ラジオ受信機及び放送局サーチ方法
【課題】チャンネルサーチにおける演算量を減らし、システムの応答時間を短縮可能なラジオ受信機及び放送局サーチ方法を提供する。
【解決手段】自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機200であって、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするIM記録制御部を208有し、前記IM記録制御部208は、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを、チャンネルサーチのスキップ対象とするものである。
【解決手段】自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機200であって、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするIM記録制御部を208有し、前記IM記録制御部208は、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを、チャンネルサーチのスキップ対象とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオ受信機及び放送局サーチ方法に関し、特に、自動的にチャンネルサーチを行うラジオ受信機及び放送局サーチ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FM/AMラジオ受信機には操作者による機器のボタン操作等により放送波のサーチを開始し、自律的に放送波を検出、検波を開始する自動サーチ機能が基本的機能として備わっている。しかしながら、ラジオの周波数帯域には電波の相互変調作用によって本来放送波が無い周波数に信号が出現することがあり、ラジオ受信機が正規の放送波と誤認してしまい、自動サーチを停止させてしまう場合があり、誤って停止しないことが望まれている。
【0003】
従来のラジオ受信機が、特許文献1に記載されている。この従来技術は、無線受信機において相互変調妨害による感度劣化が起きている時以外はAGC回路を動作しないようにし、常に最適な受信感度が得られるようにすることを目的としている。
【0004】
図8は、特許文献1に記載された従来のラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【0005】
図8において、従来のラジオ受信機は、ロッドアンテナや簡易ループアンテナ等のアンテナ1と、高周波増幅部や第1混合回路、第1混合回路に第1の局部発振周波数を供給する第1の局部発振器、第1の混合回路の出力から選択的に周波数領域を選別するバンドパスフィルタ、該バンドパスフィルタの出力を周波数変換する第2の混合回路、第2の混合回路に第2の局部発振周波数を供給する第2の局部発振器、第2の混合回路の出力から選択的に周波数領域を選別するバンドパスフィルタ、該バンドパスフィルタの出力を高利得で増幅する中間周波数増幅回路とから構成される無線部2と、該無線部2の出力を受けて受信信号を復調する検波IC3と、該検波IC3の受信信号レベルと復調された受信信号とを受けて各部へ制御信号を出力すると共に、受信信号を出力する制御部4と、アンテナ1への受信信号のレベルを制御するAGC回路5とから構成されている。
【0006】
また、従来のラジオ受信機は、上記中間周波数増幅回路の受信信号がリニアに動作するIF段からダイオード等の受信信号レベルを検出して電界強度をモニターする電界強度モニター部7と、受信周波数に応じて電界強度や受信データを記憶するチャンネルデータ記憶部6が付加されている。
【0007】
アンテナ1で受信した信号は、電界強度モニター部7で検出され、信号レベルに応じた電圧が制御部4へ出力される。制御部4は、入力された電圧をデジタルデータに変換し、チャンネルデータ記憶部6に記憶する。更に、制御部4はチャンネルデータ記憶部6の情報を判定し、AGC回路5を制御する。
【0008】
制御部4(チャンネルサーチ手段)は受信機が同期から非同期状態に移行した際に動作し、サーチしたチャンネルと、そのチャンネルの電界の強さを示すアナログ信号を、デジタルデータに変換して、チャンネルデータ記憶部6に記憶する。チャンネルデータ記憶部6に記憶された電界の強いチャンネルが、予め設定された相互変調妨害を起こす条件と一致した場合に、AGCが動作する。
【0009】
図9は、従来のラジオ受信機によるチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【0010】
図9のフローチャートにおいて、待ち受け状態(ステップ101)の従来のラジオ受信機が同期判定(ステップ102)において、非同期状態となると、従来のラジオ受信機はチャンネルサーチ(ステップ103)を行う。
【0011】
チャンネルサーチは、局部発振回路にシンセサイザー方式を用いた受信機においては、制御部4からの周波数データを変化させて無線部2の第1の局部発振器の発振周波数を制御することにより可能である。例えば、サーチするチャンネルをチャンネルXとし、自己の回線をチャンネルMとすると、チャンネルサーチは、チャンネルM−4からチャンネルM+4まで+1チャンネルステップで行う。チャンネルサーチ中は、各チャンネルにおいて電界検出を行う。
【0012】
ここで、チャンネルM−4について説明すると、制御部4からの周波数データの変更により、局部発振周波数がチャンネルM−4に設定される。電界強度モニター部7により、そのチャンネルの電界強度に応じた電圧が制御部4へ出力される。前記出力電圧と、制御部4の持つシュレッシュホールドレベルにより、そのチャンネルの電界の強弱が判定され(ステップ105)、電界強度をYXとすると強電界であればYM−4=1(ステップ106)が、弱電界であればYM−4=0(ステップ107)がチャンネルデータ記憶部6に記憶される(ステップ108)。
【0013】
同様に、チャンネル部M−3,M−2,…と+1チャンネルステップで、チャンネルM+4まで繰り返し行う(ステップ109)。このチャンネルXとそのチャンネルXの電界強度の関係例を、図9上*1で示す例示を、図10に示す。
【0014】
その結果、チャンネルデータ記憶部6のデータの内、YX=1となる強電界と判定されたチャンネルが予め設定された相互変調妨害を起こす条件と一致している場合(ステップ111)、AGCを動作させる(ステップ112)。また、相互変調妨害を起こす条件と一致していない場合(ステップ111)、AGCの動作をオフとして通常動作に移る(ステップ112)。
【0015】
ここで、ステップ111の判断時に、図9上*2で示す相互変調妨害を起こす条件は、下記チャンネルの関係が共に強電界(YX=1)で有る場合をいう。
【0016】
すなわち、(1)チャンネルM−1と、チャンネルM−2、又は、(2)チャンネルM−2と、チャンネルM−4、又は、(3)チャンネルM+1と、チャンネルM+2、又は、(4)チャンネルM+2と、チャンネルM+4、が強電界の場合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11−145858(図1、2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記の従来のラジオ受信機では、自動サーチを行なう場合にチャンネルMに同調する度に近傍のM±4チャンネルのサーチを繰り返すために演算量が増えてしまいラジオ受信機システム全体の応答時間が遅くなってしまうという問題があった。
【0019】
その理由としては、周波数Mが相互変調妨害波であることを判断するために、図10に示すようにM−4の周波数からM+4までのMを含む合計9チャンネルについて信号の強弱を確認するために演算量が9倍に増大しており、カー・ラジオ受信機等に備わっている自動チャンネル・プリセット機能のように、一時に放送バンドの全帯域をサーチする場合、受信機システム全体の応答時間に大きな影響を与えるためである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係るラジオ受信機は、自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機であって、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするIM記録制御部を有し、前記IM記録制御部は、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを、チャンネルサーチのスキップ対象とするものである。
