説明

マニホールド弁

【課題】二つの弁を有し、その一方の弁が開閉操作可能の時に他方の弁を開閉操作不能に保持することができ、コンパクトで配管ラインへの設置や取り外しが容易にできるマニホールド弁を提供する。
【解決手段】主流路と分岐流路と主流路弁と分岐弁とが一体化されたマニホールド弁であって、主流路弁と分岐弁は、各々、弁体と、該弁体と連結された弁軸と、該弁軸と連結された操作レバーとを有して、該操作レバーを弁軸の軸方向に揺動することにより流路の開閉を行う手動弁であり、主流路弁と分岐弁は各々、操作レバーの揺動を弁体の直線動に変換して、弁体を弁座に対して圧接離間させて流路の開閉を行い、主流路弁と分岐弁の一方の弁が開状態で他方の弁が閉状態のときに、一方の弁の操作レバーが他方の弁の操作レバーの揺動を不能にするインターロック機構を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工場、半導体製造、食品、バイオなどの各種産業分野における配管ラインの流路の切替に用いられるマニホールド弁に関するものであり、更に詳しくは、一方の弁が開閉操作可能の時に他方の弁を開閉操作不能に保持することができ、コンパクトで配管ラインへの設置や取り外しが容易にできるマニホールド弁に関する。
【0002】
従来、半導体製造の配管ラインにおいて、図12に示すような主流路101を流れる流体を開閉させる主流路弁102と、主流路101から分岐した分岐流路103を開閉させる分岐弁104とからなる配管構成があり、主流路101の流れを停止させて配管ラインの部品105を交換する場合などは、配管ライン内に留まっている流体を分岐流路103から外部へ取り出すことで、周囲に流体が飛び散ることなく部品交換を行うことができるものであった。
【0003】
しかしながら、前記従来の配管構成では、主流路弁102を開にして主流路101に流体を流す時には分岐弁104は閉にしておく必要があり、分岐弁104を開にして分岐流路103に流体を流す時には主流路弁102は閉にしておく必要があるが、各々の該弁102、104のハンドルを誤操作する恐れがあり、例えば流体が腐食性流体として主流路弁102を閉にして配管ラインの部品105の交換を行う時に主流路弁102を誤って開にした場合、主流路101を流れる流体が外部へ飛散してしまい、部品を交換する作業者に腐食性流体がかかって損傷を受ける恐れや、飛散した流体が配管ラインの周辺を汚染させたり腐食させたりするなどの悪影響を及ぼす恐れがあるという問題があった。
【0004】
このような問題点を解決するためには、一方の弁を開閉する時は他方の弁を操作できなくする構成が必要であり、そのための方法として、特許文献1に記載されている図13に示すような弁の開閉操作装置があった。その構成は、性状の異なる流体を輸送する第一管路106と第二管路107に、各管路106、107の管軸に垂直な軸線まわりに角変位して、各管路106、107の流路を開放・遮断する第一弁体108を有する第一弁116と第二弁体109を有する第二弁117が個別に設けられ、各管路106、107には、軸線に垂直な一平面内に凸状部分110、112と凹状部分111、113とを有する第一規制部材114、第二規制部材115がそれぞれ連結され、相互に隣接する任意の2つの規制部材114、115における一方の凹状部分111は、他方の凸状部分112の角変位方向の通過経路よりも退避して形成され、かつ他方の凹状部分113は一方の凸状部分110の角変位方向の通過経路よりも退避して形成され、一方および他方の各凸状部分110、112は、相互の角変位方向の通過経路内に突出して形成されるものであった。その効果は、性状の異なる流体を個別に輸送する2つの管路において、第一規制部材114の凹状部分111に第二規制部材115の凸状部分112が嵌り込んだ状態においてのみ第二規制部材115の角変位操作を行うことができ、また第二規制部材115の凹状部分113に第一規制部材114の凸状部分110が嵌り込んだ状態においてのみ第一規制部材114の角変位操作を行うことができることで、凹状部分111、113に嵌り込んだ凸状部分110、112を有する規制部材114、115だけを角変位させることができるので、複数の弁体が同時に開放されてしまうことを防止することができ、規制部材114、115の誤操作を防止することができるものであった。
