説明

ユビキノン類を有効成分とする遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。

【課題】 本発明は、活性型CoQ即ちCoQH2又はCoQHの作用の持続又は作用の遅効を利用した化粧料及びパック用貼付剤を提供することを目的とする。
【解決手段】CoQにAsA殊にAsA- P- Mgを配合してなり、更にはビタミンKなどを配合し、前記CoQ成分をリポソーム化することによる。又、前記化粧料又はパック用貼付剤は皮膚内やプラセンタエキスに存在するフォスファターゼを利用し、作用の遅効又は持続を図ることによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユビキノン(以下、単にCoQと云う)類を有効成分とする化粧料又はパック用貼付剤であり、殊に活性型CoQ即ちユビキノール(以下、単にCoQH2と云う)又はユビセミキノン(以下、単にCoQHと云う)の作用の持続又は作用の遅効を利用したものである。
【背景技術】
【0002】
CoQは、コエンザイムQ10として知られるように、1950年にイギリスのモートン博士により発見され、その後アメリカのクレーン博士らにより、牛のミトコンドリア内からの結晶単離に成功し、1967年にその量産化が確率され、1974年に医薬品として使用され、2001年に食品としても使用され今日に至っている。
殊に最近では、肌老化防止成分として脚光を浴びているところであり、CoQ10は抗酸化とエネルギー代謝促進作用を有する健康食品素材としても注目されている。またこのCoQ10は、体内で20歳をピークに年々減少していくことから、この減少が老化の原因の一つであることが分かってきている。
従来、CoQは日本薬局方名ユビデカレノンとして虚血性心疾患、高血圧症やリウマチ性心疾患等に基づく、うっ血性心不全症(浮腫、肺うっ血、肝腫張や狭心症)の治療薬として用いられていた。また、最近では化粧品添加剤としても用いられてきた。しかし、内服に際して、稀ではあるが過敏症や発疹の副作用があることから化粧品としのて添加量は0.03%以内と制限されている。
美白化粧品としての有用性はハイドロキノンなどキノン類から明らかなごとく、CoQよりその還元物質であるCoQH2 にあると考えられる。そのためCoQとアスコルビン酸(以下、単にAsAと云う)の配合物が繁用されている現状である。
特許文献1には、シート状のパック用貼付剤が開示されており、このシート状のパック用貼付剤は、予め定められた有効成分が均一分散されたゲル体からなる基剤層を有し、この有効成分はコエンザイムQ10を含むものとされている。このパック用貼付剤は、皮膚細胞活性化作用のある有効成分を用いると共に、該有効成分を良好に肌に作用せしめることが出来る、とされている。
また、特許文献2には、CoQを配合することを特徴とする化粧料が開示されており、この化粧料は手及び顔の肌荒れを防止し、皮膚に潤いを与え、美肌及び皮膚賦活効果を有する、とされている。
【特許文献1】特開2004ー26707号公報
【特許文献2】特公昭62ー121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、CoQの活性型であるCoQH2 は比較的不安定で空気中の酸素により元のCoQに変わり、化粧品添加物としての価値を失う。
CoQを酸素原子1電子還元して得られるCoQHも当然還元性を示す。本発明者らはこのような化学反応を考慮して、安全にして安定なCoQH2又はCoQHを化粧品やパック類に応用するため、活性型CoQ即ち、CoQH2やCoQHの作用の持続又は作用の遅効を求めて鋭意検討を重ねた結果、CoQとアスコルビン酸リン酸マグネシウム(以下、単にAsA- P- Mgと云う)を配合すれば皮膚内においてのみ有用なCoQH2やCoQHに変わり、目的を達成でき得ることを知見し、本発明を完成させたものである。
即ち、AsA- P- Mgは皮膚内やプラセンタエキスに存在するフォスファターゼにより徐々にAsAに変換し、ここに生成したAsAがCoQに作用し、CoQH2やCoQHに徐々に変換し、効果を発揮することを知見したものである。
【0004】
本発明は、以上の点から、活性型CoQ即ちCoQH2又はCoQHの作用の持続又は作用の遅効を利用した化粧料及びパック用貼付剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、本発明によれば、CoQにAsA- P- Mgを配合してなることを特徴とする、遅効性又は持続性化粧料により、達成される。
この発明においては、CoQにAsA- P- Mgを配合すれば皮膚中においてのみ有用なCoQH2やCoQHに変わり、遅効性又は持続性化粧料としての目的を達成でき得るものである。
【0006】
上記目的は、本発明によれば、CoQにAsA- P- Mgを配合してなることを特徴とする、遅効性又は持続性パック用貼付剤により、達成される。
この発明においては、CoQにAsA- P- Mgを配合すれば皮膚中においてのみ有用なCoQH2やCoQHに変わり、遅効性又は持続性パック用貼付剤としての目的を達成でき得るものである。
【0007】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、前記AsAはAsA- P- Mgであることを特徴とする。
この発明においては、AsAをAsA- P- Mgに特定し、活性型CoQ即ち、CoQH2やCoQHの作用の持続又は作用の遅効を利用するものである。
