説明

メチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含むパーソナルケア組成物

限定ではないがTRPV1及びTRPA1受容体を含む、疼痛反応に関連する少なくとも1つのTRP受容体をダウンレギュレーションして、脱毛に関連する皮膚刺激を低減させるために1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2ナフタレニル)−エタン−1−オンなどのメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む、パーソナルケア組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
今日ではシェービングプロセス時又はシェービングの前/後に使用可能な多くのパーソナルケア組成物がある。これらの組成物には、プレシェービング加湿剤及びバルム並びに皮膚及びフェイシャルクレンザー;シェービングオイル,フォーム及びゲル;並びにポストシェーブ保湿剤及びローションが挙げられる。これらの組成物の多くは、毛髪のシェービングに必要とされる切断力を減少させるためにシェービングの前に皮膚及び毛髪に湿り気を与えること、並びにかみそりの刃との接触から起こり得る刺激を低減するために皮膚を滑らかにすることに焦点をあてている。多数のシェービング製剤及び化粧品組成物が記述されている。例えば、米国特許公開第2008/0069784号及び同第2005/0019356A1号を参照のこと。また、米国特許公開第2009/0197939A1号、同第20090117061号、同第20090220625号、及び同第20080253973号;並びにWO 10/073278;09/093104;及び09/094238も参照のこと。
【0002】
感覚刺激物質は、コンシューマー製品の中に組み込まれたとき、ヒヤッとする感じ、ヒリヒリと痛む感じ、サッパリする感じ、温かい感じ、又はしびれた感じをもたらすと説明されている成分の群である。米国特許公開第2009/057785号,同第2008/0089850号,及び同第2007/0020221号;並びに米国特許第6,780,443号を参照のこと。1つのよく述べられる感覚刺激物質はメントールである。
【0003】
皮膚上の様々な知覚を生み出すのに一過性受容体電位型(「TRP」)チャネルの操作が記述されている。TRP受容体は疼痛受容体も含むと考えられる。TRP受容体の一般的な操作は既知である。例えば、米国特許公開第2008/0146611A1号(TRPV3を活性化する特異的分子の探索を記述)、及び同第2007/0053834 A1号(TRP受容体のインビトロ試験を記述)を参照のこと。多数の異なるTRP受容体が存在し、特異的TRP及び/又はこれらの組み合わせの活性化(アップレギュレーション又はダウンレギュレーションを含むことができる)が感覚刺激効果をもたらすことができる。
【0004】
1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2ナフタレニル)−エタン−1−オンは、IFF(NewYork,USA)から市販されている芳香剤成分の類である。この組成物は、デオドラントスチック、シャンプー、石鹸及び洗剤製品などの様々な組成物での芳香剤成分としての使用に好適であると述べられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開第2008/0069784号
【特許文献2】米国特許公開第2005/0019356A1号
【特許文献3】米国特許公開第2009/0197939A1号
【特許文献4】米国特許公開第20090117061号
【特許文献5】米国特許公開第20090220625号
【特許文献6】米国特許公開第20080253973号
【特許文献7】WO 10/073278
【特許文献8】WO 09/093104
【特許文献9】WO 09/094238
【特許文献10】米国特許公開第2009/057785号
【特許文献11】米国特許公開第2008/0089850号
【特許文献12】米国特許公開同第2007/0020221号
【特許文献13】米国特許第6,780,443号
【特許文献14】米国特許公開第2008/0146611A1号
【特許文献15】米国特許公開第2007/0053834 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヒヤッとする感じ、ヒリヒリと痛む感じ、又はサッパリする感じと主張された知覚をもたらす感覚刺激物質を含むパーソナルケア組成物を創り出す試みが多数行われてきたにも拘わらず、皮膚刺激の低減に関するものであって、使用者には望ましくない知覚又は疼痛を生じ得る、脱毛プロセス又は任意の他の皮膚処置プロセスでの使用に特に有用な、感覚刺激物質を含む組成物を求める必要性はなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、皮膚の一部分に1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2ナフタレニル)−エタン−1−オンなどのメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む、パーソナルケア組成物を塗布して、処置を受けた一部分の皮膚を形成すること;及び処置を受けた皮膚の前記一部分の近傍のTRPV1及び/又はTRPA1受容体などの少なくとも1つのTRP受容体をダウンレギュレーションすることを含む、皮膚を処置する方法を提供する。
【0008】
本発明の一態様は、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2ナフタレニル)−エタン−1−オン分子又はその異性体又は誘導体などの約0.001%〜約1%のメチルナフタレニルケトン;及び水中油エマルション、シリコーン中水型エマルション、水中シリコーンエマルション、起泡性界面活性剤、及びその混合物からなる群から選択される、約50%〜約99.99%のキャリアを含む、フェイシャル又はボディクレンザー又はスクラブ、プレシェーブ製剤、シェービングゲル又はフォーム、加湿剤及びローションなどを含む、様々な使用に好適なパーソナルケア組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のパーソナルケア組成物は、メチルナフタレニルケトン又はその誘導体及び前記パーソナルケア組成物を使用する方法を含む。
【0010】
1.メチルナフタレニルケトン
本発明のパーソナルケア組成物はメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む。一実施形態では、メチルナフタレニルケトンは、前記パーソナルケア組成物の約0.001重量%〜約1重量%、あるいは約0.005重量%〜約0.5重量%、あるいは約0.01重量%〜約0.1重量%、あるいは約0.02重量%〜約0.05重量%のレベルで存在する。別の実施形態では、メチルナフタレニルケトンはC16H26Oの式を有する。別の実施形態では、メチルナフタレニルケトンは、1つ以上のメチル基、あるいはナフタレニル環上に1〜15つのメチル基、あるいは2〜8つ、あるいは3〜5つ、あるいは少なくとも又は4つまでのメチル基を有する。一実施形態では、メチルナフタレニルケトンは、約200〜300、又は約225〜約250、あるいは約230〜約240、あるいは約234.2の分子量を有する。
【0011】
1つの好ましい実施形態では、メチルナフタレニルケトンは、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−エタン−1−オン、及び/又はその異性体の式を有する分子を含む。当業者ならば、ナフタレニル環内の二重結合が、3つの位置のいずれでも存在することができるということを理解するであろう。別の実施形態では,メチルナフタレニルケトンは式:
【化1】

を有する。
【0012】
重要なこととして、本発明者らは、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2ナフタレニル)−エタン−1−オンが、芳香剤成分としての現行の使用とは別に感覚刺激物質効果をもたらすということを見出した。1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2ナフタレニル)−エタン−1−オンの1つの市販品の製造者は、International Flavors and Fragrance(New York,USA)によるIso E Super(登録商標)である。
【0013】
理論により拘束されるように意図しているのではないが、メチルナフタレニルケトンを含むパーソナルケア組成物を皮膚の一部分上に塗布することによって、皮膚の前記一部分の近傍の少なくとも1つのTRP受容体をダウンレギュレーションする効果がもたらされると考えられる。1つ以上のTRP受容体のダウンレギュレーションは、皮膚、毛髪、又は粘膜上の疼痛知覚、刺激、発赤、腫れ、炎症、又は落屑の低減をもたらすことができると考えられる。一実施形態では、前記少なくとも1つのTRP受容体は、TRPV1受容体、TRPA1受容体、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、前記TRPV1及びTRPA1受容体の両方がダウンレギュレーションされる。理論により拘束されるように意図しているのではないが、TRPV1受容体のダウンレギュレーションによって、皮膚刺激低減効果が得られると考えられる。TRPA1受容体のダウンレギュレーションによって、皮膚刺激低減効果が得られるとも考えられる。重要なこととして、本発明の組成物での使用に記述されるメチルナフタレンケトンは、少なくとも1つ、更には前記TRPV1及びTRPA1受容体の両方のダウンレギュレーションにおいて有効であるということが見出された。一実施形態では、メチルナフタレニルケトンは、また、TRPM8(普通クール/メントール受容体と呼ばれる)の弱いアップレギュレーションも引き起こし得る。更に別の実施形態では,メチルナフタレニルケトンは、TRPV3のダウンレギュレーション物質でもある。アップレギュレーション物質はしばしば作動因子と呼ばれ、ダウンレギュレーション物質はしばしば拮抗因子と呼ばれる。