【0005】
【特許文献1】特開平7−332535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の弁の開閉操作装置は、第一弁116に設けられた第一規制部材114と第二弁117に設けられた第二規制部材115は第一管路106、第二管路107に各々設けられているため、凸状部分110、112と凹状部分111、113とが嵌まり込むように配管接続するには配管位置の微妙な調整が必要であり、配管作業が面倒で時間がかかると共に、一方の弁を取り外す場合は他方の弁が邪魔になるので取り外しが困難となるという問題があった。また、半導体製造装置などの配管ラインに用いる場合、第一規制部材114や第二規制部材115では場所をとるため狭い場所での使用は不向きであり、第一弁116や第二弁117はボール弁やコックなどの回転弁であるためパーティクルの発生を嫌う用途には不向きであるという問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、一方の弁が開閉操作可能の時に他方の弁を開閉操作不能に保持することができ、コンパクトで配管ラインへの設置や取り外しが容易にできるマニホールド弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明のマニホールド弁の構成を説明する。
本発明のマニホールド弁は、主流路と、該主流路から分岐する分岐流路と、前記主流路を開閉する主流路弁と、前記分岐流路を開閉する分岐弁とを備え、前記主流路と前記分岐流路と前記主流路弁と前記分岐弁とが一体化されたマニホールド弁であって、前記主流路弁と前記分岐弁は、各々、弁体と、該弁体と連結された弁軸と、該弁軸と連結された操作レバーとを有して、該操作レバーを前記弁軸の軸方向に揺動することにより流路の開閉を行う手動弁であり、前記主流路弁と前記分岐弁は各々、前記操作レバーの揺動を前記弁体の直線動に変換して、前記弁体を弁座に対して圧接離間させて流路の開閉を行い、前記主流路弁と前記分岐弁の一方の弁が開状態で他方の弁が閉状態のときに、前記一方の弁の前記操作レバーが前記他方の弁の前記操作レバーの揺動を不能にするインターロック機構を備えていることを第一の特徴とする。
【0009】
また、基幹流路をさらに備え、前記主流路が前記基幹流路から分岐していることを第二の特徴とする。
【0010】
また、前記インターロック機構は、前記操作レバーが、前記弁が閉状態のときに前記弁を囲繞するボンネット上面と当接する第一当接面と、前記弁が開状態のときに前記ボンネット上面と当接する第二当接面と、前記第一当接面と略平行な規制面とを有し、前記一方の弁が閉状態で前記他方の弁が開状態のときに、前記閉状態の弁の前記操作レバーの第二当接面と、前記開状態の弁の前記操作レバーの規制面とが当接または隙間を有することを第三の特徴とする。
【0011】
また、前記弁軸は、前記ボンネットを貫通して露出しており、その露出した端部に貫通する弁軸孔を有し、前記操作レバーは、前記弁軸孔内に挿入された支点軸を有して、該支点軸を中心として揺動し、前記支点軸中心から第二当接面までの最短距離が前記支点軸中心から第一当接面までの最短距離より長いことを第四の特徴とする。
さらに、前記主流路弁と前記分岐弁のいずれかがダイヤフラム弁であることを第五の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のような構造をしており、以下の優れた効果が得られる。
【0013】
(1)一方の弁が開閉操作可能の時に他方の弁を開閉操作不能に保持することができるため、マニホールド弁の開閉操作において誤操作が起こることが防止される。
(2)主流路弁、分岐弁がマニホールド弁構造で一体的に設けられているため配管ラインへの接続や取り外しが容易であり、さらにインターロック機構がマニホールド弁に設けられているため配管作業時にインターロック機構を設置するための配管位置の微妙な調整などを行う必要がない。
