説明

メロシアニン化合物及び該化合物を用いた光学記録材料

【課題】熱分解特性に優れ、レーザ光記録用光学記録媒体のための光学記録材料に用いられる光学要素に適した光学特性を有する新規の化合物及び該化合物を用いた光学記録材料を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物及び該化合物を用いた光学記録材料。


(環Aは窒素を含む5員環等、R1はアルキル基等、Rはハロゲン置換可のアルキル基等、Rは水素原子又はアルキル基等、Gは酸素原子等を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のメロシアニン化合物及び該メロシアニン化合物を用いた光学記録材料、特に情報をレーザ等による情報パターンとして付与することにより記録する光学記録媒体に使用される光学記録材料に関し、詳しくは、紫外及び可視領域の波長を有し且つ低エネルギーのレーザ等による高密度の光学記録及び再生が可能な光学記録媒体に使用される光学記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
光学記録媒体は、一般に、記録容量が大きく、記録又は再生が非接触で行なわれること等の優れた特徴を有することから、広く普及している。WORM、CD−R、DVD±R、HD−DVD−R、BD−R等の追記型の光ディスクでは、記録層の微小面積にレーザを集光させ、光学記録層の性状を変えて記録し、記録部分と未記録部分との反射光量の違いによって再生を行なっている。
【0003】
光ディスクに代表される光学記録媒体の光学記録層には、光学記録層を形成するのが容易なので有機系の色素が使用されており、特にシアニン系化合物が感度が高く、高速化に対応できることから検討されている。
また、上記の光学記録媒体においては、記録及び再生に用いる半導体レーザの波長は、CD−Rは750〜830nmであり、DVD±Rは620nm〜690nmであるが、更なる容量の増加を実現すべく、短波長レーザを使用する光ディスクが検討されており、例えば、記録光として380〜420nmの光を用いるものが検討されている。
【0004】
短波長記録光用の光学記録媒体において、光学記録層の形成には、各種化合物が使用されている。例えば、特許文献1〜3には特定の構造を持つ、メロシアニン化合物を含有する光学記録材料が報告されている。しかし、これらの化合物は、光学記録層の形成に用いられる光学記録材料としては、熱分解特性に問題がある。高速記録には熱干渉が小さいことが必要であり、光学記録材料としては、分解温度が低いもの及び熱分解が緩やかであるものが適合するが、上記報告の各メロシアニン系化合物は、この点で充分な特性を有しているものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−195765号公報
【特許文献2】特表2004−525800号公報
【特許文献3】特表2005−505092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は熱分解特性に優れ、レーザ光記録用光学記録媒体のための光学記録材料に用いられる光学要素に適した光学特性を有する新規の化合物及び該化合物を用いた光学記録材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の構造を有する新規のメロシアニン化合物が、熱分解特性に優れることを見出し、これを使用することにより、上記課題を解決し得ることを知見した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物を提供することで、上記目的を達成したものである。
【0009】
【化1】

(式中、環Aは、窒素原子を含む五員環又は六員環を表し、R1は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は下記一般式(II)で表される基を表し、R2は、シアノ基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R3は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数2〜30の複素環基又はアミノ基を表す。R1とR3とは、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R1、R2及びR3で表される炭素原子数1〜10のアルキル基並びにR3で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH―で置換されていてもよい。Gは、酸素原子又は下記〔化3〕に示される群より選択される基を表す。)
【0010】
【化2】

(式中、Ra〜Riは、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Z1は、直接結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、Mは、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表す。)
【0011】
【化3】