【0021】
本発明に係る放送局サーチ方法は、自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機における放送局サーチ方法であって、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするために相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップと、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波であると予測される場合に、当該チャンネルのサーチをスキップするステップとを有し、前記相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップは、前記希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれるチャンネルを、相互変調妨害波であると予測することを特徴とする放送局サーチ方法。
【0022】
本発明では、希望周波数チャンネルが相互変調妨害波であった場合に当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルをスキップして、チャンネルサーチを行うことにより、相互変調妨害波探索に関わるサーチ演算量を減らすことができ、システムの応答時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、チャンネルサーチにおける演算量を減らし、システムの応答時間を短縮可能なラジオ受信機及び放送局サーチ方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機が受信する受信波の周波数スペクトルの模式図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機が受信する受信波の周波数スペクトルの模式図である。
【図8】従来のラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【図9】従来のラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【図10】従来のラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機200のシステム構成を示すブロック図である。このラジオ受信機200は、自動チャンネルサーチ機能を有する受信機であり、チャンネルサーチにより相互変調妨害波のチャンネルを検出する。
【0026】
ラジオ受信機200は、ロッドアンテナやループアンテナ等の放送波を受信するアンテナ100と、受信周波数をチャンネル毎に自動利得制御するAGC回路205と、アンテナ100で受信した放送波信号を増幅する増幅回路や放送波信号を中間周波数信号に周波数変換する混合回路とから構成されるRF部202と、RF部202の出力信号を受けて復調する検波部203と、電源投入やユーザのボタン操作の有無を検出するトリガ検出部206と、RF部202の出力信号を受けて電界強度を測定する電界強度取得部207と、電界強度取得部207が出力する電界強度値を記録するIM記録制御部208とで構成される
【0027】
アンテナ100は、放送波を入力し、RF部202に放送波を出力する。
【0028】
RF部202は、アンテナ100からの放送波とIM記録制御部208からの同調チャンネル情報をそれぞれ入力し、検波部203と電界強度取得部207に中間周波数信号をそれぞれ出力する。
【0029】
検波部203は、RF部202より中間周波数信号を入力し、ラジオ受信機200外部(図示せず)のオーディオ・アンプやスピーカに復調信号を出力する。
【0030】
AGC回路205は、電界強度取得部207より電界強度情報を入力し、RF部202に利得調整信号を出力する。
【0031】
トリガ検出部206は、電源投入やユーザのボタン操作の有無を検出し、IM記録制御部208にサーチ開始信号を出力する。
【0032】
電界強度取得部207は、RF部202より中間周波数信号を入力し、IM記録制御部208とAGC回路205とに電界強度情報をそれぞれ出力する。
【0033】
IM記録制御部208は、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをする制御部であり、特に、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを、チャンネルサーチのスキップ対象とするものである。そして、IM記録制御部208は、同調チャンネルを決定する制御部204と、相互変調妨害波チャンネルと電界強度情報を保持するIM2波算出部209とで構成される。
【0034】
制御部204は、トリガ検出部206よりサーチ開始信号を入力し、IM2波算出部209に同調チャンネル情報と電界強度情報とを出力するとともに、RF部202に同調チャンネル情報を出力する。
【0035】
IM2波算出部209は、相互変調妨害波のチャンネルを算出するための算出部であり、特に、相互変調妨害波を予測するために必要なチャンネル数分の情報を記録し、この記録を基に発生しうる相互変調妨害波のチャンネルを算出するものである。そして、IM2波算出部209は、制御部204より同調チャンネル情報と電界強度情報を入力し、制御部204に相互変調妨害波チャンネル一致信号を出力する。
【0036】
IM2波算出部209は、相互変調妨害波チャンネル情報を保持するIM記録部210と、相互変調妨害波チャンネルの電界強度を保持する電界強度記録部211とで構成される。
【0037】
IM記録部210は、制御部204から入力された同調チャンネルを元にIM2波算出部209で算出された2つの相互変調妨害波チャンネルを記録する。
【0038】
電界強度記録部211は、制御部204から入力された電界強度情報を記録し、相互変調妨害波を予測するために必要なチャンネル数分の電界強度情報を記録する。
【0039】
図2、図3は、本発明の実施の形態1に係るチャンネルサーチ方法(放送局サーチ方法)を示すフローチャートである。このチャンネルサーチ方法は、以下に説明するように、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするために相互変調妨害波であるか否かを算出して判定し(S213)、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波であると予測される場合に、当該チャンネルのサーチをスキップするものであり(S205)、特に、希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれるチャンネルを、相互変調妨害波であると予測する(S250〜S258)。
【0040】
図2は、ラジオ受信機200における、チャンネルサーチ方法の全体の動作を示している。
【0041】
ラジオ受信機200は、トリガ検出部206からのサーチ開始信号を待ち合わせている(以降、アイドル状態と称す)(ステップS201)。
【0042】
制御部204は、トリガ検出部206からのサーチ開始信号が入力されることにより、全チャンネルサーチの開始をする(ステップS202)。
【0043】
制御部204は、全チャンネルサーチを開始すると希望同調チャンネル帯域の最低周波数チャンネルMminから最高周波数チャンネルMmaxまでのサーチを行なう(ステップS203)。すなわち、サーチを開始するために、希望同調チャンネルMを最低周波数チャンネルMminに設定する。なお、希望同調チャンネル、あるいは、希望周波数チャンネルとは、複数のチャンネルから順次チャンネルが選択されてサーチが行われるチャンネルサーチにおいて、現在サーチ対象として選択されているチャンネルである。
【0044】
IM2波算出部209は、制御部204から最低周波数チャンネルMminが入力されることで、相互変調妨害波の判定を初期化するために、IM記録部210の古いIM記録(相互変調妨害波の記録)の破棄をする(ステップS204)。
【0045】
制御部204は、IM記録部210を参照し、希望同調チャンネルMがIM記録済すなわち相互変調妨害を受けているチャンネルであるかを判断(ステップS205)し、記録済であればステップS215に進み、記録済でなければステップS206に進む。すなわち、IM記録部210に記録されている相互変調妨害波チャンネル(後述の第1の相互変調妨害波チャンネル及び第2の相互変調妨害波チャンネル)については、チャンネルサーチのスキップ対象として、以下のサーチを行わずに、次のチャンネルにスキップする。
【0046】
