説明

マルチ構造ラミネート用の接着促進剤

フィルムの不織布への接着、フィルムの別なフィルムへの接着、または不織布の別な不織布への接着を改善するための組成物および方法が開示される。対象とするラミネート構造またはマルチラミネート構造に依存して、この改善は、流動性および密着性を改善すべく、基体、例えば多孔質不織布などに物理的にしっかりと固着する、低粘度で低密度のエチレンまたはプロピレンをベースとしたポリマーを使用することにより、または基体フィルムポリマーのうちの一つと混ぜ合わされた同様なポリマー使用することにより達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチ構造ラミネート用の接着促進剤に関係する。本発明は、フィルムの不織布への接着、フィルムの別なフィルムへの接着、または不織布の別な不織布への接着を改善するための組成物および方法を提供する。対象とするラミネート構造またはマルチラミネート構造に依存して、この改善は、流動性および密着性を改善すべく、基体、例えば多孔質不織布などに物理的にしっかりと固着する、低粘度で低密度のエチレンまたはプロピレンをベースとしたポリマーを使用するか、または基体フィルムポリマーのうちの一つと混ぜ合わされた同様なポリマー使用するかのいずれかにより達成することができる。
【背景技術】
【0002】
長年の間、繊維、フィルムまたはウェブを形成するため、熱可塑性樹脂が押出しされてきた。これらの用途における最も一般的な熱可塑性プラスチックはポリオレフィン、特にポリプロピレンおよびポリエチレンであるが、各材料は、最終生成物において望まれる特性に関して、それぞれの特徴的な利点および欠点を有している。
【0003】
不織布は、そのようなポリマーから製造することができる一つのタイプの製品であって、広範囲にわたる様々な用途、例えばパーソナルケア製品、例えばオムツ、女性衛生用品および尿漏れ防止用品など、感染予防用品、包帯、手術用のドレープ、衣服および他の多くの用途に有用である。また、不織布は、カーペット裏地の用途でも使用されている。これらの不織布は、一般的に、押出し被覆(extrusion coated)ポリプロピレンを用いてタフトカーペットにヒートシールされる。最も広範囲に使用されている不織布は、スパンボンドポリプロピレン不織布である。これらの用途において使用されている不織布は、しばしば、様々な層数のメルトブローン不織布、スパンボンド不織布及び/又はフィルムを有するラミネートの形態、例えばスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)ラミネート、スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド(SMMS)ラミネート、スパンボンド/フィルム(SF)およびスパンボンド/フィルム/スパンボンド(SFS)ラミネートなどの形態を成しており、六層またはそれ以上の層数にものぼる多くの層を有するラミネートの場合さえあり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのラミネートは、しばしば、層と層との間の密着性が乏しい状態に陥ることがある。それ故、現在のラミネートよりも良好な一体性を維持することができる不織布ラミネートを得ることが望まれている。この目標を達成するための一つの方法は、これまで以上に良好なラミネーション接着剤を開発することによるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、一つの態様においては、本発明は少なくとも2つの成分を含む組成物またはラミネーション接着剤であり、それら2つの成分は:少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であって、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であって、ASTM D−792により測定したときに、好適には0.85g/ccから0.90g/ccまでの間、より好適には0.855g/ccから0.89g/ccまでの間、最も好適には0.87g/ccから0.88g/ccまでの間の密度を有し、且つ、300cPから50,000cPまでの間、好適には1000cPから30,000cPまでの間、より好適には5000cPから25,000cPまでの間の粘度を有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B);である。粘度(一般的には、スピンドル31を用いて測定される)は、350°F(177℃)におけるASTM D3236により決定される。成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでを構成し;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでを構成するのが好適であり、前述のパーセンテージは、成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率、または本接着剤におけるすべての成分の重量をベースとした重量百分率である。
【0006】
別の態様においては、本発明は少なくとも2つの成分を含む組成物またはラミネーション接着剤であり、それら2つの成分は:少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であって、ASTM D1238の条件190℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトインデックスを有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であって、ASTM D−792により測定したときに、好適には0.85g/ccから0.90g/ccまでの間、より好適には0.855g/ccから0.89g/ccまでの間、最も好適には0.87g/ccから0.88g/ccまでの間の密度を有し、且つ、300cPから50,000cPまでの間、好適には1000cPから30,000cPまでの間、より好適には5000cPから25,000cPまでの間の粘度を有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B);である。好適には、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでを構成し;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまで、より好適には30パーセントを構成し、ここで、前述のパーセンテージは、成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率、または本接着剤におけるすべての成分の重量をベースとした重量百分率である。
【0007】
好適には、少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B)は、エチレン/C3からC20までのα−オレフィンインターポリマー、より好適にはエチレン/C3からC12までのα−オレフィンインターポリマー、最も好適にはエチレン/C8α−オレフィンコポリマーから選択される。
【0008】
更に一層好適には、少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B)はエチレン/C3からC8までのα−オレフィンインターポリマーから選択され、ここで、前述のα−オレフィンは、プロピレン;1−ブテン;2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン;2−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン;4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン;および1−オクテン;からなるグループから選択される。
【0009】
更に第三の態様においては、本発明は少なくとも2つの成分を含む組成物またはラミネーション接着剤であり、それら2つの成分は:少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であって、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であって、DSCを用いて測定したときに、好適には30パーセント未満、より好適には25パーセント未満、最も好適には20パーセント未満の結晶化度を有し、且つ、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより測定したときに、好適には25g/10分より大きいメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B);であり、ここで、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでを構成し;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでを構成し、前述のパーセンテージは、成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率、または本接着剤におけるすべての成分の重量をベースとした重量百分率である。
【0010】
更に別の態様においては、本発明は少なくとも2つの成分を含む組成物またはラミネーション接着剤であり、それら2つの成分は:少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であって、ASTM D1238の条件190℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトインデックスを有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であって、DSCを用いて測定したときに、好適には30パーセント未満、より好適には25パーセント未満、最も好適には20パーセント未満の結晶化度を有し、且つ、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより測定したときに、好適には25g/10分より大きいメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B);であり、ここで、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでを構成し;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでを構成し、前述のパーセンテージは、成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率、または本接着剤におけるすべての成分の重量をベースとした重量百分率である。
【0011】
成分A)が少なくとも一つのプロピレンをベースとしたオレフィンポリマーであるときには、このポリマーはポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/α−オレフィンインターポリマーからなるグループから選択されることが好適であり、ここで、その結晶化度は、DSCにより測定したときに、前述のインターポリマーのうち30パーセントより大きく、好適には35パーセントより大きく、より好適には40パーセントより大きく、最も好適には45パーセントより大きい。
【0012】
一つの実施形態においては、成分A)のプロピレンをベースとしたオレフィンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンインターポリマーからなるグループから選択され、ここで、そのエチレン含有量は、前述のインターポリマーのうち20重量パーセントを超えない割合を構成し、好適には15重量パーセント未満、より好適には10重量パーセント未満、最も好適には5重量パーセント未満である。
【0013】
