説明

メンテナンスシステムおよび画像処理装置

【課題】画像処理装置にトラブルが発生したとき、特定の動作を制限をしながらも、画像処理装置を使用できるようにして、ユーザの利便性を高める。
【解決手段】画像処理装置に重大なトラブルが発生したとき、トラブル情報をサービスマンが携帯する通信端末装置に送信する。通信端末装置は、動作を許可する機能、動作を制限する機能およびサービスマンの到着時間を含む制御情報を画像処理装置に送信する。画像処理装置は、制御情報にしたがって、許可された一部の機能を動作する。制限された機能の動作は禁止する。サービスマンが到着するまで、ユーザは、画像処理装置の一部の機能を使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置と通信可能な管理装置を使用して、トラブル発生時に画像処理装置を制御するメンテナンスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置では、動作中にトラブルが発生したとき、動作が停止する。紙詰まり等の軽度のトラブルであれば、ユーザはそのトラブルを解消することができる。トラブルの解消後、画像処理装置は、動作を再開する。
【0003】
しかし、部品の故障や消耗品の交換といったユーザでは解消できない重大なトラブルが発生したとき、サービスマンが対処しなければならない。ユーザはサービスマンに連絡して、サービスマンが到着するまで画像処理装置は停止したままとなる。ユーザは、画像処理装置を使用することができない。
【0004】
特許文献1には、サービスマンの到着時間を知らせるメンテナンスシステムが記載されている。ユーザはサービスマンの到着時間を知ることによって、サービスマンが到着するまで画像処理装置の使用を控えることができる。
【特許文献1】特開2002−41691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理装置に重大なトラブルが発生すると、サービスマンが到着して、メンテナンスを行うまで、画像処理装置は停止したままである。しかし、装置の一部にトラブルが発生した場合、そのトラブルに関連しない機能は動作可能である。例えば、画像読取部にトラブルが発生しても、給紙部や画像形成部は正常であるので、コピーはできないが、プリントは可能である。このような状態において、装置全体が停止することは、ユーザにとって非常に不便である。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、画像処理装置に重大なトラブルが発生しても、ユーザの利便性を高めるために、全ての動作を停止するのではなく、一部だけでも動作させることができるメンテナンスシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像処理装置と管理装置とが通信可能とされ、画像処理装置は、トラブルが発生したとき、管理装置にトラブル情報を送信する通報手段を備え、管理装置は、トラブル情報に基づいて画像処理装置の動作を制限するための制御情報を画像処理装置に送信する指令手段を備え、画像処理装置は、制御情報にしたがって動作するものである。すなわち、画像処理装置は、管理装置からの指令に基づいて一部の動作だけを行う動作制限手段を備える。
【0008】
画像処理装置にトラブルが発生したとき、管理装置からの指令によって、画像処理装置は、停止するのではなく、動作を制限されながらも使用可能となる。したがって、ユーザは、一部の機能を使用することができ、不便にならない。
【0009】
制御情報は、画像処理装置の有する複数の機能のうち、動作を許可する機能および動作を制限する機能に関する情報を含むものである。画像処理装置の動作制限手段は、許可された機能の動作を行う一方、制限された機能の動作を禁止する。動作を制限する機能は、トラブルに関連した機能である。動作を許可する機能は、トラブルとは関連しない機能である。
【0010】
具体的な機能として、画像処理装置は、複数の画像データ入力機能、複数の画像データ処理機能および複数の画像データ出力機能を有する。管理装置は、トラブル情報に基づいて動作を許可する機能と動作を制限する機能とを決定する。例えば、画像データ入力機能は、複数の機能を有しているので、画像データ入力機能のうち特定の機能の動作が制限され、他の機能の動作は許可される。
【0011】
画像処理装置は、コピーモード、スキャナモード、プリントモードおよびファクシミリモードのうち少なくとも1つのモードを有している。管理装置は、トラブル情報に基づいて動作を許可するモードと動作を制限するモードとを決定する。機能単位で動作を制限するだけでなく、モード単位で動作を制限することも可能である。
【0012】
