説明

ミツガシワ(Menyanthestrifoliata)の葉抽出物を含む老化防止組成物とその使用方法

ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉で同定される活性物質(ここで該活性物質は、MMP-1、2、及び9の1種以上の阻害物質である及び/又はペルオキシ亜硝酸の除去物質である)の皮膚有効量を含む老化防止組成物。また、加齢による老化又は早期老化の徴候について皮膚を治療することを含む、そのような組成物を用いる方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、老化防止スキンケア組成物及び方法に関する。特に本発明は、ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉の抽出物を含む新規な老化防止組成物、及び加齢による老化又は早期老化の徴候を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
フリーラジカル損傷
ヒトの皮膚細胞中の腐食性の反応酸素種(ROS)の産生が正常な細胞機能の結果として起こるが、細胞は本来フリーラジカルを低下させる抗酸化物質を含み、従って細胞への損傷を防止するか又は制限することはよく知られている。多くのROSが同定されており、これらにはヒドロキシルラジカル、過酸化水素、過酸化物、一重項酸素、スーパーオキシド、及び酸化窒素などがある。反応酸素種の病的な産生(酸化的ストレスとしても知られている)はまた、ヒトの皮膚細胞でも起き、その際、細胞中の抑制されないレベルのROSが、細胞成分を損傷し、細胞機能を損なう。充分に損傷された細胞は、エネルギー産生の低下、老化、ミトコンドリアDNAの突然変異、細胞膜機能の変化、及びアポトーシス機構の欠陥を示すことがある。最終的には、こうして損傷された細胞は周囲組織(すなわち皮膚)中に蓄積し、組織及び個体に悪影響を与える。特に皮膚組織は、自身を治癒又は修復する能力が低下し、コラーゲン産生が大きく低下することがある。最終的にこれらの影響が、外見に線、しわ、しみ、及び老化の他の徴候として現れるかもしれない。
【0003】
皮膚では、天然の抗酸化物質が年齢とともに減少し、その結果、細胞の正常な防御機構がフリーラジカルの産生に追いつかなくなることがある。このアンバランスは遺伝的要因の結果であり、皮膚におけるその結果の目に見える兆候は、加齢による老化と呼ぶこともある。一方、アンバランスは、外部要因に誘導されるフリーラジカルの過剰産生によっても発生するか又は悪化することがある。例えばUV曝露により、損傷を受ける前に細胞の天然の防御機構によって中和できない量のROSが生じうることがよく知られている。その結果、種々の損傷を有する皮膚細胞が組織内に蓄積される。加齢による老化に対して、UV曝露の集合的な悪影響は光老化として知られている。他の外部要因(喫煙、公害、心理的ストレス、皮膚疾患、血管疾患、アレルギーなど)が、皮膚で過剰のフリーラジカルの病的状態を創出することがある。
【0004】
病因に関わらず、老化した皮膚の典型的な徴候は、コラーゲン産生の低下及び既存のコラーゲンの減衰から生じる弾力の喪失である。コラーゲンは繊維状構造のタンパク質であり、結合組織の細胞外マトリックスの主要な成分である。コラーゲンはヒトの皮膚の強度と弾力に寄与し、その減衰は、例えばしわ(浅い小しわ、及び粗く深いしわを含む)、線、裂け目、こぶ、毛穴の拡張、皮膚弾力の鱗状、フレーク状喪失(scaliness, flakiness loss)、たるみ(目の周り及び下顎のむくみを含む)、皮膚の締まりの喪失、バリア性の低下、変色(目の下のくまを含む)、斑点、黄ばみ、斑状色素沈着、染み、そばかす、角化症、異常分化、超角質化、弾力線維症、毛細血管拡張症、及び角質層、真皮、表皮、皮膚血管系の他の組織学的変化を含む、皮膚の外観及び/又は機能の変化を引き起こす。
【0005】
皮膚へのUV照射の悪影響を低下させるために多くの試みがなされている。日光による皮膚の光老化を防ぐために、日焼け止め剤が一般的に使用される。日焼け止め剤は、UV光を吸収、反射、及び/又は分散する成分を含有する局所用製剤である。一部の日焼け止め剤は、酸化亜鉛、酸化チタン、クレー、塩化第二鉄を含む不透明の粒子状物質である。しかしこのような製剤は目に見えかつ閉塞性であり、多くの人はこれらの不透明の製剤を美容上受け入れがたいと考えている。他の日焼け止め剤は、皮膚上で透明又は半透明の化学物質、例えばp-アミノ安息香酸(PABA)、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン(octocrylene)、メトキシケイヒ酸オクチル、及びブチルメトキシジベンゾイルメタンなどを含有する。これらのタイプの日焼け止め剤は美容上より受け入れられるものであるが、これらは依然として比較的短寿命であり、洗浄又は発汗により取り除かれやすい。さらに当該分野では皮膚に塗布するための天然起源のスキンケア成分を提供する継続的な流れがある。日焼け止め剤が広く使用されているにもかかわらず、光老化は深刻な健康問題のままである。
【0006】
MMP-1,2及び9のアンバランス
