説明

モータ制御装置およびモータ制御方法および記憶装置の製造方法

【課題】本発明は強制的に回転子を停止しうるモーター制御装置およびモーター制御方法に関し、DCホールレスモーターが停止直前状態となってから完全に停止するまでの時間を短縮することを課題とする。
【解決手段】U相、V相、W相の3相コイル5U,5V,5Wを有するDCホールレスモーター(DCM1)を制御装置10を用いて駆動制御するモーター制御装置において、制御装置10に、回転停止命令が入力された際にショートブレーキを掛けるショートブレーキ手段14と、逆トルク開示時を検出する第1の検出手段15と、逆トルク開示時が検出された時に逆トルクが発生するよう各コイル5U,5V,5Wに電流供給を行う逆トルク発生手段16と、DCM1が回転停止直前状態であるかどうかを検出する第2の検出手段17と、回転停止直前状態が検出された時にDCM1の回転を強制的に停止させる強制停止手段18とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータ制御装置およびモータ制御方法および記憶装置の製造方法に係り、特に強制的に回転子を停止しうるモータ制御装置およびモータ制御方法および記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハードディスク装置においては、磁気ディスクを回転させるモータとして3相DCブラシレスホールレスモーター(以下、DCMと略称する)が用いられている。このDCMは、ローター位置を検出するセンサーを持たないため、ローターの位置を検出する方法として、モータ回転にて発生するコイルU相,V相,W相の電圧をモニターし、その各相の電圧クロスポイントを検出することにより回転検出を行っている。
【0003】
通常、DCMを高速で回転させ停止させる場合、励滋をカットし各相を短絡させることにより誘起電圧を発生させるショートブレーキが用いられている。このショートブレーキは、コイルに回転方向とは逆方向のトルクを発生させるため、ブレーキを掛けることができる。
【0004】
しかしながら、ショートブレーキのみでは、回転数が落ちてくると発生電圧も落ち逆トルクはほとんど発生せず、だらだらと惰性回転を続けることとなる。そこで、一定間隔でU,V,W相の誘起電圧をモニターし、積極的に逆方向にトルクが印加されるように励磁を強制的に掛ける方法も提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平10−098894号公報
【特許文献2】特開2004−229462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ハードディスク装置は、ベースプレート,DCM,媒体(磁気ディスク),ヘッド,アクチュエーター,VCM,カバー等で構成されており、月産100万台程の大量生産に対応するため自動組立ラインを構築し対応させているのが現状である。そこで組立工程を考えると、媒体積層、媒体のDCMへのクランプ、アクチュエーター/VCM組み込み、カバーネジ締め工程に分割される。また、媒体クランプ後の組立精度測定のため、DCMを高速回転させクランプされた媒体の面触れを測定するこことが行われている。そして、精度測定が終了後、DCMは上記した手順により制動される。
【0006】
ここで、上記のような大量生産において、DCMの停止に要する時間は、組立タクトタイムの遅延化の一因となる。上記のようにDCMをショートブレーキと逆トルク印加による逆転ブレーキにより停止させることにより、これらを用いない制動方法に比べて大幅に停止時間の短縮を図ることができる。しかしながら、DCMの停止直線状態においては、前記のようにショートブレーキはほとんど作用せず、また逆転ブレーキはDCMに逆トルクを印加するものであるため、DCMを完全に停止することはできない。
【0007】
媒体クランプ後の組立精度測定が終了し、次のアクチュエーター/VCM搭載工程に媒体がクランプされたDCMを渡す際、DCMは完全に停止している必要がある。理由は、DCMが惰性回転中に次の工程に流すとプローブピン離脱時のDCMから発するサージ電圧が電極を痛めるおそれがあり、また回転慣性力による搬送姿勢が安定しない等の問題があるからである。
【0008】
従って、従来のモータ制御では、DCMを完全に停止することができないため、DCMが停止直前状態となってからDCMが完全に停止するまで時間を必要とし、組立タクトタイムのより短時間化が図れないという問題点があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、DCホールレスモーターが停止直前状態となってから完全に停止するまでの時間を短縮しうるモータ制御装置及びモータ制御方法及びハードディスクドライブの試験装置および記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項1記載の発明は、
DCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御装置において、
前記制御装置は、
前記DCホールレスモーターを制動する制動手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する検出手段と、
該検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、
