産物における解凍されたゾーンと未だ凍結したゾーンとの間の境界の移動に追随するのに適切な速度での、その照射ゾーンとその処理される生産物との相対移動を確保するための移動手段、
を有するデバイスを提案する。
【0045】
実際には、延長方向に沿った細長い形状を好適に提示するための照射ゾーン、その延長方向に対する横断移動方向に沿った相対移動をもたらすための移動手段、及び、その延長方向及びその移動方向に実質的に垂直な伝播方向を備えた単一モードの電磁放射をもたらす放射発生手段のための措置が有利的に行われる。
【0046】
有利的な実施例によると、そのデバイスは、好適に、その生産物が吸収可能な容積力に実質的に等しいか或いはそれほど違わない容積力を恒久的に注入するために、その生産物に注入される容積力を調整するための手段を有する。その結果、電磁波がその電磁波の発生器に向かって戻るのを防止する。
【0047】
例えば、注入されるその容積力を調整するための手段は、全体の電磁力、及び/又は、その処理される生産物のその照射ゾーンに対する移動速度を制御する手段を有していてもよい。その生産物の照射された部分における容積及び誘電特性に応じてその全体の電磁力及び/又はその速度を恒久的に適応させるためである。
【0048】
好適には、そのデバイスは更に、照射ゾーンの上流でその生産物の表面に赤外線放射を適用するための赤外線放射を発生させる手段を有する。
【0049】
好適には、その赤外線放射発生手段は、その赤外線放射にさらされる生産物の表面を乾燥させるために空気を引き出し且つ/或いは循環させるための好適な手段を伴い、その生産物の表面全体に同時に赤外線放射を適用するように設計され得る。
【0050】
本発明の他の目的、特性及び有利点は、添付図面と共に与えられる特定の実施例に関する以下の記載から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図2〜7で図解される実施例において、本発明に従ったマイクロ波加熱デバイスは、照射ゾーン1において単一モードの電磁放射を発生させるための放射手段と、処理される生産物2を保持するための手段と、その処理される生産物と照射ゾーン1との相対移動を確かなものとするための移動手段3とを有する。
【0052】
このように、そのデバイスは、生産物4を処理するのに適している。
【0053】
図示された例では、生産物4は、ディスク形状(図8)を有し、生産物4の厚さ“e”の方向にその放射線が伝播するところの照射ゾーン1において単一モードの電磁放射をそれに適用させるよう、垂直の移動面で保持される。
【0054】
その単一モードの電磁放射を発生させるための放射手段は、第一発生器アセンブリ5及び第二発生器アセンブリ6を有し、それぞれが照射ゾーン1の半分のそれぞれで単一モードの電磁放射を発生させるのに適しており、第一発生器アセンブリ5が照射ゾーン1の第一の半分1aで単一モードの電磁放射を生成し、一方で、第二発生器アセンブリ6が照射ゾーン1の第二の半分1bで単一モードの電磁放射を生成する。
【0055】
第一発生器アセンブリ5は、その垂直移動面の両側で相互に対称となるよう配置された、矩形断面を備える二つの相対する半環状の導波管5c及び5d内に、オリフィス5bを通して電磁波を導入するマグネトロン5aを有する。導波管5c及び5dはそれぞれ、その垂直移動面に垂直な、垂直対称の中央平面を提示する。導波管5c及び5dは、収束容積(convergence volume)1cであって、対応する照射ゾーン部分1aを含み、且つ、それ自身が導波管5c及び5dにおける二つの個別の矩形出口オリフィス5e及び5f(図3)の間に置かれる平行エピペダル形状を示す収束容積1cに電磁波を伝える。照射ゾーン1の厚さE、又は、出口オリフィス5eと5fとの間の距離は、処理を望む生産物4の厚さよりそれほど大きいものではない。収束容積1cにおいて、また、特に照射ゾーン1において、導波管5c及び5dから生じる二つの波列は、反対方向であり、出口オリフィス5eと5fとをリンクする伝播方向に沿って互いに向き合うように方向付けられ、重ね合わせられる。