(3)コンパクトに形成されているため、配管ラインが密集する狭い場所に使用が可能であり、装置内の配管においては装置を小さく設けることができる。
(4)マニホールド弁に必要な部品以外にインターロック機構を形成するための他の部品を追加する必要がなく、最小限の部品点数でインターロック機構を形成できるので弁の組み立てが容易であり、製造コストを安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第一の実施形態について図面に示す実施例を参照して説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は本発明の第一の実施形態である主流路弁が開状態、分岐弁が閉状態のマニホールド弁を示す縦断面図であり、図2は図1の主流路弁が閉状態、分岐弁が閉状態のマニホールド弁を示す縦断面図であり、図3は図1の主流路弁が閉状態、分岐弁が開状態のマニホールド弁を示す縦断面図である。図4は図1の操作レバーの斜視図である。図5は図1の斜視図であり、図6は図2の斜視図であり、図7は図3の斜視図である。図8は本発明の第二の実施形態を示す縦断面図である。図9は図8の本体の平面図である。図10は図8の斜視図である。図11は本発明の第二の実施形態を用いた配管ラインを示す模式図である。
【0015】
図1、図4において、Xは主流路弁、Yは分岐弁である。1は本体であり、側面の第一接続口35に連通する第一流路2、第二接続口36に連通する第二流路3、第三接続口37に連通する第三流路4を有し、上方に主流路弁弁室5及び分岐弁弁室6が各々設けられている。主流路弁弁室5の底面中央には弁座7が形成され、弁座7の中心に第一流路2に連通する第一開口部8が設けられ、底面周縁部には第二流路3と連通する第二開口部9が設けられている。分岐弁弁室6の底面中央には弁座10が形成され、弁座10の中心に第二流路3に連通する第三開口部11が設けられ、分岐弁弁室6の側面には第三流路4と連通する第四開口部12が設けられている。なお、本体1の下部にはマニホールド弁を安置させるための台座を設けても良い。
【0016】
このとき、第一流路2から第一開口部8、主流路弁弁室5、第二開口部9を通って第二流路3を流れる流路が主流路となり、第三開口部11から分岐弁弁室6、第四開口部12を通って第三流路4を流れる流路が分岐流路となる。本体1は、主流路弁弁室5側に主流路を開閉する主流路弁Xと、分岐弁弁室6側に分岐流路を開閉する分岐弁Yとが一体になるように形成されている。
【0017】
まず、主流路弁Xの構成について説明する。
13は主流路弁弁室5内に配置される弁体であり、弁体13外周には径方向に延設されたダイヤフラム14が一体的に形成されており、ダイヤフラム14の周縁部は本体1と後記ボンネット15によって挟持固定されている。弁体13は弁座7に圧接・離間されることによって第一流路2から第二流路3の流体の流れ、すなわち主流路を遮断・開放する。
【0018】
15はボンネットであり、ボンネット下部は底面に開口した凹部16が設けられ、上部には凹部16に連通する貫通孔17が設けられており、下面は本体1と当接固定されている。
【0019】
18は弁軸であり、上部がボンネット15の貫通孔17から突出した状態で、上下動自在且つ回動不能の状態でボンネット15の凹部16内に嵌挿されている。弁軸18の下端部には弁体13が螺合されており、下部に設けられた鍔部19の上面とボンネット15の凹部16天井面との間でバネ20を挟持することによって弁体13を下方へ付勢している。
【0020】
22は操作レバーであり、図2の主流路弁Xが閉状態の時に、下面に第一当接面23と、一側面に第一当接面23と成す角が85°となる第二当接面24と、上面に第一当接面23と略平行な規制面25とを有し、第一当接面23と第二当接面24の交差部は円弧面39にて滑らかに繋がれている。また、第二当接面24の反対側に延設された取手部40が設けられている。操作レバー22は第一当接面23と第二当接面24とに跨って矩形の切欠部38が形成され、切欠部38には弁軸18の上部が挿入され、操作レバー22の側面(第二当接面24と直交する面)に設けられた貫通孔と弁軸18上部に設けられた貫通孔(弁軸孔)とに接合ピン21を嵌挿することによって一体化されている。