別の実施形態においては、成分A)のプロピレンをベースとしたオレフィンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンインターポリマーからなるグループから選択され、ここで、そのエチレン含有量は、前述のインターポリマーのうち7重量パーセントを超えない割合を構成し、好適には5重量パーセント未満、より好適には3重量パーセント未満、最も好適には2重量パーセント未満である。
【0014】
本発明の更に別の態様は、本発明のラミネーション接着剤を使用したラミネート構造物である。そのような構造物は、相互に共押出し、熱接合、融着及び/又は圧着されている少なくとも三つの熱可塑性層を含むであろう。好適には、これらのラミネート構造物は:少なくとも一つの熱可塑性のプロピレンをベースとしたオレフィンポリマーを含む層1)であって、(ASTM D 1238、条件230℃/2.16kgにより測定したときに)0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する少なくとも一つの熱可塑性のプロピレンをベースとしたオレフィンポリマーを含む層1);少なくとも一つの熱可塑性のオレフィンをベースとしたポリマーを含む層3);ならびに層1)および層3)の間に配置され、ある接合様式において層1)と層3)との両方に緊密に接触している層2)であって、本発明のラミネーション接着剤を含む層2);を含んでおり、このラミネート構造物は、ある接合様式において相互に緊密に接触した状態で配置された単に層1)および層3)のみから成る同等なラミネートの個別的な剥離強度と比べたときに、高められた剥離強度を有している。この文脈において、単に層1)および層3)のみから成るラミネート構造物は、少なくとも層1)および層3)を含み、且つ、一つまたはそれ以上の付加的な層を含んでいてよく、それらの各付加的な層は、層1)または層3)の組成でできている。上述の同等なラミネートの構造は、可能な限りしっかりと本発明によるラミネートの構造に似せてあるべきである。但し、この同等なラミネートは、本発明によるラミネートの接着剤層を含んでいない。
【0015】
本発明の別の態様は、本発明のいずれかの組成物によるラミネーション接着剤を含み、且つ、少なくとも三つの熱可塑性層を含むラミネート構造物を対象としており、ここで、これらの層は相互に共押出し、熱接合、融着及び/又は圧着されている。
【0016】
幾つかの用途においては、本ラミネートの層1)および層3)の両者は、少なくとも一つのフィルムを形成する熱可塑性のプロピレンをベースとしたポリマーを含んでいることが有利であり得、ここで、そのポリマーは両方の層で同じポリマーであってよい。別の用途においては、層1)および層3)の両者は、ASTM D 1238の条件230℃/2.16kgにより測定したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する、熱可塑性のプロピレンをベースとしたポリマーを含んでいることが有利であり得る。
【0017】
一つの実施形態においては、本ラミネートの層2)の成分A)は少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含んでいて、そのポリマーは、層1)の少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーの粘度およびメルトフローレートと同じ粘度およびメルトフローレートを有するプロピレンホモポリマーであり;層2)の成分B)は少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含んでいて、そのポリマーは、0.87g/ccから0.88g/ccまでの間の密度を有し、且つ、350°F(177℃)におけるASTM D3236により測定したときに、5,000cPから20,000cPまでの間の粘度を有するC8α−オレフィンコポリマーである。
【0018】
本ラミネートは、有利には、層1)および層3)の各層がフィルム層であるように構成することができる。幾つかの用途においては、層1)または層3)のうちの一方の層は熱可塑性フィルム層であり、もう一方の層は不可欠な要素として不織布ウェブを含む層であることが好適であり得、ここで、前述の不織布ウェブは、スパンボンデッド、カーデッド熱接合ステープル繊維、メルトブローン不織布熱可塑性、エアーレイドまたは前述のものの組合せから選択される。
【0019】
代替的に、層1)または層3)のうちの一方の層は熱可塑性フィルム層であってよく、もう一方の層は、不可欠な要素として熱可塑性フォームを含む層であってよい。
【0020】
本明細書で開述されている三層ラミネートの層2)は本発明のラミネーション接着剤を含んでいてよく、この場合、そのようなラミネートは、単に層1)および層3)のみから成る同等なラミネートの個別的な剥離強度と比べたときに、少なくとも25パーセント、好適には50パーセント、より好適には100パーセント高められた180°方向の剥離強度を有している。この文脈において、単に層1)および層3)のみから成るラミネート構造物は、少なくとも層1)および層3)を含み、且つ、一つまたはそれ以上の付加的な層を含んでいてよく、それらの各付加的な層は、層1)または層3)の組成でできている。上述の同等なラミネートの構造は、可能な限りしっかりと本発明によるラミネートの構造に似せてあるべきである。但し、この同等なラミネートは、本発明によるラミネートの接着剤層を含んでいない。
【0021】
別の実施形態においては、本ラミネート構造物は三つの層、層1)、層2)および層3)を含み、層2)が本発明のラミネーション接着剤を含んでおり、このラミネートは、単に層1)および層3)のみから成る同等なラミネートの個別的な剥離強度と比べたときに、少なくとも25パーセント、好適には50パーセント、より好適には100パーセント高められた層1)と層3)との間の180°方向の剥離強度を有している。この文脈において、単に層1)および層3)のみから成るラミネート構造物は、少なくとも層1)および層3)を含み、且つ、一つまたはそれ以上の付加的な層を含んでいてよく、それらの各付加的な層は、層1)または層3)の組成でできている。上述の同等なラミネートの構造は、可能な限りしっかりと本発明によるラミネートの構造に似せてあるべきである。但し、この同等なラミネートは、本発明によるラミネートの接着剤層を含んでいない。
【0022】
一つの実施形態においては、本ラミネートは、層1)と層3)との間に層2)を押出しすることにより形成される。好適には、この押出し物の温度は層1)および層3)の融点付近であるか、または融点以上である。
【0023】
本発明の別の実施形態においては、ラミネーション接着剤層は、二つの基体間の結合層において使用される場合、ポリオレフィンマトリックス内における分散相を含む。この分散相は離散した微粒子及び/又は縞(striation)の形態であってよい。この分散相におけるこれらの微粒子及び/又は縞は、(以下で検討されているように)すべての個々の値およびそれらの間のサブレンジを含め、0.05ミクロン(μm)から1ミクロンまでの間の平均幅を有している。好適には、この分散相におけるこれらの微粒子及び/又は縞は、1ミクロン未満、好適には0.5ミクロン未満、より好適には0.25ミクロン未満の平均幅を有している。
【0024】
オムツ、トレーニングパンツ、吸水性アンダーパンツ、成人用尿漏れ防止用品、およびアウターカバーを含めた女性衛生用品からなるグループから選択され、且つ、本明細書で開示されている一つまたはそれ以上のラミネートを含むパーソナルケア製品も本発明の範囲内である。本明細書で開示されている一つまたはそれ以上の接着剤組成物を含むフィルム/不織布ラミネートも本発明により包含される。
【0025】
本明細書で言及されているあらゆる数字による範囲は、ある低値とある高値との間に少なくとも二単位の分離が存在することを条件として一単位ずつの増分で、すべての個々の値および下方値から上方値までのすべてのサブレンジを含む。一つの例として、物理的特性、例えば分子量、溶融粘度、メルトインデックスなどが100から1000までと述べられている場合、すべての個々の値、例えば100、101、102など、およびすべてのサブレンジ、例えば100から144まで、155から170まで、197から200までなどが本明細書においてはっきりと列挙されているものと解釈すべく意図されている。1未満の値に対しては、一単位は、適切な場合、0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。これらは、特定的に意図されたものの単なる例に過ぎず、列挙されているうちの最低値と最高値との間の数字による値のすべての可能な組合せが本明細書においてはっきりと述べられているものと解釈すべきである。数字による範囲は、本明細書で検討されている場合、接着剤または混合成分の重量百分率、ポリマー成分の重量百分率、溶融粘度、メルトフローレート、メルトインデックス、パーセント結晶化度、分子量分布、密度、分散相の寸法、押出し物の温度、α−オレフィンの炭素原子数および他の特性に関して言及されている。
【0026】
本明細書で使用する場合、「不織布または不織布ウェブ」という用語は、インターレイド(interlaid)されているが、編物の場合などのように識別可能な仕方ではなくインターレイドされている個々の繊維または糸の構造を有するウェブを意味する。不織布または不織布ウェブは多くのプロセスから形成されており、例えばメルトブローイングプロセス、スパンボンディングプロセスおよびボンデッドカーデッドウェブプロセスなどから形成されている。不織布の坪量は、通常、1平方ヤード当たりの材料のオンス数(osy)または1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表され、実用的繊維径(fiber diameters useful)は、通常、ミクロン単位で表される。(osyからgsmへ変換するためには、osyに33.91gsm/osyを掛け算すればよいことに留意のこと)。
【0027】
本明細書で使用する場合、「超極細繊維」という用語は、約75ミクロンを超えない平均直径を有する小さな直径の繊維、例えば0.5ミクロンから50ミクロンまでの平均直径を有する繊維を意味し、より特定的には、超極細繊維は2ミクロンから40ミクロンまでの平均直径を有していてよい。しばしば用いられる繊維径の別の表現はデニールであり、デニールは、「9000メートル当たりの繊維のグラム数」として定義されている。例えば、ミクロン単位で与えられているポリプロピレン繊維の直径は、二乗し、得られた結果に0.00629を掛け算することによりデニール単位に変換することができ、従って、15ミクロンのポリプロピレン繊維は1.42(152×0.00629=1.415)デニールに相当する。
【0028】
本明細書で使用する場合、「スパンボンデッド繊維」という用語は、押出しされるフィラメントの直径を有するスピナレットの複数の微細な、通常は円形の毛細管から溶融熱可塑性材料をフィラメントとして押出しした後、例えばAppelらに付与された米国特許第4,340,563号、Dorschnerらに付与された米国特許第3,692,618号、Matsukiらに付与された米国特許第3,802,817号、Kinneyに付与された米国特許第3,338,992号および第3,341,394号、Hartmanに付与された米国特許第3,502,763号、Doboらに付与された米国特許第3,542,615号、ならびにLevyに付与された米国特許第3,502,538号により開示されているように、直径を急速に低減させることにより形成される、小さな直径の繊維を表す。スパンボンド繊維は、通常、収集表面上に堆積されたときには粘着性を帯びていない。また、スパンボンド繊維は、通常、連続的であり、7ミクロンより大きい直径、より特定的には10ミクロンから20ミクロンまでの間の直径を有している。
【0029】
本明細書で使用する場合、「メルトブローン繊維」という用語は、溶融熱可塑性材料を、複数の微細な、通常は円形のダイキャピラリー(die capillaries)を通じて、溶融された糸またはフィラメントとして収束性の高速ガス(例えば空気)流中に押出しすることにより形成される繊維を意味し、その収束性の高速ガス流は、溶融熱可塑性材料のフィラメントの直径を低減させるべく、それらのフィラメントを減衰させる;そのような直径の低減は、超極細繊維の直径にまで至らしめるものであってよい。その後、これらのメルトブローン繊維は、上述の高速ガス流によって運ばれ、ランダムに分配されたメルトブローン繊維のウェブを形成すべく、収集表面上に堆積される。このようなプロセスは、例えばButinに付与された米国特許第3,849,241号に開示されている。メルトブローン繊維は、連続的な場合もあれば、不連続的な場合もある、超極細繊維であり、通常、収集表面上に堆積されたときには粘着性を帯びている。
