説明

メモリ装置

【目的】 類似した機能のメモリ装置に容易に差し替え可能とする。
【構成】 構成内容は異なるが、実装用の端子に対しピンコンパチブルとして互換性を保持する。基板1に代替え用の表面実装形のフラッシュEEPROM素子2a及び2bを実装し、対向するピンは相互の接続が最短距離となるように配置し、基板1に設けたピン3がピンコンパチブルとなるようにする。また、必要に応じてそのピン3をソケット5に挿入し、ソケット付きの状態で使用する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、記憶容量の大きなメモリ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量のメモリ装置が製品化されているが、価格はむしろ下がり気味なので、アプリケーションは容易に大きな容量のメモリを使用することができる。
しかし、アプリケーションが要求するメモリ容量は日増しに大きくなっていく傾向がある。このため、装置設計時はメモリチップを複数用いてその要求に応えている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながらメモリチップの単価あるいは、ソケットを用いることによるデバイスの差し換え容易性、実装費用等の経済性を考慮すると、メモリチップはデュアルインラインタイプのものを使用することになり、そのメモリチップを複数用いるとチップ数に比例して実装面積が増え、コンパクトに形成したい場合に問題が生ずる。
この問題に対しては、ワンチップで記憶容量の大きなメモリを使用すればよいが、記憶容量には限度があり、また使用する時点で要求する容量を有するものが入手できたとしても、記憶容量の大きなものは急激に単価が高くなり、価格競争が激しい分野ではそのような高価なメモリチップを使用することができない場合もある。
【0004】
本考案はこのような状況に鑑みてなされたもので、メモリ容量を増やしてもコンパクトに形成できかつ急激に価格上昇を招かないようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために第1の考案は、メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる代換メモリ素子と、代換メモリ素子を搭載する基板と、メモリ素子の端子と同一位置になるように基板に設けられた実装用端子とから構成され、代換メモリ素子の前記実装用端子への接続はメモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたものである。
第2の考案は第1の考案において、基板の大きさをメモリ素子と同じ面積にしたものである。
【0006】
第3の考案は第2の考案において、代換メモリ素子を表面実装形フラッシュEEPROMとしたものである。
第4の考案は第3の考案において、表面実装形フラッシュEEPROMを複数にし、そのフラッシュEEPROMは端子相互間の接続距離が最短となるように配置したのものである。
【0007】
第5の考案は第4の考案において、フラッシュEEPROMは対応するアドレス端子をそれぞれ並列接続したものである。
第6の考案は第5の考案において、出力端子をそれぞれ個別に出力したものである。
【0008】
第7の考案は第6の考案において、アドレス端子、出力端子、チップイネーブル端子、アウトプットイネーブル端子、ライトイネーブル端子、電源端子の実装用端子への接続はメモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたものである。
第8の考案は第7の考案において、実装用端子に挿入されたデュアルインラインタイプのソケットを備えたものである。
【0009】
【作用】
半導体メモリ素子と同一形状かつピンコンパチブルに構成しているので、半導体メモリ素子と同一性能あるいは記憶容量が大きくなる。
【実施例】 図1は本考案の一実施例を示す斜視図であり、基板1に8Mビット容量の表面実装形フラッシュEEPROM2aおよび2bを搭載し、それぞれのピンを端子3に引き出している。この例では基板の大きさはEIAJコードWDIP42−G−600すなわち、42ピンの16MビットEPROMのデュアルインライン パッケージと同等にしている。すなわち端子ピッチは100ミル(mil)であり、ロースペースは600ミルとなるようにしている。
【0010】
またフラッシュEEPROM2aおよび2bはその長手方向が基板の長手方向となるように実装され、また対向する端子は同一機能のものがくるようにしてその部分の接続距離が短くなるようにしている。すなわち図1に示すようにフラッシュEEPROM2aの右側の端子とフラッシュEEPROM2bの左側の端子を相互接続して、その接続距離が最短になるようにしている。この場合フラッシュEEPROM2a,2bはそのような接続ができるようにあらかじめ端子配列工夫されたものを用いる。
【0011】
このように構成したメモリ装置は入手の容易でかつ経済性の良い8MビットのフラッシュEEPROMを2個使用して16Mビットの容量を確保できる。現在16MビットのEPROMを入手することができないわけでないが、その価格は非常に高い。このような構成にしてピンコンパチブルにしたのでそのまま差し換えが可能になり、更に形状も同じにしておけば、16MビットEPROMを実装する場所にそのままこのメモリ装置を実装することができる。