【0012】
また、本発明は、上記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学記録材料を提供することで、上記目的を達成したものである。
【0013】
また、本発明は、基体上に、上記光学記録材料から形成された光学記録層を有することを特徴とする光学記録媒体を提供することで、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光学要素として好適な熱分解特性を有する新規の化合物及び該化合物を含有してなる光学記録材料を提供することができる。また、該光学記録材料は、光学記録媒体の光学記録層の形成に好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のメロシアニン化合物、該化合物を用いた光学記録材料及び光学記録媒体について好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、本発明の上記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物について説明する。
【0016】
上記一般式(I)中、環Aで表される窒素原子を含む五員環としては、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、環Aで表される六員環としてはピペリジン環、ピペラジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環等が挙げられ、環Aで表される五員環又は六員環は、他の環と縮合されていたり置換されていたりしていてもよく、例えば、インドール環、インドレニン環、ユロリジン環等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(I)におけるR1、R2及びR3で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等が挙げられ、R1及びR3で表される炭素原子数6〜30のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル等が挙げられ、R1及びR3で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられ、R3で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0018】
上記一般式(I)におけるR3で表される炭素原子数2〜30の複素環基としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられ、R3で表されるアミノ基としては、アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ等が挙げられ、前記の四級窒素を持つアミノ基はアニオンと塩を形成していてもよい。
【0019】
上記一般式(I)におけるR1とR3とが連結して形成する環構造としては、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしてもよい。
【0020】
上記一般式(I)における環Aで表される五員環及び六員環、R1、R2及びR3で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、R1及びR3で表される炭素原子数6〜30のアリール基、R1及びR3で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、並びにR1及びR3で表される炭素原子数2〜30の複素環基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、以下のものが挙げられる。
例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第三アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、第三ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、第三オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等の複素環基;フェロセニル、ニッケロセニル、コバルトニル、フェロセンアルキル、フェロセンアルコキシ等のメタロセン基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、トリアルキルシリル基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、リン酸基等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、カルボキシル基、スルホ基及びリン酸基等の酸性基は、無機塩基又は有機塩基と塩、錯体又は複合体を形成していてもよい。
【0021】
上記一般式(II)におけるRa〜Riで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−O−で置換された基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−CO−で置換された基としては、アセチル、1−カルボニルエチル、アセチルメチル、1−カルボニルプロピル、2−オキソブチル、2−アセチルエチル、1−カルボニルイソプロピル等が挙げられ、Z1で表される炭素原子数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、1,3−ジメチルプロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、4−メチルブチレン、2,4−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、エタン−1,1−ジイル、プロパン−2,2−ジイル等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換された基としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、オキシメチレン、チオメチレン、カルボニルメチレン、カルボニルオキシメチレン、メチレンカルボニルオキシ、スルホニルメチレン、アミノメチレン、アセチルアミノ、エチレンカルボキシアミド、エタンイミドイル、エテニレン、プロペニレン等が挙げられる。
【0022】
上記[化3]で示される基において、R及びR’で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては上記一般式(I)の説明で例示した基が挙げらる。
また、R及びR’で表される炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、上記一般式(I)の説明で例示した基の中で、炭素原子数が所定の範囲を満たす基が挙げられる。
【0023】
本発明の一般式(I)で表されるメロシアニン化合物としては、製造コストが低く、吸収波長特性及び熱分解特性に優れているので、下記一般式(III)で表されるメロシアニン化合物が好ましい。
【0024】
【化4】

(式中、R4及びR5は、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又はアミノ基を表し、X1は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−CR67−、−NH−又は−NYa―を表し、R6及びR7は、各々独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、上記一般式(II)で表される基、下記一般式(IV)で表される基又は下記一般式(IV')で表される基を表し、R6とR7とは、連結して環構造を形成してもよく、Yaは、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は上記一般式(II)で表される置換基を表す。R1とR3、R1とR5及びR4とR5は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R4、R5、R6、R7及びYaで表される炭素原子数1〜10のアルキル基、並びにR4、R5、R6、R7及びYaで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH―で置換されていてもよい。R1、R2及びR3は、上記一般式(I)と同じである。)
【0025】
【化5】

(上記一般式(IV)において、LとTとの間の結合は、二重結合、共役二重結合又は三重結合であり、Lは炭素原子を表し、Tは炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、x、y及びzは、0又は1を表し、aは0〜4の数を表し、R8は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、R9、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R9とR11とは、連結して環構造を形成してもよい。上記一般式(IV’)において、L’とT’との間の結合は二重結合又は共役二重結合であり、L’は炭素原子を表し、T’は、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、a’は0〜4の数を表し、L’とT’とを含む環は、ヘテロ原子を含んでもよい五員環、ヘテロ原子を含んでもよい六員環、ナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、アントラセン環又はアントラキノン環を表し、これらL’とT’とを含む環は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよい。)
【0026】
上記一般式(III)におけるR4及びR5で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又はアミノ基としては、上記一般式(I)の説明で例示した基が挙げられ、X1中の基であるR6、R7及びYa表でされる炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、上記一般式(I)の説明で例示した基が挙げられ、R1とR5、R4とR5及びR6とR7が連結して形成する環構造としては、上記一般式(I)におけるR1とR3とが連結して形成する環構造として例示したものが挙げられる。
【0027】
上記一般式(IV)におけるR8、R9、R10及びR11で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、R8、R9、R10及びR11で表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル等が挙げられ、R8で表される炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ等が挙げられ、R9及びR11が連結して形成する環構造としては、上記一般式(I)におけるR1及びR3が連結して形成する環構造として例示したものが挙げられる。
【0028】
上記一般式(III)で表されるメロシアニン化合物の中でも、下記一般式(V)で表されるメロシアニン化合物が、製造コストが小さく、吸収波長特性及び熱分解特性が優れているのでより好ましい。
【0029】
【化6】