【0030】
本明細書で使用する場合、「ポリマー」という用語は、一般的に、ホモポリマー、コポリマーおよびインターポリマーを含み、これらに限定するものではないが、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマーおよび交互コポリマー、ターポリマーなどを含み、ならびに前述のものの混合物および修飾物を含む。更に、別なやり方ではっきりと限定されていない限り、「ポリマー」という用語は、その材料のあらゆる可能な幾何配置を含むものとする。そのような配置は、これらに限定するものではないが、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびランダム対称を含む。
【0031】
本明細書で使用する場合、「パーソナルケア製品」という用語は、オムツ、トレーニングパンツ、吸水性アンダーパンツ、成人用尿漏れ防止用品および女性衛生用品を意味する。このような製品は、一般的に、耐液体浸透性のアウターカバーを有しており、このアウターカバーは、ビジュアルバリヤー(visual barrier)も提供し、審美的に満足感を与える。パーソナルケア製品用のアウターカバー、例えばオムツ用のアウターカバーはテープ閉止手段用の「ランディング(landing)領域」または付着箇所としても機能することができ、更には、フックおよびループ閉止システムに対する付着手段も提供することができ、その場合、このアウターカバー材料はフックまたはループ手段であってよい。
【0032】
「均一な」および「均一に分岐した」という用語はエチレン/α−オレフィンポリマー(またはインターポリマー)に関して使用され、そこでは、α−オレフィンコモノマーがある与えられたポリマー分子内にランダムに分配されており、実質的にすべてのそれらのポリマー分子が同一のエチレン対コモノマー比を有している。
【0033】
本発明の実施において使用され得る、均一に分岐したエチレンインターポリマーは直鎖エチレンインターポリマーおよび実質的に直鎖状のエチレンインターポリマーを含む。
【0034】
種々のものが含まれる中でもとりわけ、均一に分岐した直鎖エチレンインターポリマーは、そのインターポリマー内に重合されたコモノマーから誘導された、長鎖分岐は有していないが、短鎖分岐を有しており、それらが同じポリマー鎖内と異なるポリマー鎖間との両方で均一に分配されているエチレンポリマーである。即ち、均一に分岐した直鎖エチレンインターポリマーは、例えばElstonによる米国特許第3,645,992号に記載されているような一様分岐分布重合プロセスを用いて製造される直鎖状低密度ポリエチレンポリマーまたは直鎖状高密度ポリエチレンポリマーの場合のように、長鎖分岐を含んでいない。均一に分岐した直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーの商業的な例は、三井化学株式会社(Mitsui Chemical Company)から供給されているTAFMER(商標)ポリマーおよびExxonMobil Chemical Companyから供給されているEXACT(商標)ポリマーを含む。
【0035】
本発明において使用される実質的に直鎖状のエチレンインターポリマーは、米国特許第5,272,236号;第5,278,272号;第6,054,544号;第6,335,410号および第6,723,810号に記載されており;これらの各特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。これらの実質的に直鎖状のエチレンインターポリマーは、コモノマーがある与えられたインターポリマー分子内にランダムに分配されており、それらの実質的にすべてのインターポリマー分子がそのインターポリマー内において同じエチレン/コモノマー比を有しているエチレンインターポリマーである。
【0036】
更に、実質的に直鎖状のエチレンインターポリマーは、長鎖分岐を有する、均一に分岐したエチレンポリマーである。これらの長鎖分岐は、ポリマー骨格と同じコモノマー分布を有しており、ポリマー骨格の長さとほぼ同じ長さを有することができる。
【0037】
実質的に直鎖状のポリマーの商業的な例は、ENGAGE(商標)ポリマー(デュポン・ダウ・エラストマー(DuPont Dow Elastomers)L.L.C.から入手可能)およびAFFINITY(商標)ポリマー(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)から入手可能)を含む。
【0038】
実質的に直鎖状のエチレンインターポリマーは、特異なクラスの均一に分岐したエチレンポリマーを形成している。これらのインターポリマーは、Elstonによる米国特許第3,645,992号に記載されている、広く知られたクラスの従来の均一に分岐した直鎖エチレンインターポリマーとは実質的に異なっており、更に、これらのインターポリマーは、従来の不均一系チーグラー・ナッタ触媒重合による直鎖エチレンポリマー(例えばアンダーソンらによる米国特許第4,076,698号に開示されている技術を用いて製造された、例えば超低密度ポリエチレン(ULDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)または高密度ポリエチレン(HDPE))と同じクラスではなく;また、これらのインターポリマーは、高圧下におけるフリーラジカル開始による高度に分岐したポリエチレン、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマーおよびエチレンビニルアセタート(EVA)コポリマーなどと同じクラスでもない。
【0039】
均一に分岐した、実質的に直鎖状のエチレンインターポリマーは、それらのインターポリマーが比較的狭い分子量分布(典型的には3.5未満、好適には2.5未満のMw/Mn)を有しているときにおいてさえ、優れた処理性を有している。驚くべきことに、実質的に直鎖状のエチレンインターポリマーのASTM D 1238によるメルトフロー比(I10/I2)は、分子量分布とは本質的に無関係に、広範囲にわたって様々に変えることができる。この驚くべき性質は、従来の均一に分岐した直鎖エチレンインターポリマー、例えばElstonによる米国特許第3,645,992号に記載されているインターポリマーなど、および不均一に分岐した従来のチーグラー・ナッタ重合による直鎖ポリエチレンポリマー、例えばアンダーソンらによる米国特許第4,076,698号に記載されているインターポリマーなどとは正反対である;これらの従来のポリマーは、分子量分布によってもっと影響を受けるレオロジー特性を有している。
【0040】
別なやり方で指示されていない限り、本発明において検討されている物理的なパラメーターは以下の試験法により決定されるべきである:
【0041】
メルトフローレート(MFR)またはメルトインデックス(MI):MFRまたはMIは、特定の負荷または剪断速度下において、測定期間の間に既知の寸法を有する毛細管から流れ出る材料の重量として表され、ASTM D1238によれば、ポリプロピレンに対しては230℃における2.16kgの負荷を掛けた状態でのグラム/10分単位で測定され、ポリエチレンに対しては190℃における2.16kgの負荷を掛けた状態でのグラム/10分単位で測定される。ポリエチレンポリマーの場合には、メルトインデックスは、米国特許第6,335,410号;第6,054,544号;第6,723,810号に記載されているように、ブルックフィールド粘度からも決定される。これらの特許に記載されているようにして粘度から決定されたメルトインデックスを「見掛けメルトインデックス」と呼ぶ。
【0042】
溶融粘度は350°F(177℃)においてASTM D3236により測定される。
【0043】
示差走査熱量測定法(DSC):DSCを用いてポリプロピレン(PP)ポリマーおよびポリエチレン(PE)ポリマーの結晶化度が測定される。サンプルは、190℃の温度において、薄いフィルムの形態にプレスされる。約5mgから8mgのフィルムサンプルを計量し、DSCパンに入れる。パンに蓋の両端を押しつけ(crimped)、密閉された雰囲気を確実化する。このサンプルパンをDSCセルに入れた後、PPの場合には230℃(PEの場合には180℃)の温度にまで、約10℃/分の速度で加熱する。サンプルを3分間この温度に維持する。その後、サンプルをPPの場合には−40℃(PEの場合には−60℃)まで10℃/分の速度で冷却し、3分間その温度で等温的に維持する。結果的に、完全に溶けるまで、10℃/分の速度でサンプルを加熱する(二次加熱)。パーセント結晶化度は、二次加熱曲線から決定された融解熱(Hf)をPPの場合には165J/g(PEの場合には292J/g)の理論的融解熱で割り算し、この量に100を掛け算することにより算出される(例えば、パーセント結晶化度=(Hf/165J/g)×100)。
【0044】
剥離試験:剥離試験または層間剥離試験においては、ラミネートの層を引き離す引張り力の量についてラミネートが試験される。剥離強度の値は、特定の幅の布地、通常は1インチ(25.4mm)のクランプ幅の布地を使用し、一定の伸長速度を用いて得られる。このフィルムは、通常、試験する前に40時間コンディショニングされる。材料固定具は平坦な鋸歯状のエアーグリップである。サンプルは、サンプルが所定の位置にクランプされることを可能にするのに充分な量により層間剥離される。剥離試験は、2インチ/分の一定のクロスヘッド速度において実施される。試料は、例えば、インストロンコーポレーション(Instron Corporation)(2500 Washington St.,Canton,Massachusetts USA)から入手可能なInstron Model TMにクランプされる。この後、サンプル試料は180°の分離角度で引き離され、引張り強度がグラム単位で記録される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
熱可塑性ポリマーは、様々な製品、例えばパーソナルケア用品、感染予防用品、衣服および保護カバーなどにおいて使用するためのフィルム、繊維およびウェブの製造に有用である。そのような材料の一つの例は、液体不浸透性リテーナーとして機能するフィルム/不織布ラミネートである。
【0046】
フィルム/不織布ラミネートは、例えばオムツのアウターカバー材料として使用することができる。オムツのアウターカバー材料は、体液を保持する機能を果たさなければならず、また、審美的に消費者の見た目も満足させるものでなければならない;即ち、その材料は、視覚的に魅力のあるものに見えなければならず、また、オムツの内部に保持された流体および材料が見えるのを隠すこともできなくてはならない。パーソナルケア製品用のアウターカバー、例えばオムツ用のアウターカバーは、また、テープ閉止手段用の「ランディング領域」または付着箇所としても機能することができ、更には、フックおよびループ閉止システムに対する付着手段も提供することができ、その場合、このアウターカバー材料はフックまたはループ手段であってよい。このような機能性は、本ラミネートが、使用条件下において不具合を伴うことなく、一体となった状態のままであることを必要とし、これは、従来のフィルム/不織布ラミネートで問題となっていた一つの属性である。
【0047】
本発明者らは、フィルムの不織布への接着、フィルムの別なフィルムへの接着、または不織布の別な不織布への接着を改善するための方法を発見した。対象とするマルチラミネート構造に依存して、上述の改善は、流動性および密着性を改善するための接着層として、多孔質の不織布に物理的にしっかりと固着する低粘度で低密度のエチレンまたはプロピレンをベースとしたポリマーを使用するか、または基体フィルムポリマーのうちの一つと組み合わせて同様なポリマーを使用するかのいずれかにより、達成することができるであろう。
【0048】
