説明

ラサジリンメシレートの多型

本発明は、ラサジリンメシレートの新規な結晶形およびラサジリンメシレートの純粋な形態およびこれらの調製方法に関する。さらに、本発明は、当該結晶形および形態を含有する医薬組成物ならびにパーキンソン病、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症および多発性硬化症を患っている患者の治療における当該組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラサジリンメシレートの新規な結晶形およびラサジリンメシレートの純粋な形態およびこれらの調製方法に関する。さらに、本発明は、当該結晶形および形態を含有する医薬組成物ならびにパーキンソン病、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症および多発性硬化症を患っている患者の治療における当該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ラサジリンは、構造式(1)で表され、1−(R)−(2−プロピニルアミノ)インダンと化学的に命名され、選択的で強力で不可逆的なモノアミンオキシダーゼB(MAO−B)阻害剤である。ラサジリンは、現在、そのメシレート塩の形態で、単独療法またはレボドパとの補助療法としてパーキンソン病の治療のために販売されている。ラサジリンはまた、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症および多発性硬化症の治療にも有用でありうる。
【0003】
【化1】

【0004】
活性医薬成分(API)である化合物がアモルファスであるか、または不規則なもしくは不安定な結晶形であるとの事実によって、多くの医薬品の製造プロセスが妨げられている。いくつかの場合に、そのような不規則性によって、製造プロセス中の取扱が困難になり、および/または最終医薬品もしくは投与形態に望ましくない性質を与える可能性がある。その望ましくない性質には、医薬物質の溶解速度およびバイオアベイラビリティが不統一であることが含まれる。
【0005】
多型は、同じ分子式を共有する別個の固体であり、各々の多型は別個の物理的性質を有しうる。従って、1つの化合物に、各々の結晶形が異なる溶解性の性質、異なる融点温度および/または異なるX線回折ピーク等の異なった別個の物理的性質を有するという、様々な結晶形が存在するかもしれない。化合物の多型は、実験室で、粉末X線回折によって、またIRスペクトル等の他の方法によって、区別することができる。加えて、同じ活性医薬成分の多型の性質はそのAPIを含有する医薬組成物の製造に影響を与えることが、医薬の技術分野でよく知られている。例えば、APIの溶解度、安定性、流動性、取扱い易さおよび圧縮性、ならびに医薬品の安全性および有効性が、結晶多型に依存しうる。
【0006】
ラサジリンはUS5457133に初めて記載された。同公報に記載のラサジリンの調製方法は、(R)−1−アミノインダンをプロパルギルクロリドとを反応することを含む単一工程の方法である。アセトニトリル中、炭酸カリウムと共に60℃で16時間で反応が実施されている。この方法で得られるクルードのラサジリンは、非常に不純であり、カラムクロマトグラフィーで精製しなければならないものである。
【0007】
WO95/11016およびUS5532415に記載されている、ラサジリンの他の調製方法は、プロパルギルクロリドの代わりにプロパルギルベンゼンスルホナートを用いることを除いて、US5457133に記載の方法と非常に類似している。記載された実施例の1つには、トルエン中で15%NaOH水溶液存在下、ラセミの1−アミノインダンをプロパルギルベンゼンスルホナートと反応させることで、ラセミのラサジリンを生成させる方法が記載されている。ラセミのラサジリンは、その後、結晶技術を用いて酒石酸で光学分割を行い、L−酒石酸とのジアステレオマー塩を生成させる。そのラサジリンのL−酒石酸とのジアステレオマー塩をイソプロパノール中でメタンスルホン酸と反応させて、ラサジリンメシレートを生成させて、それを沈殿させて乾燥させる。しかし、WO95/11016およびUS5532415に報告された方法は、収率が低く、再現性が無く、非結晶性で、化学純度および多型の面で不純な生成物が得られている。本発明者らはまた、ラサジリンメシレートの先行文献の調製方法で得られる生成物には、ジプロパルギルインダンアミンおよびインダンアミンメシレートと特定される2つの不純物をかなりのレベルで含むことを見出した。先行文献は、ジプロパルギルインダンアミンおよびインダンアミンメシレートの不純物を除去する満足すべき方法は開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、ラサジリンメシレートの安定で、再現可能に結晶性であり、純粋な形態を提供すること、およびそれらの形態の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