(式中、環Bは、ベンゼン環又はナフタレン環を表し、R1、R2、R3、R6及びR7は、上記一般式(I)と同じである。)
【0030】
上記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物は、本発明の光学記録材料として用いる場合、単独又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0031】
上記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物の好ましい具体例としては、下記化合物No.1〜15が挙げられるがこれらの具体例に限定されない。尚、本発明のメロシアニン化合物において、二重結合は共鳴構造をとっていてもよい。
【0032】
【化7】

【0033】
上記一般式(I)で表される化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えばGが酸素原子であるとき、該化合物は、例えば、下記〔化8〕に示す反応式の如く、インドレニン四級塩に酸無水物を反応させる方法により合成することができる。
【0034】
【化8】

(式中、環A、R1、R2及びR3は、上記一般式(I)と同じである。)
【0035】
次に、基体上に光学記録層が形成された光学記録媒体の該光学記録層に用いられる、本発明のメロシアニン化合物を含有してなる本発明の光学記録材料について、以下に説明する。
本発明の光学記録材料は、本発明のメロシアニン化合物と必要に応じて添加される後述の有機溶媒や各種化合物との混合物のことである。
【0036】
本発明の光学記録材料の調製、及び本発明の基体上に、該光学記録材料から形成された光学記録層を有することを特徴とする光学記録媒体を製造する方法については、特に制限を受けない。一般には、メタノール、エタノール等の低級アルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類等の有機溶媒に、本発明のメロシアニン化合物及び必要に応じて後述の各種化合物を溶解して溶液状の光学記録材料を作製し、該光学記録材料を基体上にスピンコート、スプレー、ディッピング等で塗布する湿式塗布法が用いられる。
【0037】
また、本発明の光学記録材料として、本発明のメロシアニン化合物又は該化合物と前述のジイモニウム化合物等の各種化合物との混合物を単体として用いて、本発明の光学記録媒体を製造する場合には、蒸着法、スパッタリング法等が用いられる。
【0038】
上記光学記録層は薄膜として形成され、その厚さは、通常、0.001〜10μmが適当であり、好ましくは0.01〜5μmの範囲である。
【0039】
また、本発明の光学記録材料中において、本発明のメロシアニン化合物の含有量は、本発明の光学記録材料中、0.1〜10質量%が好ましい。上記光学記録層は、光学記録層中に上記メロシアニン化合物を50〜100質量%含有するように形成されることが好ましく、このようなメロシアニン化合物含有量の光学記録層を形成するために、本発明の光学記録材料は、上記メロシアニン化合物を、本発明の光学記録材料中0.5〜10質量%含有するのがさらに好ましい。
【0040】
本発明の光学記録材料は、本発明のメロシアニン化合物の他に、必要に応じて、シアニン化合物、アゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、オキソノール系化合物、スクアリリウム系化合物、インドール化合物、スチリル系化合物、ポルフィン系化合物、アズレニウム系化合物、クロコニックメチン系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、テトラヒドロコリン系化合物、インドフェノール系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、アクリジン系化合物、オキサジン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ローダミン系化合物等の、通常光学記録層に用いられる化合物;ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の樹脂類;界面活性剤;帯電防止剤;滑剤;難燃剤;ヒンダードアミン等のラジカル捕捉剤;フェロセン誘導体等のピット形成促進剤;分散剤;酸化防止剤;架橋剤;耐光性付与剤等を含有してもよい。さらに、本発明の光学記録材料は、一重項酸素等のクエンチャーとして芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、ビスイミニウム化合物、遷移金属キレート化合物等を含有してもよい。本発明の光学記録材料において、これらの各種化合物は、本発明の光学記録材料中、0〜0.5質量%の範囲となる量で使用される。
【0041】
本発明の光学記録材料には、ジイモニウム化合物を含有させてもよい。該ジイモニウム化合物を含有させることにより、本発明の光学記録媒体の経時的な吸光度残存率の低下をより効果的に防ぐことができる。また該ジイモニウム化合物を含有させる場合の含有量は、本発明の光学記録材料中、0〜90質量%の範囲となる量が好ましく、より好ましくは、50〜90質量%である。
また、本発明の光学記録材料を溶液状の光学記録材料として用いる場合、上記有機溶媒の含有量は、光学記録材料中、0〜99.9質量%が好ましい。
【0042】
