説明

メモリ制御装置及びメモリ制御プログラム

【課題】省エネ復帰時間を短縮しながらハングアップすることなく確実に復帰させることを目的とする。
【解決手段】省エネモード中の電源を監視して(100)、閾値以上の電圧が検出された場合には、省エネ復帰から通常復帰に切り換えて、メモリに記憶された展開情報を利用せずに、メモリを初期化して新たに情報を展開して復帰する通常復帰が行われるように制御し(104〜112)、閾値以上の電圧が検出されない場合にはメモリに記憶された展開情報を利用する省エネ復帰が行われるように制御する(104)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ制御装置及びメモリ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリを制御するメモリ制御装置としては、各種技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、SDRAMコントローラが、省電力モードに移行するときに、SDRAMコントローラ内に設定されている情報をSDRAMに記憶した後にSDRAMをセルフリフレッシュモードに移行させると共に、省エネ復帰認識回路に省電力モードを示す情報を記憶した後に電力が遮断する。そして、電力供給が開始されたときに、省エネ復帰認識回路に記憶されている情報に基づいて省電力モードからの復帰か否かを判別し、装置全体への電力供給が停止された状態から復帰を判別した場合には、SDRAMを初期化し、省電力モードからの復帰を判別した場合に、SDRAMを初期化せずにSDRAMのセルフリフレッシュモードを解除した後にSDRAMに記憶されている情報に基づいて省電力モードからの復帰処理を行うようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術では、DRAMバスが動作状態から非動作状態に切り替わったと判定した場合に、VT電源を介してDRAMバスに流れる電流量を減少させるよう、SSTL2インターフェースバッファの出力状態を所定の出力状態に切り替えることにより、バスに流れる電流量を減少させることが提案されている。
【0005】
さらに、特許文献3に記載の技術では、DRAMと該DRAMを制御するためのDRAMコントローラとを備えて、DRAMコントローラとDRAMとをデータ伝送通信線により接続する。そして、終端電圧供給手段が、DRAMコントローラからの制御信号を受けて、データ伝送通信線に電源を供給し、DRAMコントローラが、DRAMのリフレッシュモードを解除するときに、終端電圧供給手段に電源の供給を開始させ、終端電圧供給手段が電源供給を開始してから、DRAMがリフレッシュ解除状態となるまで、DRAMに対するアクセスを待たせることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−72476号公報
【特許文献2】特開2006−350859号公報
【特許文献3】特開2008−217890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、省エネ復帰時間を短縮しながらハングアップすることなく確実に復帰させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の画像処理装置は、消費電力を抑制する省エネ状態へ移行する際に装置内に展開されている展開情報を保持するメモリに保持された前記展開情報の破壊につながる現象を検出する検出手段と、前記検出手段によって前記現象が検出されない場合に、前記メモリに保持された前記展開情報を使用して前記省エネ状態から復帰する省エネ復帰を行い、前記検出手段によって前記現象が検出された場合には、前記メモリに保持された前記展開情報を使用せずに新たに情報を展開して復帰する通常復帰を行うように、前記省エネ状態からの復帰を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記検出手段は、前記メモリへの供給電力が予め定めた閾値を超えるか否かにより、前記現象を検出することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記検出手段は、前記メモリにおいてセルフリフレッシュからオートリフレッシュへ移行した後にリフレッシュコマンドが出力されるまでのリフレッシュ時間間隔が予め定めた閾値を超えるか否かにより、前記現象を検出することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、前記検出手段は、前記省エネ状態からの復帰の際に前記メモリにおいて行われるリードライトレベリングの結果が予め定めた設定範囲を超えるか否かにより、前記現象を検出することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、コンピュータを、請求項1〜4の何れか1項に記載のメモリ制御装置における検出手段及び制御手段として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、5に記載の発明によれば、省エネ復帰時間を短縮しながらハングアップすることなく確実に復帰させることができる、という効果がある。
【0014】