【0008】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、CoQにビタミンKを配合してなることを特徴とする。
この発明においては、CoQにビタミンKを配合し、活性型CoQ即ち、CoQH2やCoQHの作用の持続又は作用の遅効を利用すると共にビタミンKによる美白、しわのばし等の作用が見られる化粧料及びパック用貼付剤が得られる。
【0009】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、前記ビタミンKは、合成及び/又は植物由来のビタミンKであることを特徴とする。
この発明においては、CoQに合成及び/又は植物由来のビタミンKを配合し、活性型CoQ即ち、CoQH2やCoQHの作用の持続又は作用の遅効を利用するものであり、植物由来のビタミンKによる肌に優しい美白、しわのばし等の作用が見られる化粧料及びパック用貼付剤を得ることができる。
【0010】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、前記化粧料又はパック用貼付剤はリポソーム化された成分を利用してなることを特徴とする。
この発明においては、化粧料又はパック用貼付剤成分がリポソーム化されているので、CoQ成分などの成分が水溶化し易く、また化粧料の安定が図れる。
【0011】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、前記化粧料又はパック用貼付剤はフォスファターゼを利用してなることを特徴とする。
この発明においては、AsA- P- Mgは皮膚内やプラセンタエキスに存在するフォスファターゼにより徐々にAsAに変換し、ここに生成したAsAがCoQに作用してCoQH2やCoQHに徐々に変換し、作用効果を発揮することとなる。
【0012】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、前記AsA- P- Mgは、0.10〜9.00%添加する。
この発明においては、CoQに配合するAsA- P- Mgの分量を特定し、その作用効果をより高めている。
【0013】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、前記CoQ成分は、0.01〜1.00%量含有する。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHを化粧品やパック類に応用するため、CoQ配合成分量を特定し、その作用効果をより高めている。
【0014】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、前記CoQ成分に、ビタミンC誘導体、ビタミンK、プラセンタエキス、酒粕エキスなどの内、1種以上の成分を添加してなる。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHを化粧品やパック類に応用するため、CoQ成分に加えてビタミンC誘導体やビタミンKなどその他の有効成分を配合し、その作用効果をより高めている。
【0015】
本発明による遅効性又は持続性化粧料及びパック用貼付剤は、好ましくは、前記ビタミンC誘導体は0.10〜9.00%、ビタミンKは0.10〜5.00%、プラセンタエキスは0.30〜3.00%、酒粕エキスは0.30〜3.00%量含有する。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHを化粧品やパック類に応用するため、活性型CoQ即ち、CoQH2やCoQH成分やビタミンC誘導体やビタミンKなどその他の有効成分の配合成分量を特定し、その作用効果をより高めている。
【0016】
本発明による遅効性又は持続性化粧水は、好ましくは、精製水、1,3−ブチレングリコール、濃グリセリン、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、1,2−ペンタンジオール、フェノキシエタノール、トリメチルグリシン、グリチルリチン酸ジカリウム、クエン酸、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、CoQ、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、酒粕エキス、プラセンタエキスの内1種以上の成分からなる。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHを化粧水として利用するため、具体的な配合成分を特定し、その作用効果をより高めている。
【0017】
本発明による遅効性又は持続性ナイトクリームは、好ましくは、精製水、濃グリセリン、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、グリチルリチン酸ジカリウム、スクワラン、アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス、フィトナジオン、ステアリン酸、ベヘニルアルコール、親油型モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、フェノキシエタノール、カルボキシビニルポリマー、L−アルギニン、酒粕エキス、プラセンタエキス、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノンの内1種以上の成分からなる。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHをナイトクリームとして利用するため、ビタミンKなど具体的な配合成分を特定し、その作用効果をより高めている。