なお、接合ピン21を支点軸として操作レバー22が支点軸(接合ピン21)を中心に揺動するようになっており、接合ピン21は後記操作レバー31に設けられた接合ピン30と平行になるように設けられ、支点軸(接合ピン21)中心から第二当接面24までの最短距離は支点軸(接合ピン21)中心から第一当接面23までの最短距離より長くなるように形成され、この距離の差が弁のリフト量となる。
【0021】
次に、分岐弁Yの構成について説明する。
26は分岐弁弁室6内に配置される弁体であり、弁体26外周には径方向に延設されたダイヤフラム27が一体的に形成されており、ダイヤフラム27の周縁部は本体1と後記ボンネット28によって挟持固定されている。弁体26は弁座10に圧接・離間されることによって第二流路3から第三流路4の流体の流れ、すなわち主流路と分岐流路の連通を遮断・開放する。
【0022】
28はボンネット、29は弁軸、31は操作レバーである。操作レバー31は、操作レバー22と同様の構成であり、第一当接面32、第二当接面33、規制面34、取手部41が設けられている。これらの分岐弁の構成は、主流路弁の構成と同様であるため説明は省略する。
【0023】
ここで操作レバー22及び操作レバー31の構成について説明する。
操作レバー22及び操作レバー31は両弁が閉状態にあるときに各々の第二当接面24、33が対向するように取り付けられている(図2参照)。主流路弁Xが開状態、分岐弁Yが閉状態のとき、操作レバー22の規制面25は操作レバー31の第二当接面33と平行で僅かな隙間を成すように設けられている(図1参照)。主流路弁Xが閉状態、分岐弁Yが開状態のとき、操作レバー31の規制面34は操作レバー22の第二当接面24と平行で僅かな隙間を成すように設けられている(図3参照)。なお、規制面25と第二当接面33、規制面34と第二当接面24は、僅かな隙間を設けずに当接するように設けても良い。
【0024】
次に本発明の第一の実施形態の作動について説明する。
【0025】
まず、主流路弁Xの動作について説明すると、操作レバー22の第一当接面23とボンネット15の上面が当接した状態(操作レバー22の取手部40が水平方向に向いた状態)では、バネ20の反発力によって弁体13が弁座10に圧接されて主流路弁Xが閉状態となり流体の流れは遮断されている(図2、図3の状態)。次に操作レバー22を支点軸を中心に揺動して取手部40を上方へ起こす(取手部40が鉛直方向に向いた状態にする)と、第一当接面23とボンネット15の上面は離間し、ボンネット15の上面と当接する面が円弧面39を移動して、第二当接面24とボンネットの上面とが当接する。このとき、操作レバー22の支点軸からの距離が第一当接面23よりも第二当接面24のほうが遠いため、この距離の差ほど操作レバー22の支点軸の位置はボンネット15の上面から上方へ移動する。したがって、支点軸である接合ピン21によって操作レバー22に係合されている弁軸18もバネ20を圧縮しながら上昇することとなり、弁軸18先端に接合された弁体13も上昇して弁座7から離間して主流路弁Xが開状態となり第一流路2から流入した流体は第二流路3へと流れる。(図1の状態)。
【0026】
一方、この状態(図1の状態)から操作レバー22を支点軸を中心に揺動して取手部40を倒す(操作レバー22の取手部40が水平方向にある状態にする)と、第二当接面24とボンネット15の上面とが離間し、代わって第一当接面23とボンネット15の上面とが当接し、操作レバー22の支点軸からボンネット15の上面との距離が近くなるため、この距離の差ほど支点軸によって操作レバー22に係合されている弁軸18が下降する。このときバネ20の付勢力によって弁体13が弁座7に圧接されて主流路弁Xが閉状態となり流体の流れが遮断される(図2、図3の状態)。
【0027】
分岐弁Yについては主流路弁Xと構造が同じであるため動作の説明は省略するが、分岐弁Yが閉状態のとき第二流路3から第三流路4への流体の流れが遮断され、分岐弁Yが開状態のとき第二流路3から第三流路4へ流体が流れるようになっている。
【0028】
次に、本発明のマニホルド弁のインターロック機構について説明する。