米国特許第5,302,454号は、ある組成物を開示しており、その組成物は:第一に、10−60重量パーセントの、90より大きなアイソタクチックインデックスを有するホモポリマーポリプロピレン、またはエチレンもしくはCH2=CHRオレフィン[式中、Rは2−6個の炭素を有するアルキルラジカルである]またはそれらの組合せとの結晶性プロピレンコポリマーであって、85重量パーセントより多くのプロピレンを含有し、且つ、85より大きなアイソタクチックインデックスを有する結晶性プロピレンコポリマー;第二に、10−40重量パーセントの、エチレンおよびプロピレンを含有し、且つ、52.4パーセントから74.6パーセントまでのエチレン含有量を有する結晶性ポリマーフラクションであって、室温でキシレンに不溶性の結晶性ポリマーフラクション;および第三に、30−60パーセントの非晶質エチレン−プロピレンコポリマーであって、場合によっては小さな割合のジエンを含み、室温でキシレンに可溶性であり、40−70重量パーセントのエチレンを含有する非晶質エチレン−プロピレンコポリマー;を含む。この組成物は、700MPa未満の曲げ弾性率、60パーセント未満の75パーセント設定張力、6MPaより大きな引張り応力、ならびに−20℃および−40℃における600J/mより大きなノッチ(notched)IZOD弾性を有している。
【0049】
米国特許第5,368,927号は、ある組成物を開示しており、その組成物は:第一に、10−60重量パーセントの、80より大きなアイソタクチックインデックスを有するホモポリマーポリプロピレン、またはエチレン及び/又は5−10個の炭素原子を有するα−オレフィンとの結晶性プロピレンコポリマーであって、85重量パーセントより多くのプロピレンを含有し、且つ、80より大きなアイソタクチックインデックスを有する結晶性プロピレンコポリマー;第二に、3−25重量パーセントのエチレン−プロピレンコポリマーであって、室温でキシレンに不溶性であるエチレン−プロピレンコポリマー;および第三に、15−87パーセントの、エチレンとプロピレン及び/又は4−10個の炭素原子を有するα−オレフィン、ならびに場合によってジエンとのコポリマーであって、20−60パーセントのエチレンを含有し、周囲温度でキシレンに完全に溶解するコポリマー;を含む。
【0050】
本発明は、少なくとも2つの成分を含む組成物またはラミネーション接着剤を提供し、それら2つの成分は:少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であって、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であって、ASTM D−792により測定したときに、好適には0.85g/ccから0.90g/ccまでの間、より好適には0.855g/ccから0.89g/ccまでの間、最も好適には0.87g/ccから0.88g/ccまでの間の密度を有し、且つ、300cPから50,000cPまでの間、好適には1000cPから30,000cPまでの間、より好適には5000cPから25,000cPまでの間の粘度を有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B);である。粘度(一般的には、スピンドル31を用いて測定される)は、350°F(177℃)におけるASTM D3236により決定される。成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでを構成し;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでを構成するのが好適であり、前述のパーセンテージは、成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率、または本接着剤におけるすべての成分の重量をベースとした重量百分率である。
【0051】
別の態様においては、本発明は少なくとも2つの成分を含む組成物またはラミネーション接着剤を提供し、それら2つの成分は:少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であって、ASTM D1238の条件190℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトインデックスを有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であって、ASTM D−792により測定したときに、好適には0.85g/ccから0.90g/ccまでの間、より好適には0.855g/ccから0.89g/ccまでの間、最も好適には0.87g/ccから0.88g/ccまでの間の密度を有し、且つ、300cPから50,000cPまでの間、好適には1000cPから30,000cPまでの間、より好適には5000cPから25,000cPまでの間の粘度を有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B);である。好適には、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでを構成し;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまで、より好適には30パーセントを構成し、ここで、前述のパーセンテージは、成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率、または本接着剤におけるすべての成分の重量をベースとした重量百分率である。
【0052】
更に第三の態様においては、本発明は少なくとも2つの成分を含む組成物またはラミネーション接着剤を提供し、それら2つの成分は:少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であって、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であって、DSCを用いて測定したときに、好適には30パーセント未満、より好適には25パーセント未満、最も好適には20パーセント未満の結晶化度を有し、且つ、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより測定したときに、好適には25g/10分より大きいメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B);であり、ここで、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでを構成し;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでを構成し、前述のパーセンテージは、成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率、または本接着剤におけるすべての成分の重量をベースとした重量百分率である。
【0053】
更に別の態様においては、本発明は少なくとも2つの成分を含む組成物またはラミネーション接着剤であり、それら2つの成分は:少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であって、ASTM D1238の条件190℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトインデックスを有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であって、DSCを用いて測定したときに、好適には30パーセント未満、より好適には25パーセント未満、最も好適には20パーセント未満の結晶化度を有し、且つ、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより測定したときに、好適には25g/10分より大きいメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B);であり、ここで、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでを構成し;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでを構成し、前述のパーセンテージは、成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率、または本接着剤におけるすべての成分の重量をベースとした重量百分率である。
【0054】
また、本発明は、本明細書で開述されているような、本発明の組成物および本組成物から調製された積層構造物に関する付加的な特徴も提供する。
【0055】
「A」成分または「B」成分用に使用され得るポリマーは、これらに限定するものではないが、ブロックコポリマー、例えばポリウレタン、コポリエーテルエステル、ポリアミドポリエーテルブロックコポリマー、エチレン/ビニルアセタート(EVA)、一般式A−B−C、A−B−AまたはA−Bを有するブロックコポリマー、例えばコポリ(スチレン/エチレン−ブチレン)、スチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−スチレン、スチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−スチレン、(ポリスチレン/ポリ(エチレン−ブチレン)/ポリスチレンおよびポリ(スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン)などを含む。
【0056】
他の有用な樹脂は、一般式A−B−A’;またはA−B[式中、AおよびA’は、それぞれ、スチレン部分を含有する熱可塑性ポリマーのエンドブロック(endblock)、例えばポリ(ビニル−アレーン)などであり、Bはエラストマーポリマーのミッドブロック(midblock)、例えば共役ジエンまたは低級アルケンポリマーなどである]を有するブロックコポリマーを含む。A−B−A’タイプのブロックコポリマーは、AブロックおよびA’ブロックに対して異なるまたは同一の熱可塑性ブロックポリマーを有していてよく、本ブロックコポリマーは、直鎖状、分枝状および放射状のブロックコポリマーを含めるべく意図されている。この件に関して、放射状のブロックコポリマーは(A−B)m−Xで示されてよく、式中のXは多官能性の原子または分子であり、また、式中の各(A−B)mは、Aがエンドブロックであるような仕方でXから放射状に伸びている。放射状のブロックコポリマーの場合、Xは有機または無機の多官能性原子または分子であってよく、「m」はXに元来存在する官能基と同じ値を有する整数である。「m」の値は、限定されるものではないが、通常は少なくとも3であり、4または5であることが多い。本発明において、「ブロックコポリマー」という表現、特に「A−B−A」ブロックコポリマーおよび「A−B」ブロックコポリマーという表現は、上で検討されているような、ゴム状のブロックおよび熱可塑性ブロックを有し、ブロックの個数に何ら制限されることなく、押出しされ得るすべてのブロックコポリマーを含めるべく意図されている。本フィルムは、例えば(ポリスチレン/ポリ(エチレン−ブチレン)/ポリスチレン)ブロックコポリマーから形成されてよい。
【0057】
このようなコポリマーの商業的な例は、例えばKraton Polymers(Houston,Texas,USA)から入手可能なKRATON(登録商標)材料として知られているコポリマーを含む。KRATON(登録商標)ブロックコポリマーは幾つかの異なる調合物として入手可能であり、そのうちの数多くの調合物が米国特許第4,663,220号および第5,304,599号で特定されており、これをもって、これらの特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0058】