【0014】
「ダウンレギュレーションする」とは受容体が少なくとも部分的に阻害されているという意味である。一実施形態では、本発明のパーソナルケア組成物の使用によって、前記TRPV1及びTRPA1受容体の少なくとも1つは、プレーインキュベーション試験方法により測定して、少なくとも約40%、あるいは少なくとも50%、あるいは少なくとも約75%、あるいは少なくとも約90%、あるいは約100%までダウンレギュレーションされる。一実施形態では、前記TRPV1及びTRPA1受容体の両方が前述したように、ダウンレギュレーションされる。
【0015】
この組成物は、人間の身体の皮膚のいかなる部分でも局所的に使用可能である。皮膚の部分の非限定的な例には、唇、上唇、顔、頚部、下腕、上腕及び/又は前腕、胸部、背部、太腿の内側、鼠蹊部、脚部、太腿、又はこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の組成物は毛髪を有するか、毛髪を持たない皮膚のいくつかの一部分に塗布可能である。
【0016】
2.任意のスキンケア活性剤
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、今日市販されている化粧品及びパーソナルケア組成物で普通に使用されている、1つ以上の追加のスキンケア活性剤を更に含む。1つ以上の任意のスキンケア活性剤のそれぞれは、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、又は約0.1重量%〜約1重量%で提供可能である。好適な活性剤の非限定的な例には、ビス−アボロール及びジンジャー抽出物、Olivem 450(登録商標)及びOlivem 460(登録商標)などのオリーブ油、ラウリルp−クレゾールケトキシム、4−(1−フェニルエチル)1,3−ベンゼンジオール、Lupin(Lupinus albus)油&小麦胚芽油鹸化物、加水分解ルピナスタンパク質、L−リジン及びL−アルギニンペプチドの抽出物、油溶性ビタミンC、Evodia rutaecarpaフルーツ抽出物、亜鉛ピドレート及び亜鉛PCA、アルファ−リノール酸、p−チモール、及びこれらの組み合わせから誘導される界面活性剤;シュガーアミン、ビタミンB、レチノイド、ヒドロキノン、ペプチド、ファルネソル、フィトステロール、ジアルカノイルヒドロキシプロリン、ヘキサミジン、サリシル酸、N−アシルアミノ酸化合物、日焼け止め活性剤、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、ヘスペレジン、からし種子抽出物、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、カルノシン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、メンチルアントラニレート、セチルピリジニウムクロリド、テトラヒドロクルミン、バニリン又はその誘導体、エルゴチオネイン、メラノスタチン、ステロールエステル、イデベノン、デヒドロ酢酸、Licohalcone A、クレアチン、クレアチニン、フィーバーフュー抽出物、イースト抽出物(例えば、Pitera(登録商標))、ベータグルカン、アルファグルカン、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、エリスリトール、p−サイメン−7−オル、ベンジルフェニルアセテート、4−(4−メトキシフェニル)ブタン−2−オン、エトキシキン、タンニン酸、没食子酸、オクタデセンジオン酸、p−サイメン−5−オル、メチルスルホニルメタン、アベナンスラマイド化合物、脂肪酸(特に、多不飽和脂肪酸)、抗菌剤、チオール化合物(例えば、N−アセチルシステイン、グルタチオン、チオグリコレート)、他のビタミン(ビタミンB 12)、ベータ−カロテン、ユビキノン、アミノ酸、その塩、その誘導体、その前駆体、及び/又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の皮膚及び/又はヘアケア活性剤;及び皮膚病学的に許容し得るキャリアの1つ以上が挙げられる。これら及び他の潜在的に好適な活性剤は、米国特許公開第2008/0069784号により詳細に記述されている。
【0017】
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、1つ以上の追加の感覚刺激物質成分を含む。一実施形態では、追加の感覚刺激物質は、クールメントール受容体と記述されてきたTRPM8受容体をアップレギュレーションする能力によって選択される。好適なTRPM8調節剤の非限定的な例には、p−メタン−3,8−ジオール;イソプレゴール;メトキシプロパン−1,2,−ジオール;クルクミン;メンチルラクテート;ジンゲロール;イシリン;メントール;茶木油;メチルサリシレート;樟脳;ペパーミントオイル;N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド;エチル3−(p−メンタン−3−カルボキサミド)アセテート;2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド;メントングリセロールケタール,及びその混合物が挙げられる。
【0018】
3.キャリア
本発明のパーソナルケア組成物は、TRPV1及び/又はTRPA1受容体をダウンレギュレーションするためにメチルナフタレニルケトン又はその誘導体に対するキャリアも含む。キャリアは、好ましくは皮膚病学的に許容し得るもの、すなわち、キャリアが、ケラチン組織への局所適用に好適であり、良好な審美特性を有し、本発明の活性物質及びあらゆる他の構成成分と適合性があり、安全性又は毒性についていかなる問題も引き起こさないであろうことを意味する。一実施形態では,パーソナルケア組成物は、組成物の約50重量%〜約99.99重量%、好ましくは約60重量%〜約99.9重量%、より好ましくは約70重量%〜約98重量%、更により好ましくは約80重量%〜約95重量%のキャリアを含む。
【0019】
キャリアは、多種多様な形をとることができる。例えば、洗液、スクラブ及びシェービングフォーム又はゲルの形の組成物など、限定ではないが、水中油型、油中水型、水中油中水型、シリコーン中水中油型エマルション、及び起泡性又は非起泡性であることができる他の水性系を含む、エマルションキャリアが本明細書では有用である。
【0020】
好適なキャリアは、水中油型エマルション及び油中水型エマルションのようなエマルション、例えば、水中シリコーン型又はシリコーン中水型エマルションを含む。これらのエマルションの例は米国特許第2005/0019356号(¶¶75〜129)で入手可能である。当事者には理解されるように、与えられた成分が、組成物中の成分の水溶解度/非必須性に応じて、主として水相又は油相のいずれかに分配される。水中油型エマルションが特に好ましい。
【0021】
本発明に基づいたエマルションは一般に、前述の溶液及び脂質又は油を含有する。脂質類及び油類は、動物類、植物類、又は石油から誘導されてもよく、及び天然又は合成であってもよい。好ましいエマルションは、グリセリンなどの湿潤剤も含有する。エマルションは、好ましくは、組成物の重量の約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.2%〜約5%の乳化剤を更に含有する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってよい。乳化剤は、ポリマー、界面活性剤又はこれらの混合物であることができる。好適な乳化剤は、例えば,米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及び「McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition」,pages 317〜324(1986)に開示されている。
【0022】
a.油中水型エマルション
油中水型エマルションは、連続的な疎水性で水不溶性の油相、及びその中に分散された水相を有すると特徴付けられる。「油相」は、油、シリコーン又は混合物を含有することができる。エマルションが油中水型エマルションと特徴付けられるか又はシリコーン中水型エマルションと特徴付けられるかの区別は、油相が主として油から構成されるか又はシリコーンから構成されるかの関数である。一実施形態では、油中水型エマルションは、1%〜約60%、又は約5%〜約40%、又は約10%〜約30%のレベルにあることができる、連続的なシリコーン相を有する。一実施形態では、シリコーンは、ポリオルガノポリシロキサン油を含む。好適なオルガノポリシロキサンオイルの例には、ポリアルキルシロキサン、環状ポリアルキルシロキサン、及びポリアルキルアリールシロキサンが挙げられる。連続的なシリコーン相は、1つ以上の非シリコーンオイルを含有してもよい。エマルション形であることができる、非シリコーンオイル、例えば、鉱物油、植物油、合成油、半合成油、脂肪酸エステルの例は、化学業界で局所適用パーソナルケア製品において既知である。
【0023】