【0018】
本発明による遅効性又は持続性乳液は、好ましくは、精製水、2−エチルヘキサン酸セチル、マカデミアナッツ油、アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス、フィトナジオン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、メチルポリシロキサン、大豆リン脂質、ジプロピレングリコール、濃グリセリン、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、フェノキシエタノール、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノン、L−アルギニン、トウヒ油、プラセンタエキス、リン酸L−アスコルビルマグネシウムの内1種以上の成分からなる。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHを乳液として利用するため、ビタミンKなど具体的な配合成分を特定し、その作用効果をより高めている。
【0019】
本発明による遅効性又は持続性パック用貼付剤は、好ましくは、精製水,ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリメチルグリシン、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒドロキシエチルセルロース、フェノキシエタノール、酒粕エキス、プラセンタエキス、サイタイ抽出液、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、CoQユビキノンの内1種以上の成分からなる。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHをパック用貼付剤として利用するため、具体的な配合成分を特定し、その作用効果をより高めている。
【0020】
本発明による遅効性又は持続性パック用貼付剤は、好ましくは、精製水、2−エチルヘキサン酸セチル、マカデミアナッツ油、アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス、フィトナジオン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、メチルポリシロキサン、大豆リン脂質、ジプロピレングリコール、濃グリセリン、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、フェノキシエタノール、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノン、L−アルギニン、トウヒ油、プラセンタエキス、リン酸L−アスコルビルマグネシウムの内1種以上の成分からなる。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHをパック用貼付剤として利用するため、ビタミンKなど具体的な配合成分を特定し、その作用効果をより高めている。
【0021】
本発明による遅効性又は持続性パック用貼付剤は、好ましくは、精製水、濃グリセリン、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、グリチルリチン酸ジカリウム、スクワラン、アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス、フィトナジオン、ステアリン酸、ベヘニルアルコール、親油型モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、フェノキシエタノール、カルボキシビニルポリマー、L−アルギニン、酒粕エキス、プラセンタエキス、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノンの内1種以上の成分からなる。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHをパック用貼付剤として利用するため、ビタミンKなど具体的な配合成分を特定し、その作用効果をより高めている。
【0022】
本発明による遅効性又は持続性パック用貼付剤は、好ましくは、前記パック用貼付剤は、フェイスマスク、フェイスパック、シートパック、目元シート、その他のパック用貼付剤であることを特徴とする。
この発明においては、有用なCoQH2又はCoQHをパック用貼付剤として利用するため、パック類をより幅広く特定している。
【発明の効果】
【0023】
前述のごとく、CoQはまれではあるが、過敏症や発疹などの副作用があり、可能な限り皮膚への投与は少量であることが望まれる。このようなことから少量の持続又は作用の遅効性が理想的であると云える。
本発明の上記構成によれば、活性型CoQ即ち、CoQH2やCoQHの作用を利用した持続又は作用の遅効性を活かした化粧料やパック用貼付剤を得ることができる。化粧料としては、化粧水やナイトクリームなどが考えられ、パック用貼付剤としては、フェイスマスク、フェイスパック、シートパック、目元シート、その他のパックなどが考えられる。即ち、上記化粧料やパック用貼付剤の何れにおいても皮膚に接触してから皮膚内に浸透するまで或いはまた皮膚に浸透してからも長時間作用効果が持続することとなる。
