説明

ユーザーにハードコピー出力画質を表示するデジタル画像処理装置

【課題】
ユーザーに満足できる画質のハードコピー出力画像を得る所望の画像パラメータ設定の選択を許容する表示をデジタル画像処理ハードウエアのユーザーに提供する方法及び装置を提供する。
【解決手段】
画像プリントサイズ及びプリント拡大率に基づき受容可能なハードコピープリント画質レベルの境界を確立し、決定された画像が画質の不満足なレベルを示すときにユーザーにハードコピー出力画像の形成の前に警告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル画像処理に関し、より詳細にはユーザーに信頼できるハードコピー出力画質を確実にする画像処理パラメータを選択可能にするような方法での写真フィルムスキャナーからのデジタル情報出力の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
写真フィルム画像をアドビ社のPhotoshopのようなコンピュータソフトウエアを用いて操作され処理されうるデジタル画像ファイルに変換するフィルムスキャナーの使用は良く知られている。そのようなシステムはユーザーの選択した所望のズーム、クロップ、拡大パラメータで元の写真画像又は得られたデジタル画像ファイルをインクジェット又は熱染料プリンタ又は他のデジタルプリンタのような光学的プリンタ、又はデジタルプリンタのような適切なプリンタによりハードコピープリントに変換するために用いられる。まず、そのようなシステムは商業的に成功するために、教育を受けたスタッフが顧客に適切なプリントパラメータを選択するのを助け、助言するために必要となる。個人用のフィルムスキャナー、低コストデジタルカラープリンタの利用の伸びによりそのような操作はますます画像処理及び再構成技術に対して最小限の知見を有するユーザーによりパーソナルコンピュータで家庭でなされることが増える。
【0003】
例えばアドビのPhotoshopプログラムによるような現在ある写真操作ソフトウエアはユーザーが画像の特徴を変え、それをコンピュータモニタ/ビデオ表示器上に変更された形で表示することを許容する。表示された画質は表示モニタの解像度と同様に画像を捕捉するために用いられたスキャナの解像度に依存する。斯くの如く表示された画像は例えばフィルムから由来する材料がハードコピー再生装置上で再現された場合に得られる最終画質を表すよう意図される必要はない。高画質ビデオ表示を提供するために充分な情報を含むデジタル画像ファイルがしばしば低品質ハードコピー画像を形成する。画像処理ソフトウエアの教育を受けていないユーザーにとって不幸なことは、ズーム、クロップ、又は画像拡大のような画像処理パラメータの選択が得られるハードコピー出力画像品質を再構成画像が不満足であると考えられるまで劣化させることはハードコピーが形成されるまでユーザーにはわからず、そのときには媒体が浪費されていることである。ハードコピー出力画像の不満足なできが代替的な画像パラメータ設定が満足できるハードコピー出力画像を形成しうるか、又はどのような設定が所望の結果を与えるかをユーザーに示すことはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に本発明の目的はユーザーに満足できる画質のハードコピー出力画像を得る所望の画像パラメータ設定の選択を許容する表示をデジタル画像処理ハードウエアのユーザーに提供する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
故に本発明によれば、ユーザー選択された大きさにハードコピーで再生されるべき原画像を表すデジタル画像データを提供する第一の入力手段と;ハードコピー出力画像再生装置の再生特性(仕様)を表す情報を提供する第二の入力手段と;画像の拡大率及び大きさを含む意図された出力画像パラメータを表す情報を提供する第三の入力手段とを有する、ユーザーにハードコピー出力画質の評価を提供するデジタル画像処理装置が提供される。この装置はまた、前記第一、第二及び第三の情報に応答し、これら情報から再生されるハードコピー出力画像が原画像と比較して不満足なレベルの画質を生ずるときを決定する処理手段と;前記処理手段による決定に応答し、ハードコピー出力画像の再生に先立って、不満足なレベルのハードコピー出力画質が生じることをユーザーに指し示す手段とを含む。
【0006】
本発明の他の特徴によればデジタル画像データを処理する方法及びユーザーにデジタルデータから発生されるハードコピー出力画質の評価を提供する方法は、該装置で形成される画像が画質の不満足なレベルを示すときを入力画像に関係するパラメータ及びハードコピー再生装置を表すデータから決定し、この決定に応答してユーザーにハードコピー出力画像の形成の前にハードコピー出力画質の不満足なレベルが生じることの表示を提供する各段階からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴、利点は以下の図面を参照した好ましい実施例及び請求項の詳細な説明によってより明確に理解される。
【0008】
