説明

マークされたプリン誘導体の製造方法、該プリン誘導体、およびその使用

【課題】本発明は、2−ニトロプリン誘導体のフッ素化工程を含む、放射性同位体18Fでマークされた2−フルオロプリンの製造方法に関する。本発明は、本発明またはそのさまなざまな使用による方法により得られる、放射性同位体18Fでマークされた2−フルオロプリン誘導体を含む。
【解決手段】本発明の18F放射性同位体でマークされた2−フルオロプリン誘導体の製造方法は、任意に保護された2−ニトロプリン誘導体を、[18F]でマークされたフッ化物イオン源と反応させることを含むフッ素化工程と、任意に続く、脱保護工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、マークされた標識化合物、特に、マークされたプリン誘導体に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、フルオロ−18(fluor−18)によりプリン誘導体をマークする方法に関する。本発明はまた、フルオロ−18でマークされラベルされた新規なプリン誘導体、このようにして得られる反応中間体、より詳細には、フルオロ−18により、芳香環の2位においてマークされたプリン誘導体に関する。
【0003】
本発明はまた、ポジトロン断層法(PET)のイメージング、研究、治療効果評価または診断における、フルオロ−18でマークされたこれらの新規なプリン誘導体および反応中間体の種々の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
ポジトロン断層法(以下、PETという)は、薬物の分布および生化学標的系に対する相互作用のインビボ評価のための非侵襲的撮影方法であり、人体の生理学的または生理病理学的機能の診査に好適である。
【0005】
この方法は、急速に、腫瘍学、神経生物学、心臓学において必須となってきている。現在、PETの分野における挑戦は、多数の用途で使用され得るPETプローブを、手頃なコストで、創出し、提供することである。この目的は、ポジトロン放射体でラベルされた化合物を発案して、能率的に生産することにより達成される。
【0006】
潜在的なPETプローブのうち、プリン誘導体、とくにヌクレオシドとヌクレオチドを含むプリン誘導体は、高まる興味の対象であり、これらの誘導体のうちいくつかは様々な領域で生物学的活性を有することが示されている。さらに、ここ数年、広がる取り組みが、アデノシン受容体のリガンドの詳細な検討に関してなされ、プリンまたはアデノシンエンティティに基づく、有望な試薬の開発に至っている(非特許文献1)。
【0007】
プリンまたはピリミジン基を有するいくつかの化合物は、PETイメージングにおけるマーカとして、すでに開発されていて、用いられる方法の多くは、側鎖または糖を放射性同位元素でマークすることを含む。環と同位元素との共有結合を有する放射線マークされた(radio−marked)プリンおよびアデノシンは、すでに文献に記載されていて、それらは、特に、放射性同位体元素としてH、H、15N、13Cおよび11C、あるいは18Fを用いることにより得られている。
【0008】
特に生物学的データに関して、炭素11Cラベリングが主に研究され、特許されている(特許文献1)。[11C]−アデノシンモノリン酸塩は、34分かけて、[11C]−ホルムアルデヒドから、2.4%のホルムアルデヒド収率で得られる。しかしながら、この方法はいくつかの不利益(適当な合成時間にもかかわらず低い収率、および、その適用を短時間で実行される検査に制限する炭素11Cの短い半減期(t1/2=20.4分))を示す。本出願のもうひとつの目的は、対応するジアゾニウム塩でのフルオロ−18の求核置換反応によりなされる2−[18F]−フルオロアデノシンの合成に関する。従来の合成方法(非特許文献2)からアイデアを得た上記方法は、2−[18F]−フルオロアデノシンの合成に適用できないと思われ、本出願の発明者はこの方法が実行不可能であることを、最近、報告した(非特許文献3)。
【0009】
【化1】

略図1:非特許文献3で言及された、特許文献1に記載の方法の実行不可能性(Rは、水素または保護基を示す)。
【0010】
ブリストル−マイヤーズスクイブカンパニー名でなされた特許文献2は、対応する2−N,N,N−(トリメチルアンモニウム)アデノシントリフラートからの2−[18F]−フルオロアデノシン(2−[18F]FAD)の合成に関する。2−N,N,N−(トリメチルアンモニウム)アデノシントリフラートは、単離されず、観察さえされていないことは周知である。現在、その出発物質は、合成が不成功であった仮定の化合物である。対応するアンモニウムは、トリメチルアミンの使用によっては得られなかったことが証明されている(非特許文献4)。アルキル化は、常に、プリンコア(purine core)の7位または9位の位置で起こり、2位では起こらないので、第2級アミンのアルキル化によって、対応するアンモニウムを生成する試みもまた失敗した(非特許文献5)。
【0011】
【化2】


略図2:2−N,N,N−(トリアルキルアンモニウム)−アデノシン誘導体の効果のない合成。略図2で使用される記号の意味は以下のとおりである:R=Hまたは保護基;LG=脱離基、X=I、OTf、およびAlk=アルキル基。
【0012】
可能性のある放射性同位元素標識としての2−[18F]−フルオロアデノシン(2−[18F]FAD)の合成は、対応する2−ヨードアデノシンまたは対応する2−フルオロアデノシン(同位体置換)からなされる。いずれの場合にも、保護されていないヌクレオシドから出発すると、その反応は、低収率(ヨウ化またはフッ化前駆体から、それぞれ0.5%および5%)でしかマークされた化合物を生成せず、また極少量の特定の放射能しか生じない(非特許文献6)。
【0013】
富士フイルムファーマおよび第一三共の名でなされた特許文献3、ニトロ化イミダゾピリミジンを有する化合物から、フルオロ−18でマークされたイミダゾピリミジンを坦持する化合物を生成することを提案する。一方、反応スキームは、完全に理論上のものであり、実験的な正当化がなされていない。他方、この文献に開示されるようなイミダゾピリミジン基上にマーキングすることの実現可能性は、全ての可能性、および、プリンのような他の異なる複素環のマーキング条件を予想していない。
【0014】
フルオロ−18でマークされたフッ化銀からのフルオロ−18でマークされた2−フルオロ−9−ベンジルプリンの生成も、イリエらによって開示されている(非特許文献7)。開示された方法は、過度のフッ化銀の使用を必要とし、わずか5.4〜6.7%の収率である。非常に効率の悪いこの方法は、放射性医薬品の開発には不適当である。
【0015】
対応するトリメチルアンモニウム塩の求核置換による[18F]フッ化物イオンを使用する6位におけるマーキングも、開示されている。2位よりはむしろ、プリンの6位がそのアンモニウムにより機能化され得る(非特許文献8)。
【0016】
PETイメージングのための強力な試薬に対する高まる関心にもにもかかわらず、[18F]フッ素を用いて、芳香環の2位においてプリン核を含む分子をマークする効率的な方法は開示されていない。
【0017】
さらに、アデノシン(およびアデニン系誘導体)の2位におけるハロゲン原子の導入が、主にアデノシンデアミターゼの酵素活性の阻害により、分子の生物学的半減期を増し、また、その結果、その効果が増すことは知られている。したがって、新しいPET試薬の必要性と、ガンの診断または薬および処理効率の評価のためのマークされたヌクレオシドの可能性と、アデノシン受容体に対する高まる関心とを考慮すると、プリンを(特に芳香環の2位において)放射性同位元素でラベルするためのより効果的な方法の必要性は明らかである。したがって、2−[18F]フルオロ−プリン誘導体の効率的な放射合成は、PETイメージングの分野において、重要な進歩である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際出願 WO03/099342
【特許文献2】国際出願 WO2005/0044312
【特許文献3】ヨーロッパ特許出願EP 1 956 013
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Jacobson K.A. and Gao Z. −G. Nat. Rev. Drug Discovery 2006,5,247)
【非特許文献2】Robins M.J. and Uznanski B.,1981, Can. J. Chem. 59,2608
【非特許文献3】Horti et al., 2006, J. Labelled Compd. Radiopharm., 49, 811
【非特許文献4】Robins M.J. and Uznanski B., 1981, Can. J. Chem. 59, 2601
【非特許文献5】Hocek et al., 2005, Eur. J. Org. Chem. 14, 3026
【非特許文献6】Horti et al., 2006, J. Labelled Compd. Radiopharm. 49, 811
【非特許文献7】T. Irie, K. Fukushi, O. Isnoue, T. Yamasaki, T. Ido, T. Nozaki Int. J. Appl. Radiat. Isot., 33, 1982, 633−636
【非特許文献8】Irie, et al., 1982, Int. J. Appl. Radiat. Isot. 33(6), 445
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、[18F]フッ素原子を用いて、プリンおよびプリン誘導体(例えば、ヌクレオシド)をマーキングする新規な方法を提案することにより、上記の技術課題を解決すること、および上記の必要性に対して解決策を提供することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記および下記において、一般に受け入れられていて、以下に示される、プリン核の原子の番号付け方法が使用される。
【化3】

