説明

ラック群のセキュリティ装置

【課題】 電子機器収納ラック群への人のアクセスを一体的に規制するセキュリティ装置を提供すること。
【解決手段】 本発明は、内部に電子機器を有する複数の電子機器収納ラック2が複数の列をなすように設置された電子機器収納ラック群において、対向する電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に位置し、通路を遮蔽する壁体10と、壁体を支持する支持体20とを備え、壁体10はロック装置30を備え、ロック装置30を施錠することにより、電子機器収納ラック群へのアクセスを一体的に規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器収納ラックへの人のアクセスを規制するセキュリティ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データセンター等に設置されるサーバーや通信機器などの電子機器群においては、人のこれら電子機器へ不正なアクセスや不用意な接触を避けるため、人の電子機器への物理的なアクセスを規制している。一般的にこのような規制を行う手法として、データセンターや電算機室への入室を規制するだけでなく、電子機器群を収納するラック単位でロック装置を設け、これら電子機器へのアクセスを規制している。
【0003】
このような先行技術として、特許文献1と特許文献2がある。
特許文献1には、 収容されている電子機器のセキュリティを高める電子機器収容ラックを提供することを目的とし、 電子機器収容ラックは、内部に電子機器を収容するラック本体と、ラック本体の前面に設けられた扉とから構成され、扉の左端部の中央には扉を開閉するための取っ手が設けられ、扉の取っ手には、第一のロック装置が、また取っ手の上部には第二のロック装置が、それぞれ独立して設けられ、これにより、第一のロック装置と第二のロック装置とで扉の解錠を行うことによって、扉を開けることができる電子機器収容ラックの構成が開示されている。
また、特許文献2にも、収納された機器のメンテナンス作業がしやすいラックの構造を提供することを目的とし、ラックの構造は、ラックの側面に取り付けられるサイドパネルを前面側と背面側とに分割し、回動動作によりそれぞれ前面側と背面側を開閉可能とし、パネルのそれぞれを施錠すると共に、施錠に用いる鍵は、扉体に取り付けた鍵と統一し、セキュリティ機能は保持しつつ、メンテナンス作業をしやすくしたことを特徴とする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実案登録3058097号公報
【特許文献2】特開2007−266348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大規模なデータセンターになると、電子機器収納ラックが複数の列をなすように設置されるので、大量の電子機器収納ラックのセキュリティを確保する必要があるが、上記従来技術では各電子機器収納ラックのドアなどに機械式錠又は電気式錠が設けられているので、機械式錠の場合は鍵の管理が煩雑になり、また、電気式錠の場合には各電子機器収納ラックに非接触カードリーダを取り付けたり、配線が複雑化するなどし設置に多額のコストがかかるなどの問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電子機器収納ラック群への人のアクセスを一体的に規制するセキュリティ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、内部に電子機器を有する複数の電子機器収納ラックが複数の列をなすように設置された電子機器収納ラック群において、対向する前記電子機器収納ラックの前記列の間に形成される通路の両端に位置し、前記通路を遮蔽する壁体と、前記壁体を支持する支持体と、を備え、前記壁体は、ロック装置を備え、前記ロック装置を施錠することにより、前記電子機器収納ラック群へのアクセスを一体的に規制するセキュリティ装置が提供される。
この構成によれば、通路の両側に設置される電子機器収納ラック群への人のアクセスを一体的に規制することが可能となる。
【0007】
また、このセキュリティ装置において、前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記電子機器収納ラックの側面の上部に当接し、前記通路に跨設されるレールを備え、前記壁体は、柱部と扉部からなり、前記柱部は、前記通路の両側の前記列の端に位置する対向する一組の前記電子機器収納ラックの一方の前記電子機器収納ラックの側面の一部に当接するように設置され、前記扉部は、前記レールに摺接自在に懸架され、前記ロック装置により前記柱部と前記扉部が係合することより施錠されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、既存の電子機器収納ラックに対しても容易に設置することができ、扉部が引き戸として機能するので、扉部の前面に大きなスペースは不要とすることができる。
【0008】
また、このセキュリティ装置において、前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する対向する一組の前記電子機器収納ラックの一方の前記電子機器収納ラックの側面の一部に当接するように設置される柱を備え、前記壁体は、柱部と扉部からなり、前記柱部は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記対向する一組の前記電子機器収納ラックの他方の前記電子機器収納ラックの側面の一部に当接するように設置され、前記扉部は、前記柱に開閉自在に支持され、前記ロック装置により前記柱部と前記扉部が係合することより施錠されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、既存の電子機器収納ラックに対しても容易に設置することができ、柱部と扉部、扉部と柱が密着するので、気密性や遮音性も良くなる。
【0009】
また、このセキュリティ装置において、前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記電子機器収納ラックの側面の上部又は上面の端部に当接し、前記通路に跨設されるレールを備え、前記壁体は、2つの扉部からなり、前記2つの扉部は、前記レールにそれぞれ摺接自在に懸架され、前記ロック装置により前記2つの扉部が互いに係合することより施錠されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、既存の電子機器収納ラックに対しても容易に設置することができ、扉部が引き戸として機能するので、扉部の前面に大きなスペースは不要とすることができると共に、半分ずつ扉部を開くことができる。