このような光学記録層を設層する上記基体の材質は、書き込み(記録)光および読み出し(再生)光に対して実質的に透明なものであれば特に制限はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの樹脂、ガラスなどが用いられる。また、その形状は、用途に応じ、テープ、ドラム、ベルト、ディスク等の任意の形状のものを使用できる。
【0043】
また、上記光学記録層上には、金、銀、アルミニウム、銅等を用いて蒸着法あるいはスパッタリング法により反射膜を形成することもできるし、アクリル樹脂、紫外線硬化性樹脂等により保護層を形成することもできる。
【0044】
本発明の光学記録材料は、記録、再生に半導体レーザを用いる光学記録媒体に好適であり、特に高速記録タイプのCD−R、DVD±R、HD−DVD―R、BD−R等の公知の単層式、二層式、多層式光ディスクに好適である。
【0045】
上述の通り、本発明のメロシアニン化合物は、光学記録材料として好適に用いられる他、画像表示装置用光学フィルターに含有させる光吸収剤、色素増感型太陽電池、光電気化学電池、非線形光学装置、エレクトロクロミックディスプレイ、ホログラム、有機半導体、有機EL、ハロゲン化銀写真感光材料、増感剤、印刷インキ、インクジェット、電子写真カラートナー、カラーフィルター、反射型ディスプレイ、化粧料、プラスチック等の着色剤、タンパク質用染色剤、物質検出のための発光染料等にも用いられる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び評価例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
下記実施例1〜6は、化合物No.1〜No.6の製造例を示し、下記実施例7〜12は、実施例1〜6で製造した化合物No.1〜No.6をそれぞれ含有する光学記録材料No.1〜No.6の調製例及び該光学記録材料を用いた光学記録媒体No.1〜No.7の製造例を示す。
【0047】
下記評価例1−1〜1−6では、実施例1〜6で得られた化合物No.1〜No.6についての熱分解挙動を、窒素気流中、10℃/分の昇温速度における示差熱分析測定により評価を行った。それらの結果を〔表4〕に示す。
【0048】
下記評価例2−1〜2−6では、実施例7〜12で得られた光学記録媒体No.1〜No.6について、短波長レーザによる記録及び再生の適否の評価を行った。それらの結果を〔表5〕に示す。
【0049】
〔実施例1〜6〕化合物No.1〜No.6の製造
<ステップ1>四級塩の製造
窒素置換した反応フラスコに、2−ナフチルヒドラジン0.500モル及びエタノール275gを仕込み、窒素気流下、55℃で4−フェニルブタン−2−オン0.600モルを滴下した。30分撹拌した後、発熱に注意しながら硫酸0.5モルを滴下して、1時間還流した。冷却後にトルエン1000g及び水1000gを加え、続いて50%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを8以上にして油水分離を行った。油層を温水500gで3回洗浄し、脱水、脱溶媒を行った。トルエン137gから再結晶を行い、乾燥を行い、粗結晶を得た。得られた粗結晶にヨウ化メチル0.200モル及びメタノール20gを加え、オートクレーブ中100℃で15時間反応させた。脱溶媒後、酢酸エチル100g/メタノール6.00gの混合溶媒から再結晶した。乾燥を行い、目的物である四級塩の粗結晶をそれぞれ得た。
【0050】
<ステップ2>化合物No.1〜No.6の製造
窒素置換した反応フラスコに、ステップ1で得られた四級塩0.02モル、ピリジン0.04モル及び酸無水物0.2モルを仕込み、50℃で1〜20間撹拌した。クロロホルム20g及び水20gを加えて油水分離を行い、脱溶媒、酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶媒から再結晶を行い、化合物No.1〜No.6をそれぞれ得た。得られた化合物の同定は、λmax、ε、融点、分解点、IR吸収スペクトル、及び1H−NMR分析により行った。それらの結果を以下の〔表1〕〜〔表3〕に示す。
尚、化合物の分解点は下記〔評価例1−1〜1−6〕の結果を用いた。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
〔実施例7〜12〕光学記録材料No.1〜No.6の調製及び光学記録媒体No.1〜No.6の製造
実施例1〜6で得られた化合物No.1〜No.6を、それぞれ化合物の濃度が1.0質量%となるように2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解して、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液として光学記録材料No.1〜No.6をそれぞれ得た。チタンキレート化合物(T−50:日本曹達社製)を塗布、加水分解して下地層(0.01μm)を設けた直径12cmのポリカーボネートディスク基板上に、上記の光学記録材料をスピンコーティング法にて塗布して、厚さ100nmの光学記録層を形成し光学記録媒体No.1〜No.6をそれぞれ得た。
【0055】
〔評価例1−1〜1−6〕
実施例1〜6で得られた化合物No.1〜No.6について、熱分解挙動の評価を行なった。評価は、窒素気流中及び空気中、10℃/分の昇温速度における示差熱分析測定により行い、熱分解温度を、DTAの発熱のピークトップ温度で比較評価し、急峻性を、DTAの発熱のピークトップ温度と40%質量減少時点の温度との幅で評価した。評価結果を以下の〔表4〕に示す。
【0056】
【表4】