【0022】
本発明は、保護されたまたは保護されていない2−[18F]フルオロプリンの誘導体を生成する、簡便かつ非常に効率的な方法を提供する。本発明の目的である当該方法は、比限定的な例としてヌクレオシドのような、アデノシンまたはアデニン誘導体の場合、特に効率的である。
【0023】
この確実な方法は種々の2−ニトロプリン誘導体に簡単に適用でき、また、本発明の方法の簡便性と効率性により、適切かつ十分に自動化された方法が開発され得た点で、本発明の方法は優れる。
【0024】
本願発明は、2−ニトロプリン誘導体のフッ素化工程を含む、18F放射性同位体でマークされた2−フルオロプリンの製造方法に関する。
【0025】
より詳細には、本発明の方法のフッ素化工程は、2−ニトロプリン誘導体を[18F]でマークされたフッ化物イオン源と反応させて、2−[18F]−フルオロプリン誘導体を得ることを含む。
【0026】
したがって、本発明は、任意に保護された2−ニトロプリン誘導体を[18F]でマークされたフッ化物イオン源と反応させることを含むフッ素化工程を含み、任意に脱保護工程が続き、2−[18F]フルオロプリン誘導体を得るという、18F放射性同位体でマークされた2−フルオロプリン誘導体を製造する方法に関する。
【0027】
興味深いことに、本発明による方法は、2−ニトロプリン誘導体と比較して非常に少ないフッ素とともに実行され、それは、この方法を、フルオロ−18の化学的作用において、使用可能なものとする。有利なことに、フッ素は、2−ニトロプリン誘導体に対して、10−1以下、あるいは10−2以下の当量で、使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】カチオン源としてKCO(図1A)またはKSO(図1B)を用いたフッ素化反応から得られた、ラジオ薄層クロマトグラフィー(またはRTLC)(5分)を示す図である。
【図2】カチオン源としてKSOを用いたフッ素化工程中の、反応混合組成物の時間の関数としての漸進的変化を示す図である。
【図3】カチオン源としてKCOを用いたフッ素化工程中の、反応混合組成物の時間の関数としての漸進的変化を示す図である。
【図4】時間およびカチオン源としてのカリウム塩種(KSOまたはKCO)の関数としての、反応環境下における部分的に保護されていない生成物のパーセンテージを比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明においては、「18F放射性同位体でマークされた2−フルオロプリン誘導体」は、プリン核を含む、化学式(Ia)を有する化合物をいい、
【化4】

は、H、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基、NR基を表し;
は、H、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたフラノース基、または任意に置換されたピラノース基を表し;
は、H、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基、ハロゲン、−OR基、または−SR基を表し、Rは、H、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基を表し、
およびRは、独立して、H、電子吸引基、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたアシル基、任意に置換されたスルフィニル基、または任意に置換されたスルホニル基を表す。
【0030】
本発明の方法によって有利に製造される18F放射性同位体でマークされた2−フルオロプリン誘導体は、先に規定したようにRがNR基を表す化学式(Ia)の化合物であり、より詳細には、RがNH基を表す化学式(Ia)である。
【0031】
本発明において、有利に採用されるフラノース基は、リボフラノースおよびアラビノフラノース基である。
【0032】
本発明において、「アルキル基」は、任意に置換され、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、さらに好ましくは1〜8個の炭素原子、特に好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、環状、分枝状または直鎖状のアルキル基をいう。
【0033】
本発明において、「アリール基」は、任意に置換され、6〜20個の炭素原子、好ましくは6〜14個の炭素原子、さらに好ましくは6〜8個の炭素原子を有する、単環式または多環式の芳香族基をいう。本発明によるアリール基の具体例としては、以下の基が挙げられる;フェニル、ナフト−1−イル、ナフサ−2−イル、アントラセン−9−イル、1,2,3,4−テトラヒドロナフト−5−イル(1,2,3,4−tetrahydronapht−5−yle)、および1,2,3,4−テトラヒドロナフト−6−イル(1,2,3,4−tetrahydronapht−6−yle)。
【0034】
本発明において、「アシル基」は、任意に置換され、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、直鎖状または分枝状のアシル基をいう。
【0035】
本発明において、「電子吸引基」は、NOおよびニトリル基、イミドおよびイミン誘導体、カルボニル−C(=O)−R基、−O−C(=O)−R基からなる群から選ばれる。ここでRは水素原子、OH基、任意に置換されたアルキル基、アルコキシ基またはアリール基である。
【0036】
本発明において、「スルフィニル基」は、RSO−構造を有する基をいい、Rは先に規定したようなアルキル基またはアリール基である。
【0037】
本発明において、「スルホニル基」は、RSO−構造を有する基をいい、Rは先に規定したようなアルキル基またはアリール基である。
【0038】
本発明において、「任意に置換された」とは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、水酸基、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロまたは保護基から選ばれるひとつまたはいくつかの置換基でラジカル置換することをいう。
【0039】
本発明において、「アルコキシ基」とは、先に規定したようなアルキルで置換された酸素原子をいう。
【0040】
本発明において、「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0041】
本発明において採用される上記2−ニトロプリン誘導体は、化学式(Ib)を有する;
【化5】