【0029】
まず、主流路弁Xが開状態、分岐弁Yが閉状態の場合(図1の状態)、第一流路2から流入した流体は第二流路3から流出されている。このとき主流路弁Xの操作レバー22の取手部40は上方に起こされた状態であり、主流路弁Xの規制面25と分岐弁Yの第二当接面33とは僅かな隙間を有して略平行に位置する。この状態で分岐弁Yの操作レバー31の取手部41を上方に起こそうとしても、分岐弁Yの第二当接面33が主流路弁Xの規制面25に当接して操作レバー31の取手部41を上方に起こすことができない。この操作レバー同士の干渉により、分岐弁Yは閉状態のまま操作レバー31を操作することができず、開状態にすることを防止する。一方主流路弁Xの操作レバー22は、操作しても操作レバー同士の干渉は起こらず、自由に開状態から閉状態へと切り替える事ができる。つまりこの状態では主流路弁Xは開閉操作ができるが分岐弁は操作することができない。
【0030】
次に、主流路弁Xが閉状態、分岐弁Yが開状態の場合(図3の状態)、第二流路3から第三流路4へ流体が流れる。このとき分岐弁Yの操作レバー31の取手部41は上方に起こされた状態であり、主流路弁Xの第二当接面24と分岐弁Yの規制面34とは僅かな隙間を有して略平行に位置する。この状態では主流路弁Xの操作レバー22の取手部40を上方に起こそうとしても、主流路弁Xの第二当接面24が分岐弁Yの規制面34に当接して操作レバー22の取手部40を上方に起こすことができない。この操作レバー同士の干渉により、主流路弁Xは閉状態のまま操作レバー22を操作することができず、開状態にすることを防止する。一方分岐弁Yの操作レバー31は、操作しても操作レバー同士の干渉は起こらず、自由に開状態から閉状態へと切り替える事ができる。つまりこの状態では分岐弁Yは開閉操作ができるが主流路弁Xは操作することができない。
【0031】
次に両弁とも閉状態の場合では(図2の状態)、操作レバー22、31の取手部40、41が互いに反対方向に向いており、各々の規制面25、34が上方向を向いているため、どちらの弁も操作可能となっている。ただし、一方の弁を操作すると他方の弁は操作レバー同士が干渉して操作できなくなるため、両弁を同時に操作することは不可能である。
【0032】
以上説明したように本発明のマニホールド弁は両弁を同時に開状態とすることができない構造となっている。このマニホールド弁を図12のような半導体製造装置の配管ラインに用いた場合、主流路弁102、分岐弁103が本発明のマニホールド弁1つの設置で済み(図示せず)、さらにインターロック機構を備えたマニホールド弁構造であるためインターロック機構を設置するための配管位置の微妙な調整が必要ないので配管接続が容易になると共に、コンパクトであるため配管ライン内の狭いスペースでの使用が可能であり、半導体製造装置をより小さく形成することができる。また配管ラインの部品を交換する場合、主流路弁Xを閉状態にして主流路の流れを停止させ、分岐弁Yを開状態にして主流路内に留まっている流体を分岐流路から外部へ流出させ、部品の交換作業を行う際に、インターロック機構により主流路弁Xが誤って開状態になることが防止されるので、周囲に流体が飛び散ることなく作業者が安全に部品交換を行うことができる。
【0033】
なお、本実施形態では流入した流体は第一流路2を通って第二流路3から流出する流れと、第二流路3から第三流路4へ流出する流れで使用しているが、マニホールド弁の用途によって流体はどのような流れにしてもかまわない。
【0034】
次に、主流路弁が分岐弁構造であるときの本発明の第二の実施形態について説明する。
【0035】
図8乃至図10に示すように、第二の実施形態のマニホールド弁は、第一接続口57から第四接続口60へ連通する第一流路52(図8では正面側から裏面側へ貫通する流路であり、第一、第四接続口57、60は本体51の両側面に開口している)、第一流路52の所定箇所から第二接続口58へ連通する第二流路53、第二流路53の所定箇所から第三接続口59へ連通する第三流路54が本体51内部に一体的に設けられ、上方に主流路弁弁室55及び分岐弁弁室56が各々設けられている(図9参照)。このとき、第一流路52が基幹流路となり、第一流路52から主流路弁弁室55を通って第二流路53を流れる流路が主流路となり、分岐弁弁室56から第三流路54を流れる流路が分岐流路となる。主流路は、基幹流路から分岐した流路となっている。
