説明

ミラー及び角度検出装置

【課題】鏡面の傾斜角度を適切に検出する。
【解決手段】車両用のミラーであって、鏡面と、鏡面を傾けるアクチュエータ100と、アクチュエータ100が鏡面を傾けた場合に、鏡面の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ、向きを変更する磁石と、磁石の向きに基づき、鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部124とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー及び角度検出装置に関する。特に、本発明は、車両用アウターミラー、及び車両用アウターミラーの鏡面の傾斜角度を検出する角度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミラーアセンブリのプレートピボット(ピボットテーブル)に磁石を固定し、角度変更用アセンブリ側に磁気検出装置を設けたミラー角度検出装置が知られている(特許文献1)。この磁気検出装置は、鏡面の傾きによる磁界の変化を検出するものである。
【特許文献1】実開平3−112441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、プレートピボットに固定した磁石により、鏡面の角度変位の全範囲において角度を検出するためには、磁石の大きさを、プレートピボットの動きに合わせて大きくする必要がある。また、鏡面の傾きによる磁界の変化を適切に検出するためには、プレートピボットの回転中心、磁石、及び磁気検出素子のニュートラルを同一線上に設ける必要がある。そのため、従来、レイアウトに制約が生じ、スペースを効率よく使えない場合があった。
【0004】
そこで、本発明は、上記の課題を解決できるミラー及び角度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)車両用のミラーであって、鏡面と、鏡面を傾けるアクチュエータと、アクチュエータが鏡面を傾けた場合に、鏡面の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ、向きを変更する磁石と、磁石の向きに基づき、鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部とを備える。磁石は、例えば、鏡面の動きを回転運動に変換する構成に取り付けられる。
このように構成すれば、鏡面の傾斜角度を適切に検出できる。また、鏡面の傾きの変化を磁石の回転運動に変換する構成であるため、磁石の配置の自由度が高い。そのため、例えば、磁石をアクチュエータの空いたスペースを利用できることとなり、例えばプレートピボットに直接磁石を固定する場合と比べ、スペース効率が向上する。また、鏡面の傾斜角度を検出するための構成を、アクチュエータユニットとして小型化することもできる。
尚、ミラーは、例えば自動車用のアウターミラーである。磁石は、例えば永久磁石、又は電磁石であってよい。また、磁石を設ける位置は、アクチュエータの内部及び外部のいずれにも限定されない。磁石は、例えば、鏡面、ミラーホルダ、プレートピボット、ハウジング等のミラーの構成部品のいずれかの上に配置されてよい。
【0006】
(構成2)磁石の向きに応じて電流量が変化するように配置された磁気抵抗素子を更に備え、信号出力部は、磁気抵抗素子に流れる電流に基づいて、鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する。このように構成した場合、磁気抵抗素子(MR素子)は、例えば、磁石の回転角に応じて電気信号を変化させることにより、鏡面の傾斜角度を示す信号を出力する。
【0007】
ここで、磁石の磁気を、例えばホール素子やホールIC等の磁気検出素子を用いて検出する場合、これらの磁気検出素子は磁気の検出範囲が狭いため、磁気検出素子を、磁石に近接させて取り付ける必要がある。そのため、これらの磁気検出素子を用いる場合には、組み付け上のばらつきにより工程不良が発生するおそれがある。また、N極とS極とを識別して磁石を取り付ける必要があるため、誤組み付けが生じる可能性があり、生産性がよくない場合がある。また、磁石として、高価な希土類の永久磁石を用いる必要がある。
これに対し、磁界とのなす角を捉える素子である磁気抵抗素子を用いる場合には、磁気抵抗素子と同サイズ程度の磁石を用いることができる。そのため、ホール素子やホールIC等の磁気検出素子を用いる場合と比べ、磁石を小型化できる。