ステップS205で記録済でない場合は、Mが相互変調妨害波チャンネルであると仮定した場合の妨害信号源となり得るチャンネルM−4からチャンネルM+4までのチャンネルを妨害サーチ対象とし、妨害サーチ対象チャンネルXにチャンネルM−4を設定する(ステップS206)。
【0047】
制御部204は、妨害サーチ対象チャンネルXの電界強度Yxを判定(ステップS207)し、弱電界であればステップS209に進み、強電界であればステップS208に進む。
【0048】
ステップS207で強電界の場合は、電界強度Yxに1を設定する(ステップS208)。
【0049】
ステップS207で弱電界の場合は、電界強度Yxに0を設定する(ステップS209)。
【0050】
IM2波算出部209は、電界の強弱Yxを電界強度記録部211に記録する(ステップS210)。
【0051】
制御部204は、チャンネルM−4からチャンネルM+4までの電界強度を測定済みであるかを判定(ステップS211)し、妨害サーチ対象チャンネルX=M+4であれば妨害サーチ対象の全チャンネルについて測定済みとみなしてステップS213に進み、妨害サーチ対象チャンネルX=M+4でなければ未測定のチャンネルを測定するためにステップS212に進む。
【0052】
ステップS211で妨害サーチ対象チャンネルX=M+4でない場合は、妨害サーチ対象チャンネルX=X+1を行って次の妨害サーチ対象チャンネルに同調する(ステップS212)。
【0053】
ステップS211で妨害サーチ対象チャンネルX=M+4の場合は、ステップS213に進み、IM判定関数を呼び出してMが相互変調妨害波チャンネルであるかどうかの判定を行う。
【0054】
制御部204は、希望同調チャンネルMが最高周波数チャンネルMmaxに達したかどうかで全チャンネルサーチが完了したか判定(ステップS214)し、サーチが完了していなければステップS215に進み、希望同調チャンネルM=M+1を行って次の希望同調チャンネルへ移動する(ステップS215)。
【0055】
最低周波数チャンネルMminから最高周波数チャンネルMmaxまでサーチが完了した場合、ステップS201に戻りアイドル状態になる。すなわち、全チャンネルのサーチが完了し、全ての相互変調妨害波の記録がIM記録部210に記録された状態になる。
【0056】
次に、図3のフローチャートを用いて、図2のIM判定関数(ステップS213)の動作を説明する。
【0057】
IM判定関数は、IM2波算出部209で電界強度記録部211に記録された電界強度情報(YM−4、YM−2、YM−1、YM+1、YM+2、YM+4)から、チャンネルMが相互変調妨害波チャンネルであるかどうかを判定し、チャンネルMが相互変調妨害波チャンネルである場合にはチャンネルMおよびチャンネルMと同時に発生するもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2を記録する関数である。すなわち、チャンネルMが相互変調妨害波チャンネルである場合に、別のチャンネルを相互変調妨害波であると予測する。
【0058】
チャンネルMが相互変調妨害波であることの判定とチャンネルMが相互変調妨害波であった場合に発生するもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2の算出をするIM2波算出関数の具体的な処理内容を説明する。
【0059】
IM2波算出部209は、電界強度情報YM+1と電界強度情報YM+2が共に1(強電界)であることからチャンネルM+1とチャンネルM+2(妨害信号源)によってチャンネルMが相互変調妨害チャンネルになっているかを判定(ステップS250)し、相互変調妨害チャンネルと判定された場合には、M+3をもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2(第2の相互変調妨害波チャンネル)としてIM記録部210に記録(ステップS257)し、チャンネルMを相互変調妨害波チャンネル(第1の相互変調妨害波チャンネル)としてIM記録部210に記録する(ステップS258)。すなわち、チャンネルM+1とM+2が強電界の場合、チャンネルMを相互変調妨害波であると判定するとともに、チャンネルM+3を相互変調妨害波であると予測する。
【0060】
IM2波算出部209は、電界強度情報YM+2と電界強度情報YM+4が共に1であることからチャンネルM+2とチャンネルM+4によってチャンネルMが相互変調妨害チャンネルになっていかを判定(ステップS251)し、相互変調妨害チャンネルと判定された場合には、M+6をもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2としてIM記録部210に記録(ステップS256)し、チャンネルMを相互変調妨害波チャンネルとしてIM記録部210に記録する(ステップS258)。
【0061】
IM2波算出部209は、電界強度情報YM−1と電界強度情報YM−2が共に1であることからチャンネルM−1とチャンネルM−2によってチャンネルMが相互変調妨害チャンネルになっているかを判定(ステップS252)し、相互変調妨害チャンネルと判定された場合には、M−3をもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2としてIM記録部210に記録(ステップS255)し、チャンネルMを相互変調妨害波チャンネルとしてIM記録部210に記録する(ステップS258)。
【0062】
IM2波算出部209は、電界強度情報YM−2と電界強度情報YM−4が共に1であることからチャンネルM−2とチャンネルM−4によってチャンネルMが相互変調妨害チャンネルになっているかを判定(ステップS253)し、相互変調妨害チャンネルと判定された場合には、M−6をもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2としてIM記録部210に記録(ステップS254)し、チャンネルMを相互変調妨害波チャンネルとしてIM記録部210に記録する(ステップS258)。
【0063】
電界強度情報YM+1と電界強度情報YM+2、電界強度情報YM+2と電界強度情報YM+4、電界強度情報YM−1と電界強度情報YM−2、電界強度情報YM−2と電界強度情報YM−4のいずれの組み合わせにおいても電界強度が共に1とはならない場合(どの組み合わせでも弱電界がある場合)には、相互変調妨害波チャンネルは存在しないと判定して、チャンネルM(第1の相互変調妨害波チャンネル)とチャンネルM2(第2の相互変調妨害波チャンネル)を記録せずに処理を終了する。
【0064】
また本実施形態では、相互変調妨害波をサーチするチャンネル数を自己のチャンネルに対して±4チャンネルとしたが、サーチするチャンネル数はいくつでも良い。
【0065】
IM記録部210に記録したチャンネルMと、もう一つの相互変調妨害波チャンネルM2の情報は、ステップS205において参照される。
【0066】
図4は、本発明の実施の形態1の周波数スペクトルの模式図であり、図4を用いて図1〜3のメカニズムを説明する。図4において、妨害サーチ対象をチャンネルM±2の帯域とする。
【0067】
二つの周波数チャンネルM+1、M+2の信号をデバイスに入力した場合、図1のRF部202における高周波信号増幅や中間周波数信号増幅の非直線性により2次高調波((M+1)×2)と2次高調波((M+2)×2)が発生する。前記高調波と基本波M+1、M+2により、図4のチャンネルMに相当する次式1と図4のチャンネルM+3に相当する次式2のそれぞれの周波数成分(相互変調妨害波)が発生する。
2(M+1)−(M+2) ・・・ (式1)
2(M+2)−(M+1) ・・・ (式2)
【0068】
したがって、チャンネルMを相互変調妨害波であると仮定してM+1およびM+2に信号が存在した場合には、前記式2によりM+3にも相互変調妨害波チャンネルM2が存在することになる。
【0069】
制御部204は、チャンネルMを希望同調チャンネルとした時に、IM2波算出部209による図2、図3におけるステップS206〜ステップS213およびステップS250〜ステップS253にかけての妨害サーチ処理によりチャンネルMが相互変調妨害波であることが確定できた場合には、チャンネルM+3が相互変調妨害波チャンネルM2であることを確定し、IM記録部210は図3におけるステップS258の処理によりチャンネルMを相互変調妨害波として記録するとともに図3におけるステップS257の処理によりチャンネルM+3を相互変調妨害波チャンネルM2として記録する。すなわち、希望周波数チャンネルMが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上でチャンネルMの相互変調妨害波の源信号(妨害信号源)であるM+1、M+2をはさんで反対側にあらわれるM+3を相互変調妨害波とする。
