説明

マーク間の追加データチャンネル

装置は輻射線ビームにより記録媒体上のトラックにマークを書き込むことにより情報を記録するためのヘッドを備えている。輻射線は、 主マーク強度(44)と所定のマーク長さの範囲にあるマーク長さを持つマークを書き込むようい制御される。さらに、トラックの同じ部分に2次マーク(41)が記録される。2次マークは主マーク強度とは実質的に異なる2次マーク強度(43)と前記所定の範囲のマーク長さより実質的に長い長さを持つ。更に、記録媒体、記録方法及び読み取り装置が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射線ビームにより記録媒体上のトラックにマークを書き込むことにより情報を記録するための装置に関する。
【0002】
本発明は、更に、記録媒体、記録媒体に書き込むための方法及び記録媒体を読み出すための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
記録媒体、記録方法及び再生装置を有する情報を記録するためのシステムは米国特許第5,724,327号によって知られている。この記録媒体は、スキャンされる表面の反射率のような第1の物理的パラメータの変化の光学的読み取り可能なマークにより所定の方法で情報が表わされるトラックを有している。このトラックは、更に、トラックの横切る方向への周期的に蛇行するトラック(更に、ウォブルと称される)、深さの変化又は幅の変化、のような第2の物理的パラメータの第2の変化を持つ。この第2の変化は変調され、この変調パターンは追加情報、例えば、情報を復元するために使用されるコード、を表す。例えば、スクランブル解除コードがスクランブル情報として貯蔵された情報を復元するために組み入れられる。再生装置は、光学的マークを読むための読み取り手段と第2の変化変調からコードを取り出すための復調手段を有する。プレーヤーは取り出されたコードとは無関係の情報を再生するためのデータ処理手段を有する。既知のシステムの問題点は、追加情報がマークの存在と結合し、特に、この方法は未記録の記録媒体に利用できないということにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、記録媒体、ユーザーに追加情報を与えるより多用途の方法を持つ装置と方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、前記課題は導入部において定義される装置によって達成され、この装置は、ビームを供給するヘッドと、トラックの選択された部分にマークを書き込むためにビームを制御する輻射線制御手段と、主マーク強度とマーク長さの所定の範囲内のマーク長さを持つマークと、トラックの同じ選択された部分に2次マークを書き込むためビームを制御するための2次輻射線制御手段と、主マーク強度と実質的に異なる2次マーク強度と所定の範囲でマーク長さより実質的に長い長さを持つ2次マークを有する。
【0006】
本発明の第2の態様によると、上記目的はトラック中のマークにより表現される情報を保持する記録媒体によって達成され、少なくともトラックの一部にあるマークは主マーク強度と所定範囲にあるマーク長さを持ち、トラックの同じ部分は、更に、主マーク強度より実質的に異なる強度の2次マーク強度を有し、2次マークは前記所定範囲のマーク長さより実質的に長い長さを持つ。
【0007】
本発明の第3の態様によると、上記課題は輻射線のビームにより記録媒体上のトラックにマークを書き込むことによって情報を記録する方法によって達成され、この方法は、トラックの選択された部分にマークを書き込むためビームを制御するステップを有し、マークは主マーク強度と所定範囲のマーク長さを持ち、トラックの同じ選択された部分に2次マークを書き込むためビームを制御し、この2次マークは主マーク強度と実質的に異なるマーク強度と前記所定範囲のマーク長さより実質的に長いマーク長さを持つ。
【0008】
本発明の第4の態様によると、上記課題は、マークによって表現される情報と2次マークにより表現される追加情報を輻射線ビームによって記録媒体上のトラックから読み取るための装置によって達成され、前記マークは主マーク強度とマーク長さの所定範囲内の長さを持ち、前記2次マークは主マーク強度と実質的に異なる強度の2次マーク強度とマーク長さの所定範囲外の長さを持ち、前記マーク及び前記2次マークはトラックの同じ選択された部分にあり、前記装置はビームを供給するヘッドと、スキャンの間に前記マーク及び前記2次マークを検出するためのスキャン信号を生成する前置ユニットと、スキャン信号から情報を取り出すための読み取り処理ユニットと、前記スキャン信号から2次マークに符号化された追加情報を取り出すための2次読み取りユニットとを有する。
【発明の効果】
【0009】