キャリアは、乳化性又は非乳化性の架橋シロキサンエラストマー又はその混合物であることができる、シリコーンエラストマー構成成分を含むこともできる。一実施形態では、組成物は、乳化性の架橋オルガノポリシロキサンエラストマー、非乳化性の架橋オルガノポリシロキサンエラストマー、又はこれらの混合物を含む。シリコーンエラストマー構成成分を使用する場合には、1つ以上の液体キャリアを使用してもよい。これらの液状キャリアは、約28〜約250℃の温度で選択されたシロキサンエラストマーの濃度により選択された架橋シロキサンエラストマーとの間で溶液又はその他の均質な液体又は液体分散液を形成するならば、有機のシリコーン又はフッ素を含有する揮発性又は非揮発性、極性又は非極性のものであってもよい。
【0024】
非極性で揮発性の油は、本発明の組成物に極めて望ましい審美的特性を付与する傾向にある。したがって、非極性で揮発性の油は、好ましくはかなり高いレベルで利用される。本発明で特に有用な非極性で揮発性の油は、シリコーン油、炭化水素、及びこれらの混合物である。不揮発性の油は、上述した非極性で揮発性の油に比べて「比較的極性が高い」。それゆえ、不揮発性の共キャリアは、非極性で揮発性の油の少なくとも1つよりも極性が高い(すなわち、より高い溶解度パラメータを有する)。本発明で有用な比較的極性の高い不揮発性の油は、好ましくは、シリコーン油;炭化水素油;脂肪族アルコール;脂肪酸;一塩基性及び二塩基性カルボン酸と一価及び多価アルコールとのエステル;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテルとポリオキシプロピレンエーテルとの混合物;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0025】
1.非極性で不揮発性の油
上記の液体に加えて、架橋シロキサンエラストマーのキャリアは、所望ならば非揮発性、非極性の油を含んでもよい。典型的な不揮発性、非極性の油は、例えば、「Cosmetics,Science,and Technology,Vol.1,27〜104 edited by Balsam and Sagarin,1972;米国特許第4,202,879号及び同第4,816,261号に開示されている。本発明で有用な不揮発性の油は、本質的に不揮発性のポリシロキサン、パラフィン系炭化水素油、脂肪酸エステル、及びこれらの混合物である。
【0026】
2.分散された水相
本発明の局所適用組成物は、約30%〜約90%、より好ましくは約50%〜約85%、更により好ましくは約70%〜約80%の分散された水相を含む。エマルション技術では、用語「分散相」は、連続的な相中に懸濁され、それに取り囲まれている小さい粒子又は液滴として相が存在することを意味する、当業者に周知の用語である。分散相は、内部相又は不連続的な相としても知られている。分散された水相は、前述の連続的なシリコーン相中に懸濁され、それに取り囲まれている小さい水性の粒子又は液滴の分散体である。
【0027】
水相は、水又は水及び1つ以上の水溶性若しくは水分散性成分の組み合わせであることができる。このような任意の成分の非限定的な例には、増粘剤、酸、塩基、塩、キレート剤、ガム、水溶性又は水分散性アルコール及びポリオール、緩衝剤、保存剤、日焼け防止剤、着色剤等が挙げられる。
【0028】
本発明の局所適用組成物は、通常、組成物の約25重量%〜約90重量%、好ましくは約40重量%〜約85重量%、より好ましくは約60重量%〜約80%の分散水相中の水を含むであろう。
【0029】
3.水相を分散させるための乳化剤
本発明のシリコーン中水型エマルションは、好ましくは乳化剤を含む。一実施形態では、組成物は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約7.5重量%、更により好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の乳化剤を含有する。乳化剤は、連続シリコーン相内で水相を分散及び懸濁させるのを助ける。
【0030】
本明細書では、好ましいシリコーン中水型エマルションを形成するために、多種多様な乳化剤を使用することができる。選択された乳化剤が、組成物の必須成分と化学的及び物理的に適合性であり、及び所望の分散特性を与える限りにおいて、既知の乳化剤又は従来の乳化剤を本組成物で使用することができる。好適な乳化剤には、局所適用パーソナルケア製品で使用されることで当業者に既知の、シリコーン乳化剤、非シリコーン含有乳化剤、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、これらの乳化剤は、約14未満、より好ましくは約2〜約14、及び更により好ましくは約4〜約14のHLB値を有する。これらの範囲外のHLB値を有する乳化剤は、これらの範囲内に収まる有効な重量平均HLBが得られるように、他の乳化剤と組み合わせて使用することができる。
【0031】
シリコーン乳化剤はシリコーンエマルション用に好ましい。多種多様なシリコーン乳化剤が本明細書で有用である。これらのシリコーン乳化剤は典型的には、当業者にはシリコーン界面活性剤としても既知の、有機的に修飾されたオルガノポリシロキサンである。有用なシリコーン乳化剤には、ジメチコンコポリオールが含まれる。
【0032】
本明細書で乳化剤として有用なジメチコンコポリオール及び他のシリコーン界面活性剤の非限定的な例には、ペンダントのポリエチレンオキシド側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントのポリプロピレンオキシド側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ポリエチレンオキシド側鎖とポリプロピレンオキシド側鎖の混合したペンダントを有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントの混合ポリ(エチレン)(プロピレン)オキシド側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントのオルガノベタイン側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントのカルボキシレート側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントの四級アンモニウム側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー;及びペンダントのC2〜C30の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル部分を含有する前記コポリマーの更なる変成物がある。
【0033】
本明細書で有用な非シリコーン含有乳化剤には、糖エステル類及びポリエステル、アルコキシル化糖エステル及びポリエステル、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステル、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステルのアルコキシル化誘導体、C1〜C30脂肪族アルコールのアルコキシル化エーテル、C1〜C30脂肪酸のポリグリセリルエステル、ポリオールのC1〜C30エステル、ポリオールのC1〜C30エーテル、アルキルホスフェート、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルホスフェート、脂肪酸アミド、アシルラクチレート、石鹸、及びこれらの混合物のような、様々な非イオン性並びにアニオン性乳化剤がある。
【0034】
b.水中油型エマルション
他の好ましい局所適用キャリアには、連続的な水相及びその中に分散された疎水性の、水不溶性相(「油相」)を有する水中油型エマルションが挙げられる。「油相」は、油、シリコーン又は混合物を含有することができ、限定ではないが、油中水型エマルションについて既述したオイル及びシリコーンを含む。エマルションが油中水型エマルションと特徴付けられるか又はシリコーン中水型エマルションと特徴付けられるかの区別は、油相が主として油から構成されるか又はシリコーンから構成されるかの関数である。これらのエマルションの水相は主として水からなるが、油中水型エマルションについての上述した水相成分などの様々な他の成分も含有することができる。好ましい水中油型エマルションは、全組成物の約25重量%〜約98重量%、好ましくは約65重量%〜約95重量%、より好ましくは約70重量%〜約90重量%の水を含む。
【0035】
連続的な水相及び分散された油又はシリコーン相に加えて、これらの水中油型組成物は乳化剤をも含み、エマルションを安定化する。本明細書で有用な乳化剤は当該分野で周知のものであり、非イオン性、アニオン性、カチオン性、及び両性乳化剤を含む。本発明の水中油型エマルションで有用な乳化剤の非限定的な例は、「McCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986)」,published by Allured Publishing Corporation;米国特許第5,011,681号;同第4,421,769号;及び同第3,755,560号で述べられている。
【0036】
4.追加の任意成分
本発明の組成物は、それらが本発明の効果を容認し難いほど変更しないという条件付きで、与えられた製品の種類に従来使用されている他の様々な成分を含有してもよい。これらの成分は、パーソナルケア組成物の皮膚への塗布に安全かつ有効な量で含まれるものでなければならない。
【0037】
一実施形態では、前記パーソナルケア組成物は、潤滑性の水溶性ポリマー;水不溶性粒子、ヒドロゲル形成性ポリマー、及びこれらの混合物のうちから選択される、少なくとも1つの潤滑剤を含む。
