説明

モバイル電子機器、撮像装置、および電源制御方法

【課題】バッテリ容量を過大にすることなく、デバイスの動作可能時間を大きくするモバイル電子機器を提供する。
【解決手段】モバイル電子機器1は、複数の電池2を電源とし、一時消費系デバイス群7、定常消費系デバイス群8に電源を供給する。電源切替部4は、初期状態において、電池2の1つの電源供給先を一時消費系デバイス群7とし、電池2のその余の1つの電源供給先を定常消費系デバイス群8とする。そして、電源切替部4は、電池2の電圧低下の検出により、当該電池の電源供給先を定常消費系デバイス群8に切り替える。このとき、予備となる電池2があれば、予備電池を一時消費系デバイス群7の電源供給元とする。予備電池がなければ、一時消費系デバイス群7、定常消費系デバイス群8で電源供給元となる電池2を同じにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル電子機器、撮像装置、およびこれらの電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデジタル一眼レフカメラなどのモバイル電子機器は、電池を内蔵して各種電子デバイスに電力を供給している。モバイル電子機器は、携帯性の向上のために、小型軽量化とバッテリによる動作可能時間を大きくすることの両立が求められる。
【0003】
しかしながら、動作可能時間を大きくするためにバッテリ容量を大きくすると、モバイル電子機器は、大型重量化してしまうため、携帯性が大きく損なわれる。
【0004】
また、近年、モバイル電子機器のバッテリ(電源)として、リチウムイオン2次電池が広く使用されている。電池には、内部抵抗が存在し、各種デバイスを動作させるために電流を流すと内部抵抗による電圧降下が生じる。そのため、一時的に大電流を消費するデバイス(たとえば、モータなどの駆動系デバイス)が起動に必要な電圧を得られない場合があり、複数のデバイスの同時動作の制限などがおこなわれる。デバイスの動作制限は、デバイス間で電流ピークが重ならないように動作タイミングを制御することによりおこなわれる(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
また、デジタル一眼レフカメラでは、バッテリ容量(出力電圧)値が基準値を下回ると、複数のモータが同時動作をおこなう連写を制限することが一般的におこなわれる。そこで、動作モードによって異なる出力密度を有する複数の電池を切り替えることで、長時間にわたる連続撮影を実現するデジタル一眼レフカメラの提案がある(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−80310号公報
【特許文献2】特開昭60−194677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、デジタル一眼レフカメラは、高速連写(1秒間に十数コマ以上撮影)をおこなう際に、シャッタ、AF、絞りなどを駆動するために複数のモータが動作する。これらデバイスの動作時のピーク電流が重ならないようにする制御は、連写速度を落とすこととなり、デジタル一眼レフカメラの性能を大きく低減することとなる。また、単純なバッテリ容量の増大は、バッテリ搭載機器の小型軽量化に反し、携帯性を損なうこととなる。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、バッテリ容量を過大にすることなく、デバイスの動作可能時間を大きくするモバイル電子機器、撮像装置、およびこれらの電源制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、モバイル電子機器は、複数の電池と、電圧監視部と、電源切替部と、を備える。複数の電池は、定常消費系デバイス群と、一時消費系デバイス群とに電源供給可能である。定常消費系デバイス群は、定常的に電流を消費するデバイス群である。一時消費系デバイス群は、一時的な電流消費により定常消費系デバイス群に比較して高い電圧を要するデバイス群である。電圧監視部は、電池の電圧を監視する。電源切替部は、電池のうち少なくとも1つの電源供給先を一時消費系デバイス群とし、定常消費系デバイス群としない状態から、電圧監視部による当該電池の所定の電圧低下の検出により、当該電池の電源供給先を定常消費系デバイス群に切り替える。
【0010】
また、上記課題を解決するために、撮像装置は、複数の電池と、電圧監視部と、電源切替部と、を備える。複数の電池は、定常消費系デバイス群と、モータ駆動系デバイス群とに電源供給可能である。定常消費系デバイス群は、定常的に電流を消費するデバイス群である。モータ駆動系デバイス群は、一時的な電流消費により定常消費系デバイス群に比較して高い電圧を要するデバイス群である。電圧監視部は、電池の電圧を監視する。電源切替部は、電池のうち少なくとも1つの電源供給先をモータ駆動系デバイス群とし、定常消費系デバイス群としない状態から、電圧監視部による当該電池の所定の電圧低下の検出により、当該電池の電源供給先を定常消費系デバイス群に切り替える。
【0011】
また、上記課題を解決するために、モバイル電子機器の電源制御方法は、電源供給先を、定常的に電流を消費する定常消費系デバイス群と、一時的な電流消費により定常消費系デバイス群に比較して高い電圧を要する一時消費系デバイス群のうち、一時消費系デバイス群とし、定常消費系デバイス群としない電池の所定の電圧低下の検出により、当該電池の電源供給先を一時消費系デバイス群と定常消費系デバイス群の双方に切り替える。
【発明の効果】
【0012】
上記のモバイル電子機器、撮像装置、およびこれらの電源制御方法によれば、バッテリ容量を過大にすることなく、デバイスの動作可能時間を大きくする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態のモバイル電子機器の機能ブロックを示す図である。
【図2】第2の実施形態のカメラシステムのハードウェア構成例を示す図である。
【図3】第2の実施形態のカメラ本体部の電源系統を示す図である。
【図4】第2の実施形態の電池についての電圧と充電容量の関係を示す図である。
【図5】第2の実施形態の電池についての電圧と放電時間の関係を示す図である。