効果は、主マークより実質的に長く弱い強度の2次マークがトラックのマークと同じ部分に記録される。2次マークは主マークと独立して形成され、主マークの付加的な変化として形成されるものではない。これは、2次マークを記録した前又は後に記録することが可能であり、更に主マークと2次マークを同時に記録することができる。
【0010】
本装置の一実施例において、2次輻射線制御手段はトラックの選択された部分に2次マークだけを書き込むためにビームを制御するために適合される。これは2次マークが主マークの書き込み前、又は後に書き込まれるという利点を持つ。
【0011】
この装置の一つの実施例において、2次輻射線制御手段は、特に、差異が、スキャン信号においてマークと中間スペースとの間のレベルの差がトラックの両方の領域において実質的に等しいような、2次マークを持つトラックの領域に位置するマークが、2次マークを持たない領域に位置するマークの主マーク強度とは異なる主マーク強度を持つマークの組合せを生成するためにビームを制御するために適合される。この効果は、主マーク強度、例えば、主マークの幅、深さ、又は黒さが2次マークを持つ領域に対応して適合されることである。これは、2次マークある領域とない領域との間で、マークと中間スペースとの間の反射量の差異が減少することである。
【0012】
記録媒体のある実施例において、前記の異なる2次マーク強度はマークより効果的に狭い2次マークによって形成される。これは、2次マークの反射輻射線の強度は記録されたマークとは異なり、また、記録されない領域とも異なるという利点を持つ。
【0013】
更に、本発明による装置、記録媒体及び方法の好ましい実施形態はさらなるクレームに記載されている。
【0014】
本発明の他の態様は以下に例示として図面を参照して記載される実施例を参照することにより明らかにされるであろう。図において、
図1aはディスク型記録媒体を示し、
図1bは記録媒体の断面を示し、
図2はマークを記録し及び/又は読み取るためのスキャン装置を示し、
図3は2次マークと反射レベルを示し、
図4はマークと2次マークの実際の強度の例を示し、
図5は書き込まれたトラックのパワースペクトルを示し、
図6は2次マーク、適合された主マーク及び反射レベルを示し、
図7は2次マークの反射量と適合された主マークを示し、
図8はライトストラテジーを示す。
【0015】
図において、既に記載された要素については同じ符号を用いている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1aはトラック9と中心孔10を持つディスク型記録媒体を示す。トラック9は情報層上において実質的に並行するトラックを構成する螺旋パターンにしたがって配置される。記録媒体は記録可能の情報層を持つ光学ディスクとすることができる。記録可能型の記録媒体上のトラック9は、ブランクの記録媒体を製造する間に与えられるプリ−エンボスされたトラック構造、例えば、プリグルーブ、によって示されている。記録された情報は、トラックに沿って記録された光学的に検知可能なマークによって情報層上に表される。マークは第1の物理的パラメータにより構成され、それによって周囲より異なる光学的特性、例えば、反射量の変動を持つ。記録可能なディスクの例としては、着色材料を使用したCD−R又はDVD+R、及び相変化材料を使用したCD−R又はDVD+Rがある。ある実施形態においては記録媒体はマークがプレスによって製造されるピットによって表せられたリードオンリータイプである。
【0018】
図1bは記録可能型の記録媒体のb−b断面図を示し、透明基板15が記録相16と保護相17と共に設けられている。トラック構造は、例えば、スキャンの間にリード/ライトヘッドをトラック9に追従させることを可能とするプリグルーブ14によって形成される。プリグルーブ14は圧入又はエレベーションとして実現されるか、或いはプリグルーブの材料とは別の光学的特性を持つ材料で形成される。プリグルーブはリード/ライトヘッドをスキャンの間、トラック9に追従させることを可能とする。トラック構造は規則的にサーボ信号を発生する規則的に分布されたサブトラックによって形成することができる。記録媒体はマーク、例えば、ビデオ又はオーディオ情報、又はコンピュータデータのような他の情報によって表現される主情報によって記録される。
【0019】
光学ディスク上に記録するための書き込み及び読み取り、フォーマット、エラー補正及びチャンネルコーディングルールは、CDやDVDシステムなどから当技術分野では良く知られている。2値データがラン
レングス(run length)変調によりエンコードされる。ピットとランドの切り替わりシーケンス(又はアモルファス及び結晶質スペース)は2値化データを表す。データを読み取り又は書き込むために光学ビームが使用され、回折の制限されたスポットサイズがビット長を決定し、したがってディスク上に最大のデータ容量を達成する。例えば、現在のBD(ブルーレイディスク)システムでは、約75nmのビット長は、12cmのディスクの場合、25Gバイトの全ディスク容量をもたらす。