【0056】
第二発生器アセンブリ6は、第一発生器アセンブリ5と同じ構造を有し、マグネトロン6aと、二つの向き合う導波管6c及び6dとを備える。
【0057】
二つの発生器アセンブリ5及び6を用いることによって、照射ゾーン1の表面積を二倍にすることが可能であり、例えば、より大きな直径を有する生産物4を処理することが可能である。
【0058】
しかしながら、本発明の範囲を逸脱することなしに、アセンブリ5のような単一の発生器アセンブリを用いることによってより小さな直径を有する生産物4を処理することも可能である。
【0059】
単一モードの電磁放射を発生させるための手段は、本書で参照として挙げられた米国特許第4775770号明細書で既に記載されているタイプのものであってもよい。導波管5c及び5dは、単一モードの放射の伝播を助けるために、公知の方法で考え出される。
【0060】
単一モードの電磁放射を発生させるためのそのような手段は、その強度がそれら(図4の延長方向II−IIで図示される)導波管の対称中央平面で最大となり、また、その強度がその対称中央平面の両側で急速に低下する放射を生成する。従って、その電磁エネルギーは、基本的に、その中央平面の直ぐ近くに集められ、それによって、図4の破線で示される照射ゾーン1の位置及び幅を定義する。照射ゾーン1は、その単一モードの電磁放射におけるエネルギーの60%超を受ける収束容積1cの狭い部分で定義されるものと見なされる。
【0061】
それらのマグネトロンは、有利には、2〜3GHzの間にある周波数で動作し、好適には、2.45GHzの周波数で動作する。
【0062】
処理される生産物2を保持するための手段は、図示された実施例では、クレードルの形をしたキャリッジ2aであり、処理される生産物4を受け入れて収容するのに適したキャビティ2bを含み、その処理される生産物4を導入し且つ引き出すための上部開口2cを持ち、その処理される生産物4の両側にクオーツでできた保持ロッド2dを備えた二つの開口側面を持つキャリッジ2aを有する。キャリッジ2aは、金属で作られていてもよく、或いは、赤外線放射及びマイクロ波放射を支持するのに適切な他の材料の何れかで作られていてもよい。
【0063】
移動手段3は、照射ゾーン1とその処理される生産物4との相対移動を確かなものとすることを目的とし、矢印7で示される相対移動の方向に沿ってスライドすることでキャリッジ2aとキャリッジ2aが収容するその処理される生産物4とをガイドするのに適し、その処理される生産物4が照射ゾーン1を通過するように作られる。このように、移動手段3は、上部ガイド3a及び下部ガイド3bを有し、また、適切な速度でそれらガイド3a及び3bに沿ってキャリッジ2aを移動させるためのラム2eのような動力手段を有する。
【0064】
図4〜8において断面で示されるように、照射ゾーン1は、発生器アセンブリ5及び6における導波管5c、5d、6c、6dの中央平面において、延長方向II−IIに沿った細長い形状を示し、また、移動手段3は、延長方向II−IIを横断する移動方向7に沿った相対移動をもたらす。
【0065】
図で示されるように、照射ゾーン1は、延長方向II−IIに沿って、処理される生産物4の高さに実質的に等しい長さL1を提示する。
【0066】
照射ゾーン1は、中央平面にあり、且つ、移動方向7に垂直である横断方向に沿って、処理される生産物4の厚さよりも薄い厚さEを提示する。厚さEのこの横断方向はまた、照射ゾーン1における電磁波の伝播方向でもある。
【0067】
その電磁波が基本的に延長方向II−IIを含む対称中央平面に近いところに集められるという事実によって、照射ゾーン1は、移動方向7に沿って、移動方向7におけるその処理される生産物4の寸法より顕著に小さい縮小された幅L2を提示する。
【0068】