また、管理装置の指令手段は、画像処理装置が動作する許容時間を指定する。画像処理装置は、許容時間を過ぎたら動作を停止する。ユーザは、許容時間までは画像処理装置を使用することができる。
【0013】
ここで、許容時間は、サービスマンが画像処理装置に到着する到着時間にしたがって決められる。すなわち、サービスマンが到着するまでは、画像処理装置は一部だけ動作可能とされる。サービスマンが到着すれば、トラブルに対して部品の交換、修理、調整等の処置が行われる。その結果、画像処理装置は正常な状態になり、通常通り使用できる。
【0014】
画像処理装置は、発生したトラブルの重大度を判別する判別手段を備え、重大度が大のトラブルのとき、画像処理装置は動作を停止して、通報手段はトラブル情報を送信し、重大度が小のトラブルのとき、通報手段は送信しない。重大度が大のトラブルは、ユーザによって対処することができない。この場合、管理装置に通報する必要がある。重大度が小のトラブルは、ユーザによって解消することができる。そのため、通報する必要はない。
【0015】
管理装置は、サービスマンが携帯する通信端末装置とする。これによって、トラブルが発生したとき、画像処理装置は、直接サービスマンに通報することができる。サービスマンは、迅速に対応することができ、画像処理装置のトラブルを早期に解消できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、画像処理装置にトラブルが発生したとき、全ての動作が停止するのではなく、トラブルの影響を受けない一部の動作を可能とすることにより、ユーザは画像処理装置を一部だけでも使用することができる。したがって、全ての動作を停止する場合に比べて、ユーザは画像処理装置を使用できることになり、ユーザの利便性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施形態の画像処理装置を図1に示す。本画像処理装置1は、コピーモード、プリントモード、スキャナモードおよびファクシミリモードを実行する複合機であり、原稿を読み取って画像データを入力する画像読取部2と、画像データを処理する画像データ処理部3と、画像データを印刷する画像形成部4と、画像形成部4に記録紙を供給する給紙部5と、外部装置と通信を行う通信部6と、装置全体の制御を司る制御部7とを備えている。さらに、大容量給紙トレイ(LCC)8およびステープル処理や穴あけ処理等の後処理を行う後処理装置9が設けられている。
【0018】
そして、図2に示すように、画像処理装置は、LAN、WANといった内部ネットワークN1に接続される。内部ネットワークN1は、ルータを通じてインターネット等の外部ネットワークN2に接続される。内部ネットワークN1には、パソコン等の情報処理装置10や他の画像処理装置11が接続されている。外部ネットワークN2には、サーバ12、情報処理装置10、画像処理装置11が接続されている。
【0019】
通信部6は、ネットワーク通信部20とモデム部21とを備えている。ネットワーク通信部20は、内部ネットワークN1を通じて外部ネットワークN2に接続され、情報処理装置10、サーバ12、他の画像処理装置11といった外部装置と通信可能とされる。モデム部21は、公衆電話回線網N3に接続され、ファクシミリ装置13とファクシミリ通信を行う。また、モデム部21は、ダイアルアップ接続により、携帯電話や携帯情報端末(PDA)等の通信端末装置14ともデータ通信可能とされる。ネットワーク通信部20およびモデム部21は、外部装置との間で画像データを入出力する。すなわち、ネットワーク通信部20およびモデム部21は、画像データ入力機能として動作するとともに、画像データ出力機能としても動作する。
【0020】
画像処理装置1は、操作部22および表示部23を備え、これらは操作パネルに設けられる。操作部22は、各種の操作キーを備えている。表示部23は、液晶ディスプレイからなり、タッチパネルとされる。表示部23に表示される操作画面内にタッチキーが形成され、これらも操作キーとされる。
【0021】
画像読取部2は、原稿の画像を読み取って、画像データとして入力するスキャナ装置、および原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置を有する。すなわち、画像読取部2は、画像データ入力機能として動作する。
【0022】
入力された画像データは、画像データ処理部3において、圧縮、伸長、加工等の画像処理が行われる。画像処理された画像データは画像記憶部24に保存される。
【0023】