【0012】
マスクROMを使用すれば16MビットのものはEEPROMよりも経済性良く入手できるが、マスクROMではデータの書き換えができないこと、仕様変更に対応できないこと、余ったものは使い途がないことなどからマスクROMは安定した量産用にしか使用できない。しかし、フラッシュEEPROMであればデータの書き換えが可能であり、また比較的経済性良く入手できる。
【0013】
図3はフラッシュEEPROM2aおよび2bの端子接続を示し、フラッシュEEPROM2aおよび2bのアドレス入力端子A0からA19はそれぞれ対応する端子を並列に接続し、外部端子AB0からAB19に次のように接続している。
外部端子 フラッシュEEPROM端子 AB0 A0 AB1 A1 AB2 A2 AB3 A3 AB4 A4 AB5 A5 AB6 A6 AB7 A7 AB8 A8 AB9 A9 AB10 A10 AB11 A11 AB12 A12 AB13 A13 AB14 A15 AB16 A16 AB17 A17 AB18 A18 AB19 A19
【0014】
フラッシュEEPROM2aの出力端子D0からD7は外部端子DB0からDB7に次のように接続している。
外部端子 フラッシュEEPROM端子 DB0 D0 DB1 D1 DB2 D2 DB3 D3 DB4 D4 DB5 D5 DB6 D6 DB7 D7
【0015】
フラッシュEEPROM2baの出力端子D0からD7は外部端子DB8からDB15に次のように接続している。
外部端子 フラッシュEEPROM端子 DB8 D0 DB9 D1 DB10 D2 DB11 D3 DB12 D4 DB13 D5 DB14 D6 DB15 D7 すなわち、出力信号はDB0からDB7の8ビットと、DB8からDB15の8ビットを2系統出力し、16ビット構成としている。
【0016】
フラッシュEEPROM2aおよび2bのチップイネーブル端子CE、アウトプットイネーブル端子OE、ライトイネーブル端子WE、電源端子VDDはそれぞれ対応する端子を並列に接続し、チップイネーブル用外部端子NCE、アウトプットイネーブル用外部端子NOE、ライトイネーブル用外部端子NWE、+12V電源端子VPPに次のように接続している。
外部端子 フラッシュEEPROM端子 NCE CE NOE OE NWE WE VPP VDD
【0017】
なお、リセット・パワーダウン入力RPおよび、レディ・ビジィ出力RY/BYはこの例では使用していない。
以上の実施例はフラッシュEEPROMを実装する例で説明したが、これに限定されず、表面実装の部品であれば、例えばEEPROM、EPROMなどでも使用できる。
【0018】
このように、フラッシュEEPROMによってEPROMと等価なメモリ装置を得ることができ、フラッシュEEPROMであることから内容の書き換えも容易であり突然のメモリ内容の変更にも容易に対応できる。
【0019】
【考案の効果】
以上説明したように本考案は、メモリ素子と同一面積の基板上にそのメモリ素子と類似機能を有する表面実装形フラッシュEEPROMを単数あるいは複数搭載して、複数搭載したときは各フラッシュEEPROM相互の端子接続はその接続距離が短くなる状態に実装しているので、メモリ容量の大きな半導体メモリ素子を経済性の理由から使用できない場合でも、実質的に大きな容量のメモリを得ることができかつ、メモリ素子と同一面積でピンコンパチブルとしていることからブラックボックスとしてみればメモリ容量の大きな半導体メモリ素子が安価に得られたと同じになるという効果を有する。更に、フラッシュEEPROMを使用した場合はEPROMよりもメモリ消去時間を大幅に減少させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の一実施例の構成を示す斜視図である。
【図2】 本考案の他の実施例の構成を示す斜視図である。
【図3】 ピン接続を示す回路図である。
【符号の説明】
1…基板、2…メモリチップ、3…ピン、5…ソケット。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 使用されているメモリ素子と互換性を有するメモリ装置において、前記メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる代換メモリ素子と、前記代換メモリ素子を搭載する基板と、前記メモリ素子の端子と同一位置になるように前記基板に設けられた実装用端子とから構成され、前記代換メモリ素子の前記実装用端子への接続は前記メモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項2】 使用されているメモリ素子と互換性を有するメモリ装置において、前記メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる代換メモリ素子と、前記代換メモリ素子を搭載する前記メモリ素子と同一面積の基板と、前記メモリ素子の端子と同一位置になるように前記基板に設けられた実装用端子とから構成され、前記代換メモリ素子の前記実装用端子への接続は前記メモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項3】 