【0020】
本発明によれば、記録媒体は、また、以下に明らかにするような補助的情報を持つ追加データチャンネルを構成する2次マークによって記録される。2次マークはHF信号の振幅変調において異なる強度をもたらし、主マークとは異なる周波数領域を持つ。反射量の相違はHFデータの内容又は質に実質的に影響を与えない。したがって、このような追加データストリームを組み入れたディスクは、追加データを取り出すことなく、既存のシステムにより読み出すことができる。一つの実施形態において、2次マークの周波数領域はプリグルーブ、即ち通常のウオブル変調の周波数領域と実質的にオーバーラップすることはない。これは、追加データがウオブル変調に干渉することを減少する。
【0021】
補助情報は、スキャン装置又はホストコンピュータにおいて処理される情報、例えば、記録情報にアクセスするためのコード、コピー制御をサポートするための識別子、偽造防止情報及び他のアクセス機構、を制御するために使用することができ、追加データチャンネルにおける制御情報は、不正なコピーやすかしを保護するために固有の識別コードを表すようにしてもよい。一つの実施形態において、追加データチャンネルはユーザーにとって利用可能となる。補助情報は、例えば、プロセス用、オーディオ又はビデオのコンテンツ情報の圧縮解除又はエディット用、ソフトウエアーの機能をユーザーが試行するフリーウエアータイプのバージョンのソフトウエアーのようなソフトウエアーとすることができる。
一つの実施例において、補助情報は、映画の予告又はあるオーディオのMP3のようなオーディオ又はビデオ情報である。読み取り情報が自由に入手できないようなシステムにおいては、追加チャンネルはデータのコピーに対して保護するために使用することができる。例えば、2次マークは、産業型レコーディングシステムによる記録媒体の製造過程において予め記録することができ、例えば、少数の生産の場合、又は製造工程におけるマスク又はマスター型を用いて適用される。
【0022】
図2はマーク及び2次マークを記録及び/又は読み取るためのスキャン装置を示す。この装置は、記録媒体11の上のトラックをスキャンする手段が設けられ、これは、記録媒体11を回転するための駆動ユニット21,ヘッド22、ヘッド22をトラックに対向させて位置決めするサーボユニット25,及び制御ユニット20を含む。ヘッド22は、記録媒体の情報層のトラック上に輻射線スポット23が焦点合わせされるようにした光学要素を通して案内される輻射線ビーム24を発生する既知のタイプの光学システムを備える。輻射線ビーム24は輻射線源、例えば、レーザーダイオードによって発生される。ヘッドは、更に、輻射線ビーム24をビームの光学軸に沿って焦点を移動させるフォーカシングアクチュエータ)と、スポット23を半径方向にトラックの中心に精確に位置決めするためのトラッキングアクチュエータを備えている(図示せず)。トラッキングアクチュエータは光学要素を半径方向に動かすため、或いはその替わりに反射要素の角度を変えるためのコイルを有している。フォーカシング及びトラッキングアクチュエータはサーボユニット25からのアクチュエータ信号により駆動される。読取りのため、情報層から反射される輻射線は、例えば四分円ダイオードのような通常のタイプの検出器により検出され、その検出器は、前置ユニット31に連結されて、トラッキング及びフォーカシングのための主スキャン信号33及びエラー信号35を含む種々のスキャン信号を生成する。エラー信号35はトラッキング及びフォーカシングアクチュエータを制御するためにサーボユニット25に接続される。主スキャン信号33は、復調器、デホーマッター及び出力ユニットを含む通常のタイプのリードプロセッシングユニット(読取り処理ユニット)30によってマークからの主デジタル情報を検出するために処理される。
【0023】
制御ユニット20は情報のスキャン及び引き出しを制御し、ユーザー又はホストコンピュータからの指令を受け取るように設けられる。制御ユニット20は制御ライン26、例えばシステムバスを介して装置の他のユニットに接続される。制御ユニット20は、以下に説明する手順や機能を実行するためのマイクロプロセッサー、プログラムメモリー及びインターフェースなどの制御回路を備えている。制御ユニット20は、また、論理回路のステートマシンとして適用するようにすることもできる。一つの実施形態では、制御ユニットは、上述したように主情報にアクセスするために追加情報を処理する機能を実行し、及び/又は以下に記載するように記録機能を実行するする。
【0024】