画像記憶部24は、画像データを一時的に記憶しておく不揮発性のメモリと、画像データを保存するハードディスク装置とを有する。メモリには、読み取った画像データ、外部装置から受信した画像データ、印刷やデータ通信等により出力するための画像データを記憶する。ハードディスク装置は、メモリから転送された画像データを蓄積していく。なお、出力された画像データは、ハードディスク装置から消去される。画像データ処理部3および画像記憶部24は、入力された画像データを出力するために処理する画像データ処理機能として動作する。
【0024】
画像形成部4は、感光体、帯電装置、レーザ光等による露光装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置から構成され、電子写真方式によって画像を記録紙上に形成する。画像形成部4は、カラー印刷を行うが、白黒印刷のみを行うものであってもよい。また、画像形成は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式、熱転写方式等の他の方式によってもよい。このように、画像形成部は、画像を記録紙に印刷して出力することによって、画像データ出力機能として動作する。
【0025】
給紙部5は、記録紙を収容する給紙カセットや手差しトレイと、記録紙を搬送する搬送装置とを有する。搬送装置は、給紙カセットあるいは手差しトレイから供給された記録紙を搬送して、画像形成部4に送る。さらに搬送装置は、画像形成部4において画像が印刷された記録紙を排紙トレイあるいは後処理装置9に送る。また、記録紙は、大容量給紙トレイ8からも供給され、搬送装置によって画像形成部4に送られる。
【0026】
制御部7は、CPUからなり、ROM25に格納されている制御プログラムをRAM26に読み出して、制御プログラムを実行する。制御プログラムにしたがって、各画像データ入力機能および画像データ出力機能が動作する。また、制御プログラムには、ブラウザやメールソフトも含まれ、制御部7は、TCP/IPプロトコル等の通信プロトコルにより外部装置とデータ通信したり、電子メールの送受信を行える。
【0027】
画像処理装置1が指定されたモードにしたがって動作したとき、制御部7は、その動作に関する動作情報を作成して、管理部27に保存する。動作情報は、コピー、プリント、ファクシミリ、スキャン等の動作の日時、動作内容といった情報である。管理部27は、不揮発性のメモリからなり、動作情報をテーブルにして、動作履歴として管理する。また、管理部27は、画像処理装置1の制御情報、設定情報、ユーザの認証情報も記憶する。
【0028】
画像処理装置1には、いずれかのモードを実行中に、トラブルの発生を検知するための異常検出部28を備えている。異常検出部28は、各種のセンサ、スイッチ、タイマ、カウンタ等からなり、画像読取部2、画像データ処理部3、画像形成部4、給紙部5、後処理装置9、通信部6、画像記憶部24、制御部7にそれぞれ設けられる。異常検出部28は、各部におけるエラー、各部の故障、各部間の通信エラーといったトラブルを検出する。例えば、画像読取部2では、原稿の有無、原稿詰まり、スキャナ装置の異常が検出される。画像データ処理部3では、画像データ処理の異常が検出される。画像形成部4では、記録紙詰まり、電子写真方式を構成する各装置の異常が検出される。給紙部5では、記録紙の有無、記録紙詰まりが検出される。後処理装置9では、記録紙詰まり、後処理動作の異常、故障が検出される。通信部6では、通信エラーが検出される。画像記憶部24では、書き込みエラーや読み出しエラーが検出される。制御部7では、制御動作の異常が検出される。
【0029】
また、異常検出部28は、消耗品の残量を検出したり、各部を構成する部品の使用時間や使用回数を検出する。消耗品の残量が少なくなったとき、トラブルの発生とされる。また、使用時間や使用回数に基づいて部品が寿命に達したと判断したとき、トラブルの発生とされる。また、他のトラブルとして、異音の発生、印刷時の画質の異常といったような異常検出部28では検出されない異常がある。このようなトラブルは、ユーザによって確認される。
【0030】
異常検出部28によってトラブルの発生が検出されたとき、制御部7は、各部の動作を停止し、表示部23にトラブルが発生したことを表示して、報知する。また、制御部7は、発生したトラブルに関するトラブル情報を作成して、管理部27に保存する。トラブル情報は、トラブルの発生日時、トラブルの発生箇所、トラブルの内容、トラブルの解消の有無等である。管理部27は、トラブル情報をテーブルにして、トラブル履歴として管理する。
【0031】
そして、トラブルが解消されたとき、制御部7は、各部の動作を開始する。このとき、中断していたモードが実行され、再開されたモードに応じて画像データが出力される。
【0032】
