説明

ラクタマーゼ増幅基質

酸化-汚染物-含有の水、土壌、岩、他の地質学的又は非-地質学的な基質(マトリクス)の形成(埋め土のようなもの)を処置する新しく、及び有用な方法を提供する。生物反応機(バイオリアクタ)を提供し、それは、元素のイオウ(硫黄)、及びイオウを酸化し、及び過テクネート(pertechnate)(TcO4")、ヒ酸塩(H2AsO4")、クロム酸塩(CrO42")、臭素酸塩(BrO3")、亜塩素酸塩(ClO2")、塩素酸塩(ClO3')、過塩素酸塩(ClO4")、及びウラン(VI)酸化物を、これらの酸化された汚染物の生物学的な還元を伴って、生物反応機によって実行される酸化された汚染物を含む基質において、元素のイオウを電子供与体として用いて還元し得る微生物個体群(microbial population)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は2005年6月23日に出願したU. S. Provisional Application No.(米国の仮特許出願第)60/693,822号からの優先権を主張し、それをその全体において参考として本明細書に組込む。
【0002】
(政府支持の記述)
なし。
【0003】
(配列表、コンピュータプログラム、又はコンパクトディスクへの言及)
本出願人等はSequence Listing(配列表)の紙の複写物がU.S. Patent and Trademark Office(米国特許商標庁)において提出したコンピュータ読取可能な形態における配列表と同一であることを主張する。本出願人等は配列表の内容をその全体において参考として組込む。
【0004】
本発明は、酵素反応を検出する分野、及びより一層詳しくはラクタマーゼについての基質及びそれらの使用の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
ラクタマーゼについてアッセイすること(Assaying)は、原核生物におけるその存在の決定において長い間、興味あるものであり、ペニシリン及びセファロスポリンへの原核生物の抵抗性の指標とされた。多数の基質は色素生産性又は蛍光性の読取りを提供するこの目的のために開発された。しかる後、ラクタマーゼが多種多様な標的の検出用の標識(ラベル)として興味あるものとなり、そこでは、ラクタマーゼが、抗体、ビオチン、アビジン、受容体(receptors)、等のような、種々の結合性化合物(binding compounds)に共役結合(conjugated)した。標的に応じ、膨大なアッセイのプロトコルがラクタマーゼ及びその基質を採用して開発された。加えて、ラクタマーゼの断片(フラグメント)の使用が、タンパク質断片の相補性アッセイ(complementation assay)において、タンパク質-タンパク質の相互作用を調査し、並びに細胞中へのHIV融合の監視をするために、報告された。
【0006】
標識としてのラクタマーゼは多くの望ましい特徴を持つ。それは小さく、結果として、融合において、それが融合するタンパク質の機能に干渉することは考えられない。それは単量体であり、ガラクトシダーゼ、それが四量体であるのと対照的である。それは真核生物細胞において見出されておらず、真核生物細胞を調査するときに、通常、そのように、内在性の背景が存在しない。しかしながら、それは、比較的に低い代謝回転速度(turnover rate)を、β-ガラクトシダーゼに比較して持ち、利用可能な化学発光(chemiluminescent)基質を持たない。また、それは、選択マーカとして用いられ、標識としてラクタマーゼを排除する。
【0007】
多種多様な標的の決定のためのアッセイを実行するに際し、多くの規準がプロトコルの選定において存在する。とりわけ、ある1種ものが細胞内の事象において興味あるものであるとき、低い濃度で起こる事象を検出する能力は非常に重要であり得る。酵素は標識として用いられており、それは、単一の事象について、酵素が単一の事象を、基質の代謝回転速度に基づき、複数の事象に訳すことができるからである。酵素の標識を用いても、ある1種のものは、酵素の代謝回転速度、代謝回転速度上の環境効果及び部分的な抑制剤(インヒビタ)の存在によって制限される。したがって、多くの酵素について、更に酵素の標識を用いて初期に得られる結果を増幅することが望ましい。
【0008】
標識としての小さなラクタマーゼを用い、ある1種のものに次いで、タンパク質の発現、転写及び翻訳の活性化又は抑制と関連する経路、転写因子の存在及び不存在、受容体への配位子(リガンド)の結合による信号の誘導、及び同様のものが続く。応答又は標的の低いレベルでの小さな相違を検出することができるアッセイを持つことによって、ある1種のものはさもなければ検出されずにいるかもしれない生物学的処理(プロセス)を研究することができる。
【0009】
(関係のある文献)
ラクタマーゼの検出及び標識としてのラクタマーゼの使用がたくさんの特許において記述されている: (1)米国特許第4,978,613号明細書“Beta-lactamase assay employing chromogenic precipitating substrates(色素生産性沈降基質を採用するベータ-ラクタマーゼのアッセイ)”; (2)米国(特許)第5,338,843号、“Fluorogenic and chromogenic β lactamase substrates (蛍光発生性及び色素発生性β-ラクタマーゼ基質)”; (3)米国(特許)5,583,217号、“Fluorogenic and (chromogenic)β lactamase substrates (蛍光発生性及び色素発生性のβ-ラクタマーゼ基質)”; (4)米国(特許)第6,472,205号、“Cytosolic forms for β lactamase and uses thereof (β-ラクタマーゼ及び使用の方法のための細胞基質の形態)”; (5)米国(特許)第6,291,162号、“Cytosolic forms of β- lactamase and uses thereof (β-ラクタマーゼ及び使用の方法のための細胞基質の形態)”; (6)米国(特許)第6,031,094号、“Beta-lactam substrates and uses thereof (ベータ-ラクタム基質及びその使用)”; (7)米国(特許)第5,955,604号、“Substrates for β lactamase and uses thereof (β-ラクタマーゼ及びその使用のための基質)”; (8)米国(特許)第5,741,657号、“Fluorogenic substrates for β lactamase and methods of use (β-ラクタマーゼ及び使用の方法のための蛍光発生性基質)”; (9)米国特許出願第2003/0003526、“Beta-lactamase substrates having phenolic ethers (フェノール類エーテルを持つベータ-ラクタマーゼの基質)”; (10)European Publication No.(欧州(特許)出願公開第)0817785(A3B1)号明細書、“Substrates for Beta-lactamase and uses thereof (ベータ-ラクタマーゼ及びその使用のための基質)”; (11)欧州(特許)出願公開第0553741号、“Fluorogenic and chromogenic betalactamase substrates (蛍光発生性及び色素発生性のベータラクタマーゼの基質)”; 及び(12)欧州(特許)出願公開第1081495号、“Quenchers for fluorescence assays (蛍光アッセイのためのクエンチャ(消光剤))”。
