説明

ユニット着脱用台車

【課題】大型化するユニットに対し、メンテナンスのための着脱を容易に行うことができ、かつ、ユニットの落下を防止すること。
【解決手段】画像形成装置に着脱可能に保持されるユニットを着脱するために用いられる、前記画像形成装置に連結可能なユニット着脱用台車であって、前記ユニットを載置する載置台と、前記載置台上に載置された前記ユニットを固定するユニット固定手段と、前記載置台上に載置された前記ユニットが前記ユニット固定手段により固定されていないときに前記画像形成装置との連結を阻止する連結阻止手段と、を有し、前記載置台上に載置された前記ユニットが、前記ユニット固定手段により固定されることにより、前記連結阻止手段による前記画像形成装置との連結の阻止状態が解除されることを特徴とするユニット着脱用台車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置にユニットを着脱するためのユニット着脱用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より高画質な画像をより高速に画像形成する画像形成装置が望まれてきているが、それに伴い、画像形成装置を構成するいくつかのユニットにおいても定期的なメンテナンスや交換を要する部品が増えている。また、高画質で高速処理が可能な画像形成装置は、軽印刷装置として用いられる傾向にある。該画像形成装置が、軽印刷装置として用いられる場合、画像形成装置に対して、定期的なメンテナンスや部品交換をユーザが容易に行えるような、ダウンタイムの軽減を可能とする構成であることが要求される傾向が強まっている。
【0003】
一方、画像形成装置の高速化や高機能化、及び用紙サイズの多様化等により、ユニットが大型化して質量も大きくなってきており、質量の大きなユニットを画像形成装置に着脱する作業は労力を要するとともにユニットの落下等の危険も伴う。
【0004】
画像形成装置を構成するユニットの1つとして、例えば、加熱方式を用いた定着装置がある。定着装置をメンテナンスや修理のために画像形成装置に着脱する際に、昇降可能な載置台を備えた排紙部を兼用の台車とし、載置台に定着装置を載置して着脱を行うという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術は、高温に加熱された定着装置を素早くかつ安全に着脱するための構成を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−122765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、特許文献1に記載される定着装置等のユニットが大型化して質量も大きくなるような場合には、用紙を搭載して昇降する載置台周辺機構部の強度を増加させる必要が生じ、昇降の駆動源となるモータ等の容量も大きくしなければならないという問題がある。また、排紙部として用紙を排紙する機能と、定着装置を載置して着脱する機能との2つの機能を有する構成とするために、機構が複雑になるという問題もある。更に、特許文献1に開示された技術においては、ユニット落下の危険に対する対策についての記載はない。
【0007】
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、大型化するユニットに対し、メンテナンスのための着脱を容易に行うことができ、かつ、ユニットの落下を防止することが可能なユニット着脱用台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0009】
1.画像形成装置に着脱可能に保持されるユニットを着脱するために用いられる、前記画像形成装置に連結可能なユニット着脱用台車であって、
前記ユニットを載置する載置台と、
前記載置台上に載置された前記ユニットを固定するユニット固定手段と、
前記載置台上に載置された前記ユニットが前記ユニット固定手段により固定されていないときに前記画像形成装置との連結を阻止する連結阻止手段と、
を有し、
前記載置台上に載置された前記ユニットが、前記ユニット固定手段により固定されることにより、前記連結阻止手段による前記画像形成装置との連結の阻止状態が解除されることを特徴とするユニット着脱用台車。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るユニット着脱用台車を用いることにより、大型化して質量も大きくなるユニットに対し、メンテナンスのための画像形成装置からの着脱が容易となるとともに、着脱時におけるユニット落下の危険を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のユニット着脱用台車10を適用しうるユニットCを備えた画像形成装置Aの実施の形態を示す全体構成図である。
【図2】本発明に係るユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの外観斜視図である。