【0070】
したがって、チャンネルMが相互変調妨害波であることが確定した後で希望同調チャンネルをM+3に変更する場合、ステップS257によってIM記録部210が記録した情報によりM+3が相互変調妨害波チャンネルM2であるため、チャンネルM2を中心周波数とする±2チャンネル分の妨害サーチ対象チャンネルについてはRF同調、電界強度取得、IM判断の各演算処理を省略することができる。
【0071】
以上説明したとおり、実施の形態1では、一つの相互変調妨害波を検出した場合に、同時にもう一つの相互変調妨害波の検出を可能とすることで、妨害サーチに要する演算処理量を従来技術に比べて3/4に減らし、システムの応答時間を短縮することができる効果がある。すなわち、第1の相互変調妨害波を検出した場合、第1の相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる第2の相互変調妨害波を検出し、第2の相互変調妨害波を希望周波数チャンネルとするサーチをスキップするため、演算処理・応答時間を短縮することができる。
【0072】
本発明の実施の形態2
次に、図面を参照して本発明の実施の形態2について説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機のシステム構成を示すブロック図である。
【0073】
実施の形態2では、図1のIM2波算出部209に対して、サーチキャンセル記録部212が追加されている。
【0074】
サーチキャンセル記録部212は、制御部204から入力される妨害サーチ対象チャンネルXを記録する。
【0075】
IM2波算出部209は制御部204から入力された希望同調周波数Mがサーチキャンセル記録部212に保持されている妨害サーチ対象チャンネルXに一致すると、サーチキャンセル済みの信号を制御部204に出力する。
【0076】
図6のフローチャートは、本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示している。
【0077】
実施の形態2は、図2のフローチャートに対してステップS301とステップS302が追加されている。
【0078】
制御部204は、IM記録済のチャンネルかを判断(ステップS205)し、記録済であればステップS215に進み、記録済でなければステップS301に進む。
【0079】
ステップS205で記録済でない場合は、サーチキャンセル記録部212を参照し、サーチキャンセル済のチャンネルかを判断(ステップS301)し、サーチキャンセル済であればステップS215に進み、サーチキャンセル済でなければステップS206に進む。
【0080】
ステップS205でIM記録済でなく、かつ、ステップS301でサーチキャンセル済みでない場合は、希望同調チャンネルMが相互変調妨害波チャンネルであると仮定した場合の妨害信号源となり得るチャンネルM−4からチャンネルM+4までのチャンネルを妨害サーチ対象とし、妨害サーチ対象チャンネルXにチャンネルM−4を設定し、同調する(ステップS206)。
【0081】
制御部204は、電界強度Yxを判定(ステップS207)し、弱電界であればステップS209に進み、強電界であればステップS208に進む。
【0082】
ステップS207で強電界の場合は、電界強度Yxに1を設定する(ステップS208)。
【0083】
ステップS207で弱電界の場合は、電界強度Yxに0を設定する(ステップS209)。
【0084】
IM2波算出部209は、周波数Xをサーチキャンセル記録部212に記録する(ステップS302)。
【0085】
IM2波算出部209は、電界の強弱Yxを電界強度記録部211に記録する(ステップS210)。
【0086】
図7は、本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機における周波数スペクトルの模式図であり、チャンネルM±2の帯域について示す図ある。
【0087】
実施の形態2の場合、妨害サーチ処理によってチャンネルM+3に相互変調妨害波M2が存在することと、サーチキャンセル記録部212の情報によってチャンネルM+1およびチャンネルM+2の信号有無がサーチ済みであることが保証されるため、希望同調チャンネルMのサーチ後にはチャンネルM+1、チャンネルM+2、M+3のそれぞれのチャンネルのサーチを行うことなく、希望同調チャンネルをチャンネルM+4へ変更することが可能となり、実施の形態1で希望同調チャンネルをM+3に変更する場合に加え、M+1およびM+2とする場合においても妨害サーチ処理を省略できる。
【0088】
以上説明したとおり、実施の形態2では、希望同調チャンネルをM+1、M+2、およびM+3とした場合の妨害サーチ処理の省略を可能とすることで、妨害サーチに要する演算処理量を従来技術に比べて1/4に減らし、システムの応答時間を短縮することができる効果がある。すなわち、実施の形態1と同様に、第1の相互変調妨害波を検出した場合、第1の相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる第2の相互変調妨害波を検出し、第2の相互変調妨害波を希望周波数チャンネルとするサーチをスキップするとともに、実施の形態2では、さらに、妨害サーチ処理でサーチした全チャンネルについても、希望周波数チャンネルとするサーチをスキップするため、演算処理・応答時間をさらに短縮することができる。
【0089】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記の例ではラジオ受信機について説明したが、相互変調妨害が生じ得るような、その他の無線受信装置であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
100 アンテナ
200 ラジオ受信機
202 RF部
203 検波部
204 制御部
205 AGC回路
206 トリガ検出部
207 電界強度取得部
208 IM記録制御部
209 IM2波算出部
210 IM記録部
211 電界強度記録部
212 サーチキャンセル記録部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオ受信機及び放送局サーチ方法に関し、特に、自動的にチャンネルサーチを行うラジオ受信機及び放送局サーチ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FM/AMラジオ受信機には操作者による機器のボタン操作等により放送波のサーチを開始し、自律的に放送波を検出、検波を開始する自動サーチ機能が基本的機能として備わっている。しかしながら、ラジオの周波数帯域には電波の相互変調作用によって本来放送波が無い周波数に信号が出現することがあり、ラジオ受信機が正規の放送波と誤認してしまい、自動サーチを停止させてしまう場合があり、誤って停止しないことが望まれている。
【0003】
従来のラジオ受信機が、特許文献1に記載されている。この従来技術は、無線受信機において相互変調妨害による感度劣化が起きている時以外はAGC回路を動作しないようにし、常に最適な受信感度が得られるようにすることを目的としている。
【0004】
図8は、特許文献1に記載された従来のラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【0005】
図8において、従来のラジオ受信機は、ロッドアンテナや簡易ループアンテナ等のアンテナ1と、高周波増幅部や第1混合回路、第1混合回路に第1の局部発振周波数を供給する第1の局部発振器、第1の混合回路の出力から選択的に周波数領域を選別するバンドパスフィルタ、該バンドパスフィルタの出力を周波数変換する第2の混合回路、第2の混合回路に第2の局部発振周波数を供給する第2の局部発振器、第2の混合回路の出力から選択的に周波数領域を選別するバンドパスフィルタ、該バンドパスフィルタの出力を高利得で増幅する中間周波数増幅回路とから構成される無線部2と、該無線部2の出力を受けて受信信号を復調する検波IC3と、該検波IC3の受信信号レベルと復調された受信信号とを受けて各部へ制御信号を出力すると共に、受信信号を出力する制御部4と、アンテナ1への受信信号のレベルを制御するAGC回路5とから構成されている。
【0006】
また、従来のラジオ受信機は、上記中間周波数増幅回路の受信信号がリニアに動作するIF段からダイオード等の受信信号レベルを検出して電界強度をモニターする電界強度モニター部7と、受信周波数に応じて電界強度や受信データを記憶するチャンネルデータ記憶部6が付加されている。