【0010】
β-ガラクトシダーゼ断片の使用、特に環状(サイクリック)形態においての関係は、(13)米国(特許)第5,976,857号明細書、“Cross-linked polypeptide fragments of β galactosidase (βガラクトシダーゼの架橋ポリペプチド断片)”; (14)米国(特許)第5,976,783号、“Bis-maleimido cross-linking agents (ビス-マレイミド(maleimide))架橋剤)”; 及び(15)米国(特許)第5,763,196号、“Assays using cross-linked polypeptide fragments of β-galactosidase (β-ガラクトシダーゼの架橋ポリペプチド断片を用いるアッセイ)”である。
【0011】
酵素供与体及び酵素受体(acceptor、受容器)の酵素相補性アッセイにおける使用は、(16)米国(特許)第4,708,929号明細書、“Methods for protein binding enzyme complementation assays (タンパク質結合酵素相補性アッセイのための方法)”、(17)米国(特許)第5,643,734号、“Methods for protein binding enzyme complementation assays (タンパク質結合酵素相補性アッセイのための方法)”及び他の特許で記述されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明の一定の局面に従い、ラクタマーゼをアッセイにおいて検出し、そこでは、ラクタマーゼ基質の対向する側上に(on opposite sides)連結(リンク)し、環式化合物を形成するβ-ガラクトシダーゼ断片を備える環式化合物を併せ、そこでは、ラクタム環の開裂(cleavage、切断)により、線状化(linearization、直線化)をもたらす。細胞のアッセイ(Cellular assay)を、細胞内で、細胞浸透性(permeable)基質と共に又は細胞外で、細胞を溶解することによって実行する。線状化したβ-ガラクトシダーゼ断片を、他のβ-ガラクトシダーゼ断片及び蛍光又は化学発光の生成物を提供する適切な基質を用いてアッセイする。重要なことに、ラクタマーゼは、興味あるタンパク質の標的に融合する標識として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(図面の簡潔な記載)
(図面の簡単な説明)の項に移動する。
【0014】
(特定の具体例の記載)
高感度法(Sensitive method)を、β-ラクタマーゼ(以下“ラクタマーゼ”と称する)の検出のために、環状基質を用い、それは、β-ガラクトシダーゼのN-末端近くの断片(“酵素供与体(enzyme donor)”又は“ED”)を持ち、それは、β-ラクタムの対向する側上に連結し、β-ラクタマーゼによって加水分解され得る環を形成し、EDの線状化と共もたらすものを提供する。
【0015】
付随する又はそれに続く反応において、方法は酵素断片相補性(enzyme fragment complementation、“EFC”)を採用し、そこでは、EDがβ-ガラクトシダーゼ(“酵素受体(enzyme acceptor)”又は“EA”)のより一層大きな断片との独立した複合体形成(complexation)が可能であり、活性なβ-ガラクトシダーゼ酵素を形成する。環状の基質はEAについて低い親和性を持ち、最小の背景をもたらす。線状化により、EAについての線状化した基質の親和性は、著しく増加し、増幅した信号を検出可能なβ-ガラクトシダーゼの基質を用いて低い背景を伴って提供する。
【0016】
方法は慣習的な手法をラクタマーゼの検出のために採用する。ほとんどの場合に、アッセイは細胞に関与し、そこにはラクタマーゼが存在する。環状基質が膜浸透性であり、又は膜が等張性ショック又は他の手段によって浸透性にされるとき、アッセイは、細胞内で実行されてよく、EAを細胞において発現し、及び検出可能な生成物を提供する浸透性のβ-ガラクトシダーゼの基質を用いる。代わりに、ある1種のものは、細胞を溶解し、及び入手可能な線状化した基質を、EA及び検出可能なβ-ガラクトシダーゼの基質を添加することによって定め得る。また、ラクタマーゼ又はラクタマーゼ融合タンパク質が、分泌され、及び次いで上清において分析することができる。細胞は、従って更なる操作のために利用することができる。
【0017】
EDの環状試薬は、酵素供与体のペプチド配列、反応性官能基において終結される2種のリンカ、β-ラクタムの架橋剤で相補性の反応性官能基を含むものを備え、そこで、β-ラクタムがラクタム基の開裂及び環状ED基質の線状化を伴うラクタマーゼの基質であり得る。環の効果は、実質的に、酵素受体(“EA”)の断片の環におけるEDへの結合を抑制し、活性なβ-ガラクトシダーゼ酵素を形成することである。酵素供与体ペプチド配列に関連するリンカの適切な位置付け、リンカの長さ、及び相補性の官能基の選択、実質的に所定のものである規定の制限内のβ-ラクタムの長さにより、EAに対し結合する環状ED基質の活性なβ-ガラクトシダーゼ酵素を形成するための活性が、実質的に抑止される。架橋剤において存在するβ-ラクタム部分についての提供によって、十分な利益が合成、精製及び背景における減少において達成される。
【0018】
環における原子の数は、EDのサイズ(寸法)、リンカの間隔、1方又は双方の末端で又はED鎖に沿ってのどちらか、リンカの長さ、反応性の機能性(官能性)及びβ-ラクタム部分の長さに応じて、大幅に変動し得る。通常は、環の鎖は、少なくとも約100個の原子(環における環状の基が最も短い鎖に沿って計数される場合)、通常、少なくとも約120個の原子、より一層通常は、少なくとも約180個の原子、及び概して約350個の原子以下(not more than、せいぜい)、より一層通常は、約300個の原子以下で、及び約250個の原子未満であることがしばしば多いが、それを持つ。鎖における原子は、炭素、窒素、酸素、イオウ及びリンであり、一方で、他のヘテロ原子は、ハロゲンのようなものであり、分子において存在し得る。環の性質及び寸法は、EAの環状ED基質への活性な結合の十分な抑止を提供し、β-ガラクトシダーゼの酵素活性を生成する。
【0019】