【図6】第2の実施形態のカメラ制御部のハードウェア構成例を示す図である。
【図7】第2の実施形態の電圧測定処理のフローチャートである。
【図8】第2の実施形態の電源切替制御処理のフローチャートである。
【図9】第3の実施形態のカメラ本体部の電源系統を示す図である。
【図10】第3の実施形態の電源切替制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態のモバイル電子機器の機能ブロックについて図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態のモバイル電子機器の機能ブロックを示す図である。
【0015】
モバイル電子機器1は、バッテリを内蔵した携帯用電子機器である。たとえば、モバイル電子機器1には、デジタルカメラ、携帯電話、ノートPC(Personal Computer)、モバイルPC、ゲーム機器などがある。デジタルカメラは、デジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラなどがある。
【0016】
モバイル電子機器1は、複数の電池2と、電圧監視部3と、電源切替部4と、第1電源供給部5と、第2電源供給部6と、一時消費系デバイス群7と、定常消費系デバイス群8と、を備える。
【0017】
電池2は、2次電池のほか、1次電池であってもよい。電池2は、たとえば、2次電池であれば、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池、リチウムイオンポリマ蓄電池などがある。また、電池2は、たとえば、1次電池であれば、マンガン乾電池、アルカリ乾電池などがある。
【0018】
なお、電池2は、複数の電池として取扱可能であれば、パッケージを1つにするものであってもよい。
【0019】
電圧監視部3は、複数の電池2の各々について電圧を監視する。電圧監視部3は、電池2が一時消費系デバイス群7、定常消費系デバイス群8を駆動するのに十分な電圧を有するか否かを監視する。
【0020】
一時消費系デバイス群7は、一時的な電流消費により定常消費系デバイス群8に比較して高い電圧を要するデバイス群である。一時消費系デバイス群7は、複数の一時消費系デバイスからなる。一時消費系デバイスは、たとえば、デジタル一眼レフカメラであれば、AF駆動、絞り、シャッタを駆動するモータやソレノイドなどの駆動系デバイス、ストロボ充電回路などがある。また、一時消費系デバイスは、たとえば、バイブレータ、ハードディスク、ディスクドライブを駆動するモータやソレノイドなどの駆動系デバイスがある。これら駆動系デバイスは、デバイスの駆動時に一時的に、定常消費系デバイス群8と比較して大電流を使用する。特に、起動時および停止時において、駆動系デバイスは、デバイスの駆動に一時的に大きな電流を消費する。
【0021】
定常消費系デバイス群8は、一時消費系デバイス群7と比較して電流量は多くはないが定常的に電流を消費するデバイス群である。定常消費系デバイス群8は、複数の定常消費系デバイスからなる。定常消費系デバイスは、たとえば、デジタル一眼レフカメラであれば、CPU(Central Processing Unit)、LCD(Liquid Crystal Display:液晶パネル)、撮像素子などがある。
【0022】
第1電源供給部5は、一時消費系デバイス群7に電源供給をおこなう。第1電源供給部5は、電池2を電源供給元として、電圧変換部(たとえば、DC(Direct Current)−DCコンバータ)で所要の電圧に変換して一時消費系デバイス群7に電源を供給する。
【0023】
第2電源供給部6は、定常消費系デバイス群8に電源供給をおこなう。第2電源供給部6は、電池2を電源供給元として、電圧変換部(たとえば、DC−DCコンバータ)で所要の電圧に変換して定常消費系デバイス群8に電源を供給する。
【0024】
電源切替部4は、電池2の1つの電源供給先を第1電源供給部5とし、電池2のその余の1つの電源供給先を第2電源供給部6とする状態を初期状態とする。そして、電源切替部4は、第1電源供給部5に電源供給する電池2の所定の電圧低下の検出により、当該電池の電源供給先を第2電源供給部6に切り替える。
【0025】
このとき、第1電源供給部5、第2電源供給部6のいずれにも電源供給をおこなっていない電池2があれば、当該電池を第1電源供給部5の電源供給元とする。第1電源供給部5、第2電源供給部6のいずれにも電源供給をおこなっていない電池2がなければ、第1電源供給部5、第2電源供給部6で電源供給元となる電池2を同じにする。
【0026】
これにより、一時消費系デバイス群7は、定常消費系デバイス群8と切り分けて、電源を使用することができるため、電池2の内部抵抗による電圧降下の制限範囲を抑制することができ、バッテリ容量を過大にすることなく一時消費系デバイス群7の動作可能時間を大きくすることができる。
【0027】
[第2の実施形態]
次に、より具体的な第2の実施形態について説明する。モバイル電子機器の一例として、デジタル一眼レフカメラタイプのカメラシステムを図2用いて説明する。図2は、第2の実施形態のカメラシステムのハードウェア構成例を示す図である。
【0028】
カメラシステム(撮像システム)10は、デジタル一眼レフカメラであって、カメラ本体(撮像装置)11と、交換レンズ25を備える。カメラ本体11は、カメラ本体11と交換レンズ25の各々が有する接合部を介して交換レンズ25を装着する。接合部は、カメラ本体11が交換レンズ25を保持するための接合部形状を有するほか、焦点検出情報(たとえば、測距情報など)や絞り値の情報など各種情報を相互に入出力するための接点を有する。
【0029】
カメラ本体11は、カメラ制御部12、LCD13、EVF(Electric View Finder:電子ビューファインダ)14、記録媒体15、フォーカス駆動部19、AF(Auto Focus)/MF(Manual Focus)切替部20、絞り駆動部21、電池部22を備える。さらに、カメラ本体11は、AFユニット16、測光ユニット17、撮像素子18、ハーフミラー24、その他図示しないレリーズボタン等の各種操作部を備える。
【0030】