上記化粧料やパック貼付剤にビタミンKを成分配合した場合には、しわのばしや美白作用の持続性が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
CoQは細菌、カビ、酵母、植物、動物など広く生物界から見いだされるキノンであることよりCoQと呼ばれ、種によりイソプレン単位を異にする同族体を生合成することが知られている。ある種の微生物では、イソプレン数が5個であり、原虫テトラヒメナでは8個、植物では9個、ヒトでは10個である。人体及び高等動物にのみ存在し、ミトコンドリア中にて重要な生理活性作用を担うCoQ10を化粧料に配合し、美白作用及び細胞賦活作用を利用するものである。
【0026】
この内、還元型CoQ10が化粧料としてはより有効であり、皮膚細胞に浸透し、還元力を発揮し、色素沈着、シミの原因となるメラニンの生成を抑え、美白、潤い肌、老化防止、細胞を傷つける活性酸素の除去、エネルギー代謝の促進、老廃物の分解、皮膚細胞の活性、肌荒れの改善などが期待されるところである。
【0027】
上述のようにCoQH2やCoQHは比較的不安定で空気中の酸素により元のCoQに変わり、化粧品添加物としての価値を失う。しかしながら、本発明は活性型CoQ即ち、CoQH2やCoQHの作用の持続又は作用の遅効を求めたものであり、CoQとAsA- P- Mgを配合すれば皮膚中において有用なCoQH2やCoQHが得られ、化粧料やこれらを塗布したパック類に利用出来るものである。
即ち、AsA- P- Mgは皮膚内やプラセンタエキスなどに存在するフォスファターゼにより徐々にAsAに変換する。CoQは、ここに生成したAsAと作用し、CoQH2やCoQHに変換され、効果を発揮するものである。
上述の遅効性、持続性にする理由は、一つには皮膚に対する刺激性を緩和するためであり、化粧料やパック類においては極めて重要なことと言えよう。又もう一つの理由は、より有用なCoQH2やCoQHを徐々に作用させるためであり、大きな特徴を成すものである。
【0028】
フォスファターゼは、通常われわれの皮膚内に存在するが、プラセンタエキス由来のものであってもよい。プラセンタエキスは通常加熱処理してアルカリフォスファターゼを失活させて化粧品に応用するが、本発明のプラセンタエキスは未加熱もしくは部分加熱したものを使用する。部分加熱は通常50〜80℃で10〜60分処理を行うが、存在するアルカリフォスファターゼが完全に失活せずに、弱いながら活性が残存する状態で使用する。
【0029】
本発明においては、化粧料及びパック用貼付剤にAsA- P- Mgを配合し、活性型CoQ即ち、CoQH2やCoQHの作用の持続又は作用の遅効を求めたものである。パック用貼付剤はCoQとAsA- P- Mgを配合した化粧料を基剤層を構成するゲル体などと均一分散させたシート状貼付剤の形態を有するフェイスパックシートなどである。
【0030】
前記ビタミンKはK1、K2、K3及び類縁物質であるピロロキノリンキノンや植物及び/又は食品より得られた混合物でもよく、或いはまたビタミンKを含有するアボカド油、ローズヒップ油、キョウニン油、大豆発酵エキスなどの2つ以上よりなる混合物であってもよい。
ここに挙げたビタミンKは化学構造的にはナフトキノン誘導体でありベンゾキノンの誘導体であるCoQとは類縁体と見なされ、活性型はカルボニル基が生体内で還元作用を受けて生成したナフトキノールと言われている。ビタミンCリン酸Mgが生体内あるいはプラセンタ中のフォスファターゼにより生じたビタミンCがCoQを活性型のCoQH或いはCoQH2に変換するのと同様にビタミンKも活性型のナフトキノール誘導体に変換しビタミンKの効果を発揮する。ビタミンK化粧品原料としての有用性は美白やしわのばし、目の下のたるみ、くま取り等であるが、CoQ配合化粧品にこれらの作用が加味されて、より有用性を発揮するのである。しかして、ビタミンKの配合量は0.10〜5.00%が好ましい。
【0031】
前記のリポソーム化は、殊にCoQに対して有効であり、脂溶性が高く水に溶け難いCoQを水溶化し易くなる利点がある。またこの他に、CoQの経皮吸収の促進、刺激性の低減、皮膚改善作用、保湿性・柔軟性・平滑性などの作用効果の高まりが期待される。
リポソームは、天然に存在するリン脂質を水中に分散させることにより、2分子膜を有する小胞体が形成されることの発見に由来し、非常に近似度の高い生体膜モデルであることよりリポソ−ムと呼ばれ、今日に至っている。
本発明においては、このリポソームの有する作用をCoQなどに利用するものであり、CoQ、リン脂質などを用いてリポソーム液を調整し、ゲルろ過装置などを使用してリポソーム分画し、CoQなどをリポソーム膜中に存在させることによって、化粧料やパック類の成分としてより有効な作用効果をもたらすようにするものである。
【実施例1】
【0032】
以下の成分、製法により、作用効果が長時間持続する、遅効性・持続性の化粧水を得た。
成分名 分量(%)
1 精製水 適量
2 1,3−ブチレングリコール 7.50
3 濃グリセリン 3.00
4 ポリオキシエチレンメチルグルコシド 2.00
5 1,2−ペンタンジオール 1.50
6 フェノキシエタノール 0.30
7 トリメチルグリシン 1.00
8 グリチルリチン酸ジカリウム 0.10
9 クエン酸 0.10
10 リン酸L−アスコルビルマグネシウム 0.50
11 CoQ 0.03
12 水素添加ダイズリン脂質 0.10
13 コレステロール 0.01