U相、V相、W相の3相コイルを有するDCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御装置において、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるショートブレーキ手段と、
逆トルク開示時を検出する第1の検出手段と、
該第1の検出手段により逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行う逆トルク発生手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する第2の検出手段と、
該第2の検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、
請求項2記載のモータ制御装置において、
前記第1の検出手段は、前記回転停止命令が入力されたときからの経過時間に基づき前記逆トルク開示時を検出することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、
請求項2記載のモータ制御装置において、
前記第1の検出手段は、前記DCホールレスモーターの回転が定常回転の50%の回転になったときに逆トルク開示時と判断することを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、
請求項2記載のモータ制御装置において、
前記逆トルク開示時が検出された後、前記回転停止直前状態が検出される前までは、前記ショートブレーキ手段によるショートブレーキ処理と、前記逆トルク発生手段による逆方向のトルク発生処理と、前記3相コイルに対する電流供給を停止する惰性回転処理を交互に実施することを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、
U相、V相、W相の3相コイルを有するDCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御方法において、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるステップと、
逆トルク開示時を検出するステップと、
該逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行うステップと、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出するステップと、
前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させるステップとを有することを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項7記載の発明は、
被試験体となるハードディスクを試験時に回転させるDCホールレスモーターと、
前記DCホールレスモーターを駆動制御する制御装置とを有するハードディスクドライブの試験装置において、
前記モータ制御装置は、
前記DCホールレスモーターを制動する制動手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する検出手段と、
該検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項8記載の発明は、
U相、V相、W相の3相コイルを有し、被試験体となるハードディスクを試験時に回転させるDCホールレスモーターと、
前記DCホールレスモーターを駆動制御する制御装置とを有するハードディスクドライブの試験装置において、
前記モータ制御装置は、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるショートブレーキ手段と、
逆トルク開示時を検出する第1の検出手段と、
該第1の検出手段により逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行う逆トルク発生手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する第2の検出手段と、
該第2の検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項9記載の発明は、
モータにより記録媒体を回転させる記憶装置の製造方法において、その工程中に、
前記モータを回転させるステップと、
前記モータに対するショートブレーキ処理を行うステップと、
前記モータの回転速度が第一の所定値以下となった場合に、前記モータに逆トルクを発生させるように前記モータを励磁させるステップと、
前記モータの回転速度が前記第一の所定値より小さい第二の所定値以下となった場合に、前記モータの回転を強制的に停止させるステップと、
前記モータが停止した記憶装置に対して処理を施すステップと、を備含むことを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項10記載の発明は、
複数の励磁相を有するモータの駆動制御方法において、
モータの回転中に、各励磁相を短絡させるステップと、
モータの回転数が第一の所定値に達したときにモータを励磁して、逆回転方向へのトルクを発生させるステップと、