本発明の目的のために、ラサジリンメシレートが、例えばHPLCで測定して、化学不純物、ジプロパルギルインダンアミン不純物またはインダンアミンメシレート不純物を3%より少なく、好ましくは2%より少なく、好ましくは1%より少なく、好ましくは0.5%より少なく、好ましくは0.1%より少なく含む場合に、これら不純物を“実質的に含まない”という。
【0010】
本明細書で用いられる用語“混合”および“混合物”等は、物質のいかなる組合せを示すことができ、例えば、溶液、溶質が完全には溶解していない部分溶液、2以上の混和性液体の溶液、いかなる種類のスラリーおよび懸濁液が含まれる。
【0011】
本発明の目的のために、溶媒等の液体に関する“1体積”または“1 vol”とは、本方法で用いられるラサジリンメシレートまたはラサジリンの1g当たり液体1mlをさす。
【0012】
本発明の第一の側面によって、9.3、13.7、16.4、16.8および18.3±0.2°2θに2θ値を有するX線回折パターンで特徴付けられるラサジリンメシレートの結晶形が提供される。
【0013】
本発明の第二の側面によって、9.3、13.7、16.4、16.8、18.3、21.3、21.7、22.3、22.9、23.1、24.1、24.5、25.3、26.7および27.5±0.2°2θに2θ値を有するX線回折パターンで特徴付けられるラサジリンメシレートの結晶形が提供される。
【0014】
本発明の第三の側面によって、図1に実質的に示されるX線回折パターンで特徴付けられるラサジリンメシレートの結晶形が提供される。
【0015】
好ましくは、本発明の第一、第二または第三の側面の結晶形は、さらに約156℃に吸熱ピークを有するDSCで特徴付けられる。
【0016】
好ましくは、本発明の第一、第二または第三の側面の結晶形は、ジプロパルギルインダンアミン不純物を実質的に含まず、および/またはインダンアミンメシレート不純物を実質的に含まず、および/または化学不純物を実質的に含まない。
【0017】
好ましくは、本発明の第一、第二または第三の側面の結晶形は、3、6または12ケ月等の期間に亘って安定である。
【0018】
本発明の第四の側面によって、化学不純物を実質的に含まないラサジリンメシレートが提供される。
【0019】
本発明の第五の側面によって、ジプロパルギルインダンアミン不純物を実質的に含まないラジリンメシレートが提供される。
【0020】
本発明の第六の側面によって、インダンアミンメシレート不純物を実質的に含まないラジリンメシレートが提供される。
【0021】
好ましくは、本発明の第四、第五または第六の側面のラサジリンメシレートは結晶である。好ましくは、ラジリンメシレートは、9.3、13.7、16.4、16.8および18.3±0.2°2θに2θ値を有するX線回折パターンで特徴付けられる。好ましくは、ラサジリンメシレートは、9.3、13.7、16.4、16.8、18.3、21.3、21.7、22.3、22.9、23.1、24.1、24.5、25.3、26.7および27.5±0.2°2θに2θ値を有するX線回折パターンで特徴付けられる。好ましくは、ラサジリンメシレートは図1に示されるX線回折パターンで特徴付けられる。
【0022】
好ましくは、本発明の第四、第五または第六の側面のラサジリンメシレートは、約156℃に吸熱ピークを有するDSCで特徴付けられる。
【0023】
好ましくは、本発明の第四、第五または第六の側面のラサジリンメシレートは、3、6または12ケ月等の期間に亘って安定である。
【0024】
本発明の第七の側面によって、(a)ラサジリンメシレートまたはラサジリンとメタンスルホン酸とを溶媒中で混合する工程、および(b)ラサジリンメシレートを単離する工程を含む、ラサジリンメシレートの結晶形または純粋な形態の調製方法が提供される。好ましくは、工程(a)で、ラサジリンメシレートを溶媒中で混合する。
【0025】
好ましくは、ラサジリンメシレートまたはラサジリンおよびメタンスルホン酸を、溶媒に溶解して溶液にする。代替的に、ラサジリンメシレートまたはラサジリンおよびメタンスルホン酸を、溶媒中で混合してスラリーにする。好ましくは、溶液またはスラリーを、好ましくは約40〜120℃で、好ましくは約10分間〜2時間、好ましくは約10〜50分間、好ましくは約20〜30分間、加熱する。好ましくは、ラサジリンメシレートを単離するために、溶液またはスラリーを、好ましくは約0〜25℃で、好ましくは約10分間〜2時間、好ましくは約10〜50分間、好ましくは約30分間、冷却する。
【0026】
好ましくは、用いられる溶媒は、有機溶媒または水またはこれらの混合物から選択される。有機溶媒は、好ましくはニトリル、エーテル、アルコール、ケトン、炭化水素またはエステルであり、これらは好ましくは1〜12の炭素原子、より好ましくは1〜6の炭素原子を有する。有機溶媒は、好ましくはアルコールであり、アルコールは好ましくは1〜12の炭素原子、より好ましくは1〜6の炭素原子を有する。1つの態様において、有機溶媒は、イソプロピルアルコール以外のアルコールである。より好ましくは、溶媒は、水またはアセトニトリル、THF、メタノール、1−ブタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、tert−ブチルメチルエーテル、シクロヘキサン、シクロペンチルメチルエーテル、2−ブタノール、2−ブタノン、酢酸エチルもしくは酢酸イソプロピルから選択される有機溶媒またはこれらの混合物である。最も好ましくは、有機溶媒は1−ブタノールである。