図示された実施例では、照射ゾーン1は固定されており、また、移動手段3は、その固定された照射ゾーン1に対してその処理される生産物4を移動させる。この目的のため、キャリッジ2aは、ラム2eによって駆動され、ラム2e自身は、制御デバイス8によって駆動される。
【0069】
図示されるそのデバイスは更に、その処理される生産物に注入される容積力を調整するための手段を有する。その理由は、その注入される容積力が、好適には、その実際の物理的状態においてその生産物に吸収され得る力に実質的に等しく、吸収されない電磁波がその生産物を通過してマグネトロン5a及び6aに戻り、その結果、それらを破壊する危険を冒すのを防止するようにしなければならないという点にある。
【0070】
従って、制御デバイス8はまた、制御ライン5g及び6gのそれぞれによって接続されるマグネトロン5a及び6aを駆動し、また、制御デバイス8は、制御ライン2fによってラム2eに接続される。制御デバイス8は、その生産物によって吸収され得る容積力に不変的に実質的に等しいか或いはそれほど違わないものとなるように、その生産物における容積力を調整するのに適している。
【0071】
第一の手順に従って、制御デバイス8は、その生産物における照射された部分の容積及び誘電特性に応じて全体的な電磁力を恒久的に適応させるよう、マグネトロン5a及び6aによって供給される全体的な電磁力を制御する。
【0072】
代替例として、或いは、追加例として、制御デバイス8は、照射ゾーン1に存在する生産物の容量に応じてラム2eによるキャリッジ2aの移動速度を恒久的に適応させる。図4で図解されるようなディスク形状の生産物4では、その生産物容量は、その生産物が照射ゾーン1への進入を開始し生産物4が照射ゾーン1の接線方向となったときにゼロ容量から増大し、そして、その生産物の直径が照射ゾーン1内に存在するときに最大値に到達するまで増加し、そして、生産物4が再び照射ゾーン1の接線方向となって消え去るまで減少することが理解される。実際には、制御デバイス8は、その生産物が照射ゾーン1への進入を開始させるときにより大きな速度を用い、そして、より大きな生産物容量が照射ゾーン1に置かれている限りその速度を減少させることによって、そして、その生産物が照射ゾーン1の通過を終えるまでその速度を徐々に増大させることによって、キャリッジ2aの移動速度を変えることができる。
【0073】
図に示された実施例では、本発明に従ったその加熱デバイスは更に、照射ゾーン1、1a及び1bの上流にある生産物4の表面に赤外線放射を適用するための赤外線放射発生手段9を有する。赤外線放射発生手段9は、制御デバイス8によって駆動され、それは、制御ライン9cによって制御デバイス8に接続される。
【0074】
その赤外線放射は、生産物4の表面のほんの一部に適用されるものであってもよく、或いは、図で表現されるように、有利的に、生産物4の表面の全体に同時に適用されるものであってもよい。
【0075】
実際には、その赤外線放射は、ガイド3a及び3bの両側に置かれた赤外線ランプ9a、9bによって、キャリッジ2aの移動方向7にある照射ゾーン1の上流で、且つ、照射ゾーン1の近くで生成され得る。
【0076】
赤外線放射ランプ9a及び9bは、生産物4の主要面に平行に、且つ、キャリッジ2aの移動方向7に垂直に、垂直に配置されるストリップであってもよい。
【0077】
赤外線放射ランプ9a及び9bは、連続的に、移動方向7において、まずは少なくとも一つの短波長の赤外線放射ランプ、そして次に、少なくとも一つの長波長の赤外線放射ランプを有する。
【0078】
生産物4の熱処理の間、その生産物の外表面を乾燥させることが有利である。空気を吸い込み、且つ/或いは、循環させるための手段10は、例えば、赤外線放射ランプ9a及び9bによって占められたゾーンに接続され、且つ、照射ゾーン1に接続される吸引タービンであり、この目的のために備えられる。吸引手段10は、制御デバイス8によって駆動され、それらは、制御ライン10aによって制御デバイス8に接続される。
【0079】