【0007】
アンテナ1で受信した信号は、電界強度モニター部7で検出され、信号レベルに応じた電圧が制御部4へ出力される。制御部4は、入力された電圧をデジタルデータに変換し、チャンネルデータ記憶部6に記憶する。更に、制御部4はチャンネルデータ記憶部6の情報を判定し、AGC回路5を制御する。
【0008】
制御部4(チャンネルサーチ手段)は受信機が同期から非同期状態に移行した際に動作し、サーチしたチャンネルと、そのチャンネルの電界の強さを示すアナログ信号を、デジタルデータに変換して、チャンネルデータ記憶部6に記憶する。チャンネルデータ記憶部6に記憶された電界の強いチャンネルが、予め設定された相互変調妨害を起こす条件と一致した場合に、AGCが動作する。
【0009】
図9は、従来のラジオ受信機によるチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【0010】
図9のフローチャートにおいて、待ち受け状態(ステップ101)の従来のラジオ受信機が同期判定(ステップ102)において、非同期状態となると、従来のラジオ受信機はチャンネルサーチ(ステップ103)を行う。
【0011】
チャンネルサーチは、局部発振回路にシンセサイザー方式を用いた受信機においては、制御部4からの周波数データを変化させて無線部2の第1の局部発振器の発振周波数を制御することにより可能である。例えば、サーチするチャンネルをチャンネルXとし、自己の回線をチャンネルMとすると、チャンネルサーチは、チャンネルM−4からチャンネルM+4まで+1チャンネルステップで行う。チャンネルサーチ中は、各チャンネルにおいて電界検出を行う。
【0012】
ここで、チャンネルM−4について説明すると、制御部4からの周波数データの変更により、局部発振周波数がチャンネルM−4に設定される。電界強度モニター部7により、そのチャンネルの電界強度に応じた電圧が制御部4へ出力される。前記出力電圧と、制御部4の持つシュレッシュホールドレベルにより、そのチャンネルの電界の強弱が判定され(ステップ105)、電界強度をYXとすると強電界であればYM−4=1(ステップ106)が、弱電界であればYM−4=0(ステップ107)がチャンネルデータ記憶部6に記憶される(ステップ108)。
【0013】
同様に、チャンネル部M−3,M−2,…と+1チャンネルステップで、チャンネルM+4まで繰り返し行う(ステップ109)。このチャンネルXとそのチャンネルXの電界強度の関係例を、図9上*1で示す例示を、図10に示す。
【0014】
その結果、チャンネルデータ記憶部6のデータの内、YX=1となる強電界と判定されたチャンネルが予め設定された相互変調妨害を起こす条件と一致している場合(ステップ111)、AGCを動作させる(ステップ112)。また、相互変調妨害を起こす条件と一致していない場合(ステップ111)、AGCの動作をオフとして通常動作に移る(ステップ112)。
【0015】
ここで、ステップ111の判断時に、図9上*2で示す相互変調妨害を起こす条件は、下記チャンネルの関係が共に強電界(YX=1)で有る場合をいう。
【0016】
すなわち、(1)チャンネルM−1と、チャンネルM−2、又は、(2)チャンネルM−2と、チャンネルM−4、又は、(3)チャンネルM+1と、チャンネルM+2、又は、(4)チャンネルM+2と、チャンネルM+4、が強電界の場合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11−145858(図1、2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記の従来のラジオ受信機では、自動サーチを行なう場合にチャンネルMに同調する度に近傍のM±4チャンネルのサーチを繰り返すために演算量が増えてしまいラジオ受信機システム全体の応答時間が遅くなってしまうという問題があった。
【0019】
その理由としては、周波数Mが相互変調妨害波であることを判断するために、図10に示すようにM−4の周波数からM+4までのMを含む合計9チャンネルについて信号の強弱を確認するために演算量が9倍に増大しており、カー・ラジオ受信機等に備わっている自動チャンネル・プリセット機能のように、一時に放送バンドの全帯域をサーチする場合、受信機システム全体の応答時間に大きな影響を与えるためである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係るラジオ受信機は、自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機であって、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするIM記録制御部を有し、前記IM記録制御部は、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを、チャンネルサーチのスキップ対象とするものである。
【0021】
本発明に係る放送局サーチ方法は、自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機における放送局サーチ方法であって、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするために相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップと、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波であると予測される場合に、当該チャンネルのサーチをスキップするステップとを有し、前記相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップは、前記希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれるチャンネルを、相互変調妨害波であると予測することを特徴とする放送局サーチ方法。
【0022】
本発明では、希望周波数チャンネルが相互変調妨害波であった場合に当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルをスキップして、チャンネルサーチを行うことにより、相互変調妨害波探索に関わるサーチ演算量を減らすことができ、システムの応答時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、チャンネルサーチにおける演算量を減らし、システムの応答時間を短縮可能なラジオ受信機及び放送局サーチ方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機が受信する受信波の周波数スペクトルの模式図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機が受信する受信波の周波数スペクトルの模式図である。
【図8】従来のラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【図9】従来のラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示すフローチャートである。
【図10】従来のラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るラジオ受信機200のシステム構成を示すブロック図である。このラジオ受信機200は、自動チャンネルサーチ機能を有する受信機であり、チャンネルサーチにより相互変調妨害波のチャンネルを検出する。
【0026】
ラジオ受信機200は、ロッドアンテナやループアンテナ等の放送波を受信するアンテナ100と、受信周波数をチャンネル毎に自動利得制御するAGC回路205と、アンテナ100で受信した放送波信号を増幅する増幅回路や放送波信号を中間周波数信号に周波数変換する混合回路とから構成されるRF部202と、RF部202の出力信号を受けて復調する検波部203と、電源投入やユーザのボタン操作の有無を検出するトリガ検出部206と、RF部202の出力信号を受けて電界強度を測定する電界強度取得部207と、電界強度取得部207が出力する電界強度値を記録するIM記録制御部208とで構成される
【0027】
アンテナ100は、放送波を入力し、RF部202に放送波を出力する。
【0028】
RF部202は、アンテナ100からの放送波とIM記録制御部208からの同調チャンネル情報をそれぞれ入力し、検波部203と電界強度取得部207に中間周波数信号をそれぞれ出力する。