【0010】
また、このセキュリティ装置において、前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記電子機器収納ラックの側面の一部に当接するように設置される柱を備え、前記壁体は、2つの扉部からなり、前記2つの扉部は、前記柱にそれぞれ開閉自在に支持され、前記ロック装置により前記2つの扉部が互いに係合することより施錠されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、既存の電子機器収納ラックに対しても容易に設置することができ、扉部が開き戸として機能するので、柱部と扉部、扉部と柱が密着し気密性や遮音性も良くなると共に、扉部の前面に大きなスペースは不要とすることができる。
【0011】
また、このセキュリティ装置において、前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記電子機器収納ラックの側面の下部に当接するレールをさらに備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、扉部の下部のばたつきを抑えることができる。
【0012】
また、このセキュリティ装置において、前記壁体は、前記ロック装置を解錠するための非接触カードリーダ及び/又は前記通路の両側に位置する前記電子機器収納ラックのそれぞれの温度、湿度及び電流の値を表示する状態表示部をさらに備え、前記ロック装置は電気錠であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、通路の両側に設置される電子機器収納ラック群ごとに1又は2個の非接触カードリーダで、このラック群全体のセキュリティを一体的に確保することができる。これにより、非接触カードリーダや電気錠を各電子機器収納ラックに取り付けていたセキュリティ装置に比べ、設置費用(工数)を低減できると共に、管理者の負担も軽減することができる。また、各電子機器収納ラック内の温度、湿度、使用している電流値が表示される表示装置を壁体に備えることにより、現場でラック内の状態を集中的に確認できる。
【0013】
また、このセキュリティ装置において、前記通路への人の侵入を阻止するための、前記通路の上方に位置し前記通路を遮蔽する天井体をさらに備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、人が壁体(扉部)を乗り越えて侵入することを阻止することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、電子機器収納ラック群への人のアクセスを一体的に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1−1A】本発明の第1の実施形態を示した正面図。
【図1−1B】本発明の第1の実施形態を示した側面図。
【図1−1C】本発明の第1の実施形態を示した平面図。
【図1−2A】本発明の第1の実施形態におけるロック装置の詳細正面図(部分)。
【図1−2B】本発明の第1の実施形態におけるロック装置の詳細断面図(部分)。
【図1−3A】本発明の第1の実施形態におけるレール(支持体)付近の詳細側面図(部分)。
【図1−3B】本発明の第1の実施形態におけるレール(支持体)付近の詳細正面図(部分)。
【図2−1A】本発明の第2の実施形態を示した正面図。
【図2−1B】本発明の第2の実施形態を示した側面図。
【図2−1C】本発明の第2の実施形態を示した平面図。
【図2−2A】本発明の第2の実施形態におけるロック装置の詳細正面図(部分)。
【図2−2B】本発明の第2の実施形態におけるロック装置の詳細断面図(部分)。
【図2−3A】本発明の第2の実施形態におけるレール(支持体)付近及び上部ロック装置の詳細正面図(部分)。
【図2−3B】本発明の第2の実施形態におけるレール(支持体)付近及び上部ロック装置の詳細側面図(部分)。
【図2−3C】本発明の第2の実施形態におけるレール(支持体)付近及び上部ロック装置の詳細平面図(部分)。
【図3−1A】本発明の第3の実施形態を示した正面図。
【図3−1B】本発明の第3の実施形態を示した側面図。
【図3−1C】本発明の第3の実施形態を示した平面図。
【図3−2A】本発明の第3の実施形態におけるロック装置の詳細正面図(部分)。
【図3−2B】本発明の第3の実施形態におけるロック装置の詳細断面図(部分)。
【図3−3】本発明の第3の実施形態における柱(支持体)付近の詳細図(部分)。
【図4−1A】本発明の第4の実施形態を示した正面図。
【図4−1B】本発明の第4の実施形態を示した側面図。
【図4−1C】本発明の第4の実施形態を示した平面図。
【図4−2A】本発明の第4の実施形態におけるロック装置の詳細正面図(部分)。
【図4−2B】本発明の第4の実施形態におけるロック装置の詳細断面図(部分)。
【図4−3A】本発明の第4の実施形態における上部ロック装置の詳細正面図(部分)。
【図4−3B】本発明の第4の実施形態における上部ロック装置の詳細側面図(部分)。
【図4−3C】本発明の第4の実施形態における上部ロック装置の詳細平面図(部分)。
【図5−1A】本発明の第5の実施形態を示した正面図。
【図5−1B】本発明の第5の実施形態を示した側面図。
【図5−1C】本発明の第5の実施形態を示した平面図。
【図5−2】本発明の第5の実施形態におけるヒンジ(支持体)付近の詳細図(部分)。
【図6−1A】本発明の第6の実施形態を示した正面図。
【図6−1B】本発明の第6の実施形態を示した側面図。
【図6−1C】本発明の第6の実施形態を示した平面図。
【図7】本発明の一実施形態をおけるラック内状態表示部。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら、本発明の各実施形態に係る装置について説明する。
<第1実施形態>
図1−1Aは、本発明の第1の実施形態を示した正面図である。内部に電子機器を有する電子機器収納ラック2が両端にあり、セキュリティ装置1は、この2つの電子機器収納ラック2の間に位置している。本図においては電子機器収納ラック2を2つのみ表わしているが、これに限定するものではなく、図の奥行き方向に電子機器収納ラック2が列をなして並べられる(これは、図1−1B等で示される)と共に、その列が2つ以上平行に配置されるのが通常である。したがって、例えば、右側の電子機器収納ラック2の右にさらに通路を挟んで電子機器収納ラック2が設置され、左側の電子機器収納ラック2の左にさらに通路を挟んで電子機器収納ラック2が設置されているような場合、セキュリティ装置1は、電子機器収納ラック2の列の間に形成されるすべての通路(本図では図示せず)に設けられてもよいし、一つ置きに設けられてもよい。
