説明

ラベル連続体の生産装置

【課題】台紙に抜き溝跡を全く残すことなく、かつラベル紙からラベルが抜け落ちることがなくラベル紙にラベルのに抜き溝を加工できるようにする。
【解決手段】台紙3にラベル紙2を貼着材にて仮着けしてなる積層連続体1のラベル紙に抜き溝8を加工するラベル連続体の生産装置において、積層連続体の走行路に台紙側に転接してラベル紙から台紙を剥離してバイパス通路10へ案内する剥離用ローラ9と、この剥離用ローラを通過したラベル紙とバイパス通路を通過した台紙とを再度貼り合わせる貼り合わせ装置11を設け、上記剥離用ローラと貼り合わせ装置の間にダイロールにてラベル紙に抜き溝を加工する抜き装置4を設け、上記抜き装置と貼り合わせ装置の間隔を、抜き装置にて抜き加工されるラベルの抜き加工終了前に、このラベルの下流側先端部が貼り合わせ装置にかかる間隔とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続した台紙に連続したラベル紙を貼着材にて仮着けしてなる積層連続体のラベル紙に抜き溝を加工するラベル連続体の生産装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のラベル連続体の生産装置としては図9に示すように、表面に抜き刃aを設けたダイロールbとアンビルロールcとからなり、この両ロールb,c間に仮着け用粘着材dにより貼り合わされた台紙eとラベル紙fの積層構造の積層連続体gを通すことにより、上記抜き刃aにてラベル紙fに所定の形状の抜き溝を形成し、その後これの下流側にて上記抜き溝の外側のカス部を図示しないカス巻き取り装置にて巻き取り、台紙e上に所定の形状のラベルが仮着けされたラベル連続体としている。
【0003】
このような生産装置にあっては、両ロールb,cの軸間距離を調整することにより抜き刃aの切り込み深さを調整し、台紙eを切ることなくラベル紙fのみが切断されるようにしているが、このような調整は積層連続体gのラベル紙fを貼り合わせている仮着け用の粘着材dの層厚が微小であるため、両ロールb,cの軸間調整はむずかしく、これに多くの時間と技術を必要としていた。
【0004】
このようなことに対して、抜き加工における抜き溝深度調整を非熟練者でも簡便、かつ迅速に行うことができるようにしたラベル連続体の生産装置として、上記積層連続体のラベル紙からラベルを型抜きするダイロールに、ラベル紙に抜き溝を形成する抜き刃のほかに、この抜き刃と同じ高さの刃を少なくとも1つ含む複数で、かつそれぞれ高さの異なる深度確認用の抜き刃群をラベル部位以外の余白部に設けておき、この深度確認抜き刃により付けられた抜き溝の状態によりダイロールとアンビルロール間の間隔調整を行うようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、ラベル紙からのラベルの型抜きをレーザービームにて行うようにしたものも知られている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−74570号公報
【特許文献2】特開昭61−61191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した抜き刃のほかに深度確認用の抜き刃を設けたものにあっても、台紙側に抜き刃による抜き跡を完全にはなくすことができず、またこの抜き跡を小さくするあまりに、抜き刃の深度を浅い方に調整することにより、ラベルの抜き残しが生じてしまう等の問題があった。また型抜きにレーザービームにて行うようにしたものにあっては、同一エネルギーで切断が可能なラベル紙と切断されない台紙との積層構造により型抜き可能にする等、特殊な用紙を使用しなければならないという問題がある。