カメラ制御部12は、カメラ本体11を統括的に制御するとともに、レンズ制御部26との間で各種情報を入出力する。LCD13は、撮影する構図を確認するためのライブビュー、撮影した画像の再生表示、各種情報表示、各種操作の案内表示をおこなう表示装置である。LCD13が表示する各種情報表示には、たとえば、シャッタ速度、絞り値、バッテリ残量、撮影モードなどがある。
【0031】
EVF14は、撮影する構図を確認するための電子ビューファインダである。EVF14は、LCD13のライブビューと切り替えて使用可能である。記録媒体15は、撮影した画像(静止画像、動画像など)を記録する。記録媒体15は、装脱着可能であって、電源遮断時にも情報を保持するために、たとえば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体である。
【0032】
ハーフミラー24は、たとえば、半透過型の薄膜ミラー(ペリクルミラー)であって、交換レンズ25からの入射光を撮像素子18に透過させるとともに、AFユニット16、測光ユニット17に反射する。
【0033】
撮像素子18は、入射光を電気信号に変換するイメージセンサ(たとえば、COMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサや、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ)である。AFユニット16は、被写体の焦点を検出する位相差センサであり、たとえば、6位相差AFユニットである。測光ユニット17は、被写体の明るさを測定する。
【0034】
フォーカス駆動部19は、交換レンズ25が備えるフォーカスレンズ27を駆動する。AF/MF切替部20は、フォーカスレンズ27の焦点調節をオートフォーカスとマニュアルフォーカスとに切り替える。絞り駆動部21は、交換レンズ25が備える絞り28を駆動する。
【0035】
なお。フォーカス駆動部19、絞り駆動部21は、モータなどのアクチュエータであって、交換レンズ25と機械的に接続して駆動力を伝達する。また、交換レンズ25がモータなどのアクチュエータを備える場合、フォーカス駆動部19、絞り駆動部21は、交換レンズ25が備えるアクチュエータを駆動する。
【0036】
電池部22は、カメラ本体11と交換レンズ25に電源を供給する。電池部22は、1パッケージの中にリチウムイオン蓄電池からなる電池A、電池Bの2つの電池を備える。なお、電池A、電池Bは、各々別パッケージであってもよい。また、電池A、電池Bは、ニッケル水素蓄電池など、その他の2次電池でもよいし、1次電池であってもよい。
【0037】
交換レンズ25は、レンズ制御部26、フォーカスレンズ27、絞り28を備える。レンズ制御部26は、フォーカスレンズ27のレンズ位置、絞り28の開き具合などの情報をカメラ制御部12に通信出力する。
【0038】
このようなカメラシステム10は、以下のようにして撮影をおこなう。カメラ制御部12は、レリーズボタン操作を検出することで、AFユニット16から被写体の焦点情報を、測光ユニット17から測光情報を取得して合焦位置を演算する。カメラ制御部12は、制御情報をフォーカス駆動部19に出力する。フォーカス駆動部19は、AF/MF切替部20が焦点調節をオートフォーカスに切り替えていれば、駆動力をフォーカスレンズ27に伝達し、ピント合わせをおこなう。なお、AF/MF切替部20が焦点調節をマニュアルフォーカスに切り替えていれば、ピント合わせは、撮影者自身の操作によりおこなわれる。
【0039】
また、カメラ制御部12は、測光情報にもとづく制御情報を絞り駆動部21に出力する。絞り駆動部21は、絞り28を駆動して、交換レンズ25を通して撮像素子18に入射する光量を調整する。なお、露出は、絞り28と撮像素子18との間に配置される図示されないシャッタ(メカニカルシャッタ)と、絞り28とにより決定される。なお、電子式シャッタの場合、露出は、絞り28と撮像素子18の制御(たとえば、蓄光時間制御)により決定される。
【0040】
これにより、焦点が決定され、露出が決定された状態の光が撮像素子18に照射され、カメラシステム10は、焦点が合い、明るさ調整された静止画、あるいは動画を得ることができる。撮影された、動画、静止画は、カメラ制御部12を介して、記録媒体15に記録される。
【0041】
なお、カメラ制御部12は、レンズ制御部26を介してフォーカスレンズ27の位置、絞り28の開き具合などの制御情報を取得する。取得された制御情報は、LCD13に表示され、あるいは撮影データとともに保存される。
【0042】
次に、第2の実施形態の電源系統の構成について図3を用いて説明する。図3は、第2の実施形態のカメラ本体部の電源系統を示す図である。電池部22は、電源制御部30と接続し、電源制御部30を介して一時消費系デバイス35、定常消費系デバイス37に電力を供給する。
【0043】
一時消費系デバイス35は、動作が一時的であり限定された時間に大電流が必要とされるデバイス群である。一時消費系デバイス35は、フォーカス駆動部19、絞り駆動部21、シャッタ駆動部36などモータやソレノイドなどの駆動系デバイス、図示しないストロボ充電回路などがある。
【0044】
定常消費系デバイス37は、一時消費系デバイス35と比較して電流量は多くはないが定常的に電流を消費するデバイスである。定常消費系デバイス37は、撮像素子18、CPU101、LCD13などがある。
【0045】
電源制御部30は、電池部22が備える電池A、電池Bを電源供給元とし、電源電圧を変換して一時消費系デバイス35、定常消費系デバイス37の電源供給元となる。電源制御部30は、電圧変換部31、電圧変換部32、電源切替部33を備える。なお、電池A、電池Bの合計バッテリ容量(充電容量)は、従来の単一電源を用いる場合と同じく、たとえば、1800mAh程度であり、カメラ本体11を大型化、重量化するものでない。
【0046】
電圧変換部31は、一時消費系デバイス35に電源供給をおこなう。電圧変換部32は、定常消費系デバイス37に電源供給をおこなう。電圧変換部31、電圧変換部32は、たとえば、DC−DCコンバータのような電圧制御LSI(Large Scale Integration)や三端子レギュレータで構成可能である。なお、電圧変換部31、電圧変換部32は、一次的に電圧変換をおこなうものであってもよく、その場合、各デバイスは、三端子レギュレーなどの二次的な電圧変換部を備える。