ここで、R、RおよびRは先に規定したとおりである。
このような化合物は、当業者にとって入手容易である。国際出願WO2005/05657、Wannerらの論文(Med. Chem. Lett. 10, 2000b, 2141−2144)、Wanner、Koomenによる論文(Med. Chem. Lett. 10, 2000b, 2141−2144,)、およびDegatiらによる論文(Tetrahedron lett., 41, 2000, 1291−1295)は、化学式(Ib)に対応した(respond)化合物を合成する特定の方法を提案する。これらの教示から、当業者が化学式(Ib)のあらゆる化合物を製造することは容易である。
【0042】
本発明による方法のフッ素化工程において、[18F]でマークされたフッ化物イオン源は、当該フッ化物イオン、ならびにラージカチオンおよびスモールカチオンから選ばれる対イオンを含む。
【0043】
本発明において、有利に採用されるラージカチオンは、テトラブチルアンモニウム(Bu)である。放射性同位体18Fでマークされたフッ化テトラブチルアンモニウム(BuN[18F]F)は、BuNOHまたはBuNHCOを用いて通常の方法で生成される。
【0044】
スモールカチオンの比限定的な例としては、カリウム、ナトリウムおよびリチウムカチオンが挙げられる。当該スモールカチオンは、有利なことには、クエンチされ、例えば、クリプタンドまたはクラウンエーテル等、用いられるスモールカチオンに適したクリプタンドまたはクラウンエーテルにより、安定化される。本発明において、採用され得るクリプタンドの例は、例えばカリウムイオンをクエンチする製品KRYPTOFIX(登録商標) K222:(4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザ ビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン)である。
【0045】
対イオンまたはカチオンは、任意の塩の形態であり得、例えば、カリウムの場合、KCO、KSOまたはシュウ酸カリウムであり得る。フッ素化工程における、塩、特にKCOは、有利なことには、2−ニトロプリン誘導体1mg当たり1mg以下の量、好ましくは2−ニトロプリン誘導体1mg当たり0.6mg以下の量、さらに好ましくは2−ニトロプリン誘導体1mg当たり0.1mg以下の量で使用されるべきであることに留意しなければならない。
【0046】
本発明による方法のフッ素化工程は、一般的には、溶媒が使用され、それは、ハロゲン化、特にフッ素化のための従来の溶媒であり得る。そのような溶媒の比限定的な例としては、DMSO、DMF、CHCNおよびTHFが挙げられる。
【0047】
本発明による方法のフッ素化工程は、当業者に公知の環境下で行われ得、通常、50〜145℃、好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは55〜60℃の温度の加熱をともなう。この温度範囲においては、溶媒CHCNが最良の結果をもたらす。
【0048】
本発明の方法によるフッ素化工程は、1〜30分間、好ましくは2〜20分間、さらに好ましくは5〜10分間、特に好ましくは8分間にわたって行われる。
【0049】
本発明の特定の実施形態においては、放射性同位体18Fでマークされた2−フルオロプリン誘導体の製造方法は、以下の連続する工程を含む:
a)保護された2−ニトロプリン誘導体と[18F]でマークされたフッ化物イオン源とを反応させて、保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体と、任意の部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体とを得ること。
b)当該保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体、および任意に得られた当該部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体を脱保護することにより、2−[18F]フルオロプリン誘導体を得ること。
【0050】
適切な保護基の使用、特にプリン核における適切な保護基の使用、具体的には、プリン核の6位における窒素上の2つの保護基の使用は、マークされた化合物の収率を大幅に増やし、また、合成時間を減らす。特定の実施形態は、以下のスキームで示され得る(略図3):
【化6】

【0051】
本発明において採用される保護された2−ニトロプリン誘導体は、化学式(Ic)を有する。
【化7】

RおよびR’は、同一または異なる保護基であり、RおよびRは先に規定したとおりである。
【0052】
本発明においては、当業者に公知のあらゆる適した保護基が使用され得る(”Protective groups in Organic Synthesis”
, P. G. WUTS, T. W. GREEN 3rd edition, John Wiley and Sons, 1999)。
【0053】
本発明において採用される保護基は、有利なことには、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアシル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたベンジル基、任意に置換されたベンゾイル基、電子吸引基、任意に置換されたスルフィニル基、任意に置換されたスルホニル基、トリチル基、シリル基、tert−ブトキシカルボニル(BOC)基、フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)基、およびイミド誘導体またはイミン誘導体からなる群から選ばれる。
【0054】
本発明において採用される化学式(Ic)の化合物は、少なくとも2個の保護基、すなわち、プリン核の6位における窒素上の置換基RおよびR’を含むが、他の保護基も含み得ることに留意しなければならない。これらの他の保護基は、フッ素化工程(a)中においてフッ化物イオン源との相互作用の影響を受けやすい化学式(Ic)の化合物の置換基を保護することに用いられる。この態様は、下記の実施例部分において、2−ニトロペンタベンゾイルアデノシンと前駆体7とを用いて、詳細に例示される。実際には、これら2つの化合物は、2つの保護基RおよびR’に加えて、3つの保護基を有し、これら3つの付加的な保護基はリボフラノースの3つの水酸基を保護する。
【0055】
そのような化学式(Ic)の化合物は、当業者により容易に得られる。実際、下記の実施例部分は、化学式(Ic)の化合物が得られる、より詳細には、2−ニトロペンタベンゾイルアデノシンと前駆体7とが得られるいくつかの合成方法を提供する。当業者が、この教示からあらゆる化学式(Ic)の化合物を生成することは容易である。
【0056】
本発明による方法の工程(a)は、先に規定したフッ素化工程に対応する。したがって、先にフッ素化工程について述べたすべてのこと、特にフッ化物イオン、対イオン、溶媒、温度およびフッ素化工程の時間に関しては、本発明による方法の工程(a)にも適用される。
【0057】
本発明による方法の工程(a)を経て得られる保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体は、化学式(Id)を有する;
【化8】

ここで、R、R、RおよびR’は先に規定したとおりである。
【0058】
さらに、フッ素化工程(a)において採用される実験条件の関数として、本発明による方法の工程(a)の後、部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体と混合することにより、化学式(Id)の保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体が得られ得る。部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体は、フッ素化工程(a)の最後に得られる混合物(保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体+部分的に保護さていない2−[18F]フルオロプリン誘導体)の0〜80%の割合で製造される。有利なことに、部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体は、化学式(Ie)を有する。
【化9】

