説明

マイクロ電子工学の基板に薄膜を選択的に堆積するための自己整合金属マスクアセンブリ、およびその使用方法

本発明は、マイクロ電子工学の基板およびデバイスに、薄膜を選択的に堆積するための自己整合金属マスクアセンブリに関し、上記自己整合金属マスクアセンブリは、a)メタライズされるパターンを規定する穴または領域と、センタリング穴とを有する上方金属マスクと、b)メタライズされる基板またはデバイスと同じサイズおよび形状の穴と、上記アセンブリをセンタリングするためのさらなる補助穴とを有する下方金属マスクと、c)上記のパーツをセンタリングするために、上記補助穴と対応するロッドを備えるピースまたはベースとを備え、完全なアセンブリを固定し維持するための上方ピースまたはフレームは、ネジおよびわずかな圧力によって整合される。上記アセンブリは続いて、蒸着機のサンプルホルダに固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
原発明が属する分野は電子工学に関し、より詳細には、金属接触部の形成技術、および/または、薄層絶縁シートの堆積技術に関する。
【0002】
〔当該分野の状況〕
この新規な発明は、デバイス内や板上あるいは電子基板上に、トラック、接触部、および絶縁領域を形成するための薄膜堆積に適した金属マスクに関する。現在、所定の形状およびサイズのトラックを規定することを可能にする金属および絶縁体の膜(通常は薄膜)を形成するための多数の技術が存在する。例えば、超小型電子加工技術において、(物理的)蒸着または陰極スパッタリング(スパッタリングとしても知られている)を介した金属膜の堆積、および、後のフォトリソグラフィ処理に続くエッチングが挙げられる。上記処理は、金属上にフォトレジストを堆積することから始まる。そして、その露出はマスクを介して継続され、レジストの現像が行われ、レジストにおける開口部を介して金属の選択的エッチングが行われ、最終的に、そのスケール除去が行われる。プリント回路プレートの現像において、非常に類似したフォトリソグラフィ処理が挙げられるが、エッチングされる金属膜は、積層により(例えばファイバーグラスの)基板に結合される。金属トラックおよび接触部を形成するために一般的に用いられる他の方法は、リフトオフ技術である。この場合、フォトレジストをまず、メタライズする基板上に堆積させる。これはマスクを介して絶縁される。レジストはその後現像され、メタライズされる基板の領域が露出された状態で維持される。これに続いて、金属膜が堆積され、最終的にレジストのスケール除去が行われる。最終工程では、レジストは、金属が基板に直接接触する領域を除いて、当該レジストの上に沿って形成されている金属膜を取り除く。(例えば、セラミック基板上のハイブリッド回路の現像において)プレート上のトラックを規定するためによく用いられる他の技術は、所望されている箇所であって且つパターンを規定する箇所に、導電性インクが通過するための適切な開口部を含むテンプレートまたはステンシル(通常は金属)を介して当該導電性インクを堆積して薄膜を形成する技術である。要するに、選択的に誘電体物質を堆積するために用いられるスクリーンプリント処理がある。
【0003】
以上のように、最初の2つの選択的メタライゼーション処理では、基板にフォトリソグラフィ処理が施される。これは一方では、基板に転写したいパターンを含むマスクを整合することを意味する。さらにこれは、様々な物質に接触するように晒される。すなわちこの様々な物質とは、フォトレジスト、現像剤、金属のエッチング生成物等である。スクリーンプリントおよび導電性インクの堆積は一般的に、半導体デバイスまたは基板のメタライゼーションとは適合しない。それは特に、パッドに対する不十分な接触抵抗、空間分解能の低さ、および最大電流に関する上記インクの制限による。
【0004】