【0047】
電源切替部33は、SW(スイッチ)10を備え、SW10のON、OFFを制御することで、電圧変換部31、電圧変換部32の電源供給元を切り替える。電源切替部33は、SW10のOFFにより、電池Aの電源供給先を電圧変換部31、電池Bの電源供給先を電圧変換部32とする(電源分離状態)。そして、電源切替部33は、SW10のONにより、電池Aと電池Bを並列接続して、電池Aと電池Bの電源供給先を電圧変換部31、電圧変換部32とする(電源接続状態)。
【0048】
ここで、第2の実施形態の電池A、電池Bの特性について図4を用いて説明する。図4は、第2の実施形態の電池についての電圧と充電容量の関係を示す図である。一般に、電池は、充電容量(電池残量)の減少に伴い電圧が低下する。電池A、電池Bにリチウムイオン蓄電池を用いた場合を例に挙げて説明する。なお、電池は、内部抵抗が存在するため、電流を流すことにより内部抵抗×電流値分の電圧降下を生じる。
【0049】
そのため、一時消費系デバイス35は、デバイス単体の駆動では問題なく動作する電圧であっても、複数のデバイスが同時駆動された場合に、電圧降下により正常に動作しないということが起こりえる。つまり、満充電付近においては問題なく動作した一時消費系デバイス35に、充電容量が少なくなると動作しないという問題が生じる。
【0050】
たとえば、電圧Ea以上(すなわち充電容量Qa以上)において、一時消費系デバイス35は、正常に動作し、カメラシステム10は、フォーカス駆動部19、絞り駆動部21などを同時駆動可能であり、高速連写撮影をおこなうことができる。しかしながら、電圧Ea未満(すなわち充電容量Qa未満)において、一時消費系デバイス35は、正常に動作しないことが起こりえるため、カメラシステム10は、フォーカス駆動部19、絞り駆動部21などの同時駆動を制限(制御条件の制限)し、連写撮影を制限せざるをえない。
【0051】
なお、定常消費系デバイス37は、定常的に電流を消費するが大電流を必要とせず、内部抵抗による電圧降下の影響が少ないため、電圧Eb以上(すなわち充電容量Qb以上)において、一時消費系デバイス35のように制約を受けることなく正常に動作する。また、定常消費系デバイス37は、一時消費系デバイス35の駆動状況が連写動作であっても、単写動作であっても、電圧Eb以上で動作可能である。
【0052】
なお、充電容量は、電池の電圧を測定し、カメラ制御部12があらかじめ記憶する電圧テーブルを参照して求めることができる。電圧テーブルは、温度(この場合、別途温度センサを設ける)、電流値、内部抵抗、撮影モード、電池の種類など所定のパラメータに応じて複数設けてもよい。
【0053】
次に、第2の実施形態の電池A、電池Bの電圧と放電時間の関係について図5を用いて説明する。図5は、第2の実施形態の電池についての電圧と放電時間の関係を示す図である。
【0054】
タイミングT1は、電池Aにおける一時消費系デバイス35の高速連写撮影の動作限界であり、電池Bにおける定常消費系デバイス37の動作限界である。タイミングT1において、電池Aは電圧Eaであり、電池Bは電圧Ebである。
【0055】
このように、カメラシステム10は、一時消費系デバイス35と定常消費系デバイス37の電源を分離することにより、機能制限をおこなうことなく、具体的には連写速度の制限をおこなうことなく長時間の可動を実現する。
【0056】
そして、電池Aが電圧Ea未満の電圧となった場合、または電池Bが電圧Eb未満の電圧となった場合には、カメラシステム10は、電池Aと電池Bを接続して一時消費系デバイス35と定常消費系デバイス37に電源を供給する。これにより、カメラシステム10は、一時消費系デバイス35の同時駆動に制限を受けるものの、一時消費系デバイス35と定常消費系デバイス37ともに動作可能となる。
【0057】
なお、現実には、電池Aが電圧Eaになるタイミングと、電池Bが電圧Ebになるタイミングは一致しない場合が多いが、電池Aと電池Bの容量に差を設けることで設計上のタイミング(T1)を同期させ、カメラシステム10の動作時間を大きくできる。
【0058】
次に、第2の実施形態のカメラ制御部のハードウェア構成について図6を用いて説明する。図6は、第2の実施形態のカメラ制御部のハードウェア構成例を示す図である。
【0059】
カメラ制御部12は、CPU101によって電源制御部30を含めカメラ本体11を統括的に制御する。CPU101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、通信インタフェース104、グラフィック処理装置105、および入出力インタフェース106が接続されている。
【0060】
RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。ROM103には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。また、ROM103には、電池A、電池Bの電圧テーブルが格納される。
【0061】
グラフィック処理装置105には、LCD13やEVFが接続される。入出力インタフェース106には、各種入出力装置が接続されるほか、電源制御部30と接続する。各種入出力装置、電源制御部30は、入出力インタフェース106、バス107を介してCPU101と情報の入出力をおこなう。通信インタフェース104は、他のコンピュータとの間でデータの送受信をおこなう。
【0062】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
【0063】
なお、カメラ制御部12は、それぞれFPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processer)などからなるモジュールを含んで構成することもでき、CPU101を有しない構成とすることもできる。その場合、カメラ制御部12は、それぞれ不揮発性メモリ(たとえば、EEPROM、フラッシュメモリ、フラッシュメモリ型メモリカードなど)を備え、モジュールのファームウェアを記憶する。不揮発性メモリは、入出力インタフェース106と接続する可搬型記録媒体、あるいは通信インタフェース104を介してファームウェアを書き込むことができる。このようにカメラ制御部12は、不揮発性メモリに記憶されているファームウェアを書き換えることにより、ファームウェアの更新をすることもできる。