【0036】
本体51は、主流路弁弁室55側に主流路を開閉する主流路弁と、分岐弁弁室56側に分岐流路を開閉する分岐弁とが一体になるように形成されている。主流路弁と分岐弁の構成は第一実施形態と同様なので説明を省略する。
【0037】
次に本発明の第二の実施形態の作動について説明する。
【0038】
マニホールド弁の流体の流れは、第一流路52を流れる流体を主流路弁を介して分岐して第二流路53に流す。主流路弁は、その分岐した流路の開閉を行うことができ、また第二流路53を流れる流体を分岐弁でさらに分岐して第三流路54に流す。分岐弁は、さらに分岐した流路の開閉を行うことができる。主流路弁と分岐弁の動作とインターロック機構については本発明の第一の実施形態と同様なので説明を省略する。このマニホールド弁を半導体製造装置の配管ラインに用いると、図11に示すように本発明のマニホールド弁を複数並列に配管接続する場合、従来ではチーズやマニホールド継手などで流体を分岐させて配管接続するのをマニホールド継手の必要なしに配管接続することができ、配管接続するための部材が少なくて済み、配管接続が容易となる。
【0039】
本発明のマニホールド弁のインターロック機構は、一方の弁が開状態で他方の弁が閉状態のときに、一方の弁の操作レバーが他方の弁の操作レバーを支点軸を中心とした揺動操作不能に保持する構成であれば良く、このとき他方の弁の操作レバーが支点軸を中心とした揺動操作不能な状態を保持したまま一方の弁の操作レバーを支点軸を中心に揺動させて一方の弁を開閉させても良い。
【0040】
また、操作レバー22、31の形状は第一当接面23、32、第二当接面24、33及び規制面25、34を有し、インターロック機構を満たす構成であれば形状は特に限定されない。
【0041】
本発明の分岐弁と主流路弁は、操作レバー22、31を支点軸を中心に揺動させて弁を開閉する構成であり、少なくともいずれか一方の弁が操作レバー22、31の支点軸を中心とした揺動をトグル機構により弁体13、26の直線動に変換する変換手段を具備する必要があり、このときの弁の構成はダイヤフラム弁、ストップ弁、ポペット弁、スプール弁などが挙げられるが、特に溶出特性に優れ流体内にパーティクルが発生することを抑える構成にし易いことからダイヤフラム弁であることが好適である。
【0042】
本発明において、ダイヤフラム14、27の材質はフッ素樹脂製であることが望ましく、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)、ポリビニリデンフルオライド(以下、PVDFと記す)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAと記す)などが好適なものとして挙げられる。
【0043】
本発明において、マニホールド弁の本体1、ボンネット15、28、弁軸18、29、操作レバー22、31の材質はマニホールド弁として必要な物性を有していれば特に限定されないが、PTFE、PVDF、PFA、ポリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素樹脂が好適なものとして挙げられ、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂や、流体による腐食の心配がなければステンレスなどの金属など、いずれでも良い。
【0044】
本発明のマニホールド弁を流れる流体は、純水、塩酸、硫酸、フッ化水素酸、アンモニア水、過酸化水素水、フッ化アンモニウムなど特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第一の実施形態である主流路弁が開状態、分岐弁が閉状態のマニホールド弁を示す縦断面図である。
【図2】図1の主流路弁が閉状態、分岐弁が閉状態のマニホールド弁を示す縦断面図である。
【図3】図1の主流路弁が閉状態、分岐弁が開状態のマニホールド弁を示す縦断面図である。