図1に本発明の実施で有用なデジタル画像処理装置10が示され、ここで入力画像データと関連する画像パラメータが種々の表示された装置の一つにより提供される。表示された入力装置はフィルム片上の画像フレームを光学的にスキャンし、スキャンされた信号をデジタル画像データに変換する。スキャナーがアドバンストフォトシステム(APS)フィルムの読み取りが可能である場合にはスキャナーはまたAPS情報交換(IX)及びフィルムに記録されている製造者データに基づくフィルムに関連した出力データを提供する。そのようなデータはフィルムの型、意図されたプリントアスペクト比、APSシステムにより提供された他のデータフィールドを含む。他の可能な入力装置はデジタルファイルリーダー14を含み、これは種々のデータ源からのデータを含み、それらはデジタルカメラ又はピクチャーディスクリーダー、コダックピクチャーネットワークの場合のように遠隔、又は中央のデータ源からのデジタルファイルデータを受けるネットワーク入力(例えばモデム)16又は顧客のフィルムをスキャンしプリントアスペクト比、大きさ、ズーム、クロップ、拡大の指示を含む注文の指示を受ける小売店に配置された注文入力ステーション入力装置18を含む。このデータは次に画像処理コンピュータ20に入力され、これはまた表示モニタ22とキーボード24のようなユーザーデータ入力装置を含む。家庭のパーソナルコンピュータの場合には例えばキーボードはフィルム関連のデータと、上記のユーザー指示データの入力に用いられる。本発明によるコンピュータ20の画像処理機能に含まれるのは以下に詳細を説明するハードコピー出力画質評価ツールである。
【0009】
画像処理コンピュータ20の出力はハードコピー画像の形成用の適切な出力パスに印加される。代表的な出力パスが示され、家庭用のコンピュータ使用に有用なプリンタの例である熱染料プリンタ又はインクジェットプリンタのようなプリンタ26が含まれる。或いは出力パスはNoritsu QSS−23シリーズプリンタのような小売店のみ用のラボ写真処理業者の装置28である。更に他の出力パスの例はデータ通信装置(モデム)30からなり、これは例えばCRT又は他の写真プリンタを用いた遠隔商業用写真処理業者のラボラトリと通信する。
【0010】
図2では本発明の原理を説明する機能ブロック図が示され、ここでは拡大に基づく画質決定モジュール40に入力されたデータは基本的なデジタル画像ファイルデータ42を含む。付加的なデータ入力はフレームに固有のスキャンデータ44、フィルム型情報46、初期ユーザー選択された大きさ/ズーム/クロップデータ48を選択的に含む。特定のシステムで種々のハードコピー出力再生装置での実施を可能にすることを仮定する場合は、付加的な入力は出力装置割り当て、又は特定のデータ50を含む。ブロック40の拡大に基づく画質決定機能はフレームに固有の入力及び指定された(ユーザー選択された)拡大(ズーム)基準を有するいかなる与えられたフィルムに対しても動作し、ブロック52で、所与の出力装置により再生される画質のレベルの評価を表す出力を提供する。次にこの表示はユーザーにより観察される表示を制御するために用いられる。与えられた拡大の選択に対するプリントサイズとアスペクト比により適切なハードコピー画質が得られる場合は処理はブロック54に進み、これは所望のハードコピー画像プリントが形成されることを許容する。他方で入力プリントサイズと拡大率の組合せが不満足なプリント画質を生ずる場合にはこの組合せはハードコピー出力画質の不満足なレベルが得られることの表示を示す結果となる。この表示は種々の形を取りうる。例えばこの表示は不満足な画質を警告する表示器上のテキストの形を取り、及び/又はハードコピー出力画像が不満足な結果となることをユーザーに警告する可聴音のアラーム(例えばチャイム音)で警告する。ユーザーはブロック56で、得られるハードコピープリントで満足できる質のレベルを達成するためのプリントサイズ及び/又は拡大率設定の選択を与えられる。或いはシステムはユーザーの希望によりプリントが形成されることを許容する補助的手動手段を提供する。画質が極度に悪く、ユーザーはほとんど確実に得られたハードコピーの受け取りを拒否するような極端な状況ではシステムは注文を閉め出し画像のプリントを禁止しうる。この選択は小売注文入力ステーションの場合には特に有用である。
【0011】
処理がユーザーに対して適切な警告を提供するために不満足なプリント画質のレベルを決定する方法を次に説明する。図3を参照するに通常のプリント観察距離と受容可能なプリント品質を生ずる最大プリント拡大率との間の関係を示すグラフが示される。各グラフのライン上の全ての点は等しい画質を生ずる拡大率と関連するプリントサイズを示す。グラフ上に示されたラインはハードコピー出力に対する受容可能な品質と受容不可能な品質間の遷移を表す画質レベルを示す。各ラインは特定のフィルムフォーマットと、フィルム速度と、フィルムフレーム露光レベルに対するデータを示す。プリント品質ライン以上の拡大率で警告が発行される。この品質閾値は人間の観察者が種々のプリントサイズとプリント拡大条件でのハードコピー画像の受容可能性を判断する経験的なテストにより確立された。各プリントサイズに対してこの試験は受容可能なプリント品質が光学的に形成された写真プリント上で得られる最大拡大率を確立した。同じ方法が光学的又はデジタル的のいずれのハードコピー書き込み装置に対しての最大受容可能プリント拡大率を確立するために用いられる。