【0064】
次に、第2の実施形態の電圧測定処理について図7を用いて説明する。図7は、第2の実施形態の電圧測定処理のフローチャートである。電圧測定処理は、カメラ制御部12が電源制御部30とともにおこなう処理である。
【0065】
[ステップS11]カメラ制御部12は、電源投入により初期化処理を実行する。カメラ制御部12は、初期化処理で各デバイスが動作する前に、電池Aおよび電池Bの電圧をA/Dコンバータより取得する。これにより、カメラ制御部12は、各デバイスの動作状況にもとづく電池の充電容量検出の誤差要因を排除して、電圧または電圧にもとづく充電容量を求めることができる。
【0066】
[ステップS12]カメラ制御部12は、検出した電池A、電池Bの電圧にもとづいて、電池A、電池Bの電源供給先を切り替える電源切替制御処理を実行する。電源切替制御処理の詳細は、図8を用いて後で詳述する。
【0067】
[ステップS13]カメラ制御部12は、電圧監視条件の成立を判断し、電圧監視条件の成立を待ってステップS14にすすむ。電圧監視条件は、所定時間経過毎(たとえば、10秒ごと)、撮影モードの変更など所定の操作を受け付けたとき、所定の電力消費があったとき(たとえば、電流積算値が所定値に達したとき)などとすることができる。
【0068】
[ステップS14]カメラ制御部12は、現在の撮影モードが動画撮影であるか、静止画撮影であるか、またはそのいずれでもないかを判定する。カメラ制御部12は、現在の撮影モードが静止画撮影である場合にステップS15にすすみ、現在の撮影モードが動画撮影である場合にステップS16にすすみ、そのいずれでもない場合にステップS17にすすむ。
【0069】
[ステップS15]カメラ制御部12は、シャッタボタン(レリーズボタン)が押下中(半押し中を含む)であるか否かを判定する。カメラ制御部12は、シャッタボタンが押下中であれば、モータ駆動系デバイスであるフォーカス駆動部19、絞り駆動部21などが動作中であり、充電容量検出のための正確な電圧検出ができないとして待機する。カメラ制御部12は、シャッタボタンが押下中でなければ、ステップS17にすすむ。
【0070】
[ステップS16]カメラ制御部12は、モータ駆動系デバイスであるフォーカス駆動部19、絞り駆動部21などが動作中であるか否かを判定する。カメラ制御部12は、モータ駆動系デバイスが動作中であれば、充電容量検出のための正確な電圧検出ができないとして待機する。カメラ制御部12は、モータ駆動系デバイスが動作中でなければ、ステップS17にすすむ。
【0071】
[ステップS17]カメラ制御部12は、電池Aおよび電池Bの電圧をA/Dコンバータより取得する。これにより、カメラ制御部12は、各デバイスの動作状況にもとづく電池の充電容量検出の誤差要因をできるだけ排除して、電圧または電圧にもとづく充電容量を求めることができる。
【0072】
この後、カメラ制御部12は、再びステップS12にすすみ、電源切替制御処理を実行する。
【0073】
なお、電池の電圧取得タイミングで、カメラ制御部12は、モータ駆動系デバイスを一時停止(たとえば、100μS程度)して制御するようにしてもよい。特に、動画撮影では、被写体に追随するようにしてフォーカス駆動部19、絞り駆動部21が動作するため、モータ駆動系デバイスの一時停止制御は、好適な電圧測定をおこなううえで有効である。
【0074】
次に、第2の実施形態の電源切替制御処理について図8を用いて説明する。図8は、第2の実施形態の電源切替制御処理のフローチャートである。電源切替制御処理は、カメラ制御部12が電源制御部30とともにおこなう処理である。
【0075】
[ステップS21]カメラ制御部12は、一時消費系デバイス35に電源を供給する電池Aの電圧を検出(監視)する。具体的には、カメラ制御部12は、電池Aの電圧をA/Dコンバータより取得する。
【0076】
[ステップS22]カメラ制御部12は、検出した電池Aの電圧が所定電圧(比較対象電圧)以上であるか否かを判定する。カメラ制御部12は、検出した電池Aの電圧が所定電圧以上である場合にステップS23にすすみ、所定電圧に満たない場合にステップS27にすすむ。
【0077】
ここで比較対象とする電圧は、以下のようにして求めることができる。一時消費系デバイス35の最大電流(同時動作した時の最大電流)をIa、電池Aの内部抵抗をRa、一時消費系デバイス35の動作保障電圧(同時動作可能な最低電圧)Vaminとすると、比較対象電圧Aは、(1)式により求めることができる。
A=Vamin/K+(Ia×Ra) ……(1)
【0078】
たとえば、電池Aが満充電電圧7.2Vのリチウムイオン蓄電池であり、一時消費系デバイス35は、フォーカス駆動部19、絞り駆動部21、シャッタ駆動部36であるとする。このとき、各デバイスに流れる電流値がフォーカス駆動部19が1.2A、絞り駆動部21が1.3A、シャッタ駆動部36が1.5AとするとIa=4Aになり、内部抵抗Ra=0.3Ω、Vamin=4.0V、マージン係数K=0.8であれば、A=6.2Vとなる。なお、マージン係数Kは、1以下の値であり、使用条件等に応じて任意に設定する。
【0079】
[ステップS23]カメラ制御部12は、定常消費系デバイス37に電源を供給する電池Bの電圧を検出(監視)する。具体的には、カメラ制御部12は、電池Bの電圧をA/Dコンバータより取得する。
【0080】
[ステップS24]カメラ制御部12は、検出した電池Bの電圧が所定電圧(比較対象電圧)以上であるか否かを判定する。カメラ制御部12は、検出した電池Bの電圧が所定電圧以上である場合にステップS25にすすみ、所定電圧に満たない場合にステップS27にすすむ。
【0081】
ここで比較対象とする電圧は、以下のようにして求めることができる。定常消費系デバイス37の最大電流(同時動作した時の最大電流)をIb、電池Bの内部抵抗をRb、定常消費系デバイス37の動作保障電圧(同時動作可能な最低電圧)Vbminとすると、比較対象電圧Bは、(2)式により求めることができる。
B=Vbmin/K+(Ib×Rb) ……(2)
【0082】