A−B−A−Bテトラブロックコポリマーからなるポリマーも本発明の実施において使用することができる。このようなポリマーは米国特許第5,332,613号(Taylorらに付与)で検討されている。このようなポリマーにおいて、「A」は熱可塑性ポリマーブロックであり、「B」は実質的にポリ(エチレン−プロピレン)モノマー単位にまで水素化されたイソプレンモノマー単位である。このようなテトラブロックコポリマーの一つの例はスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−スチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)またはSEPSEPブロックコポリマーであり、KRATON(登録商標)G−1657という商品名でKraton Polymers(Houston,Texas)から入手可能である。
【0059】
使用され得る他の例証的な材料は、ポリウレタン材料、例えばB.F.Goodrich & Co.からESTANE(登録商標)という商標の下で入手可能なポリウレタン材料、またはMorton Thiokol Corp.からMORTHANE(登録商標)という商標の下で入手可能なポリウレタン材料など、およびポリアミドポリエーテルブロックコポリマー、例えばAtochem Inc.Polymers Division(Glen Rock,N.J.)から入手可能なPEBAX(登録商標)など、ならびにポリエステル材料、例えばE.I.DuPont de Nemours & CompanyからHYTREL(登録商標)という商品名で入手可能なポリエステル材料などを含む。
【0060】
また、適切なポリマーは、エチレンと少なくとも一つのビニルモノマー、例えばビニルアセタート、不飽和脂肪族モノカルボン酸およびそのようなモノカルボン酸のエステルなどとのコポリマーも含む。これらのコポリマーは、例えば米国特許第4,803,117号に開示されている。
【0061】
「A」成分または「B」成分において使用するのに適したポリマーの他の例は、米国特許第5,064,802号;第5,132,380号;第5,703,187号;第6,034,021号;ならびに公開公報EP第0 468 651号(U.S.第5,321,106号)、EP第0 514 828号(U.S.第6,118,013号)、WO第93/19104号(U.S.第5,374,696号;U.S.第5,532,394号;U.S.第5,723,398号)およびWO第95/00526号(U.S.第5,470,993号;U.S.第5,556,928号;U.S.第5,624,878号)に開示されているように、拘束幾何配置(constrained geometry)触媒を用いて調製された「均一な」または「均一に分岐した」ポリマーを含む。すべてのこれらの特許、ならびに公開公報および対応するU.S.特許は、参照によりそれらの内容全体が本明細書に組み入れられる。そのようなポリマーを調製するために使用される一つの適切なクラスの触媒は、米国特許第5,044,438号;第5,057,475号;第5,096,867号;および第5,324,800号に開示されているメタロセン触媒であり、これらのすべての特許は、それらの内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。本発明において使用するのに適した他のポリマーが米国特許第5,272,236号;第5,278,272号;第6,054,544号;第6,335,410号および第6,723,810号に記載されており、これらのすべての特許は、それらの内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0062】
「A」成分または「B」成分は、プロピレンポリマーもしくはエチレンポリマーから成っていてよく、またはプロピレンポリマーもしくはエチレンポリマーを含んでいてよく、また、二軸方向に配向されたポリプロピレン(「BOPP」)も含んでいてよい。他のプロピレンポリマーは、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)から入手可能なVERSIFY(商標)ポリマー、およびExxonMobilから入手可能なVISTAMAXX(商標)ポリマーを含むことができる。エチレンコポリマーは、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)から入手可能なAFFINITY(商標)ポリマー、ExxonMobilから入手可能なEXACT(商標)ポリマー、およびMitsui Chemicalsから入手可能なTAFFNER(商標)ポリマーを含むことができる。本ラミネート接着剤は比較的厚くできるため、不透明性のうちの大部分をこの層に加えることができる。不透明性は、例えばTiO2またはCaCO3を使用することにより付加することができる。商業的に入手可能な不透明性増加剤は、例えばTechmer’s PM 18074 E TiO2濃縮物およびSCC 13602 TiO2濃縮物(Standridge Chemical Corp.)である。これらの濃縮物は、30パーセントの低密度ポリエチレン(LDPE)中における約70パーセントのE.I.DuPontのTiO2である。「A」成分または「B」成分において使用するための他のポリマーは、Clariantから入手可能なLICOCENE(商標)ポリマー;イーストマンケミカル(Eastman Chemicals)から入手可能なEPOLENE(商標)ポリマーおよびEASTFLEX(商標)ポリマー;Huntsmanから入手可能なREXTAC(商標)ポリマー;およびデグッサ社(Degussa)から入手可能なVESTOPLAST(商標)ポリマー;を含む。他の適切なポリマーは、米国特許第6,747,114号に記載されているようなプロピレンおよびα−オレフィンの半結晶性ポリマー、ならびに米国特許第5,081,322号に記載されているようなプロピレン/α−オレフィンワックスを含む。これらの両特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0063】
「A」成分または「B」成分において使用するためのポリマーの付加的な例は、シラン化合物を用いてフリーラジカル的に修飾されており、170℃において10mPa・sから50,000mPa・sまでの間の溶融粘度を有する、部分的に結晶性のポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーを含む。このようなポリマーおよびそれらの調製方法が米国特許出願第20050043455号に記載されており、この特許出願公報の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。他の適切なポリマー(ポリオレフィン)が米国特許第5,917,100号;第5,750,813号;第6,080,902号および第6,107,530号に記載されており;これらの各特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0064】
「A」成分または「B」成分において使用するのに適したポリマーの他の例は、米国特許第6,335,410号、第6,054,544号および第6,723,810号に記載されているような、均一な超低分子量のエチレンポリマーを含む。これらの各特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。他の適切なポリマーはJP第1863229号およびJP第2125641号に記載されているポリマーを含み、これらの両特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0065】
「A」成分または「B」成分において使用することができるポリマーのいっそう更なる例は、0パーセントから30パーセントまでの全結晶化度および350°Fで測定したときに500cPから50,000cPまでのブルックフィールド粘度を有する、低分子量のエチレンホモポリマーおよびコポリマー、ならびに他のα−オレフィンホモポリマーおよびコポリマーを含む。これらのポリマーおよびそれらの調製方法がWO第2004/035680号に記載されており、この特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。これらのポリマーシステムは、この参考文献に記載されているように、一つまたはそれ以上の充填剤、例えばカーボンブラック、アルミナ三水和物、カルシウムカルボナートおよび他の適切な充填剤などで充填することができる。好適なポリマーは、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンポリマー、エチレン/1−オクテンコポリマーおよびエチレン/プロピレンコポリマーを含む。
【0066】
「A」成分または「B」成分において使用するための他の有用なポリマーは、0.855g/ccから0.899g/ccまでの密度および350°Fにおいて少なくとも500cPのブルックフィールド粘度を有する、低粘度で均一に分岐した少なくとも一つのエチレンポリマーを含有する熱可塑性組成物を含む。この熱可塑性組成物は、その組成物の合計重量をベースとして少なくとも50wtパーセントの熱可塑性ポリマーを含んでいてよい。この熱可塑性ポリマーの適切な例は、これらに限定するものではないが、合成ゴム、直鎖状の低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンビニルアセタート(EVA)コポリマー、ポリブタジエンおよびエチレン−プロピレン−ジンを含む。これらの組成物およびそれらの調製方法がWO第2004/031292号に開示されており、この特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。成分「A」または「B」において使用するのに有用な付加的なポリマーは、アイソタクチックポリプロピレンおよびα−オレフィン/プロピレンコポリマーを含有するポリマーブレンドを含む。このような混合物およびそれらの調製方法の例がEP第1 223 191号(米国特許第6,525,157号および第6,635715号)に開示されており、この特許の内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0067】
「A」成分または「B」成分に有用なポリマーは、本接着剤層の最終的な特性および用途に依存して、あらゆる量で加えられてよい。これらのポリマーは、本接着剤組成物の総量をベースとして1重量パーセントから100重量パーセントまでの量で加えられてよい。上で検討されているように、すべての個々の量および1重量パーセントから100重量パーセントまでの間のすべてのサブレンジがここに含まれており、ここに開示されている。
【0068】
本発明に有用な接着剤組成物または結合層組成物の例は、これらに限定するものではないが、表1において以下でリストアップされている通りの以下の例も含む。各成分の量は、本接着剤または結合層の所望の特性および最終用途に依存して様々に変わるであろう。典型的には、分散相は、本結合層組成物の合計重量をベースとして5重量パーセントから45重量パーセントまで、または50重量パーセントまでの量で加えられてよい。上で検討されているように、すべての個々の量および5重量パーセントから50重量パーセントまでの間のすべてのサブレンジがここに開示されており、ここに含まれている。
表1:マトリックス/分散相の組合せ

【表1】

【0069】
α−オレフィンをベースとしたコポリマーおよびインターポリマーの場合、好適なコモノマーは、これらに限定するものではないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン、非共役ジエン、ポリエン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば1,4−ヘキサジエン)、オクタジエン、スチレン、ハロ置換スチレン、アルキル置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、ナフテン酸、シクロアルケン(例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、および前述のものの混合物を含む。典型的には、また、好適には、このコモノマーはC2−C20α−オレフィンである。上で記述されているように、すべての個々の値およびサブレンジがこのC2−C20の範囲に含まれており、ここに開示されている。
【0070】