【0027】
溶媒がニトリルまたはアルコールである場合は、好ましくは1〜10体積の溶媒を用い、好ましくはラサジリンメシレートまたはラサジリンおよびメタンスルホン酸の混合物を溶媒中で約40〜60℃に加熱する。溶媒がエーテル、ケトン、炭化水素またはエステルである場合は、好ましくは20〜40体積の溶媒を用い、好ましくはラサジリンメシレートまたはラサジリンおよびメタンスルホン酸の混合物を溶媒中で約50〜120℃および/または還流温度に加熱する。溶媒が水である場合は、好ましくは1〜5体積の水を用い、好ましくはラサジリンメシレートまたはラサジリンおよびメタンスルホン酸の混合物を水中で約20〜30℃に加熱するか、保温する。
【0028】
好ましくは、単離されたラサジリンメシレート結晶を、好ましくは20〜40℃で、好ましくは真空下で、好ましくは0.5〜10時間、好ましくは重量が一定になるまで、乾燥する。
【0029】
好ましくは、本発明の第一〜第六の側面のいずれかのラサジリンメシレート、または本発明の第七の側面の方法で調製されたラサジリンメシレートは、医薬として使用するのに適しており、好ましくはパーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症または多発性硬化症の治療もしくは予防に適しており、最も好ましくは、パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)の治療または予防に適している。
【0030】
本発明の第八の側面によって、本発明の第一〜第六の側面のいずれかのラサジリンメシレート、または本発明の第七の側面の方法で調製されるラサジリンメシレートを含有する医薬組成物が提供される。好ましくは、医薬組成物は、好ましくは経口投与のための固形投与形態であり、より好ましくは錠剤である。好ましくは、医薬組成物は、パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症または多発性硬化症の治療もしくは予防に適している。好ましくは、医薬組成物は、パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)の治療または予防に適している。
【0031】
本発明の第九の側面によって、パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症または多発性硬化症の治療もしくは予防のための医薬の製造のための、本発明の第一〜第六の側面のいずれかのラサジリンメシレート、もしくは本発明の第七の側面の方法で調製されるラサジリンメシレートの使用、または本発明の第八の側面の医薬組成物の使用が提供される。好ましくは、医薬は、パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)の治療または予防のためのものである。
【0032】
本発明の第十の側面によって、本発明の第一〜第六の側面のいずれかのラサジリンメシレート、もしくは本発明の第七の側面の方法で調製されるラサジリンメシレート、または本発明の第八の側面の医薬組成物を、治療上もしくは予防上有効な量、それを必要とする患者に投与することを含む、パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症または多発性硬化症を治療もしくは予防する方法が提供される。好ましくは、方法は、パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)の治療または予防のためのものである。好ましくは、その患者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のラサジリンメシレートのXRPDを示す。
【図2】本発明のラサジリンメシレートのDSCを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
本発明の結晶形は、医薬投与形態または医薬形態の調製に有利に用いることができる。粒状の形態で用いる場合は、本発明の結晶形は安定であり、自由流動性があり、先行文献の形態が伴っていた安定性上の困難性(例えば、多型変換または化学変換)または取扱困難性のいずれをも示さない。従って、先行文献のラサジリンメシレートを用いて製造される投与形態で顕著であった医薬物質の溶解速度の不統一等の問題が生じることがない、医薬組成物の製造に、本発明の新規な結晶形を用いることができる。
【0035】
従って、さらなる側面において、本発明によって、本発明の結晶形を用いる、医薬投与形態の調製方法が提供される。本発明によって、当該方法で調製される、または調製可能な医薬投与形態も提供される。投与形態は溶液または懸濁液の形態とすることができるが、好ましくは固体であり、1またはそれ以上の通常の薬学上許容される賦形剤を含む。本発明の好ましい投与形態には、錠剤、カプセル等が含まれる。錠剤は、直接圧縮、湿式造粒および乾式造粒等の従来の技術に従って、製造することができる。カプセルは、一般にゼラチン材料から作られ、賦形剤および本発明の結晶形の通常の方法で調製された顆粒を含有することができる。