請求項2〜4に記載の発明によれば、情報が破壊されている可能性があるか否かを検出することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるメモリ制御装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるメモリ制御装置において省エネモードから復帰する際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係わるメモリ制御装置の概略構成を示す図である。
【図4】(A)は省エネモードから復帰の際のDIMMの処理の流れを示す図であり、(B)は温度毎のリフレッシュ時間間隔を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係わるメモリ制御装置において省エネモードから復帰する際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】(A)は本発明の第3実施形態に係わるメモリ制御装置の概略構成を示す図であり、(B)はリードライトレベリングの基準の設定値の一例を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係わるメモリ制御装置において省エネモードから復帰する際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係わるメモリ制御装置10の概略構成を示す図である。
【0018】
メモリ制御装置10は、図1に示すように、CPU12、DIMM(Dual Inline Memory Module)14、省エネ制御部16、電源監視部18、及び表示部20を備えている。
【0019】
CPU12には、DIMM14が接続されている。DIMM14は、複数のDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリをプリント基板上に搭載したメモリモジュールであり、CPU12の主記憶メモリとして利用される。なお、本実施の形態におけるDIMM14に搭載されるメモリは、DDR3(Double Data Rate3)の規格を一例として適用するものとして説明する。
【0020】
電源監視部18は、DIMM14の各メモリへ供給される電源の状態(例えば、電圧や電流)を監視し、監視結果を省エネ制御部16へ出力するようになっている。
【0021】
省エネ制御部16は、CPU12からの指示に基づいて、DIMM14の省エネモードへの移行や、省エネモードからの復帰を制御する。また、本実施形態では、省エネ制御部16は、電源監視部18の監視結果に基づいて、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象が発生したか否かを判断して、省電力状態からの復帰方法を制御するようになっている。
【0022】
省エネ制御部16は、詳細には、省エネモード中に、DIMM14へ供給している電源が予め定めた値の範囲を逸脱する場合に、次回の復帰要因を決定しているCPU12内のコントローラへ通知し次回の復帰を「省エネ復帰」から「通常復帰」へ変更して復帰するように制御する。
【0023】
なお、以降の説明において、「省エネ復帰」は、省エネモードへ移行する前に装置内に展開されている展開情報を省エネモードから復帰させるための情報としてメモリに記憶しておき、復帰時に記憶された展開情報を用いて復帰し、「通常復帰」は、メモリに記憶された展開情報を利用せずに、メモリを初期化して新たに情報を展開して復帰するものとして説明する。
【0024】
続いて、本発明の第1実施形態に係わるメモリ制御装置の動作について説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係わるメモリ制御装置10において省エネモードから復帰する際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0025】
ステップ100では、省エネモード中の電源(例えば、電圧や電流)が電源監視部18によって監視されてステップ102へ移行する。
【0026】
ステップ102では、省エネモードからの復帰か否か判定される。該判定は、例えば、CPU12から復帰指示がなされたか否かを省エネ制御部16が判定し、該判定が肯定された場合にはステップ104へ移行し、否定された場合にはステップ106へ移行する。
【0027】
ステップ104では、省エネ復帰が行われて一連の処理を終了する。すなわち、省エネ制御部16によって省エネ復帰するようにCPU12に含まれるメモリコントローラに対して指示が出力される。これによって、DIMM14の各メモリに展開された展開情報を用いて省エネモードからの復帰が行われ、情報を再展開する時間が短縮され、復帰時間が短縮される。
【0028】
一方、ステップ106では、電圧が閾値以上か否か判定される。該判定は、例えば、DIMM14へ供給される電圧が予め定めた閾値以上になったか否かを電源監視部18が判定し、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定された場合にはステップ108へ移行する。
【0029】
ステップ108では、閾値を超えたことが電源監視部18から省エネ制御部16に通知されてステップ110へ移行する。
【0030】
ステップ110では、省エネ制御部16によって復帰方法が通常復帰に切換られてステップ112へ移行する。
【0031】
