説明

メールシステム、メール送信方法およびプログラム

【課題】操作者(特に電子メールの作成者)に負担をかけることなく、メールシステムの効率化を図るとともに、送信されるデータの無断複製を抑制することを目的とする。
【解決手段】電子メールを作成する送信側の携帯電話に実行ファイル作成エンジン37およびメール生成部38を設ける。実行ファイル作成エンジン37は、ネットワーク9を介してコンテンツサーバから取得するテンプレートファイル28と、携帯電話のユーザが操作部33から入力するユーザデータ6とを合成して、1つの実行ファイル7を生成する。メール生成部38は、電子メールを作成するとともに、生成された実行ファイル7を当該電子メールに添付して、通信部35に転送する。通信部35は、ネットワーク9を介して受信側の携帯電話に電子メールを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話で送受信される電子メールを作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、作成された文章とともに、画像やアニメーション等を表示することが可能なメールシステムが提案されている。このようなメールシステムが、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1のメールシステムでは、送信者によって指定された画像が、文章(電子メール本文)に別ファイルとして添付されて送信され、受信側の端末装置において、電子メール本文と添付されている画像ファイルとが合成されて表示される。
【0004】
【特許文献1】特開2007−006043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載されている技術では、受信側で表示する際に、ファイルの合成処理が必要となるため、様々なファイルが添付されている電子メールについては、表示が完了するまでに比較的長時間を要するという問題があった。すなわち、送信者が凝った電子メールを作成すればするほど、受信者に負担がかかるという問題があった。また、受信した電子メールを表示しようとするたびに、表示プログラムによって電子メール本文と添付ファイルとを関連付けなければならないという問題もあった。
【0006】
また、特許文献1に記載されている技術では、単にファイルを添付するだけなので、どのような形式のファイルも比較的容易に利用できるという利便性がある反面、形式の異なる複数のファイルに対してはデータの圧縮効率が低下し、電子メール自体のデータ量が増大するという問題があった。特に、携帯電話の記憶容量はコンピュータ等に比べて小さいため、データ量の増大は深刻な問題となる。
【0007】
さらに、特許文献1に記載されている技術では、電子メール本文に単にファイルが添付されている形式のため、添付ファイルを受信側で容易に再利用できるという問題がある。昨今では、電子メールに使用する画像等を商業的に提供するビジネスモデルも登場しており、提供される画像が不特定多数の者に簡単に複製されることは著作権上の問題となる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、操作者(特に電子メールの作成者)に負担をかけることなく、メールシステムの効率化を図るとともに、送信されるデータの無断複製を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、ネットワークを介して電子メールを送受信するメールシステムであって、テンプレートファイルとユーザによって指定されるユーザデータとを合成して1つの実行ファイルを作成し、前記1つの実行ファイルを前記ネットワークを介して電子メールとして送信する送信側携帯電話と、前記送信側携帯電話から送信される電子メールを受信して、前記電子メールに含まれる1つの実行ファイルを実行する受信側携帯電話とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るメールシステムであって、前記送信側携帯電話とデータ通信が可能に接続されたコンテンツサーバをさらに備え、前記コンテンツサーバは、テンプレートファイルを作成して前記送信側携帯電話に送信することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係るメールシステムであって、テンプレートファイルは、バイナリ形式のファイルとして作成されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のメールシステムであって、前記実行ファイルは、バイナリ形式のファイルとして作成されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、携帯電話において実行されるプログラムであって、前記携帯電話による前記プログラムの実行は、前記携帯電話を、テンプレートファイルを取得する手段と、ユーザによって指定されるユーザデータを取得する手段と、前記テンプレートファイルと前記ユーザデータとを合成して1つの実行ファイルを作成する手段と、前記1つの実行ファイルをネットワークを介して電子メールとして送信する手段とを備える携帯電話として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1ないし4に記載の発明では、テンプレートファイルとユーザによって指定されるユーザデータとを合成して1つの実行ファイルを作成し、前記1つの実行ファイルを前記ネットワークを介して電子メールとして送信することにより、受信側携帯電話においてファイルを合成する必要がないので、再生に要する時間を短縮できる。また、ユーザデータにかかわらず、1つの実行ファイルが作成されるためデータの圧縮効率が向上する。さらに、受信側携帯端末が受信するファイルはユーザデータが合成された1つの実行ファイルであるため、テンプレートファイルとしての再利用が容易ではなく、無断複製を抑制できる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、送信側携帯電話とデータ通信が可能に接続されたコンテンツサーバをさらに備え、コンテンツサーバは、テンプレートファイルを作成して送信側携帯電話に送信することにより、テンプレートファイルを容易に作成できる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、テンプレートファイルは、バイナリ形式のファイルとして作成されることにより、送信側でも無断複製を抑制できる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、実行ファイルは、バイナリ形式のファイルとして作成されることにより、さらに無断複製を抑制できる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、携帯電話を、テンプレートファイルを取得する手段と、ユーザによって指定されるユーザデータを取得する手段と、テンプレートファイルとユーザデータとを合成して1つの実行ファイルを作成する手段と、1つの実行ファイルをネットワークを介して電子メールとして送信する手段とを備える携帯電話として機能させることができる。したがって、受信側の携帯電話においてファイルを合成する必要がないので、再生に要する時間を短縮できる。また、ユーザデータにかかわらず、1つの実行ファイルが作成されるためデータの圧縮効率が向上する。さらに、受信側の携帯端末が受信するファイルはユーザデータが合成された1つの実行ファイルであるため、テンプレートファイルとしての再利用が容易ではなく、無断複製を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
<1. 実施の形態>
図1は、本発明に係るメールシステム1の構成を示す図である。
【0021】
メールシステム1は、コンテンツサーバ2および複数の携帯電話3を備え、コンテンツサーバ2および複数の携帯電話3はネットワーク9を介して互いにデータ通信が可能となっている。
【0022】
なお、以下の説明では、携帯電話3aが携帯電話3bに電子メールを送信する例で説明する。すなわち、携帯電話3aを送信側携帯電話とし、携帯電話3bを受信側携帯電話として説明するが、もちろん携帯電話3bから携帯電話3aに向けて電子メールが送信されてもよい。また、携帯電話3a,3bを、適宜、携帯電話3と総称する。
【0023】
また、図1では、1つのネットワーク9のみ図示しているが、コンテンツサーバ2と携帯電話3aとがデータ通信を行うネットワークと、携帯電話3aと携帯電話3bとが電子メールを送受信するネットワークとは異なるネットワークとして構成されていてもよい。
【0024】
図2は、コンテンツサーバ2の構成を示す図である。
【0025】
コンテンツサーバ2は、CPU20、ROM21、RAM22、ハードディスク23、操作部24、表示部25および通信部26を備え、ネットワーク9に接続された一般的なコンピュータとしての機能を有する。
【0026】
CPU20は、コンテンツサーバ2が備える各構成とバス配線を介して接続されており、各種データの演算を実行する。
【0027】
ROM21は、読み取り専用の記憶装置であり、主にプログラム27を記憶する。また、RAM22は、CPU20の一時的なワーキングエリアとして使用される記憶装置である。さらに、ハードディスク23は比較的大容量のデータを記憶することが可能であり、本実施の形態では、主に、後述するテンプレートファイル28を記憶する装置として使用される。