【0036】
本発明の結晶形はまた、医薬品の調製に有用でありうる、ラサジリンメシレートの他の新規または既知の多型の前駆体としても有用でありうる。
【0037】
本発明の方法において、ラサジリンメシレートおよび溶媒の混合物を、好ましくは加熱し、ラサジリンメシレート結晶の単離の前に冷却する。好ましくは、混合物を40〜110℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは50〜80℃、および最も好ましくは50〜65℃で加熱する。
【0038】
本出願で開示された方法は、調製のスケールに無関係に、均一な多型純度および均一な化学純度で結晶形を提供することができる。
【0039】
本出願で開示された方法は、非常に高い純度で、またすべての不純物を実質的に含まずに、ラサジリンメシレートを提供することができる。この高い純度のラサジリンメシレートを調整するための特に好ましい溶媒は、1−ブタノールであり、1−ブタノールによって化学純度がHPLC上99.9%を越える製品が提供される。従って、未反応の(R)−1−インダンアミンメシレートを実質的に含まないラサジリンメシレートの好ましい調製方法は、ラサジリンメシレートを1−ブタノールに、好ましくは約40〜50℃で溶解する工程、溶液を冷却する工程、および混合物からラサジリンメシレートを単離する工程を含む。
【0040】
本発明の方法において、好ましくは、ラサジリン塩基をメタンスルホン酸と直接反応させて、続いて生成するメシレート塩を結晶化(および必要に応じて再結晶)を行うことで、ラサジリンメシレートを生成させる。この方法は、改良製法であり、対応する酒石酸塩からメシレート塩を調製するために純度がより低い製品を提供する先行文献の方法よりも、より便利である。
【0041】
本発明のさらなる側面には、本発明の結晶形および薬学上許容される賦形剤を含有する医薬組成物も含まれる。本発明の他の側面は、結晶形を含有する医薬組成物、ならびにパーキンソン病、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症および多発性硬化症を患っている患者の治療方法を提供するための当該医薬組成物の使用である。
【0042】
本発明の詳細、目的および利点を、さらに詳細に、限定しない実施例によって以下に説明する。
【実施例】
【0043】
以下の手順に従ってクルードのラサジリンメシレートを調製した。本発明の結晶形を提供するために、実施例1〜15の方法に従ってこのクルードの原料を再結晶した。
【0044】
(R)−1−インダンアミン(1当量)を乾燥THF(3 vol)に加えて冷却し、その反応混合物にDBU(1.5当量)を滴下した。反応混合物を0〜5℃で1時間攪拌した。プロパルギルトシレート(1.5当量)を0〜5℃で滴下して、20〜25℃で2時間攪拌した。反応終了後、THFを真空下で留去し、水(3 vol)を加え、10%NaOH水溶液(10 vol)を加えて、15分間攪拌した。DCMで抽出し、10%NaOH水溶液および水で洗浄した。DCMを40℃で真空下、留去することで、ラサジリン塩基を得た。
【0045】
調製したラサジリン塩基(1当量)をイソプロピルアルコール(3 vol)に加えた。混合物を0〜5℃に冷却した。この混合物に、メタンスルホン酸(1当量)のイソプロピルアルコール(2 vol)溶液を0〜5℃で滴下して、1時間攪拌した。白色固体が結晶化し、その固体をろ過して、イソプロピルアルコール(1 vol)で洗浄した。生成したラサジリンメシレート結晶を40℃で真空下、3時間乾燥した。
【0046】
実施例1
ラサジリンメシレート(1当量)をアセトニトリル(4 vol)に加えて、55℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0047】
実施例2
ラサジリンメシレート(1当量)をTHF(20 vol)に加えて、66℃で20〜30分間加熱した。スラリーが得られた。スラリーを25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0048】
実施例3
ラサジリンメシレート(1当量)を1−ブタノール(3 vol)に加えて、55℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0049】
実施例4
ラサジリンメシレート(1当量)を1−ブタノール(3 vol)に加えて、45℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0050】
実施例5
ラサジリンメシレート(1当量)をエタノール(3 vol)に加えて、40℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0051】
実施例6
ラサジリンメシレート(1当量)をアセトン(40 vol)に加えて、55℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0052】