皮膚の細胞外マトリックス(ECM)は皮膚に強度と完全性を付与する。マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、ペプチド結合を分解し、それによってECMの主要な成分であるコラーゲンを分解することができるプロテアーゼである。MMPは、皮膚の自己メンテナンスの一部として正常な分解とリモデリングにおいて役割を果たす。しかしMMPの過剰活性化は病的状態を引き起こすか又はこれを悪化させて、組織機能及び/又は構造を喪失させる。種々のタイプのMMPがあるが、最近、皮膚細胞外マトリックス、創傷治癒、炎症、酸化的ストレス(UV曝露に関連する酸化的ストレスを含む)のリモデリングの分野で特定のMMPの役割が注目されている(例えば“Metalloproteinase Inhibitors” Thibodeau, A., Cosmetics & Toiletries, 2000; 115: 75-80参照)。MMP-1、MMP-2、及びMMP-9として特定される3種のMMPが皮膚の細胞外マトリックスに特に関連しており、正常な及び病的な組織のリモデリングにおいて役割を果たしている。2つの理由のためにMMP-1、2、及び9は特に興味深い。第1に、これらのMMPが作用する基質は、皮膚のまさに構造成分であるからであり、そして第2に、皮膚はこれらのMMPの病的状態を誘発させる因子(すなわち、炎症、酸化的ストレス、及びUV曝露)に連続して曝露されるからである。従って、これら3種のMMPの選択的阻害が有益で、かつメタロプロテイナーゼの一般的な標的化と比較してより効率的であることが分かる。
【0007】
皮膚の細胞外マトリックスの主要な成分は糖タンパク質を含み、細胞外マトリックス中のほとんどの糖タンパク質はコラーゲンである。MMP-1(間質コラゲナーゼとしても知られている)によるコラーゲンの酵素的分解は何十年も前から知られている。MMP-1は三重らせんコラーゲンを分解する能力が重要である。MMP-1はI型コラーゲンを優先的に切断し、こうして皮膚コラーゲンの分解と創傷治癒において重要な役割を果たす(“Induction of matrix metalloproteinase-1 in in vitro experimental wound model using a novel three-dimensional culture system”、Kan et al., Eur J Dermatol 2001 Mar-Apr; 11(2): 112-6を参照)。喫煙者では非喫煙者に比較して、MMP-1の強い誘導がみられる(“Matrix metalloproteinase-1 and skin ageing in smokers” Lahmann, et al., Lancet 2001 Mar 24: 357(9260): 935-6、及び“Skin aging induced by ultraviolet exposure and tobacco smoking” Yin et al., Photodermatol Photoimmunol Photomed 2001 Aug; 17(4): 178-83を参照)。
【0008】
MMP-2(ゼラチナーゼA又は72kDa IV型コラゲナーゼ)及び9(ゼラチナーゼB又は92kDa IV型コラゲナーゼ)はIV型コラーゲン(これは基底板に会合しており、外皮の上皮を支持する)を分解する。MMP-2及びMMP-9の両方とも酸化的ストレスにより活性化されることが示されている(“Oxidative stress regulates collagen synthesis and matrix metalloproteinase activity in cardiac fibroblasts” Siwik et al., Am J Physiol: Cell Physiol 2001 Jan; 280(1): C53-60を参照)。これらはまた創傷治癒の間に発現されることが知られている(“Expression of matrix metalloproteinase-2 and -9 during early human wound healing” Salo et al., Lab Invest 1994 Feb; 70(2): 176-82、及び“Functional overlap between two classes of matrix-degrading proteases in wound healing” Lund et al, EMBO J 1999; 18(17): 4645-56を参照)。さらに、MMP-9も炎症の間にアップレギュレートされる(“TNFα Upregulated MMP-9 Secretion by Human Keratinocytes Via MAPK and NF-κB Activation” Holvoet et al., ESDRでの発表、Geneva, 2002)が、MMP-2は基底膜の特異的分解と基底膜の完全性の破壊において大きな役割を果たす(“Critical appraisal of the use of matrix metalloproteinase inhibitors in cancer treatment” Zucker et al., Oncogene 2000 Dec 27; 19(56): 6642-50を参照)。
【0009】
さらに、MMP-1、2、及び9は、UV照射への曝露により活性化しうることが報告されている。特にMMP-1と2はUVAにより活性化され、MMP-1と9はUVBにより活性化される(“Metalloproteinase Inhibitors” Thibodeau, A., Cosmetics & Toiletries, 2000; 115: 75-80を参照)。MMP-2 UVAの活性化はin vitroで観察された。UVB曝露は皮膚繊維芽細胞にMMP-1を過剰産生させることが報告されている(“Direct Role of Human Dermal Fibroblasts and Indirect Participation Of Epidermal Keratinocytes In MMP-1 Production After UVB Irradiation” Fagot et al., Arch Dermatol Res, 2002: 293: 576-83を参照)。
【0010】