【0057】
〔表4〕から明らかなように、本発明のメロシアニン化合物は、低温で分解し、熱分解が緩やかにおこる、すなわち蓄熱性が低く熱干渉が抑えられるため、高速記録に適することが確認できた。
【0058】
〔評価例2−1〜2−6〕
実施例7〜12で得られた光学記録媒体No.1〜No.6について、UVスペクトル吸収を測定した。結果を〔表5〕に示す。
【0059】
【表5】

【0060】
〔表5〕から明らかなように、本発明の光学記録材料により形成された光学記録層を有する光学記録媒体は、UVスペクトル吸収において340〜450nm近くにλmaxを示した。光ディスクに代表される光学記録媒体の再生モードでは、レーザ光を光学記録媒体に反射させた反射光について、レーザ波長の光量の差で記録の有無を検出するので、光学記録媒体は、反射光の吸収スペクトルにおいて、レーザ光の波長に近いところで大きい吸収強度を示すものほど好ましい。従って、本発明のメロシアニン化合物を含有する本発明の光学記録材料は、短波長レーザ用光ディスク等の380〜420nmのレーザ光を用いる光学記録媒体の光学記録層の形成に用いる光学記録材料として好適であることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物。
【化1】

(式中、環Aは、窒素原子を含む五員環又は六員環を表し、R1は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は下記一般式(II)で表される基を表し、R2は、シアノ基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R3は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数2〜30の複素環基又はアミノ基を表す。R1とR3とは、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R1、R2及びR3で表される炭素原子数1〜10のアルキル基並びにR3で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH―で置換されていてもよい。Gは、酸素原子又は下記〔化3〕に示される群より選択される基を表す。)
【化2】

(式中、Ra〜Riは、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Z1は、直接結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、Mは、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表す。)
【化3】

【請求項2】
下記一般式(III)で表されるメロシアニン化合物である請求項1記載のメロシアニン化合物。
【化4】

(式中、R4及びR5は、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又はアミノ基を表し、X1は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−CR67−、−NH−又は−NYa―を表し、R6及びR7は、各々独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、上記一般式(II)で表される基、下記一般式(IV)で表される基又は下記一般式(IV')で表される基を表し、R6とR7とは、連結して環構造を形成してもよく、Yaは、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は上記一般式(II)で表される置換基を表す。R1とR3、R1とR5及びR4とR5は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R4、R5、R6、R7及びYaで表される炭素原子数1〜10のアルキル基、並びにR4、R5、R6、R7及びYaで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH―で置換されていてもよい。R1、R2及びR3は、上記一般式(I)と同じである。)
【化5】

(上記一般式(IV)において、LとTとの間の結合は、二重結合、共役二重結合又は三重結合であり、Lは炭素原子を表し、Tは炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、x、y及びzは、0又は1を表し、aは0〜4の数を表し、R8は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、R9、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R9とR11とは、連結して環構造を形成してもよい。上記一般式(IV’)において、L’とT’との間の結合は二重結合又は共役二重結合であり、L’は炭素原子を表し、T’は、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、a’は0〜4の数を表し、L’とT’とを含む環は、ヘテロ原子を含んでもよい五員環、ヘテロ原子を含んでもよい六員環、ナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、アントラセン環又はアントラキノン環を表し、これらL’とT’とを含む環は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよい。)
【請求項3】
下記一般式(V)で表されるメロシアニン化合物である請求項1又は2記載のメロシアニン化合物。
【化6】

(式中、環Bは、ベンゼン環又はナフタレン環を表し、R1、R2、R3、R6及びR7は、上記一般式(I)と同じである。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のメロシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学記録材料。
【請求項5】
基体上に、請求項4記載の光学記録材料から形成された光学記録層を有することを特徴とする光学記録媒体。

【公開番号】特開2008−222990(P2008−222990A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67897(P2007−67897)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】