実施例7
ラサジリンメシレート(1当量)を酢酸イソプロピル(40 vol)に加えて、85℃で20〜30分間加熱した。スラリーが得られた。スラリーを25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0053】
実施例8
ラサジリンメシレート(1当量)を水(1 vol)に加えて、25℃で20〜30分間保温した。透明な溶液が得られた。溶液を0〜5℃に冷却し、30分間維持して、沈殿した固体をろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0054】
実施例9
ラサジリンメシレート(1当量)をtert−ブチルメチルエーテル(40 vol)に加えて、55℃で20〜30分間加熱した。スラリーが得られた。スラリーを25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0055】
実施例10
ラサジリンメシレート(1当量)をシクロヘキサン(40 vol)に加えて、80℃で20〜30分間加熱した。スラリーが得られた。スラリーを25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0056】
実施例11
ラサジリンメシレート(1当量)をシクロペンチルメチルエーテル(40 vol)に加えて、105℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0057】
実施例12
ラサジリンメシレート(1当量)を2−ブタノール(3 vol)に加えて、58℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0058】
実施例13
ラサジリンメシレート(1当量)を2−ブタノン(30 vol)に加えて、80℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0059】
実施例14
ラサジリンメシレート(1当量)をイソプロピルアルコール(5 vol)に加えて、55℃で20〜30分間、透明な溶液となるまで加熱した。溶液を25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0060】
実施例15
ラサジリンメシレート(1当量)を酢酸エチル(25 vol)に加えて、77℃で20〜30分間加熱した。スラリーが得られた。スラリーを25℃で30分間冷却して、ろ過した。固体製品を25〜30℃で真空下、2時間乾燥した。XRPD分析およびDSC分析の結果、得られた製品はラサジリンメシレートの結晶形であることが確認された。
【0061】
実施例1〜15で得られたラサジリンメシレート製品は、図1に示されるXRPDおよび図2に示されるDSCを表した。XRPDスペクトルは、Brucker D8 Advance Instrumentで、X線源としてCu線を用いて、検出器としてLynxeyeを用いて、3〜50°の2θ範囲で測定した。
【0062】
実施例1〜15で得られたラサジリンメシレート製品は、HPLCで測定したところ、化学純度が99%以上であることが確認された。
【0063】
実施例1〜15で得られたラサジリンメシレート製品を、6ケ月間の安定性試験に付したところ、非常に安定であることが確認された。
【0064】
本発明について上述したものが単なる例証のためであったことは、理解されるであろう。その実施例には、何ら発明を制限する意図はない。本発明の範囲と魂からかけ離れずに、種々の改変および態様を成すことができる。その発明は、続く請求の範囲によってのみ規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
9.3、13.7、16.4、16.8および18.3±0.2°2θに2θ値を有するX線回折パターンで特徴付けられるラサジリンメシレートの結晶形。
【請求項2】
9.3、13.7、16.4、16.8、18.3、21.3、21.7、22.3、22.9、23.1、24.1、24.5、25.3、26.7および27.5±0.2°2θに2θ値を有するX線回折パターンで特徴付けられるラサジリンメシレートの結晶形。
【請求項3】
図1に実質的に示されるX線回折パターンで特徴付けられるラサジリンメシレートの結晶形。
【請求項4】
さらに約156℃に吸熱ピークを有するDSCで特徴付けられる、先行する請求項のいずれか記載の結晶形。
【請求項5】
化学不純物を実質的に含まないラサジリンメシレート。
【請求項6】
ジプロパルギルインダンアミンを実質的に含まないラサジリンメシレート。
【請求項7】
インダンアミンメシレートを実質的に含まないラサジリンメシレート。
【請求項8】
医薬として使用するための、請求項1〜7のいずれか記載のらラサジリンメシレート。
【請求項9】
パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症または多発性硬化症の治療もしくは予防のための、請求項8記載のラサジリンメシレート。
【請求項10】
パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)の治療または予防のための、請求項9記載のラサジリンメシレート。