これら前述の全ての事項に対する代替処理は、シャドーマスキングによるものであり、それは基本的には、基板と、堆積される物質のソースとの間に配置されるスクリーンまたは穿孔されたマスクを介して物質を堆積(例えば、蒸着またはスパッタリング)による。それゆえ、堆積させない領域は、フォトレジストを用いる必要なくマスクすることができる。この技術は、マイクロ電子工学におけるいくつかの分野で用いられてきた。例えば、Joo-Won Lee、Byeong-Kwon Ju、Jin Jang、Young-Soo Yoon、Jai-Kyeong Kimに記載されているように、有機基板上に集積回路を現像する際に用いられる。“可塑性基板上の全ての構造を用いるシャドーマスクによってパターニングされる高移動度有機トランジスタ”。Yong-Soo Choa、Sung-Wook Janga、Young-Soo Sohnb、Sie-Young Choiに開示されているマイクロシステムの現像についての記載であるJournal of Material Science、(2007)42:1026-1030、またはその他の記載。“導電性ボールを用いる振動センサの設計および組立て”。Microelectronics Journal 38(2007)416-421。前者の場合、基板そのものは、フォトリソグラフィ段階に関与する溶剤の使用を制限するが、後者の場合、完全に平坦ではなく(くぼみを特徴とし)、かつこのためにフォトレジストの均一な堆積ができない基板上に金属パターンを規定することを意図するものである。いずれの場合も、マイクロ電子工学の分野においてシャドーマスキングのために用いられるマスクまたはステンシルは、R.M.Tiggelaar、J.W.Berenschot、M.C.Elwenspoek、J.G.E.Gardeniers、R.Dorsman、およびC.R.Kleijnによって開示されるように、相対的に複雑かつ高価なマイクロ電子工学処理を用いることによって製造されることが多い繊細な素子である。“Si 110においてミクロ機械加工されたシャドーマスクを用いて非平面状の表面に蒸着された薄膜金属パターンの拡散”。Journal of Vacuum Science and Technology B、Vol.25、No.4、July/Aug 2007.pp.1207-1215。
【0005】
特定の基板に対する選択的メタライゼーションによって標準的フォトリソグラフィ処理の使用ができず、非常に高い精度が要求されているわけでもない場合、マイクロ電子工学処理に基づくシャドーマスキングの代替物は全く不適切である可能性がある(マスクの過剰なコスト、基板とクリーンルームの清浄度状態との不適合など)。ここで提案する発明は、この種の用途に供するように発明されたものである。これらの用途から、A.Petitbon、N.Martin、X.Jorda、P.Godignon、D.Floresに開示されるように、高出力デバイスにおける上方アルミニウム接触部の再メタライゼーションを行い、後の溶接を可能にすることを挙げることができる。“Procede de fabrication d‘un composant electronique de pissance、et composant electronique de puissance ainsi obtenu”。共同ヨーロッパ特許ALSTOM-CNM、n° 01401764.4-2203。特許付与の日:02-07-2001.、基板とナノチューブフィルムとの接触を確立、R.J.Chen、S.Bangsaruntip、K.A.Drouvalakis、N.W.Shi Kam、M.Shim、Y.Li、W.Kim、P.J.Utz、H.Dai。“特異的な電子バイオセンサのためのカーボンナノチューブの非共有的機能付与”。PNAS、Vol.100、N0.9、2003年4月29日、pp.4984-4989、またはトラックのセラミック基板上への直接的規定。ここで提案する方法によると、基板(セラミックス、積層体、金属等)の選択的メタライゼーション、または個別の半導体デバイス(元のウェハから切り出したもの)の選択的メタライゼーションを、フォトリソグラフィ処理に頼ることを必要とせずに行うことができる。上記基板およびチップは、どんな化学生成物(フォト樹脂、現像剤等)とも接触せず、ここで提案する方法によると、複合光学システム(Joo-Won Lee、Byeong-Kwon Ju、Jin Jang、Young-Soo Toon、Jai-Kyeong Kimに開示されるもの等)を必要とせず、マスクまたは金属化テンプレートとの自動整合が可能となる。“可塑性基板上の全ての構造を用いてシャドーマスクによってパターニングされる高移動度有機トランジスタ”。Journal of Material Science、(2007)42:1026-1030。この事実により、処理されるサンプルの迅速な生成が可能となり、このため、金属化の最終的コストは減少する。
【0006】
最終的に、本記載の技術状況において、金属の堆積に焦点を置いて説明してきたが、選択的堆積技術はまた、堆積させ得る他の物質、例えばセラミックスまたは有機化合物に適用し得る。