ここで、R、RおよびRは先に規定したとおりである。
【0059】
本発明者の発見は、特に、フッ素化工程(a)においてカチオン源としてKSOが用いられるときに、化学式(Ie)の誘導体が多く得られることを示している。
【0060】
したがって、本発明は、KSOを使用して、直接フッ素化により、先に規定したような化学式(Ic)を有する部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体を生成することにも関する。
【0061】
本発明による方法の工程(b)の実施は、2つの変形例を有し得る。
【0062】
1つの変形例は、脱保護工程(b)が、中間体を生成せずに、部分的に保護されていない化学式(Ie)の化合物と任意に混合した化学式(Id)の化合物から、先に規定したRおよびRを有する化学式(If)の2−[18F]フルオロプリン誘導体に至るという1段階のみで行われる。
【化10】

【0063】
この変形例においては、アミノ基がフリーとなった化学式(If)の化合物を提供する、プリン核の6位におけるアミン官能基の保護基の脱離、すなわち脱保護は、当業者に公知のあらゆる脱保護の方法により実行され得る。当業者は、どのようにして脱保護の最適な方法を選択するかを、使用される保護基の関数として、理解するだろう。
【0064】
有利なことに、脱保護工程(b)は、化学式(Id)の化合物のような保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体、および化学式(Ie)の化合物のような任意に部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体を、アルコールとアンモニア水との混合物と反応させることにより、行われる。より詳細には、脱保護工程(b)は、保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体および任意に存在する部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体を、任意にメタノールのようなアルコール、続いてアンモニア水と反応させ、次いで、5〜45分、好ましくは10〜30分、さらに好ましくは20分の間、50〜90℃、好ましくは70℃の温度で加熱することにより、行われる。混合比((アルコール+アンモニア水)/水(v/v))は、10〜50%、好ましくは20〜40%、さらに好ましくは28%である。混合物(アルコール+アンモニア水)において、アルコール/アンモニア水の体積比は、5/1〜1/5、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1/1である。化学式(Id)の化合物が、放射性同位体18Fでマークされた2−フルオロ−ペンタベンゾイルアデノシンである場合、温度が80℃未満に維持され、反応時間が20分であるならば、通常、より好ましい結果が得られる。
【0065】
第2の変形例において、脱保護工程(b)は、2つの下位工程(b’)および(b’’)において行われる。
【0066】
この変形例において、工程(b’)は、フッ素化工程(a)で得られる、化学式(Id)の、放射性同位体18Fでマークされた保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体と、求核性化合物とを反応させて、先に規定した化学式(Ie)のような、放射性同位体18Fでマークされたモノ加水分解(またはモノ脱保護(mono−deprotected))された2−フルオロプリン誘導体を得ることを含む。
【0067】
下位工程(b’)において有利に採用される求核性化合物は、3〜8員環の、芳香環、不飽和環、飽和環に含まれる不対電子対(free doublet)を有する少なくともひとつの窒素原子を含む化合物;2−フェニルエチルアミンのような1級または2級アミン;ヒドラジンまたはヒロラゾン誘導体;アミド;スルホンアミド;尿素誘導体;複素環式誘導体(好ましくは、窒素を含むおよび/または硫化している);アルコール;およびフェノール誘導体からなる群から選ばれる。NowakらのJ. Org. Chem. 70, 2005, 7455−7458、およびIshidoetらのJ. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1977, 657−660は、上記求核性化合物のいくつかおよびそれらの用途を記載する。
【0068】
本発明による方法の下位工程(b’)は、通常、溶媒中で行われる、その溶媒は、当業者に公知の溶媒であり得る。そのような溶媒の比限定的な例としては、DMSO、DMF、CHCN、THFが挙げられる。有利なことに、下位工程(b’)において用いられる溶媒は、本発明の方法の工程(a)で用いられる溶媒と同一である。
【0069】
本発明による方法の下位工程(b’)は、通常、40〜100℃、好ましくは50〜80℃、さらに好ましくは60℃台の温度での加熱をともなう、当業者に公知の条件で行われ得る。
【0070】
本発明による方法の下位工程(b’)は、1〜45分、好ましくは2〜30分、さらに好ましくは5〜20分、特に好ましくは10分にわたって、行われる。
【0071】
化合物(Ie)の化合物が、フッ素化工程(a)を経た化学式(Id)の化合物との混合物中にすでに存在する場合、上記したような方法の下位工程(b’)の条件を変更する必要はない。
【0072】
第2の変形例において、下位工程(b’’)は、残りの保護基を除去することを目的とする脱保護である。この下位工程(b’’)は、当業者に公知のあらゆる脱保護方法を採用し得る。当業者は、どのようにして最適な脱保護方法を選択するかを、残りの保護基の関数として、理解するだろう。しかしながら、前に実行された工程(b’)を考慮して、脱保護下位工程(b’’)における条件は、第1の変形例による脱保護(工程(b))における条件より、特に反応温度に関して、激しくあり得ることを強調しなければならない。
【0073】
比限定的な例として、保護基がベンゾイル基である場合、上記下位工程(b’’)は、化学式(Ie)の化合物を、メタノールのようなアルコール、続いてアンモニア水反応させ、次いで、5〜45分、好ましくは10〜30分、さらに好ましくは20分の間、50〜110℃、好ましくは70〜90℃、さらに好ましくは80〜85℃の温度で加熱することにより、行われる。
【0074】
本発明による方法において、脱保護工程(b)および(b’’)に加水分解工程が続く。本発明においては、当業者に公知の加水分解技術が、採用され得る。比限定的な例として、酢酸水溶液または酸性樹脂からの溶出物の水溶液で行われる加水分解が挙げられ得る。
【0075】
本発明の方法に続く放射性同位体18Fでマークされた2−フルオロプリン誘導体の精製は、必要に応じて、当業者に公知の精製技術により実行され得る。比限定的な例として、クロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー、半分取HPLC等が挙げられる。
【0076】
本発明による方法は単純であり、信頼でき、実行するのが簡単であり、簡単に自動化し得る。
【0077】
2−ニトロプリン誘導体(必要に応じて保護され得る)の[18F]−KFまたは[18F]−BUNF形態のフッ化物イオンとの求核置換は、放射線マークされた2−フルオロプリン誘導体での脱保護および精製後の全体的な高収率を得る。
【0078】
保護された2−フルオロプリン誘導体を得ることを可能にするフルオロ−18ハロゲンの導入は、例えば、約70〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜98%といった高収率の非常に効率的な方法で行われる。本発明は、選択的な方法および高収率で、脱保護され、放射線マークされた2−フルオロプリン誘導体を得る可能性も含む。
【0079】
精製生成物を得る方法全体の最終的な収率は、用いられる方法の変形例に関わらず、非常に高く、例えば、約40〜60%である。フッ素化工程の工程(a)後の化学式(Ie)の部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリンの存在または欠如は、本発明の方法の最終的な収率に影響をおよぼさないことは、強調されなければならない。
【0080】
適用例としては、[18F]でのフッ素化および脱保護を経た[18F]−2−フルオロアデノシンおよび[18F]−フルダラビンの合成が挙げられる。他の方法と比較すると、改善された収率が、簡単に得られる中間体から、短い反応時間で得られ、発明の方法をPET研究と相性のよいものとする。
【0081】
実際、本発明による方法の全体時間は短い:例としては、通常60〜120分かかり、好ましくは75〜85分かかる。
【0082】
本発明はまた、モノ加水分解され(またはモノ脱保護され)放射性同位体18Fでマークされた、先に規定した化学式(Ie)のような2−フルオロプリン誘導体の製造方法に関する。当該方法は、先に規定した化学式(Id)の放射性同位体18Fでマークされ保護された2−フルオロプリン誘導体と、先に開示した求核性化合物とを、下位工程(b’)について開示した条件下で反応させることを含む。
【0083】
本発明はまた、本発明による方法により製造され得る化合物、または本発明による方法の間に得られる化合物(反応中間体)に関する。
【0084】
有利なことに、本発明による化合物は、化学式(A)の化合物であり、
【化11】