使用されているメモリ素子と互換性を有するメモリ装置において、前記メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる表面実装形フラッシュEEPROMと、前記フラッシュEEPROMを搭載する前記メモリ素子と同一面積の基板と、前記メモリ素子の端子と同一位置になるように前記基板に設けられた実装用端子とから構成され、前記フラッシュEEPROMの前記実装用端子への接続は前記メモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項4】 使用されているメモリ素子と互換性を有するメモリ装置において、前記メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる複数の表面実装形フラッシュEEPROMと、前記フラッシュEEPROMを搭載する前記メモリ素子と同一面積の基板と、前記メモリ素子の端子と同一位置になるように前記基板に設けられた実装用端子とから構成され、前記各フラッシュEEPROM相互の端子接続はその接続距離が短くなる状態に実装しかつ前記実装用端子への接続は前記メモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項5】 使用されているメモリ素子と互換性を有するメモリ装置において、前記メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる複数の表面実装形フラッシュEEPROMと、前記フラッシュEEPROMを搭載する前記メモリ素子と同一面積の基板と、前記メモリ素子の端子と同一位置になるように前記基板に設けられた実装用端子とから構成され、前記各フラッシュEEPROM相互の端子接続はその接続距離が短くなる状態に実装しかつ対応するアドレス端子をそれぞれ並列接続し、かつ前記実装用端子への接続は前記メモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項6】 使用されているメモリ素子と互換性を有するメモリ装置において、前記メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる複数の表面実装形フラッシュEEPROMと、前記フラッシュEEPROMを搭載する前記メモリ素子と同一面積の基板と、前記メモリ素子の端子と同一位置になるように前記基板に設けられた実装用端子とから構成され、前記各フラッシュEEPROM相互の端子接続はその接続距離が短くなる状態に実装しかつ対応するアドレス端子をそれぞれ並列接続した状態で実装し、かつ前記実装用端子への接続は前記メモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項7】 使用されているメモリ素子と互換性を有するメモリ装置において、前記メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる複数の表面実装形フラッシュEEPROMと、前記各フラッシュEEPROM相互の端子接続はその接続距離が短くなる状態となるように搭載する前記メモリ素子と同一面積の基板と、前記メモリ素子の端子と同一位置になるように前記基板に設けられた実装用端子とから構成され、前記フラッシュEEPROMは対応するアドレス端子をそれぞれ並列接続するとともに出力端子はそれぞれ個別に出力し、前記アドレス端子、前記出力端子、チップイネーブル端子、アウトプットイネーブル端子、ライトイネーブル端子、電源端子の前記実装用端子への接続は前記メモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項8】 使用されているメモリ素子と互換性を有するメモリ装置において、前記メモリ素子と類似機能を有し形状の異なる複数の表面実装形フラッシュEEPROMと、前記各フラッシュEEPROM相互の端子接続はその接続距離が短くなる状態となるように搭載する前記メモリ素子と同一面積の基板と、前記メモリ素子の端子と同一位置になるように前記基板に設けられた実装用端子と、前記実装用端子に挿入されたデュアルインラインタイプのソケットとから構成され、前記フラッシュEEPROMは対応するアドレス端子をそれぞれ並列接続するとともに出力端子はそれぞれ個別に出力し、前記アドレス端子、前記出力端子、チップイネーブル端子、アウトプットイネーブル端子、ライトイネーブル端子、電源端子の前記実装用端子への接続は前記メモリ素子の端子とピンコンパチブル状態としたことを特徴とするメモリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3007436号
【登録日】平成6年(1994)11月24日
【発行日】平成7年(1995)2月14日
【考案の名称】メモリ装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−9480
【出願日】平成6年(1994)8月3日
【出願人】(592187442)データイースト株式会社 (1)