MMPは不活性型(すなわちproMMP、又はチモーゲンとしても知られている)で合成され、コラーゲン分解が起きる前に活性化されなければならない。いったん活性化されると、MMPはメタロプロテイナーゼ(又はTIMP)の組織阻害物質(これはMMP酵素活性をブロックすることができる)により調節される。健常なヒト皮膚のモデルでは、MMP活性化とMMP阻害とが共働的に起きて、皮膚の自己メンテナンスの一部としてコラーゲン分解の正しいレベルが維持される。実際には、一生を通じて、MMP活性化と阻害のバランスは、徐々に活性化の方に傾く。このバランスの傾きは、外部要因とは別に、固有の(遺伝的)老化プロセスの結果として起きる。年齢とともにMMP活性化速度が上昇し、TIMP-1とTIMP-2の産生速度が低下する。すなわち年齢により細胞外マトリックスの完全性が喪失し、これに関連する目に見える老化徴候を引き起こすことが避けられないようである。しかし、より若い皮膚でさえ、MMP活性化と阻害のバランスが外部要因(例えば酸化的ストレス、UV曝露、炎症、タバコの使用など)によって活性化に傾くことがある。上述の通り、これらのいずれかへの慢性的な曝露は、MMP-1、2、及び9の1種以上の活性化を引き起こす。このタイプの活性化は正常な組織リモデリング機構外にあり、従ってこれに対応するMMP阻害物質の動員によっては完全には調節されない。このアンバランスは、ヒトの皮膚に悪影響を与え、早期老化の徴候として明確に現れる。
【0011】
ペルオキシ亜硝酸損傷とMMPアンバランス
上記2種の反応酸素種(スーパーオキシド及び酸化窒素)は、病理的状態下で反応して、それ自体強力な反応種であるペルオキシ亜硝酸を生成する。ペルオキシ亜硝酸は制限されないと、細胞内で多くの有害作用を引き起こすことが知られている。これらには、DNA損傷、細胞増殖の阻害、及び高濃度では細胞毒性がある。これらのペルオキシ亜硝酸の悪影響には、ペルオキシ亜硝酸がMMPとproMMPとを活性化するという所見(in vitro)が加えられる(“Enhanced Vascular Permeability In Solid Tumor Involving Peroxynitrite And Matrix Metalloproteinases” Wu et al., Jpn J Cancer Res, 2001; 92: 439-51を参照)。
【0012】
このように上記状況は、UV曝露が高濃度の毒性フリーラジカルを発生させ、これがヒトの皮膚への一連の損傷(新しいコラーゲン産生の低下を含む)を引き起こすというものである。さらにUV曝露はMMP産生のアンバランスを直接引き起こし、存在するコラーゲンの過度の分解が起きる。そして最終的には、さらに悪いことに、2種のUVに誘導されるフリーラジカルが反応してペルオキシ亜硝酸を生成し、これがさらにMMP活性化を助長して、より一層のコラーゲン喪失に導く。フリーラジカルを除去するだけでも、皮膚のある程度の防御となるであろう。同様に、MMP-1、2、及び9の過剰産生の阻害は、ペルオキシ亜硝酸除去がなくても、皮膚のある程度の防御となるであろう。しかしMMP及びペルオキシ亜硝酸の過剰産生の悪循環に対する最大の防御は、両有害因子を攻撃することである。すなわち、皮膚特異的、UV特異的なMMP(1、2、及び9)を阻害し、かつ患部からペルオキシ亜硝酸を除去することにより、コラーゲンの低下から皮膚を防御できる新規組成物についてのニーズがある。いずれの理論にも拘束されるものではないが、皮膚特異的、UV特異的MMP(1、2、及び9)の低下及び/又は阻害、並びに患部からのペルオキシ亜硝酸の除去は、コラーゲンの喪失又は低下に抵抗し、上記の老化の徴候を予防、低下、回避、逆転、又は治療するのに非常に有益であると考えられる。
【0013】
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)(ボグビーン、バックビーン、ビターワーム(bitter worm)などとしても知られている)は、ヨーロッパの沼地や湿地で一般的であるが、浅水で栽培することもできる。これは、肝臓、胆嚢、血液産生の機能不全、ならびに頭痛、リウマチ、壊血病、発熱、三叉神経痛、胃炎、及び全身疲労を治療するための経口サプリメントとして使用されている。ミツガシワは消化液や胆汁流量に対する顕著な刺激作用を有することが報告されている。従ってこれは、消化の停滞、消化不良、並びに肝臓及び胆嚢の問題に起因する衰弱状態に役立つ。味が苦いが、ミツガシワはまた、消化不良や肝臓の機能低下を治療するためのお茶としても使用される。ミツガシワはまた、腺腫脹を解消するための外用剤としても推奨されている。しかし不思議なことに、局所塗布が炎症及びうっ血を引き起こすことが報告されている。その使用は、かすみ目及び発熱を伴う頭痛を引き起こすことが報告されている。
【0014】
US5,529,769は、ベツリン酸を含有する化粧品組成物を開示する。ベツリン酸は、多くの植物源(ミツガシワも言及される)から得られることが開示されている。この文献は、ベツリン酸を抽出するのに使用できる多くの溶媒も列記する。しかしこの文献は、ベツリン酸を抽出するのにミツガシワにおいてどの溶媒が使用できるかを特定していない。さらに重大なことに、この文献はベツリン酸を抽出できる植物の部分を特定していない。この点については“Biologically Active Pentacyclic Triterpenes And Their Current Medicine Signification” Patocka, J., Journal of Applied Biomedicine, 1:7-12, 2003 (ISSN 1214-0287)を参照されたい。この文献は「ベツリン酸は多くの植物種で見出される。しかしその含量は少ない。湿地植物であるミツガシワはまれな例外である(Huang et al. 1995)。その地下部分は多量の遊離ベツリン酸を含有する・・・」と記載している。「地下部分」は、ミツガシワの根及び根茎を指す。「地下部分」は、明らかに本発明の関心である葉を指していない。さらに“Dr. Duke’s Phytochemical and Ethnobotanical Databases”を参照されたい(US Agricultural Research Serviceのウェブサイト、http://www.ars-grin.gov/duke/でアクセス)。このデータベースにおいて、ベツリン酸の登録は、ベツリン酸がミツガシワの根と根茎で見出されており、葉では見出されていないことを立証している。