ここで、RおよびRは、独立して、Hまたは保護基、あるいは該保護基の塩である。
【0085】
本発明はまた、有利なことにはリボースの5位に、モノ−、ジ−あるいはトリ−リン酸塩基を、さらに有する化学式(A)の化合物に関する。
【0086】
本発明の化合物においては、以下の化合物が、特に好ましい:
−化学式(B)の、放射性同位体18Fでマークされたフルダラビン、またはその塩のうちのひとつ
【化12】


−化学式(C)の、放射性同位体18Fでマークされたリン酸フルダラビン、またはその塩のうちのひとつ
【化13】

【0087】
本発明において、「塩」とは酸付加塩または塩基付加塩をいう。このような塩は、常法、例えば、本発明の化合物の遊離酸の形態または遊離塩基の形態と、任意に溶媒中または塩が不溶の媒体中の1または数当量の適切な酸または塩基との反応、次いで、当該溶媒または媒体を、従来技術(例えば、吸引またはフリーズドライ)を用いて抽出することにより、得ることができる。塩はまた、例えば適切なイオン交換樹脂を用いて、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを、他の対イオンで置き換えることにより生成され得る。
【0088】
特に、人体または動物の体に授与される目的では、本発明による化合物の塩は、有利には、薬学的に許容可能な塩である。
【0089】
特に、本発明による化合物が塩の形態であるとき、それは、アルカリ金属の塩、特にナトリウム塩またはカルシウム塩、あるいはアルカリ土類金属の塩、特にマグネシウムまたはカルシウム、の塩であり、有機アミド、特にアルギニンまたはリジンのようなアミノ酸、の塩であってもよい。
【0090】
本発明による化合物が、アミン官能を有し、および、このアミンの塩の形態であるとき、塩は、例えば、塩酸、硫酸または臭化水素酸のような無機酸の塩であるか、または、例えば、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸またはメタン硫酸の塩のような有機酸の塩の形態である。
【0091】
本発明は、さらに、許容可能な薬学的ビヒクル中に、先に開示したような本発明による化合物を少なくともひとつ含む、医薬品組成物または診断用組成物に関する。
【0092】
本発明において、「許容可能な薬学的ビヒクル」とは、当業者に公知で慣用的なひとつまたは複数の医薬品添加物、賦形剤、バッファー、シンナーおよび/または補助剤をいう。
【0093】
本発明による化合物および組成物は、PETイメージングの研究のため、特に、神経生物学、心臓学、腫瘍学の分野、より詳細には、慢性リンパ白血病および関連する病気の分野に適用されるPETイメージングの研究のために、使用され得る。
【0094】
本発明による化合物および組成物は、慢性リンパ白血病の処置評価のため、また、悪性造血細胞のインビボマッピングのために使用され得る。
【実施例】
【0095】
以下、添付図面を参照して、本発明による方法および生成物の比限定的な例を述べる。
【0096】
材料および方法
全体において、すべての化学的生成物および溶媒は、ACS(分析グレードの化学溶媒)品質またはHPCL(高速液体クロマトグラフィー)品質であり、特に明記しない限り、精製せずに使用される。
【0097】
ジクロロメタン(CHCl)は、Pで蒸留されている。ピリジンは、KOHで乾燥および蒸留した。アセトニトリル、DMF、THF、ジオキサンは、樹脂で精製し、ミリポア社の装置および孔径0.22μmのフィルター(商品名:Millipak)で濾過させた。フルダラビン(2F−ARA−A)は、シグマ社から購入した。
【0098】
HPLC分析はHPLCポンプ(モデル:L−6200、インテリジェントポンプ メルク)、Novelecによるβ検出器を直列したUV検出器メルクL−4250(λ=254nm)により行った。HPLCクロマトグラムは、ギャラクシーソフトウェア(バリアン)を備えるPCに接続されたデュアルチャンネルインターフェース/モジュール(バリアンスター 800)により記録した。
【0099】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカプレート(ゲル 60 F254)上で行い、UVランプ(λ=254nm)を用いるか、適切な着色料(KMnO、バニリン、ヨウ素またはPMA)に浸漬した後、緩やかに加熱することにより可視化させた。放射性化合物は、PCに接続された映像器(パッカード インスタントイメージャー)を使用してTLC上で局在化させた。
【0100】
フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル(SiO 40−63μm、メルク)のカラムで行った。
【0101】
NMR(核磁気共鳴):NMRHスペクトルは、250または400MHzでブルカー社の装置(DPX 250またはDRX 400)を用いて記録した。化学シフトδは、リファレンスとしてTMSを用いてppmで示される。カップリング定数Jは、ヘルツ(Hz)で与えられる。多重線は、以下の略語を使用して示される:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、bs=ブロードシングレット。
【0102】
13C{H}NMPスペクトルは、62.9または100.6MHzのブルカー社の装置を用いて記録した。化学シフトδは、リファレンスとして重水素化された溶媒を用いてppmで示される。カップリング定数Jは、ヘルツ(Hz)で与えられる。
【0103】
19FRMNスペクトルは、ブルカー社の装置(アドバンス DRX 400(376MHz))を用いて記録した。化学シフトδは、外部リファレンスとしてCFClを用いてppmで示される。
【0104】
水中のフッ化物イオン[18F]Fは、95%[18O]富化水(ケンブリッジ
アイソトープ ラボラトリーズ,インコーポレーテッド)に陽子ビームを用いるサイクロトロン(IBA、サイクロン 18/9 RF)から得た。水中のフッ化物イオン[18F]Fは、KCO水溶液(1 mg/ml〜5 mg/ml)500μlで溶出したQMAイオン交換樹脂(ABX、アドバンスバイオケミカル化合物)で、精製した。
【0105】
水は、撹拌/加熱モジュール(Pirece社製)を用いる窒素気流を使用して、110℃でアセトニトリルとの共沸蒸留により蒸発させた。
【0106】
放射能測定は、キャピンテックのCRC−15 ドーズキャリブレータを用いて行われた。
【0107】
実施例1:[18F]フルオロアデノシンの調整
【化14】