【0017】
セキュリティ装置1は、壁体10とこの壁体を支持する支持体20を備え、これらは、電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に位置しており、この正面側に対して裏面側にも同じ構成が形成されている(これは、図1−1B等で示される)。壁体10は通路を遮蔽し、またロック装置30を有する。ロック装置30を解錠すれば、人は通路の両側にある電子機器収納ラック2にアクセスでき、施錠すれば両側の電子機器収納ラック2へのアクセスを一体的に規制する。
【0018】
さらに詳しく説明すると、支持体20は、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2、即ち、本図では一番手前にある2つの電子機器収納ラック2及び奥行き方向にある電子機器収納ラック2の内の一番奥にある2つの電子機器収納ラック2の側面の上部に当接して、通路に跨設されるレール201を備える。
【0019】
また、壁体10は、柱部102と扉部101からなる。柱部102は、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2の内、一方の電子機器収納ラック2の側面の一部に当接するように設置され、具体的には、電子機器収納ラック2の側壁にネジ止めや接着剤などにより固定される。
【0020】
扉部101は、通路を塞ぐ高さと幅を有し、支持体20のレール201に摺接自在に懸架される(詳細は後述する)。人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスする場合には、人はロック装置30を解錠すると共に取っ手105を持ち、扉部101を図上右方向に開ける。逆に、人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスすることを規制する場合には、人は取っ手105を持ち、扉部101を図上左方向に閉め、柱部102の右端に扉部101の左端を当て、ロック装置30を施錠し、柱部102と扉部101を係合させることにより、アクセスすることを規制することが可能となる。
【0021】
セキュリティ装置1は、さらに、天井体40を備え、人が壁体10を乗り越えて通路に侵入することを防止する。また、セキュリティ装置1は非接触カードリーダ103を柱部102に備え、人が所持する非接触ICカードを非接触カードリーダ103にかざし、照合操作を行い、アクセス可能な人であると確認された場合には、ロック装置30を解錠する。これを実現するためには、非接触カードリーダ103とロック装置30と共に、これらを制御する制御装置(図示せず)が必要となる。この構成によれば、通路の両側に設置される電子機器収納ラック群ごとに1又は2個の非接触カードリーダで、このラック群全体のセキュリティを一体的に確保することができる。これにより、非接触カードリーダや電気錠を各電子機器収納ラックに取り付けていたセキュリティ装置に比べ、設置費用(工数)を低減できると共に、管理者の負担も軽減することができる。
【0022】
さらにまた、セキュリティ装置1はラック内状態表示部104を柱部102に備え、各電子機器収納ラック2内の温度、湿度及び電流の値を表示する。これにより、各電子機器収納ラック2内の温度、湿度、使用している電流値がそれぞれ表示されるので、現場でラック内の状態を集中的に確認できる。
【0023】
図1−1Bは、本発明の第1の実施形態を示した側面図である。本図では、3台の電子機器収納ラック2が一つの列をなしているが、もちろんこの台数に限定されるものではない。セキュリティ装置1は、電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に配置されている。支持体20は、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2の側面の上部に当接している。本図中、右側のセキュリティ装置1は、非接触カードリーダ103を備える柱部102が示され、左側のセキュリティ装置1は、扉部101が示されている。
【0024】
図1−1Cは、本発明の第1の実施形態を示した平面図である。上述の通り、セキュリティ装置1は、電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に、扉部101などとして配置されている。本実施形態では、その通路の上部に、天井体40を備える。天井体40は、天井体40の周囲を、電子機器収納ラック2の天井部と、通路の両端において支持体20によって支持され、設置されている。したがって、人が侵入する余地はなく、人の侵入防止をより強固なものとしている。
【0025】
図1−2Aは、本発明の第1の実施形態におけるロック装置の詳細を、部分的に表わした正面図である。なお、壁体10に備えられたロック装置30は、壁体10の内部にあるので、点線で表わしている。ロック装置30は、扉部101は引き戸なので、引き戸用の電気錠である。柱部102に引き戸用の電気錠の本体が備えられ、扉部101に本体の鎌が係合する受座が備えられ、施錠する時には、扉部101が柱部102に当たった状態で、コネクターを経由して施錠信号を受けた電気錠の本体から鎌が受座に掛かり、施錠される。なお、本実施形態では電気錠を用いたが、機械式錠を用いてもよい。この場合は、非接触カードリーダ103は用いられず、代わりに通常物理的な鍵を用いる。
【0026】
図1−2Bは、本発明の第1の実施形態におけるロック装置の詳細を、部分的に表わした断面図である。上述のとおり、柱部102は電子機器収納ラック2の側面の一部に取り付けられ、ロック装置30の電気錠の本体が備えられている。本実施形態では、柱部102の扉部101側の面と電子機器収納ラック2の通路3側の面とが一致しているが、これに限定されるものではない。柱部102の扉部101側の反対の面の位置、即ち、柱部102の幅は、ロック装置30の電気錠の本体を備えることができ、柱部102を電子機器収納ラック2に固定できるに十分な幅であればよい。また、柱部102の厚さと扉部101の厚さはほぼ等しく描かれているが、これに限定されるものではない。
【0027】