ステップ112では、通常復帰が行われてステップ114へ移行する。すなわち、電圧が閾値以上になると、省エネ制御部16によって通常復帰するようにCPU12に含まれるメモリコントローラに対して指示が出力される。これによって、DIMM14の各メモリが初期化されて新たに情報が展開されることにより復帰が行われる。従って、メモリ電源を監視して、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象(電源電圧が閾値以上となる状態)が検出された場合には通常復帰するので、省エネ復帰時にハングアップすることなく確実に復帰が行われる。
【0032】
ステップ114では、閾値を超えたことが省エネ制御部16によってカウントされてステップ116へ移行する。なお、カウント結果は不揮発性メモリ等に記憶される。
【0033】
ステップ116では、カウント値が規定値以上に達したか否か省エネ制御部16によって判定され、該判定が否定された場合にはそのまま一連の処理を終了し、肯定された場合にはステップ118へ移行する。
【0034】
ステップ118では、不具合の可能性があることが通知されて一連の処理を終了する。例えば、省エネ制御部16がCPU12に対して、DIMM14の不具合の可能性があることを通知することにより、表示部20に不具合の可能性があることを表す情報を表示する。
【0035】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係わるメモリ制御装置について説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係わるメモリ制御装置の概略構成を示す図である。
【0036】
第1実施形態では、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象を、メモリへ供給している電源を監視することにより検出するようにしたが、第2実施形態では、復帰要因が検知されてセルフリフレッシュからオートリフレッシュに切り替わってからリフレッシュコマンドが出力されるまでの時間を監視することにより、情報破壊につながる現象を検出するようにしたものである。
【0037】
本発明の第2実施形態に係わるメモリ制御装置は、図3に示すように、CPU12、DIMM14、及び温度センサ28を備えている。
【0038】
CPU12は、メモリコントローラ24及び監視部26を含んで構成されており、メモリコントローラ24には、DIMM14が接続されている。DIMM14は、上述したように、複数のDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリをプリント基板上に搭載したメモリモジュールであり、CPU12の主記憶メモリとして利用される。
【0039】
DIMM14は省エネモードから復帰の際には、図4(A)に示すように、省エネ中セルフリフレッシュから省エネ復帰オートリフレッシュへ移行し、その後、モードレジスタセット、リードライトレベリング、及びキャリブレーションを経てリフレッシュコマンドを出力する。なお、セルフリフレッシュとは、クロックを非活性にしてデバイスの消費電力を抑制して、内部のリフレッシュカウンタを用いてリフレッシュ動作を実行するモードであり、情報は保護する必要はあるが、長時間デバイスにアクセスしない場合に有効とされている。また、オートリフレッシュはDRAMのリフレッシュを実行するものである。
【0040】
本実施形態では、省エネ復帰オートリフレッシュへ移行時にメモリコントローラ24がカウントを開始してリフレッシュコマンドが出力されるまでの時間をカウントする。
【0041】
また、省エネ復帰オートリフレッシュへ移行してからリフレッシュコマンドが出力されるまでの時間(リフレッシュ時間間隔t)は、温度によって変化するため、温度センサ28によって温度を測定すると共に、温度毎の基準のリフレッシュ時間間隔(図4(B))を不揮発性メモリ等に記憶しておく。
【0042】
例えば、温度センサ28は、DIMM14に搭載された各メモリの温度、或いは、DIMM14周辺の温度を検出して、検出結果をCPU12の監視部26へ出力する。
【0043】
そして、CPU12の監視部26は、温度センサ28の検出結果に基づいて、基準となるリフレッシュ時間間隔を読み出して、メモリコントローラ24に出力する。これにより、メモリコントローラ24では、カウントしたリフレッシュ時間間隔と読み出した基準のリフレッシュ時間間隔を比較することにより、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象が発生したか否かを判断して、省電力状態からの復帰方法を制御するようになっている。
【0044】
メモリコントローラ24は、詳細には、リフレッシュ時間間隔が読み出した基準のリフレッシュ時間間隔を超える場合に、次回の復帰を「省エネ復帰」から「通常復帰」へ変更して復帰するように制御する。
【0045】
続いて、本発明の第2実施形態に係わるメモリ制御装置の動作について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係わるメモリ制御装置において省エネモードから復帰する際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0046】
ステップ200では、省エネモードへ移行してステップ202へ移行する。
【0047】
ステップ202では、復帰要因が検知されたか否かメモリコントローラ24によって判定され、該判定が否定された場合には肯定されるまで待機してステップ204へ移行する。
【0048】