また、磁気抵抗素子は、ホール素子やホールIC等の磁気検出素子と比べて感度がよく、広い範囲の磁気を検出できる。そのため、製造時の組み付け上のばらつき等を吸収できる。また、磁石のN極とS極との識別がいらないため、誤組み付けがない。そのため、生産性がよくなり、工程不良を低減できる。また、磁石として、希土類の永久磁石以外の安価な磁石を用いることもできる。
【0008】
尚、磁気抵抗素子を設ける位置は、アクチュエータの内部及び外部のいずれにも限定されない。磁気抵抗素子は、例えば、鏡面、ミラーホルダ、プレートピボット、ハウジング等のミラーの構成部品のいずれかの上に配置されてよい。
【0009】
(構成3)鏡面が傾動する全範囲に対応する回転角が180°以下になるように、磁石は向きを変更する。このように構成すれば、磁気抵抗素子が検出可能な磁界の向きの範囲を有効に利用して、鏡面の傾斜角度を検出できる。
【0010】
(構成4)鏡面と同じ方向を向くように、鏡面と共に向きを変更する連動部材と、連動部材に向かって付勢されることにより、鏡面の傾きが変化した場合に、鏡面の傾斜角度の変化量に応じた距離だけ、鏡面とほぼ垂直な移動方向に移動するスライドブロックと、スライドブロックが移動方向へ移動した場合に、スライドブロックの移動量に応じた回転量だけ回転する回転部材とを更に備え、磁石は、回転部材に対して固定されており、回転部材の回転に従って回転する。このように構成すれば、鏡面の傾動を、磁石の回転運動に適切に変換できる。
尚、鏡面とほぼ垂直な移動方向とは、例えば、鏡面を傾けない場合に、鏡面と垂直となる方向である。連動部材は、例えばミラーホルダ等の、ミラーの動きに従って受動的に動く部材であってもよく、例えばプレートピボットのように自身が能動的に動くことにより、鏡面を駆動する部材であってもよい。また、連動部材は、鏡面の一部であってもよい。
【0011】
(構成5)スライドブロックは、移動方向の軸に対して回転不能に保持されており、回転部材は、スライドブロックの移動方向の軸上においてスライドブロックと螺合する螺合部であって、スライドブロックが移動方向へ移動する場合に、スライドブロックに形成されたネジ山又はネジ溝に導かれて回転する螺合部と、螺合部に対して固定された回転部であって、螺合部と共に、移動方向の軸を中心に回転する回転部とを有し、磁石は、回転部に対して固定されている。このように構成すれば、スライドブロックと螺合部との螺合における雄ネジ又は雌ネジの構造により、鏡面の傾動を、磁石の回転運動に適切に変換できる。
【0012】
(構成6)鏡面と同じ方向を向くように、鏡面と共に向きを変更する連動部材と、一端を軸として回転可能なレバーであって、他端が連動部材に向かって付勢されることにより、鏡面の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ回転するレバーとを更に備え、磁石は、レバーの一端に固定されており、レバーの回転に従って回転する。このように構成すれば、鏡面の傾動を、磁石の回転運動に適切に変換できる。
【0013】
(構成7)車両用のミラーであって、鏡面と、鏡面を傾けるアクチュエータと、アクチュエータが鏡面を傾けた場合に、鏡面の傾斜角度の変化量に応じて動く磁石と、磁石の動きを検出する磁気抵抗素子と、磁気抵抗素子の出力に基づき、鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部とを備える。
このように構成すれば、磁気抵抗素子を用いることにより、磁石を小型化できる。また、広い範囲の磁気を検出できるため、製造時の組み付け上のばらつき等を吸収できる。また、磁石のN極とS極との識別がいらないため、誤組み付けがない。そのため、生産性がよくなり、工程不良を低減できる。
【0014】
(構成8)車両用ミラーの鏡面の傾斜角度を検出する角度検出装置であって、鏡面を傾けるアクチュエータが鏡面を傾けた場合に、鏡面の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ、向きを変更する磁石と、磁石の向きに基づき、鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部とを備える。このように構成すれば、構成1と同様の効果を得ることができる。
【0015】