【0028】
なお、以下では、CPU20がROM21に格納されているプログラム27に従って動作する例で説明するが、プログラム27の一部または全部をハードディスク23に記憶させておき、適宜、RAM22に読み出してCPU20が実行するように構成してもよい。
【0029】
操作部24は、ボタンやキーボード、マウス等から構成され、オペレータからの指示をコンテンツサーバ2に入力するために使用される。また、表示部25は、例えば、液晶ディスプレイであり、オペレータに対して各種データを表示する。
【0030】
通信部26は、いわゆる通信インタフェースに相当し、コンテンツサーバ2をネットワーク9に接続する機能を提供する。これにより、コンテンツサーバ2は、先述のように、ネットワーク9を介して携帯電話3aとデータ通信が可能とされている。本実施の形態における通信部26は、主に携帯電話3aからの要求に応じて、ハードディスク23に記憶されているテンプレートファイル28を、当該携帯電話3aに向けて送信する。
【0031】
図3は、コンテンツサーバ2の機能ブロックを示す図である。図3に示すテンプレート作成エンジン29は、主にCPU20がプログラム27に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0032】
テンプレート作成エンジン29は、オペレータが操作部24を操作することにより入力される指示に従って、テンプレートファイル28を生成する機能を有する。作成されたテンプレートファイル28は、先述のように、ハードディスク23に記憶され、携帯電話3aに提供されるコンテンツデータとして保存される。図3では1つのテンプレートファイル28のみ図示しているが、通常、ハードディスク23には複数のテンプレートファイル28が登録されたデータベースが構築される。
【0033】
なお、テンプレートファイル28は、バイナリ形式のデータファイルであって、予めプログラム27と携帯電話3aのプログラム36(後述する)との間で定められている書式(記述形式)に従って作成される。ここに言う書式とは、テンプレートファイル28のどのビットがどの情報を示しているかを定めた、いわゆるデータフォーマットであり、ローカルに取り決めたものである。このように、予めプログラム27とプログラム36との間で書式が決定されているので、テンプレートファイル28は、バイナリ形式のデータファイルでありながら、変数データや、画像データ、動画像データ、音声データ等の様々なデータを格納することが可能である。
【0034】
一方、先述のように、テンプレートファイル28における書式はローカルに取り決められたものであるため、標準的なフォーマットではない。したがって、この書式を知らされていない一般のプログラムでは、テンプレートファイル28を正常に再生することは困難である。すなわち、テンプレートファイル28自体をコピーすることは可能であったとしても、一般のプログラムではテンプレートファイル28の複製を利用することができない。したがって、メールシステム1では、テンプレートファイル28がコンテンツ業者等によって作成される場合であっても、テンプレートファイル28の無断複製を抑制することができる。
【0035】
図4は、携帯電話3の構成を示す図である。
【0036】
携帯電話3は、CPU30、ROM31、メモリ32、操作部33、表示部34および通信部35を備え、無線通信によってネットワーク9に接続可能である。
【0037】
CPU30は、携帯電話3が備える各構成とバス配線を介して接続されており、各種データの演算を実行する。
【0038】
ROM31は、読み取り専用の記憶装置であり、主にプログラム36を記憶する。また、メモリ32は不揮発性の記憶装置である。
【0039】
なお、以下では、CPU30がROM31に格納されているプログラム36に従って動作する例で説明するが、プログラム36の一部または全部をメモリ32に記憶させておき、適宜、CPU30が読み出して実行するように構成してもよい。
【0040】
操作部33は、テンキー等のボタン類から構成され、ユーザからの指示を携帯電話3に入力するために使用される。特に、電話番号やメールアドレス、コンテンツサーバ2に記憶されているテンプレートファイル38を選択するための指示、ユーザデータ6(図5)を作成するための指示、あるいは電子メールを閲覧するための指示等が入力される。
【0041】
表示部34は、例えば、液晶ディスプレイであり、ユーザに対して各種データを表示する。特に、電子メールを作成するために必要な各種データや、受信した電子メールの内容等を表示する。