環は、多数の許可される変数を持ち: リンカ間の間隔; リンカの長さ; 官能基の寸法; 及び最小限としてのβ-ラクタム部分であり、それらは必要又は所望に従い増加させ得る。ポリペプチドは、環の寸法、環の形成にかかわる他の実体の性質、及びリンカ間の間隔に応じて持つ、自由の程度に基づいて、多数の異なる立体配置が推測されるので、EDは、EAについての低い親和性を持ち、活性な酵素を形成する立体配置が推測されることを強いられる。したがって、大いなるしなやかさが系(システム)において存在し、それは、ある1種のものが、異なる変数を、最小数の原子に関して、架橋剤の橋において選定し、環状の形態におけるとき、ED上に望ましい制約(constraints)を提供するからである。
【0020】
リンカは、結合であるか、又は鎖において少なくとも1個の原子を持ち得るもので、概して、1から20個までであり、通常は、鎖において、16個以下の原子であり、及び脂肪性、脂環式、芳香族又は複素環式又はそれらの組合せでよい。リンカは、EDのアミノ酸鎖におけるグリシン残基に結ばれるα-炭素原子からの原子の数によって測定される。例えば、システインが、リンカを提供するアミノ酸である場合、鎖は0原子であり、反応性官能基として1種のイオウ原子が働く。
【0021】
大部分について、主題のEDの環状試薬は次の式を持つ:
【化1】

式中:
EDは、酵素供与体配列であり、β-ガラクトシダーゼのN-近位配列(proximal sequence)から導かれる配列から伸びる反応性官能基を持ち、官能基が通常は、チオであり;
2種のLのものは、連結性の基(linking groups、連結基)であり、それらは同じ又は異なってよく、及び鎖において1から20個までの原子、通常は、鎖において1から16個までの原子の結合又は連結基であり、及び脂肪性、脂環式、芳香族又は複素環式又はそれらの組合せでよく、概して水素以外で、1から30個までの、より一層通常は1から20個までの原子の総数を持ち、それらは、C、N、O、S、及びPであり、通常は、BLの機能性に基づく基の組合せを含み、それには連結基が結合し、そこでは、環状基が存在する場合、そのような環が隣接するメンバの連結基に対し接合する(joining)2種の結合の間のより一層小さい数の原子が計数される。連結基は、カルボニル基、例は、エステル及びアミド、アミン、チオエーテルのような機能性といったものを含んでよく、及び飽和又は不飽和であってよく、芳香族の不飽和; 複素環を含む;
2種のFのものは、同じ又は異なり、及びFsのβ-ラクタム部分への連結から得られる官能基であり、Fのものを形成する活性な官能基がED及びβ-ラクタム部分のアミノ酸の機能性と適合するものを有し、そこでは、Fのものはメルカプタン及び活性化したオレフィン、ハロゲン化物(ハライド)、偽性ハライド(pseudohalide)、S-ピリジル、等、アミン及びN-ヒドロキシコハク酸イミドエステル、イミド酸エステル、イソシアン酸塩(イソシアネート)、イソチオシアネート、活性化したハロゲン、等、カルボキシル及びカルボジイミド、ヒドラジド、等の接合から形成され得る。得られる官能基はチオエーテル、二硫化物、アミド、アミジン、尿素、チオ尿素、ヒドラジド、及び同様のものであり;
BLはβ-ラクタム部分である。β-ラクタム部分は、4種のメンバ(4員環)の複素環のβ-ラクタム環を含み、それらは、ペニシリン、セファロスポリン又は他の分子で、主題の本発明について必要な特徴を提供するものの部分でよい。それらの特徴は: 環状ED基質を形成するための架橋剤であり得ること、ラクタマーゼの基質であること、及びβ-ラクタム環の開放の際(基本構想(スキーム)3での環開放によって示されるようなもの)、ED環状試薬の直線化をもたらすことである。膨大な数の基質がこれらの特徴を持つ文献において報告されている。例えば、Tsien(チエン)等への(8)米国(特許)第5,741,657号明細書、“Fluorogenic substrates for β lactamase and methods of use”; Quante(クワンテ)等への(3)米国(特許)5,583,217号、“Fluorogenic and β lactamase substrates”; Chen(チェン)等への(18)米国(特許)第4,965,193号、“Detection of microbial β lactamase substrates (微生物のβラクタマーゼ基質の検出)”であり、そこでは、基質がED基質において用いるのに適応される。
【0022】
β-ラクタム部分の他には、約0から4まで、より一層通常は、0から3までの他の分子の実体で、例は、チオピラン(thiopyran)、とりわけ融合したもの、カルボニル、アルキル、等であってよく、反応性の機能性を提供する末端基を計数しない。とりわけ興味あるものは、セファロスポリンであり、それは、置換したメチル基を、融合したチオピラン環、例は、セファロスポリン環において存在するようなもののその3-位置で持つ:
【化2】

【0023】
見られるように、アミン及びケト基はメチルの対向する側上にある。
【0024】
EDは、満足な活性を提供するβ-ガラクトシダーゼのN-近位配列の最小数を持ち、EAと共に複合されるとき、アッセイにおいて生成されるラクタマーゼを検出する。N-近位配列のもので、概して、EDは少なくとも28(個)のアミノ酸、より一層通常は少なくとも約35個のアミノ酸及び約120個以下のアミノ酸、より一層通常は約90個以下のアミノ酸及び好ましくは約60個以下のアミノ酸を持つ。選択されたアミノ酸の数は、要求されるアッセイの感度、アッセイの条件の下での背景のレベル、環状ED基質の合成の容易性及び得られる信号に対する背景の比率に左右される。
【0025】
環状ED基質は、概して、同じ濃度の比率で、線状化した環状ED基質を用いて観察される酵素活性よりも高く、そのもので観察されるものの5%未満、通常は約1%未満、好ましくは約0.1%未満である。環状ED基質の試験濃度は、概して、約10nMから500nMまでの範囲におけるもので、一般には、環状ED基質の約5-100倍の濃度の範囲におけるEAの濃度を有する。
【0026】
β-ラクタム部分は、通常、融合した第2の環を持ち、及び3-位置で、セファロスポリン、エチレン性炭素(ethylenic carbon)原子の場合において、α-置換したメチル基によって、メチル基が放出可能な置換基を用いて置換され、それによって、β-ラクタムが開放されるとき、置換基が外部(exo-)オレフィンの形成と共に放出される。置換基の放出は、環状ED基質の線状化をもたらす。種々の置換基は、放出を可能にするように用いられ、とりわけ、チオ基、オキシ基、及びアミノ基のような負電荷を支持する基であり、それらの基は、若干の複雑度のものでよく、例は、チオフェノール、ピリジニウム、ニトロフェノール、チオニトロ安息香酸、キノンメチド(quinone methide)、等である。
【0027】
β-ラクタム部分は、普通、2種の異なる機能性を付着(attachment)について、即ちアミノ基及び活性なα-メチル置換基について持つので、上に示すように、リンカは概して対称的でない。アミノ基について、ある1種のものは種々の酸の基を用い、アミド又はアルデヒドとの還元的アミノ化を形成することができる。側鎖について、種々の戦略を用いてよい。機能化したα-メチル基は6-員環の3-位置で、多様な機能性を用いて代えることができる。例えば、ハロ(ハロゲン)は、チオ、オキシ又はアミノと代えてよい。ヒドロキシル基が存在する場合、それは、置き換え性を高めるもので、置換したジフルオロアセチル(difluoracetyl)基、置換したアリールスルホン酸、ポリハロベンジル(polyhalobenzyl)、アルキルスルホン酸のような基を用いてエステル化又はエーテル化してよく、又はヨウ化物又はピリジニウム誘導体等に転換することができる。