【0029】
検波部203は、RF部202より中間周波数信号を入力し、ラジオ受信機200外部(図示せず)のオーディオ・アンプやスピーカに復調信号を出力する。
【0030】
AGC回路205は、電界強度取得部207より電界強度情報を入力し、RF部202に利得調整信号を出力する。
【0031】
トリガ検出部206は、電源投入やユーザのボタン操作の有無を検出し、IM記録制御部208にサーチ開始信号を出力する。
【0032】
電界強度取得部207は、RF部202より中間周波数信号を入力し、IM記録制御部208とAGC回路205とに電界強度情報をそれぞれ出力する。
【0033】
IM記録制御部208は、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをする制御部であり、特に、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを、チャンネルサーチのスキップ対象とするものである。そして、IM記録制御部208は、同調チャンネルを決定する制御部204と、相互変調妨害波チャンネルと電界強度情報を保持するIM2波算出部209とで構成される。
【0034】
制御部204は、トリガ検出部206よりサーチ開始信号を入力し、IM2波算出部209に同調チャンネル情報と電界強度情報とを出力するとともに、RF部202に同調チャンネル情報を出力する。
【0035】
IM2波算出部209は、相互変調妨害波のチャンネルを算出するための算出部であり、特に、相互変調妨害波を予測するために必要なチャンネル数分の情報を記録し、この記録を基に発生しうる相互変調妨害波のチャンネルを算出するものである。そして、IM2波算出部209は、制御部204より同調チャンネル情報と電界強度情報を入力し、制御部204に相互変調妨害波チャンネル一致信号を出力する。
【0036】
IM2波算出部209は、相互変調妨害波チャンネル情報を保持するIM記録部210と、相互変調妨害波チャンネルの電界強度を保持する電界強度記録部211とで構成される。
【0037】
IM記録部210は、制御部204から入力された同調チャンネルを元にIM2波算出部209で算出された2つの相互変調妨害波チャンネルを記録する。
【0038】
電界強度記録部211は、制御部204から入力された電界強度情報を記録し、相互変調妨害波を予測するために必要なチャンネル数分の電界強度情報を記録する。
【0039】
図2、図3は、本発明の実施の形態1に係るチャンネルサーチ方法(放送局サーチ方法)を示すフローチャートである。このチャンネルサーチ方法は、以下に説明するように、全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするために相互変調妨害波であるか否かを算出して判定し(S213)、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波であると予測される場合に、当該チャンネルのサーチをスキップするものであり(S205)、特に、希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれるチャンネルを、相互変調妨害波であると予測する(S250〜S258)。
【0040】
図2は、ラジオ受信機200における、チャンネルサーチ方法の全体の動作を示している。
【0041】
ラジオ受信機200は、トリガ検出部206からのサーチ開始信号を待ち合わせている(以降、アイドル状態と称す)(ステップS201)。
【0042】
制御部204は、トリガ検出部206からのサーチ開始信号が入力されることにより、全チャンネルサーチの開始をする(ステップS202)。
【0043】
制御部204は、全チャンネルサーチを開始すると希望同調チャンネル帯域の最低周波数チャンネルMminから最高周波数チャンネルMmaxまでのサーチを行なう(ステップS203)。すなわち、サーチを開始するために、希望同調チャンネルMを最低周波数チャンネルMminに設定する。なお、希望同調チャンネル、あるいは、希望周波数チャンネルとは、複数のチャンネルから順次チャンネルが選択されてサーチが行われるチャンネルサーチにおいて、現在サーチ対象として選択されているチャンネルである。
【0044】
IM2波算出部209は、制御部204から最低周波数チャンネルMminが入力されることで、相互変調妨害波の判定を初期化するために、IM記録部210の古いIM記録(相互変調妨害波の記録)の破棄をする(ステップS204)。
【0045】
制御部204は、IM記録部210を参照し、希望同調チャンネルMがIM記録済すなわち相互変調妨害を受けているチャンネルであるかを判断(ステップS205)し、記録済であればステップS215に進み、記録済でなければステップS206に進む。すなわち、IM記録部210に記録されている相互変調妨害波チャンネル(後述の第1の相互変調妨害波チャンネル及び第2の相互変調妨害波チャンネル)については、チャンネルサーチのスキップ対象として、以下のサーチを行わずに、次のチャンネルにスキップする。
【0046】
ステップS205で記録済でない場合は、Mが相互変調妨害波チャンネルであると仮定した場合の妨害信号源となり得るチャンネルM−4からチャンネルM+4までのチャンネルを妨害サーチ対象とし、妨害サーチ対象チャンネルXにチャンネルM−4を設定する(ステップS206)。
【0047】
制御部204は、妨害サーチ対象チャンネルXの電界強度Yxを判定(ステップS207)し、弱電界であればステップS209に進み、強電界であればステップS208に進む。
【0048】
ステップS207で強電界の場合は、電界強度Yxに1を設定する(ステップS208)。
【0049】
ステップS207で弱電界の場合は、電界強度Yxに0を設定する(ステップS209)。
【0050】
IM2波算出部209は、電界の強弱Yxを電界強度記録部211に記録する(ステップS210)。
【0051】
制御部204は、チャンネルM−4からチャンネルM+4までの電界強度を測定済みであるかを判定(ステップS211)し、妨害サーチ対象チャンネルX=M+4であれば妨害サーチ対象の全チャンネルについて測定済みとみなしてステップS213に進み、妨害サーチ対象チャンネルX=M+4でなければ未測定のチャンネルを測定するためにステップS212に進む。
【0052】
ステップS211で妨害サーチ対象チャンネルX=M+4でない場合は、妨害サーチ対象チャンネルX=X+1を行って次の妨害サーチ対象チャンネルに同調する(ステップS212)。
【0053】
ステップS211で妨害サーチ対象チャンネルX=M+4の場合は、ステップS213に進み、IM判定関数を呼び出してMが相互変調妨害波チャンネルであるかどうかの判定を行う。
【0054】
制御部204は、希望同調チャンネルMが最高周波数チャンネルMmaxに達したかどうかで全チャンネルサーチが完了したか判定(ステップS214)し、サーチが完了していなければステップS215に進み、希望同調チャンネルM=M+1を行って次の希望同調チャンネルへ移動する(ステップS215)。
【0055】
最低周波数チャンネルMminから最高周波数チャンネルMmaxまでサーチが完了した場合、ステップS201に戻りアイドル状態になる。すなわち、全チャンネルのサーチが完了し、全ての相互変調妨害波の記録がIM記録部210に記録された状態になる。
【0056】
次に、図3のフローチャートを用いて、図2のIM判定関数(ステップS213)の動作を説明する。
【0057】
IM判定関数は、IM2波算出部209で電界強度記録部211に記録された電界強度情報(YM−4、YM−2、YM−1、YM+1、YM+2、YM+4)から、チャンネルMが相互変調妨害波チャンネルであるかどうかを判定し、チャンネルMが相互変調妨害波チャンネルである場合にはチャンネルMおよびチャンネルMと同時に発生するもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2を記録する関数である。すなわち、チャンネルMが相互変調妨害波チャンネルである場合に、別のチャンネルを相互変調妨害波であると予測する。
【0058】
チャンネルMが相互変調妨害波であることの判定とチャンネルMが相互変調妨害波であった場合に発生するもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2の算出をするIM2波算出関数の具体的な処理内容を説明する。
【0059】