【0038】
潤滑性水溶性ポリマーは、一般に、約300,000と15,000,000ダルトンとの間よりも大きい、好ましくは約1,000,000ダルトン以上の分子量を有し、そのポリマーを水溶性にするのに充分な数の親水性部分又は置換基をポリマー鎖上に包含する。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーであってもよい。好適な潤滑性水溶性ポリマーの例としては、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、及びポリアクリルアミドが挙げられる。好ましい潤滑性水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド、特に約500,000〜約5,000,000ダルトンの分子量を有するポリエチレンオキシドを含む。好適なポリエチレンオキシドの例は、PEG−23M、PEG−45M、及びPEG−90Mである。潤滑性水溶性ポリマーは、約0.005重量%〜約3重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1重量%のレベルであることができる。
【0039】
非水溶性粒子には無機粒子又は有機ポリマー粒子を挙げてもよい。無機粒子の例には、二酸化チタン、シリカ、シリケート、及びガラスビーズが挙げられ、ガラスビーズが好ましい。有機ポリマー粒子の例には、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリウレタン粒子、ポリアミド粒子、又はこのような粒子の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0040】
ヒドロゲル形成性ポリマーは、水中でおよそナノメートルスケールの組織化された3次元のドメインを形成する、極めて親水性のポリマーである。ヒドロゲル形成性ポリマーは、一般に、約1,000,000ダルトンよりも大きな分子量を有し(より小さな分子量が可能であるが)、及び典型的には少なくとも部分的に又は軽く架橋されており、少なくとも部分的に非水溶性であってよいが、ポリマーが相当量の水をポリマーマトリックス内に捕捉し又は結合して、3次元ドメインの形成を可能とする、充分な数の親水性部分を包含する。一般に、ヒドロゲル形成性ポリマーは、約0.0005重量%〜約3重量%、又は約0.001重量%〜約0.5重量%、又は約0.002重量%〜約0.1重量%の量でシェービング組成物中に包含される。
【0041】
好適なヒドロゲル形成性ポリマーの例には、多価アルコールで部分的にエステル化されたポリアクリル酸又はポリメタクリル酸;親水性ポリウレタン;軽架橋ポリエチレンオキシド;軽架橋ポリビニルアルコール;軽架橋ポリアクリルアミド;疎水変性ヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメタクリレート;及び架橋ヒアルロン酸が挙げられる。好ましいヒドロゲル形成性ポリマーは、グリセリンで部分的にエステル化された(例えば約40%〜60%、好ましくは約50%エステル化された)ポリアクリル酸を含む。このようなポリマーは、グリセリルアクリレート/アクリル酸コポリマーを含む。グリセリルアクリレート/アクリル酸共重合体は、高親水性であり、1,000,000ダルトン超の分子量を有し、一般にグリセリンで部分的にエステル化された(典型的には約50%エステル化された)ポリアクリル酸の主鎖を含む。グリセリルアクリレート/アクリル酸コポリマーは、水を保持する包接化合物を形成し、放出時に皮膚に対して潤滑性と加湿性を供給すると考えられる。グリセリルアクリレート/アクリル酸共重合体を包含するシェーブゲル組成物は、改善されたゲル構造及び低減された摩擦係数(すなわち、向上された潤滑性)を有することが見出されてきた。例えば、米国特許第2006/00257349号(¶10)を参照のこと。
【0042】
別の実施形態では、パーソナルケア組成物は、約60%〜約93%、好ましくは約70%〜約85%の水(キャリア)、約2%〜約25%、好ましくは約5%〜約20%の水分散型界面活性剤、約1%〜約6%、好ましくは約2%〜約5%の揮発性のポスト発泡剤、及び約0.0005%〜約1%、好ましくは約0.001%〜約0.1%、より好ましくは約0.002%〜約0.05%のグリセリルアクリレート/アクリル酸コポリマーを有する、シェービング組成物である。
【0043】
用語「水分散性」とは、本明細書で使用するとき、物質が、水中に実質的に分散性又は可溶性のいずれかであることを意味する。水分散性界面活性剤は、下記の5項で述べる任意の起泡性界面活性剤(限定ではないが、石鹸、遮断石鹸、洗剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はこれらの1つ以上の混合物を含む)の1つなど、好ましくは起泡能力のあるものである。ポストフォーミング剤は、皮膚に塗布された時に揮発し、ゲルを発泡させるように充分低いがゲルを時期尚早に発泡させるほど低くはない沸点を有する、任意の揮発性の炭化水素又はハロ炭化水素であってもよい。このような剤の典型的な沸点は、一般に、−20°〜40℃の範囲内に入る。好ましいポストフォーミング剤は、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ブタン、イソブタン、及びその混合物などの4〜6個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素から選択される。イソペンタン及びイソブタンの重量比(IP:IB)が約1:1〜約9:1、好ましくは約2:1〜約7:1、最も好ましくは約3:1の混合物が最も好ましい。好適なポストフォーミング剤は、米国特許公開第2006/00257349号(¶9)で記述されている。
【0044】
「The CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition(1992)」には、スキンケアに関連する業界で一般に使用される様々な非限定的な化粧品及び医薬品の成分が記載されており、それらは本発明の組成物への使用に好適である。それらの成分の部類としては:研磨剤;吸着剤;芳香剤、顔料、色素/着色剤、精油、皮膚感覚剤、収れん剤などの審美的構成成分(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、ウィッチヘーゼル留出物);抗ニキビ剤;固化防止剤;消泡剤;抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカーバメート);酸化防止剤;結合剤;生物学的添加物;緩衝剤;充填剤;キレート化剤;化学添加物;着色剤;化粧用収れん剤;化粧用殺生剤;変性剤;薬用収れん剤;外用鎮痛剤;例えば、組成物の被膜形成特性及び実体性を補助するためのポリマーなどの被膜形成剤又は物質(例えば、エイコセンのコポリマー及びビニルピロリドン);不透明化剤;pH調整剤;推進剤;還元剤;封鎖剤;皮膚漂白及び美白剤;皮膚コンディショニング剤;皮膚鎮静剤及び/又は皮膚回復剤及び誘導体;皮膚処置剤;増粘剤;ビタミン;及びそれらの誘導体が挙げられる。追加の好適な皮膚処置活性剤の追加の非限定的な例は、米国特許第2003/0082219号I項(すなわち、ヘキサミジン、酸化亜鉛、及びニアシナミド);同第5,665,339号D項(すなわち、冷却剤、皮膚コンディションニング剤、日焼け防止剤及び顔料、並びに薬剤);及び同第2005/0019356号(すなわち、落屑活性剤、抗にきび活性剤、キレート剤、フラボノイド、並びに抗菌及び抗かび活性剤)に含まれる。好適な乳化剤及び界面活性剤の例は、例えば、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及び「McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition」,pages 317〜324(1986)に見られる。しかしながら、多くの材料は2つ以上の効果をもたらすことがあること、又は2つ以上の作用様式によって機能し得ることに留意すべきである。したがって、本明細書の分類は便宜上実施されたものであって、活性物質を、列挙した特定の1つ又は複数の用途に制限しようとするものではない。他の有用な任意の成分には,抗皺活性剤及び/又は抗皮膚萎縮活性剤;酸化防止剤及び/又はラジカル掃去剤;抗炎症剤;抗セルライト剤;日焼け防止剤;美白剤;日焼け止め活性剤;水溶性ビタミン;粒子状物質;及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
a.コンディショニング剤
本発明の組成物は、それぞれが組成物の約0.01重量%〜約40重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約30重量%、更により好ましくは約0.5重量%〜約15重量%のレベルで存在することができる、保湿剤、加湿剤、又は皮膚コンディショニング剤からなる群から選択されるコンディショニング剤を含んでもよい。これらの材料には、グアニジン;尿素;グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);様々な形のいずれかのアロエベラ(例えば、アロエベラゲル);例えばソルビトール、マンニトール、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのポリヒドロキシ化合物;ポリエチレングリコール;糖(例えば、メリビオース)及びデンプン;糖及びデンプンの誘導体(例えば、アルコキシル化グルコース、フルクトース、スクロースなど);ヒアルロン酸;ラクタミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;スクロースポリエステル;ペトロラタム;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明で保湿剤とも呼ばれる好適な加湿剤には、グアニジン;グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);様々な形のいずれかのアロエベラ(例えば、アロエベラ);ポリヒドロキシアルコール、(例えばソルビトール、グリセロール、ヘキサントリオール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなど)、ポリエチレングリコール、糖及びデンプン、糖及びデンプン誘導体(例えば、アルコキシル化グルコース)、ヒアルロン酸、ラクトアミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