【0042】
通信部35は、いわゆる通信インタフェースに相当し、携帯電話3をネットワーク9に接続する機能を提供する。これにより、携帯電話3は、先述のように、ネットワーク9を介して、他の携帯電話3やコンテンツサーバ2とデータ通信が可能とされている。
【0043】
なお、図4に示す構成以外に、携帯電話3は音声データや会話を再生するスピーカや、周囲の音声を電気信号に変換するマイク等の構成を備えている。
【0044】
図5は、電子メールの送信側となる携帯電話3aの機能ブロックを示す図である。また、図6は、電子メールの受信側となる携帯電話3bの機能ブロックを示す図である。
【0045】
なお、図5に示す実行ファイル作成エンジン37およびメール生成部38が主に携帯電話3aのCPU30がプログラム36に従って動作することにより実現される機能ブロックであり、図6に示す実行エンジン39が主に携帯電話3bのCPU30がプログラム36に従って動作することにより実現される機能ブロックである。また、図5および図6では、送信側の携帯電話3aの機能ブロックと受信側の携帯電話3bの機能ブロックとがそれぞれ異なるように図示しているが、一般に携帯電話3はこれら両方の機能を兼ね備えている。
【0046】
実行ファイル作成エンジン37は、ユーザデータ6とテンプレートファイル28とを合成して1つの実行ファイル7を生成する。実行ファイル7は、受信側の携帯電話3bが備える実行エンジン39によって実行可能なデータフォーマットで、バイナリ形式のデータファイルとして作成される。
【0047】
メール生成部38は、実行ファイル7を電子メール8として生成し、通信部35に伝達する。これにより、通信部35は、ネットワーク9を介して携帯電話3bに電子メール8を送信する。メール生成部38は、一般的なメーラーが備える機能ブロックである。このように、メールシステム1では一般的なメーラーの機能により電子メール8を作成するので、受信側の携帯電話3bが一般的なメーラーの機能を備えていれば、電子メール8を受信することができる。
【0048】
したがって、携帯電話3aから送信される電子メール8を受信するためだけに専用のプログラムをインストールする必要はなく、受信側の携帯電話3bには広く一般に送受信されている電子メールを受信する汎用プログラムがインストールされていればよい。ただし、メール生成部38は、実行ファイル7を携帯電話3bに向けて送信できる状態にするものであれば、どのようなものでもよい。すなわち、メーラーに限定されるものではない。
【0049】
なお、本実施の形態におけるメール生成部38は、作成する電子メールに実行ファイル7を添付して電子メール8を生成する。概略的に言えば、電子メール8は、空メールに実行ファイル7が添付された状態の電子メールである。
【0050】
メールシステム1において作成される実行ファイル7は、先述のように、ユーザデータ6とテンプレートファイル28とが合成されて作成される。例えるならば、実行ファイル7は、絵はがき(テンプレートファイル28)に、文面(ユーザデータ6)が書き込まれた状態で受信される。
【0051】
このため、テンプレートファイル28とユーザデータ6とがそれぞれ別ファイルとして送信される場合に比べてテンプレートファイル28の汎用性が低下する。このように、メールシステム1では、電子メール8の受信側において、テンプレートファイル28の再利用が困難な状態とされているので、受信側における無断複製を抑制することができる。
【0052】
実行エンジン39は、実行ファイル7を含む電子メール8に対して閲覧要求がなされた場合に、実行ファイル7を自動的に実行して、表示部34にその内容を表示させる機能を有する。なお、実行ファイル7に音声データが含まれている場合は、実行エンジン39は、図示しないスピーカに音声を再生させる機能も有する。すなわち、実行エンジン39は、一般的なマルチプレイヤが備える機能ブロックである。
【0053】
プログラム36のうち、実行エンジン39を提供する部分は、メールシステム1において専用のプログラムとして構築することも当然可能であり、無断複写を抑制するという要請に応えるためには、その方が好ましい面もある。しかし、実行エンジン39を専用のプログラムで提供することを想定すると(実行ファイル7にローカルフォーマットを採用すると)、これをインストールしたユーザしか実行ファイル7を実行することができず、それ以外のユーザは電子メール8を受信しても実行ファイル7を閲覧(再生)することができない。すなわち、閲覧できるユーザがメールシステム1のユーザに限定されてしまい、広く大勢の人と電子メールを交換したいと望むユーザのニーズに応えることができず、結局ユーザの利便性が著しく低下するおそれがある。
【0054】