【0028】
ポリペプチドの環化について用いることができる基はDavies(ディビス)2003年、J. of Peptide Science(ジャーナル・オブ・ペプチド・サイエンス)9、471-501において広範囲にわたって記述されており、その論文を特に参考として本明細書に組込む。
【0029】
環化の工程において、ある1種のものは、同質な又は異質な条件、主として同質なものを用いることができる。同質な環化において、普通、逆添加(inverse addition)を採用し、そこでは、1種の反応体を他の反応体に対して添加し、その結果、1種の反応体が他の反応体に比べて非常に高い濃度において存在する。概して、二-官能化した(di-functionalized)ラクタムをEDに添加する。異質な合成のために、ラクタム化合物又はポリペプチドの機能性の1種は、機能化(官能化)した表面に結合され、次いで他の反応体の添加が続く。反応の完了後、得られる生成物は表面から切断され、及び適切な試薬を伴って環化が起こる。条件の適した選定によって、表面からの開裂は緩徐であり得、その結果、切断された生成物の重合が最小化される。いずれかのシステムにおいて、環化した生成物は線状生成物から分けられ、いずれかの単量体又はオリコマとされ、及び環化した生成物は少なくとも実質的に線状生成物を含まない(フリー)で分離される。
【0030】
主題の本発明において採用される特定の方法は、線状の汚染物を含まない実質的に純粋な生成物の分離を可能にすることにおいて、多数の利点を持つ。機能化したEDを、架橋剤と穏やかな条件下及び比較的高い希釈の条件下で組み合わせ、単量体の形成を高める。望ましくは、用いられる機能性は、システインにおいて存在するスルフヒドリル基であり、それは、容易に、ED中に、EDの末端で又はその近くで、合成又は組換えの発現によって導入することができる。望ましくは、ラクタム単位を機能化したEDの希釈溶液に対して添加する。すなわち、採用されるEDは、既に、2つの反応性の基を持ち、それらがラクタム単位の反応性基に相補性であるように修飾されている。かかる対の基について、米国特許第5,976,857号明細書及びそこに引用される参考文献を参照下さい。ラクタム部分はまた、連結基が提供されるように修飾され、EDの機能性と反応する。
【0031】
機能化したEDは、適切に緩衝化された媒体、例は、リン酸塩、酢酸塩、MOPS、等において、pHで約5から8まで、通常は6から7.5までの範囲においてある。機能化したEDの濃度は、約5-100μMの範囲、より一層通常は、約10から50までのμMの範囲においてある。緩衝剤の濃度は、概して、pHを約6-8の範囲において反応の過程の間に維持するのに十分であり、概して、約25-500mMの範囲であり、より一層通常は、約50-200mMの範囲においてであり、指し示された最小値より高い特定の濃度は重要でない。ラクタム単位(リンカを含む)の機能化したEDに対する濃度の比率は、概して、約0.5-10: 1の範囲において、より一層通常は、約1-5: 1の範囲の範囲においてである。およそ等モル量の機能化したラクタム単位を、初期に緩徐に、機能化したEDに対して添加するが、それは、概して、約0.8-1.2: 1の範囲において、より一層通常は約0.9-1.1: 1の範囲においてである。ラクタム単位の溶液の容量は、ラクタム単位の、機能化したEDに対する濃度及び望ましい比率に応じて変動し、概して、約0.2-l: 1v/vの範囲において、より一層通常は、約0.25-0.75v/vの範囲においてのものである。一般に、添加される溶液におけるラクタム単位、及び機能化したEDのその溶液における濃度は、約10から200までのμMの範囲においてある。溶液は上述のように緩衝化されてよく、又は水であってよい。他の不活性な極性の溶媒を任意の溶液について用いることができるが、水性の溶液が好ましい。
【0032】
機能化したEDの溶液に対するラクタム単位の添加は緩徐で、例は、液滴(dropwise、滴下)である。したがって、任意の時間で、反応混合物の総容量に添加されるラクタム単位の容量は、約0.1未満、通常、約0.01v/v未満である。温度は、概して、中等度であり、及び室温でよく、一般に、約10-50℃の範囲においてであり、より一層通常は15-30℃の範囲である。添加及び総反応の時間は、反応混合物の寸法、活性成分の量、温度、官能基の性質、及び同様のものと共に極めて大幅に変動する。概して、添加の完了後に、約5から120までの分の温置(インキュベーション)があり、通常約10から60までの分であり、再度上に指し示した因子で変動する。機能化したED上に存在する実質的に残りの反応基がないのを確実にするために、ラクタム単位の第2の分量(アリコート)を、ラクタム単位の第1の分量の添加と似たやり方で添加してよい。反応の過程は、未反応の反応体(群)及び/又は生成物の量を定めるために任意の便利な分析的手段によって監視することができる。HPLC(高性能(速)液体クロマトグラフ法)、質量分析法、ガスクロマトグラフ法、又は他の迅速な分析的方法を有利に採用することができる。
【0033】
生成物を、RP-HPLC(逆相-HPLC) を用いて便利に精製することができる。慣習的な溶離液を用いてよく、水性のトリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル、ギ(蟻)酸又は酢酸/アセトニトリル及びアセトニトリル又は水、等における酢酸トリアルキルアンモニウムのような、溶液が採用される。
【0034】
指し示される濃度及び容量が小さな調製のためであることが理解される。大きな商業上のサイズ化した調製は、大規模化され、及びより一層多くの高度化した(sophisticated)設備を用いることによって、反応体のより一層高い濃度及びより一層迅速な添加を提供することができる。
【0035】
得られる生成物は次いで、試料におけるラクタマーゼ活性を定めるのに用いることができる。アッセイについての条件は、環状の基質及び検出可能な基質が溶解物において細胞内又は細胞外で定められるかどうかに応じて変動する。双方のアッセイにおいて、ラクタマーゼを発現する細胞が採用される。細胞内のアッセイのために、細胞はまたEAを発現し、及びEAを、細胞基質(サイトゾル)又は他の区画において、適切ように保持する。アッセイの目的に従って細胞を生育させた後、環状の基質及び検出可能なβ-ガラクトシダーゼ基質を次いで、細胞中に導入し、及び細胞を温置する。1種又はそれよりも多くの読みが、細胞におけるラクタマーゼ活性を定める種々の手段によって取られ得る。細胞外のアッセイのために、細胞はラクタマーゼを発現するのみであることを必要とする。アッセイの目的に従って細胞を生育させた後、細胞を溶解し、及びラクタマーゼを、環状ED基質、EA及び検出可能なβ-ガラクトシダーゼ基質を用いて検出することができる。
【0036】