図1−3Aは、本発明の第1の実施形態における支持体20のレール付近の詳細を、部分的に表わした側面図である。支持体20は、レール201、ローラ202、壁体吊り下げ部材203、ローラ取り付け部材204などからなり、電子機器収納ラック2の側面の上部に当接し、扉部101を上から吊り下げ支持している。支持体20のローラ取り付け部材204は、電子機器収納ラック2の天井部に強固に取り付けられ、その他の部材を支持していると共に、天井体40とも結合されている。なお、本実施形態では、支持体20は電子機器収納ラック2の側面の上部に当接しているが、これに限定されるものではない。例えば、電子機器収納ラック2の天井部上面の端にレールを備え、そのレールに引っ掛かり摺接する部材が、扉部101を吊り下げてもよい。
【0028】
図1−3Bは、本発明の第1の実施形態における支持体のレール付近の詳細を、部分的に表わした正面図である。なお、ローラなどの部材は支持体20の内部に備えられているので、点線で表わしている。レール201の上を2つのローラ202が一組となり図上左右に動く。もちろん、ローラ202の数はこれに限定されるものではない。壁体吊り下げ部材203は、一組のローラ202の下方に結合され、その壁体吊り下げ部材203の先に扉部101が吊り下げられる。これにより、扉部101は、レール201に摺接自在に懸架され、電子機器収納ラック2の側面に沿って動くことができる。
【0029】
<第2実施形態>
図2−1Aは、本発明の第2の実施形態を示した正面図である。なお、上記実施形態と重複する説明は省略する。
セキュリティ装置1Aは、壁体10Aとこの壁体を支持する支持体20Aを備える。支持体20Aは、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2、即ち、本図では一番手前にある2つの電子機器収納ラック2及び奥行き方向にある電子機器収納ラック2の内の一番奥にある2つの電子機器収納ラック2の側面の上部に、一方の電子機器収納ラック2の前面から他方の電子機器収納ラック2の前面までのほぼ全体に亘り、当接するように配置されると共に、通路に跨設されるレール201Aを備える。
【0030】
壁体10Aは、通路を塞ぐ程度の高さと2つで通路を塞ぐ程度の幅を有した、2つの扉部101Aからなる。扉部101Aは、支持体20Aのレール201Aにそれぞれ摺接自在に懸架される。人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスする場合には、人はロック装置30を解錠すると共に、上部ロック装置35を備えない方の扉部101Aの取っ手105を持ち、その扉部101Aを図上右方向に開ける。さらに大きく扉部をあけるために上部ロック装置35を解錠し、上部ロック装置35を備える方の扉部101Aの取っ手105を持ち、その扉部101Aを図上左方向に開けることもできる。逆に、人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスすることを規制する場合には、人は取っ手105を持ち、上部ロック装置35を備える方の扉部101Aを閉め、上部ロック装置35を施錠すると共に、2つの扉部101A同士を当て、ロック装置30を施錠し、2つの扉部101Aを係合させることにより、アクセスすることを規制することが可能となる。この構成によれば、扉部が引き戸として機能するので、扉部の前面に大きなスペースは不要とすることができると共に、半分ずつ扉部を開けたり閉めたりすることができる。
【0031】
また、セキュリティ装置1Aは非接触カードリーダ103を扉部101Aに備え、人が所持する非接触ICカードを非接触カードリーダ103にかざし、照合操作を行い、アクセス可能な人であると確認された場合には、ロック装置30を解錠する。さらにまた、セキュリティ装置1Aはラック内状態表示部104を扉部101Aに備え、各電子機器収納ラック2内の温度、湿度及び電流の値を表示する。
【0032】
図2−1Bは、本発明の第2の実施形態を示した側面図である。支持体20Aは、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2の側面の上部に当接している。本図中、セキュリティ装置1Aは、両側とも非接触カードリーダ103を備える扉部101Aが示されている。
【0033】
図2−1Cは、本発明の第2の実施形態を示した平面図である。セキュリティ装置1Aは、電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に、扉部101Aなどとして配置されている。本実施形態では、その通路の上部に、天井体40Aを備える。天井体40Aは、天井体40Aの周囲を、電子機器収納ラック2の天井部と、通路の両端において支持体20Aによって支持され、設置されている。したがって、人が侵入する余地はなく、人の侵入防止をより強固なものとしている。なお、天井体40Aは、人が侵入できない程度の隙間や穴の空いたものでもよく、本実施形態では金網で製作されている。
【0034】
図2−2Aは、本発明の第2の実施形態におけるロック装置の詳細を、部分的に表わした正面図である。なお、壁体10Aに備えられたロック装置30は、壁体10Aの内部にあるので、点線で表わしている。ロック装置30は、扉部101Aは引き戸なので、引き戸用の電気錠である。一方の扉部101に引き戸用の電気錠の本体が備えられ、他方の扉部101に本体の鎌が係合する受座が備えられ、施錠する時には、他方の扉部101Aが一方の扉部101Aに当たった状態で、コネクターを経由して施錠信号を受けた電気錠の本体から鎌が受座に掛かり、施錠される。なお、本実施形態では電気錠を用いたが、機械式錠を用いてもよい。
【0035】
図2−2Bは、本発明の第2の実施形態におけるロック装置の詳細を、部分的に表わした断面図である。上述のとおり、両扉部101Aは、支持体20Aに懸架され、摺接自在に取り付けられるので、左の扉部101Aの右端と右の扉部101Aの左端が当接し、その状態でロック装置30により両者が互いに係合することで施錠される。
【0036】
図2−3A、図2−3B、図2−3Cは、本発明の第2の実施形態におけるレール(支持体)付近及び上部ロック装置の詳細を、部分的に表わした正面図、側面図、平面図である。支持体20Aが、扉部101Aが壁体吊り下げ部材203などにより、扉部101Aを懸架する方法は、上記の実施形態と同じである。上部ロック装置35は、一方(図では左側)の扉部101Aに配置され、2つの扉部101Aが同時動く不都合を解決すると共に、扉部101Aの片方だけを開くことも可能にする。上部ロック装置35は、典型的にはフランス落しである。上部ロック装置35の棒状のかんぬきは、支持体20の中に係合することにより、片方の扉部101Aだけが施錠される。
なお、支持体20Aは、レール201A、ローラ202、壁体吊り下げ部材203、ローラ取り付け部材204Aなどからなるなどの構造は、第1実施形態と同様である。(図1−3A、図1−3Bを参照)