b.増粘剤(増粘物質及びゲル化剤を含む)
本発明の組成物は、組成物の好ましくは約0.05重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、更により好ましくは約0.25重量%〜約4重量%の1つ以上の増粘剤を含むことができる。増粘剤の非限定的な類には、カルボン酸ポリマー(アクリル酸,置換アクリル酸、及びこれらのアクリル酸及び置換アクリル酸の塩及びエステルから誘導される1つ以上のモノマーを含有し、架橋剤が2個以上の炭素−炭素二重結合を含有し、多価アルコールから誘導される架橋化合物);架橋ポリアクリレートポリマー(米国特許第5,100,660号;同第4,849,484号;同第4,835,206号;同第4,628,078号;同第4,599,379号,及びEP228,868で記述されているものなどのカチオン性及び非イオン性ポリマーの両方を含む);ポリマー型スルホン酸(アクリロイルジメチルタウレート及びビニルピロリドンのコポリマーなどの)及び疎水性に変成されたポリマー型スルホン酸(アクリロイルジメチルタウレート及びベヘネス−25メタクリレートの交差ポリマーなどの);ポリアクリルアミドポリマー(ポリアクリルアミド及びイソパラフィン及びラウレス−7などの置換分岐又は非分岐ポリマー並びにアクリルアミド及び置換アクリルアミドとアクリル酸及び置換アクリル酸との多ブロックコポリマーを含む非イオン性ポリアクリルアミドポリマー);多糖(多糖ゲル化剤の非限定的な例は、セルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶性セルロース、セルロース硫酸ナトリウム、及びその混合物からなる群から選択されるものを含む);ガム(すなわち、アカシア、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カラギーナンカルシウム、カルニチン、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、ゲランガム、グアールガム、グアールヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸、水和シリカ、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアール、カラヤガム、ケルプ、ロカストビーンガム、納豆菌ガム、アルギン酸カリウム、カラギーナンカリウム、アルギン酸プロピレングリコール、スクレロチウムガム、カルボキシメチルデキストリンナトリウム、カラギーナンナトリウム、トラガカントガム、キサンタンガム、及びその混合物などのガム剤);及び結晶性、ヒドロキシル含有脂肪酸、脂肪酸エステル又は脂肪ワックス(米国特許第6,967,027号;Westlandらへの同第5,207,826号;Turbakらへの同第4,487,634号;Turbakらへの同第4,373,702号;及びJohnsonらへの同第4,863,565号;Yangらへの米国特許公開第2007/0027108号で開示されている微細繊維状細菌セルロース構造化剤など)からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0048】
5.任意の起泡性界面活性剤
パーソナルケア組成物が洗浄組成物又はクレンジング組成物(シェーブ調製組成物などの)である場合には、キャリアは、1つ以上の起泡性界面活性剤を含むことができ、キャリアは、約60%〜約99.99%のレベルであることができる。起泡性界面活性剤は、本明細書で水と一体化され、機械的に撹拌されたとき、フォーム又は泡を生じる界面活性剤と定義される。好ましくは、これらの界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせは、低刺激性であるべきであり、これは、これらの界面活性剤が、充分なクレンジング効果又は洗浄効果を提供するが、起泡中に皮膚又は毛髪を過度に乾燥させないことを意味する。
【0049】
多種多様な発泡性界面活性剤が本明細書では有用であり、アニオン性起泡性界面活性剤、非イオン性起泡性界面活性剤、両性起泡性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群より選択されるものを包含する。一般に、発泡性界面活性剤類は明らかに水溶性である。組成物中で使用される場合、少なくとも約4%の起泡性界面活性剤は、約10超のHLB値を有する。このような界面活性剤の例は米国特許第5,624,666号で見られる。また、カチオン性界面活性剤を、必要な発泡性界面活性剤の全体的な起泡特性に悪影響を与えないのであれば、任意成分として使用することもできる。
【0050】
これらの界面活性剤の濃度は、組成物の約10重量%〜約20重量%、あるいは約5重量%〜約25重量%、あるいは約2重量%〜約30重量%である。皮膚刺激の問題を回避するために、組成物は、約1.1:1〜約1:1.5、あるいは約1.25:1〜約1:2、あるいは約1.5:1〜約1:3のアニオン性界面活性剤対両性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤対双性イオン性界面活性剤の組成物の重量比を有しなければならない。
【0051】
本発明の組成物に有用なアニオン性起泡性界面活性剤は、「McCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986)」,published by Allured Publishing Corporation;及び「McCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992)」;及び米国特許第3,929,678号に開示されている。本明細書では、多種多様なアニオン性起泡性界面活性剤が有用である。アニオン性起泡性界面活性剤の限定例には、サルコシネート、サルフェート、スルホネート、イセチオネート、タウレート、ホスフェート、ラクチレート、グルタメート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0052】
本明細書で有用な他のアニオン性材料は、典型的には、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約10〜約20個の炭素原子を有する脂肪酸の石鹸(すなわち、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩)、モノアルキル、ジアルキル、及びトリアルキルリン酸塩、式RCON(CH)CHCHCOMに相当するアルカノイルサルコシン酸塩(式中、Rは約10〜約20個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウム及びアルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン)などの水溶性カチオンである)である。2−アミノエタンスルホン酸としても知られているタウリンをベースとするタウレート、及びグルタメート、特にC〜C16の間の炭素鎖を有するものも有用である。
【0053】
本明細書で有用な好ましいアニオン性発泡性界面活性剤の非限定例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、セチル硫酸アンモニウム、セチル硫酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウロイル乳酸トリエタノールアミン、カプロイル乳酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、及びココイルグルタミン酸ナトリウム、並びにこれらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられる。
【0054】
本明細書での組成物での使用に好適な両性又は双性イオン性洗剤用界面活性剤には、ヘアケア又は他のパーソナルケアクレンジングでの使用に既知のものが挙げられる。このような両性の洗剤用界面活性剤の濃度は、組成物の約1重量%〜約10重量%、あるいは約0.5重量%〜約20重量%である。好適な双性イオン性又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号及び米国特許第5,106,609号に記載されている。
【0055】