試料を、ラクタマーゼの生産が興味ある場合に、任意の供給源から導き出すことができる。ラクタマーゼはアッセイにおける標識として広汎な使用が見出された。ラクタマーゼの使用は、Galarneau(ガラネウ)、等の2002年のNature Biotechnology(ネイチャ・バイオテクノロジ)20、619-22; Campbell(キャンベル)2004年、Trends in Biotechnology(トレンズ・イン・バイオテクノロジ)22、208-11; Wehrman(ベーアマン)、等の2002年、PNAS USA(プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンシーズ・USA)99、3469-74; 及びCavrois(カブロイス)、等の2002年、Nature Biotechnology 20 1151-4; Moore(ムーア)、等の1997年、Analytical Biochemistry(アナリティカル・バイオケミストリ)247、203-9、米国特許第5,338,843号、第5,583,217号、第5,955,604号; 及び第6,031,094号明細書; 米国特許出願(公開)第2003/0003526号明細書; EPA No.(欧州特許出願公開第) 0 553 741号; 及び第1 081 495号明細書(すべては上記を参照される)に見出され、それらはラクタマーゼの検出のための適用に関して開示し、それらを特に本明細書において参考として組込む。用語“ラクタマーゼ”は、この技術において理解されるように、ペニシリン及びセファロスポリンのようなベータ-ラクタムの抗生物質のベータ-ラクタム環の開放及び加水分解を触媒する酵素に言及する。それはまた、D-アラニル-D-アラニンカルボキシペプチダーゼB、アミノペプチダーゼ(DmpB)、アルカリのD-ペプチダーゼ、動物のD-Ala-D-Alaのカルボキシペプチダーゼの相同物(homologues)及びクラスA及びCのベータ-ラクタマーゼ及び真核生物のベータ-ラクタマーゼの相同物を含む様々な配列を包含し、それらは: トランスエステラーゼ、非-リボゾーム性(non-ribosomal)ペプチドシンテターゼ及び仮定上のタンパク質として種々に記述される。多くのものはMEROPSのペプチダーゼの族(ファミリ)S12(D-Ala-D-AlaのカルボキシペプチダーゼBファミリ、一族の(clan)SE)に属するセリンペプチダーゼである。ベータ-ラクタマーゼはS12の非-ペプチダーゼの相同物として分類され; これらはいずれも実験的にペプチダーゼ活性を伴わず、又は触媒活性について本質的であると信じられるアミノ酸残基を欠くことが見出されている。
【0037】
したがって、主題の組成物は高処理の(high throughput)選抜(スクリーニング)のために用いられ、そこでは、ある1種のものが薬物の開発に興味があるものである。ある1種のものは、血液、血しょう、唾液、脳脊髄液、骨髄、生検(バイオプシ)、等のような生理学的な試料におけるラクタマーゼの活性の決定において興味あるものであり得る。代わりに、ある1種のものは培養物におけるラクタマーゼ活性の決定において興味あるものであり、そこでは、ある1種のものが溶解物を採用し得る。ある1種のものは、タンパク質の発現に関与する経路において興味あるものであり得、そこでは、転写調節領域(regulatory region)がラクタマーゼの発現を制御する。あるいはまた、ある1種のものは、転位置(translocation)において興味あるものであり得、そこでは、細胞の成分の転位置が活性なラクタマーゼの形成をもたらす。加えて、ある1種のものは、主題の基質を用い、ラクタマーゼ-含有の有機体、特に感染性のラクタマーゼ-含有有機体を識別することができる。特定の試料は試料の性質及び主題のアッセイについて慣習的であるように処置される。
【0038】
環状ED基質及び線状化したED基質のEAを伴うアッセイ媒体における濃度は、概して、約0.1から1000までのnMの範囲において、より一層通常は、2から500までのnMの範囲においてである(“線状化したED基質”に関して、この化合物がもはやラクタマーゼについての基質でなく、及びEAと複合するように働くことが理解される)。環状のED基質のラクタマーゼを伴う濃度は、概して、約0.5nMから1μMまでの範囲において、より一層通常は、約10から500nMの範囲においてである。アッセイが、最初に環状ED基質にラクタマーゼを伴って関与する2種の工程よりむしろ、単一の工程において遂行され、次いでEA及び基質の添加が続く場合、環状ED基質のアッセイ媒体における濃度は、概してラクタマーゼ反応について指し示される範囲におけるものである。
【0039】
指し示されるように、アッセイは、単一の工程又は2種の工程において、試薬の適合性及び試薬調剤及び読取りのための高処理の器具類(instrumentation)との統合に応じて、遂行され得る。2種の工程は、異なる緩衝剤の添加、環状ED基質の希釈、背景の減少、第1の酵素反応の終止、精度の改善、等のような、第2の工程におけるアッセイ媒体の修飾を可能にする。第1の工程の温置は通常、少なくとも約60分、及び24時間以下の間である。特定の時間は、第2工程において強い(robust)信号を提供するのに十分な環状ED基質の線状化を提供するように選ばれる。特定のプロトコルに応じて、アッセイ方法は、予定時間での単一の読み、1種よりも多い読みを包含し、又は反応は動力学的に続き得る。単一の工程のアッセイにおいて、ある1種のものは、通常、反応を動力学的に続け、読みを異なる時間で取得する。
【0040】
本発明に従うアッセイ方法は通常、適当な緩衝剤における望ましい試薬を備えるアッセイ媒体において行う。緩衝剤の調合は概して、絶対的でないが、しかし、環状ED基質の線状化を干渉してはならない。おおまかには、任意の緩衝剤がβ-ガラクトシダーゼ断片の相補性と適合し、受け入れ可能であり、それには、リン酸塩緩衝剤、MOPS緩衝剤及び同様のものが含まれる。便利には、緩衝剤は、約100mMから約300mMまでのリン酸ナトリウム、約100mMから約500mMまでの塩化ナトリウム、約1mMから約6mMまでの塩化マグネシウム、約5mMから約15mMまでのEGTA (エチレングリコール四酢酸)又はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)及び約5mMから約200mMまでのアジ化ナトリウム濃度を持ち、pHで約6から約8までを持つ。もちろん、これらの成分は試料の性質に関係して修飾され得る。
【0041】
キレート剤を、システイン又はメチオニンの残基を含む任意のポリペプチド又はタンパク質に対し添加し、金属触媒による(metal catalyzed)酸化に対して保護することができる。金属イオンについてのキレート剤(EDTA又はEGTAのようなもの)の安定化する量の添加が望ましい。殺菌剤で、アジ化ナトリウムのようなものは、細菌の増殖を防止するために、特に貯蔵の間に、存在することができ、殺生物剤(biocides)で、カトン(kathon)(Rohm & Haas(ローム・アンド・ハース社))のようなものを保存剤として用いることができる。
【0042】