14 ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン 0.30
15 酒粕エキス 0.50
16 プラセンタエキス 3.00
合計 100.00
・上記成分中、成分11〜14を油相とし、70℃まで加温する。
・次いで、成分1〜6を水相とし、80℃まで加温する。
・混合攪拌しながら、成分7から10を添加する。
・次に、混合物を35℃まで冷却し、成分15、16を添加する。
・攪拌均一後、静置し、完成とする。
【実施例2】
【0033】
以下の成分、製法により、作用効果が長時間持続する、遅効性・持続性のナイトクリームを得た。
成分名 分量(%)
1 精製水 適量
2 濃グリセリン 5.00
3 1,2−ペンタンジオール 2.00
4 1,3−ブチレングリコール 7.00
5 グリチルリチン酸ジカリウム 0.10
6 スクワラン 10.00
7 アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス 5.00
又はフィトナジオン 0.50
8 ステアリン酸 1.00
9 ベヘニルアルコール 3.00
10 親油型モノステアリン酸グリセリン 1.00
11 セスキオレイン酸ソルビタン 2.00
12 ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン 1.00
13 フェノキシエタノール 0.40
14 カルボキシビニルポリマー 0.10
15 L−アルギニン 0.10
16 酒粕エキス 0.50
17 プラセンタエキス 3.00
18 リン酸L−アスコルビルマグネシウム 0.10
19 水素添加ダイズリン脂質 0.20
20 コレステロール 0.04
21 CoQ 0.03〜1.00
合計 100.00
・上記成分中、成分6〜12の各成分を混合し、油相とする。次いで、成分1〜4の各成分を混合し、水相とする。
・油相、水相をそれぞれ80℃まで加温し、油相に水相を攪拌下で徐々に加えて乳化を行う。
・更に、成分5、13、14、19〜21の各成分を加え、均一溶解後、成分15を加える。
・40℃まで冷却し、成分16〜18の各成分を加え均一にする。
・35℃にて冷却を止め、静置し、完成とする。
【実施例3】
【0034】
以下の成分、製法により、作用効果が長時間持続する、遅効性・持続性の乳液を得た。
成分名 分量(%)
1 精製水 適量
2 2−エチルヘキサン酸セチル 5.00
3 マカデミアナッツ油 0.80
4 アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス 5.00
又はフィトナジオン 0.50
5 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.00
7 メチルポリシロキサン 0.40
8 大豆リン脂質 0.10
9 ジプロピレングリコール 3.10
10 濃グリセリン 3.60
11 キサンタンガム 0.05
12 カルボキシビニルポリマー 0.24
13 フェノキシエタノール 0.20
14 水素添加ダイズリン脂質 0.20
15 コレステロール 0.10
16 CoQ 0.03〜1.00
17 L−アルギニン 0.24
18 トウヒ油 0.30
19 プラセンタエキス 3.00
20 リン酸L−アスコルビルマグネシウム 0.10
合計 100.00
・上記成分中、成分2〜7の各成分を混合し、油相とする。次いで、成分8〜11の各成分を混合し、水相とする。
・油相、水相をそれぞれ80℃まで加温し、水相に油相を攪拌下で徐々に加えて乳化を行う。
・更に、成分12〜15の各成分を加え、均一溶解後、成分16を加える。
・40℃まで冷却し、成分17〜19の各成分を加え均一にする。
・35℃にて冷却を止め、静置し、完成とする。
【実施例4】
【0035】
以下の成分、製法により、作用効果が長時間持続する、遅効性・持続性のフェイスマスクを得た。
成分名 分量(%)
1 精製水 76.15
2 ジプロピレングリコール 5.00
3 1,2−ペンタンジオール 2.00
4 1,3−ブチレングリコール 7.00
5 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.30
6 トリメチルグリシン 1.00
7 グリチルリチン酸ジカリウム 0.10
8 ヒドロキシエチルセルロース 0.01
9 フェノキシエタノール 0.30
10 酒粕エキス 1.00
11 プラセンタエキス 3.00
12 サイタイ抽出液 1.00
13 リン酸アスコルビルマグネシウム 3.00
14 水素添加ダイズリン脂質 0.10
15 コレステロール 0.01
16 CoQ(コエンザイムQ10) 0.03
合計 100.00
・上記成分中、成分1を80℃まで加温する。成分2〜6の各成分を混合し、80℃まで加温し、成分1に加える。
・成分6〜9、14〜16の各成分を加え、均一にする。
・40℃まで冷却し、成分10〜13の各成分を加え均一にする。
・35℃にて冷却を止め、静置しフェイスマスク用液剤とする。
・これをマスク基材に含浸させ、完成とする。
【産業上の利用可能性】
【0036】
上述した実施形態においては、化粧水、ナイトクリーム、乳液又はフェイスマスク用パックとして構成されているが、これに限らず、各種化粧料や各種パック類に利用できる。
【0037】
このようにして、本発明によれば、活性型CoQ即ちCoQH2又はCoQHの作用の持続又は作用の遅効を利用した化粧料又はパック用貼付剤を提供することが出来る。
【比較例1】
【0038】