【0037】
<第3実施形態>
図3−1Aは、本発明の第3の実施形態を示した正面図である。なお、上記実施形態と重複する説明は省略する。
セキュリティ装置1Bは、壁体10Bとこの壁体の一部を支持する支持体20Bを備える。また、支持体20Bは、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2の一方の側面の一部、即ち、本図では一番手前にある2つの電子機器収納ラック2の一方及び奥行き方向にある電子機器収納ラック2の内の一番奥にある2つの電子機器収納ラック2の一方の側面の一部に当接するように設置される柱20Bを備える。
【0038】
壁体10Bは、柱部102Bと扉部101Bからなる。柱部102Bは、本図での一番手前にある2つの電子機器収納ラック2の他方及び奥行き方向にある電子機器収納ラック2の内の一番奥にある2つの電子機器収納ラック2の他方の側面の一部に当接するように設置される。扉部101Bは、通路を塞ぐ程度の高さと幅を有し、ヒンジ20B1を介して支持体である柱20Bと開閉自在に支持される。
【0039】
人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスする場合には、人はロック装置30Bを解錠すると共に取っ手105Bを持ちながら回転させ、扉部101Bを手前に引き開ける。逆に、人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスすることを規制する場合には、人は取っ手105Bを持ち、扉部101Bを柱部102Bに当てることにより閉め、ロック装置30Bを施錠し、柱部102Bと扉部101Bを係合させることにより、アクセスすることを規制することが可能となる。この構成によれば、柱部102Bと扉部101B、扉部101Bと柱20Bが密着するので、気密性や遮音性も良くなる。
【0040】
また、天井体40を備え、人が壁体10を乗り越えて通路に侵入することを防止する。セキュリティ装置1Bはラック内状態表示部104を柱部102Bに備え、各電子機器収納ラック2内の温度、湿度及び電流の値を表示し、現場でラック内の状態を集中的に確認できる。また、セキュリティ装置1Bは非接触カードリーダ103を柱部102Bに備え、人が所持する非接触ICカードを非接触カードリーダ103にかざし、照合操作を行い、アクセス可能な人であると確認された場合には、ロック装置30Bを解錠する。
【0041】
図3−1Bは、本発明の第3の実施形態を示した側面図である。柱部102Bと柱20Bが、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置することが示されている。本図中、セキュリティ装置1Bにおいては、両側の柱部102Bに備えられた非接触カードリーダ103が示されている。
【0042】
図3−1Cは、本発明の第3の実施形態を示した平面図である。上述の通り、セキュリティ装置1Bは、電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に、扉部101Bなどとして配置されている。本実施形態では、その通路の上部に、天井体40を備える。天井体40は、電子機器収納ラック2の天井部によって支持され、ネジ止めで固定されている。したがって、人が侵入する余地はなく、人の侵入防止をより強固なものとしている。
【0043】
図3−2Aは、本発明の第3の実施形態におけるロック装置の詳細を、部分的に表わした正面図である。なお、壁体10Bに備えられたロック装置30Bは、壁体10Bの内部にあるので、点線で表わしている。ロック装置30Bは、扉部101Bは開き戸なので、開き戸用の電気錠である。扉部101Bに開き戸用の電気錠の本体が備えられ、柱部102Bに本体のかんぬきが係合する受座が備えられ、施錠する時には、扉部101Bが柱部102に当たった状態で、コネクターを経由して施錠信号を受けた電気錠の本体からかんぬきが受座に掛かり、施錠される。なお、本実施形態では電気錠を用いたが、機械式錠を用いてもよい。
【0044】
図3−2Bは、本発明の第3の実施形態におけるロック装置の詳細を、部分的に表わした断面図である。上述のとおり、柱部102Bは電子機器収納ラック2の側面の一部に取り付けられ、ロック装置30Bの電気錠の受座が備えられている。本実施形態では、柱部102Bの扉部101B側の面と電子機器収納ラック2の通路3側の面とが一致しているが、これに限定されるものではない。柱部102Bの扉部101B側の反対の面の位置、即ち、柱部102Bの幅は、ロック装置30Bの電気錠の受座を備えることができ、柱部102Bを電子機器収納ラック2に固定できるに十分な幅であればよい。また、柱部102Bの厚さと扉部101Bの厚さはほぼ等しく描かれているが、これに限定されるものではない。
【0045】
図3−3は、本発明の第3の実施形態における柱(支持体)20B付近の部分的な詳細図である。支持体である柱20Bは、電子機器収納ラック2の側面において、柱20Bの左端が電子機器収納ラック2の通路3側の面から右方向にずらして当接し、具体的にはネジ止め、溶接、接着剤などにより固定されているが、これに限定されるものではない。
ヒンジ20B1は、柱20Bにネジ止めなどにより固定され、また、扉部101Bとも同様に固定される。ヒンジ20B1は、本図では平蝶番であるが、防犯性の優れた隠し蝶番が好ましい。このヒンジ20B1により、扉部101Bと柱20Bが開閉自在に結合されると共に、扉部101Bの側面が、柱20Bの側面及び電子機器収納ラック2の側面に当接するので、気密性や遮音性も向上する。
柱20Bの幅は、柱20Bが扉部101Bを支持できる強度を持つ程度に、柱20Bを電子機器収納ラック2に固定できるに十分な幅であればよい。また、柱20Bの厚さと扉部101Bの厚さはほぼ等しく描かれているが、これに限定されるものではない。
【0046】
<第4実施形態>
図4−1Aは、本発明の第4の実施形態を示した正面図である。なお、上記実施形態と重複する説明は省略する。
セキュリティ装置1Cは、壁体10Cとこの壁体の一部を支持する支持体20Bを備える。支持体20Bは、第3実施形態の柱20Bと同じであり、また、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2の側面の一部、即ち、本図では一番手前にある2つの電子機器収納ラック2及び奥行き方向にある電子機器収納ラック2の内の一番奥にある2つの電子機器収納ラック2の側面の一部に当接するように設置される柱20Bを備える。
【0047】