他の物質を存在させることができ、それには、制限されないが、酵素活性のためのマグネシウムイオン又は他のイオン、ジチオスレイトール(DTT)のようなシステイン残基の劣化を防ぐための試薬、エチレングリコールのような可溶化剤、及びソルビトール及びエチレンオキサイド(酸化物)、例は、TWEEN(トウィーン)20((R)ICI Americas, Inc.((商標)ICIアメリカス・インコーポレーテッド))、及び同様のものである脂肪酸の縮合生成物のような非イオン性界面活性剤が含まれる。メチオニン及びウシ血清アルブミン(BSA)がまた、存在してよい。
【0043】
貯蔵が安定なアッセイ媒体は典型的に水性のものである。環状ED基質は通常、約2pMから約5μMまでの濃度で存在し、及び酵素の受体はモル過剰の変動する程度において存在する。過剰なEAは、背景を最小にするために最適化され、環状ED基質の残部の活性(residual activity)に依存する。したがって、概して、過剰量は、100-倍過剰を超えず、通常は10-50-倍の過剰であり、酵素の代謝回転速度、ラクタム単位の無傷な環状ED基質に対する開裂の比率、環状ED基質の残部の活性、予測されるプロテアーゼ濃度範囲、及び同様なものを考慮に入れる。環状ED基質及びEAが一緒に貯えられ得るが、それらは概して別に貯えられる。
【0044】
ラクタマーゼ反応についての種々の補助的な成分、試料、及び環状ED基質を組み合わせ、反応混合物を形成した後、媒体を通常温置する。温置又は2-工程処理についての温置群の温度及び継続時間は、ラクタマーゼの環状ED基質への切断のための能力、及びβ-ガラクトシダーゼ反応において実行するための線状化した環状ED基質に適合される。若干の形式において、付加的なアッセイの成分及び温置が必要かもしれない。EA及びβ-ガラクトシダーゼ基質は一緒に、又は別々に添加され得、及び相補性の活性が測定される。
【0045】
β-ガラクトシダーゼ基質を本発明の方法において用い、それは、β-ガラクトシダーゼによって切断されるとき、検出可能な変化を、光吸収度(光学密度)又は発光の量においてもたらす。すなわち、基質の開裂は、分光光度分析、化学発光分析又は蛍光分析のために適当な着色した、化学発光の又は蛍光の生成物の出現又は消失をもたらす。β-ガラクトシダーゼとの使用のために適当な基質には、制限されないが、p-アミノフェニル-β-D-ガラクトピラノシド、2'-N-(ヘキサデカノール)-N-(アミノ-4'-ニトロフェニル)-β-D-ガラクトピラノシド、4-メチルウンベリフェリル(methylumbelliferyl)-β-D-ガラクトピラノシド、ナフチル-A-S-B1-β-D-ガラクトピラノシド、2-ナフチルA-S-B1-β-D-ガラクトピラノシド一水和物、o-ナフチル-β-D-ガラクトピラノシド、p-ナフチル-β-D-ガラクトピラノシド、フェニル-β-D-ガラクトピラノシド、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド、レゾルフィン-β-D-ガラクトピラノシド、7-ヒドロキシ-4-トリフルオロメチルクマリン、オメガ-ニトロスチリル-β-D-ガラクトピラノシド、フルオレセイン-β-D-ガラクトピラノシド、クロロフェノールレッドβ-ガラクトシド及び同様のものが包含される。好適な基質は、クロロフェノールレッドβ-ガラクトシド(CPRG)及びo-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシド(ONPG)である。酵素基質との温置は、基質の開裂をもたらし、検出可能な、好適には色によってのものの、生成物を生産する。高処理での適用では、化学発光の読取りが好ましく、それはより一層少ない干渉しか引き起こさないからである。アダマンチルフェニル1,2ジオキセタン(Applied Biosystems(アプライド・バイオシステムズ社))、アクリダン(acridan)ジオキセタン(Lumigen(ルミゲン社))又はスピロトリシクロトリデセンス(tricyclotridecence)フェニル1,2ジオキセタン(Michigan Diagnostics(ミシガン・ダイアゴニスティックス社))から導き出されるガラクトシダーゼ基質は、これらの適用における好ましい選定の試薬である。高い信号について、Promega(プロメガ社)からのBetaGlow(ベータグロウ)の試薬システムをまた、用いることができる。
【0046】
上記の他に特に規定がなければ、本発明において用いる試薬の相対的な量を変動させ、アッセイ方法の感度を十分に至適化し得る試薬の濃度を提供することができ、それは、ある1種のものが、ラクタマーゼの濃度範囲、環状ED基質及びEAの相互作用からもたらされる背景、反応上の試料の成分の効果、等を考慮されるからである。試薬は、乾燥粉体として、通常、凍結乾燥したもので、任意の賦形剤を含み提供することができ、それらは、溶解の上、本発明のアッセイ方法を実行するための適切な濃度を持つ試薬溶液について提供することができる。
【0047】
キットを提供することができ、結果として、適切な試薬が便利な形式において利用可能である。キットは、環状ED基質、EA、及びβ-ガラクトシダーゼ基質、並びに緩衝剤及び他の補助的な試薬、並びにラクタマーゼ標識発現構築物を持つ細胞、EA発現構築物、及び同様のものを包含することができる。便利には、EA及び基質を、同じ容器において、また緩衝剤を含み、組み合わせ得る。
【実施例】
【0048】
次の例は、例証のためのものであり、及び制限するためのものでなく提示する。
(実験例)
【0049】
(化合物1、2及び3の合成及び特徴付け)
基本構想1(図1)はEDへの環化のために適応されるラクタム構造(セフェム誘導体)3の合成を表し、中間体1及び2を介して進む。構想2(図2)はセフェム誘導体3を伴うEDの環化を表す。構想3(図3)は、ラクタマーゼを伴う図2の環状EDの開裂を表し、切断したラクタム環を持つ線状EDを形成する。
(特記されない場合、すべての試薬はSigma-Aldrich(シグマ-アルドリッチ社)から得られた。)
【0050】
(1の調製)
ACLH. HCl(7アミノ-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジフェニルメチルエステルの塩酸塩(Otsuka Chemical(大塚化学株式会社)、日本国、500mg、1.1ミリモル)を、10mLのDMFにおいて次いでN-メチルモルホリンNMM(150μL)において懸濁させ、HCl塩を中和させ、及び清澄な溶液が得られた。4-アミノチオフェノール(150mg、1.5ミリモル)を次いで、上記溶液に対し添加し、及び反応物を周囲温度で4-5時間撹拌した。反応をTLC(薄層クロマトグラフ)上で監視した。DMFを減圧において(in vacuo)蒸発し、及び濃縮した油を、シリカ(ケイ酸塩)ゲル(230-400メッシュ)を用いてスラリになした。スラリをフラッシュクロマトグラフィによって、シリカゲル(230-400メッシュ)上で、MeOH/CH2Cl2の2-15%の勾配を用いて精製し、表題化合物の315mg(62.6%)を利用可能にした。1H(400MHz(メガヘルツ)、DMSO(ジメチルスルホキシド)d6): δ8.8(s, 2H)、7.61-7.25(m, 10H)、6.97(d, J=8.6Hz, 2H)、6.75(s, 1H)、6.46(d, J=8.6Hz, 2H)、4.99(d, J=5.2Hz, 1H)、4.82(d, J=4.80Hz, 1H)、3.84(d, J=12.8Hz, 1H)、3.62(d, J=13.6Hz, 1H)、3.48(d, J=17.6Hz, 1H)、3.44(d, J=10.0Hz, 1H); ESI-MS: M+H 504(found(実測)); 503(calc(計算))。