キャリッジ2aは、有利的には、ステンレス鋼で作られている。
【0080】
有利的には、それは更に、電磁波にとっては、それらが照射ゾーン1を通過できるように透明であり、その照射ゾーンにおける処理の過程で生産物4を適当な位置に適切な状態で維持するのに役立つ、クオーツ垂直ロッド2dのような要素を有する。
【0081】
赤外線によって事前に加熱された表面を有する図4〜7の実施例では、如何なる包装材料をも持たないむき出しの生産物4が処理される。
【0082】
図4で図解される作動サイクルの開始時に、キャリッジ2aは、照射ゾーン1にはなく、また、キャビティ2bの上部開口2cを通じて、処理される生産物4を受け入れることができる。その後、キャリッジ2aは、照射ゾーン1に向かって移動方向7に移動させられる。
【0083】
図5において、処理される生産物4は、生産物4の主要面に適用される赤外線放射を発生させる赤外線放射発生手段9の前を通過する。
【0084】
図6において、処理される生産物4は、照射ゾーン1を通り過ぎ、このようにして、その中心部の加熱をもたらす電磁波にさらされる。
【0085】
図7において、処理される生産物4は、照射ゾーン1の前の通過を終え、このようにして、解凍ステップが完了する。
【0086】
一連の図4〜7で図解された動作は、第一の解凍ステップ(a)を構成し、その過程において、生産物4は、照射ゾーン1で発生させられる単一モードの電磁放射の走査によって部分的に照射される。生産物4の一部だけが照射ゾーン1で照射され、そして、生産物4の照射された部分が生産物の照射された部分における少なくとも一つの解凍ゾーンと生産物の照射された部分における一つの凍結した隣接ゾーンとを恒久的に有するように、照射ゾーン1と生産物4との互いに対する相対移動が実行される。
【0087】
ステップ(a)の後、すなわち、図7で示されるように、解凍された生産物4が照射ゾーン1にない場合に、後続の加熱ステップ(b)であって、単一モードの電磁放射の走査によって部分的に生産物4を照射し、生産物における少なくとも一つの照射された部分を照射ゾーン1のような照射ゾーン内に置き、そして、その生産物が所定温度になるまでその照射ゾーンとその生産物との一つに対する相対移動を実行することからなる、後続の加熱ステップ(b)を始めることが可能である。
【0088】
例えば、当初は解凍のために用いられた照射ゾーン1を生産物4が通過するように、矢印7の反対方向にキャリッジ2aを移動させることが可能である。
【0089】
この第二の加熱のための通過の間にそれらのマグネトロンによって供給される力(power)は、その第一の解凍のための通過の間に供給される力よりも大きなものであってもよい。
【0090】
そして、その位置は、図4で図示されるようになり、生産物4がキャリッジ2aから引き出され得る位置となる。
【0091】
当然のことながら、そのデバイスの操作は、図4で図解されるような生産物4の導入から、図4のこの同じ位置におけるその引き出しまで、完全に自動化されてもよい。
【0092】
ここで、水及びいくつかの食品における温度に応じた誘電損率ε”の変化を図解する図1を検討する。
【0093】
曲線Aは、純水に対応し、曲線B、C、D、E、及びFはそれぞれ、調理された牛肉、生の牛肉、調理された人参、マッシュポテト、及び、調理されたハムに対応する。
【0094】
全てのケースにおいて、誘電損率ε”は、負温度に対し比較的低く、温度0℃の近くで極めて急激に増加し、ほとんどの場合その後に最大となり、そして、温度0℃を超えた加熱で徐々に低下することが見て取れる。
【0095】
このことから、冷凍状態では、例えば、熱的に処理される食べ物のような水を含む生産物は、極めて低い誘電損率を提示するという結果になる。結果として、その生産物に適用される電磁波は、反射され、或いは、その生産物を通過し、そして、それらマグネトロンに戻る傾向にある。
【0096】
反対に、その生産物が解凍された場合には、より大きな誘電損率が、電磁エネルギーから熱へのより多くの変換を可能にする。