ところで、トラブルには、ユーザによって解消できる軽度のトラブルと、ユーザでは解消できない重大なトラブルがある。軽度のトラブルの場合、ユーザがトラブルに対する処置を行う。異常検出部28は、各部が正常であることを検出すると、制御部7は、トラブルが解消されたと判断して、各部の動作を再開する。
【0033】
一方、重大なトラブルに対しては、修理、交換、調整といったようにサービスマンでなければ対処することができない。そこで、制御部7は、発生したトラブルの重大度を判別する判別手段と、重大なトラブルのとき、外部装置の1つである管理装置に通報する通報手段と、発生したトラブルに応じて一部の動作だけを行う動作制限手段とを有する。
【0034】
判別手段は、トラブル情報に基づいて、軽度のトラブルか重大なトラブルかを判断する。例えば、原稿や記録紙の紙詰まりや記録紙無であれば、ユーザによってすぐにトラブルを解消できるので、軽度のトラブルである。部品の交換、修理、調整等が必要であり、ユーザによって対処できないトラブルは、重大なトラブルである。
【0035】
通報手段は、重大なトラブルが発生したとき、管理装置にトラブル情報を送信する。管理装置は、サービスマンが携帯している通信端末装置14とされる。通報手段は、通信端末装置14に、ネットワーク通信部20を通じて、電子メールによりトラブル情報を送信する。なお、送信先である通信端末装置14のアドレスは、管理部27に設定情報の1つとして記憶されている。
【0036】
管理装置である通信端末装置14は、画像処理装置1からのトラブル情報を受信する。通信端末装置14は、管理制御部を備え、管理制御部は、トラブル情報に基づいて画像処理装置1の動作を制限するための制御情報を画像処理装置1に送信する指令手段を有する。
【0037】
管理制御部は、トラブル情報を解析して、画像データ入力機能、画像データ処理機能、画像データ出力機能の各機能に対して、動作を許可するか制限するかを決める。動作を許可する機能および動作を制限する機能に関する情報が制御情報となる。また、制御情報は、サービスマンが画像処理装置1の設置されている場所に到着する到着時間も含む。指令手段は、制御情報を電子メールにより画像処理装置1に送信する。
【0038】
なお、動作を許可するか制限するかを决めるのに際して、管理制御部は、予めトラブル毎に許可する機能と制限する機能に関するテーブルを用意しており、そのテーブルを参照して、制御情報を自動的に作成する。また、サービスマンがマニュアルで制御情報を作成してもよい。すなわち、サービスマンは、トラブル情報を判断して、動作を許可する機能と制限する機能を決める。その決めた結果を通信端末装置14に入力することにより、制御情報が作成される。
【0039】
画像処理装置1の動作制限手段は、通信端末装置14から受信した制御情報に基づいて、許可された機能の動作を行い、制限された機能の動作を禁止するように、各部を制御する。また、動作制御手段は、到着時間に基づいて動作を可能とする許容時間を設定し、その許容時間まで動作を行い、許容時間が経過すると、動作を停止させる。
【0040】
すなわち、サービスマンが到着するまで、画像処理装置1では、一部の動作が可能となる。サービスマンは、トラブルに対して、部品の交換、修理、調整等の必要な処置を行い、トラブルを解消する。このように、互いに通信可能な通信端末装置14と画像処理装置1とにより、トラブル発生時に画像処理装置1を制御するメンテナンスシステムが形成される。
【0041】
次に、メンテナンスシステムとして、トラブルが発生したときの動作を図3にしたがって説明する。画像処理装置1が、コピーモード、プリントモード、ファクシミリモード、スキャンモードのいずれかのモードを実行中に、トラブルが発生すると、異常検出部28がこれを検出する(S1)。トラブルの発生に伴って、制御部7は、各部の動作を停止させる。
【0042】
その後、制御部7は、異常検出部28の検出結果に基づいて、トラブル情報を作成し、管理部27に保存する。そして、トラブルの重大度を判別する(S2)。軽度のトラブルであるとき、ユーザによってトラブルの原因を除去できる。制御部7は、トラブルの解消を確認すると、継続して動作を行う。
【0043】
重大なトラブルであるとき、制御部7は、装置全体を停止させるとともに、表示部23にトラブル発生のメッセージを表示する(S3)。その後、制御部7は、図4に示すようなトラブル情報および自装置に関する情報を記載した電子メールを作成し、サービスマンの携帯する通信端末装置14に電子メールを送信する(S4)。電子メールの本文には、画像処理装置1の設置場所、機種名、トラブル情報に対応して予め決められたコード、現在の状態が記載される。
【0044】
通信端末装置14が電子メールを受信する(S5)と、管理制御部は、トラブル情報に基づいて一部の動作が可能かを判断する(S6)。電子メールの本文からコードを読み取ることにより、管理制御部は、トラブルが発生した画像処理装置1と、その具体的なトラブルの状態を認識する。