【図4】図1の操作レバーの斜視図である。
【図5】図1の斜視図である。
【図6】図2の斜視図である。
【図7】図3の斜視図である。
【図8】本発明の第二の実施形態を示す縦断面図である。
【図9】図8の本体の平面図である。
【図10】図9の斜視図である。
【図11】本発明の第二の実施形態を用いた配管ラインを示す模式図である。
【図12】従来の半導体製造の配管ラインを示す模式図である。
【図13】弁の開閉操作装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 本体
2 第一流路
3 第二流路
4 第三流路
5 主流路弁弁室
6 分岐弁弁室
7 弁座
8 第一開口部
9 第二開口部
10 弁座
11 第三開口部
12 第四開口部
13 弁体
14 ダイヤフラム
15 ボンネット
16 凹部
17 貫通孔
18 弁軸
19 鍔部
20 バネ
21 接合ピン
22 操作レバー
23 第一当接面
24 第二当接面
25 規制面
26 弁体
27 ダイヤフラム
28 ボンネット
29 弁軸
30 接合ピン
31 操作レバー
32 第一当接面
33 第二当接面
34 規制面
35 第一接続口
36 第二接続口
37 第三接続口
38 切欠部
39 円弧面
40 取手部
41 取手部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流路と、該主流路から分岐する分岐流路と、前記主流路を開閉する主流路弁と、前記分岐流路を開閉する分岐弁とを備え、前記主流路と前記分岐流路と前記主流路弁と前記分岐弁とが一体化されたマニホールド弁であって、
前記主流路弁と前記分岐弁は、各々、弁体と、該弁体と連結された弁軸と、該弁軸と連結された操作レバーとを有して、該操作レバーを前記弁軸の軸方向に揺動することにより流路の開閉を行う手動弁であり、
前記主流路弁と前記分岐弁は各々、前記操作レバーの揺動を前記弁体の直線動に変換して、前記弁体を弁座に対して圧接離間させて流路の開閉を行い、
前記主流路弁と前記分岐弁の一方の弁が開状態で他方の弁が閉状態のときに、前記一方の弁の前記操作レバーが前記他方の弁の前記操作レバーの揺動を不能にするインターロック機構を備えていることを特徴とするマニホールド弁。
【請求項2】
基幹流路をさらに備え、前記主流路が前記基幹流路から分岐していることを特徴とする請求項1に記載のマニホールド弁。
【請求項3】
前記インターロック機構は、
前記操作レバーが、前記弁が閉状態のときに前記弁を囲繞するボンネット上面と当接する第一当接面と、前記弁が開状態のときに前記ボンネット上面と当接する第二当接面と、前記第一当接面と略平行な規制面とを有し、
前記一方の弁が閉状態で前記他方の弁が開状態のときに、前記閉状態の弁の前記操作レバーの第二当接面と、前記開状態の弁の前記操作レバーの規制面とが当接または隙間を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマニホールド弁。
【請求項4】
前記弁軸は、前記ボンネットを貫通して露出しており、その露出した端部に貫通する弁軸孔を有し、
前記操作レバーは、前記弁軸孔内に挿入された支点軸を有して、該支点軸を中心として揺動し、
前記支点軸中心から第二当接面までの最短距離が前記支点軸中心から第一当接面までの最短距離より長いことを特徴とする請求項3に記載のマニホールド弁。
【請求項5】
前記主流路弁と前記分岐弁のいずれかがダイヤフラム弁であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマニホールド弁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−190576(P2008−190576A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23753(P2007−23753)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000117102)旭有機材工業株式会社 (235)
【Fターム(参考)】