フィルム組成物、例えば上で検討されているような三層のフィルム組成物(層1)、層2)および層3))においては、層3)は、製造ステップ中における巻き取り、巻戻しおよびフィルムの取り扱いを容易化するため、および本フィルム/不織布ラミネートをオムツのような最終製品の形態に変換するため、層1)よりも低い摩擦係数を有していることがしばしば有利である。これは、この層に大きな割合のポリプロピレンを含めることにより果たすことができる。使用され得る典型的なポリプロピレンは、Exxon Chemical CompanyのESCORENE(登録商標)ポリプロピレン3445、またはE5D47(以前、Shell Chemical Companyから販売されていた)である。
【0071】
様々な接着剤層は、処理性を改善するために存在する少量の添加剤、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)なども有していてよく、例えばNA 334の商品名でQuantum Chemical Companyから入手可能なLDPE、または1058 LDPEの商品名でRexeneから入手可能なLDPEなども有していてよい。多くの同様なLDPEポリマーを商業的に入手することができる。また、本接着剤は、一つもしくはそれ以上のワックス、一つもしくはそれ以上の粘着付与樹脂及び/又は一つもしくはそれ以上のオイルも含んでいてよい。
【0072】
熱、光または原料からの残留触媒などによって誘導される酸素との反応により引き起こされる本接着剤組成物の劣化を防ぐため、安定剤および酸化防止剤が加えられてよい。適用温度を下げることも劣化を低減させる上で役立つ。酸化防止剤は、Hawthorn,N.Y.に所在するチバ・ガイギー(Ciba-Geigy)から商業的に入手することができ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるIrganox(登録商標)565、1010および1076を含む。これらの酸化防止剤はフリーラジカル捕捉剤として作用する一次酸化防止剤であり、単独で使用されてもよいし、または他の酸化防止剤、例えばチバ・ガイギー(Ciba-Geigy)から入手可能なIrgafos(登録商標)168のようなホスファイト酸化防止剤などと組み合わせて使用されてもよい。ホスファイト酸化防止剤は二次酸化防止剤と考えられており、一般的には単独では使用されず、主に過酸化物分解剤として使用される。利用可能な他の酸化防止剤は、これらに限定するものではないが、Stamford,Conn.に所在するCytec Industriesから入手可能なCyanox(登録商標)LTDP、およびBaton Rouge,Lousianaに所在するAlbemarle Corp.から入手可能なEthanox(登録商標)1330を含む。多くの他の酸化防止剤が単独使用で利用することができ、または他のそのような酸化防止剤と組み合わせて利用することができる。使用する場合、酸化防止剤は、本接着剤調合物の合計重量をベースとして、典型的には0.5重量パーセント未満の量で存在し、好適には0.2重量パーセント未満の量で存在する。また、本接着剤調合物は一つまたはそれ以上の架橋剤も含んでいてよい。
【0073】
本接着剤は標準的な溶融混合手順により調製されてよい。詳細には、均一なエチレン/α−オレフィンポリマー、一つまたは複数の増粘剤および他の成分が、均一な混合物が得られるまで、不活性ガスブランケット下において溶融混合されてよい。本接着剤成分を劣化させることなく均一な混合物をもたらすあらゆる混合方法を申し分なく使用することができ、例えばスターラー、場合によっては加熱機構または押出機を備えた容器などを使用することができる。これらの成分の混合は、混合されるべき成分の性状に依存して、室温で行われてよく、または室温以上もしくは室温以下の温度で行われてもよい。また、これらの成分は、溶融混合される前に、乾式混合されてもよい;例えば、押出機のフィーダーに供給する前に、これらの成分が乾式混合されてよい。
【0074】
本発明の不織布成分は好適にはスパンボンド材料であり、好適には0.3osyから1osyまで(11gsmから34gsmまで)の間である。このスパンボンド成分を製造するために使用され得るポリマーは、熱可塑性ポリマー、例えばポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルなど、好適にはポリオレフィン、更に一層好適には50重量パーセントまでの量で異相ポリマーを含む混合物である。より特定的には、本不織布は、Exxon Chemical CompanyのESCORENE(登録商標)ポリプロピレン3445、またはE5D47(以前、Shell Chemical Companyから販売されていた)のようなポリプロピレンと40重量パーセントのCATALLOY(登録商標)ポリマーKS−057Pのような異相ポリマーとの混合物から成っていてよい。更に一層特定的には、本不織布は、高結晶性ポリプロピレンと20重量パーセントのCATALLOY(登録商標)ポリマーKS−057Pとの混合物から成っていてよい。
【0075】
本不織布成分およびフィルム成分は、好適にはそのフィルムをマシン方向に約60パーセントから65パーセント伸ばした後、熱ポイント接合を用いて共に結合される。この延伸および接合は、米国特許出願第07/997,800号および欧州特許出願EP第0604731 A1号(出願番号第93117426.2号に基づく出願)により果たされてよい。簡単に説明すると、この手順は、拡大された長さが元の長さよりも少なくとも5パーセント大きくなるように、第一の伸長性の層を元の長さから拡大された長さへ伸ばすことを要件として含む。
【0076】
延伸の程度に依存して、この第一の伸長性の層を恒久的に変形させることができる。次に、第一の層を拡大された長さにした状態のまま、第一の層と並べて第二の材料の層が置かれ、この後、これらの二つの層を複数の間隔をあけた結合部位において相互に付着させることにより、複数の結合された領域と結合されていない領域を含むラミネートが形成される。一旦、ラミネートが形成されると、第一の層は第三の長さへ緩むことが許され、この第三の長さは、通常、第一層の第一の長さよりも長い。第一層を拡大した状態のままで第一層に第二層を付着させた結果として、一旦、ラミネートが収縮すると、第一の層は寄り集まってしわが寄り、これにより、同じ二つの材料からなる単純な非延伸ラミネートと比べてずっと嵩高い材料が形成される。
【0077】
一般的に、延伸は、時間的に後側のローラーを時間的に前側のローラーの速度よりも高い速度で走らせ、結果としてフィルムの延伸および薄膜化がもたらされるような仕方で、フィルムを数多くのローラーの回りに巻き取ることにより果たされる。このような延伸は、フィルムの厚みを三分の一またはそれ以上に低減させ得る。例えば、本発明によるフィルムは、延伸する前の厚みが0.6ミルで延伸後の厚みが0.4ミルになるように製造されてよい。
【0078】
更に、自己的に結合する増粘された材料を提供するため、上で開述されている押出し可能な組成物に適合性を有する粘着付与樹脂が加えられてよい。本ポリマーと適合性を有し、高い処理(例えば押出し)温度に耐えることができるあらゆる粘着付与樹脂を使用することができる。本ポリマーが処理助剤、例えばポリオレフィンまたは増量用(extending)オイルなどと混合される場合、上述の粘着付与樹脂は、これらの処理助剤とも適合性を有しているべきである。一般的に、水素化された炭化水素樹脂は、比較的良好な温度安定性を有しているため、好適な粘着付与樹脂である。水素化された炭化水素樹脂の例としてREGALREZ(商標)およびARKON(商標)Pシリーズの粘着付与剤を挙げることができる。REGALREZ(商標)炭化水素樹脂はHercules Incorporatedから入手することができる。ARKON(商標)Pシリーズの樹脂は荒川化学工業株式会社(Arakawa Chemical(U.S.A.)Incorporated)から入手することができる。例えば米国特許第4,787,699号(参照して本明細書に組み込まれる)に開示されているような粘着付与樹脂が本発明に適している。本組成物の他の成分と適合し、且つ、高い処理温度に耐え得る他の粘着付与樹脂も使用することができる。
【0079】
本発明のラミネートの不織布成分は、当技術分野において広く知られているメルトブローイングプロセスまたはスパンボンディングプロセスにより製造されてよい。これらのプロセスは、一般的に、押出機を使用して、溶融された熱可塑性ポリマーをスピナレットへ供給し、繊維を得るべく、スピナレットで前述のポリマーが繊維化されるが、それらの繊維はステープル長さ(staple length)またはそれ以上の長さであってよい。この後、これらの繊維は、通常は空気圧により引き出され、不織布を形成すべく、小孔を有する移動式のマットまたはベルト上に堆積される。このスパンボンドプロセスおよびメルトブローンプロセスで製造されたこれらの繊維は、上で定義されている通りの超極細繊維である。
【0080】
ここで引用されているすべての特許および出版物は、参照によりそれらの内容全体が本明細書に組み入れられる。別なやり方で述べられていない限り、すべてのパーセンテージは重量で表されている。以下の実施例は、本発明を例証することを目的として与えられたものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0081】
本発明によるラミネートの利点を例証するため、以下の実施例および対照を展開した。すべてのラミネートは240°F(116℃)のパターンロールおよび200°F(93℃)のアンビルロールを用いて熱的に結合された。
【0082】
機器説明:
(3)2.5” Egan Davis Standard MAC Extruders
(2)2” Egan Davis Standard MAC Extruders
DSB 11 Polyethylene Barrier Screws 30:1 L/D
Cloeren5層デュアルプランフィードブロック
Cloeren 36” Epoch(商標) III Autogauge 5.1 ダイ
(5)重量コントロール用のBarron計量ホッパー(weigh hoppers)
Electrostatic & Air Jetエッジピンナーエアーナイフおよびバキュームボックス
40” O.D.×40”長さの一次チルロール(30−40RMS)
20” O.D.×40”長さの二次チルロール(2−4RMS)
NDC Model 300 Betaトランスミッションゲージセンサー
振動フレーム
二位置単タレット水平巻取り機(50−1000fpm)
【0083】
フィルムは、米国特許第4,076,698号の教示により製作された「チーグラー・ナッタエチレン/1−オクテンコポリマー」(サンプル1)およびホモポリマーポリプロピレンポリマー(サンプル2)を用いて製造された。これらのフィルムを押出しコーターで試験した。機器の設計上の理由から、5台すべての押出機をずっとオンライン状態で使用した。フィルム1は、サンプル1で製作された単層の2ミル(0.051mm)のフィルムである。フィルム2は、サンプル2で製作された単層の2ミル(0.051mm)のフィルムである。押出し条件が以下の表2に示されている。
【0084】
本実施例で使用されたすべてのポリマーおよび樹脂は、一つまたはそれ以上の安定剤、例えば共にチバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から供給されている酸化防止剤Irganox(商標)1010及び/又はIrgafos(商標)168で処理された。典型的には、ポリマーは、押出しまたは他の溶融プロセスの前に、一つまたはそれ以上の安定剤で処理される。
【0085】
以下で検討されている米国特許第5,272,236号、第5,278,272号および第5,665,800号、ならびに上で検討されている米国特許第4,076,698号は、参照によりそれらの内容全体が本明細書に組み入れられる。
表2:押出機の条件

【表2】

【0086】
(実施例1−それぞれが結合層を含有するフィルム組成物の調製および試験)