【0015】
本出願人は、ミツガシワの葉の抽出物(Monteloederから提供された)で作製された組成物をベツリン酸の存在について分析した。HPLC分析の結果は、組成物中にベツリン酸が存在しないこと、従って少なくとも使用された装置の検出限界(生成物1gあたり3μg)まではミツガシワの葉抽出物中にベツリン酸が存在しないことを立証している。このようにUS5,529,769は、ミツガシワの葉抽出物を含む組成物及び皮膚の老化の治療におけるその使用を開示しておらず、示唆さえしていない。従って'769文献では、ミツガシワの葉抽出物中で同定される特定の活性物質の皮膚有効量を含む老化防止組成物を教示も示唆もしていない。
【0016】
US6,482,857、US6,124,362、及びUS6,451,777はすべて、ベツリン酸を含む発毛を調節するための組成物または方法を開示している。ベツリン酸はミツガシワから得ることができることを開示している。ミツガシワからの抽出方法は開示されず、ベツリン酸を抽出しうる植物の部分も特定されていない。先行技術がミツガシワの根及び根茎をベツリン酸の供給源として特定していることを考えれば、これらの文献のいずれもミツガシワの葉抽出物で特定される特定の活性物質の皮膚有効量を含む化粧品組成物を教示も示唆もしていない。
【0017】
JP07-061916は、コウジ酸及び1種以上の植物抽出物を含む皮膚外用剤を開示し、バックビーン(ミツガシワ)の植物抽出物が言及されている。この組成物は、「コウジ酸及び/又はその誘導体を特定の植物抽出物と組合せて使用して、コウジ酸及び/又はその誘導体の細胞増殖活性を相乗的に増強することにより、老化皮膚に対する優れた弾力回復活性」を有すると記載されている。本発明と同様に、この文献は具体的にUV曝露による皮膚弾力の喪失を逆転させることに関する。本発明と異なり、この文献は「特定の植物の抽出物を一緒に使用することにより、コウジ酸又はコウジ酸誘導体の細胞増殖作用を倍数的(すなわち相乗的)に上昇させる」ことが焦点である。この文献は、特定の植物抽出物(ミツガシワ)それ自身が、記載の活性のいずれかを有することを特に明示していない。むしろ、植物抽出物とコウジ酸との組合せがコウジ酸の活性をいくらか増強することを示している。従って、この文献では、ミツガシワの葉抽出物に由来する活性物質の皮膚有効量を含み、活性物質がフェノール酸、クマリン、及びフラボノイドよりなる群から選択される化粧品組成物を教示も示唆もしていない。
【0018】
現在までに、ミツガシワで同定される活性物質の皮膚有効量を含み、該活性物質がフェノール酸、クマリン、フラボノイド、及びこれらの混合物から選択される、老化防止組成物は、当該分野で知られていない。さらに、ミツガシワの葉抽出物の皮膚有効量を塗布することを含む、皮膚の老化徴候を低下させる方法は知られていない。
【発明の概要】
【0019】
発明の概要
本発明は、ミツガシワの葉抽出物の皮膚有効量を含む老化防止組成物を含む。この抽出物は、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1、2、及び9の活性を阻害するのに有効な及び/又はペルオキシ亜硝酸を除去するのに有効な量の特定の活性物質を含んでいる。これらの活性物質として、特に限定されないが、特定のフェノール、クマリン、及びフラボノイドなどが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
実施例や比較例を除いて、又は特に明記されなければ、反応の物質量もしくは物質比、反応条件、物質の物理的性質及び/又は使用を説明する記載中のすべての数は、「約」という単語で修飾されるものと理解すべきである。特に明記しない場合は、すべての量は最終組成物の重量である。
【0021】
本明細書に記載の組成物は、老化の徴候の治療方法において特に有用である。本明細書で使用する「老化の徴候を治療する」は、上記の老化の徴候の予防、低下、回避、逆転又は治療を含み、その原因が加齢による老化であるか又は早期老化であるかを問わない。
【0022】
本明細書で使用する「皮膚有効」は、抽出物がマトリックスメタロプロテイナーゼ-1、2、及び9の活性を阻害するのに有効な及び/又はペルオキシ亜硝酸を除去するのに有効な量の特定の活性物質を含むことを意味する。
【0023】
本発明は、メニアンテス(Menyanthes)の葉の抽出物が、UV照射の悪影響に対して皮膚細胞を防御する驚くべき能力を有するという知見を前提とする。具体的には、驚くべきことに、メニアンテスの葉の抽出物が、UV損傷に関与する特定のマトリックスメタロプロテイナーゼを効果的に阻害し、さらに反応酸素種(ROS)を除去することが見出された。問題のROSは、proMMP活性化に関連しているが、酸化的ストレスを介して皮膚を劣化させ、従って皮膚に対して二重の脅威を与えることも知られている。特に、いずれの理論にも拘束されるものではないが、かかる植物抽出物は皮膚コラーゲンを劣化させるMMP-1、2、及び9を阻害及び/又は低下させることにより、さらにペルオキシ亜硝酸を除去しながら、UVに誘導される皮膚損傷及びこれに関連する酸化的ストレスに対して防御すると考えられる。従って本発明の組成物は、MMPを低下させ、ROSを除去する点で、二重の利益を提供するであろう。