【図3】本発明に係るユニット着脱用台車10の第1の実施形態についての構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【図4】本発明に係るユニット着脱用台車10の第1の実施形態にユニットCを載置し、画像形成装置に装着させるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係るユニット着脱用台車10の第2の実施形態についての構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【図6】本発明に係るユニット着脱用台車10の第2の実施形態にユニットCを載置し、画像形成装置に装着させるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のユニット着脱用台車に係る実施形態の構成及び動作について説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明のユニット着脱用台車10を適用しうるユニットCを備えた画像形成装置Aの実施の形態を示す全体構成図であり、図2は、本発明に係るユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの外観斜視図である。
【0014】
始めに、本発明のユニット着脱用台車10を用いて、ユニットCが着脱される画像形成装置Aについて図1を用いて説明する。
【0015】
[画像形成装置A]
図1において、画像形成装置Aは、回転する像担持体1の周囲に、帯電手段2、像露光手段(書き込み手段)3、現像手段4、転写手段5A、除電手段5B、及びクリーニング手段6を配置した画像形成部を有する。像担持体1への画像形成は、帯電手段2によって像担持体1の表面に一様帯電を行った後に、像露光手段3のレーザビームによって原稿から読み取られた画像データに基づく露光走査を行うことにより潜像が形成される。その潜像を現像手段4により反転現像することにより、像担持体1の表面にトナー像が形成される。
【0016】
一方、記録紙収納手段7Aに収容された記録紙Sは、給紙手段7Bにより給紙され転写位置へと送られる。転写位置において転写手段5Aにより前記トナー像が記録紙S上に転写される。その後に、記録紙Sは除電手段5Bにより裏面の電荷が消去され、像担持体1から分離され、中間搬送手段7Cにより搬送され、引き続き、本発明に係るユニットとしての定着手段Cにより加熱定着され、排紙手段7Dにより、図示しない排紙皿に排出される。
【0017】
記録紙Sの両面に画像形成を行う場合には、定着手段Cにより加熱定着された記録紙Sを、搬送路切り換え板7Eにより通常の排紙通路から分岐し、反転搬送手段7Fにおいてスイッチバックして表裏反転して裏面に画像形成し、排紙手段7Dにより排出する。定着手段Cは部品交換等のメンテナンスの際に、画像形成装置Aの前扉Tを開放することにより、正面からの着脱が可能に構成されている。
【0018】
画像形成装置Aの上部前面側には、画像形成に関するジョブ情報を入力可能な操作部9が配置されている。操作部9から入力されたジョブ情報により、画像形成装置Aにおける画像形成がなされる。また、操作部9には画像形成装置Aの各種の動作モードを選択するボタンや画像形成装置Aの状態を表す表示が備えられている。
【0019】
画像形成装置Aの上部には、原稿移動型読み取り方式の自動原稿送り装置を備えた画像読み取り装置Bが設置されている。
【0020】
[ユニット着脱用台車]
図2において、本発明に係るユニット着脱用台車10は、画像形成装置Aを構成する着脱可能な定着装置等のユニットCを画像形成装置Aから着脱する際に用いられる台車である。例えば、図2に示す画像形成装置Aの正面から着脱されるユニットCについては、画像形成装置Aの前扉Tを開放し、ユニット着脱用台車10を、着脱するユニットCの直前に配置することにより、着脱が可能となる。
【0021】
ユニット着脱用台車10は、ユニットCを載置する載置台11、ガイド部材17a、17b、支柱12、底板13、キャスター14、固定位置決め部材25b等からなる。ユニットCを載置する載置台11の上面には、固定位置決め部材25b、ガイド部材17a、17b等が配設される。固定位置決め部材25bについては後述する(図3参照)。ユニット着脱用台車10の底部を構成する底板13には複数のキャスター14が配設されている。キャスター14により移動されるユニット着脱用台車10は、画像形成装置Aに対して、図示しないガイドピン等を用いたガイド手段により位置決めされ、図示しない連結手段により連結される。ユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結により、ユニットCは、ユニット着脱用台車10に移動可能となり、ガイド部材17a、17bによりガイドされて載置台11上の後述する定位置に載置され、固定される。
【0022】
その後、ユニット着脱用台車10は画像形成装置Aから引き離され、ユニット着脱用台車10上で部品交換等のメンテナンス作業が行われる。
【0023】
ユニットCをユニット着脱用台車10に載置し、画像形成装置Aに装着する手順は、上記のユニットC取り外しの手順と逆になるが、詳しい手順については後述する。
【0024】