【0097】
本発明は、その照射ゾーンにおいて、電磁波による熱を集中させ、この熱を伝導により隣接する未だ解凍されていないゾーンに伝える、少なくとも一つの解凍された生産物部分を恒久的に保てるようにその生産物を処理することによって、この現象を有効に用いるようにする。
【0098】
照射ゾーン1において解凍処理を受けるディスク形状の生産物4を遠近法で図解する図8を検討する。
【0099】
ディスク形状の生産物4は、厚さe及び直径Dを提示する。それは、一部だけが照射ゾーン1に含まれており、照射ゾーン1は、高さL1、長さL2、及び厚さEの平行エピペダル形状を有する。
【0100】
その照射ゾーンの厚さEは、生産物4の厚さeよりも大きい。その照射ゾーンの高さL1は、生産物4の直径Dよりも大きい。その照射ゾーンの長さL2は、生産物4の直径Dよりも顕著に小さい。
【0101】
従って、照射ゾーン1は、図8において垂直である延長方向II−IIに沿った細長い形状を提示する。
【0102】
照射ゾーン1において、生産物4は、基本的に延長方向II−IIに沿った、解凍された部分4a(条線で示される。)と未だ凍結した部分4b(条線がない。)との間の境界Fを提示する。この境界Fは、矢印Vで示されるように、生産物4における熱の伝播速度で、その未だ凍結した部分に向かって移動する。本発明に従って、意図的に制御された生産物4と照射ゾーン1との相対移動V’は、境界Fのこの自然な移動と同じ速度で、且つ、同じ方向に沿うことが確保され、生産物4の照射された部分4a、4bが、その移動の間中、境界Fの両側に恒久的に延在するようにする。
【0103】
図9において、生産物4は、冷凍状態にあり、完全に照射ゾーン1の外側にある。それは、矢印V’で示される方向に移動させられる。
【0104】
図10において、生産物4の一部は、照射ゾーン1に入り込み、また、境界Fが解凍されたゾーン4aと未だ凍結したゾーン4bとの間に現れて見られるようになる。なお、ゾーン4a及び4bは、生産物4の照射されたゾーンを構成する。境界Fは、左に向かって移動する傾向がある。
【0105】
図11において、生産物4と照射ゾーン1との相対移動は、生産物4の照射された部分における解凍されたゾーン4aと未だ凍結したゾーン4bとを更に分離する境界Fの両側で照射ゾーン1の相対位置を保つように、もたらされる。
【0106】
図12において、生産物4を通じた境界Fの進行は更に続き、それは、生産物4の中央部に位置するようになる。
【0107】
図13において、境界Fは、ほとんど生産物4の左端に達し、また、小さくなった末端4bだけが凍結したままで残される。生産物4の残りの全ては、解凍されている。その移動V’は、照射ゾーン1が初め凍結していた生産物4を完全に横切るまで続けられる。
【0108】
再度図8を検討すると、電磁波は、生産物4において、その厚さeの方向に沿って伝播する。照射ゾーン1と生産物4との間の相対移動は、移動方向V’に沿って実行される。その照射ゾーンは、延長方向II−IIに沿った細長いものである。この実施例では、前述の三つの方向は、相互に垂直であることが見て取れる。
【0109】
単一モードの電磁波の適用は、生産物4に適用される電磁波のエネルギーの60%超を延長方向II−IIの両側における約12mmの幅L2を持つ照射ゾーン1に集中させることができ、その結果、生産物4の解凍されたゾーン4aと未だ凍結したゾーン4bとの間にある境界Fの両側における伝導現象を最適化するためにそのエネルギーを集中させることができる。
【0110】
従って、本発明に従った加熱処理は、電磁波による本質的な加熱と伝導による加熱とが不変で且つ制御された態様で協働する複合型の加熱処理である。
【0111】
それは、少なくとも解凍ステップでの熱処理の速度における極めて大きな増大という結果をもたらす。走査なしのマイクロ波による加熱に対し、本発明による解凍時間は、50%低減されるものと考えられる。
【0112】