したがって、メールシステム1では、実行エンジン39を実現する部分のプログラムとして広く一般に流通している汎用プログラムを採用する。これにより、例え、電子メール8(実行ファイル7)を生成することができない携帯電話のユーザであっても、電子メール8を受信した場合にはこれを閲覧することができる。このように公開されているデータフォーマットの規格として、例えば、アドビシステムズ(登録商標)のFlash Liteなどを採用することができる。
【0055】
以上が本実施の形態におけるメールシステム1の構成および機能の説明である。次に、メールシステム1において電子メール8(実行ファイル7)を作成する手順について説明する。
【0056】
図7は、送信側の携帯電話3aにおいて電子メール8を生成する処理を示す流れ図である。また、図8は、携帯電話3aにおいて電子メール8が作成される過程の画面を例示する図である。なお、図7に示す各工程が実行される前に、コンテンツサーバ2のハードディスク23にはテンプレートファイル28が既に生成され提供されているものとする。
【0057】
まず、ユーザが操作部33を操作して電子メール8の作成を開始する指示を入力すると、携帯電話3aはネットワーク9を介してコンテンツサーバ2へ接続し、テンプレートファイル28の一覧を表示部34に表示する。さらに、操作部33がユーザによるテンプレートファイル28の選択を受け付ける(ステップS1)。
【0058】
画面5aはステップS1が実行されたときに表示部34に表示される画面の例である。画面5aは、一覧から選択され、コンテンツサーバ2から携帯電話3aに送信されたテンプレートファイル28に基づいて表示される。
【0059】
画面5aは、ユーザが選択したテンプレートファイル28の内容を確認するために、主に表示される画面である。
【0060】
画面5aには、送信先(宛先)を入力するボックス50と、作成する電子メール8の題名を入力するボックス51と、添付するファイル名を入力するボックス52とが表示されている。ボックス50ないし52には、電子メール8を作成し送信する際に必要な情報がユーザによって入力される。
【0061】
また、画面5aには、背景画像53(夜空)と、部品画像54(魔女)と、メッセージ画像55(文字)とが表示される。これらは、コンテンツサーバ2のオペレータの指示によって作成されたテンプレートファイル28の中身(データ)を、プログラム36(実行ファイル作成エンジン37)が解析することにより表示される画像である。
【0062】
図8には図示されていないが、例えば、部品画像54がアニメーションとして定義されている場合には、部品画像54は所定の動作をするように表示される。また、メッセージ画像55は、オペレータがテンプレートファイル28の変数情報に文字を入力できるように定義していることにより表示される。このようなメッセージ画像55としては、例えば、任意の画像(写真)を貼り付けることが可能であることを示すメッセージや、任意の音声データを指定すると、音符の画像が動き出すことを示すメッセージ等が考えられる。
【0063】
このように、テンプレートファイル28を作成したオペレータから、当該テンプレートファイル28を使用するユーザに向けて発信されるメッセージ画像55を表示することも可能である。これにより、ユーザは当該テンプレートファイル28を選択した場合に、当該テンプレートファイル28に対してどのような装飾を行うことができるか、容易に確認することができる。すなわち、メッセージ画像55は、当該テンプレートファイル28の取扱説明書のように機能する。
【0064】
さらに、画面5aには、機能ボタンとしての選択ボタン56と、決定ボタン57と、プレビューボタン58とが表示される。これらは、携帯電話3a側のGUIによって表示される画像である。選択ボタン56は、他のテンプレートファイル28を選択するために、再び、一覧表示に戻ることを指示するためのボタンである。また、決定ボタン57は、一時的に選択され、現在表示されているテンプレートファイル28を採用することを決定する指示を入力するためのボタンである。さらに、プレビューボタン58は実行ファイル7が作成され表示されたときの状態(プレビュー)を表示させるためのボタンである。このような機能ボタンが設けられていることにより、ユーザはどのような指示が求められているか容易に理解でき、操作性が向上する。
【0065】
画面5aが表示されている状態で、ユーザが決定ボタン57を操作すると、携帯電話3aはステップS2においてYesと判定し、画面5bを表示して、ユーザによるユーザデータ6の入力を受け付ける状態に遷移する(ステップS3)。
【0066】