ステップ204では、メモリコントローラ24からメモリへ復帰要因が出力されてステップ206へ移行する。
【0049】
ステップ206では、復帰要因をトリガとしてメモリコントローラ24によるリフレッシュ時間間隔のカウントが開始されてステップ208へ移行する。
【0050】
ステップ208では、リフレッシュコマンドが発行されたか否かがメモリコントローラ24によって判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ210へ移行する。
【0051】
ステップ210では、メモリコントローラ24によるリフレッシュ時間間隔のカウントが停止されてステップ212へ移行する。
【0052】
ステップ212では、温度センサ28の検出によって温度が検出されて監視部26へ通知されてステップ214へ移行する。
【0053】
ステップ214では、検出された温度に対応するリフレッシュ時間間隔の閾値が監視部26によって決定されてステップ216へ移行する。すなわち、監視部26によって検出された温度に対応するリフレッシュ時間間隔が読み出されて閾値として決定される。
【0054】
ステップ216では、カウント値が閾値以上か否かメモリコントローラ24によって判定され、該判定が否定された場合にはステップ218へ移行し、肯定された場合にはステップ220へ移行する。
【0055】
ステップ218では、省エネ復帰シーケンスへ移行して一連の処理を終了する。すなわち、DIMM14のメモリに展開された展開情報を用いて省エネモードからの復帰が行われ、情報を再展開する時間が短縮され、復帰時間が短縮される。
【0056】
また、ステップ220では、通常復帰シーケンスへ移行して一連の処理を終了する。すなわち、DIMM14の各メモリが初期化されて新たに情報が展開されることにより復帰が行われる。従って、リフレッシュ時間間隔に基づいて、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象(温度毎に定めた閾値を超えるリフレッシュ時間間隔)が検出された場合に通常復帰するので、省エネ復帰時にハングアップすることなく確実に復帰が行われる。
【0057】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態に係わるメモリ制御装置について説明する。図6(A)は、本発明の第3実施形態に係わるメモリ制御装置の概略構成を示す図である。
【0058】
第1実施形態では、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象を、メモリへ供給している電源を監視することにより検出し、第2実施形態では、復帰要因が検知されてセルフリフレッシュからオートリフレッシュに切り替わってからリフレッシュコマンドが出力されるまでのリフレッシュ時間間隔を監視することにより、情報破壊につながる現象を検出するようにしたが、第3実施形態では、復帰時に行われるリードライトレベリングの調整結果を監視することにより、情報破壊につながる現象を検出するようにしたものである。
【0059】
本発明の第3実施形態に係わるメモリ制御装置は、図6(A)に示すように、CPU12、DIMM14、及びSRAM(Static Random Access Memory)28を備えている。
【0060】
CPU12は、メモリコントローラ24を含んで構成されており、メモリコントローラ24には、DIMM14が接続されている。DIMM14は、上述したように、複数のDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリをプリント基板上に搭載したメモリモジュールであり、CPU12の主記憶メモリとして利用される。
【0061】
DIMM14の各メモリは、省エネモードから復帰の際には、図4(A)に示すように、省エネ中セルフリフレッシュから省エネ復帰オートリフレッシュへ移行し、その後、モードレジスタセット、リードライトレベリング、及びキャリブレーションを経てリフレッシュコマンドを出力する。
【0062】
本実施形態では、メモリコントローラ24が省エネ復帰の際に行われる各メモリのリードライトレベリングの調整結果を取得する。
【0063】
リードライトレベリングは、メモリに問題が発生していなければ、予め定めた範囲内となるので、リードライトレベリングの基準の設定値を不揮発メモリ等に記憶しておく。例えば、図6(B)に示すように、リードライトレベリングの基準の設定値として、最小値、通常値、及び最大値を不揮発性メモリに予め記憶しておく。
【0064】
そして、メモリコントローラが、不揮発性メモリに記憶しておいたリードライトレベリングの基準の設定値をSRAM28に読み出して、省エネ復帰の際のリードライトレベリングの調整結果と比較することにより、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象が発生したか否かを判断して、省電力状態からの復帰方法を制御するようになっている。
【0065】
メモリコントローラ24は、詳細には、リードライトレベリング結果が読み出した基準の設定値を逸脱する場合に、次回の復帰を「省エネ復帰」から「通常復帰」へ変更して復帰するように制御する。
【0066】
続いて、本発明の第3実施形態に係わるメモリ制御装置の動作について説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係わるメモリ制御装置において省エネモードから復帰する際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0067】