【0024】
実験(実施例3を参照)が示すように、MMP-1、2、及び9を阻害することができる主要な活性物質又は有効成分は、ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉から抽出される特定のフェノール酸、フラボノイド、及びクマリンであることが本明細書中で示される。さらに、ミツガシワの葉抽出物中に存在する特定の活性物質であるフェノール酸が、フェルラ酸及びプロトカテク酸であることが本明細書で示されている。特定の活性物質であるフラボノイドは、クエルセチン、イソクエルセチン、及びルチンである。特定の活性物質であるクマリンはスコパロン及びスコポレチンである。
【0025】
メニアンテスの成分は種々のタイプの生物活性を有することが報告されているが、ミツガシワの葉抽出物が特異的なMMP-1、2、及び9阻害活性を示すこと、及び具体的に命名されているフェノール酸、フラボノイド、及びクマリンがかかる活性に主に関与しているということは予想外であった。さらに特定のフェノール酸、フラボノイド、及びクマリンは、本明細書においてMMP-1、2、及び9の阻害を達成する上での本質的な活性成分であることが示されているが、いくらかの寄与活性を有することができる追加の成分が(それ自体は非常に有効である必要はないが)植物抽出物中に存在してもよい。
【0026】
好適な実施形態において、ミツガシワ(Menyanthes trifoliata L.)の抽出物が使用される。メニアンテスの他の種も有用であると考えられ、例えばcristata Roxb.、hydrophylla Lour.、indica、meridionalis Willd. ex Griseb、nymphoides L.、ovata L. f.、pumila Douglas ex Griseb.、punctata Muhl. ex Griseb及びtrachysperma Michx、並びにこれらの組合せなどが挙げられる。好適な実施形態において、ミツガシワ(Menyanthes trifoliata L.)が使用されるが、他の亜種、特に限定されないが、trifoliata fo. Brevistyla Aver.、trifoliata var. minor Michx. Ex Raf.、trifoliata subsp. Trifoliata、trifoliate var. trifoliata 及び trifoliata subsp. Vernaなども有用でありうる。
【0027】
「ミツガシワ抽出物」は、いくつかの異なる活性成分を含有しうる多くの異なる化学組成物を説明する一般的用語である。多数の抽出物が市販されており、これらのいずれも本発明で有用であると考えられる。しかし特に使用に適したものは、スペインのMonteloederから入手可能なミツガシワ(Menyanthes trifoliata L.)の抽出物である。本明細書において使用される用語「メニアンテス(Menyanthes)抽出物」は、メニアンテス抽出物自体のみならず、上記のような活性成分の一種以上が添加された組成物も包含する。そのような追加の活性成分は、合成起源でも天然起源でもよく、メニアンテスからでも又はメニアンテス以外の材料からでもよく、メニアンテス抽出物の使用について記載されたものと同等の量であることができる。
【0028】
特定の活性物質であるフェノール酸、フラボノイド、及びクマリンを含有するメニアンテス抽出物は、当該分野で公知の方法に従って、植物部分と適切な溶媒とを接触させることにより最も容易に得られる。溶媒は抽出されるべき活性成分の性質に基づいて選択されるべきである。最終的に抽出物を溶媒から単離することができる。特に好適な溶媒は、アルコール、酢酸エチル、及びジクロロメタンである。実施例に示すように、これらの溶媒は、MMP-1、2、及び9を阻害し、かつペルオキシ亜硝酸を除去するのに必要な特定の活性成分を保持するミツガシワの抽出物を与える。溶媒の濃度は当業者が調整することができ、抽出は収量を増加させるために同じサンプルについて繰り返すことができる。アルコール、酢酸エチル、又はジクロロメタン抽出物は、特定の活性成分以外の要素を含有するであろう。しかし抽出物はさらに精製することなく使用してもよいし、或いは、抽出物から特定の活性成分を単離してもよい。
【0029】
本発明の組成物の総重量に基づき、組成物は0.001〜15重量%の活性成分(抽出物に添加されたものであるか単離形態であるかを問わない)を含む。コスト又は他の要因により決定されるが、好適な濃度は、抽出物に添加されたものであるか単離形態であるかを問わず、0.01〜10重量%、最も好ましくは0.1〜5重量%の活性成分の範囲である。広スペクトルの効力を達成するために、本発明の組成物がフェノール酸、フラボノイド、及びクマリンの少なくとも2種からの活性成分を含むことが好ましい。最も好ましくは、本発明の組成物は、フェノール酸、フラボノイド、及びクマリンの3種すべてからの活性成分を含む。特定のフェノール酸の好適な濃度は0.001〜5.00重量%である。特定のフラボノイドの好適な濃度は0.001〜5.00重量%である。特定のクマリンの好適な濃度は0.001〜5.00重量%である。
【0030】
活性成分が抽出物形態で添加されるとき、組成物中のミツガシワ抽出物の濃度は、該抽出物中の活性物質の濃度に依存する。典型的にはアルコール抽出物、酢酸エチル抽出物、ジクロロメタン抽出物、又はこれらの組合せは、活性成分の皮膚有効濃度を提供するために、組成物の0.01〜20重量%の量で使用することができる。しかし、より大きな濃度は本発明の範囲外ではない。
【0031】