(構成9)車両用ミラーの鏡面の傾斜角度を検出する角度検出装置であって、鏡面を傾けるアクチュエータが鏡面を傾けた場合に、鏡面の傾斜角度の変化量に応じて動く磁石と、磁石の動きを検出する磁気抵抗素子と、磁気抵抗素子の出力に基づき、鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部とを備える。このように構成すれば、構成7と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、鏡面の傾斜角度を適切に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るサイドミラー10の構成の一例を示す分解斜視図である。サイドミラー10は、自動車等の車両用のアウターミラーであり、カバー18、鏡面12、フレーム16、及びミラー角度調整装置14を備える。
【0018】
カバー18は、サイドミラー10の外側を覆うミラーボデーであり、フレーム16及びミラー角度調整装置14を内部に収容する。また、カバー18は、車両の後方側に開口部を有し、この開口部に、鏡面12を、傾動可能に保持する。鏡面12は、反射面を車両の後方に向けて、カバー18の開口部に取り付けられる。
【0019】
フレーム16は、カバー18に固定された基台であり、ミラー角度調整装置14を、鏡面12の裏面に向けて保持する。鏡面12の裏面とは、鏡面12において反射面と反対の方向を向く面である。
【0020】
ミラー角度調整装置14は、鏡面12を傾ける駆動装置である。本例において、ミラー角度調整装置14は、鏡面12の傾斜角度を検出する角度検出装置の機能を更に有しており、予め記憶した記憶値と角度の検出値とが一致するように鏡面12を傾けることにより、鏡面12の傾斜角度を調整する。このように構成すれば、サイドミラー10を、予め記憶した運転者の視認位置に合わせて鏡面の傾斜角度を調整するミラー(メモリミラー)として機能させることができる。
【0021】
図2は、ミラー角度調整装置14の構成の第1の例を示す分解斜視図である。ミラー角度調整装置14は、プレートピボット110と、ハウジング120と、アクチュエータ100と、それぞれ2個のスライドブロック126、バネ112、及び回転部材130と、基板118とを有する。
【0022】
プレートピボット110は、アクチュエータ100の動力に応じて傾動する板状体であり、鏡面12とほぼ平行な状態を保つように、鏡面12(図1参照)の裏面を保持する。このように構成すれば、プレートピボット110と連動させて、鏡面12を傾動させることができる。そのため、本例において、プレートピボット110は、自身が能動的に動いて鏡面12を駆動することにより、鏡面12と共に向きを変更する連動部材として機能する。ハウジング120は、ミラー角度調整装置14の筐体であり、自身とプレートピボット110との間に、アクチュエータ100、スライドブロック126、バネ112、回転部材130、及び基板118を収容する。
【0023】
アクチュエータ100は、プレートピボット110を、水平方向回転軸及び垂直方向回転軸のそれぞれに対して傾動させる。プレートピボット110の水平方向回転軸とは、例えば、鏡面12に平行、かつプレートピボット110の中心部を通る水平方向の直線である。プレートピボット110の垂直方向回転軸とは、例えば、鏡面12に平行、かつプレートピボット110の中心部を通る垂直方向の直線である。
【0024】
スライドブロック126は、鏡面12とほぼ垂直な方向な軸方向を有する筒状体であり、バネ112によりプレートピボット110に向かって付勢されている。そのため、鏡面12の傾きが変化した場合、鏡面12と共に傾動するプレートピボット110に従って、鏡面12の傾斜角度の変化量に応じた距離だけ、鏡面12とほぼ垂直な移動方向に移動する。また、スライドブロック126の筒の内壁には、回転部材130と螺合するための螺旋状の溝が形成されている。
【0025】
尚、本例において、一方のスライドブロック126は、プレートピボット110が水平方向回転軸を傾動する場合に移動するように設けられている。また、他方のスライドブロック126は、プレートピボット110が垂直方向回転軸を傾動する場合に移動するように設けられている。
【0026】
バネ112は、スライドブロック126の筒内に収容されており、スライドブロック126を、プレートピボット110に向かって付勢する。また、バネ112は、回転部材130を、プレートピボット110から離れる方向に付勢する。回転部材130は、バネ112に付勢されつつ回転部材130と螺合する。また、回転部材130の内部には、磁石が設けられている。