モータの回転数が前記第一の所定値よりも小さい第二の所定値に達したときに、特定の励磁パターンに対する所定時間継続する強制励磁を行うステップとを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、回転停止直前状態が検出されたとき、DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させるため、DCホールレスモーターを停止するのに要する時間を短くすることができ、これをハードディスクドライブの試験装置に用いた場合には組立タクトタイムの短時間化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施例であるモータ制御装置の構成図である。以下の説明では、モータ制御装置をハードディスク装置の媒体クランプ後の組立精度測定に用いた例について説明する。
【0024】
本実施例では、モータとして3相DCブラシレスホールレスモーター1(以下、DCMと略称する)を用いている。このDCM1は、図2に模式的に示すように3相6極モータであり、ローター3に6極の永久磁石が配置されると共に、その内部に配設されたステーター4に3相(3相の励磁相)の駆動コイル5U,5V,5Wが配設されている。
【0025】
また、この駆動コイル5U,5V,5Wを励磁するには、図3に示す6つの励磁パターン(P1〜P6)がある。制御装置10(後述する)は、各駆動コイル5U,5V,5Wに対して供給する励磁電流を適宜切り替え、これによりモータが起動され定常回転に達するよう構成されている。
【0026】
前記したように、本実施例ではDCM1をハードディスク装置の媒体クランプ後の組立精度測定に用いているため、DCM1には複数の磁気ディスク2がクランプされている。尚、図5は、磁気ディスク2がクランプされたDCM1の外観図である。同図に示される状態で組立精度測定(DCM1を回転させた状態における、クランプされた磁気ディスク2の面触れの測定)が実施される。
【0027】
また、ホールレスモーターであるDCM1は、回転検出用のホール素子を有しないため低コスト化を図れるが、直接的にローター3の位置を検出することができない。そこで、DCM1は、ローター3の位置を検出する方法として、モータ回転にて駆動コイル5U,5V,5Wに発生する電圧をモニターし、その各相の電圧クロスポイントを検出することにより回転検出を行っている。
【0028】
上記構成とされたDCM1は、制御装置10により駆動制御される。図4は、制御装置10のハード構成図である。制御装置10はマイクロコンピュータにより構成されており、演算処理装置20、メモリ装置21、および入力装置22等を有している。メモリ装置21には後述する制動処理プログラムが格納されており、この制動処理プログラムを実行することにより、演算処理装置20はDCM1に対して制動処理を実施する。また、入力装置22は、後述する回転停止命令を入力する際に使用する。演算処理装置20が生成するDCM1の駆動信号及び制動信号は、バスライン23を介してドライバ11に送信され、ドライバ11を介してDCM1は駆動制御及び制動処理される。
【0029】
図1は、制御装置10の機能構成図である。制御装置10は、大略すると制動装置11、モータ駆動部12、第2の検出部16、及び強制停止部17等を有したシステム構成とされている。これらの各構成部11,12,16,17は、演算処理装置20がメモリ装置21に格納されたプログラムに基づき実施するソフトウェア処理として実現される。
【0030】
モータ駆動部12は、DCM1を定常回転させる処理を行う。具体的には、定常回転数に相関した励磁切り替え信号に基づき、モータ駆動手段12は各駆動コイル5U,5V,5Wに対して励磁電流を選択的に供給し、これによりDCM1は定常回転数の駆動行う。ここでの定常回転数は、磁気ディスク2に対して組立精度測定を行うときの所定回転数である。尚、モータ駆動部12によるDCM1の定常回転処理は周知の処理であるため、この処理の詳細説明は省略するものとする。
【0031】
制動装置11は、ショートブレーキ実施部13、第1の検出部14、及び逆トルク発生部15等を有した構成とされている。ショートブレーキ実施部13は、図6に示すように、駆動コイル5U,5V,5Wを全て導通状態(電源またはGNDにショートする)にし、DCM1の自己発電電力によりモータの回転を停止させるものである。このショートブレーキ手段14は、入力装置22から回転停止命令が入力されることにより起動する構成とされている。
【0032】
逆トルク発生手段16は、駆動コイル5U,5V,5Wに対して逆転トルクを発生させるよう電流を供給することにより、DCM1を制動するものである(以下、この制動を逆トルクモードブレーキという)。この逆トルク発生手段16は、第1の検出手段15によりDCM1の回転数が定常回転数の50%の回転数になったときに起動する構成とされている。尚、逆転トルクの印加時間は、フェーズ信号生成手段19により生成されるフェーズ信号に基づき決定されるが、詳細については後述するものとする。
【0033】
強制停止手段18は、第2の検出手段17によりDCM1の回転数が停止直前状態(例えば、27.12rpm以下)となった場合に、前記したP1〜P6の6つの励磁パターンのいずれか一つのパターン(例えば、P3:U→V)に一定時間強制的に電流を流して励磁し、これによりDCM1の回転を強制的に停止させるものである。ここでの強制制動時間(強制励磁時間)は、例えば数百msec程度である。
【0034】
続いて、上記構成とされた制御装置10のDCM1を停止させる際の制動処理について、主に図7及び図8を用いて説明する。図7は、制御装置10により制動処理が開始された後のDCM1の回転数の時間的変化を示している。また、図8は、制御装置10が実視する制動処理を示すフローチャートである。