IM2波算出部209は、電界強度情報YM+1と電界強度情報YM+2が共に1(強電界)であることからチャンネルM+1とチャンネルM+2(妨害信号源)によってチャンネルMが相互変調妨害チャンネルになっているかを判定(ステップS250)し、相互変調妨害チャンネルと判定された場合には、M+3をもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2(第2の相互変調妨害波チャンネル)としてIM記録部210に記録(ステップS257)し、チャンネルMを相互変調妨害波チャンネル(第1の相互変調妨害波チャンネル)としてIM記録部210に記録する(ステップS258)。すなわち、チャンネルM+1とM+2が強電界の場合、チャンネルMを相互変調妨害波であると判定するとともに、チャンネルM+3を相互変調妨害波であると予測する。
【0060】
IM2波算出部209は、電界強度情報YM+2と電界強度情報YM+4が共に1であることからチャンネルM+2とチャンネルM+4によってチャンネルMが相互変調妨害チャンネルになっていかを判定(ステップS251)し、相互変調妨害チャンネルと判定された場合には、M+6をもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2としてIM記録部210に記録(ステップS256)し、チャンネルMを相互変調妨害波チャンネルとしてIM記録部210に記録する(ステップS258)。
【0061】
IM2波算出部209は、電界強度情報YM−1と電界強度情報YM−2が共に1であることからチャンネルM−1とチャンネルM−2によってチャンネルMが相互変調妨害チャンネルになっているかを判定(ステップS252)し、相互変調妨害チャンネルと判定された場合には、M−3をもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2としてIM記録部210に記録(ステップS255)し、チャンネルMを相互変調妨害波チャンネルとしてIM記録部210に記録する(ステップS258)。
【0062】
IM2波算出部209は、電界強度情報YM−2と電界強度情報YM−4が共に1であることからチャンネルM−2とチャンネルM−4によってチャンネルMが相互変調妨害チャンネルになっているかを判定(ステップS253)し、相互変調妨害チャンネルと判定された場合には、M−6をもう一つの相互変調妨害波チャンネルM2としてIM記録部210に記録(ステップS254)し、チャンネルMを相互変調妨害波チャンネルとしてIM記録部210に記録する(ステップS258)。
【0063】
電界強度情報YM+1と電界強度情報YM+2、電界強度情報YM+2と電界強度情報YM+4、電界強度情報YM−1と電界強度情報YM−2、電界強度情報YM−2と電界強度情報YM−4のいずれの組み合わせにおいても電界強度が共に1とはならない場合(どの組み合わせでも弱電界がある場合)には、相互変調妨害波チャンネルは存在しないと判定して、チャンネルM(第1の相互変調妨害波チャンネル)とチャンネルM2(第2の相互変調妨害波チャンネル)を記録せずに処理を終了する。
【0064】
また本実施形態では、相互変調妨害波をサーチするチャンネル数を自己のチャンネルに対して±4チャンネルとしたが、サーチするチャンネル数はいくつでも良い。
【0065】
IM記録部210に記録したチャンネルMと、もう一つの相互変調妨害波チャンネルM2の情報は、ステップS205において参照される。
【0066】
図4は、本発明の実施の形態1の周波数スペクトルの模式図であり、図4を用いて図1〜3のメカニズムを説明する。図4において、妨害サーチ対象をチャンネルM±2の帯域とする。
【0067】
二つの周波数チャンネルM+1、M+2の信号をデバイスに入力した場合、図1のRF部202における高周波信号増幅や中間周波数信号増幅の非直線性により2次高調波((M+1)×2)と2次高調波((M+2)×2)が発生する。前記高調波と基本波M+1、M+2により、図4のチャンネルMに相当する次式1と図4のチャンネルM+3に相当する次式2のそれぞれの周波数成分(相互変調妨害波)が発生する。
2(M+1)−(M+2) ・・・ (式1)
2(M+2)−(M+1) ・・・ (式2)
【0068】
したがって、チャンネルMを相互変調妨害波であると仮定してM+1およびM+2に信号が存在した場合には、前記式2によりM+3にも相互変調妨害波チャンネルM2が存在することになる。
【0069】
制御部204は、チャンネルMを希望同調チャンネルとした時に、IM2波算出部209による図2、図3におけるステップS206〜ステップS213およびステップS250〜ステップS253にかけての妨害サーチ処理によりチャンネルMが相互変調妨害波であることが確定できた場合には、チャンネルM+3が相互変調妨害波チャンネルM2であることを確定し、IM記録部210は図3におけるステップS258の処理によりチャンネルMを相互変調妨害波として記録するとともに図3におけるステップS257の処理によりチャンネルM+3を相互変調妨害波チャンネルM2として記録する。すなわち、希望周波数チャンネルMが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上でチャンネルMの相互変調妨害波の源信号(妨害信号源)であるM+1、M+2をはさんで反対側にあらわれるM+3を相互変調妨害波とする。
【0070】
したがって、チャンネルMが相互変調妨害波であることが確定した後で希望同調チャンネルをM+3に変更する場合、ステップS257によってIM記録部210が記録した情報によりM+3が相互変調妨害波チャンネルM2であるため、チャンネルM2を中心周波数とする±2チャンネル分の妨害サーチ対象チャンネルについてはRF同調、電界強度取得、IM判断の各演算処理を省略することができる。
【0071】
以上説明したとおり、実施の形態1では、一つの相互変調妨害波を検出した場合に、同時にもう一つの相互変調妨害波の検出を可能とすることで、妨害サーチに要する演算処理量を従来技術に比べて3/4に減らし、システムの応答時間を短縮することができる効果がある。すなわち、第1の相互変調妨害波を検出した場合、第1の相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる第2の相互変調妨害波を検出し、第2の相互変調妨害波を希望周波数チャンネルとするサーチをスキップするため、演算処理・応答時間を短縮することができる。
【0072】
本発明の実施の形態2
次に、図面を参照して本発明の実施の形態2について説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機のシステム構成を示すブロック図である。
【0073】
実施の形態2では、図1のIM2波算出部209に対して、サーチキャンセル記録部212が追加されている。
【0074】
サーチキャンセル記録部212は、制御部204から入力される妨害サーチ対象チャンネルXを記録する。
【0075】
IM2波算出部209は制御部204から入力された希望同調周波数Mがサーチキャンセル記録部212に保持されている妨害サーチ対象チャンネルXに一致すると、サーチキャンセル済みの信号を制御部204に出力する。
【0076】
図6のフローチャートは、本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機のチャンネルサーチ方法を示している。
【0077】
実施の形態2は、図2のフローチャートに対してステップS301とステップS302が追加されている。
【0078】
制御部204は、IM記録済のチャンネルかを判断(ステップS205)し、記録済であればステップS215に進み、記録済でなければステップS301に進む。
【0079】
ステップS205で記録済でない場合は、サーチキャンセル記録部212を参照し、サーチキャンセル済のチャンネルかを判断(ステップS301)し、サーチキャンセル済であればステップS215に進み、サーチキャンセル済でなければステップS206に進む。
【0080】
ステップS205でIM記録済でなく、かつ、ステップS301でサーチキャンセル済みでない場合は、希望同調チャンネルMが相互変調妨害波チャンネルであると仮定した場合の妨害信号源となり得るチャンネルM−4からチャンネルM+4までのチャンネルを妨害サーチ対象とし、妨害サーチ対象チャンネルXにチャンネルM−4を設定し、同調する(ステップS206)。
【0081】
制御部204は、電界強度Yxを判定(ステップS207)し、弱電界であればステップS209に進み、強電界であればステップS208に進む。
【0082】
ステップS207で強電界の場合は、電界強度Yxに1を設定する(ステップS208)。
【0083】