たとえば、電池Bが満充電電圧7.2Vのリチウムイオン蓄電池であり、定常消費系デバイス37は、撮像素子18、CPU101、LCD13であるとする。このとき、各デバイスに流れる電流値が撮像素子18が70mA、CPU101が400mA、LCD13が70mAとするとIb=540mAになり、内部抵抗Rb=0.3Ω、Vbmin=4.0V、マージン係数K=0.8であれば、B=5.162(≒5.2)Vとなる。なお、マージン係数Kは、1以下の値であり、使用条件等に応じて任意に設定する。
【0083】
なお、定常消費系デバイス37は、電圧測定時であっても各デバイスをOFFにすることができない場合が多いので、各デバイスの動作状況を鑑みて比較対象電圧Bを設定する。たとえば、撮像素子18がON、CPU101がON、LCD13がOFFであれば、電池Bの電圧は、内部抵抗による電圧降下があるので、Ib=70mAとして比較対象電圧Bを求める。この場合、比較対象電圧Bは、5.021(≒5.0)Vとなる。
【0084】
なお、各デバイスの消費電流は、設計時に取得したデータなどを用いることができる。また、比較対象電圧A、比較対象電圧Bは、その都度計算することなく、あらかじめテーブルデータとして保持するようにしてもよい。
【0085】
[ステップS25]カメラ制御部12は、電源制御部30に指示し、電池Aを一時消費系デバイス35の電源供給元とし、電池Bを定常消費系デバイス37の電源供給元となるように、一時消費系デバイス35と定常消費系デバイス37の電源を分離する。より、具体的には、電源制御部30は、SW10をOFF状態(電源分離状態)とする。
【0086】
[ステップS26]カメラ制御部12は、電池Aが一時消費系デバイス35を動作させるのに十分な電圧があり、電池Bも定常消費系デバイス37を動作させるのに十分な電圧があることから、複数のモータ係デバイスが同時動作する高速連写撮影を許可する。この後、カメラ制御部12は、電源切替制御処理を終了する。ここでいう高速連写撮影は、シャッタボタンを押し続けることで連続撮影をおこなうものであり、連続撮影の速度はカメラシステム10により異なる。
【0087】
[ステップS27]カメラ制御部12は、電源制御部30に指示し、電池Aと電池Bを接続し、電池Aと電池Bが一時消費系デバイス35と定常消費系デバイス37で共通の電源供給元とする。より、具体的には、電源制御部30は、SW10をON状態(電源接続状態)とする。
【0088】
[ステップS28]カメラ制御部12は、電池Aが一時消費系デバイス35を動作させるのに十分な電圧がない、あるいは電池Bが定常消費系デバイス37を動作させるのに十分な電圧がないことから、複数のモータ係デバイスが同時動作する高速連写撮影を不許可(単写撮影)とする。この後、カメラ制御部12は、電源切替制御処理を終了する。ここでいう単写撮影は、撮影をおこなう都度、シャッタボタンを押すものであり、単写撮影から次の単写撮影までの間隔はカメラシステム10により異なる。
【0089】
これにより、カメラシステム10は、一時消費系デバイス35が同時動作可能な電池残量を適切に判断することができ、バッテリ容量を過大にすることなく一時消費系デバイス35の動作可能時間を大きくすることができる。
【0090】
なお、カメラ制御部12は、電源分離状態で高速連写撮影を許容する通常モードと、電源接続状態で高速連写撮影を制限する制限モードとに制御したが、これに限らず一時消費系デバイス35の動作を制限するものであれば、その他のものであってもよい。
【0091】
たとえば、カメラ制御部12は、電源分離状態では秒速15枚までの連続撮影を許し、電源接続状態では秒速10枚までの連続撮影を許すようにしてもよい。また、カメラ制御部12は、電源分離状態では焦点(AF)と絞りを同時に調整可能な連続撮影を許し、電源接続状態では焦点または絞りのいずれかを固定した連続撮影を許すようにしてもよい。また、カメラ制御部12は、電源分離状態では焦点と絞りを同時に調整可能な連続撮影を許し、電源接続状態では焦点と絞りを排他的に動作させる連続撮影を許すようにしてもよい。また、カメラ制御部12は、電源分離状態では焦点と絞り、ストロボの充電を同時に許し、電源接続状態では焦点、絞りの調整とストロボ充電とを排他的に動作させるようにしてもよい。
【0092】
[第3の実施形態]
次に、電池部が備える電池をより細分化し、予備電源として電池を設ける第3の実施形態について図9を用いて説明する。図9は、第3の実施形態のカメラ本体部の電源系統を示す図である。なお、第2の実施形態と同じ構成については、符番を同じにして説明を省略する。
【0093】
電池部54は、電源制御部50と接続し、電源制御部50を介して一時消費系デバイス35、定常消費系デバイス37に電力を供給する。
【0094】
電源制御部50は、電池部54が備える複数の電池(電池A、電池B、電池C、電池D)を電源供給元とし、電源電圧を変換して一時消費系デバイス35、定常消費系デバイス37の電源供給元となる。電源制御部50は、電圧変換部51、電圧変換部52、電源切替部53を備える。なお、電池A、電池B、電池C、電池Dの合計バッテリ容量(充電容量)は、従来の単一電源を用いる場合と同じく、たとえば、1800mAh程度であり、カメラ本体11を大型化、重量化するものでない。なお、電池A、電池Dの合計バッテリ容量を従来の単一電源と同程度とし、カメラ本体11に接続する縦位置グリップに予備バッテリとして電池B、電池Cを内蔵してバッテリ容量を拡大するものでもよい。
【0095】
電圧変換部51は、一時消費系デバイス35に電源供給をおこなう。電圧変換部52は、定常消費系デバイス37に電源供給をおこなう。電圧変換部51、電圧変換部52は、たとえば、DC−DCコンバータのような電圧制御LSIや三端子レギュレータで構成可能である。なお、電圧変換部51、電圧変換部52は、一次的に電圧変換をおこなうものであってもよく、その場合、各デバイスは、三端子レギュレーなどの二次的な電圧変換部を備える。
【0096】
電源切替部53は、SW20、SW21、SW22、SW23、SW24、SW25を備え、各SWのON、OFFを制御することで、電圧変換部51、電圧変換部52の電源供給元を切り替える。
【0097】
電源切替部53は、SW20、SW21、SW22、SW24、SW25のOFF、SW23のONにより、電池Aの電源供給先を電圧変換部51として、電池Dの電源供給先を電圧変換部52とする(第1の電源分離状態)。このとき、電池B、電池Cは、電圧変換部51、電圧変換部52のいずれにも接続しない予備電池となる。