この装置は、以下のようにスキャン信号における2次マークを検出するための2次リードユニット32を有している。主スキャン信号33は前置ユニット31から受け取られる。主情報のマークに基づく信号33内の成分は除かれ、2次マークに基づく成分が、例えば、ローパス又はバンドパス機能を持つフィルターユニット34によって分離される。補助データ信号のデータクロックを再構築するためのタイミングの復元はウオブル周波数又は2次マーク信号の成分に基づいて行うことができる。一つの実施態様において、タイミング復元は主データ用に取り出されるデータに基づいている。補助データのデータビットを検出するため同期検出が適用される。一つの実施態様において、追加データチャンネルはチャンネルコード及び/又はエラー補正コードが付与され、また、2次リードユニット32はチャンネルコード復調器とエラー補正ユニットが与えられる。
【0025】
リード処理ユニットはリード信号をデジタルビット値に復調するためのスライサーのような復調回路を含んでいる。クイックスライサーは、特に、2次マークが比較的小さい振幅を生じるとき(例えば、15%)、更なる改変を伴わずに2次マークによって引き起こされる変調を収容することができるということに留意されるべきである。一つの実施形態において、リード処理ユニット30は2次マークによって生じる信号成分が存在するとき、主スキャン信号からのマークを検出するように適合される。例えば、このユニットは2次マーク信号成分の周波数領域を実質的にブロックするためのフィルターユニットを含むようにすることができる。一つの実施態様において、リード処理ユニットは検出された2次マークを示す2次マーク信号を受け取る2マークリードユニットに結合される。2次マーク信号は主スキャン信号と結合され、例えば、2次マーク信号成分を実質的に除去するために減算される。これとは別に、ビット検出器のスライスレベルを2次マークによる影響に応じて検出された平均反射率レベルに適合させるようにしてもよい。
【0026】
一つの実施態様において、前置ユニット31は、トラックから反射した輻射線ビームの量を表すミラー信号をスキャン信号として発生するため、複数の検出器からの信号を組み合わせる組合せ回路を持つ。ある実施形態では、組合せ回路は、利用できる全ての検出セグメントからの信号を組み合わせる。全反射量を表すこのような信号は2次マークユニット32に別々に結合される。
【0027】
ある実施形態では、装置は、書き込み可能、又は再書き込み可能の、例えば、CD−R又はCD−RW、又はDVD+R又はDVD+RWのような型の記録媒体上に情報を記録する手段が設けられる記録装置である。この記録装置は、入力情報を処理して書き込み信号をヘッド22に発生するための書き込み処理手段を持ち、この手段は入力ユニット27,及びフォーマッター28及び変調器29を有する。輻射線のビームは光学的に検出可能のマークを記録層に生成するため制御される(通常、記録ストラテジーと称される)。このマークはいかなる光学的読み取り可能な形態でもよく、例えば、染料、合金や相変化材料を材料中に記録するときに得られる、周囲とは異なる反射率の領域の形態、又は磁気光学材料中に記録するときに得られる、磁化方向が周囲と異なる領域の形態とすることができる。
ある実施形態において、入力ユニット27はアナログオーディオ及び/又はビデオ、又はデジタル非圧縮オーディオ及び/又はビデオのような入力信号のための圧縮手段を持つ。ビデオ用の好適な圧縮手段は、MPEG標準に記載され、MPEG−1はISO/IEC/11172に定義され、MPEG−2はISO/IEC/13818に定義されている。入力信号は、これとは別に、このような標準にしたがって既にエンコードされたものでもよい。
【0028】
記録装置は、前置ユニット31を介して2次マークを書き込むためビーム22を制御するため2次輻射線制御手段36が設けられる。2次マークにエンコードされる追加情報はフォーマッターにより及び/又は制御ライン26を介して与えられる。2次マークのマーク幅は以下に説明するように、書き込み出力を制御することにより制御される。一つの実施形態において、輻射線ビームは、高速スイッチング光学要素により制御され、例えば、対物レンズの開口数を変え、これにより半径方向のスポットサイズを変えるようにしている。例えば、液晶セル(LC)の形態のスイッチング光学要素は、開口数を適用するため、” Japan Journal of Applied Physics 36, p. 481(1997)”及び
“Japan Journal of Applied Physics 38,