壁体10Cは、通路を塞ぐ程度の高さと2つで通路を塞ぐ程度の幅を有した、2つの扉部101Cからなり、第3実施形態と同様、2つの扉部101Cは、柱20Bに固定されたヒンジ20B1を介して、開閉自在に支持される。また、一方の扉部101Cは、2つの扉部101Cが互いにロック装置30Bにより係合する位置を決めるために、上部ロック装置35を備える。なお、ヒンジ20B1の構造は、第3実施形態と同様である。(図3−3参照)
【0048】
人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスする場合には、人はロック装置30Bを解錠すると共に、上部ロック装置35を備えない方の扉部101Cの取っ手105Bを回し、その扉部101Cを手前方向に開ける。さらに大きく扉部をあけるために上部ロック装置35を解錠し、上部ロック装置35を備える方の扉部101Cの取っ手105Bを持ち、その扉部101Cを手前方向に開けることもできる。逆に、人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスすることを規制する場合には、人は上部ロック装置35を備える方の扉部101Cの取っ手105Bを持ち、扉部101Cを図上向こう方向に閉め、上部ロック装置35を施錠すると共に、2つの扉部101C同士を当て、ロック装置30Bを施錠し、2つの扉部101Cを係合させることにより、アクセスすることを規制することが可能となる。この構成によれば、扉部が2枚の開き戸として機能するので、扉部の前面に大きなスペースは不要とすることができると共に、半分ずつ扉部を開けたり閉めたりすることができる。
【0049】
また、セキュリティ装置1Cは非接触カードリーダ103を柱20Bに備え、人が所持する非接触ICカードを非接触カードリーダ103にかざし、照合操作を行い、アクセス可能な人であると確認された場合には、ロック装置30Bを解錠する。さらにまた、セキュリティ装置1Cはラック内状態表示部104を柱20Bに備え、各電子機器収納ラック2内の温度、湿度及び電流の値を表示し、現場でラック内の状態を集中的に確認できる。
【0050】
図4−1Bは、本発明の第4の実施形態を示した側面図である。柱20Bが、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置することが示されている。本図中、セキュリティ装置1Cにおいては、両側の柱20Bに備えられた非接触カードリーダ103が示されている。
【0051】
図4−1Cは、本発明の第4の実施形態を示した平面図である。セキュリティ装置1Cは、電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に、扉部101Cなどとして配置されている。本実施形態では、その通路の上部に、天井体40を備える。したがって、人が侵入する余地はなく、人の侵入防止をより強固なものとしている。
【0052】
図4−2Aは、本発明の第4の実施形態におけるロック装置の詳細を、部分的に表わした正面図である。なお、壁体10Aに備えられたロック装置30Bは、壁体10Aの内部にあるので、点線で表わしている。ロック装置30Bは、扉部101Cは開き戸なので、開き戸用の電気錠である。一方の扉部101Cに開き戸用の電気錠の本体が備えられ、他方の扉部101Cに本体のかんぬきが係合する受座が備えられ、施錠する時には、一方の扉部101Cが他方の扉部101Cに当たった状態で、コネクターを経由して施錠信号を受けた電気錠の本体からかんぬきが受座に掛かり、施錠される。なお、本実施形態では電気錠を用いたが、機械式錠を用いてもよい。
【0053】
図4−2Bは、本発明の第4の実施形態におけるロック装置の詳細を、部分的に表わした断面図である。上述のとおり、両扉部101Cは、柱部20Bに支持され、開閉自在に取り付けられるので、左の扉部101Cの右端と右の扉部101Cの左端が当接し、その状態でロック装置30Bにより両者が互いに係合することで施錠される。
【0054】
図4−3A、図4−3B、図4−3Cは、本発明の第4の実施形態における上部ロック装置の詳細を、部分的に表わした正面図、側面図、平面図である。上部ロック装置35は、一方(図では左側)の扉部101Cに配置され、2つの扉部101Cが同時動く不都合を解決すると共に、扉部101Cの片方だけを開くことも可能にする。上部ロック装置35は、典型的にはフランス落しである。上部ロック装置35の棒状のかんぬきは、ローラ取り付け部材204に係合することにより、片方の扉部101Cだけが施錠される。
【0055】
<第5実施形態>
図5−1Aは、本発明の第5の実施形態を示した正面図である。なお、上記実施形態と重複する説明は省略する。
セキュリティ装置1Dは、壁体10Dとこの壁体の一部を支持する支持体20Cを備える。また、支持体20Cは、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2の一方の側面の一部、即ち、本図では一番手前にある2つの電子機器収納ラック2の一方及び奥行き方向にある電子機器収納ラック2の内の一番奥にある2つの電子機器収納ラック2の一方の側面の一部に当接するように設置されるヒンジ(支持体)20Cを備える。
【0056】
壁体10Dは、柱部102Bと扉部101Dからなる。柱部102Bは、本図での一番手前にある2つの電子機器収納ラック2の他方及び奥行き方向にある電子機器収納ラック2の内の一番奥にある2つの電子機器収納ラック2の他方の側面の一部に当接するように設置される。扉部101Dは、通路を塞ぐ程度の高さと幅を有し、ヒンジ(支持体)20Cにより開閉自在に支持される。柱部102Bの構造は、第3実施形態の柱部と同じである。
【0057】
人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスする場合には、人はロック装置30Bを解錠すると共に取っ手105Bを持ちながら回転させ、扉部101Dを手前に引き開ける。逆に、人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスすることを規制する場合には、人は取っ手105Bを持ち、扉部101Dを柱部102Bに当てることにより閉め、ロック装置30Bを施錠し、柱部102Bと扉部101Dを係合させることにより、アクセスすることを規制することが可能となる。この構成によれば、柱部102Bと扉部101D、扉部101Dと電子機器収納ラック2の側面が密着するので、気密性や遮音性も良くなる。
【0058】