図3は、本発明に係るユニット着脱用台車10の第1の実施形態についての構成及び動作について説明するための概略構成図である。図3は、ユニットCがユニット着脱用台車10内に載置され、ユニット着脱用台車10が画像形成装置Aに連結された状態を示す。
【0025】
図3(a)は、ユニット着脱用台車10の全体の構成及び動作を説明するための概略構成図であり、図3(b)は、図3(a)のA部の斜視図である。
【0026】
図3において、固定位置決め部材25bが取り付けられているユニット着脱用台車10の載置台11の前面(図の紙面表側)には、溝カム11aが形成されており、溝カム11aにはカムピン23が係合し、カムピン23は溝に沿って移動可能に保持されている。また、載置台11には、連結阻止板21、連結阻止板用ばね22、カムピン23、及びカムピン用ばね24等が取り付けられている。符号のA1は、画像形成装置Aに固設される連結阻止ピンである。本発明に係る連結阻止手段は、連結阻止板21及び連結阻止ピンA1等からなる。
【0027】
連結阻止板21は、例えばL型に曲がる板状部材からなり、L型の短い側に連結阻止ピンA1に当接して連結を阻止する連結阻止面21b、L型の長い側にU字型溝21cを備える係合部21a、を有している。また連結阻止板21には2つのスライドピン211が固設されており、このスライドピン211は、載置台11に形成される図示しない上下方向に延びる長溝に嵌合されている。更に、連結阻止板21の連結阻止面21bの先端近傍には、連結阻止板用ばね22の一方の端部が取り付けられており、もう一方の端部は載置台11の下方に取り付けられて、連結阻止板21を下方に付勢している。この構成により、連結阻止板21は、上下方向(図3(b)のy方向)に摺動自在に配設される。
【0028】
カムピン23には、溝カム11aに嵌合する溝カム嵌合部23a、溝カム嵌合部23aから直角に延びるU字型溝係合部23b、及び連結阻止板21を押し上げる鍔状の連結阻止板押し上げ部23c、等が形成されている。また、U字型溝係合部23bの先端にはユニットCを固定する可動位置決め部材25aが取り付けられている。
【0029】
溝カム11aは上下方向と左右方向との2方向に延びるL字型に形成されており、溝部のそれぞれの端部には、上下方向での端部11a1、及び左右方向での端部11a2、の2つの端部が形成されている。溝カム11aに挿入されるカムピン23は、溝カム11aに沿って端部11a1と端部11a2との2つの端部の間を移動可能に配設される。また、カムピン23は、カムピン用ばね24により図3の斜め右下方向に付勢されている。この付勢によりカムピン23は溝カム11aの溝部に沿って端部11a1、又は端部11a2のいずれかの位置に突き当たるまで移動される。また、カムピン23の先端には図示しないつまみ23dが固設されており、オペレータはつまみ23dによりカムピン23を端部11a1又は端部11a2のいずれかの位置に移動させることができる。
【0030】
可動位置決め部材25aは、一体化されているカムピン23の移動に伴って移動し、ユニットCが載置台11上の図3(a)に実線で示す定位置に載置されるとき、ユニットCの位置決め溝部C1に係合してユニットCを固定する。ここでいう定位置とは、ユニットCがユニット着脱用台車10の載置台11上に載置されるときの正規の載置位置であり、ユニットCの位置決め溝部C1及びC2が可動位置決め部材25a及び固定位置決め部材25bに当接して固定される位置である。このとき、カムピン23は、溝カム11aの左右方向の端部11a2の位置にある。
【0031】
本発明に係るユニット固定手段は、可動位置決め部材25a、及び固定位置決め部材25b、等からなり、載置台11上に載置されるユニットCを定位置に固定する。
【0032】
可動位置決め部材25aは、図示しないガイド手段によりガイドされており、カムピン23が溝カム11aの溝部を上下方向又は左右方向に移動しても、上下方向の向きが常に一定となるように構成されている。
【0033】
カムピン23が図3に示す端部11a2の位置に移動されるとき、連結阻止板押し上げ部23cは連結阻止板21のU字型溝21cが形成されている係合部21aの下面に当接し、連結阻止板用ばね22の付勢による連結阻止板21の下方への移動を阻止する。このとき、連結阻止板21の連結阻止面21bは、画像形成装置Aの連結阻止ピンA1より高い位置にあり、ユニット着脱用台車10の画像形成装置Aへの連結を妨げない。この状態で連結されると、ユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結面はR1の位置で合致する。即ち、カムピン23が端部11a2に移動されるときには、ユニットCは載置台11上の定位置に固定された状態であり、連結阻止板21は、連結阻止ピンA1より高い位置にあるためユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結が可能な状態にある。
【0034】
言い換えると、ユニットCが可動位置決め部材25aによって載置台11の定位置に固定されることにより、連結阻止板21が動作されてユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結の阻止状態が解除される。
【0035】