【0051】
(2の調製)
N-マレオイル(maleoyl)-β-アラニン(0.3g、1.78ミリモル)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.25g、1.78ミリモル、6当量)の無水DMFの1.5mLにおけるものの溶液を、0℃で冷却した。EDCI.HCl(0.34g、1.78ミリモル)で、新鮮なDMF(200μL)において調製し及びNMM(100mL)を用いて中和したものを、次いで添加した。この活性化させた溶液に対し、無水DMF(1.5mL)における1(150mg、0.298ミリモル)を添加し、及び反応混合物を周囲温度で一昼夜撹拌した。溶媒を減圧において回転式蒸発機(ロータリエバポレータ)上で蒸発させ、及び残留油を水において縣濁させた。縣濁物を酢酸エチル(50mLx3)を用いて抽出し、及び有機性相を、5%w/vのクエン酸(10mLx2)、水(10mLx2)及び水性の5%w/vのNaHCO3((10mLx2)、塩水(brine)(10mL)及び最終的には水を用いて中性pHにまで洗浄し、及び無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を除去し、及び残油をヘキサンを用いて粉にし(triturated)、260mg(32.2%)の粗製生成物を利用可能にした。粗製生成物をフラッシュシリカゲルのカラムクロマトグラフィにかけた。化合物を、0-3%のMeOH/CH2Cl2溶媒の勾配で溶出させ、170mg(21%)の純な生成物2を利用可能にした。1H(400MHz, CDCl3): 7.41-7.26(m, 11H), 7.25(d, J= 8.8Hz, 2H), 6.88(s, 2H), 6.75(s, 2H), 6.70(d, J=8.4Hz, 2H), 6.65(s, 2H), 5.17(d, J=4.0Hz, 1H), 4.87(d, J=4.0Hz,1H), 3.90(d, J=18.4, 1H), 3.85(m, 4H), 3.50(d, J=17.6Hz,1H), 2.75(m, 4H); ESI-MS: M+(Na+)=828(Found); 805(calc).
【0052】
(3の調製)
1mLの無水ジクロロメタン(CH2Cl2)において2(6.7mg、0.0083ミリモル)の溶液に対し、m-クレゾール(50μL)及び冷却(氷浴)を伴うトリフルオロ酢酸(150μL)を添加した。混合物を1時間撹拌し、その一方、氷浴において冷却し、次いで無水ジエチルエーテル(1mL)の添加を続ける。沈殿物を収集し、及びエーテル(1mLx5)を用いて洗浄し、3の1.2mg(90%)を黄色い粉体として利用可能にした。化合物の純度をRP-HPLCによって評定した。ESI-MS: M+ 640(Found); 640(Calc)。線状ED化合物3はラクタム環構造、いずれかの端部上の連結基及びマレイミド基を含む。
【0053】
(線状EDの還元)
線状ED化合物3(5mg、DiscoveRx(ディスカバレックス)、Fremont(フレモント)、CA(米国カリフォルニア州))を水(1mL)において溶解し、及びDTT(5mg)を用いて一昼夜周囲条件で処置した。次いで、それを、25%C-45%D(緩衝剤C=0.1% TFA/H2O; 緩衝剤D=0.1% TFA/CH3CN)勾配を25分において採用するRP-HPLCの精製にかけて、純粋な2.5mg(50%)の線状EDのAc-CSLAVVLQRRDWENPGVTQLNRLAAHPPFASWRNSEEARTDCPSQQL(SEQ ID NO:1(配列番号1))(DX- 400090)を、遊離のスルフヒドリルを持って利用可能にした。これを次いで、直ちに環化のための次の工程において採用した。上記配列はE. coli(大腸菌)のβガラクトシダーゼ、識別番号(Accession No.、受入れ番号)AAN78938でのN-末端領域とほぼ同一で、残基7で始まり、N末端のシステインの付加及びC末端近くのアルギニンについてのシステインの置換を有する。既知のβガラクトシダーゼ配列の他の領域を、EDとしての使用のために適応させ得る。
【0054】
(EDの環化)
次に図2を参照し、上記の新鮮な精製したED3(4mL、65μM)に対し、100mMのリン酸ナトリウム緩衝剤pH 8.0(1mL)を添加し、6.7から7.0までの間のpHを調節する。緩衝剤溶液(1mL)に対し、DMF(500μL)を添加し、容量を1.5mLにまで持っていった。この溶液に対し、DMF(200μL)における等モル濃度の化合物3を液滴によって激しい10分間の撹拌の下で添加した。反応物を周囲条件で15分間放置し、及び次いで第2の分量の等モル濃度の化合物3を10分間添加し、スルフヒドリルとの完全な反応を確実にした。反応混合物を3時間周囲条件で放置し、及び次いで反応の進行をRP-HPLCによって監視した。環状EDラクタマーゼの基質を、25%C-45%D(緩衝剤C=0.1%TFA/H2O; 緩衝剤D=0.1%TFA/CH3CN)をC18カラム(Zorbax(ゾルバックス)、Agilent(アジレント社))上で採用するRP-HPLCによって同質なまでに精製した。収集された画分を凍結乾燥し、水において再縣濁し、及び環状EDラクタマーゼ基質の濃度を、UV-VISの分光測定法によって280nmで評定した(ε280=10000/Mcm、〜15%最適化されてない(unoptimized)収率)。環状EDの分子量をESI-MS: M+ 6031(found); 6031(calc)によって確証した。
【0055】
(酵素の断片相補性(Enzyme Fragment Complementation、EFC)アッセイ)
EFCの活性の決定のため、50nMの環状ED-ラクタマーゼ基質(cED47mer(アミノ酸長))の10μL又は10μLの線状ED(マレイミドで覆われた(capped with)システイン、DiscoveRx、Fremont、CA)の50nMを、20μLのEDDBの酵素供与体の希釈緩衝剤(MESの10mM、NaClの200mM、EGTAの10mM、BSAの2mg/mL、NaN3の14.6mM)(DiscoveRx、Fremont、CA)に対し、384-ウェルの白色プレート(板)において添加した。続いて、10μLのEA(DiscoveRx、Fremont、CA)を、化学発光基質(0.4mMのGalacton StarTM(ガラクトン・スター商標)及び2mg/mLのEmerald IITM(エメラルドII商標)(Tropix(トロピックス社))のEAコア緩衝剤(DiscoveRx、Fremont、CA)においてのもの)を添加し、及び更に室温で60分間温置した。信号は、Lumicount(ルミカウント)(Packard(パッカード社))上で、ウェル当りの統合時間の1sを用い、1100Vにまで設定したPMTで読んだ。図4の棒グラフは、環状-ラクタマーゼED(cED47mer、即ち、図2において生成される化合物)及び線状ED(マレイミドで覆われたシステイン、DiscoveRx、Fremont、CA)についての活性を表す。図4は、環状ラクタマーゼED基質についてのEFC活性の減少を線状ED(cED47mer)と比較して示す。