化学
ペンタベンゾイルアデノシンおよび2−ニトローペンタベンゾイルアデノシン(1)を、上述の方法(Article of Braendvang et al., 2006, Synthesis, 18, 2993、および国際出願 WO 2005/056571)にしたがって調整し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0108】
保護された2−フルオロ−アデノシン(2)および(3)を、それらを高収率で分離可能な修正されたプロトコル(DMF中の過剰な反応物に代えて、CHCN中の1.1倍当量のBuNF)により、得た。
【化15】

【0109】
テトラブチルアンモニウムフロリド(TBAF)(1.3当量、600μL、0.6mmol、THF中1M)を、0℃の無水アセトニトリル(15mL)中の2−ニトロアデノシン(1)(379mg、0.45mmol)の懸濁液に、1分間、滴下した。混合物を、2分間撹拌し、得られた溶液を非加熱下で真空蒸発させた。生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl−アセトン)により精製した。化合物2および3を、それぞれ、58%(211mg)および35%(130mg)の収率で単離した。
【0110】
保護された化合物(2)(185mg、0.23mmol)のMeOH(40mL)溶液を、0℃で15分間、アンモニアガスの気流によって飽和した。得られた混合物を、室温で14時間撹拌し、そして、減圧下で蒸発させ、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt−MeOH 83:17)により精製して、51mg(77%)の2−フルオロアデノシン(4)を得た。
【0111】
2−フルオロ−6−N,N−ジベンゾイル−9−(2’,3’,5’−トリ−O−ベンゾイル−β−D−リボフラノシル)−9H−プリン(2)
H NMR(400MHz,CDCl):δ=4.82(m,3H,H4’5’); 6.17(t,1H,H3’,J=5.4Hz);6.22(t,1H,H2’,J=5.8Hz);6.46(d,1H,H1’,J=5.3Hz);7.28−7.52(m,15H,Ar);7.85(dd,4H,J=1.2および8.4Hz;HAr); 7.95(dd,2H,J=1.2および8.4Hz,HAr); 8.02 (dd,2H,J=1.2および8.4Hz,HAr);8.12(dd,2H,J=1.2および8.40,HAr); 8.20(s,1H,H)。
13CNMR(100.6MHz,CDCl):δ=63.9(C5’);71.7(C4’); 74.4(C3’);81.4(C2’);87.0(C1’);126.4(d,JCF=5.0 Hz,C);128.7;128.9;129.0;129.1;129.3;129.5;129.9;130.1;130.2;130.3;133.7;133.9;134.0;134.2;134.3;143.7(d,JCF=3.8Hz,C);154.3(d,JCF=16.9Hz,C);154.9(d,JCF=17.0Hz,C);158.3(d,JCF=218.9Hz,C);165.5(C=O);165.7(C=O);166.5(C=O);172.1(2×C=O)。
19FNMR(376.5MHz,CDCl):δ=−49.1
【0112】
2−フルオロ−6−N−ベンゾイル−9−(2’,3’,5’−トリ−O−ベンゾイル−β−D−リボフラノシル)−9H−プリン(3)、(2つの回転異性体:80/20)
HNMR(400MHz,CDCl):δ=4.74(m,3,6H,H4’5’); 6.12(m,2,4H,H3’2’);6.39(d,0.8H,H1’,J=5.5Hz);6.51(d,0.2H,H1’,J=5.5Hz);7.28−7.51(m,15 H,HAr);7.83−8.01(m,10H,HAr);8.08(s,0.8H,H); 8.39(s,0.2H,H);8.94(s,0.8H,NH);9.14(s,0.2H,NH)。
19FNMR(376.5MHz,CDCl):δ=−47.6
【0113】
2−フルオロ−9−(β−D−リボフラノシル)−9H−プリン(4)
HNMR(400MHz,DMSO−D):δ=3.60(m,2H,H5’);3.94(m,1H,H4’);4.13(m,1H,H3’);4.52(m,1H,H2’);5.07(t,1H,OH−5’,J=5.6Hz);5.20(d,1H,OH−3’,J= 4.7Hz);5.47(d,1H,OH−2’,J=5.9Hz);5.79(d,1 H, H1’,J=5.9Hz);7.87(bs,2H,NH);8.35(s,1H,H)。
19FNMR(376.5MHz,DMSO−D):δ=−52.5
【0114】
放射化学
方法A
水中のフッ化物イオン[18F]Fを、QMX(ABX)イオン交換樹脂に吸着して、アセトニトリル(500μL)中で、KCO水溶液(500μL、1mg/mL)およびKryptofix(商品名;K222、15−25mg)で溶出した。水を、110℃の窒素気流の下、アセトニトリル(3×1mL)を用いた共沸蒸留により、蒸発させた。前駆体1(アセトニトリル500〜800μL中、5〜5.5mg)を、乾燥[18F]KFコンプレックスに加えた。55〜60℃、5〜10分間(好ましくは8分間)の加熱により、所望の[18F]フルオロアデノシン(2)を、放射化学的収率90%以上(CHCl/アセトン95/5で溶離されるSiO薄層クロマトグラフィー、パッカードインスタントイメージャー)で、得た。溶液を酢酸エチル(AcOEt)500μLで希釈して、シリカカートリッジSep−Pak(ウォーターズ社)に吸着させた。AcOEt3〜3.5mLでの溶出、次いで溶媒の蒸発を伴う乾燥空気5mLにより、[18F]KFから総収率86%(減衰補正されたもの)で、保護された[18F]2−フルオロアデノシン(2)を得ることができた。
【0115】
脱保護を、メタノール500μLの添加、次いで、アンモニア水(水中、29%)500μLの添加、および65−70℃で20分の加熱による従来の方法で、行った。冷却後、酢酸(0.7mL、水中40%、または純酢酸0.3ml)を加え、μBondapak(商品名)カラムでの半分取HPLC(水/エタノール97/3、5mL/min)により透明液を精製して、[18F]−フルオロアデノシン(4)を総収率50%(減衰補正されたもの)で得た。
【0116】
方法B
方法Bは、モノ加水分解されたフルオロアデノシン[18F](3)を選択的に得るという変形例である。以下の脱保護は、より激しい条件(80〜85℃)で行い、[18F]フルオロアデノシン(4)を得た。この方法は、脱保護工程を改善する(90%)。
【0117】
アセトニトリル100μL中の2−フェニル−エチルアミン(1mg)を、アセトニトリル中の(方法Aにしたがって得られた)[18F]フルオロアデノシン(2)粗生成物に加え、溶液を60℃で10分間加熱した。TLCおよびHPLC分析は、マーク/ラベルされたモノ脱保護された中間体、すなわち化合物[18F](3)の定量的な形成を示した。溶液を、AcOEt500μLで希釈して、シリカSep−Pakカートリッジ(ウォーターズ社)に吸着させた。AcOEt3.5mLでの溶出、次いで乾燥空気5mLおよび溶媒の蒸発により、最適化されていない収率60%(減衰補正されたもの)で、化合物[18F](3)を得ることができた。
【0118】
最後の脱保護を、メタノール500μLの添加、次いでアンモニア(水中20%)400μLの添加、および80〜85℃で20分間の加熱により、行った。冷却後、酢酸(0.7mL、水中40%)を加え、μBondapak(商品名)カラムでの半分取HPLC(水/エタノール97/3、5mL/min)により透明液を精製して、マーク/ラベルされた2−フルオロアデノシン[18F]を調製した。
【0119】
実施例2:[18F]フルダラビンの調整
【化16】