化粧水の遅効性・持続性効果テスト
実施例1により得られた化粧水を、被験者60人の顔に就寝前継続的に塗布して貰った結果を下記する。
1)有効性: 化粧の持続性について:
2)安全性: 刺激・連用による影響について。重篤な副作用が見られた場合は、その症状・程度・発見時期・処置内容を記録:
3)使い心地: 匂い・感触・伸びについて:
4)結果:
CoQ類を有効成分とする遅効性又は持続性化粧料の有効性について:
協力機関: 西新井皮膚科形成外科 (累計比率)
著効 有効 やや有効 どちらとも云えない 刺激有り 計
20 22 12 2 1 60
このように、本発明に関わるCoQ類を有効成分とする遅効性又は持続性化粧水によれば、60例中95%が約1ケ月で化粧作用の持続性に関する著効〜やや有効がみられ、わずかに1例の軽度の接触性皮膚炎症(赤み)がみられたに過ぎない。
【比較例2】
【0039】
ナイトクリームの遅効性・持続性効果テスト
実施例2により得られたナイトクリームを、被験者60人の顔に就寝前継続的に塗布して貰った結果を下記する。
1)有効性: 化粧の持続性について:
2)安全性: 刺激・連用による影響について。重篤な副作用が見られた場合は、その症状・程度・発見時期・処置内容を記録:
3)使い心地: 匂い・感触・伸びについて:
4)結果:
CoQ類を有効成分とする遅効性又は持続性化粧料の有効性について:
協力機関: 西新井皮膚科形成外科 (累計比率)
著効 有効 やや有効 どちらとも云えない 刺激有り 計
24 22 13 1 0 60
このように、本発明に関わるCoQ類を有効成分とする遅効性又は持続性化粧水によれば、60例中95%が約1ケ月で化粧作用の持続性に関する著効〜やや有効がみられ、わずかに1例の軽度の接触性皮膚炎症(赤み)がみられたに過ぎない。
【比較例3】
【0040】
実施例4により得られたフェイスマスクを、被験者60人の顔に就寝前継続的に被覆して貰った結果を下記する。
1)有効性: 化粧の持続性について:
2)安全性: 刺激・連用による影響について。重篤な副作用が見られた場合は、その症状・程度・発見時期・処置内容を記録:
3)使い心地: 匂い・感触・伸びについて:
4)結果:
フェイスマスクの遅効性・持続性効果テスト
CoQ類を有効成分とする遅効性又は持続性フェイスマスクの有効性について:
協力機関:西新井皮膚科形成外科 (累計比率)
著効 有効 やや有効 どちらとも云えない 刺激有り 計
24 20 11 1 2 60
このように、本発明に関わるCoQ類を有効成分とする遅効性又は持続性フェイスマスクによれば、60例中95%が約1ケ月で化粧作用の持続性に関する著効〜やや有効がみられ、わずかに2例の軽度の接触性皮膚炎症(赤み)がみられたに過ぎない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユビキノンにアスコルビン酸誘導体を配合してなることを特徴とする、遅効性又は持続性化粧料。
【請求項2】
ユビキノンにアスコルビン酸誘導体を配合してなることを特徴とする、遅効性又は持続性パック用貼付剤。
【請求項3】
前記アスコルビン酸誘導体はアスコルビン酸リン酸マグネシウムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項4】
ユビキノンにビタミンKを配合してなることを特徴とする、遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項5】
前記ビタミンKは、合成及び/又は植物由来のビタミンKであることを特徴とする、請求項1〜4に記載の遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項6】
前記化粧料又はパック用貼付剤はリポソーム化された成分を利用してなることを特徴とする、請求項1〜5に記載の遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項7】
前記化粧料又はパック用貼付剤は皮膚内やプラセンタエキスに存在するフォスファターゼを利用してなることを特徴とする、請求項1〜6に記載の遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項8】
前記アスコルビン酸リン酸マグネシウムは、0.10〜9.00%添加することを特徴とする、請求項1〜7に記載の遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項9】
前記ユビキノン成分は、0.01〜1.00%量含有することを特徴とする、請求項1〜8に記載の遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項10】
前記ユビキノン成分に、ビタミンC誘導体、ビタミンK、プラセンタエキス、酒粕エキス(海洋深層水を使用して成るものを含む。以下同じ。)などの内、1種以上の成分を添加してなることを特徴とする、請求項1〜9に記載の遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項11】
前記ビタミンC誘導体は0.10〜9.00%、ビタミンKは0.10〜5.00%、プラセンタエキスは0.30〜3.00%、酒粕エキスは0.30〜3.00%量含有することを特徴とする、請求項1〜10に記載の遅効性又は持続性化粧料又はパック用貼付剤。
【請求項12】