【0027】
基板118は、周辺電子回路が実装された基板である。本例において、基板118には、複数の磁気抵抗素子128、及び信号出力部124が設けられている。磁気抵抗素子128は、回転部材130内に設けられた磁石の磁界の方向(磁石の向き)を検出する。また、信号出力部124は、磁気抵抗素子128が検出する磁界の方向に基づき、鏡面12の傾斜角度に応じた信号を、サイドミラー10(図1参照)の外部に出力する。
【0028】
図3は、スライドブロック126及び回転部材130の詳細な構成の一例を示す。本例において、スライドブロック126は、筒の内壁に、螺旋状の溝208を有する。溝208は、回転部材130と螺合するためのネジ溝である。尚、スライドブロック126の筒状部分は、スライドブロック126の移動方向と平行に延伸している。
【0029】
また、回転部材130は、螺合部202及び回転部210を有する。螺合部202は、スライドブロック126の筒内に収容される棒状体である。また、螺合部202は、軸方向を中心に側面を螺旋状に延伸するネジ山206を有する。そして、螺合部202は、ネジ山206をスライドブロック126の溝208と係合させることにより、スライドブロック126と螺合する。このようにして、螺合部202は、スライドブロック126の移動方向の軸上においてスライドブロック126と螺合する。
【0030】
回転部210は、棒状の螺合部202におけるスライドブロック126から遠い端部において、螺合部202に対して固定されている。そのため、螺合部202がスライドブロック126の溝208に導かれて螺進した場合、螺進に伴って回転する螺合部202と共に、回転部210は、螺合部202の軸方向を中心に回転運動を行う。また、回転部210の内部には、磁石132が設けられている。磁石132は、回転部210が回転運動を行った場合に、回転部210と共に回転する。
【0031】
図4は、回転部材130の動作を説明する図である。図4(a)は、プレートピボット110の傾動に伴う回転部材130の動きを示す。本例において、スライドブロック126は、鏡面12(図1参照)とほぼ垂直な移動方向に移動可能、かつこの移動方向の軸に対して回転不能に保持されており、プレートピボット110の傾動に従って、この移動方向への進退動作を行う。
【0032】
また、回転部材130は、スライドブロック126の移動方向への移動不能、かつこの移動方向の軸に対して回転可能に保持されている。そのため、スライドブロック126がこの移動方向へ移動した場合、この方向へ移動不能な回転部材130における螺合部202は、スライドブロック126に形成された溝208(図3参照)に導かれて、この移動方向の軸を中心に回転することとなる。そして、螺合部202に固定された回転部210は、螺合部202と共に回転する。そのため、スライドブロック126がこの移動方向へ移動した場合、回転部材130は、スライドブロック126の移動量に応じた回転量だけ回転する。
【0033】
図4(b)は、回転部材130の回転に伴う磁石132の動きを示す。回転部材130内に設けられている磁石132は、例えば図中に挿入した概念図140に示すように、回転部材130の回転に応じて、向きを変更する。このようにして、アクチュエータ100(図2参照)が鏡面12を傾けた場合、磁石132は、鏡面12の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ、向きを変更する。
【0034】
ここで、磁気抵抗素子128は、回転する磁石132の向きを検出するように配置されている。磁気抵抗素子128は、例えば磁石132の向きに応じて電流量が変化するように配置されてよい。このように構成すれば、鏡面12の傾斜角度に応じて、磁気抵抗素子128の出力を変化させることができる。
尚、磁気抵抗素子128は、磁気抵抗素子128に流れる電流と、磁界の方向とのなす角度に応じて抵抗値が変化する素子であり、自身と磁石とのなす角度θに応じて出力を変化させる。また、磁石132と磁気抵抗素子128との距離は、5mm以下であるのが好ましい。このように構成すれば、出力の変動を抑え、磁界の向きを高い精度で検出できる。
【0035】
図5は、磁気抵抗素子128の動作原理を簡略化して示す図である。図5(a)は、磁気抵抗素子128の回路構成の一例を示す。図5(b)は、磁気抵抗素子128の出力特性の一例を示す。
【0036】