画面5bでは、メッセージ画像55の代わりに、入力ボックス59が表示される。ユーザが操作部33を操作して、入力ボックス59に任意のメッセージ(従来のメール本文に相当する文章)を入力すると、画面5cに示すように、入力された文字が文字画像60として表示される。言い換えれば、受け付けたユーザデータ6が文字画像60として、入力ボックス59内に表示される。
【0067】
なお、ここでは、ユーザデータ6が文字情報の場合の例であるが、もちろんユーザデータ6は文字情報に限定されるものではない。実行エンジン39によって実行可能なコンテンツであれば、静止画はもちろん、動画や音声等であってもよい。
【0068】
ユーザによるユーザデータ6の入力が終了すると、ユーザは決定ボタン57を操作する。これにより、携帯電話3aはステップS4においてYesと判定し、実行ファイル作成エンジン37が、入力されたユーザデータ6と、既に取得しているテンプレートファイル28とを合成して1つの実行ファイル7を作成する(ステップS5)とともに、画面5dを表示する。
【0069】
画面5dでは、文字画像60が文字画像61となって、背景画像53と合成され、背景画像53aとなっている。すなわち、テキストデータに基づいて、背景画像53とは別に表示されていた文字画像60が、画素データに基づいて表示される背景画像53aの小領域に相当する文字画像61となる。これにより、合成された文字画像61と背景画像53とは、1つの背景画像53aとして扱われる。
【0070】
また、ユーザデータ6が合成される前の背景画像53と合成後の背景画像53aの画像のサイズは同じである。すなわち、背景画像53aのみ送信する場合のデータ量は、ユーザデータ6と背景画像53とを別々のファイルとして送信する場合のデータ量に比べて、一般的には少ないと言える。
【0071】
また、図8に示す画面5dでは、ボックス50,51に対する入力も行われている。これらのデータは、電子メールを送受信するメーラーが要求するデータである。このように、メールシステム1において電子メールを作成する際にも、汎用のメーラーのインタフェースを使用することにより、ユーザは今までの使い方をそのまま踏襲でき、ユーザの使い勝手を低下させることはない。なお、ボックス50,51,52に対する入力は、画面5a,5b,5c,5dのいずれに対して行ってもよい。
【0072】
さらに、画面5dには、電子メール8を作成して送信するように指示を与えるための送信ボタン62が表示される。
【0073】
実行ファイル7が作成され、ボックス50,51,52等への入力が終了すると、ユーザは送信ボタン62を操作する。これにより、メール生成部38が電子メール8を作成して(ステップS6)、通信部35に転送する。さらに通信部35は、ボックス50に入力された宛先に基づいて、ネットワーク9を介して携帯電話3bに向けて電子メール8を送信する(ステップS7)。
【0074】
ユーザがさらに他の電子メールを作成する場合はステップS1に戻って処理を繰り返す(ステップS8)。一方、終了指示を入力した場合、携帯電話3aは電子メールの作成処理を終了する。
【0075】
なお、携帯電話3aから送信された電子メール8を受信した携帯電話3bでは、ユーザによって操作部33が操作され、携帯電話3bのメーラーに対して、受信した電子メール8の閲覧要求がなされる。この閲覧要求に応じて、実行エンジン39が電子メール8に含まれる実行ファイル7を自動的に実行する。
【0076】
このように、一般的な電子メールを受信した際の操作と同じ操作で、実行ファイル7が自動的に実行されるので、携帯電話3bのユーザに負担をかけることはない。また、従来のように電子メールの添付ファィルをいちいち指定して中身を確認(表示)する必要がないので、閲覧時の負担を軽減できる。
【0077】
また、一般の電子メールでは、電子メールの本文が表示されるエリアと、添付された画像が表示されるエリアとが別々に設けられているため、比較的大きな表示エリアが必要であった。通常、画像が添付されている電子メールの内容を確認するためには、携帯電話の画面をスクロールさせる必要があり、例えば、画像を見ながら文章を読めないといった問題もあった。しかし、電子メール8では、電子メールの本文に相当する文字情報を、背景画像53aと重ねて文字画像61として表示するため、必要となる表示エリアが比較的小さくて済む。
【0078】
また、電子メールの本文と画像とを合成して表示する場合において、従来のシステムのように、受信側で合成を行わないため、閲覧が可能となるまでの所用時間が短縮される。すなわち、表示部34に内容が表示されるまでの時間を短縮できる。
【0079】