前記化粧料は、精製水、1,3−ブチレングリコール、濃グリセリン、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、1,2−ペンタンジオール、フェノキシエタノール、トリメチルグリシン、グリチルリチン酸ジカリウム、クエン酸、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、ユビキノン、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、酒粕エキス、プラセンタエキスの内1種以上の成分からなることを特徴とする、請求項1〜11に記載の遅効性又は持続性化粧水。
【請求項13】
前記化粧料は、精製水、濃グリセリン、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、グリチルリチン酸ジカリウム、スクワラン、アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス、フィトナジオン、ステアリン酸、ベヘニルアルコール、親油型モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、フェノキシエタノール、カルボキシビニルポリマー、L−アルギニン、酒粕エキス、プラセンタエキス、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノンの内1種以上の成分からなることを特徴とする、請求項1〜11に記載の遅効性又は持続性ナイトクリーム。
【請求項14】
前記化粧料は、精製水、2−エチルヘキサン酸セチル、マカデミアナッツ油、アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス、フィトナジオン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、メチルポリシロキサン、大豆リン脂質、ジプロピレングリコール、濃グリセリン、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、フェノキシエタノール、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノン、L−アルギニン、トウヒ油、プラセンタエキス、リン酸L−アスコルビルマグネシウムの内1種以上の成分からなることを特徴とする、請求項1〜11に記載の遅効性又は持続性乳液。
【請求項15】
前記パック用貼付剤は、精製水、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリメチルグリシン、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒドロキシエチルセルロース、フェノキシエタノール、酒粕エキス、プラセンタエキス、サイタイ抽出液、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノンの内1種以上の成分からなることを特徴とする、請求項1〜11に記載の遅効性又は持続性パック用貼付剤。
【請求項16】
前記パック用貼付剤は、精製水、2−エチルヘキサン酸セチル、マカデミアナッツ油、アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス、フィトナジオン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、メチルポリシロキサン、大豆リン脂質、ジプロピレングリコール、濃グリセリン、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、フェノキシエタノール、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノン、L−アルギニン、トウヒ油、プラセンタエキス、リン酸L−アスコルビルマグネシウムの内1種以上の成分からなることを特徴とする、請求項1〜11に記載の遅効性又は持続性パック用貼付剤。
【請求項17】
前記パック用貼付剤は、精製水、濃グリセリン、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、グリチルリチン酸ジカリウム、スクワラン、アボカド油、キョウニン油、ローズヒップ油、大豆発酵エキス、フィトナジオン、ステアリン酸、ベヘニルアルコール、親油型モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、フェノキシエタノール、カルボキシビニルポリマー、L−アルギニン、酒粕エキス、プラセンタエキス、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、水素添加ダイズリン脂質、コレステロール、ユビキノンの内1種以上の成分からなることを特徴とする、請求項1〜11に記載の遅効性又は持続性パック用貼付剤。
【請求項18】
前記パック用貼付剤は、フェイスマスク、フェイスパック、シートパック、目元シート、その他のパック用貼付剤であることを特徴とする、請求項1〜17に記載の遅効性又は持続性パック用貼付剤。

【公開番号】特開2006−176471(P2006−176471A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373656(P2004−373656)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(500279357)株式会社日本天然物研究所 (3)
【Fターム(参考)】