ステップS207で弱電界の場合は、電界強度Yxに0を設定する(ステップS209)。
【0084】
IM2波算出部209は、周波数Xをサーチキャンセル記録部212に記録する(ステップS302)。
【0085】
IM2波算出部209は、電界の強弱Yxを電界強度記録部211に記録する(ステップS210)。
【0086】
図7は、本発明の実施の形態2に係るラジオ受信機における周波数スペクトルの模式図であり、チャンネルM±2の帯域について示す図ある。
【0087】
実施の形態2の場合、妨害サーチ処理によってチャンネルM+3に相互変調妨害波M2が存在することと、サーチキャンセル記録部212の情報によってチャンネルM+1およびチャンネルM+2の信号有無がサーチ済みであることが保証されるため、希望同調チャンネルMのサーチ後にはチャンネルM+1、チャンネルM+2、M+3のそれぞれのチャンネルのサーチを行うことなく、希望同調チャンネルをチャンネルM+4へ変更することが可能となり、実施の形態1で希望同調チャンネルをM+3に変更する場合に加え、M+1およびM+2とする場合においても妨害サーチ処理を省略できる。
【0088】
以上説明したとおり、実施の形態2では、希望同調チャンネルをM+1、M+2、およびM+3とした場合の妨害サーチ処理の省略を可能とすることで、妨害サーチに要する演算処理量を従来技術に比べて1/4に減らし、システムの応答時間を短縮することができる効果がある。すなわち、実施の形態1と同様に、第1の相互変調妨害波を検出した場合、第1の相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる第2の相互変調妨害波を検出し、第2の相互変調妨害波を希望周波数チャンネルとするサーチをスキップするとともに、実施の形態2では、さらに、妨害サーチ処理でサーチした全チャンネルについても、希望周波数チャンネルとするサーチをスキップするため、演算処理・応答時間をさらに短縮することができる。
【0089】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記の例ではラジオ受信機について説明したが、相互変調妨害が生じ得るような、その他の無線受信装置であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
100 アンテナ
200 ラジオ受信機
202 RF部
203 検波部
204 制御部
205 AGC回路
206 トリガ検出部
207 電界強度取得部
208 IM記録制御部
209 IM2波算出部
210 IM記録部
211 電界強度記録部
212 サーチキャンセル記録部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機であって、
全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするIM記録制御部を有し、
前記IM記録制御部は、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを、チャンネルサーチのスキップ対象とすることを特徴とするラジオ受信機。
【請求項2】
前記IM記録制御部は、
チャンネルの同調を制御するための制御部と、
相互変調妨害波のチャンネルを算出するためのIM2波算出部とを有し、
前記制御部は、同調したチャンネル情報および前記チャンネルの電界強度情報をIM2波算出部に送り、
前記IM2波算出部は、相互変調妨害波を予測するために必要なチャンネル数分の情報を記録し、前記記録を基に発生しうる相互変調妨害波のチャンネルを算出することを特徴とする請求項1に記載のラジオ受信機。
【請求項3】
前記IM2波算出部は、
相互変調妨害波のチャンネル情報を記録するIM記録部と、
相互変調妨害波を予測するために必要なチャンネル数分の電界強度情報を記録する電界強度記録部とを有することを特徴とする請求項2に記載のラジオ受信機。
【請求項4】
自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機における放送局サーチ方法であって、
全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするために相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップと、
サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波であると予測される場合に、当該チャンネルのサーチをスキップするステップとを有し、
前記相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップは、前記希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれるチャンネルを、相互変調妨害波であると予測することを特徴とする放送局サーチ方法。
【請求項5】
前記相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップは、前記希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを算出して記録部に記録し、
前記チャンネルのサーチをスキップするステップは、前記記録部に相互変調妨害波として記録済みのチャンネルのサーチをスキップすることを特徴とする請求項4に記載の放送局サーチ方法
【請求項1】
自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機であって、
全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするIM記録制御部を有し、
前記IM記録制御部は、サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを、チャンネルサーチのスキップ対象とすることを特徴とするラジオ受信機。
【請求項2】
前記IM記録制御部は、
チャンネルの同調を制御するための制御部と、
相互変調妨害波のチャンネルを算出するためのIM2波算出部とを有し、
前記制御部は、同調したチャンネル情報および前記チャンネルの電界強度情報をIM2波算出部に送り、
前記IM2波算出部は、相互変調妨害波を予測するために必要なチャンネル数分の情報を記録し、前記記録を基に発生しうる相互変調妨害波のチャンネルを算出することを特徴とする請求項1に記載のラジオ受信機。
【請求項3】
前記IM2波算出部は、
相互変調妨害波のチャンネル情報を記録するIM記録部と、
相互変調妨害波を予測するために必要なチャンネル数分の電界強度情報を記録する電界強度記録部とを有することを特徴とする請求項2に記載のラジオ受信機。
【請求項4】
自動チャンネルサーチ機能を有するラジオ受信機における放送局サーチ方法であって、
全てのチャンネルを検索する場合において、相互変調妨害波を予測してチャンネルサーチをするために相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップと、
サーチ対象の希望周波数チャンネルが相互変調妨害波であると予測される場合に、当該チャンネルのサーチをスキップするステップとを有し、
前記相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップは、前記希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれるチャンネルを、相互変調妨害波であると予測することを特徴とする放送局サーチ方法。
【請求項5】
前記相互変調妨害波であるか否かを算出して判定するステップは、前記希望周波数チャンネルが相互変調妨害波である場合に、周波数スペクトル上で当該相互変調妨害波の源信号をはさんで反対側にあらわれる相互変調妨害波のチャンネルを算出して記録部に記録し、
前記チャンネルのサーチをスキップするステップは、前記記録部に相互変調妨害波として記録済みのチャンネルのサーチをスキップすることを特徴とする請求項4に記載の放送局サーチ方法
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−38675(P2013−38675A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174694(P2011−174694)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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