【0056】
(ラクタマーゼ開裂のためのプロトコル)
アッセイは2種の基本的な工程を備える:
1)線状ED をもたらすラクタマーゼによる環状EDラクタマーゼ基質(cED47mer)におけるラクタムの加水分解; 及び
2)EA及びβ-ガラクトシダーゼの化学発光基質による線状EDの検出。
ラクタマーゼ反応の工程は細胞溶解物のl0μL(≦4000CHOK1細胞、DiscoveRx、Fremont、CA)又は細胞溶解緩衝剤(パート#30-175、DiscoveRx、Fremont、CA)、10μLのcED47mer基質で50nMでのもの及び10μLのラクタマーゼ(TEM-1、Invitrogen(インビトロゲン社)、パート#PV3575)で変動する濃度でのものを備える。反応混合物を次いで、周囲温度で種々の時間間隔で温置する。検出工程には、10μLのEA(1-2μM、DiscoveRx、Fremont、CA)及び10μLの化学発光基質の試薬(Applied Biosystems、Foster City(フォスタ・シティ)、CA)の添加が含まれる。
【0057】
図5は、ラクタマーゼ酵素を種々の濃度で伴う環状EDの細胞溶解物における3-時間の温置についての開裂を表す。化学発光を1時間で、EA及びPackard Lumicount Reader(リーダ)上での化学発光基質の添加後、PMTセットの1100Vでのもの及びウェル当りの読み時間1秒を用いて読んだ。
【0058】
図5は、RLU(相対的な発光の単位)において、CHOK1の細胞溶解物における急上昇したTEM1ラクタマーゼ検出の感度レベルが、E. coliのTEM1ラクタマーゼの濃度を伴って(ピコモル)、用量依存性の様式において増加したことを示す。
【0059】
上記結果から、主題の本発明が、多種多様の興味ある分析物の検出における有意な増強を提供し、検出の構想として、主題の本発明の環状ED基質を用いて検出される活性なラクタマーゼの生産、EA及び適切なβ-ガラクトシダーゼ基質、特にラクタマーゼと共に直接に利用することができない化学発光の基質を採用することが明らかである。加えて、感度において、ラクタマーゼの検出における著しい増加があり、そこでは、感染性の有機体を有するもののような、ラクタマーゼの存在における関心がある。
【0060】
本明細書に引用するすべての出版物及び特許出願を参考として本明細書に組込むが、それは各々の個々の出版物又は特許出願が特に及び個々に参考として組込まれるべきことを指し示すものである。
【0061】
先述の本発明は、若干詳細に、例証及び理解の明りょうさを得る目的のための例として説明したが、この技術における並の熟練ある者にとって、本発明の教示に照らし、特定の変化及び修飾を、それらに対し添付する請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく行い得ることはためらいもなく明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】反応の構想(スキーム1)であり、化合物1、2及び3の合成を、酵素供与体(ED)への環化のためのラクタム化合物の合成において示す。
【図2】反応の構想(スキーム2)であり、EDの化合物3を用いる環化を示す。
【図3】反応の構想(スキーム3)であり、環化した化合物のラクタマーゼの存在下での開裂を示す。
【図4】環状EDラクタマーゼ基質及び線状EDの酵素断片相補性(enzyme fragment complementation、“EFC”)活性を、EAを用いて比較した棒グラフである。
【図5】EDのβ-ラクタマーゼの線状化した基質のEAを用いる活性のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ラクタマーゼの基質であって、β-ラクタム環の対向する側上に接合するβ-ガラクトシダーゼの酵素供与体断片を備え、そこで、前記ラクタム環の加水分解の際、前記β-ガラクトシダーゼの酵素供与体断片の活性がβ-ガラクトシダーゼ酵素受体断片との複合化において少なくとも10倍増加する、環状ラクタマーゼ基質。
【請求項2】
前記β-ラクタム環がセファロスポリン分子の1部分である、請求項1記載の環状ラクタマーゼ基質。
【請求項3】
前記酵素供与体断片が前記β-ガラクトシダーゼの25から90までのアミノ酸の配列を持つ、請求項2記載の環状ラクタマーゼ基質。
【請求項4】
前記酵素供与体断片が、各末端に近いシステインを含み、及び前記β-ラクタム環にチオエーテルを介して接合する、請求項1記載の環状ラクタマーゼ基質。
【請求項5】
環状ラクタマーゼ基質であって、式
【化1】

で、式中
EDが、β-ガラクトシダーゼの酵素供与体配列であり、配列から伸びる反応性官能基を持ち、及びβ-ガラクトシダーゼの酵素受体断片とせいぜい弱く複合化し得、及びβ-ガラクトシダーゼの酵素受体断片と、線状化の際強く複合化し得、
2種のLのものが連結性の基であり、それらが同じ又は異なってよく、及び鎖において1から20個までの原子の結合又は連結性の基であり、
2種のFのものが、同じ又は異なり、及びFsのβ-ラクタム部分への連結から得られる官能基であり、及び
BLがβ-ラクタム部分であり、
そこで、β-ラクタム部分の開裂の際、Fが放出され、環状ラクタマーゼ基質の直線化をもたらす、環状ラクタマーゼ基質。
【請求項6】
前記BLが3の位置でのメチレン基でFに対し連結するセファロスポリンである、請求項5記載の環状ラクタマーゼ基質。
【請求項7】
前記Lsが、個々に、少なくとも1種のカルボニル基又はチオエーテル基を持つ、請求項5記載の環状ラクタマーゼ基質。
【請求項8】
ラクタマーゼを検出するための方法において、改善が請求項1記載の環状ラクタマーゼ基質を採用する工程を備える、方法。
【請求項9】
ラクタマーゼを検出するための方法において、改善が請求項5記載の環状ラクタマーゼ基質を採用する工程を備える、方法。
【請求項10】
前記BLがセファロスポリンである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記環状ラクタマーゼ基質が、EAと組み合わせるとき線状化した環状ラクタマーゼ基質よりも、約1%未満の酵素活性を持つ、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−543329(P2008−543329A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518212(P2008−518212)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/022596
【国際公開番号】WO2007/001804
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(504058215)ディスカヴァーエックス インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】