【0120】
化学
前駆体(7)の合成は、そのリボース類似体について記載された方法(Article of Braendvang et al., 2006, Synthesis, 18, 2993、および国際出願 WO 2005/056571)にしたがって、9(β−D−アラビノフラノシル)−9H−プリンの保護とニトロ化を通して達成され得る。
【0121】
あるいは、化合物(7)は、アデノシンまたはグアノシン(略図6)から得られ得る(Article of Gimisis et al., 1998, Tetrahedron, 54, 573、および国際出願 WO 9412514)。
【0122】
【化17】


前駆体7の合成のためのそれぞれの工程(略図7)の反応物および収率は;
i: TBDMSCl、DABCO、AgNO、THF、53%
ii: TfO、DMAP、DIPEA、Py、67%
iii: PhCOOK、DMSO、96%
iv: BuNF、THF、81%
v: PhCOCl、Py、95%
vi: TBAN、TFAA、CHCl、45%。
【0123】
6−N,N−ジベンゾイル−9−(2’,3’,5’−トリ−O−ベンゾイル−β−D−アラビノフラノシル)−9H−プリン(6)の合成
塩化ベンゾイル(750μL、6.49mmol)を、無水ピリジン(7mL)中に化合物(5)(181mg、0.82mmol)を溶かした溶液に加え、混合物を6時間環流した。冷却および抽出(CHCl)の後、有機相を飽和NaHCO水(10mL)およびで塩水(2×10mL)で洗浄し、NaSOを通して乾燥させた。減圧下での濾過および蒸発により、淡黄色の固体として粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:アセトン、95:5)により、化合物(6)606mg(96%)を精製した。
HNMR(250MHz,CDCl):δ=4.73(m,3H,H4’およびH5’); 5.91(m,2H,H3’およびH2’);6.48(d,1H,H1’,J=4.2Hz); 7.20−7.39(m,15H,HAr);7.68−7.72(m,5H,HAr);7.96−8.00(m,5H,HAr);8.38(s,1H,H);8.58(s,1H,H)。
【0124】
6−N,N−ジベンゾイル−9−(2’,3’,5’−トリ−O−ベンゾイル−β−D−アラビノフラノシル)−2−ニトロ−9H−プリン(7)
ニトロ化混合物を、2,2,2−トリフルオロ酢酸無水物(160μL、1.15mmol)を0℃の乾燥塩化メチレン(15mL)中のテトラブチルアンモニウム硝酸塩(351mg、1.15mmol)に2分間かけて加えて、調整した。45分後、0℃で、溶液を、乾燥塩化メチレン(15mL)中の化合物(6)(606mg、0.77mmol)に加えた。室温下(および遮光下)で14時間後、反応混合物を、水(30mL)、飽和NaHCO水溶液(20mL)およびCHCl−EtO (1:2、20 mL)の冷混合物中に注いだ。水相を、CHCl−EtO(1:2、2×20 mL)から抽出した。混ざり合った有機抽出物を、塩水(2×20mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、および(40℃以上に昇温させずに)真空蒸発した。生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl−アセトン 95:5)により精製し、化合物(7)201mg(45%)を生成した。
HNMR(250MHz,CDCl):δ=4,79(m,3H,H4’5’);5,86(m,2H,H3’2’);6,83(d,1H,H1’,J=5,1Hz);7,21−7,47(m,15H,HAr);7,66−7,73(m,6H,HAr);7,95(dd,2H,J=1,4および7,8Hz,HAr);8,05(dd,2H,J=1,4および7,8 Hz,HAr);8,52(s,1H,H)。
13CNMR(62.9MHz,CDCl):δ=63.5(C5’);76.3(C2’);77.1(C3’);81.6(C4’);84.7(C1’);127.8(C);128.6;128.9;129.1;129.2;129.3;129.5;129.6;129.8;130.1;130.2;130.5;133.7;133.8;133.9;134.5;134.6;147.7(C);153.0(C);153.1(C);154.0(C);165.1(C=O);165.8(C=O);166.6(C=O);171.8(2×C=O)。
【0125】
放射化学
[18F]−フルダラビン:
6−N,N−ジベンゾイル−9−(2’,3’,5’−トリ−O−ベンゾイル−b−D−アラビノフラノシル)−2−ニトロ−9H−プリン(7)4.8mg〜5.5mgと、上述の方法(AまたはB)を用いて、[18F]−フルダラビンを、85分間の半分取HPLC精製(水/エタノール 97/3、5mL/min)後、(減衰補正された)総放射化学的収率63%で、得た。
【0126】
実施例3:カチオン源として用いられるカリウム塩の関数としてのフッ素化反応混合物の漸進的変化
フッ素化反応を、前駆体(2−ニトロプリン)5mgを用いてkryptofix K2.2.2(商品名)(20mg)およびカリウム塩(KCO、0.5〜1mg、またはKSO3〜5mg)の存在下、140℃のDMSO中で行った。得られた反応生成物は以下の構造を示した:
【化18】

【0127】
反応混合物の分析を、5分ごとに採取した15−25μLのサンプリングから、ラジオ−TLC(SiO、CHCl/アセトン 95/5で溶出)により行った。
【0128】
放射性生成物は、非放射性のリファレンスとの共溶出により、同定される(生成物1 Rf=0.49;生成物(2) Rf=0.75;図1参照)。
【0129】
図2は、KSO存在下では、フッ素化反応の間、生成物(1)(部分的に脱保護されている)が大部分形成されることを示す。混合物の構成は、時間の関数として変化し、15分後には、生成物(1)が大部分となり、生成物2の消失にいたる(これらの反応条件における、生成物2の漸進的な(progressive)脱保護)。
【0130】
フッ素化反応がKCO存在下で行われる場合、図3に示すように、生成物(2)(すべて保護されている)が大部分形成され、その割合は時間が経過しても安定なままである(61%〜70%)。
【0131】
図4は、生成物(1)の形成に関して、カリウム塩種(KSO対KCO)の影響の観察を可能にする。KSOの使用は、生成物(1)を大部分得ること可能にし、20分の反応の後、生成物(1)は、フッ素化生成物95%(生成物(1)/生成物(2)比=81/4)を示す。
【0132】
参考文献
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Article of Robins M.J. and Uznanski B., 1981, Can. J. Chem. 59, 2608 ;