【0035】
先ず、図7を用いて制御装置10が実施するDCM1の制動処理の基本処理について説明する。制御装置10が実施する制動処理は、3つの処理モードを有している。この3つの処理モードは、ショートブレーキモードM1、逆トルクモードM2、及び強制停止モードM3である。
【0036】
ショートブレーキモードM1は、回転停止命令が行われた時刻T1から、DCM1の回転数が定常回転数N1の40〜50%の回転数N2(本実施例では、50%としている)まで低下した時刻T2までのモードである。DCM1の回転数が定常回転数N1の40〜50%となったことは、第1の検出手段15により検出される。
【0037】
また逆トルクモードM2は、DCM1の回転数がN1となった時刻T2から、停止直前状態の回転数M3(例えば、27.12rpm以下)まで低下した時刻T3までのモードである。DCM1の回転数が停止直前状態の回転数M3となったことは、第2の検出手段17により検出される。
【0038】
更に、強制停止モードM3は、DCM1の回転数がN3となった時刻T3から、DCM1が停止した時刻T4までのモードである。
【0039】
上記したショートブレーキモードM1では、演算処理装置20はショートブレーキ手段14のみを起動し、よってDCM1はショートブレーキのみで制動される。これは、前記ようにショートブレーキはDCM1の自己発電電力によりモータの回転を停止させるものであるため、DCM1の回転数が速い場合に効率の良い制動を行うことができる。このため、回転停止命令が行われた直後のモータ回転数が速い状態においては、ショートブレーキのみで制動する構成としている。
【0040】
続いて実施される逆トルクモードM2では、本実施例ではショートブレーキ手段14によるショートブレーキと、逆トルク発生手段16による逆トルクモードブレーキとを併用する構成としている。このように、DCM1の回転数が低下してきた時点で逆トルク発生手段16を起動するのは、DCM1の回転数が速い時点で逆トルク発生手段16を起動すると、大きな騒音を発生すると共に高い発熱が生じるためである。しかしながら、逆トルク発生手段16による逆トルクモードブレーキは、DCM1の回転数に影響を受けることなく一定の制動力を維持できるため、逆トルクモードM2のようにDCM1の回転数が遅くなってきたときには有効である。
【0041】
続いて、実施される強制停止モードM3では、強制停止手段18により前記したP1〜P6の6つの励磁パターンのいずれか一つのパターン(例えば、P3:U→V)に一定時間強制的に電流を流す。いま、図2に示す駆動コイル5U−1から駆動コイル5V−1に電流を流し、これにより駆動コイル5U−1側がS極に励磁し、駆動コイル5V−1がN極に励磁したとすると、低回転数で回転していたローター3は磁力の吸引力により強制的に停止される。
【0042】
次に、上記した基本処理に基づいた図8に示す制動処理について説明する。
【0043】
演算処理装置20は、ステップ10(図では、ステップをSと略称する)において、入力装置22から回転停止命令が入力されたかどうかを監視する。ステップ10で回転停止命令を受信すると、演算処理装置20はモータ駆動手段12による定常回転処理を中止する共に、ショートブレーキ手段14を起動する。これにより、制御装置10はショートブレーキモードM1となる。
【0044】
ショートブレーキモードM1となると、前記のように演算処理装置20は駆動コイル5U,5V,5Wを短絡し、これによりDCM1にショートブレーキによる制動が開始される(ステップ12)。また、演算処理装置20は、ステップ10により回転停止命令が入力されたと判断された時刻T1からの時間を計測する(ステップ14)。
【0045】
演算処理装置20は、ショートブレーキ手段14で計測される時間を監視し、DCM1の回転数が定常回転数N1の50%の回転数N2(N2=N1/2)となる所定時間が経過したどうかを判断する(ステップ16)。この所定時間は、実験等により予め求められた値であり、メモリ装置21に格納されている。尚、このステップ16は、図1における第1の検出手段15に対応するものである。
【0046】
ここで、本実施例でDCM1の回転数を直接計測することなく、回転停止命令が出された時刻T1からの時間で50%の回転数N2の判断を行っているのは次の理由による。即ち、前期のようにホールレスモーターであるDCM1では、ローター3の位置を検出する方法として、モータ回転に伴い駆動コイル5U,5V,5Wに発生する電圧をモニターすることにより行っているが、全ての駆動コイル5U,5V,5Wを短絡させると、この電圧をモニターすることができなくなってしまうからである。
【0047】
尚、DCM1の回転数がN2となったことの判断は、上記した本実施例の処理に限定されるものではなく、DCM1の回転数を検知しうる他の信号を用いて実施する等、他の検出手段を用いる構成としてもよい。
【0048】
一方、ステップ16で、演算処理装置20がDCM1の回転数がN2となる所定時間が経過したと判断すると、換言するとDCM1の回転数が定常回転数N1の50%の回転数N2になったと判断すると、制御装置10は逆トルクモードM2に切り替わる。
【0049】
具体的には、ステップ16で肯定判断(YESの判断)がされると、処理はステップ18に進み、演算処理装置20は130msec間隔の割り込み処理を開始する。演算処理装置20は、ステップ20で130msec間隔の割り込みの有無を監視し、130msec間隔の割り込みがあったと判断すると処理をステップ22に進める。