キャストフィルムラインを用い、一つはポリエチレンをベースとし、一つはポリプロピレンをベースとした二つのフィルムを調製した。これらのフィルムは以下の通りであった:a)4g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、条件190℃/2.16kg)および0.94g/ccの密度(ASTM D 792)を有するチーグラー・ナッタ産生エチレン/1−オクテンポリマー;ならびにb)8.8g/10分のメルトフローレート(ASTM D 1238、条件230℃/2.16kg)を有するホモポリマーポリプロピレン。これらのフィルムを押出しコーターで試験した。
【0087】
フィルム1は、上で検討されている通りのエチレン/1−オクテンコポリマー(チーグラー・ナッタ産生またはZN−EO)の単層の2ミルフィルム(0.051mm)である。
【0088】
フィルム2は、上で検討されている通りのポリプロピレンホモポリマー(PP)の単層の2ミル(0.051mm)のフィルムである。
【0089】
サンプル1は、上で検討されている通りのエチレン/1−オクテンコポリマー(ZN−EO)である。
【0090】
サンプル2は、上で検討されている通りのポリプロピレンホモポリマーである。
【0091】
サンプル3は、米国特許第5,272,236号、第5,278,272号および第5,665,800号の教示により製作され、500g/10分の見掛けメルトインデックス、350°F(177℃)における17,000cPの溶融粘度、0.874g/ccの密度および2から3までのMw/Mnを有するエチレン/1−オクテンコポリマーである。
【0092】
サンプル4は、米国特許第5,272,236号、第5,278,272号および第5,665,800号の教示により製作され、1000g/10分の見掛けメルトインデックス、350°F(177℃)における8,200cPの溶融粘度、0.87g/ccの密度および2から3までのMw/Mnを有するエチレン/1−オクテンコポリマーである。
【0093】
結合層混合物は以下の通りに調合された。
混合物1:10wtパーセントのサンプル3および90wtパーセントのサンプル2(PP)。
混合物2:25wtパーセントのサンプル3および75wtパーセントのサンプル2(PP)。
混合物3:10wtパーセントのサンプル4および90wtパーセントのサンプル1(ZN−EO)。
混合物4:25wtパーセントのサンプル4および75wtパーセントのサンプル1(ZN−EO)。
【0094】
この後、これらの混合物を結合層として作用させるべくPE(フィルム1)フィルムとPP(フィルム2)フィルムとの間に押出しした。
【0095】
これらの積層実験は、150 HP Eurothermデジタル駆動システムを伴う3−1/2” Black Clawson Model 435、30:1、L/D押出機で実施された。ダイはCloeren 30” EBR III内部デックル(deckle)(Edge Bead低減)ダイである。これらをBlack Clawson押出しコーター(BC#L−1946−00)に取り付けた。プロピレンをベースとしたマトリックスを伴う結合層を含有したフィルム組成物に対する代表的なプロセス条件は以下の通りである:フィルムの厚さ、1ミル(0.0254mm);ラインスピード、100fpm(30.5m/分);HP 10−15;amps 64−133;溶融温度、499°F(259℃);背圧、45−1032psi(310−7117kPa)。これらのラミネーション処理パラメーターは、結合層における分散相の組成の変化に合わせて調節することができる。これらのラミネーション処理パラメーターは、問題としているフィルムの組成に依存して変動するであろう。
【0096】
ラミネーションプロセスの間、各フィルムの構造的完全性を維持しながらフィルム界面間における良好な密着性を達成するためには、それぞれのフィルム表面における適切な表面温度を維持することが極めて重要であった。各フィルムの界面における分子の絡まり合いを達成するためには、押出し物の温度が各フィルムの溶融温度付近または溶融温度以上であることが重要である。いずれかのフィルムの温度よりもずっと高い温度は、ひずみ、しわおよび他の表面欠陥の原因となるであろう。表3は、リストアップされたフィルム組成物に対するプロセス条件を示している。
表3:種々のフィルム組成物に対するプロセス条件

【表3】

【0097】
押出し物の溶融温度は、適切な溶融強度を持ってダイから流し出すのに充分な程度に樹脂を溶融するが、溶融強度がなく、樹脂が過度に急速に流れ出すような程度にまで樹脂の粘度を低減させることがないように選んだ。この状態を達成するため、以下の温度プロフィールを用いた:ゾーン1−300°F(149℃)、ゾーン2−320°F(160℃)、ゾーン3、4、5、6、アダプターパイプおよびダイ−342°F(172℃)。ラインスピードおよび押出機のrpmは、1ミル(0.025mm)の結合層を達成すべく調節された。チルウォーターの温度は、押出し物がニップを通過するときに押出し物を適切にクエンチングすることができるように調節された。6”(152mm)のエアーギャップが、基体への押出し物の適切な付着を達成するために使用される標準的なエアーギャップである。
【0098】
表4に示されている通りの以下のフィルム組成物から1インチ幅(25.4mm)のストリップを切断し、剥離引裂き強度(結合層によって接合された外側の層を引き離すのに必要な引張り力の量)について試験した。三つの異なるシートから合計で10個のサンプルを試験した結果、以下に報じられている平均値が本結合層の接着強度を表している。これらの結果は、結合層が10wtパーセントのサンプル3を含んでいた場合、密着性(平均剥離値)が著しく(25パーセント以上)改善されたことを示している。結合層に25wtパーセントのサンプル3を使用したときには、更なる密着性の増大(35パーセント以上)が観測されている。
表4:三層化されたフィルム組成物の平均剥離値(10個のサンプルを試験した)

【表4】

【0099】
(実施例2−積層不織布の調製および試験)
上で検討されている通りのサンプル3、上で検討されている通りのサンプル4およびサンプル5(米国特許第5,272,236号、第5,278,272号および第5,665,800号の教示により製作され、5g/10分のメルトインデックス、0.87g/ccの密度および2から3までのMw/Mnを有するエチレン/1−オクテンコポリマー)をそれぞれ個別的に用いて二つのポリプロピレン(PP)不織布基体(またはウェブ)を結合した。押出機は、上の実施例1で使用したのと同一の押出機であった。サンプル4は180°F(82℃)で押出しされ、一方、サンプル3および5は、それぞれ、215°F(102℃)および340°F(171℃)で押出しされた。
【0100】
不織布ウェブが上で特定されているポリマーを用いて積層された後、1インチ(25.4mm)幅のストリップを切断し、2インチ/分(50.8mm/分)の試験速度で剥離引裂き強度について試験した。結果が以下の表5にまとめられている。
表5:不織布に対する平均剥離値(3つのサンプルを試験した)

【表5】

【0101】
これらの積層された不織布は、高い剥離値を有していたことにより、パーソナルケア製品のテクノロジーにおける重大な進展を提供しており、より一層の耐久性を有し、且つ、消費者にとって審美的に満足のいく製品をもたらすであろう。
【0102】
(実施例3−それぞれが結合層を含有するフィルム組成物の透過型電子顕微鏡検査(TEM))
以下の表6に示されている通りの3種類のフィルム組成物を透過型電子顕微鏡検査により調べた(PP=ポリプロピレンおよびPE=ポリエチレン)。
【0103】
サンプルは、切片をコアで採取することができるように、射出成形プラークの中央をトリミングすることにより、TEM用に調製された。ブロック面を凍結研磨した後、周囲温度においてRuO4蒸気で3時間染色した。Leica Ultracut Tミクロトームを使用し、周囲温度においてダイヤモンドナイフを用い、厚みが約100nmの切片を採取した。これらの切片を400メッシュのバージン銅グリッドに載せた。100kVの加速電圧で運転されるJEOL JEM−1230透過型電子顕微鏡での明視野TEMイメージングを使用した。画像は、Gatan 791および794デジタルカメラを用いて記録された。
表6.TEMにより調べたフィルム組成物

【表6】

【0104】
TEM顕微鏡写真が図1−6に示されている。これらの顕微鏡写真から、二つの結合層(フィルム組成物Bおよびフィルム組成物C)において、分散相(エチレン/1−オクテン成分またはゴム層)の選択分離は観測されなかった。更に、フィルム組成物Bおよびフィルム組成物Cにおいて、「結合層−PE層」界面への分散相の選択移動がないことも実証された。電子ビームに晒されたときに結合層−PE層界面において分離が生じたことが認められる。結合層の内部における分散相は、PPおよびPE層の界面における分散相の場合よりももっと細長い/配向されたドメインに存在しているように思われた。フィルム組成物Bおよびフィルム組成物Cのどちらの場合にも、分散相の良好な分散が明らかである。これらの分散は、離散的な微粒子状ドメインおよび縞状ドメインの形態を取っている。図3−6から分かるように、これらのドメインの平均幅は1ミクロン未満である。
【0105】
また、上述のフィルム組成物は走査電子顕微鏡検査(SEM)によっても分析された。三つすべてのサンプルにおいて、結合層−PE層で空洞が観測された;しかし、フィルム組成物Cの場合には、結合層−PE層で観測された空洞が比較的少なかった。フィルム組成物Aは、他の二つのサンプルと比べたときに、結合層とPE層との間に最も多い個数の空洞を含んでいた。BおよびCのフィルム組成物の結合層では裂けが観測された。これらの裂けは、サンプルの調製中における結合層ブレンド材料からのプルアウト(pull out)に帰するものであった。また、上述のフィルムは、透過光顕微鏡検査(LM)によっても分析された。三つすべてのフィルムで空洞が観測された。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、フィルム組成物Aに対するフィルム断面の透過型電子顕微鏡写真を表しており、結合層−PP界面を示している。
【図2】図2は、フィルム組成物Aに対するフィルム断面の透過型電子顕微鏡写真を表しており、結合層−PE界面を示している。
【図3】図3は、フィルム組成物Bに対するフィルム断面の透過型電子顕微鏡写真を表しており、結合層を示している。
【図4】図4は、フィルム組成物Bに対するフィルム断面の透過型電子顕微鏡写真を表しており、結合層−PP界面および結合層−PE界面を示している。
【図5】図5は、フィルム組成物Cに対するフィルム断面の透過型電子顕微鏡写真を表しており、PE−結合層−PP界面および結合層を示している。
【図6】図6は、フィルム組成物Cに対するフィルム断面の透過型電子顕微鏡写真を表しており、結合層−PP界面および結合層−PE界面を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分を含むラミネーション接着剤であって、前記2つの成分が:
少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であり、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより測定したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および
少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であり、好適には0.85g/ccから0.90g/ccまでの間、より好適には0.855g/ccから0.89g/ccまでの間、最も好適には0.87g/ccから0.88g/ccまでの間の密度を有し、且つ、350°F(177℃)におけるASTM D3236により測定したときに、300cPから50,000cPまでの間、好適には1000cPから30,000cPまでの間、より好適には5000cPから25,000cPまでの間の粘度を有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B);
であり、
ここで、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでであり;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでであって、上記パーセンテージが当該ラミネーション接着剤の総合重量をベースとした重量百分率である;