【0007】
〔発明の簡単な説明〕
本発明の応用分野としては、(物理的)蒸着、スパッタリング、噴霧および、その他のシステムによって、電子デバイスおよび基板にトラックまたは接触部を構築するための薄膜(例えば金属)の選択的堆積が挙げられる。このような特定の基板の選択的堆積が標準的なフォトリソグラフ処理の使用を不可能にして、過剰な高精度を必要とすることがなくなれば、マイクロ電子工学処理に基づくシャドーマスキングの代替は全く不向きなものとなり得る(マスクのコストが過剰になる、基板とクリーンルームの清浄度状態との間が不適合となるなど)。ここで提案する発明は、まさに、この種の用途(例えば、高出力デバイスのための接触部の再メタライゼーション、ナノチューブを有する基板の接触部、セラミック基板上のトラックの規定など)のために開発されたものである。
【0008】
パターンまたは金属トラック(シャドーマスキング)を規定するオリフィスを有するマスクまたはテンプレートを介して、所望の膜が基板に堆積する。マスクに対して基板を整合することは、基板を完璧にはめ込むおとができる開口部が設けられていることを特徴とする第2マスクによって達成される。両マスクは、そのそれぞれに設けられた補助穴にガイドロッドが挿入されることによって互いに整列する。これらのロッドは金属ベース(基部)に配置されており、当該金属ベースには、アセンブリがしっかり締め付けられるようにするための補助ピースを有している。基板に対してマスクを中央に自動的に整合させるためのこの解決法によると、高価な光学システムを用いなくて済む。さらにまた、下側マスクの厚さによって、基板と、制御される上側マスクとの間の分離が可能となる。スクリーンプリントステンシルの製造(レーザまたは化学的切断による)において用いられるのと同じ技術を用いてマスクを製造できるので、コストが非常に低減され、良好な精度を維持することができる(空間分解能0.1mmが容易に達成される)。この技術は、金属を堆積するために開発されたが、(物理的)蒸着、スパッタリング、噴霧、および他のシステムと適合するあらゆる種類の物質を堆積させるためにも用いることができる。
【0009】
〔発明の詳細〕
ここで提案する発明によると、フォトリソグラフ処理に頼る必要なく、(物理的)蒸発機またはスパッタリング等の装備によって、基板または個々の半導体デバイス(対応するウェハから予め切り出したもの)に物質を選択的に堆積させることを可能にする。この種の処理の最も広い用途は、選択的メタライゼーションと対応する。提案する方法は、シャドーマスキング技術に基づいたものであり、金属ソースとの間にマスクまたはステンシルを挿入することによって基板をメタライズする。このマスクは開口部が設けられていることを特徴としており、この開口部を介して金属ソースが基板に到達でき、表面の残りの部分はスクリーニングされる。ここで提案する方法は、複雑な光学システムを使用する必要なく、(物理的)蒸発およびスパッタリングシステムにおける高真空状態との適合を実現し、マスクに対する基板の整合の問題を解決する。本発明は、以下の4つの基本的な部分から構成される。
【0010】
1. 上側金属マスク(3)。当該上側金属マスク(3)は、例えばステンレス鋼から構成することができ、メタライズされるパターン(3a)を規定するオリフィスと、それとは別の補助センタリング穴(3b)とを有している。マスクを構成する材料は重要ではない(原則として、任意の他の物質を用いてもよい)。ただし、安定し、強度を有し、安価であることから、ステンレス鋼が非常に適している。さらに、スクリーンプリンティングに用いられるこの金属のマスクおよびステンシルは、提案する発明のフレームにおいて用いることができる。この事実により、とても達成しやすいコストで、高分解能レベル(マスクがレーザで切断されると最大5ミクロン)を有するマスクの使用が可能となる。
【0011】