別の実施形態において、本発明は日焼け止め剤を含む。適当な日焼け止め剤には、水溶性日焼け止め剤(例えばEusolex232);油溶性日焼け止め剤(例えばメトキシケイヒ酸オクチル);無機日焼け止め剤(例えば二酸化チタン、酸化亜鉛)、及び有機日焼け止め剤(例えばショウノウ誘導体、シンナマート、サリチラート、ベンゾフェノン、トリアジン、PABA誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、及びジベンゾイルメタン誘導体)などが挙げられる。量は所望の製剤及び性能に依存して変化する。日焼け止め剤は組成物の0.1重量%〜50重量%の量で使用することができる。好ましくは、日焼け止め剤は、1重量%〜40重量%、最も好ましくは5重量%〜30重量%の量で使用される。
【0032】
組成物はさらに、皮膚、毛髪、及び/又は爪への局所塗布に適した美容上許容し得るビヒクルを含む。美容上許容し得るビヒクルは当該分野で周知であり、塗布の最終用途に基づいて選択される。例えば本発明のビヒクルには、特に限定されないが、皮膚への塗布に適したものが挙げられる。かかるビヒクルは当業者に周知であり、皮膚への塗布に適した一つまたはそれ以上の適合性液体又は固体の増量希釈剤(filler diluent)又はビヒクルなどを挙げることができる。ビヒクルの正確な量は、当業者がビヒクルとは異なると分類する他のあらゆる任意成分(例えば他の活性成分)のレベルに依存する。本発明の組成物において、ビヒクルは、組成物の約75〜約99.99重量%で含むことができる。
【0033】
本発明におけるビヒクル及び組成物は、非限定的にエマルジョンを含む、多くの手法で調製することができる。例えば適当なエマルジョンには、水中油型、油中水型、水中油中水型、油中水中油型、及びシリコーン中水中油型のエマルジョンなどが挙げられる。好適な組成物には水中油型エマルジョンが挙げられる。
【0034】
本発明の組成物は、広範囲の製品タイプ、例えばシャンプー、クリーム、ワックス、ペースト、ローション、乳液、ムース、ゲル、オイル、トニック、及びスプレーに製剤化することができる。好適な組成物は、ローション、クリーム、ゲル、シャンプー、及びスプレーに製剤化される。これらの製品形態は、特に限定されないが、ハンドローション及びボディローション、コールドクリーム、美顔用モイスチャライザー、にきび抑制剤、局所鎮痛剤、カラー化粧品(ファンデーション、アイシャドー、リップスティックなどを含む)を含む、多くの用途に使用することができる。かかる製品を製剤化するのに必要な任意の追加成分は製品のタイプにより変化し、当業者が慣用的に選択することができる。
【0035】
他の成分
製剤はまた、製剤の担体及び/又は使用目的に応じて選択される成分をさらに含んでもよい。追加の成分には、特に限定されないが、抗酸化剤、キレート剤、乳化安定化剤、保存剤、芳香剤、着香剤、湿潤剤、防水剤、水溶性塗膜形成要素、油溶性塗膜形成要素、保湿剤、例えばコレステロール、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、ビタミン、噴射剤などが挙げられる。
【0036】
組成物は、化粧品組成物又は医薬組成物のいずれかを提供するするための一種以上の追加の活性成分を含有することができる。有用な活性物質の例には、特に限定されないが、しみ、角質移繊維、及びしわを改善又は根絶するもの;鎮痛剤、麻酔剤、にきび抑制剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、ふけ防止剤、皮膚炎抑制剤、かゆみ止め剤、鎮吐剤、抗高角質溶解剤(antihyperkeratolytic agent)、ドライスキン抑制剤、発汗抑制剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、ヘアコンディショナー、及びヘアトリートメント剤、老化防止剤、しわ抑制剤、抗喘息薬、気管支拡張剤、日焼け止め剤、抗ヒスタミン剤、脱色剤(depigmenting agent)、創傷治癒剤、ビタミン類、コルチコステロイド、なめし剤、又はホルモン剤などが挙げられる。
【0037】
本発明の製剤の特に好適な実施形態は、老化防止用製品として使用されるスキンケアローション剤又はクリーム剤である。このために本発明の製剤は、保湿剤、皮膚軟化剤、又は湿潤剤である物質と組合わされる。有用な組合せの例は、オイル、脂肪、ワックス、エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸エトキシレート、グリコール、糖、ヒアルロン酸及びヒアルロナート、ジメチコン、シクロメチコンなどである。さらなる例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary, CTFA, Eighth Edition, 2000中に見出すことができる。
【0038】
老化の徴候を低下させる方法
本明細書に記載の方法は、本発明の組成物の皮膚有効量を投与又は局所塗布することを含んでいる。塗布される組成物の量及び皮膚への局所塗布の頻度は、個体のニーズ及び所望の調節レベルにより大きく変化することがある。皮膚の老化の徴候を美容上又は薬学上治療するための好適な方法は、この新規組成物の皮膚有効量の習慣的な局所塗布による。患者のニーズに従って医薬用量を調節することは、当業者(例えば、皮膚科医又は他の医療提供者)の技術範囲内である。本発明の方法は、毎日使用するのに適している。
【0039】
一例として、局所塗布は、週に約1回〜1日に約2又は3回、好ましくは週に約5回〜1日に約3回、最も好ましくは1日に約1回又は2回の範囲であることが示唆される。以下の実施例は本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉抽出物の抽出スキーム