最大受容可能拡大率対各プリントサイズに対する標準プリント観察距離のプロットにより線形の関係が生じていることがわかる。プリントサイズに基づくプリント観察距離の使用は感覚的に均質な関係を与え、これは他のフィルムフォーマット、フィルム型、フレームに固有のフィルム露光レベル、出力記録装置特性に対する最大受容可能拡大率の計算を簡単化する。ここで用いられているプリント観察距離関係は同一出願人による米国特許第5323204号のコラム43から44に詳細に記載されている。新たなフィルムフォーマットに対する新たなフィルム又は新たな露光条件又は新たな出力書き込み器に対する最大受容可能プリント拡大率を計算するためにデモンストレーションプリントが一のプリントサイズで人間の観察者により評価されることのみが必要である。この特定のプリントサイズに対する最大受容可能プリント拡大率が一旦確立されると、全ての他のプリントサイズに対する最大受容可能プリント拡大率がちょうど決定されたような単一のプリントサイズに基づくスカラーオフセットを適用することにより計算されうる。この簡単化はプリント観察距離と最大受容可能プリント拡大率との間の関係がリニアであることが見いだされたからである。図3に示されている例は:APSフォーマットの正常に露光されたISO200カラーネガフィルムに対する画質警告境界(ライン60)を表す”200N exp”と;APSフォーマットの正常に露光されたISO400カラーネガフィルムに対する画質警告境界(ライン62)を表す”400N exp”と;APSフォーマットの2絞り露出不足で露光されたISO200カラーネガフィルムに対する画質警告境界(ライン64)を表す”200−2 exp”とを含む。
【0012】
本発明はその好ましい実施例を特に参照して詳細に説明されてきたが、変更及び改良は本発明の精神及び範囲内でなされうる。例えば警告閾値は多数の観察者の平均的な応答に基づき確立されうる。ユーザーに固有のプリント品質警告閾値を確立し、それらの個別のユーザーの好みに対する最大許容可能拡大率を計算することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるデジタル画像処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の動作の原理を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の原理を理解するために有用なプリント拡大率と通常のプリント観察距離との間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0014】
12 フィルムスキャナ
14 デジタルファイルリーダー
16 ネットワーク入力
18 注文入力ステーション入力装置
20 画像処理コンピュータ
22 表示モニタ
24 キーボード
26 プリンタ
28 ラボ写真処理業者の装置
30 データ通信装置
60、62、64 画質警告境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにハードコピー出力画質の評価を提供するデジタル画像処理装置であって:
ユーザー選択された大きさにハードコピーで再生されるべき画像を表すデジタル画像データを提供する第一の入力手段と;
ハードコピー出力画像再生装置の特性を表す情報を提供する第二の入力手段と;
画像の拡大率及び大きさを含む意図された出力画像パラメータを表す情報を提供する第三の入力手段と;
前記第一、第二及び第三の情報に応答し、受容可能なプリント品質をもたらすプリント観察距離と最大プリント拡大率との間の関係に基づいて、これら情報から再生されるハードコピー出力画像が不満足なレベルの画質を生ずるときを決定する処理手段と;
前記処理手段による決定に応答し、ハードコピー出力画像の再生に先立って、不満足なレベルのハードコピー出力画質が生じることをユーザーに指し示す手段と;
を有する装置。
【請求項2】
デジタル画像データを処理し、該デジタル画像データから生成されるハードコピー出力画像の画質の評価をユーザーに提供する方法であって:
入力画像に関するパラメータとハードコピー再生装置の特性を表すデータとから、受容可能なプリント品質をもたらすプリント観察距離と最大プリント拡大率との間の関係に基づいて、該装置で再生される画像が不満足なレベルの画質を生ずるときを決定する段階;及び
この決定に応答して、ハードコピー出力画像の再生に先立って、不満足なレベルのハードコピー出力画質が生ずることをユーザーに指し示す段階;
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−282412(P2008−282412A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152459(P2008−152459)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【分割の表示】特願平11−31570の分割
【原出願日】平成11年2月9日(1999.2.9)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】