【0050】
ステップ22では、演算処理装置20はDCM1の回転をコーストモードとする。このコーストモードとは、駆動コイル5U,5V,5Wの全てを電気的に開放(オープン)とし、メモリ装置21を慣性回転させるモードをいう。尚、このコーストモードにおけるDCM1の回転をコースト回転というものとする。
【0051】
続くステップ24では、フェーズ(PHASE)信号パルスのハイレベル幅の時間を計測し、これを速度検出時間(a)とする。ここで、フェーズ信号とはDCM1の回転制御を行うのに用いられる信号であり、フェーズ信号生成手段19で生成されるものである。
【0052】
具体的には、フェーズ信号生成手段19はDCM1の逆起電力(即ち、駆動電流が流されていない駆動コイル5U,5V,5Wがコースト回転することにより発生する起電力)を各相U,V,Wでモニターし、これに基づきフェーズ信号を生成する。このフェーズ信号は矩形の信号であり、3相6極のDCM1の場合には、モータ1回転で3パルスが生成される構成となっている。
【0053】
続くステップ26では、DCM1の回転状態が停止直前状態であるかどうかが判断される。この停止直前状態の検出処理は、励磁切り替え信号により判断される。これについて、図10及び図11を用いて説明する。励磁切り替え信号は、駆動コイル5U,5V,5Wに対して駆動電流を供給するタイミングを決定する信号であり、図示しない回転制御用ICのレジスタから供給されるものである。
【0054】
この励磁切り替え信号は、DCM1がコースト回転している時及び逆励磁が行われているときにポーリングされるものであり、駆動コイル5U,5V,5Wが短絡されるショートブレーキ実施時にはポーリングされない。また、励磁切り替え信号はDCM1の回転角速度に相関しており、励磁切り替え信号の間隔が短いほどDCM1の回転角速度は速く、逆に励磁切り替え信号の間隔が長いほどDCM1の回転角速度は遅くなる。よって、励磁切り替え信号に基づき、DCM1の回転状態を検出することが可能となる。
【0055】
本実施例では、検出基準時間TINTを122,88msecに設定し、この検出基準時間TINT内に励磁切り替え信号が2回以上発生した場合には、DCM1は停止直前状態の回転速度(例えば、27.12rpm)よりも速く、停止直前状態ではないと判断する構成とした。また逆に、検出基準時間TINT内に励磁切り替え信号が1回以下しか発生しない場合には、DCM1は停止直前状態の回転速度(例えば、27.12rpm)よりも遅く、よってDCM1は停止直前状態であると判断する構成とした。
【0056】
従って、ステップ26で否定判断(NOの判断)がされた場合には、演算処理装置20はDCM1が停止直前状態に至っていないと判断し逆トルクモードM2モードを維持する。尚、このステップ26は、図1に示した第2の検出手段17に対応するものである。
【0057】
ステップ26で否定判断がされると、処理はステップ28に進み、励磁切り替え位置の検出が行われる。この励磁切り替え位置は、励磁切り替え信号に基づき判断される。即ち、逆トルクモードM2においては、前記した図示しない回転制御用ICのレジスタから供給される励磁切り替え信号は、逆トルクモードM2に対応した信号となっている。
【0058】
また、この逆トルクモードM2に対応した励磁切り替え信号には、逆トルク発生手段16の起動タイミング位置に逆励磁位置検出信号(例えば、DCM1を正転させる信号の中に入れ込まれた逆転させる信号等)が組み込まれている。本実施例では、図9に矢印Aで示す励磁切り替え信号が逆励磁位置検出信号となる。尚、図9は、(A)検出タイミング、(B)フェーズ信号、(C)励磁切り替え、(D)制動処理を同一時間軸で示したタイミングチャートである。
【0059】
演算処理装置20は、上記の逆励磁位置検出信号の出力を検知すると処理をステップ30に進める。ステップ30では、演算処理装置20は逆トルク発生手段16を起動してDCM1に対して逆トルクモードブレーキを掛ける。具体的には、ステップ24で求めた速度検出時間(a)に基づき逆励磁時間(逆トルクモードブレーキを掛ける時間)を演算し、この逆励磁時間だけDCM1に対して逆トルクが印加されるよう駆動コイル5U,5V,5Wに対して電流が流れる。
【0060】
この際、本実施例では逆励磁時間TをT=a×0.75で求めている。前記したように、速度検出時間(a)はDCM1の回転状態に対応した時間であるため、よって逆トルクモードブレーキもDCM1の回転状態に対応した時間だけ実施されることとなる。続くステップ32では、演算処理装置20はショートブレーキ手段14を起動し、DCM1に対して所定時間にわたりショートブレーキを掛ける。
【0061】
従って本実施例では、図9に示されるように、130msec毎の検出タイミング信号が出力される毎に、コースト回転、逆トルクモードブレーキ、ショートブレーキを繰り返し実施する。このように、逆トルクモードM2で実施されるステップ28〜32の処理により、図7に示すようにDCM1の回転数N(回転角速度)は低減する。
【0062】
そして、ステップ26において、DCM1が停止直前状態になったと判断されると処理はステップ34に進み、演算処理装置20は制御装置10を強制停止モードM3に切り替える。
【0063】