実際には、赤外線による事前処理は、比較的漏れにくく(leaktight)且つ電磁波に対して透明なクラストを、生産物における既に解凍された部分をそのクラストの下にある底層(sub-layer)としながら、一度で且つ同時に発生させるその生産物の表面処理を実行することによって、この処理を更に加速させる。その生産物がその照射ゾーンを次に通過する間、電磁波はまた、その生産物におけるそのクラストの底層にある解凍された部分によって吸収され、それによって、解凍された部分と未だ凍結した生産物の部分との間の境界ゾーンの長さを増大させ、その結果、解凍処理の加速を確かなものとする。
【0113】
このようにして、その生産物の熱処理における極めて大きな加速を実現することが可能となった。一例として、事前に−18℃で冷凍されたハンバーガーの、最終的な状態において適切な外観と堅さを持つ表面クラストを備え且つ適切に中心部が調理された的確な調理を、45秒未満で実現することができた。このテストの対象であったそれらハンバーガーは当初113グラムの重さであり、また、12.5ミリメートルの厚さを持つディスク形状であった。本発明に従ったそれらの処理の過程で、それらは、図で示されたように、配置され、且つ、移動させられた。
【0114】
本発明は、明示的に記載された実施例に限定されるものではなく、添付の請求項の範囲に含まれる種々の変形例及びそれらがまとまったものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】蒸留水及び他のいくつかの日常的な食べ物における、温度に応じた誘電損率の変化を図解する。
【図2】本発明の実施例に従ったマイクロ波加熱デバイスの斜視図である。
【図3】面I−Iに沿って斜めに切り出した図2の斜視図を通る断面である。
【図4】本発明の実施例に従ったマイクロ波加熱方法の過程における、図2及び3のデバイスの動作における連続する四つのステップを図解する。
【図5】本発明の実施例に従ったマイクロ波加熱方法の過程における、図2及び3のデバイスの動作における連続する四つのステップを図解する。
【図6】本発明の実施例に従ったマイクロ波加熱方法の過程における、図2及び3のデバイスの動作における連続する四つのステップを図解する。
【図7】本発明の実施例に従ったマイクロ波加熱方法の過程における、図2及び3のデバイスの動作における連続する四つのステップを図解する。
【図8】ディスク形状の生産物に適用された本発明に従った解凍方法を遠近法で図解する。
【図9】前述の解凍方法における五つのステップを図解する。
【図10】前述の解凍方法における五つのステップを図解する。
【図11】前述の解凍方法における五つのステップを図解する。
【図12】前述の解凍方法における五つのステップを図解する。
【図13】前述の解凍方法における五つのステップを図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結した生産物の解凍及び熱処理のためのマイクロ波加熱方法であり、
少なくとも一つの解凍方法(a)であり、その過程で、電磁放射にさらされる照射ゾーンに前記生産物の一部が置かれ、且つ、前記照射ゾーンと前記生産物との互いに対する相対移動が、前記照射ゾーンが前記凍結した生産物の全体を横切るように実行される少なくとも一つの解凍方法(a)を有する、マイクロ波加熱方法であって、
前記照射ゾーンと前記生産物との互いに対する前記相対移動は、生産物の照射された部分が、前記移動の間、生産物の照射された部分における既に解凍されたゾーンと生産物の照射された部分における未だ凍結した隣接ゾーンとの間の境界の両側に、恒久的に延在するような速度で、且つ、恒久的に延在するような方向に沿って実行され、
前記電磁放射は、単一モードであり、相対する波列の重ね合わせで形成される、
ことを特徴とするマイクロ波加熱方法。
【請求項2】