2. 下側金属マスク(4)。当該下側金属マスク(4)は、メタライズされる基板またはデバイスと同じサイズおよび形状を有したオリフィス(4a)と、対応する補助センタリング穴(4b)とを有している。この下側金属マスクの厚さによって、基板の表面と上側金属マスクとの間を離間する距離を調整することが可能である。この点は重要である。それは、(例えば、基板表面にかかり得る圧力に敏感なある種の材料が含まれる場合)マスクが所定距離だけ基板から離れた状態を維持することが可能になるからである。一方、堆積させた材料のどんな種類の横散乱も除去したい場合、マスクの厚さは、基板の上面と接触するように選択することができる。上側金属マスクの材料および製造についての上記の説明は、下側金属マスクにも十分当てはまる。また、スクリーンプリンティングのためのステンシル製造の安定した技術を利用することは有益である。それは、堆積またはメタライズされる基板またはデバイスの厚さを調節可能なように、様々に異なる厚さを利用可能にすることができるからである。
【0012】
3. ピース(5)。当該ピース(5)は、上記の2つのマスクにおける補助穴(3bおよび3c)と対応するロッド(5b)により、上側および下側金属マスクのセンタリングを可能にする。ロッドのピース(5)への配置は、最大限正確に行われなければならない。それは、この配置は、マスクを互いに、かつ基板に対して整列させることができる精度を部分的に決定するからである。50ミクロンよりも低い精度でロッドを位置合わせすることは、現在の数値制御ツールにおいて何ら問題を生じない。このピースが形成される材料は重要ではなく、アルミニウムからなってもよい。
【0013】
4. ピースまたはフレーム(2)。当該ピースまたはフレーム(2)は、異なる締付け用のネジ(10)により、また、異なるピースに設けられる貫通孔およびネジ穴(それぞれ7および8)により、全システムの調節および固定を可能とする。このピースが形成される材料は重要ではないが、アルミニウムからなってもよい。
【0014】
メタライズされる基板およびチップ(9)は、どんな化学生成物(フォトレジスト、現像剤等)と接触することはなく、ここで提案する方法によって、マスクまたはメタライゼーションステンシルを用いた自動的整合が可能となる。重要な側面は、スクリーンプリンティングテンプレートまたはステンシルを形成するための現在利用可能な技術を用いてマスクを作成できるということである。上記テンプレートはレーザまたは化学エッチングによって切断および穿孔され、パターンのセンタリングと規定の両方において高い精度を実現する。さらに、プリント回路プレート(スクリーンプリンティングを行うためのステンシル)を製造するためのかなり一般的な技術を用いるという事実によって、マスクのコスト低下が可能となり、高精度の保持が可能となる。
【0015】
本明細書において提示される発明を使用する手順または方法は以下のとおりである。堆積プロセスにおいて、操作者はまず、適切なネジを用いて下側金属マスク4をベース5に固定する。その後、メタライズされる基板9を、下側金属マスク4の開口部に配置する。そして、上側金属マスク3は、アセンブリ上に配置され、メタライゼーションパターン3aは、上記の2つのマスク内に形成されるセンタリング穴4bとベース5のロッド5eによって、基板9と自動的に整合される。最終的に、フレーム2がねじ込まれ、マスクがベースに固定され、アセンブリは次に、他の同様のマスクアセンブリとともに、堆積装置(蒸着機等)のプレートに固定することができる。上記他の同様のマスクアセンブリによると、各処理における多数の基板上に材料を堆積させることができる。
【0016】
〔図面の詳細な説明〕
図1および図2は、選択的堆積に用いられるピースアセンブリの全体の平面図および側面分解図である。図1および図2において使用される符号はそれぞれ次の通りである;
2:システム全体の締付けおよび固定を可能にする、ピースまたはフレーム
3:上側金属マスク
4:下側金属マスク
5:上側および下側マスクのセンタリングを可能にする、ベースまたはピース
5b:センタリングロッド
3b:補助センタリング穴
9:メタライズされるまたは堆積が施される、基板およびデバイス
3a:メタライズするパターンを規定する、オリフィス
6:締付け用のネジ
7:貫通孔
8:ネジ穴。
【0017】
図3は、実施形態の一例を示し、アルミニウムからなるシステム全体の締付けおよび固定を可能にする上側フレームの透視図である。
【0018】
図4は、実施形態の一例を示し、ステンレス鋼からなる上側マスクの透視図を表し、112個のIGBTパワートランジスタの上側パッドをメタライズするために必須なオリフィスとして特徴付けられている図である。
【0019】
図5は、実施形態の一例を示し、112個のIGBTトランジスタを収容する下側ステンレス鋼マスクの透視図である。
【0020】
図6は、実施形態の一例を示し、アルミニウムからなり、4つのスチールセンタリングロッドを有する上方および下方マスクのセンタリングを可能にするベースピースの透視図である。