さらに、汎用的なデータであるテンプレートファイル28と、ユーザに固有のデータであるユーザデータ6とが合成されて受信されるため、受信した携帯電話3bでは、テンプレートファイル28のデータの汎用性が低下している。したがって、無断複製を抑制できる。特に、電子メールは複製されて複数の携帯電話に向けて送信されることが想定されるので、受信先での再利用を抑制することは重要である。
【0080】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であって、その内容や順序が適宜変更されてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、1台のコンテンツサーバ2のみ図示したが、複数のコンテンツサーバ2がネットワーク9に接続されていてもよい。また、テンプレートファイル28を作成するコンピュータ(サーバ)と、テンプレートファイル28を提供するコンピュータ(サーバ)とが、別々のコンピュータで実現されていてもよい。すなわち、テンプレートファイル28を作成する者と、テンプレートファイル28を提供する者とが異なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係るメールシステムの構成を示す図である。
【図2】コンテンツサーバの構成を示す図である。
【図3】コンテンツサーバの機能ブロックを示す図である。
【図4】携帯電話の構成を示す図である。
【図5】電子メールの送信側となる携帯電話の機能ブロックを示す図である。
【図6】電子メールの受信側となる携帯電話の機能ブロックを示す図である。
【図7】送信側の携帯電話において電子メールを生成する処理を示す流れ図である。
【図8】携帯電話において電子メールが作成される過程の画面を例示する図である。
【符号の説明】
【0084】
1 メールシステム
2 コンテンツサーバ
28 テンプレートファイル
29 テンプレート作成エンジン
3,3a,3b 携帯電話
30 CPU
31 ROM
32 メモリ
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 プログラム
37 実行ファイル作成エンジン
38 テンプレートファイル
38 メール生成部
39 実行エンジン
6 ユーザデータ
7 実行ファイル
8 電子メール
9 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して電子メールを送受信するメールシステムであって、
テンプレートファイルとユーザによって指定されるユーザデータとを合成して1つの実行ファイルを作成し、前記1つの実行ファイルを前記ネットワークを介して電子メールとして送信する送信側携帯電話と、
前記送信側携帯電話から送信される電子メールを受信して、前記電子メールに含まれる1つの実行ファイルを実行する受信側携帯電話と、
を備えることを特徴とするメールシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のメールシステムであって、
前記送信側携帯電話とデータ通信が可能に接続されたコンテンツサーバをさらに備え、
前記コンテンツサーバは、テンプレートファイルを作成して前記送信側携帯電話に送信することを特徴とするメールシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のメールシステムであって、
テンプレートファイルは、バイナリ形式のファイルとして作成されることを特徴とするメールシステム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のメールシステムであって、
前記実行ファイルは、バイナリ形式のファイルとして作成されることを特徴とするメールシステム。
【請求項5】
携帯電話において実行されるプログラムであって、前記携帯電話による前記プログラムの実行は、前記携帯電話を、
テンプレートファイルを取得する手段と、
ユーザによって指定されるユーザデータを取得する手段と、
前記テンプレートファイルと前記ユーザデータとを合成して1つの実行ファイルを作成する手段と、
前記1つの実行ファイルをネットワークを介して電子メールとして送信する手段と、
を備える携帯電話として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−305144(P2008−305144A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151449(P2007−151449)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(500133565)ピーシーフェーズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】