【0045】
管理制御部は、一部の動作が可能であると判断した場合、動作を許可する機能と動作を制限する機能を決める(S7)。また、サービスマンの到着時間も決める。管理制御部は、動作を許可する機能に関する動作許可情報、動作を制限する機能に関する機能制限情報、到着時間を含む制御情報を作成する。そして、管理制御部は、図5に示すように、この制御情報を記載した返信用電子メールを作成して、画像処理装置1に送信する(S8)。電子メールの本文には、サービスマンコード、機能制御情報に対応して予め決められたコード、動作許可情報に対応して予め決められたコード、到着時間が記載される。
【0046】
なお、トラブルが複数の箇所にわたって発生した場合、管理制御部は、一部の動作も不可能であると判断する。この場合、全ての動作を不許可にする。管理制御部は、この動作不許可情報および到着時間を含む制御情報を作成し、電子メールにより画像処理装置1に送信する(S9)。
【0047】
画像処理装置1では、通信端末装置14から電子メールを受信すると、制御部7が、電子メールの本文からコードを読み取る。制御部7は、そのコードを解釈して、動作不許可の場合、全ての動作を停止したままとする。また、表示部23に、装置を使用できないことを表示するとともに、サービスマンの到着時間を表示する(S10)。この場合、ユーザは、画像処理装置1を使用することはできない。
【0048】
一部の動作可能の場合、制御部7は、制御情報に基づいて、動作を許可された機能を構成する各部への通電を開始して、起動する(S11)。そして、新たなトラブルが発生していないことを確認してから(S12)、許可された機能の動作を開始する(S13)。制限された機能の動作は禁止される。制御部7は、表示部23に、制限された機能および到着時間を表示する(S14)。
【0049】
例えば、画像データ入力機能が制限された場合、動作可能な画像データ処理機能および画像データ出力機能により、ハードディスク装置に保存されている画像データを印刷あるいはデータ通信によって出力できる。画像データ処理機能が制限された場合、画像データ入力機能により、画像データを入力して、ハードディスク装置に保存できる。画像データ出力機能が制限された場合、動作可能な画像データ入力機能および画像データ処理機能により、画像データを入力して、画像処理を行った画像データをハードディスク装置に保存できる。
【0050】
サービスマンが到着すると、トラブルに応じた処置が行われる。トラブルが解消され、リセット操作されると、制御部7は、トラブル発生のフラグをクリアする(S15)。これによって、画像処理装置1は、正常な状態に復帰する。
【0051】
ここで、到着時間が経過しても、サービスマンが到着しなかった場合(S16)、制御部7は、装置全体を停止させるとともに、表示部23に使用不可のメッセージを表示する(S17)。
【0052】
以上のように、画像処理装置1にトラブルが発生しても、トラブルとは関係なく動作可能な機能を使用できるようにすることにより、全てを停止してしまう場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。上記の画像処理装置は、複合機であったが、複写機、プリンタ、スキャナのように1つのモードあるいは2つのモードを実行可能な画像処理装置に適用してもよい。
【0054】
管理装置としては、サービスマンが携帯する通信端末装置に限らず、管理サーバであってもよい。この場合、管理サーバは、画像処理装置に制御情報を送信するとともに、サービスマンの通信端末装置にトラブル情報を送信して、画像処理装置のメンテナンスに行くように指令する。また、画像処理装置と管理装置間の情報の伝達は、電子メールに限らず、両者をネットワークを通じてピア・ツー・ピアに接続して、ファイルを転送するようにしてもよい。
【0055】
画像データの入力、処理、出力といった機能毎に動作を制限する代わりに、コピー、プリント、ファクシミリ、スキャナといったモード毎に動作を制限してもよい。例えば、コピーモードの実行中にトラブルが発生したとき、コピーモードの動作を制限し、ファクシミリモードにおける受信を許可する。プリントモードの実行中にトラブルが発生したとき、プリントモードの動作を制限し、スキャナモードおよびファクシミリモードにおける受信を許可する。ファクシミリモードの実行中にトラブルが発生したとき、ファクシミリモードの動作を制限し、コピーモードおよびプリントモードの動作を許可する。スキャナモードの実行中にトラブルが発生したとき、スキャナモードの動作を制限し、ファクシミリモードおよびプリントモードの動作を許可する。
【0056】