p.1744(1999)”に開示されている。通常、このような要素は、スキャンスポットの質を改善するために使用されるが、それらは、より広いマークを書き込むためよりぼやけたスポットを生じるように切り換えることができる。一つの実施形態において、光学要素の切り換えは輻射線ビームのレーザー出力を適合させるため記録ストラテジーと組み合わせられる。その結果、2次マークは 図3〜7を参照して更に明らかにされる主情報を表す主マーク強度とは実質的に異なる2次マーク強度を持つ。主マークは、チャンネルコードによって決定されるように、所定の範囲のマーク長を持つ。例えば、CDにおいて、マークは、主データクロック周期に対応する3〜11チャンネルビット長を持つ。2次マークは検出の間に分離可能なように、最も長い主マークより実質的に長い長さを持つ。しかしながら、2次マークリードユニット32に洗練された信号処理を用いることにより、より短い2次マークが追加データチャンネルのデータ容量を増やすために使用できる。2次マークは主マークと同じトラックの部分に記録されることを留意されたい。マークは異なる時間に記録することができる。一回書き込み材料(CD−Rのような染料型)を使用すると、2次マークは主マークの記録前、或いは記録中に記録することができる。ある実施例においては、書き換え可能な材料として輻射線制御手段29,31には消去不可の記録ストラテジーが与えられる。相変化材料に書き込む間、通常、以前に記録されたマークを消去するために消去出力がマークの記録の間に加えられる。したがって、このような書き込みストラテジーがいわゆる直接上書き原理を可能とし、このことは既に書き込んだデータは新しいデータ(マーク)を書き込んでいる間に消されることを意味する。既に書き込んだデータの消去を確実にするため、消去出力がマークを書き込むためのパルストレインの間に供給される。特定の消去不可記録ストラテジーは既に2次マークを含むトラックの一部にマークを書き込むために適合される。このケースでは、例えば、マークを書き込むためのパルストレインの間に消去出力は加わらない。記録媒体の一つの実施形態において、相変化材料の結晶化特性は比較的遅い書き込み輻射線に応答して比較的遅い結晶化挙動が得られるように特に設計される。これは既に記録された2次マークはトラックの同じ領域に更にマークを書き込むことによって容易に消去されないという利点を持つ。一つの実施形態において、2次輻射線制御手段36は相変化材料を書き込むための特別の2次記録ストラテジーが与えられる。この特定の2次記録ストラテジーは、すでに主マークを含んでいるトラックの一部に2次マークを書き込むために適用される。2次マークを書き込むためパルストレインの間に消去パワーは加わらない。2次マークを書き込むため、以前に記録したいかなるマークを消去するために分離した消去ステップを要求するようにしても良いことは留意されたい。他の実施形態において、主マークと2次マークは一書き込みサイクルにおいてディスクに同時に書き込まれる。これは、例えば、比較的遅い相変化材料で可能で、この場合の遅いは以前に書き込んだ再結晶化(消去)が遅い速度で進行することである。もし、ディスクがより速い書き込み速度で書き込まれるときは、主マークを書き込むためのパルストレインの間に比較的高い消去パワーを適用することにより、2次マークを主マークと同時に書き込むことが可能となる。
【0029】
図3は2次マークと反射レベルを示す。図の下方に、主マーク40と2次マーク41が示される。図の情報には、その結果としての反射量が示される。第1の反射レベル42はトラックの記録されていない部分に対応する最も高いレベルである。第2の反射レベルは43は低く、2次マーク41だけを持つトラック部分に対応する。第3のレベル44は最も低く、主マーク40を持つトラック部分に対応する。記録輻射線ビームの書き込み出力を所定の出力レベルに制御することにより種々のレベルの反射量が達成される。
【0030】
図4はマーク及び2次マークの実際の強度の例を示す。マークと2次マークはブルーレイディスクにブルーレイディスク記録条件において書き込まれる。第1の書き込みサイクルにおいて、長くて狭いI100
2次マークが5.28 m/s の速度で記録され、マークI100は1920 ns の長さで、これは約10000nm のマークの長さに対応する。2次マークは低い書き込み出力(1.5mW)でディスクに書き込まれる。第2の書き込みサイクルでは、短いI8
主マークがより高い書き込み出力(5.5mW)で同じトラックに書き込まれ、これは図3のパターンに対応している。得られるデータパターンの反射トレースは図4の左側トレース50に示される。低周波数変調がブロックパターンとともに書き込まれ、トラックの反射量の急激な変化として現れる。書き込みストラテジーの一つの実施形態において、書き込み出力の緩やかな変化により、より緩やかな反射量の変化が適用される。その結果が図4の右側のトレース51として示される。
【0031】
図5は書き込みトラックの出力スペクトルである。トラックにおけるI100-I8パターンに対応する測定されたトラックの第1のトレース52が図4に示されている。2つの主ピークが260kHzと
4.125 MHzにあり、これらは、夫々、I100と I8 キャリアに対応している(高調波も見ることが出来る)。更に、2次トレース53内に2次マークにエンコードされたランダムデータを持つスペクトルが図に示されている。データはI100