このステップ34では、演算処理装置20はある励磁パターンで強制的な励磁を行う。具体的には、前記したP1〜P6の6つの励磁パターン(図3参照)のいずれか一つのパターン(例えば、P3:U→V)に一定時間強制的に電流を流して励磁する。これにより、低速(停止直前状態)で回転していたローター3は、内設された永久磁石の極が駆動コイル5U,5Vが生成する磁界の極性に対して安定した状態(N極とS極が対向する状態)で停止する。ここでの強制制動時間(時刻T3から時刻T4までの時間)は、例えば数百msec程度である。
【0064】
このように本実施例では、回転停止直前状態が検出されたときに強制停止手段18を起動してDCM1の回転を強制的に停止させるため、DCM1を停止するのに要する時間を短くすることができる。
【0065】
具体的には、従来のように強制停止手段18を有していない場合には、図7に破線で示すように、DCMが回転停止直前状態となった後もローター3は低速回転を維持するため、回転停止直前状態となった時刻T3から完全にDCMが停止する時刻T5まで長い時間を必要とした。
【0066】
これに対して本実施例によれば、回転停止直前状態となった時刻T3から完全にDCM1が停止する時刻T4までを短くすることができる。よって、DCM1を短時間で定常回転から停止させることが可能となる。また本実施例のように、制御装置10をハードディスクドライブの試験装置に用いることにより、ハードディスクドライブの組立タクトタイムの短時間化を図ることが可能となる。
【0067】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
DCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御装置において、
前記制御装置は、
前記DCホールレスモーターを制動する制動手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する検出手段と、
該検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするモータ制御装置。(付記2)
U相、V相、W相の3相コイルを有するDCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御装置において、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるショートブレーキ手段と、
逆トルク開示時を検出する第1の検出手段と、
該第1の検出手段により逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行う逆トルク発生手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する第2の検出手段と、
該第2の検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするモータ制御装置。
(付記3)
前記第1の検出手段は、前記回転停止命令が入力されたときからの経過時間に基づき前記逆トルク開示時を検出することを特徴とする付記2記載のモータ制御装置。
(付記4)
前記第1の検出手段は、前記DCホールレスモーターの回転が定常回転の50%の回転になったときに逆トルク開示時と判断することを特徴とする付記2記載のモータ制御装置。(付記5)
前記逆トルク開示時が検出された後、前記回転停止直前状態が検出される前までは、前記ショートブレーキ手段によるショートブレーキ処理と、前記逆トルク発生手段による逆方向のトルク発生処理と、前記3相コイルに対する電流供給を停止する惰性回転処理を交互に実施することを特徴とする付記2記載のモータ制御装置。
(付記6)
前記強制停止手段は、前記U相、V相、W相の3相コイルの内のいずれか2相のコイルを強制励磁することにより、前記DCホールレスモーターの回転を停止させることを特徴とする付記2記載のモータ制御装置。
(付記7)
前記第2の検出手段は、前記3相コイルに選択的に電流供給を行うのに用いる電流切換信号の間隔が既定間隔時間よりも長くなったとき、前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であると検出することを特徴とする付記2記載のモータ制御装置。
(付記8)
U相、V相、W相の3相コイルを有するDCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御方法において、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるステップと、
逆トルク開示時を検出するステップと、
該逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行うステップと、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出するステップと、
前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させるステップとを有することを特徴とするモータ制御方法。
(付記9)
前記逆トルク開示時を検出する際、前記回転停止命令が入力されたときからの経過時間に基づき前記逆トルク開示時を検出することを特徴とする付記8記載のモータ制御方法。
(付記10)
前記逆トルク開示時を検出する際、前記DCホールレスモーターの回転が定常回転の50%の回転になったときに逆トルク開示時と判断することを特徴とする付記8記載のモータ制御方法。
(付記11)
前記逆トルク開示時が検出された後、前記回転停止直前状態が検出される前までは、ショートブレーキ処理と、逆方向のトルク発生処理と、前記3相コイルに対する電流供給を停止する惰性回転処理とを交互に実施することを特徴とする付記8記載のモータ制御方法。