以下の抽出スキームは、ミツガシワの葉抽出物の性質を研究するのに有用であった。第1の工程で、乾燥した葉にアルコール溶媒が適用された。その後、溶媒の極性は、最も極性が低いヘキサンからジクロロメタン、酢酸エチル、そして最も極性が高いブタノールまで増加する。最終的には、MMP-1、2、及び9阻害に関与する成分はアルコール抽出物中に残る。しかし後述の追加の抽出を行って、有効成分をさらに単離した。これらの抽出物のいくつか(具体的には酢酸エチル及びジクロロメタン)は、適切なレベルの有効成分を有することがわかった。したがって、多くの溶媒を使用して、MMP-1、2、及び9を阻害するミツガシワの葉抽出物を得ることができる。これらの抽出物(アルコール、酢酸エチル、又はジクロロメタン)のいずれも、本発明の組成物及び方法に適している。
【0041】

【実施例2】
【0042】
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉抽出物によるMMPのin vitro阻害
ミツガシワの葉からの数種の抽出物及び細画分を、Sephadex LH20ゲルろ過カラム(実施例1を参照)で液液分配及び分画により調製し、特異的抗MMP活性について評価した。MMP-2及びMMP-9活性のin vitro特異的阻害を、Biomol(登録商標)製のアッセイキットを用いて評価した。組換えヒトMMP-1酵素は任意の業者から入手できる。表1では、MMP阻害はIC50値(すなわち測定されたシグナルの50%低下を引き起こす抽出物の濃度)として表される。従ってより低い値は、より強いMMP阻害を示す。
【表1】

【0043】
上記表1から明らかなように、酢酸エチルとジクロロメタン抽出物で最も高レベルの活性がみられる。これらの2つの抽出物は、MMP-1、2、及び9阻害が顕著により効果的である。3種全てのMMPを阻害するその有効性のために、酢酸エチル抽出物が好ましいかもしれないが、ジクロロメタン抽出物も効果的に使用することができ、本発明の範囲内である。もちろんアルコール抽出物を使用してもよい。
【0044】
Sephadexカラムでの分離による2つの粗抽出物(酢酸エチル及びジクロロメタン)の細分画は、より高い抗メタロプロテイナーゼ活性を有する抽出物を生じる。結果を表2に示す。
【表2】

【実施例3】
【0045】
酢酸エチル抽出物及びジクロロメタン抽出物の阻害活性に関与する成分を決定するために、抽出物のHPLC組成分析を行った。表3は、分析した細画分の重量ベースでの%として成分の量を示す。表3から明らかなように、フェノール酸、フラボノイド、及びクマリンが、ミツガシワの酢酸エチル抽出物及びジクロロメタン抽出物中の主要な活性成分である。表2と3とを比較すると、フェノール酸、フラボノイド、及びクマリンが全く無いか又は比較的低濃度の画分(画分2.1、2.2、及び3.1)は、MMP-1、2、及び9阻害活性を全く示さないか又は比較的低いと結論付けられる。逆にフェノール酸、フラボノイド、及びクマリンの少なくとも2種を有する画分は、顕著な阻害活性を示す。
【表3】

【実施例4】
【0046】
選択された標準物質によるMMPのin vitro阻害
MMP-1、2、及び9阻害活性にどの物質が寄与しているかをさらに理解するために、ミツガシワ抽出物で同定された異なるフェノール酸、フラボノイド、及びクマリンの標準物質を、MMP-1、2、及び9のin vitro阻害について試験した。MMP-2及びMMP-9活性のin vitro特異的阻害は、Biomol(登録商標)製のアッセイキットで評価した。組換えヒトMMP-1酵素は任意の業者から得られる。結果を表4に要約する。
【表4】

【0047】
表4から明らかなように、フェルラ酸は(p-ヒドロキシ安息香酸ではそうではないが)、強いin vitro MMP-1、2、及び9阻害を示す。フラボノイド(クエルセチン、イソクエルセチン、及びルチン)及びクマリン(スコポレチン及びスコパロン)はすべて、強い抗メタロプロテイナーゼ活性を示す。
【実施例5】
【0048】
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉抽出物のペルオキシ亜硝酸除去活性
ミツガシワの葉からの数種の抽出物及び細画分を、Sephadexカラム(実施例1を参照)での液液分配及び分画により調製し、ペルオキシ亜硝酸除去について評価した。アッセイはPholasin(登録商標)を備えるABEL(登録商標)ペルオキシ亜硝酸抗酸化剤試験キットを用いて行った。結果を表5に要約する。
【表5】

【実施例6】
【0049】
選択された標準物質のセットのペルオキシ亜硝酸除去活性
ミツガシワ抽出物で同定された異なるフェノール酸及びフラボノイドの標準物質を、in vitroペルオキシ亜硝酸除去活性について試験した。アッセイはPholasin(登録商標)を備えるABEL(登録商標)ペルオキシ亜硝酸抗酸化剤試験キットを用いて行った。結果を表6に要約する。
【表6】

【0050】
フェルラ酸及びプロトカテク酸は(p-ヒドロキシ安息香酸ではそうではないが)、ペルオキシ亜硝酸の強力な除去剤である。フラボノイド(クエルセチン、イソクエルセチン、及びルチン)はすべて、強いペルオキシ亜硝酸除去活性を示す。
【0051】
このデータは酢酸エチル抽出物がジクロロメタン抽出物より強いMMPの阻害物質であることを示すが、ジクロロメタン抽出物はこの目的に極めて有用である。一方、この2種の抽出物はペルオキシ亜硝酸を除去する能力が似ている。これらの抽出物のいずれか又は組合せは、本発明を実施するのに効果的に使用することができる。もちろんアルコール抽出物も使用することができる。
【0052】