ステップ300では、省エネモードへ移行してステップ302へ移行する。
【0068】
ステップ302では、復帰要因が検知されたか否かメモリコントローラ24によって判定され、該判定が否定された場合には肯定されるまで待機してステップ304へ移行する。
【0069】
ステップ304では、リードライトレベリングが終了したか否か判定される。該判定は、メモリコントローラ24がDIMM14の各メモリを監視してリードライトレベリングが終了したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ306へ移行する。
【0070】
ステップ306では、不揮発性メモリに予め記憶されたリードライトレベリングの基準の設定値がメモリコントローラ24によってSRAM28に読み出されてステップ308へ移行する。
【0071】
ステップ308では、リードライトレベリングの結果が閾値内か否か判定される。すなわち、メモリコントローラ24は、リードライトレベリング結果が、読み出したリードライトレベリングの機銃の設定値内か否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ310へ移行し、否定された場合にはステップ312へ移行する。
【0072】
ステップ310では、省エネ復帰シーケンスへ移行して一連の処理を終了する。すなわち、DIMM14のメモリに展開された展開情報を用いて省エネモードからの復帰が行われ、情報を再展開する時間が短縮され、復帰時間が短縮される。
【0073】
また、ステップ312では、通常復帰シーケンスへ移行して一連の処理を終了する。すなわち、DIMM14の各メモリが初期化されて新たに情報が展開されることにより復帰が行われる。従って、リードライトレベリングの結果に基づいて、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象(閾値外のリードライトのレベリング結果)が検出された場合に、通常復帰するので、省エネ復帰時にハングアップすることなく確実に復帰が行われる。
【0074】
なお、上記の実施の形態では、メモリの電源、リフレッシュ時間間隔、または復帰の際のリードライトレベリング結果を監視することにより、DIMM14に格納した情報の破壊につながる現象を検出するようにしたが、他の物理量等を用いて情報破壊につながる現象を検出するようにしてもよい。
【0075】
また、上記の各実施形態は、それぞれ個別に説明したが、それぞれを組み合わせるようにしてもよい。すなわち、メモリの電源、リフレッシュ時間間隔、及び復帰の際のリードライトレベリング結果の少なくとも1つを監視することにより、情報破壊につながる現象を検出して、何れか1つのパラメータが情報破壊につながるものである場合に省エネ復帰から通常復帰に切り換えて復帰するように制御するようにしてもよい。
【0076】
また、上記の各実施形態における処理は、プログラムとして各種記憶媒体等に記憶させて流通させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 メモリ制御装置
12 CPU
14 DIMM
16 省エネ制御部
18 電源監視部
24 メモリコントローラ
26 監視部
28 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力を抑制する省エネ状態へ移行する際に装置内に展開されている展開情報を保持するメモリに保持された前記展開情報の破壊につながる現象を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記現象が検出されない場合に、前記メモリに保持された前記展開情報を使用して前記省エネ状態から復帰する省エネ復帰を行い、前記検出手段によって前記現象が検出された場合には、前記メモリに保持された前記展開情報を使用せずに新たに情報を展開して復帰する通常復帰を行うように、前記省エネ状態からの復帰を制御する制御手段と、
を備えたメモリ制御装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記メモリへの供給電力が予め定めた閾値を超えるか否かにより、前記現象を検出する請求項1に記載のメモリ制御装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記メモリにおいてセルフリフレッシュからオートリフレッシュへ移行した後にリフレッシュコマンドが出力されるまでのリフレッシュ時間間隔が予め定めた閾値を超えるか否かにより、前記現象を検出する請求項1又は請求項2に記載のメモリ制御装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記省エネ状態からの復帰の際に前記メモリにおいて行われるリードライトレベリングの結果が予め定めた設定範囲を超えるか否かにより、前記現象を検出する請求項1〜3の何れか1項に記載のメモリ制御装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1〜4の何れか1項に記載のメモリ制御装置における検出手段及び制御手段として機能させるためのメモリ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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