一方、カムピン23が図3(a)に示す端部11a1の位置にあるときには、連結阻止板押し上げ部23cの位置が下方に移動するため、それに追随して連結阻止板21も下方に移動し、図3(a)の二点鎖線で示す位置に停止する。この位置は、連結阻止板21と、画像形成装置Aの連結阻止ピンA1とが干渉し、連結が阻止状態となる位置であり、連結阻止ピンA1と連結阻止板21の連結阻止面21bとが当接するために連結はできない。このとき、画像形成装置Aの連結面は二点鎖線で示すR2の位置にあり、ユニット着脱用台車10の連結面R1から離間した位置となる。
【0036】
即ち、ユニットCがユニット着脱用台車10の載置台11上に載置され、可動位置決め部材25aがユニットCの位置決め溝部C1に係合していない場合、カムピン23はカムピン用ばね24の付勢により溝カム11aの端部11a1の位置に位置することになる。カムピン23が端部11a1の位置にあるときには、連結阻止板21の連結阻止面21bと、画像形成装置Aの連結阻止ピンA1とが干渉する位置にあるため、ユニット着脱用台車10を画像形成装置Aに連結することはできない。従って、ユニットCがユニット着脱用台車10に固定されていない場合は連結の阻止状態が解除されず、ユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとを連結することは不可能となる。
【0037】
ユニット着脱用台車10が画像形成装置Aに連結された後、オペレータがつまみ23dによりカムピン23を端部11a1の位置に移動させると、可動位置決め部材25aが載置面11bより下方に移動し、ユニットCの画像形成装置Aへの装着が可能となる。このとき、連結阻止板21の連結阻止面21bの下端が連結阻止ピンA1に当接するが、カムピン23のU字型溝係合部23bと連結阻止板21のU字型溝21cとの位置が摺動してずれるため、互いに干渉することはない。
【0038】
図4は、本発明に係るユニット着脱用台車10の第1の実施形態にユニットCを載置し、画像形成装置に装着させるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【0039】
図4において、始めにオペレータは、ユニットCをユニット着脱用台車10に載置し、載置台11上の定位置に固定する。即ち、つまみ23dを上方向へ操作することによりカムピン23が上下方向の溝から左右方向の溝へと移動され、端部11a2の位置に達し、可動位置決め部材25aがユニットCの位置決め溝部C1に係合してユニットCが載置台11上の定位置に固定される。このとき、連結阻止板21は図3(a)に示す破線の位置となり、画像形成装置Aとの連結が可能な状態となる(ステップS11)。なお、カムピン23が溝カム11aの端部11a2の位置にないと、ユニットCが固定されていない状態であり、連結阻止板21は図3(a)に示す二点鎖線の位置となり、連結阻止板21と連結阻止ピンA1とが干渉して画像形成装置Aとの連結が不可能となる。
【0040】
次に、ユニット着脱用台車10を画像形成装置Aに連結する(ステップS12)。連結した後、オペレータは、つまみ23dを左方向へ操作してカムピン23を溝カム11aの端部11a1の位置に移動させ、可動位置決め部材25aによるユニットCの固定を解除する(ステップS13)。次いでオペレータは、ユニットCを画像形成装置Aに移動し、装着する(ステップS14)。ユニット着脱用台車10を画像形成装置Aから引き離す(ステップS15)。
【0041】
本実施の形態によれば、ユニット着脱用台車10に載置されたユニットCが固定されることにより、ユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結が可能となり、ユニットC未固定の状態での連結は不可能で、連結時にユニットCが落下する危険はない。
【0042】
図5は、本発明に係るユニット着脱用台車10の第2の実施形態についての構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【0043】
図5における第2の実施形態についての構成及び動作は第1の実施形態と類似しており、同一の機能を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成及び動作についてのみ説明する。
【0044】
図5において、第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態はリンク機構の動作をばね圧により行わせているが、第2の実施形態では、駆動をモータにより電気的に行わせている点である。また、第2の実施形態では、センサを用いている点も異なっている。
【0045】
即ち、第2の実施形態においては、連結阻止板21と連結阻止ピンA1とにより連結を阻止する構成は第1の実施形態と同じであるが、カムピン23や溝カム11aが無く、可動位置決め部材25aがモータMにより駆動されるという構成の違いがある。
【0046】
以下、図5を用い、主として第1の実施形態と異なる構成及び動作について説明する。
【0047】