【0098】
そして、電圧変換部51または電圧変換部52への供給電圧のいずれかが所定の電圧以下となると、電源切替部53は、SW23をOFFしSW24をONにして、電池Aの電源供給先を電圧変換部52とする。併せて、電源切替部53は、SW21をONにして、電池Bの電源供給先を電圧変換部51とする。これにより、電源切替部53は、電池Bの電源供給先を電圧変換部51として、電池A、電池Dの電源供給先を電圧変換部52とする(第2の電源分離状態)。このとき、電池Cは、電圧変換部51、電圧変換部52のいずれにも接続しない予備電池となる。
【0099】
そして、電圧変換部51または電圧変換部52への供給電圧のいずれかが所定の電圧以下となると、電源切替部53は、SW21をOFFしSW25をONにして、電池Bの電源供給先を電圧変換部52とする。併せて、電源切替部53は、SW22をONにして、電池Cの電源供給先を電圧変換部51とする。これにより、電源切替部53は、電池Cの電源供給先を電圧変換部51として、電池A、電池B、電池Dの電源供給先を電圧変換部52とする(第3の電源分離状態)。
【0100】
そして、電圧変換部51または電圧変換部52への供給電圧のいずれかが所定の電圧以下となると、電源切替部53は、SW20をONにして、電池A、電池B、電池C、電池Dを並列接続する。これにより、電源切替部53は、電池A、電池B、電池C、電池Dの電源供給先を電圧変換部51、電圧変換部52とする状態(電源接続状態)とする。
【0101】
このように、カメラシステム10は、予備電源となる電池を設けることで、電池A、電池B、電池C、電池Dのバッテリ容量を過大にすることなく、一時消費系デバイス35の動作可能時間を大きくすることができる。
【0102】
なお、電池A、電池B、電池Cのバッテリ容量は、電池A≦電池B≦電池C、すなわち一時消費系デバイス35にとっての、第1接続電池≦第2接続電池≦第3接続電池としてもよい。このとき、電池A、電池B、電池Cは、各々の電池の満充電容量の大きさにしたがい、あらかじめ決めておくようにしてもよい。あるいは、電源投入時などに検出した電池A、電池B、電池Cは、各々の電池の電圧にしたがい、一時消費系デバイス35への接続順序を決定するようにしてもよい。
【0103】
これにより、カメラシステム10は、定常消費系デバイス37の消費電力が大きくなる場合が生じても、バッテリ容量の小さい順に定常消費系デバイス37に電池を接続していくので、一時消費系デバイス35の動作可能時間を大きくすることができる。
【0104】
次に、第3の実施形態の電源切替制御処理について図10を用いて説明する。図10は、第3の実施形態の電源切替制御処理のフローチャートである。電源切替制御処理は、カメラ制御部12が電源制御部50とともにおこなう処理である。
【0105】
[ステップS31]カメラ制御部12は、電源制御部30に指示し、電池Aを一時消費系デバイス35の電源供給元とし、電池Dを定常消費系デバイス37の電源供給元とする。より、具体的には、電源制御部50は、SW20、SW21、SW22、SW24、SW25のOFF、SW23のONとする第1の電源分離状態とする。
【0106】
[ステップS32]カメラ制御部12は、一時消費系デバイス35に電源を供給する電池の電圧を検出(監視)する。具体的には、カメラ制御部12は、検出対象となる電池の電圧をA/Dコンバータより取得する。なお、検出対象となる電池は、第1の電源分離状態で電池A、第2の電源分離状態で電池B、第3の電源分離状態で電池Cである。
【0107】
[ステップS33]カメラ制御部12は、検出対象とした電池の電圧が所定電圧(比較対象電圧)以上であるか否かを判定する。カメラ制御部12は、検出対象とした電池の電圧が所定電圧以上である場合にステップS34にすすみ、所定電圧に満たない場合にステップS37にすすむ。ここで比較対象とする電圧は、前述の(1)式により求めることができる。
【0108】
[ステップS34]カメラ制御部12は、定常消費系デバイス37に電源を供給する電池の電圧を検出(監視)する。具体的には、カメラ制御部12は、検出対象となる電池の電圧をA/Dコンバータより取得する。なお、検出対象となる電池は、第1の電源分離状態で電池D、第2の電源分離状態で電池Aおよび電池D、第3の電源分離状態で電池A、電池B、および電池Dである。
【0109】
[ステップS35]カメラ制御部12は、検出対象とした電池の電圧が所定電圧(比較対象電圧)以上であるか否かを判定する。カメラ制御部12は、検出対象とした電池の電圧が所定電圧以上である場合にステップS36にすすみ、所定電圧に満たない場合にステップS37にすすむ。ここで比較対象とする電圧は、上述の(2)式により求めることができる。
【0110】
[ステップS36]カメラ制御部12は、一時消費系デバイス35と定常消費系デバイス37とで分離している電源の供給元となる電池に十分な電圧があることから、複数のモータ係デバイスが同時動作する高速連写撮影を許可する。この後、カメラ制御部12は、電源切替制御処理を終了する。
【0111】
[ステップS37]カメラ制御部12は、予備電池の有無を判定する。具体的には、予備電池の有無の判定は、第1の電源分離状態、または第2の電源分離状態であれば、予備電池ありとされ、第3の電源分離状態であれば予備電池なしとされる。カメラ制御部12は、予備電池ありと判定すればステップS38にすすみ、予備電池なしと判定すればステップS40にすすむ。
【0112】
[ステップS38]カメラ制御部12は、電源制御部50に指示し、一時消費系デバイス35の電源供給元となっていた電池を定常消費系デバイス37の電源供給元とする。
【0113】
[ステップS39]カメラ制御部12は、電源制御部50に指示し、接続順序にしたがい予備電池の1つを一時消費系デバイス35の電源供給元とする。具体的には、電源の接続分離状態が、第1の電源分離状態であったのであれば、第2の電源分離状態とし、第2の電源分離状態であったのであれば、第3の電源分離状態とする。
【0114】
[ステップS40]カメラ制御部12は、電池A、電池B、電池C、電池Dを接続し、電池A、電池B、電池C、電池Dが一時消費系デバイス35と定常消費系デバイス37で共通の電源供給元(電源接続状態)とする。