磁気抵抗素子128は、例えば、電源電位VDDと接地電位との間に直列に接続された複数の磁気抵抗素子MR1、MR2を有する。この場合、一方の磁気抵抗素子MR2は、磁石132の磁界の向きに応じて抵抗値が変化するように、磁石132に近接して設けられる。また、他方の磁気抵抗素子MR1は、磁石132の磁界の影響を受けにくいように、磁気抵抗素子MR2よりも磁石132から離れた位置に設けられる。そして、磁気抵抗素子128は、磁気抵抗素子MR1と、磁気抵抗素子MR1との間の電位を出力する。このように構成した場合、磁気抵抗素子128は、磁石132の回転角(角度θ)に応じて変化する電圧を出力する。
【0037】
尚、磁気検出素子128は、0〜180°の回転角θの範囲で、回転角θとの関係が1対1になる電圧を出力する。また、鏡面12の傾斜角度と磁石132の回転角θとの関係は、回転部材130のネジ山206、及びスライドブロック126の溝208により規定される。そのため、ネジ山206及び溝208は、鏡面12が傾動する全範囲に対応する磁石132の回転角が180°以下になるように形成されるのが好ましい。このように構成すれば、磁気抵抗素子128が検出可能な磁界の向きの範囲を有効に利用して、鏡面12の傾斜角度を検出できる。
【0038】
図6は、磁石132、磁気抵抗素子128、及び信号出力部124の具体的な構成の一例を示す。図6(a)は、磁石132と磁気抵抗素子128の大きさの一例を示す。
【0039】
本例のように、磁気抵抗素子128を用いて磁石132の回転角を検出する場合、磁石132を、磁気抵抗素子128と同程度のサイズに小型化できる。そのため、例えば4mm×5mm程度の磁気抵抗素子128を用いる場合、磁石132も、同様に、4mm×5mm程度の大きさであってよい。磁石132の厚みは例えば2mmであってよい。尚、サイドミラー10の鏡面12(図1参照)の傾斜角度を検出するためには、磁石132の大きさは、例えば3〜5mm角程度の大きさであるのが好ましい。また、磁石の厚みは、例えば1.5〜2.5mmであってよい。
【0040】
図6(b)は、磁気抵抗素子128及び信号出力部124の回路構成の一例を示す。本例において、磁気抵抗素子128は、ブリッジ構成に接続された4つの磁気抵抗素子MR1〜MR4を有する。このよう構成すれば、磁気抵抗素子自体の微小な抵抗変化を、差動電圧により、適切に出力できる。
【0041】
信号出力部124は、負帰還されたオペアンプを有する差動増幅回路である。信号出力部124は、磁気抵抗素子128から受け取る差動電圧を増幅して出力することにより、磁気抵抗素子128に流れる電流に基づいて、鏡面12の傾斜角度に応じた信号を出力する。このように構成すれば、鏡面12の傾斜角度を適切に検出できる。
【0042】
図6(c)は、信号出力部124の出力特性の一例を示す。一例として、プレートピボット110が±14°の範囲で傾動するのに応じて、信号出力部124は、傾きに応じてリニアに増大する電圧を出力する。
【0043】
図7は、スライドブロック126とプレートピボット110の位置関係を説明する図である。本例において、プレートピボット110は、垂直方向回転軸及び水平方向回転軸のそれぞれを軸にして傾動する。また、ミラー角度調整装置14は、垂直方向回転軸上、及び水平方向回転軸上に、スライドブロック126を、少なくとも一つずつ有する。このように構成すれば、鏡面12の垂直方向及び水平方向の傾斜角度を、それぞれ適切に検出できる。
【0044】
また、このように構成する場合、スライドブロック126を、直方向回転軸又は水平方向回転軸上であればどの位置に配置しても問題ないので、スライドブロック126、バネ112、回転部材130、磁気抵抗素子128等を、アクチュエータ100の空いたスペースに配置することができる。そのため、本例によれば、サイドミラー10のスペースを有効に利用することができる。
【0045】
図8は、ミラー角度調整装置14の構成の第2の例を示す。図8(a)は、ミラー角度調整装置14の構成を示す。図8(b)は、プレートピボット110の傾動に伴うレバー134の動きを示す。尚、以下に説明する点を除き、図8において、図2〜図7に示す構成と同一又は同様の機能を有する構成は、図2〜図7と同じ符号を付して、その説明を省略する。また、本例におけるミラー角度調整装置14は、図2〜図7を用いて説明したミラー角度調整装置14と同様に、例えばアクチュエータ100(図2参照)、基板118(図2参照)等を更に有する。
【0046】