連結阻止板21は、第1の実施形態と同様に、L型に曲がる板状部材からなるが、更にL型の長い側に曲げ部が形成され、その曲げ部に後述するアーム25の係合ピン252に係合する溝状の係合部21aが形成されている。溝状の係合部21aの下方には係合する係合ピン252を係合状態から解放する逃げ部が形成されている。連結阻止板21が連結阻止面21bを有し、スライドピン211により上下方向(図3(b)のy方向)に摺動自在に保持され、連結阻止板用ばね22により下方に付勢される構成は第1の実施形態と同じである。
【0048】
可動位置決め部材25aが、載置面11bの下方の位置から上方の位置へ移動してユニットCの位置決め溝部C1に係合してユニットCの位置決めを行うという構成は第1の実施形態と同一であるが、その駆動は揺動するアーム25によって行われる。このアーム25の一端に可動位置決め部材25aが固設され、アーム25の揺動回転はアーム25の他端に固設された回転軸251の回転により行われる。回転軸251は載置台11に回転可能に保持され、かつ駆動歯車G等を介し、正逆回転可能な駆動モータMに連結されて駆動回転され、図5(a)に示す破線の位置と二点鎖線の位置との間を揺動する。また、アーム25の略中央には、連結阻止板21の係合部21aに係合して連結阻止板21を上下移動させる係合ピン252が固設されている。
【0049】
センサS1、S2は、連結阻止板21の上下方向への移動の位置を検知するセンサである。センサS1は、連結阻止板21が画像形成装置Aの連結阻止ピンA1に係合しない位置(図の破線の位置)にあることを検知し、センサS2は、連結阻止板21が連結阻止ピンA1に係合する位置(図の二点鎖線の位置)にあることを検知する。また、センサS3、S4は、可動位置決め部材25aの位置を検知するセンサである。センサS3は、可動位置決め部材25aがユニットCを位置決めしない位置(図の二点鎖線の位置)にあることを検知し、センサS4は、可動位置決め部材25aがユニットCを位置決めする位置(図の実線の位置)にあることを検知する。センサS5は、ユニットCが定位置に載置されていることを検知するセンサであり、センサS6は、ユニット着脱用台車10が画像形成装置Aに連結されたことを検知するセンサである。
【0050】
ユニット着脱用台車10にユニットCが搭載され、オペレータによりユニットCが載置台11上の定位置に載置されると、センサS5がユニットCの定位置への到達を検知する。この検知により駆動モータMが駆動され、アーム25を時計方向に回転させて可動位置決め部材25aが移動され、ユニットCを定位置に固定する。センサS4は、可動位置決め部材25aがユニットCを固定する位置に達したことを検知する。この検知により、ユニット着脱用台車10の図示しない表示部にユニットC固定動作の完了が表示される。
【0051】
一方、アーム25の時計方向への回転により、係合ピン252が係合部21aを押し上げて連結阻止板21が上方に移動されて連結阻止ピンA1に係合しない位置まで移動され、センサS1に検知される位置に達する。この状態になると、連結阻止板21は連結阻止ピンA1に係合しないため、ユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結が可能となり、オペレータは連結を実施することができる。
【0052】
即ち、本実施の形態によれば、ユニットCが定位置に固定されることにより、駆動モータMが駆動され、連結阻止板21が上方に移動されてユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結の阻止状態が解除され、連結が可能となる。
【0053】
ユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結が完了すると、センサS6の検知により駆動モータMが駆動され、アーム25を反時計方向に回転させて可動位置決め部材25aをユニットC固定の位置から載置面11bより下方の位置へと移動させる。アーム25の回転に伴い、アーム25に固設される係合ピン252の位置も下方に移動するため、それに係合する連結阻止板21の係合部21aも連結阻止板用ばね22の付勢により下方に移動する。下方に移動する連結阻止板21は、連結阻止面21bの下端が連結阻止ピンA1に当接して停止する。アーム25は更に反時計方向の回転を継続するが、係合ピン252が溝状の係合部21aの逃げ部から下方に移動するため、係合ピン252と係合部21aとが離間する。この状態になればオペレータはユニットCを画像形成装置A内に移動して装着することが可能となる。
【0054】
ユニットCが載置台11上の定位置に載置されていない場合には、センサS5がユニットCの定位置への到達を検知しないため駆動モータMが駆動されず、アーム25が回転しないので、連結阻止板21は下方に位置したままの状態となる。この位置は、連結阻止板21が連結阻止ピンA1に係合し、連結が阻止状態となる位置であり、ユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結は不可能となる。
【0055】
図6は、本発明に係るユニット着脱用台車10の第2の実施形態にユニットCを載置し、画像形成装置に装着させるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【0056】