マークに重畳され、再びI100周波数(及び高調波)が明確にスペクトルに見ることができる。この例は高周波主データから2次マークによる低周波数成分を分離することが可能となることを示している。
【0032】
図6は2次マーク、適用される主マーク及び反射レベルを示している。図6の下方部分は2次マークのないトラック部分の主マーク40と2次マーク41を持つトラック部分にある適合された主マーク45を示している。図の上部には反射レベルが示されている。第1の反射レベル42は最も高いレベルでトラックの記録されない部分に対応している。第2のレベル46はより低く、2次マーク41のみを持つトラックの部分に対応している。第3のレベル44はさらに低く、主マーク40のみを持つトラック部分に対応している。第4のレベル47は最も低く、適合された主マーク45を持つトラック部分に対応している。主マークは2次マークも持つトラック部分においてより広くなるように適合される。
【0033】
図7は2次マークの反射と適合された主マークを示す。反射トレース71は良好な信号対称、即ちピーク値と平均値の差が非常に小さい。この測定されたトラック反射トレース71は図6で説明したトラックのパターンに対応している。このケースでは、適合された主マーク(6.2 mW 書き込み出力)間では2次マークは主マーク間で”グレイ”スペースを形成し、1.5mW 出力で書き込まれる。通常のマーク(5.5mW 書き込み出力)間では、”ノーマル“なホワイトスペースが書き込まれる(バイアスレベル出力)。
【0034】
図8は書き込みストラテジーを示す。書き込みストラテジー81の模式レイアウトは主マーク(HF)と2次マーク(LF)の組合せを書き込むための出力レベルを持つ。得られるデータ信号82は2次マークによるLF変調とHF主データによる変調を持つ。2次マークを持たないトラック部分を記録するため、Pi-レベル83は通常の主マークを記録するための基準出力レベルで、P2-レベル84はノーマルスペース(バイアスレベル)を記録するための出力レベルである。P3-レベル85は2次マークを持つトラック部分により広い主マークを記録するための出力レベルで、P4-レベル86は主マーク間に2次マークを記録するための出力レベルである。通常は、出力レベルは以下の関係にある:P2-レベル<
P4-レベル<P1-レベル<P3-レベル。一つの実施態様において、個々の出力レベルは、(P1-レベル、P2-レベル)及び(P3-レベル、P4-レベル)の両方の領域においてHF信号の非対称を最小とするように反転する。
この書き込みストラテジーの結果は前述の図7に示されている。一つの実施態様において、(P1,P2)から( P3,P4)のレベルセッティングへの変化は、除除になされる。これは、境界領域でのビットエラーを減少させる効果がある。
【0035】
本発明は、主相変化型の光学ディスクを使用した実施例によって説明したが、本発明は、また、矩形の光学カード、光磁気ディスク又はトラックにマークを書き込む他のタイプの情報貯蔵システムにも適している。この文書においては、用語「有している」(comprising)は他の要素又は挙げられた以外のステップの存在を排除するものではなく、また、要素の前にある用語「一つの」(’a’, ‘an’)は、その要素が複数存在することを排除するものではなく、参照符号はクレームの範囲を制限するものでなく、また、本発明はハードウエア及びソフトウエアの両方の手段によって適用されるものであり、いくつかの「手段」(means)又は「ユニット」(unit)はハードウエア又はソフトウエアの同じアイテムによって表現できるものである、ということを留意されたい。更に、本発明の範囲は実施例に限定されるものではなく、本発明はこれまで述べた全ての新規な態様又はそれらの組合せに存在するものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】ディスク型記録媒体を示す図である。
【図1b】記録媒体の断面を示す図である。
【図2】マークを記録し及び/又は読み取るためのスキャン装置を示す図である。
【図3】2次マークと反射レベルを示す図である。
【図4】マークと2次マークの実際の強度の例を示す図である。
【図5】書き込まれたトラックのパワースペクトルを示す図である。
【図6】2次マーク、適合された主マーク及び反射レベルを示す図である。
【図7】2次マークの反射率と適合された主マークを示す図である。
【図8】ライトストラテジーを示す図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上のトラックに輻射線ビームによってマークを書き込むことにより情報を記録するための装置であって、
ビームを与えるヘッドと、