本例において、ミラー角度調整装置14は、磁石132を回転させるための構成として、図2を用いて説明したスライドブロック126、バネ112、及び回転部材130に代えて、レバー134を有する。また、プレートピボット110は、プレートピボット110の移動をガイドするための当接部302、304を有する。
【0047】
レバー134は。一端306を軸として回転可能に保持されている。そして、レバー134の他端は、例えば図示しないバネ等により、プレートピボット110に向かって付勢されている。
【0048】
そのため、プレートピボット110が傾動した場合、レバー134の他端は、当接部302や当接部304等と当接しつつ、プレートピボット110の裏面を摺動する。そして、他端のこの摺動に応じて、レバー134は、一端306を通る回転軸に対する回転運動を行う。このようにして、レバー134は、鏡面12(図1参照)の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ回転する。
【0049】
また、本例において、磁石132は、磁界の向きがレバー134の回転軸と垂直になるように、レバー134の一端306に固定されている。そのため、プレートピボット110が傾動した場合、磁石132は、レバー134の回転に従って回転することとなる。そのため、このように構成すれば、鏡面12の傾動を、磁石132の回転運動に適切に変換できる。
【0050】
また、磁気抵抗素子128は、レバー134に伴って回転しないように保持されつつ、磁石132と対向して設けられる。そのため、本例によれば、磁石132の回転角を適切に検出できる。また、これにより、鏡面12の傾斜角度を適切に検出できる。
【0051】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、例えば車両用アウターミラーに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るサイドミラー10の構成の一例を示す分解斜視図である。
【図2】ミラー角度調整装置14の構成の第1の例を示す分解斜視図である。
【図3】スライドブロック126及び回転部材130の詳細な構成の一例を示す図である。
【図4】回転部材130の動作を説明する図である。 図4(a)は、プレートピボット110の傾動に伴う回転部材130の動きを示す 図4(b)は、回転部材130の回転に伴う磁石132の動きを示す。
【図5】磁気抵抗素子128の動作原理を簡略化して示す図である。 図5(a)は、磁気抵抗素子128の回路構成の一例を示す。 図5(b)は、磁気抵抗素子128の出力特性の一例を示す。
【図6】磁石132、磁気抵抗素子128、及び信号出力部124の具体的な構成の一例を示す図である。 図6(a)は、磁石132と磁気抵抗素子128の大きさの一例を示す。 図6(b)は、磁気抵抗素子128及び信号出力部124の回路構成の一例を示す。 図6(c)は、信号出力部124の出力特性の一例を示す。
【図7】スライドブロック126とプレートピボット110の位置関係を説明する図である。
【図8】ミラー角度調整装置14の構成の第2の例を示す図である。 図8(a)は、ミラー角度調整装置14の構成を示す。 図8(b)は、プレートピボット110の傾動に伴うレバー134の動きを示す。
【符号の説明】
【0054】
10・・・サイドミラー、12・・・鏡面、14・・・角度検出装置(ミラー角度調整装置)、16・・・フレーム、18・・・カバー、100・・・アクチュエータ、110・・・連動部材(プレートピボット)、112・・・バネ、118・・・基板、120・・・ハウジング、122・・・中心支持部、126・・・スライドブロック、128・・・磁気抵抗素子、130・・・回転部材、132・・・磁石、134・・・レバー、140・・・概念図、202・・・螺合部、204・・・軸、206・・・ネジ山、208・・・溝、210・・・回転部、302・・・当接部、304・・・当接部、306・・・一端、MR1〜4・・・磁気抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のミラーであって、
鏡面と、
前記鏡面を傾けるアクチュエータと、
前記アクチュエータが前記鏡面を傾けた場合に、前記鏡面の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ、向きを変更する磁石と、