また、天井体40を備え、人が壁体10を乗り越えて通路に侵入することを防止する。セキュリティ装置1Dはラック内状態表示部104を柱部102Bに備え、各電子機器収納ラック2内の温度、湿度及び電流の値を表示し、現場でラック内の状態を集中的に確認できる。また、セキュリティ装置1Dは非接触カードリーダ103を柱部102Bに備え、人が所持する非接触ICカードを非接触カードリーダ103にかざし、照合操作を行い、アクセス可能な人であると確認された場合には、ロック装置30Bを解錠する。
なお、ロック装置30Bの構造は、第3実施形態と同様である。(図3−2参照)
【0059】
図5−1Bは、本発明の第5の実施形態を示した側面図である。扉部101Dなどが、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置することが示されている。本図中、セキュリティ装置1Dにおいては、両側の柱部102Bに備えられた非接触カードリーダ103が示されている。
【0060】
図5−1Cは、本発明の第5の実施形態を示した平面図である。上述の通り、セキュリティ装置1Dは、電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に、扉部101Dなどとして配置されている。本実施形態では、その通路の上部に、天井体40を備える。したがって、人が侵入する余地はなく、人の侵入防止をより強固なものとしている。
【0061】
図5−2は、本発明の第5の実施形態におけるヒンジ(支持体)付近の部分的な詳細図である。2つの支持体であるヒンジ20Cが、電子機器収納ラック2の側面に固定されているが、これに限定されるものではない。ヒンジ(支持体)20Cは、電子機器収納ラック2の側面にネジ止めなどにより固定され、また、扉部101Dとも同様に固定される。このヒンジ20Cにより、扉部101Dと電子機器収納ラック2の側面が開閉自在に結合されると共に、扉部101Dの側面が、電子機器収納ラック2の側面に当接するので、気密性や遮音性も向上する。
【0062】
<第6実施形態>
図6−1Aは、本発明の第6の実施形態を示した正面図である。なお、上記実施形態と重複する説明は省略する。
セキュリティ装置1Eは、壁体10Eとこの壁体の一部を支持する支持体20Cを備える。支持体20Cは、第5実施形態のヒンジ(支持体)20Cと同じであり、また、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置し、通路の両側にある2つの電子機器収納ラック2の側面の一部、即ち、本図では一番手前にある2つの電子機器収納ラック2及び奥行き方向にある電子機器収納ラック2の内の一番奥にある2つの電子機器収納ラック2の側面の一部に当接するように設置されるヒンジ(支持体)20Cを備える。
【0063】
壁体10Eは、通路を塞ぐ程度の高さと2つで通路を塞ぐ程度の幅を有した、2つの扉部101Eからなり、第5実施形態と同様、2つの扉部101Eは、ヒンジ(支持体)20Cに開閉自在に支持される。また、一方の扉部101Eは、2つの扉部101Eが互いにロック装置30Bにより係合する位置を決めるために、上部ロック装置35を備える。
【0064】
人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスする場合には、人はロック装置30Bを解錠すると共に、上部ロック装置35を備えない方の扉部101Eの取っ手105Bを回し、その扉部101Eを手前方向に開ける。さらに大きく扉部をあけるために上部ロック装置35を解錠し、上部ロック装置35を備える方の扉部101Eの取っ手105Bを持ち、その扉部101Eを手前方向に開けることもできる。逆に、人が通路の両側の電子機器収納ラック2にアクセスすることを規制する場合には、人は上部ロック装置35を備える方の扉部101Eの取っ手105Bを持ち、扉部101Eを図上向こう方向に閉め、上部ロック装置35を施錠すると共に、2つの扉部101E同士を当て、ロック装置30Bを施錠し、2つの扉部101Eを係合させることにより、アクセスすることを規制することが可能となる。この構成によれば、扉部が2枚の開き戸として機能するので、扉部の前面に大きなスペースは不要とすることができると共に、半分ずつ扉部を開けたり閉めたりすることができる。
【0065】
また、セキュリティ装置1Eは非接触カードリーダ103を扉部101Eに備え、人が所持する非接触ICカードを非接触カードリーダ103にかざし、照合操作を行い、アクセス可能な人であると確認された場合には、ロック装置30Bを解錠する。さらにまた、セキュリティ装置1Eはラック内状態表示部104を扉部101Eに備え、各電子機器収納ラック2内の温度、湿度及び電流の値を表示し、現場でラック内の状態を集中的に確認できる。
【0066】
図6−1Bは、本発明の第6の実施形態を示した側面図である。扉部101Eなどが、電子機器収納ラック2の列の一番端に位置することが示されている。本図中、セキュリティ装置1Eにおいては、両側の扉部101Eに備えられた非接触カードリーダ103が示されている。
【0067】
図6−1Cは、本発明の第6の実施形態を示した平面図である。セキュリティ装置1Eは、電子機器収納ラック2の列の間に形成される通路の両端に、扉部101Eなどとして配置されている。本実施形態では、その通路の上部に、天井体40を備える。したがって、人が侵入する余地はなく、人の侵入防止をより強固なものとしている。
なお、ロック装置30B及び上部ロック装置35の構造は、第4実施形態と同様である。(図3−2、図4−3A、図4−3B、図4−3C参照)
【0068】
図7は、本発明の一実施形態をおけるラック内状態表示部104を示す。上記実施形態で述べた通路3の両側に3台ずつ、合計6台の電子機器収納ラック2がある場合のラック内状態表示部104である。各電子機器収納ラック2における、温度、湿度、及び電流が表示されている。これを実現するためには、各電子機器収納ラック2において、ネットワーク機能を有し、温度、湿度及び電流を測定できる装置(例えば、PDU Series 中央電子株式会社販売。図示せず)を設置し、この装置とラック内状態表示部104とを通信ケーブルなどで連結することが必要である。
これにより、各電子機器収納ラック2内の温度、湿度、使用している電流値がそれぞれ表示されるので、現場でラック内の状態を集中的に確認できる。
【0069】
上記支持体の柱及び壁体の柱部は、電子機器収納ラックの側面に一体成型して設けてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1、1A、1B、1C、1D、1E セキュリティ装置
2 電子機器収納ラック
3 通路
10、10A、10B、10C、10D、10E 壁体
101、101A、101B、101C、101D、101E 扉部
102、102B 柱部
103 非接触カードリーダ