【0021】
図7は、実施形態の一例を示し、ここで提案する方法を用いて金属化されるIGBTトランジスタの1つを表し、1つのスパンが3つのメタライゼーションゾーン(2つの上側ゾーンおよび1つの下方ゾーン)を示す図である。
【0022】
〔実施形態〕
本願明細書において示す実施形態は、大電力デバイス(特にIGBTトランジスタ)の上側パッドをメタライズするための、図1および図2に示されるシステムの実施からなる。用いた当該装置の側方寸法は6.5mm×4.87mmであり、厚さは140ミクロンである。その目的は、装置の上側アルミニウムパッド上に、チタン、ニッケル、または金(Ti/Ni/Au)のトリプル層を蒸着できるようにして、錫/鉛/銀または同様の合金による後の溶接を可能とすることにある。
【0023】
図3は、アルミニウムで構成された上側フレーム(A)を示す。その外側寸法は140mm×110mm×3mm、そして4つの内側窓の寸法は58mm×43mmである。図3において、当該フレームの角における4つのセンタリング穴(4b)と、フレーム2の締付け用のネジのための、先の穴とは別の4つの貫通孔とが見られる。このフレームは、フレーム2と同じ側方寸法で厚さ200ミクロンの図4に示す上側マスク(3)の上に配置される。この上側マスクは、スクリーンプリンティングテンプレートまたはステンシルを形成するために通常用いられる技術を用いて、レーザによって切断されたステンレス鋼からなる。この事実によって、高分解能(この場合、5ミクロン程度)を低価格で実現することができる。図4に示す上側マスクは、112個のチップをメタライズすることを可能にするマスクである。上側マスクは、チップ1つに対して、大きなエミッタパッドを金属化するための(角が丸められた)2つの長方形穴と、上記2つの長方形穴の間に配置され、IGBTのゲートパッドをメタライズするための(角が丸められた)小さな1つの長方形穴とが設けられていることを特徴としている。エミッタの長方形穴の寸法は、3.1mm×1.5mmであり、ゲートの中央穴の寸法は、0.85mm×0.85mmである。ここで提案し、本明細書で説明されるように実行されるシステムによると、0.1mmと推定される最小中央分解能が実現される。また、図4では、角(4b)において4つのセンタリング穴と、フレーム2の締付けネジのための他の4つの貫通孔が見られる。
【0024】
図5は、ステンレス鋼からなり、前述のものと同じ手段によって形成される下側マスクを示している。このマスクには、112個の6.5mm×4.87mmの開口部が設けられていることを特徴としているが、これらの寸法を有する112個のIGBT装置(9)を収容する。実際、また、デバイスがすっぽり開口部に適合することを確実にするために、開口部の寸法は10ミクロン大きくしてある。これによって、チップを容易に配置することができるが、マージンが過剰になると、整合の精度が妥協される可能性がある。下側マスクの厚さは、メタライズされるデバイスの厚さと等しいか、あるいはそれにできるだけ近い厚さを選択する。スクリーンプリンティングステンシルの形成のため、多数の厚さが設定可能であるが、本形態(デバイスの通常の厚さは140ミクロン)では、150ミクロンのマスクを選択している。下側マスクの側方寸法は150mm×110mmであり、これは、4つのネジによって下側ベースに固定される。図5にも見られるように、角に上記ネジのための4つの貫通孔があり、それらの隣にはセンタリング穴(2b)が設けられており、フレーム2の締付けネジのためのさらに別の4つの貫通孔が設けられている。
【0025】
メタライズされるデバイスに対して上側および下側マスクをセンタリングすることを可能にするベースまたはピースを、図6に示す。このピースはアルミニウムからなり、その寸法は160mm×110mm×5mmである。これは、メタライゼーション装置(蒸発機またはスパッタ装置)のプレートまたはサンプルホルダへの締付けが可能となるように、4つの角に4つの貫通孔(7)が設けられていることを特徴としている。また、下側マスク4がベース5にねじ込まれるようにする4つのネジ穴(8)と、固定フレーム2が同じベース5にねじ込まれるようにする他の4つのネジ穴も、貫通孔とともに図示している。図6でも分かるように、2つのマスク(3および4)のセンタリング穴(2b)に対応し、そのセンタリングを可能にする4つのスチールロッド(5b)が設けられている。