ラミネーション接着剤。
【請求項2】
少なくとも2つの成分を含むラミネーション接着剤であって、前記2つの成分が:
少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であり、ASTM D1238の条件190℃/2.16kgにより測定したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトインデックスを有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および
少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であり、ASTM D−792により測定したときに、好適には0.85g/ccから0.90g/ccまでの間、より好適には0.855g/ccから0.89g/ccまでの間、最も好適には0.87g/ccから0.88g/ccまでの間の密度を有し、且つ、粘度を350°F(177℃)におけるASTM D 3236により測定したときに、300cPから50,000cPまでの間、好適には1000cPから30,000cPまでの間、より好適には5000cPから25,000cPまでの間の粘度を有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分B);
であり、
ここで、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでであり;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまで、更に一層好適には30パーセントであり、上記パーセンテージが成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率である;
ラミネーション接着剤。
【請求項3】
少なくとも2つの成分を含むラミネーション接着剤であって、前記2つの成分が:
少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であり、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および
少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であり、DSCを用いて測定したときに、好適には30パーセント未満、より好適には25パーセント未満、最も好適には20パーセント未満の結晶化度を有し、且つ、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより測定したときに、好適には25g/10分より大きいメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B);
であり、
ここで、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでであり;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでであって、上記パーセンテージが成分A)および成分B)の総合重量をベースとした重量百分率である;
ラミネーション接着剤。
【請求項4】
少なくとも2つの成分を含むラミネーション接着剤であって、前記2つの成分が:
少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A)であり、ASTM D1238の条件190℃/2.16kgにより試験したときに、0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトインデックスを有する少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む成分A);および
少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B)であり、DSCを用いて測定したときに、好適には30パーセント未満、より好適には25パーセント未満、最も好適には20パーセント未満の結晶化度を有し、且つ、ASTM D1238の条件230℃/2.16kgにより測定したときに、好適には25g/10分より大きいメルトフローレートを有する少なくとも一つのプロピレンをベースとしたポリマーを含む成分B);
であり、
ここで、成分A)は60パーセントから95パーセントまで、好適には70パーセントから90パーセントまで、より好適には70パーセントから80パーセントまでであり;成分B)は40パーセントから5パーセントまで、好適には30パーセントから10パーセントまで、より好適には30パーセントから20パーセントまでであって、上記パーセンテージが成分A)および成分B)の総合重量をベースとしたものである;
ラミネーション接着剤。
【請求項5】
上記成分B)が、エチレン/C3からC20までのα−オレフィンインターポリマー、好適にはC3からC12までのα−オレフィンインターポリマー、より好適にはC8α−オレフィンコポリマーからなるグループから選択される少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含む、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項6】
上記成分B)がエチレン/C3からC8までのα−オレフィンインターポリマーからなるグループから選択される少なくとも一つのエチレンをベースとしたポリマーを含み、ここで、前記α−オレフィンがプロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテンおよび1−オクテンからなるグループから選択される、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項7】
成分A)の上記少なくとも一つのプロピレンベースのオレフィンポリマーがポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンインターポリマーからなるグループから選択され、ここで、該エチレンの含有量が前記インターポリマーのうちの20重量パーセントを超えない割合を構成し、好適には<15重量パーセント、より好適には<10重量パーセント、最も好適には<5重量パーセントの割合を構成する、請求項1または3に記載の接着剤。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかに記載の組成を有するラミネーション接着剤を含むラミネート構造物であって、少なくとも三つの熱可塑性層を含み、ここで前記層が相互に共押出し、熱接合、融着及び/又は圧着されている、ラミネート構造物。
【請求項9】
層1)、層2)および層3)を含むラミネート構造物であって:
層1)は、(ASTM D 1238、条件230℃/2.16kgにより測定したときに)0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する少なくとも一つの熱可塑性のプロピレンをベースとしたポリマーを含み;
層3)は少なくとも一つの熱可塑性のオレフィンをベースとしたポリマーを含み;
層2)は、層1)および層3)の間に配置され、ある接合様式において層1)と層3)との両方に緊密に接触しており、且つ、請求項1から4のいずれかに記載の組成を有するラミネーション接着剤を含んでおり;
ここで、当該ラミネート構造物が、ある接合様式において相互に緊密に接触した状態で配置された単に層1)および層3)のみから成る同等なラミネートの個別的な剥離強度と比べたときに、高められた剥離強度を有している;
ラミネート構造物。
【請求項10】
層1)および層3)の両方が、(ASTM D 1238、条件230℃/2.16kgにより測定したときに)0.5g/10分から100g/10分までの間のメルトフローレートを有する熱可塑性のプロピレンをベースとしたポリマーを含む、請求項9に記載のラミネート。
【請求項11】
層1)および層3)の両方がフィルム層である、請求項9に記載のラミネート。
【請求項12】
層2)の成分A)がプロピレンをベースとしたポリマーであって、該ポリマーが、層1)の上記少なくとも一つの熱可塑性のプロピレンをベースとしたポリマーの粘度およびメルトフローレートと同じ粘度およびメルトフローレートを有するプロピレンホモポリマーであり;層2)の成分B)がエチレンをベースとしたポリマーであって、該ポリマーが、0.87g/ccから0.88g/ccまでの間の密度を有し、且つ、350°F(177℃)におけるASTM D3236により測定したときに、5,000cPから20,000cPまでの間の粘度を有するC8α−オレフィンコポリマーである、請求項9に記載のラミネート。
【請求項13】
層1)または層3)のうちの一方の層が熱可塑性フィルム層であって、もう一方の層が不可欠な要素として不織布ウェブを含む層であり、前記不織布ウェブが、スパンボンデッド、カーデッド熱接合ステープル繊維、エアーレイド、メルトブローン不織布熱可塑性または前述のものの組合せから選択される、請求項9に記載のラミネート。
【請求項14】
層1)または層3)のうちの一方の層が熱可塑性フィルム層であって、もう一方の層が不可欠な要素として熱可塑性フォームを含む層である、請求項9に記載のラミネート。
【請求項15】
当該ラミネートが、単に層1)および層3)のみから成る同等なラミネートの個別的な剥離強度と比べたときに、少なくとも25パーセント、好適には50パーセント、より好適には100パーセント高められた層1)と層3)との間の180°方向の剥離強度を有している、請求項12、13または14に記載のラミネート。
【請求項16】
三つの層、層1)、層2)および層3)を含むラミネート構造物であって、ここで、層2)が請求項1から4のいずれかに記載の組成を有するラミネーション接着剤を含んでおり、当該ラミネートが、単に層1)および層3)のみから成る同等なラミネートの個別的な剥離強度と比べたときに、少なくとも25パーセント、好適には50パーセント、より好適には100パーセント高められた層1)と層3)との間の180°方向の剥離強度を有している、ラミネート構造物。
【請求項17】
請求項1から4のいずれかに記載の接着剤組成物を含むフィルム/不織布ラミネート。
【請求項18】
オムツ、トレーニングパンツ、吸水性アンダーパンツ、成人用尿漏れ防止用品および女性衛生用品からなるグループから選択されるパーソナルケア製品であって、前記パーソナルケア製品が請求項17に記載のラミネートを含んでいる、パーソナルケア製品。
【請求項19】
層2)がポリオレフィンマトリックス内における分散相を含む結合層であって、ここで、前記分散相は離散した微粒子及び/又は縞の形態であってよく、且つ、該分散相の離散的な微粒子及び/又は縞は0.05ミクロン(μm)から1ミクロンまでの間の平均幅を有しており;
ここで、上記分散相が成分B)を含み、該マトリックスが成分A)を含む;
請求項9に記載のラミネート構造物。
【請求項20】
当該ラミネートが層2)を層1)と層3)との間に押出しすることにより形成される、請求項9に記載のラミネート構造物。
【請求項21】
上記層2)の押出し中、該押出し物の温度が層1)および層3)の溶融温度付近または溶融温度以上である、請求項20に記載のラミネート構造物。
【請求項22】
上記層2)の押出し中、該押出し物の温度が340°F(171℃)から370°F(188℃)までの間であり、該押出機が15rpmから30rpmまでの速度で運転される、請求項21に記載のラミネート構造物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−504430(P2008−504430A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519358(P2007−519358)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/022923
【国際公開番号】WO2006/004750
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】