【請求項11】
(a)ラサジリンメシレートまたはラサジリンおよびメタンスルホン酸を溶媒中で混合する工程、および(b)ラサジリンメシレートを単離する工程を含む、ラサジリンメシレートの結晶形または純粋な形態の調製方法。
【請求項12】
工程(a)で、ラサジリンメシレートを溶媒中で混合する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ラサジリンメシレートまたはラサジリンおよびメタンスルホン酸を、溶媒に溶解して溶液にして、その溶液を冷却してラサジリンメシレートを単離する、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
ラサジリンメシレートまたはラサジリンおよびメタンスルホン酸を、溶媒中で混合してスラリーにして、そのスラリーを冷却してラサジリンメシレートを単離する、請求項11または12記載の方法。
【請求項15】
溶媒が、有機溶媒または水またはこれらの混合物から選択される、請求項11〜14のいずれか記載の方法。
【請求項16】
溶媒が水である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
溶媒が有機溶媒である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
有機溶媒が、アセトニトリル、THF、メタノール、1−ブタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、tert−ブチルメチルエーテル、シクロヘキサン、シクロペンチルメチルエーテル、2−ブタノール、2−ブタノン、酢酸エチルもしくは酢酸イソプロピルまたはこれらの混合物から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
有機溶媒が1−ブタノールである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか記載のラサジリンメシレート、または請求項11〜19のいずれか記載の方法で調製されるラサジリンメシレートを含有する医薬組成物。
【請求項21】
経口投与のための固形投与形態である、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
錠剤である、請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症または多発性硬化症の治療もしくは予防のための、請求項20〜22のいずれか記載の医薬組成物。
【請求項24】
パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)の治療または予防のための、請求項23記載の医薬組成物。
【請求項25】
パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症または多発性硬化症の治療もしくは予防のための医薬の製造のための、請求項1〜10のいずれか記載のラサジリンメシレートもしくは請求項11〜19のいずれか記載の方法で調製されるラサジリンメシレートの使用、または請求項20〜24のいずれか記載の医薬組成物の使用。
【請求項26】
パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)の治療または予防のための、請求項25記載の使用。
【請求項27】
請求項1〜10のいずれか記載のラサジリンメシレートもしくは請求項11〜19のいずれか記載の方法で調製されるラサジリンメシレートまたは請求項20〜24のいずれか記載の医薬組成物を治療上もしくは予防上有効な量、それを必要とする患者に投与することを含む、パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)、痴呆、アルツハイマー病、うつ、多動性症候群、脳卒中、脳虚血、神経外傷、統合失調症または多発性硬化症を治療もしくは予防する方法。
【請求項28】
パーキンソン病(単独療法およびレボドパとの補助療法として)の治療または予防のための、請求項27記載の方法。
【請求項29】
患者が哺乳動物である、請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
患者がヒトである、請求項29記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−529480(P2011−529480A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520598(P2011−520598)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050941
【国際公開番号】WO2010/013048
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(508116469)ジェネリクス・(ユーケー)・リミテッド (34)
【Fターム(参考)】