(付記12)
前記強制停止を行う際、前記U相、V相、W相の3相コイルの内のいずれか2相のコイルを強制励磁することにより、前記DCホールレスモーターの回転を停止させることを特徴とする付記8記載のモータ制御方法。
(付記13)
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する際、前記3相コイルに選択的に電流供給を行うのに用いる電流切換信号の間隔が既定間隔時間よりも長くなったとき、前記回転停止直前状態であると検出することを特徴とする付記8記載のモータ制御方法。
(付記14)
被試験体となるハードディスクを試験時に回転させるDCホールレスモーターと、
前記DCホールレスモーターを駆動制御する制御装置とを有するハードディスクドライブの試験装置において、
前記モータ制御装置は、
前記DCホールレスモーターを制動する制動手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する検出手段と、
該検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするハードディスクドライブの試験装置。
(付記15)
U相、V相、W相の3相コイルを有し、被試験体となるハードディスクを試験時に回転させるDCホールレスモーターと、
前記DCホールレスモーターを駆動制御する制御装置とを有するハードディスクドライブの試験装置において、
前記モータ制御装置は、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるショートブレーキ手段と、
逆トルク開示時を検出する第1の検出手段と、
該第1の検出手段により逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行う逆トルク発生手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する第2の検出手段と、
該第2の検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするハードディスクドライブの試験装置。
(付記16)
モータにより記録媒体を回転させる記憶装置の製造方法において、その工程中に、
前記モータを回転させるステップと、
前記モータに対するショートブレーキ処理を行うステップと、
前記モータの回転速度が第一の所定値以下となった場合に、前記モータに逆トルクを発生させるように前記モータを励磁させるステップと、
前記モータの回転速度が前記第一の所定値より小さい第二の所定値以下となった場合に、前記モータの回転を強制的に停止させるステップと、
前記モータが停止した記憶装置に対して処理を施すステップと、を備含むことを特徴とする記憶装置の製造方法。
(付記17)
複数の励磁相を有するモータの駆動制御方法において、
モータの回転中に、各励磁相を短絡させるステップと、
モータの回転数が第一の所定値に達したときにモータを励磁して、逆回転方向へのトルクを発生させるステップと、
モータの回転数が前記第一の所定値よりも小さい第二の所定値に達したときに、特定の励磁パターンに対する所定時間継続する強制励磁を行うステップと、を備えたことを特徴とするモータの駆動制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施例であるモータ制御装置の機能構成図である。
【図2】3層6極のDCMの構造を示す図である。
【図3】DCMの励磁パターンを説明するための図である。
【図4】制御装置のハード構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例であるハードディスクドライブの試験装置の要部外観図である。
【図6】逆トルクモードを説明するためのブロック図である。
【図7】制動処理時におけるモータ回転数と制動モードとの関係を示す図である。
【図8】本発明の一実施例であるモータ制御処理を示すフローチャートである。
【図9】ショートブレーキモードにおける、検出タイミング、フェーズ信号、励磁切り替え、および制動処理を比較して示すタイミングチャートである。
【図10】逆トルクモードから強制停止モードへの切り替えタイミングを説明するためのタイミングチャートであり、強制停止前の状態を示す図である。
【図11】逆トルクモードから強制停止モードへの切り替えタイミングを説明するためのタイミングチャートであり、強制停止開始時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 DCM
2 磁気ディスク
5U,5V,5W 駆動コイル
10 制御装置
11 制動装置
12 モータ駆動部
13 ショートブレーキ実施部
14 第1の検出部
15 逆トルク発生部
16 第2の検出部
17 強制停止部
18 フェーズ信号生成手段
20 演算処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御装置において、
前記制御装置は、
前記DCホールレスモーターを制動する制動手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する検出手段と、
該検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