本発明の組成物中での使用に有用なアニオン性発泡性界面活性剤は、両方とも参照により、その全体が本明細書に組み込まれている、「McCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986)」,published by Allured Publishing Corporation;及び「McCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992)」に開示されている。本明細書で有用な非イオン性発泡性界面活性剤には、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸エステル、発泡性スクロースエステル、アミンオキシド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0056】
非イオン性界面活性剤の他の例としては、アミンオキシドが挙げられる。アミンオキシドは、一般式、RNOに相当し、式中、Rは、約8個〜約18個の炭素原子を持つアルキル基、アルケニル基、又はモノヒドロキシアルキル基、0〜約10個のエチレンオキシド部分、及び0〜約1つのグリセリル部分を含有し、R及びRは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、又はヒドロキシプロピル基のように約1個〜約3個の炭素原子及び0〜約1つのヒドロキシ基を含有する。本発明で使用するのに好適なアミンオキシドの例としては、ジメチル−ドデシルアミンオキシド、オレイルジ(2−ヒドロキシエチル)アミンオキシド、ジメチルオクチルアミンオキシド、ジメチル−デシルアミンオキシド、ジメチル−テトラデシルアミンオキシド、3,6,9−トリオキサヘプタデシルジエチルアミンオキシド、ジ(2−ヒドロキシエチル)−テトラデシルアミンオキシド、2−ドデコキシエチルジメチルアミンオキシド、3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピルジ(3−ヒドロキシプロピル)アミンオキシド、ジメチルヘキサデシルアミンオキシドが挙げられる。
【0057】
明細書での使用に好ましい起泡性界面活性剤は、アニオン性起泡性界面活性剤が、ラウロイルサルコシン酸アンモニウム、トリデセス硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウロイル乳酸トリエタノールアミン、及びそれらの混合物からなる群から選択され;非イオン性起泡性界面活性剤が、ラウラミンオキシド、ココアミンオキシド、デシルポリグルコース、ラウリルポリグルコース、スクロースココエート、C12〜14グルコサミド、スクロースラウレート、及びそれらの混合物からなる群から選択され;両性起泡性界面活性剤が、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、セチルジメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものである。
【0058】
6.組成物の形
限定ではないが、ローション、ミルク、ムース、セラム、スプレー、エアゾール、フォーム、スティック、ペンシル、ゲル、クリーム、及び軟膏を含めた本発明の局所塗布組成物は、皮膚病学的に許容可能な皮膚軟化剤を含み得る。このような組成物は、好ましくは約2%〜約50%の皮膚軟化剤を含有する。本明細書で使用するとき、「皮膚軟化剤」とは、乾燥の予防又は緩和並びに皮膚の保護に有用な物質を指す。多種多様の好適な皮膚軟化剤が既知であり、本明細書で使用されてもよい。「Sagarin,Cosmetics,Science and Technology,2nd Ed,v1,pp.32〜43(1972)」には、皮膚軟化剤として好適な多数の材料例が包含されている。好ましい皮膚軟化剤の非限定的な例にはグリセリン及び脂肪酸エステルが挙げられる。皮膚軟化剤は、組成物の約0.001〜約20重量%、又は約0.01〜約15重量%、又は約0.1〜約10重量%の量で使用可能である。
【0059】
洗浄組成物の物理的形態は、さほど重要ではない。組成物は、例えば、化粧石鹸、液体、シャンプー、浴用ゲル、ヘアコンディショナー、ヘアトニック、ペースト、又はムースとして配合することができる。化粧石鹸は、皮膚を洗うのに最も一般的に使用される洗浄剤の形であるため、これが好ましい。シャンプーのようなリンスオフ洗浄組成物は、皮膚及び頭皮に活性物質を充分な濃度で付着させるのに適したデリバリーシステムを必要とする。好ましいデリバリーシステムは、不溶性錯体を使用するものである。米国特許第4,835,148号を参照のこと。
【0060】
本発明の組成物はまた、化粧品の形であってもよい。好適な化粧品の形としては、ファンデーション、リップスティック、ルージュ、マスカラなどが挙げられるが、これらに限定されない。そのような化粧品製品は、油、着色剤、顔料、皮膚軟化剤、芳香剤、ワックス、安定剤などのような従来成分を含んでもよい。本明細書で使用可能な代表的なキャリア及び成分は、米国特許第6,060,547号で記述されている。1つの好ましい実施形態では、パーソナルケア組成物は、ポストフォーミングゲル、シェービングフォーム、又はシェービングゲルからなる群から選択される。一実施形態では、前記パーソナルケア組成物は、潤滑性の水溶性ポリマー;水不溶性粒子、ヒドロゲル形成性ポリマー、及びこれらの混合物のうちから選択される、少なくとも1つの潤滑剤を含む。別の実施形態では、パーソナルケア組成物は、水分散型界面活性剤、揮発性ポストフォーミング剤、及びグリセリルアクリレート/アクリル酸コポリマーを含む、ポストフォーミングゲルである。
【0061】
7.使用方法
パーソナルケア組成物は、皮膚又は毛髪と接触する任意の好適なパーソナルケア組成物であることができる。好適なパーソナルケア組成物の非限定的な例には、化粧品、加湿剤、ローション、オイル、パーソナルクレンザー、フェイシャルクレンザー、シェービングゲル、シェービングフォーム、シェービングオイル、アフターシェーブ及びスプラッシュ、ローションなどのプレシェーブ処置液等が挙げられる。他の非限定的な例には、ブラシ又はワイプ並びにスプレーなどのアプリケーターが挙げられ、組成物はアプリケーターの上又は中に存在し、次いで直接的な接触又は噴霧により皮膚の上に分散可能である。本発明の組成物は、限定ではないが、シェービング(湿式又は乾式シェービング、電気かみそり、再使用可能な又は使い捨ての電動又は手動カミソリ及びこれらの組み合わせ)、脱毛、電気分解、ワックス又は脱毛剤並びに毛髪生長の調節を助けるためのエネルギー送達器具を含む、様々な脱毛適用と組み合わせて(前、同時、及び/又は後に)使用可能である。エネルギー送達器具の非限定的な例には、光、熱、音(超音波及びラジオ周波数を含む)、電気エネルギー、磁気エネルギー、電磁エネルギー(ラジオ周波数の波及びマイクロウエーブを含む)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。前記光エネルギーは、レーザー、ダイオードレーザー、ダイオードレーザーバー、ダイオードレーザーアレイ、フラッシュランプ、超短パルス光(IPL)源、又は、これらの組み合わせなどの装置によって付与してよいが、これらに限らない。例えば、米国特許第2006/0235370A1号を参照されたい。
【0062】
本発明は、前記脱毛技術の1つ以上の結果であることができる皮膚刺激を処置する方法であって、ナフタレニルケトンを含むパーソナルケア組成物を皮膚の一部分に塗布して、処置を受けた一部分の皮膚を形成し、処置を受けた皮膚の前記一部分の近傍の少なくとも1つのTRP受容体をダウンレギュレーションすることを含む、方法を含む。一実施形態では,前記方法は、パーソナルケア組成物を塗布する工程の前に、湿式シェービングのための安全かみそりによるシェービング又は乾式シェーバーなどにより皮膚の前記一部分から毛髪を少なくとも部分的に除去する工程を更に含む。別の実施形態では、前記方法は、パーソナルケア組成物を塗布する工程の後に、皮膚の前記一部分から毛髪を少なくとも部分的に除去する工程を更に含む。
【0063】
一実施形態では、本発明は、皮膚の前記一部分の又はその近傍のTRP受容体を、ダウンレギュレーションなどにより調節することにより皮膚の一部分を処置する工程であって、約0.001%〜約1%のメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む、パーソナルケア組成物を皮膚の一部分に塗布して、処置を受けた一部分の皮膚を形成する工程を含む、方法を含む。別の実施形態では、前記パーソナルケア組成物を塗布する前記工程は、少なくとも0.0015mg/cm、あるいは約0.002mg/cm〜約0.02mg/cm、あるいは約0.005mg/cm〜約0.015mg/cmのメチルナフタレニルケトン又はその誘導体の最少投与レベルを形成する。理論により拘束されるように意図しているのではないが、メチルナフタレニルケトン又はその誘導体をこのような投与レベルで提供することによって、TRPV1及び/又はTRPA1受容体などの前記少なくとも1つのTRP受容体の所望のダウンレギュレーションが可能となると考えられる。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、処置を受けた皮膚の前記一部分上で前記パーソナルケア組成物を約5秒〜120秒間、あるいは約10秒〜約60秒間、あるいは約30秒〜約45秒間放置する工程を含む。一実施形態では、組成物は、少なくとも2秒間放置され、その後かみそりにより除去され、洗い流されるか、又は他の方法で洗い流される。理論により拘束されるように意図しているのではないが、前記パーソナルケア組成物を皮膚の上にこのような時間放置することによって、メチルナフタレニルケトン又はその誘導体が前記少なくとも1つのTRP受容体をダウンレギュレーションすることが可能となると考えられる。
【0065】