図6において、始めに、オペレータは、ユニットCをユニット着脱用台車10の載置台11上に載せ、ユニットCの位置決め溝部C2が固定位置決め部材25bに当接する位置に載置する。このとき、センサS5の検知によりモータMが動作され、アーム25の回転に伴い可動位置決め部材25aが移動してユニットCを固定する(ステップS21)。
【0057】
ユニットCが正しく載置台11の定位置に固定されると、移動した可動位置決め部材25aの位置をセンサS4が検知して、ユニット着脱用台車10の図示しない表示部にユニットC固定の完了が表示される。オペレータは、ユニットCが載置台11の定位置に正しく固定されているかどうかを、表示部の表示により確認する(ステップS22)。定位置に固定されていない(ユニットC固定の完了が表示されない)とき(ステップS22否定)にはステップS21に戻り、定位置に正しく固定されている(ユニットC固定の完了が表示されている)とき(ステップS22肯定)にはステップS23に進む。
【0058】
ステップS23において、オペレータはユニット着脱用台車10を画像形成装置Aに連結する。次に、ユニット着脱用台車10が画像形成装置Aに正しく連結されたかどうかがセンサS6により検知され、その検知に基づいてユニット着脱用台車10の図示しない表示部に表示される。オペレータは表示部の表示を確認して、ユニット着脱用台車10が画像形成装置Aに正しく連結されたかどうかを判断する(ステップS24)。正しく連結されているとき(ステップS24肯定)には自動的にステップS25に進む。正しく連結されていないとき(ステップS24否定)には表示部にその表示がなされて画像形成装置Aの動作が停止されるので、オペレータはその表示を確認し、ステップS23に戻ってユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとを正しく連結させる。
【0059】
正しく連結されているときにはステップS25に進み、センサS6からの検知信号により、駆動モータMが駆動され、アーム25が反時計方向に回転して可動位置決め部材25aがユニットC固定の位置から載置面11bの下方へと移動する。この動作によりユニットCの固定が解除される(ステップS25)。オペレータはユニットCを画像形成装置Aに移動し、装着する(ステップS26)。ユニット着脱用台車10を画像形成装置Aから引き離す(ステップS27)。
【0060】
第2の実施形態によれば、ユニットCがユニット着脱用台車10の載置台11上の定位置に固定されていないときには連結の阻止状態は解除されず、ユニット着脱用台車10を画像形成装置Aに連結することができない。従って、ユニットC未固定でのユニット着脱用台車10の画像形成装置Aへの連結による、ユニットCの落下の危険を未然に防止することができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、ユニットCの固定完了の表示、及びユニット着脱用台車10と画像形成装置Aとの連結完了の表示、の機能をユニット着脱用台車10に持たせる構成としたが、これらの機能を画像形成装置Aの操作部9に持たせる構成としても良い。
【符号の説明】
【0062】
10 ユニット着脱用台車
11 載置台
11a 溝カム
11b 載置面
11a1、11a2 端部
21 連結阻止板(連結阻止手段)
211 スライドピン
21a 係合部
21b 連結阻止面
21c U字型溝
22 連結阻止板用ばね
23 カムピン
23a 溝カム嵌合部
23b U字型溝係合部
23c 連結阻止板押し上げ部
23d つまみ
24 カムピン用ばね
25 アーム
251 回転軸
252 係合ピン
25a 可動位置決め部材(ユニット固定手段)
25b 固定位置決め部材(ユニット固定手段)
A 画像形成装置
A1 連結阻止ピン(連結阻止手段)
C ユニット
C1、C2 位置決め溝部
M 駆動モータ
S1、S2、S3、S4、S5、S6 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に着脱可能に保持されるユニットを着脱するために用いられる、前記画像形成装置に連結可能なユニット着脱用台車であって、
前記ユニットを載置する載置台と、
前記載置台上に載置された前記ユニットを固定するユニット固定手段と、
前記載置台上に載置された前記ユニットが前記ユニット固定手段により固定されていないときに前記画像形成装置との連結を阻止する連結阻止手段と、
を有し、
前記載置台上に載置された前記ユニットが、前記ユニット固定手段により固定されることにより、前記連結阻止手段による前記画像形成装置との連結の阻止状態が解除されることを特徴とするユニット着脱用台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175139(P2011−175139A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39805(P2010−39805)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】