前記磁石の向きに基づき、前記鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部と
を備えることを特徴とするミラー。
【請求項2】
前記磁石の向きに応じて電流量が変化するように配置された磁気抵抗素子を更に備え、
前記信号出力部は、前記磁気抵抗素子に流れる電流に基づいて、前記鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のミラー。
【請求項3】
前記鏡面が傾動する全範囲に対応する前記回転角が180°以下になるように、前記磁石は向きを変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のミラー。
【請求項4】
前記鏡面と同じ方向を向くように、前記鏡面と共に向きを変更する連動部材と、
前記連動部材に向かって付勢されることにより、前記鏡面の傾きが変化した場合に、前記鏡面の傾斜角度の変化量に応じた距離だけ、前記鏡面とほぼ垂直な移動方向に移動するスライドブロックと、
前記スライドブロックが前記移動方向へ移動した場合に、前記スライドブロックの移動量に応じた回転量だけ回転する回転部材と
を更に備え、
前記磁石は、前記回転部材に対して固定されており、前記回転部材の回転に従って回転することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のミラー。
【請求項5】
前記スライドブロックは、前記移動方向の軸に対して回転不能に保持されており、
前記回転部材は、
前記スライドブロックの前記移動方向の軸上において前記スライドブロックと螺合する螺合部であって、前記スライドブロックが前記移動方向へ移動する場合に、前記スライドブロックに形成されたネジ山又はネジ溝に導かれて回転する螺合部と、
前記螺合部に対して固定された回転部であって、前記螺合部と共に、前記移動方向の軸を中心に回転する回転部と
を有し、
前記磁石は、前記回転部に対して固定されたことを特徴とする請求項4に記載のミラー。
【請求項6】
前記鏡面と同じ方向を向くように、前記鏡面と共に向きを変更する連動部材と、
一端を軸として回転可能なレバーであって、他端が前記連動部材に向かって付勢されることにより、前記鏡面の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ回転するレバーと
を更に備え、
前記磁石は、前記レバーの前記一端に固定されており、前記レバーの回転に従って回転することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のミラー。
【請求項7】
車両用のミラーであって、
鏡面と、
前記鏡面を傾けるアクチュエータと、
前記アクチュエータが前記鏡面を傾けた場合に、前記鏡面の傾斜角度の変化量に応じて動く磁石と、
前記磁石の動きを検出する磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子の出力に基づき、前記鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部と
を備えることを特徴とするミラー。
【請求項8】
車両用ミラーの鏡面の傾斜角度を検出する角度検出装置であって、
鏡面を傾けるアクチュエータが前記鏡面を傾けた場合に、前記鏡面の傾斜角度の変化量に応じた回転角だけ、向きを変更する磁石と、
前記磁石の向きに基づき、前記鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部と
を備えることを特徴とする角度検出装置。
【請求項9】
車両用ミラーの鏡面の傾斜角度を検出する角度検出装置であって、
鏡面を傾けるアクチュエータが前記鏡面を傾けた場合に、前記鏡面の傾斜角度の変化量に応じて動く磁石と、
前記磁石の動きを検出する磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子の出力に基づき、前記鏡面の傾斜角度に応じた信号を出力する信号出力部と
を備えることを特徴とする角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−96130(P2006−96130A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283435(P2004−283435)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】