別の実施形態では、本発明は、処置を受けた皮膚の前記一部分から前記パーソナルケア組成物を少なくとも部分的に除去し、続いて既に皮膚上にある前記パーソナルケア組成物中のレベルよりも大きい、あるレベルのメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む第2のパーソナルケア組成物を塗布する工程を更に含む。除去工程は、洗い流し、シェービング又は他の方法での毛髪を除去する間の除去、又はタオルなどの基材による拭きとりによるものであることができる。それぞれがメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む、多数のパーソナルケア組成物を使用する場合には、それぞれの以降の組成物中のメチルナフタレニルケトン又はその誘導体のレベルは、前に塗布した組成物中のメチルナフタレニルケトン又はその誘導体のレベルと少なくとも同一であり、好ましくは約10重量%、又は約20重量%、又は約50重量%、又は約100重量%増加させたものとする。一実施形態では、パーソナルケア組成物は、フェイシャルスクラブ又はクレンザーであり、第2のパーソナルケア組成物は、シェービングバー、エアゾール又は非エアゾールシェービングフォーム又はゲル、又はポストフォーミングゲルなどのシェービング製剤であることができる。別の実施形態では、パーソナルケア組成物は、前述の組成物のいずれかであることができ、組成物を少なくとも部分的に除去する工程はシェービングの間に実施可能であり、第2のパーソナルケア組成物は、バルム、保湿剤又はスキンケアローションであることができる。理論により拘束されるように意図しているのではないが、以降の組成物中のメチルナフタレニルケトン又はその誘導体のレベルを増加させることにより、使用者が少なくとも1つのTRP受容体のダウンレギュレーションを感じることは継続すると考えられる。このような使用法は、敏感な皮膚を有し、抗刺激性製品を望む消費者には特に有用であることができる。
【0066】
別の実施形態では、この方法は、処置を受けた皮膚の前記一部分の近傍の少なくとも1つのTRP受容体をダウンレギュレーションする工程を更に含み、少なくとも1つのTRPがTRPV1受容体、TRPA1受容体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0067】
当業者ならば、本発明のパーソナルケア組成物が非治療的な目的にも使用可能であるということを理解するであろう。非治療的な目的は、シェービング、脱毛等などの上述のスキンケア使用のいずれかを含む。
【0068】
8.TRP調節試験方法:プレーインキュベーション試験及び直接添加試験
本明細書で定義するようなプレーインキュベーション試験及び直接添加試験方法を、TRPV1又はTRPA1受容体のいずれかで行うことができる。
【0069】
プレーインキュベーション試験方法:最初に、TRPV1及びTRPA1受容体中の細胞間のカルシウムイオン(Ca+2)レベルを測定する。ヒトのTRPV1又はTRPA1で安定に形質移入されたHEK−293(ヒト胎児腎臓)細胞を、5% COに設定された哺乳動物細胞培養インキュベーター内で75Cmフラスコ内の増殖培地15mL[10% FBS(ウシ胎児血清)、100μg/mLペニシリン/ストレプトマイシン、100μg/mL G418を添加した高グルコースDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)]で3日にわたって、33℃で増殖させる。PBS 10mL(リン酸緩衝生理食塩水)を添加し、手で穏やかに振盪することにより、細胞を剥離する。細胞を50mLのチューブに移し、850rpmで3分にわたって遠心分離させて、PBSを除去する。遠心分離後、細胞のペレットがチューブの底に形成される。これらを上清溶液から分離する。上清を捨て、細胞ペレットを1mLの新鮮な増殖培地中で懸濁し、これに5μL(12.5μg)のFluo−4AM(Molecular Probes,Inc.)カルシウム指示薬を添加し、プレート振盪器上で穏やかに振盪しながら30分にわたってインキュベートする。Fluo−4は、細胞内Ca2+濃度を100nM〜1μMの範囲で定量するために用いられる蛍光色素である。この30分の終わりに、アッセイ用緩衝液45mL[1xHBSS(ハンクス平衡塩類溶液)、20mM HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)]を加えて細胞を洗浄し、次いで得られた組み合わせを850rpmで3分にわたって遠心分離して、余分な緩衝液及びFluo−4AMカルシウム指示薬を除去する。
【0070】
ペレット状の細胞をアッセイ用緩衝液10mLに再懸濁させ、10μLの試験化合物(アッセイ用緩衝液中1mM、最終濃度100μM)又は緩衝剤対照を含有する96ウェルのアッセイプレートに、1穴につき90μLのアリコート(およそ細胞50,000つ)を撒き、室温にて30分にわたってインキュベートする。30分後、プレートを蛍光測定画像解析用プレートリーダー(Molecular DevicesからのFLIPR384)に配置し、定常蛍光度を記録する(励起波長488nm及び発光波長510nm)。細胞内カルシウムの濃度の変化を検出するために、FLIPRアッセイは一般に認められた方法である。次いで、20μlの活性化剤[TRPV1に対しては1.8μMのカプサイシン(最終濃度300nM)又はTRPA1に対しては300μMのAITC(最終濃度50μM)をFLIPRにより自動的に添加し、蛍光を直ちに記録する。
【0071】
直接添加試験方法(TRPV1及びTRPA1に及ぼす試験化合物の直接効果を求めるために):96穴アッセイプレートでの10μlの試験化合物の代わりに10μlのアッセイ緩衝液としたことを除いて、全ての手順はプレーインキュベーション試験と同一である。600μMのそれぞれの化合物を20μl(最終濃度100μM)を添加した後、蛍光を直ちに測定する。20μlの活性化剤(カプサイシン又はAITC)はポジチブコントロールとしてである。蛍光測定に基づいてアップレギュレーション又はダウンレギュレーションのパーセントを計算する。下記の表1は、Iso E Super(登録商標)の添加からの%レギュレーション及び蛍光単位を示す。
【表1】

【実施例】
【0072】
実施例組A−D中の試料は本発明の範囲内のものである。
【0073】
実施例組A:保湿剤/バルムの作製の説明
相A材料を一体化し、容器中で加熱する。相B材料を一体化し、別の容器中で加熱する。相Bを相Aに高剪断下で添加する。相A及びBの混合物を冷却し、相Cの内容物を混合しながら添加する。相D材料を別の容器中でブレンドし、相A、B、及びCの混合物に添加する。最終混合物をよくブレンドされるまで撹拌する。QSは、100重量%に達するのに充分な量を意味する。全ての値は重量パーセントである。
【表2】

【表3】

Cognis Corp,(Cincinnati,OH)からのセテアリルグルコシド(及び)セテアリルアルコール
Cognis Corp(Cincinnati,OH)からのセテアリルイソノナノエート
Clariant International AG(Switzerland)からのアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマー
Dow Corning(Midland,MI)からのジメチコン(及び)ジメチコノール
Rhodia Inc(Cranbury)からのDMDMヒダントイン(及び)水NJ
Lonza Group Ltd(Switzerland)からのDMDMヒダントイン(及び)ヨードプロピニルブチルカーバメート(及び)水
Kobo Products(Plainfield,NJ)からのマイカ(及び)二酸化チタン(及び)酸化スズ
Kobo Products(Plainfield,NJ)からのマイカ(及び)二酸化チタン
Seppic Inc(Fairfield,NJ)からのポリアクリレート−13(及び)ポリイソブテン(及び)ポリソルベート20
10 IFF(New York,NY)からの
【0074】
実施例組B:洗浄組成物
【表4】

11 ソルビトール70量%溶液
12 ラウロアンホ酢酸ナトリウム32%溶液
13 トリデセス硫酸ナトリウム65%溶液
14 ミリストールサルコシン酸ナトリウム30%溶液
15 Antil 200−(Evonik/Goldschmidt)
【0075】
洗浄組成物用の作製の説明
バッチ全体保持するのに充分な水を容器中に秤取る。容器の中にインペラー付きのオーバーヘッドミキサーを挿入し、撹拌を増大して、渦を形成させる。ポリマーを渦の中に散布し、良好な溶解を確認する。バッチを約60℃まで加熱して、ポリマーを水和させる。EDTA、PEG、ソルビトール、グリセリン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、及び界面活性剤を加熱しながら添加する。バッチが60℃になった後、ラウリン酸を添加する。60℃で少なくとも5分間撹拌を続ける。pHをクエン酸及び/又は水により5.9〜6.5に調整する。熱を除去し、35℃まで冷却する。35℃以下になったならば、Iso E Super、芳香剤、保存剤及び他の成分を添加する。
【0076】
実施例組C:プレシェーブ製剤例
【表5】

【0077】
上記のプレシェーブ製剤試料を、下記の方法に従って作製する。
【0078】
バッチ全体保持するのに充分な水を容器中に秤取る。容器の中にインペラー付きのオーバーヘッドミキサーを挿入し、撹拌を増大して、渦を形成させる。増粘物質及びポリマー粉末を予備ブレンドする。ポリマーブレンドを組み込まれるまで渦の中に散布する。バッチを70℃まで加熱して、ポリマーを水和させることを開始する。バッチが70℃になったならば、油を添加し、均一かつ分散するまで混合する。液体分散ポリマーをバッチに添加し、回転数を増大して、良好な混合を維持して、均一かつ水和するまで混合する。界面活性剤を添加し、均一かつ分散するまで混合する。バッチを45℃以下に冷却することを始める。45℃以下になったならば、芳香剤、保存剤、及び他の温度敏感性添加物を添加する。35℃以下まで冷却し、水で適量にする。試料を35℃まで冷却した後又は芳香剤と一緒に、Iso E Superを添加することができる。