特に、画像データ出力機能の動作を制限するとき、許可する機能として、他の画像処理装置とのデータ通信を可能にする。画像データ入力機能および画像データ処理機能が動作することにより、入力された画像データを他の画像処理装置に送信し、他の画像処理装置が画像を印刷して出力する。
【0057】
また、機能の動作を制限するとき、その機能全体を制限するのではなく、その機能のうちの特定の機能に限定してもよい。例えば、カラー印刷においてトラブルが発生したときは、カラー印刷を制限し、白黒印刷を許可する。給紙部にトラブルが発生したとき、トラブルの発生した給紙カセットからの給紙を制限し、他の給紙カセットや手差しトレイからの給紙を許可する。後処理装置にトラブルが発生したとき、後処理装置の動作を制限し、排紙トレイへの排出を許可する。自動原稿搬送装置にトラブルが発生したとき、自動原稿搬送装置の動作を制限し、原稿台に原稿を載置して、画像を読み取る動作を許可する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の画像処理装置の概略構成を示す図
【図2】メンテナンスシステムの構成図
【図3】メンテナンスシステムにおいて、画像処理装置にトラブルが発生したときの制御動作のフローチャート
【図4】画像処理装置からサービスマンへの電子メールの本文を示す図
【図5】サービスマンから画像処理装置への返信用電子メールの本文を示す図
【符号の説明】
【0059】
1 画像処理装置
2 画像読取部
3 画像データ処理部
4 画像形成部
5 給紙部
6 通信部
7 制御部
14 通信端末装置
20 ネットワーク通信部
21 モデム部
24 画像記憶部
27 管理部
28 異常検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置と管理装置とが通信可能とされ、画像処理装置は、トラブルが発生したとき、管理装置にトラブル情報を送信する通報手段を備え、管理装置は、トラブル情報に基づいて画像処理装置の動作を制限するための制御情報を画像処理装置に送信する指令手段を備え、画像処理装置は、制御情報にしたがって動作することを特徴とするメンテナンスシステム。
【請求項2】
制御情報は、画像処理装置の有する複数の機能のうち、動作を許可する機能および動作を制限する機能に関する情報を含み、画像処理装置は、許可された機能の動作を行うことを特徴とする請求項1記載のメンテナンスシステム。
【請求項3】
画像処理装置は、複数の画像データ入力機能、画像データ処理機能および画像データ出力機能を有し、管理装置は、トラブル情報に基づいて動作を許可する機能と動作を制限する機能とを決定することを特徴とする請求項2記載のメンテナンスシステム。
【請求項4】
画像処理装置は、コピーモード、スキャナモード、プリントモードおよびファクシミリモードのうち少なくとも1つのモードを有し、管理装置は、トラブル情報に基づいて動作を許可するモードと動作を制限するモードとを決定することを特徴とする請求項2記載のメンテナンスシステム。
【請求項5】
管理装置の指令手段は、画像処理装置が動作する許容時間を指定することを特徴とする請求項1記載のメンテナンスシステム。
【請求項6】
画像処理装置は、許容時間を過ぎたら動作を停止することを特徴とする請求項5記載のメンテナンスシステム。
【請求項7】
許容時間は、サービスマンが画像処理装置に到着する到着時間にしたがって決められることを特徴とする請求項5または6記載のメンテナンスシステム。
【請求項8】
画像処理装置は、発生したトラブルの重大度を判別する判別手段を備え、重大度が大のトラブルのとき、画像処理装置は動作を停止して、通報手段はトラブル情報を送信し、重大度が小のトラブルのとき、通報手段は送信しないことを特徴とする請求項1記載のメンテナンスシステム。
【請求項9】
管理装置は、サービスマンが携帯する通信端末装置であることを特徴とする請求項1記載のメンテナンスシステム。
【請求項10】
管理装置と通信可能とされた画像処理装置であって、トラブルが発生したとき、管理装置にトラブル情報を送信する通報手段と、管理装置からの指令に基づいて一部の動作だけを行う動作制限手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
動作制限手段は、管理装置によって指定された許容時間が経過したら動作を停止させることを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−28705(P2008−28705A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199172(P2006−199172)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】