Article of Horti et al., 2006, J. Labelled Compd. Radiopharm., 49, 811 ;
International Application WO 2005/044312 ;

Article of Hocek et al., 2005, Eur. J. Org. Chem. 14, 3026 ;
Patent Application EP 1 956 013 ;

Article of Irie et al., 1982, Int. J. Appl. Radiat. Isot. 33(6), 445 ;
International Application WO 2005/056571 ;

Article of Wanner et al., Med. Chem. Lett. 10, 2000b, 2141−2144 ;

Article of Wanner and Koomen, J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 2001, 1908−1915 ;

Article of Degati et al., Tetrahedron lett., 41, 2000, 1291−1295 ;

Article of Nowak et al., J. Org Chem. 70, 2005, 7455−7458 ;

Article of Ishidoet al., J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1977, 657−660 ;

Article of Braendvang et al., 2006, Synthesis, 18, 2993 ;

Article of Gimisis et al., 1998, Tetrahedron, 54, 573 ;
International Application WO 94/12514。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意に保護された2−ニトロプリン誘導体を、[18F]でマークされたフッ化物イオン源と反応させることを含むフッ素化工程と、
任意に続く、脱保護工程とを含み、2−[18F]フルオロプリン誘導体を得る、
18F放射性同位体でマークされた2−フルオロプリン誘導体の製造方法。
【請求項2】
前記放射性同位体18Fでマークされた2−フルオロプリン誘導体が、化学式(Ia)を有する、請求項1に記載の製造方法;
【化1】

は、H、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基、NR基を表し;
は、H、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたフラノース基、または任意に置換されたピラノース基を表し;
は、H、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基、ハロゲン、−OR基、または−SR基を表し、Rは、H、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基を表し、
およびRは、独立して、H、電子吸引基、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたアシル基、任意に置換されたスルフィニル基、または任意に置換されたスルホニル基を表す。
【請求項3】
前記2−ニトロプリン誘導体が、化学式(Ib)を有する、請求項1または2に記載の製造方法;
【化2】

ここでR、RおよびRは請求項2で規定したとおりである。

【請求項4】
前記フッ素化工程において採用される[18F]でマークされたフッ化物イオン源が、フッ化物イオンおよび対イオンを含む、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
以下の連続する工程を含む、請求項1に記載の製造方法;
(a)保護された2−ニトロプリン誘導体と[18F]でマークされたフッ化物イオン源とを反応させて、保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体と、任意の部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体とを得ること;
(b)該保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体、および任意に得られた該部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体を脱保護して、2−[18F]フルオロプリン誘導体を得ること。
【請求項6】
前記保護された2−ニトロプリン誘導体が、化学式(Ic)を有する、請求項5に記載の製造方法;
【化3】

RおよびR’は、同一または異なる保護基であり、RおよびRは請求項2で規定したとおりである。
【請求項7】
前記保護された保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体が、化学式(Id)を有する、請求項5または6に記載の製造方法;
【化4】

ここで、R、R、RおよびR’は請求項6で規定したとおりである。
【請求項8】
前記部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体が、化学式(Ie)を有する、請求項5から7のいずれかに記載の製造方法;
【化5】

ここで、R、RおよびRは請求項6で規定したとおりである。
【請求項9】
前記脱保護工程(b)が、前記化学式(Id)の化合物のような保護された2−[18F]フルオロプリン誘導体、および任意に存在する前記化学式(Ie)の化合物のような部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体を、アルコールとアンモニア水との混合物と反応させることにより、行われる、請求項5から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記脱保護工程(b)が、2つの下位工程(b’)および(b’’)において行われる、請求項5から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記工程(b’)が、放射性同位体18Fでマークされ、保護された、化学式(Id)を有する前記2−フルオロプリン誘導体と、求核性化合物とを反応させて、請求項8に規定される化学式(Ie)を有する、放射性同位体18Fでマークされたモノ加水分解(またはモノ脱保護(mono−deprotected))された2−フルオロプリン誘導体を得ることを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記求核性化合物が、3〜8員環の、芳香環、不飽和環、飽和環に含まれる不対電子対(free doublet)を有する少なくともひとつの窒素原子を含む化合物;2−フェニルエチルアミンのような1級または2級アミン;ヒドラジンまたはヒロラゾン誘導体;アミド;スルホンアミド;尿素誘導体;好ましくは、窒素を含むおよび/または硫化した複素環式誘導体;アルコール;およびフェノール誘導体からなる群から選ばれる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記工程(b’’)が、、残りの保護基を除去することを目的とする脱保護である、請求項10から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記脱保護工程(b)および(b’’)に加水分解工程が続く、請求項5から13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
請求項7で開示した化学式(Id)を有する、放射性同位体18Fでマークされ、保護された2−フルオロプリン誘導体を請求項11および12で開示したように処理する、
モノ加水分解され(またはモノ脱保護され)、放射性同位体18Fでマークされた、請求項8で規定した化学式(Ie)を有する2−フルオロプリン誘導体の製造方法。
【請求項16】
直接フッ素化により、請求項6で開示されるような化学式(Ic)を有する保護された2−ニトロプリン誘導体から、請求項8で規定した化学式(Ie)を有する部分的に保護されていない2−[18F]フルオロプリン誘導体を調整する、KSOの使用。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の方法において調整または得ることができる、化学式(A)を有する、化合物;
【化6】

およびRは、独立して、Hまたは保護基、あるいは該保護基の塩である。
【請求項18】
リボースの5位に、モノ−、ジ−あるいはトリ−リン酸塩基を、さらに有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
許容可能な薬学的ビヒクル中に、請求項17および18のいずれかに記載の化合物を少なくともひとつ含む、医薬品組成物または診断用組成物。
【請求項20】
PETイメージング研究のための、請求項17または18のいずれかに記載の化合物、または請求項19に記載の組成物の使用。
【請求項21】
前記PETイメージング研究が、神経生物学、心臓学、腫瘍学の分野、特に、慢性リンパ白血病および関連する病気の分野に適用される請求項20に記載の使用。
【請求項22】
慢性リンパ白血病の処置評価のため、または悪性造血細胞のインビボマッピングのための請求項17または18に記載の化合物または請求項19に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−508752(P2011−508752A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541053(P2010−541053)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068244
【国際公開番号】WO2009/087066
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510097644)コミッサリア ア ロンネルジー アトミック エ オ ゾンネルジー ザルテルナティーフ (33)
【Fターム(参考)】