【0079】
実施例組D:ポストフォーミングシェービングゲル例
作製説明書は、米国特許第2006/0257349号、段落21に見られる。Iso E Superを芳香剤と同時に添加することができることを注記する。
【表6】

18 Natrosol 250 HHRとしてHercules Inc(Wilmington,DE)から入手可能
19 Polyox WSR−301としてAmerchol Corp(Piscataway,NJ)から入手可能
20 Polyox WSRN−12KとしてAmerchol Corp(Piscataway,NJ)から入手可能
21 Microslip 519としてMicro Powders Inc(Tarrytown,NY)から入手可能
22 Guardian Laboratories(Hauppauge,NY)から入手可能
【0080】
特記しない限り、本明細書で使用するあらゆる百分率及び比率は全組成物の重量によるものであり、行った測定は全て25℃におけるものである。
【0081】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須構成成分並びに任意成分を含み、それらから本質的になり、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」とは、組成物又は構成成分は追加成分を包含してもよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を実質的に変化させない場合に限ることを意味する。
【0082】
本明細書で使用するとき、「皮膚病学的に許容可能な」とは、記載の組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等がなく、人間のケラチン組織と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0083】
特記しない限り、本明細書で開示されている全ての百分率は、組成物中に見られる表記した材料それ自身の重量によるものであり、例えば、原材料中に見られるキャリア、不純物及び副生成物に関連する重量を除く。
【0084】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのようなより大きい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように含む。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内にあるあらゆるより狭い数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が本明細書に全て明示的に記載されているかのように含む。
【0085】
特記しない限り、本明細書の明細、実施例、及び請求の範囲における全ての割合、比率、及び百分率は重量基準であり、全ての数値限定は、当該技術分野により提供される通常の程度の精度で使用される。本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0086】
「発明を実施するための形態」において引用する全ての文献は、その関連部分において参照として本明細書に組み込まれるものであるが、いずれの文献の引用も、こうした引用が本発明の先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献におけるいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0087】
特に指定のない限り、前置詞の「a」、「an」、及び「the」は「1つ以上」を意味する。
【0088】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物の使用方法であって、
a)皮膚の一部分に第1のパーソナルケア組成物を塗布して、処置を受けた一部分の皮膚を形成させることを含み、前記パーソナルケア組成物が約0.001%〜約1%のメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む、方法。
【請求項2】
前記パーソナルケア組成物を塗布する工程が少なくとも0.0015mg/cmの最少投与レベルを形成する、請求項1に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項3】
前記パーソナルケア組成物を前記処置を受けた一部分の皮膚上に5秒〜120秒間放置する工程を更に含む、請求項1又は2に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項4】
前記第1のパーソナルケア組成物を前記処置を受けた一部分の皮膚から除去し、引き続き前記第1のパーソナルケア組成物中のメチルナフタレニルケトン又はその誘導体のレベルよりも高いレベルのメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む第2のパーソナルケア組成物を塗布する工程を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項5】
前記皮膚の一部分が、次の身体部分、唇、顔、頚部、下腕、上腕及び/又は前腕、胸部、背部、腰部、脚部、太腿部、腹部、及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項6】
前記メチルナフタレニルケトンが、ナフタレニル環上に少なくとも1つのメチル基を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項7】
前記メチルナフタレニルケトンが、l−(l,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−エタン−1−オン分子、異性体及びその誘導体、並びにその混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項8】
前記パーソナルケア組成物を塗布する工程の前に毛髪を前記皮膚の一部分から少なくとも部分的に除去する工程を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項9】
前記パーソナルケア組成物を塗布する工程の後に毛髪を前記皮膚の一部分から少なくとも部分的に除去する工程を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項10】
前記パーソナルケア組成物が、化粧品、加湿剤、ローション、オイル,パーソナルクレンザー、フェイシャルクレンザー、シェービングゲル、シェービングフォーム、シェービングオイル、アフターシェーブローション及びスプラッシュ、プレシェーブローション及びオイル、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項11】
前記パーソナルケア組成物が、p−メタン−3,8−ジオール;イソプレゴール;メントオキシプロパン−l,2,−ジオール;クルクミン;メンチルラクテート;ジンゲロール;イシリン;メントール;茶木油;メチルサリシレート;樟脳;ペパーミントオイル;N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド;エチル3−(p−メンタン−3−カルボキサミド)アセテート;2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド;メントングリセロールケタール、及びその混合物からなる群から選択される追加の感覚刺激物質を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項12】
前記パーソナルケア組成物が、フェイシャルクレンザー又はボディクレンザー又はスクラブ、プレシェーブ製剤、シェービングゲル又はフォーム、加湿剤及びローションから選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物の使用方法。
【請求項13】
前記処置を受けた一部分の皮膚の近傍で少なくとも1つのTRP受容体をダウンレギュレーションするための約0.001%〜約1%のメチルナフタレニルケトン又はその誘導体を含む、パーソナルケア組成物の使用。
【請求項14】
前記少なくとも1つのTRP受容体が、TRPV1受容体、TRPA1受容体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載のパーソナルケア組成物の使用。
【請求項15】
前記メチルナフタレニルケトン又はその誘導体が、l−(l,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−エタン−1−オン分子、異性体及びその誘導体、並びにその混合物を含む、請求項13又は14に記載のパーソナルケア組成物の使用。

【公表番号】特表2013−517275(P2013−517275A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549016(P2012−549016)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2011/020928
【国際公開番号】WO2011/088073
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】