U相、V相、W相の3相コイルを有するDCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御装置において、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるショートブレーキ手段と、
逆トルク開示時を検出する第1の検出手段と、
該第1の検出手段により逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行う逆トルク発生手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する第2の検出手段と、
該第2の検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項3】
前記第1の検出手段は、前記回転停止命令が入力されたときからの経過時間に基づき前記逆トルク開示時を検出することを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記第1の検出手段は、前記DCホールレスモーターの回転が定常回転の50%の回転になったときに逆トルク開示時と判断することを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記逆トルク開示時が検出された後、前記回転停止直前状態が検出される前までは、前記ショートブレーキ手段によるショートブレーキ処理と、前記逆トルク発生手段による逆方向のトルク発生処理と、前記3相コイルに対する電流供給を停止する惰性回転処理を交互に実施することを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
【請求項6】
U相、V相、W相の3相コイルを有するDCホールレスモーターを制御装置を用いて駆動制御するモータ制御方法において、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるステップと、
逆トルク開示時を検出するステップと、
該逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行うステップと、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出するステップと、
前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させるステップとを有することを特徴とするモータ制御方法。
【請求項7】
被試験体となるハードディスクを試験時に回転させるDCホールレスモーターと、
前記DCホールレスモーターを駆動制御する制御装置とを有するハードディスクドライブの試験装置において、
前記モータ制御装置は、
前記DCホールレスモーターを制動する制動手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する検出手段と、
該検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするハードディスクドライブの試験装置。
【請求項8】
U相、V相、W相の3相コイルを有し、被試験体となるハードディスクを試験時に回転させるDCホールレスモーターと、
前記DCホールレスモーターを駆動制御する制御装置とを有するハードディスクドライブの試験装置において、
前記モータ制御装置は、
回転停止命令が入力された際、ショートブレーキを掛けるショートブレーキ手段と、
逆トルク開示時を検出する第1の検出手段と、
該第1の検出手段により逆トルク開示時が検出されたとき、回転方向と逆方向のトルクが発生するよう前記3相コイルに電流供給を行う逆トルク発生手段と、
前記DCホールレスモーターが回転停止直前状態であるかどうかを検出する第2の検出手段と、
該第2の検出手段により前記回転停止直前状態が検出されたとき、前記DCホールレスモーターの回転を強制的に停止させる強制停止手段とを有することを特徴とするハードディスクドライブの試験装置。
【請求項9】
モータにより記録媒体を回転させる記憶装置の製造方法において、その工程中に、
前記モータを回転させるステップと、
前記モータに対するショートブレーキ処理を行うステップと、
前記モータの回転速度が第一の所定値以下となった場合に、前記モータに逆トルクを発生させるように前記モータを励磁させるステップと、
前記モータの回転速度が前記第一の所定値より小さい第二の所定値以下となった場合に、前記モータの回転を強制的に停止させるステップと、
前記モータが停止した記憶装置に対して処理を施すステップと、を備含むことを特徴とする記憶装置の製造方法。
【請求項10】
複数の励磁相を有するモータの駆動制御方法において、
モータの回転中に、各励磁相を短絡させるステップと、
モータの回転数が第一の所定値に達したときにモータを励磁して、逆回転方向へのトルクを発生させるステップと、
モータの回転数が前記第一の所定値よりも小さい第二の所定値に達したときに、特定の励磁パターンに対する所定時間継続する強制励磁を行うステップと、を備えたことを特徴とするモータの駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−252058(P2007−252058A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70398(P2006−70398)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】