後続の加熱ステップ(b)であり、その過程で、前記生産物の照射された部分を照射ゾーンに置くことによって、また、前記生産物を所定温度にもっていくまで前記照射ゾーンが前記生産物の全体を横切るように前記照射ゾーンと前記生産物との互いに対する相対移動を実行することによって、前記生産物が単一モードの電磁放射で照射される後続の加熱ステップ(b)を更に有することを特徴とする請求項1に従った凍結した生産物の解凍及び熱処理のためのマイクロ波加熱方法。
【請求項3】
前記照射ゾーンは、延長方向に沿った細長い形状を提示し、
前記相対移動は、前記延長方向に対して横断的に実行され、且つ、
前記電磁放射は、前記照射ゾーンにおいて、前記延長方向と前記相対移動の方向とに実質的に垂直な伝播方向に沿って伝播する、
ことを特徴とする請求項1又は2のうちの一つに従った方法。
【請求項4】
前記照射ゾーンは、前記延長方向に沿って、処理される前記生産物の第一の対応する寸法に実質的に等しい長さを提示し、
前記照射ゾーンは、前記移動方向に沿って、その長さより短く、且つ、前記相対移動の方向における、処理される前記生産物の前記寸法よりも顕著に短い幅を提示する、
ことを特徴とする請求項3に従った方法。
【請求項5】
前記照射ゾーンの前記延長方向は、実質的に垂直な平面に含まれる、
ことを特徴とする請求項3又は4のうちの一つに従った方法。
【請求項6】
前記照射ゾーンと前記生産物との前記相対移動の間、前記照射ゾーンが固定され、且つ、前記生産物が移動する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに従った方法。
【請求項7】
前記照射ゾーンにおいて、好適には、前記生産物の前記照射された部分によって吸収可能な容積力に実質的に等しいか或いはそれほど変わらないレベルにおける前記容積力の調整を不変的に確保するために、前記照射ゾーンと前記生産物との前記相対移動の間、注入される電磁力は、処理される前記生産物の前記照射された部分のサイズ及び誘電特性に適合される、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに従った方法。
【請求項8】
前記容積力の調整は、前記照射ゾーンと前記生産物との間の相対移動の速度を変えることによって、且つ/或いは、注入される全体的な電磁力を変えることによって実行される、
ことを特徴とする請求項7に従った方法。
【請求項9】
前記解凍ステップ(a)に先立って、前記生産物は、少なくとも一つの赤外線放射にさらされる、
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに従った方法。
【請求項10】
前記解凍ステップ(a)に先立って、前記生産物は、短波長の赤外線放射と、長波長の赤外線放射とにさらされる、
ことを特徴とする請求項9に従った方法。
【請求項11】
前記赤外線放射は、前記照射ゾーンの近くで前記生産物に適用され、前記生産物の相対移動に追随する走査による赤外線の適用をもたらす、
ことを特徴とする請求項9又は10に従った方法。
【請求項12】
前記赤外線放射は、前記生産物の表面全体に同時に適用される、
ことを特徴とする請求項9又は10に従った方法。
【請求項13】
赤外線放射への暴露の間、前記生産物の表面を乾燥させるために気流が生成される、
ことを特徴とする請求項9乃至12の何れか一つに従った方法。
【請求項14】
前記生産物は、その処理の間、適切な位置に適切な状態で維持される、
ことを特徴とする請求項1乃至13の何れか一つに従った方法。
【請求項15】
少なくとも一つの照射ゾーンにおいて相対する方向に伝播方向に沿って伝播する波列を伴う単一モードの電磁放射を発生させる放射発生手段と、
少なくとも一つの照射される生産物部分を前記照射ゾーンに置くために、処理される生産物を保持するための手段と、
前記処理される生産物における、解凍されたゾーンと未だ凍結したゾーンとの間の境界の移動に追随するのに適切な速度での、前記放射の伝播方向に対する横断移動方向に沿った、前記照射ゾーンと前記処理される生産物との相対移動を確保するための移動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一つに従った方法を実行するマイクロ波加熱デバイス。