104 ラック内状態表示部
105 取っ手(引き戸用)
105B 取っ手(開き戸用)
20、20A レール(支持体)
201、201A レール
202 ローラ
203 壁体吊り下げ部材
204、204A ローラ取り付け部材
20B 柱(支持体)
20B1 ヒンジ
20C ヒンジ(支持体)
30 ロック装置(引き戸用)
30B ロック装置(開き戸用)
35 上部ロック装置
40 天井体
40B 金網天井体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子機器を有する複数の電子機器収納ラックが複数の列をなすように設置された電子機器収納ラック群において、
対向する前記電子機器収納ラックの前記列の間に形成される通路の両端に位置し、前記通路を遮蔽する壁体と、
前記壁体を支持する支持体と、を備え、
前記壁体は、ロック装置を備え、
前記ロック装置を施錠することにより、前記電子機器収納ラック群へのアクセスを一体的に規制するセキュリティ装置。
【請求項2】
前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記電子機器収納ラックの側面の上部に当接し、前記通路に跨設されるレールを備え、
前記壁体は、柱部と扉部からなり、
前記柱部は、前記通路の両側の前記列の端に位置する対向する一組の前記電子機器収納ラックの一方の前記電子機器収納ラックの側面の一部に当接するように設置され、
前記扉部は、前記レールに摺接自在に懸架され、
前記ロック装置により前記柱部と前記扉部が係合することより施錠されることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ装置。
【請求項3】
前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する対向する一組の前記電子機器収納ラックの一方の前記電子機器収納ラックの側面の一部に当接するように設置される柱を備え、
前記壁体は、柱部と扉部からなり、
前記柱部は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記対向する一組の前記電子機器収納ラックの他方の前記電子機器収納ラックの側面の一部に当接するように設置され、
前記扉部は、前記柱に開閉自在に支持され、
前記ロック装置により前記柱部と前記扉部が係合することより施錠されることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ装置。
【請求項4】
前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記電子機器収納ラックの側面の上部又は上面の端部に当接し、前記通路に跨設されるレールを備え、
前記壁体は、2つの扉部からなり、
前記2つの扉部は、前記レールにそれぞれ摺接自在に懸架され、
前記ロック装置により前記2つの扉部が互いに係合することより施錠されることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ装置。
【請求項5】
前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記電子機器収納ラックの側面の一部に当接するように設置される柱を備え、
前記壁体は、2つの扉部からなり、
前記2つの扉部は、前記柱にそれぞれ開閉自在に支持され、
前記ロック装置により前記2つの扉部が互いに係合することより施錠されることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ装置。
【請求項6】
前記支持体は、前記通路の両側の前記列の端に位置する前記電子機器収納ラックの側面の下部に当接するレールをさらに備えることを特徴とする請求項2又は4に記載のセキュリティ装置。
【請求項7】
前記壁体は、前記ロック装置を解錠するための非接触カードリーダ及び/又は前記通路の両側に位置する前記電子機器収納ラックのそれぞれの温度、湿度及び電流の値を表示する状態表示部をさらに備え、前記ロック装置は電気錠であることを特徴とする請求項1乃至6に記載のセキュリティ装置。
【請求項8】
前記通路への人の侵入を阻止するための、前記通路の上方に位置し前記通路を遮蔽する天井体をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7に記載のセキュリティ装置。

【図1−1A】
image rotate

【図1−1B】
image rotate

【図1−1C】
image rotate

【図1−2A】
image rotate

【図1−2B】
image rotate

【図1−3A】
image rotate

【図1−3B】
image rotate

【図2−1A】
image rotate

【図2−1B】
image rotate

【図2−1C】
image rotate

【図2−2A】
image rotate

【図2−2B】
image rotate

【図2−3A】
image rotate

【図2−3B】
image rotate

【図2−3C】
image rotate

【図3−1A】
image rotate

【図3−1B】
image rotate

【図3−1C】
image rotate

【図3−2A】
image rotate

【図3−2B】
image rotate

【図3−3】
image rotate

【図4−1A】
image rotate

【図4−1B】
image rotate

【図4−1C】
image rotate

【図4−2A】
image rotate

【図4−2B】
image rotate

【図4−3A】
image rotate

【図4−3B】
image rotate

【図4−3C】
image rotate

【図5−1A】
image rotate

【図5−1B】
image rotate

【図5−1C】
image rotate

【図5−2】
image rotate

【図6−1A】
image rotate

【図6−1B】
image rotate

【図6−1C】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−187813(P2011−187813A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53171(P2010−53171)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】