本明細書に例示かつ記載された本発明の具体的な形態が単に例示目的であることを理解されたい。本開示の明瞭な教示から逸脱することなく、例示した実施形態中で変更(非限定的に本明細書中に示唆されているものを含む)が可能である。したがって、本発明の完全な範囲を規定する以下の特許請求の範囲を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む化粧品組成物:
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉で同定される活性物質の皮膚有効量、ここで該活性物質は、MMP-1、2、又は9の1種以上の阻害物質である及び/又はペルオキシ亜硝酸の除去物質である;及び
美容上許容し得るビヒクル。
【請求項2】
活性物質は、クエルセチン、イソクエルセチン、ルチン、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるフラボノイドである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
活性物質は、フェルラ酸、プロトカテク酸、及びこれらの混合物から選択されるフェノール酸である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
活性物質は、スコパロン、スコポレチン、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるクマリンである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
0.001重量%〜15重量%の活性物質を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
水溶性日焼け止め剤、油溶性日焼け止め剤、無機日焼け止め剤、及び有機日焼け止め剤よりなる群から選択される日焼け止め剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
以下を含む化粧品組成物:
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉抽出物の皮膚有効量、ここで該抽出物は、MMP-1、2、又は9の1種以上を阻害する及び/又はペルオキシ亜硝酸を除去する;及び
美容上許容し得るビヒクル。
【請求項8】
0.001重量%〜20重量%の1種以上のミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉抽出物を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
1種以上の抽出物の少なくとも一部は、アルコール抽出物、酢酸エチル抽出物、ジクロロメタン抽出物、又はこれらの混合物である、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の抽出物は皮膚有効量のフェノール酸、フラボノイド、及びクマリンを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
フラボノイドは、イソクエルセチン、ルチン、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
フェノール酸はフェルラ酸及びプロトカテク酸から選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
クマリンはスコパロン及びスコポレチンから選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項14】
水溶性日焼け止め剤、油溶性日焼け止め剤、無機日焼け止め剤、及び有機日焼け止め剤よりなる群から選択される日焼け止め剤をさらに含む、請求項7記載の組成物。
【請求項15】
以下を含む組成物を塗布する工程を含む、皮膚の光老化の徴候を低下させる方法:
ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉で同定される活性物質の皮膚有効量、ここで該活性物質は、MMP-1、2、又は9の1種以上の阻害物質である及び/又はペルオキシ亜硝酸の除去物質である;及び
美容上許容し得るビヒクル。
【請求項16】
活性物質は、イソクエルセチン、ルチン、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるフラボノイドである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
活性物質は、フェルラ酸及びプロトカテク酸から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
活性物質はスコパロン及びスコポレチンから選択されるクマリンである、請求項15記載の方法。
【請求項19】
組成物は0.001重量%〜15重量%の活性物質を含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
組成物は0.001重量%〜20重量%のミツガシワ(Menyanthes trifoliata)の葉抽出物を含む、請求項15記載の方法。

【公表番号】特表2009−545604(P2009−545604A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522912(P2009−522912)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/072823
【国際公開番号】WO2008/016759
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【出願人】(509135832)ユニヴェルシテ ド ストラスブール (2)
【Fターム(参考)】