【請求項16】
前記照射ゾーンは、延長方向に沿った細長い形状を提示し、
前記移動手段は、前記延長方向に対する横断移動方向に沿った相対移動をもたらし、そして、
放射発生手段は、前記延長方向及び前記移動方向に実質的に垂直な伝播方向を持つ単一モードの電磁放射をもたらす、
ことを特徴とする請求項15に従ったデバイス。
【請求項17】
前記照射ゾーンは、前記延長方向に沿って、前記処理される生産物の第一の対応する寸法に実質的に等しい長さを提示し、
前記照射ゾーンは、前記移動方向に沿って、その長さより短く、且つ、前記処理される生産物のこの移動と同じ方向における寸法より短い幅を提示する、
ことを特徴とする請求項16に従ったデバイス。
【請求項18】
前記移動手段は、固定された前記照射ゾーンに対して前記生産物を移動させる、
ことを特徴とする請求項15乃至17の何れか一つに従ったデバイス。
【請求項19】
前記生産物が吸収可能な容積力に実質的に等しいか或いはそれほど変わらない容積力を望ましくは不変的に注入するために、前記生産物に注入される容積力を調整するための手段を有する、
ことを特徴とする請求項15乃至18の何れか一つに従ったデバイス。
【請求項20】
注入される前記容積力を調整するための手段は、前記生産物における前記照射された部分の容積及び誘電特性に応じて、全体的な電磁力及び/又は前記処理される生産物の前記照射ゾーンに対する速度を適合させるために、全体的な電磁力及び/又は前記速度を制御するための手段を有する、
ことを特徴とする請求項19に従ったデバイス。
【請求項21】
前記照射ゾーンの上流で前記生産物の表面に赤外線放射を適用するための赤外線放射を発生させるための手段を有する、
ことを特徴とする請求項15乃至20の何れか一つに従ったデバイス。
【請求項22】
前記照射ゾーンの上流に、少なくとも一つの短波長赤外線放射ランプと、その次の少なくとも一つの長波長赤外線放射ランプとを連続的に有する、
ことを特徴とする請求項21に従ったデバイス。
【請求項23】
前記赤外線放射を発生させるための手段は、上流で、且つ、前記照射ゾーンの近くに配置される、
ことを特徴とする請求項21又は22の一つに従ったデバイス。
【請求項24】
前記赤外線放射を発生させるための手段は、前記生産物の表面全体に同時に赤外線放射を適用するよう設計される、
ことを特徴とする請求項21乃至23の何れか一つに従ったデバイス。
【請求項25】
前記赤外線放射にさらされる生産物表面を乾燥させるための空気を吸い出し且つ/或いは循環させるための手段を有する、
ことを特徴とする請求項21乃至24の何れか一つに従ったデバイス。
【請求項26】
処理される生産物を保持するための手段は、ステンレス鋼の要素を有する、
ことを特徴とする請求項15乃至25の何れか一つに従ったデバイス。
【請求項27】
処理される生産物を保持するための手段は、前記照射ゾーンでの処理の過程で前記生産物を適切な位置に適切な状態で維持するためのクオーツ要素を有する、
ことを特徴とする請求項15乃至26の何れか一つに従ったデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−529867(P2009−529867A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558931(P2008−558931)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000597
【国際公開番号】WO2007/105070
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508277151)クリエイティブ ヒーティング サービシズ エスアー (1)
【Fターム(参考)】