前記トラックの選択された領域にマークを書き込むために前記ビームを制御するための輻射線コントロール手段であって、前記マークは主マーク強度と所定のマーク長さ範囲のマーク長さを持つ、輻射線コントロール手段と、
前記トラックの同じ選択された部分に2次マークを書き込むために前記ビームを制御するための2次輻射線制御手段であって、前記2次マークは前記主マーク強度とは実質的に異なる2次マーク強度と、前記所定の範囲のマーク長さより実質的に長い長さを持つ、2次輻射線制御手段と、
を有する装置。
【請求項2】
前記2次輻射線制御手段は、トラックの選択された領域部分に2次マークだけを書き込むためにビームを制御するように適合されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記2次輻射線制御手段は、前記情報の記録の期間に前記マークと前記2次マークの組合せを書き込むようにビームを制御するように適合されている請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記2次輻射線制御手段は、2次マークを持つトラックの領域に位置するマークが、2次マークを持たないトラック領域に位置する主マーク強度と異なる主マーク強度を持ち、該差異が、スキャン信号における主マークと中間スペースとの間のレベルの差異がトラックの両方の領域で実質的に等しくされるようにマークの組合せを生成するためにビームを制御するように適合される請求項3に記載の装置。
【請求項5】
2次輻射線制御手段は、輻射線ビームの書き込み出力を前記マークを書き込むための書き込み出力より実質的に低い2次レベルに制御することにより2次マークを書き込むように設けられている請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記2次輻射線制御手段は、特に調整可能な光学要素によりビームの形を制御することにより2次マークを書き込むために設けられる請求項1に記載の装置。
【請求項7】
トラック内のマークにより表現される情報を保持する記録媒体であって、少なくともトラックの一部にある前記マークは主マーク強度と、所定のマーク長さの範囲にあるマーク長さをもち、前記トラックの同じ部分は、更に、前記主マーク強度とは実質的に異なる強度を持つ2次マークを有し、前記2次マークは前記所定の範囲のマーク長さより実質的に長い長さを持つ、記録媒体。
【請求項8】
前記異なる2次マークの強度は、前記マークより有効的に狭い2次マークによって形成される請求項7に記載の記録媒体。
【請求項9】
記録媒体上のトラックに輻射線ビームによりマークを書き込むことにより情報を記録する方法であって、
−トラックの選択された部分にマークを書き込むためにビームを制御するステップであって、前記マークは主マーク強度と所定のマーク長さ範囲内のマーク長さを持つ、ステップと、
−前記トラックの同じ選択された部分に2次マークを書き込むためにビームを制御するステップであって、前記2次マークは前記主マーク強度より実質的に異なる強度の2次マーク強度と前記所定の範囲の長さより実質的に長い長さを持つ、ステップを有する方法。
【請求項10】
前記トラックの選択された部分を2つ分離したスキャンの間に、前記マークの書き込みの制御は第1の時点で実行され、前記2次マークの書き込みは異なる時点で実行される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
記録媒体上のトラックから輻射線ビームにより、マークによって表現される情報と2次マークによって表現される追加情報を読み取るための装置であって、前記マークは主マーク強度と所定のマーク長さ範囲内もマーク長さを持ち、前記2次マークは前記主マーク強度とは異なる2次マーク強度と前記所定のマーク長さの範囲外の長さを持ち、前記マーク及び前記2次マークは前記トラックの同じ選択された部分にあり、前記装置は、
−ビームを供給するヘッドと、
−スキャンする間、前記マークと前記2次マークを検出するためのスキャン信号を生成する前置ユニットと、
−前記スキャン信号から情報を取り出すためのリードプロセッシングユニットと、
−前記スキャン信号から前記2次マーク中にエンコードされた追加情報を取り出すための2次リードユニット、を有する装置。



【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−512701(P2006−512701A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563422(P2004−563422)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005586
【国際公開番号】WO2004/059621
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】