【0026】
最後に図7は、ここで提案する方法およびシステムを用いて、Ti/Ni/Auで選択的メタライズ処理を行った後のIGBT装置の上面を示している。斜線で示された2つの大きい長方形が、アルミニウムエミッタの上側パッドの上のチップの両側に観察することができる。そしてこの2つの大きい長方形の間において、装置のゲートパッド内で囲まれたメタライズされた中央部分も示されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】選択的堆積に用いられるピースアセンブリの全体の平面図である。
【図2】選択的堆積に用いられるピースアセンブリの全体の側面分解図である。
【図3】実施形態の一例を示す。これは、アルミニウムからなるシステム全体の締付けおよび固定を可能にする上方フレームの透視図である。
【図4】実施形態の一例を示し、ステンレス鋼からなる上側マスクの透視図を表しており、112個のIGBTパワートランジスタの上側パッドをメタライズするために必須なオリフィスが設けられていることを特徴とする上側マスクの透視図である。
【図5】実施形態の一例を示し、112個のIGBTトランジスタを収容する下側ステンレス鋼マスクの透視図である。
【図6】実施形態の一例を示し、アルミニウムからなり、4つのスチールセンタリングロッドを有する上側および下側マスクのセンタリングを可能にするベースピースの透視図である。
【図7】実施形態の一例を示し、ここで提案する方法を用いてメタライズされるIGBTトランジスタの1つを表し、1つのスパンが3つのメタライゼーションゾーン(2つの上側ゾーンおよび1つの下側ゾーン)を示している図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子工学の基板およびデバイス(9)に、薄膜を選択的に堆積するための自己整合金属マスクアセンブリ(1)であって、
a) 上記デバイスまたは上記基板(9)に堆積させるパターンを規定するオリフィス(3a)と、センタリング穴(3b)とが設けられた上側金属マスク(3)と、
b) 堆積対象である上記装置または上記基板(9)と同じサイズおよび形状を有するオリフィス(4a)と、センタリング穴(4b)とが設けられた下側金属マスク(4)と、
c) 上記上側金属マスク(3)を上記下側金属マスク(4)を基準にしてセンタリングさせる、上記センタリング穴(3b、4b)に対応するロッド(5b)を有するベースピース(5)と、
d) 穴(7)が設けられており、当該穴にネジ(10)が配されて整合されることによって上記アセンブリ(1)を固定し維持する上側フレーム(2)と、
を備えることを特徴とする自己整合金属マスクアセンブリ。
【請求項2】
マイクロ電子工学の基板およびデバイス(9)に薄膜を選択的に堆積するための請求項1に記載の自己整合金属マスクアセンブリ(1)を、組み立てる方法であって、
-上記下側金属マスク(4)を上記ベースピース(5)に固定する工程と、
-上記下側金属マスク(4b)の上記オリフィス(4a)に、堆積対象の基板(9)を配置する工程と、
-上記上側金属マスク(3)を上記下側金属マスク(4)に固定して、上記センタリング穴(3b、4b)と上記ベースピース(5)の上記ロッド(5b)とによって上記基板に配置される上記パターンを自動的に整合させる工程と、
-上記上側フレーム(2)を上記ベースピース(5)にねじ込んで、上記2つの金属マスク(3、4)と上記2つの基板(9)とを互いに整合する工程とを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−510179(P2011−510179A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543532(P2010−543532)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070005
【国際公開番号】WO2009/092841
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(593005895)コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス (67)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS
【Fターム(参考)】