【0115】
[ステップS41]カメラ制御部12は、一時消費系デバイス35の電源供給元となる電池の電圧が十分でない、あるいは定常消費系デバイス37の電源供給元となる電池の電圧が十分でないことから、複数のモータ係デバイスが同時動作する高速連写撮影を不許可(単写撮影)とする。この後、カメラ制御部12は、電源切替制御処理を終了する。
【0116】
これにより、カメラシステム10は、一時消費系デバイス35が同時動作可能な電池残量を適切に判断することができ、バッテリ容量を過大にすることなく一時消費系デバイス35の動作可能時間を大きくすることができる。
【0117】
なお、カメラ制御部12は、電源分離状態で高速連写撮影を許容する通常モードと、電源接続状態で高速連写撮影を制限する制限モードとに制御したが、これに限らず一時消費系デバイス35の動作を制限するものであれば、その他のものであってもよい。
【0118】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0119】
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0120】
1……モバイル電子機器、2……電池、3……電圧監視部、4……電源切替部、5……第1電源供給部、6……第2電源供給部、7……一時消費系デバイス群、8……定常消費系デバイス群、10……カメラシステム、11……カメラ本体、12……カメラ制御部、13……LCD、14……EVF、15……記録媒体、16……AFユニット、17……測光ユニット、18……撮像素子、19……フォーカス駆動部、20……AF/MF切替部、21……絞り駆動部、22、54……電池部、24……ハーフミラー、25……交換レンズ、26……レンズ制御部、27……フォーカスレンズ、28……絞り、30、50……電源制御部、31、32、51、52……電圧変換部、33、53……電源切替部、35……一時消費系デバイス、36……シャッタ駆動部、37……定常消費系デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定常的に電流を消費する定常消費系デバイス群と、一時的な電流消費により前記定常消費系デバイス群に比較して高い電圧を要する一時消費系デバイス群とに、電源供給可能な複数の電池と、
前記電池の電圧を監視する電圧監視部と、
前記電池のうち少なくとも1つの電源供給先を前記一時消費系デバイス群とし、前記定常消費系デバイス群としない状態から、前記電圧監視部による当該電池の所定の電圧低下の検出により、当該電池の電源供給先を前記定常消費系デバイス群に切り替える電源切替部と、
を備えるモバイル電子機器。
【請求項2】
前記電源切替部は、前記複数の電池のうちのいくつかを、前記一時消費系デバイス群、前記定常消費系デバイス群のいずれにも電源を供給しない予備電池とし、前記一時消費系デバイス群に電源供給をおこなう電池が所定の電圧に満たないことを前記電圧監視部により検出した場合、前記予備電池の電源供給先を前記一時消費系デバイス群に切り替える請求項1記載のモバイル電子機器。
【請求項3】
前記電源切替部は、前記電池のすべてについて前記電圧監視部による所定の電圧低下の検出により、前記電池のすべての電源供給先を、前記一時消費系デバイス群と前記定常消費系デバイス群の双方に切り替える請求項1または請求項2記載のモバイル電子機器。
【請求項4】
前記一時消費系デバイス群に電源を供給する前記電池が電源供給先を前記一時消費系デバイス群、前記定常消費系デバイス群の双方とする場合に、前記一時消費系デバイス群の制御条件を制限するデバイス制御部を備える請求項3記載のモバイル電子機器。
【請求項5】
前記電源切替部は、電源投入後の電圧監視部による前記電池の電圧監視の結果にもとづいて、前記電池の電源供給先を切り替えることを特徴とする請求項4記載のモバイル電子機器。
【請求項6】
前記電源切替部は、前記電圧監視部が前記一時消費系デバイス群の非作動時に検出した電圧にもとづいて、前記電池の電源供給先を切り替える請求項4記載のモバイル電子機器。
【請求項7】
定常的に電流を消費する定常消費系デバイス群と、一時的な電流消費により前記定常消費系デバイス群に比較して高い電圧を要するモータ駆動系デバイス群とに、電源供給可能な複数の電池と、
前記電池の電圧を監視する電圧監視部と、
前記電池のうち少なくとも1つの電源供給先を前記モータ駆動系デバイス群とし、前記定常消費系デバイス群としない状態から、前記電圧監視部による当該電池の所定の電圧低下の検出により、当該電池の電源供給先を前記定常消費系デバイス群に切り替える電源切替部と、
を備える撮像装置。
【請求項8】
前記モータ駆動系デバイス群に電源を供給する前記電池が電源供給先を前記モータ駆動系デバイス群、前記定常消費系デバイス群の双方とする場合に、複数のモータの同時駆動を制限するデバイス制御部を備える請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記電圧監視部による電圧検出の際に、前記モータ駆動系デバイス群の駆動を制限するデバイス制御部を備える請求項7記載の撮像装置。
【請求項10】
電源供給先を、定常的に電流を消費する定常消費系デバイス群と、一時的な電流消費により前記定常消費系デバイス群に比較して高い電圧を要する一時消費系デバイス群のうち、前記一時消費系デバイス群とし、前記定常消費系デバイス群としない電池の所定の電圧低下の検出により、前記電池の電源供給先を前記一時消費系デバイス群と前記定常消費系デバイス群の双方に切り替えるモバイル電子機器の電源制御方法。
【請求項11】
前記電池の電源供給先の切り替えとともに、前記一時消費系デバイス群の制御条件を制限する請求項10記載のモバイル電子機器の電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−63893(P2012−63893A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206213(P2010−206213)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】