【0008】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、抜き加工における抜き溝深度調整を非熟練者でも簡便、かつ迅速に行うことができるようにし、かつまた特殊な用紙を用いることなしに、台紙側に抜き溝跡を全く残すことなくラベルを仮着けし、さらに打ち抜かれたラベルが落下することがないようにしたラベル連続体を生産できるラベル連続体の生産装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るラベル連続体の生産装置は、台紙にラベル紙を貼着材にて仮着けしてなる積層連続体のラベル紙に抜き溝を加工するラベル連続体の生産装置において、積層連続体の走行路に台紙側に転接してラベル紙から台紙を剥離してバイパス通路へ案内する剥離用ローラと、この剥離用ローラを通過したラベル紙とバイパス通路を通過した台紙とを再度貼り合わせる貼り合わせ装置を設け、上記剥離用ローラと貼り合わせ装置の間にダイロールにてラベル紙に抜き溝を加工する抜き装置を設け、上記抜き装置と貼り合わせ装置の間隔を、抜き装置にて抜き加工されるラベルの抜き加工終了前に、このラベルの下流側先端部が貼り合わせ装置にかかる間隔とした構成になっている。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、台紙にラベル紙を貼着材にて仮着けしてなる積層連続体のラベル紙に抜き溝を加工するラベル連続体の生産装置において、ラベル紙を上側にして走行するようにした積層連続体の走行路に台紙側に転接してラベル紙から台紙を剥離してバイパス通路へ案内する剥離用ローラと、この剥離用ローラを通過したラベル紙とバイパス通路を通過した台紙とを再度貼り合わせる貼り合わせ装置を設け、上記剥離用ローラと貼り合わせ装置の間にダイロールにてラベル紙に抜き溝を加工する抜き装置を、ダイロールを上側にして設け、抜き装置と貼り合わせ装置との間に、ラベル紙の表面に対向する案内ローラを設けると共に、この案内ローラと貼り合わせ装置の押圧ローラにラベル紙の表面を案内する案内ベルトを巻き掛け、この案内ベルトの少なくとも上記ラベル紙に対向する部分に、ラベル紙を上側から吸引する吸引機能を付与した構成になっている。
【0011】
上記請求項2に係るラベル連続体の生産装置において、案内ローラから押圧ローラの間において案内ベルトの内面に対向する吸引室を設け、案内ベルトに多数の小孔を設けると共に、上記吸引室の上記案内ベルトの内面に対向する部分に吸引口を設けた構成にした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によればラベル紙は、台紙から完全に分離された状態で抜き装置にて抜き溝加工されて再び台紙に貼り合わされることにより、台紙にラベル紙の抜き溝跡を全く残すことなくラベル連続体を生産することができる。そしてこのときの抜き刃による抜き加工の溝深度調整を台紙側を考慮することなく、ラベル紙の厚さに応じて行うことができるため、この調整を準熟練者でも簡便に、かつ迅速に行うことができる。またレーザビームにて抜き溝を加工する場合でも、特殊な用紙を用いることなく抜き加工を行うことができる。
【0013】
また本発明によれば、抜き装置にて打ち抜かれたラベルは、完全に打ち抜かれる前に、これの下流側端部が貼り合わせ装置にかかることにより、抜き装置にて打ち抜かれるラベルが貼り合わせ装置に達する前に抜け落ちることはなく、台紙に張り合わせることができる。
【0014】
また抜き装置にて打ち抜かれたラベルは、この抜き装置から貼り合わせ装置にわたって吸引機能を付与された案内ベルトにて上側から吸引されながら走行されるので、抜き装置にて打ち抜かれたラベルは落下することなく、スムーズに貼り合わせ装置に送り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1の実施の形態を図1から図3に基づいて説明する。図1は正面図、図2は平面図、図3は貼り合わせ装置部での作用を示す斜視図で、それぞれ要部を概略的に示すものである。
【0016】
図中1はラベル紙2と台紙3とを仮着け用粘着材(図示せず)にて仮着けされた積層連続体であり、図示しない供給装置にて供給されるようになっている。
【0017】
4はダイロール5とアンビルロール6とからなる抜き装置であり、ダイロール5の周面には上記ラベル紙2のラベルを打ち抜く抜き刃7を備えており、両ロール5,6の軸間距離はこの両ロール5,6間を上記ラベル紙2が通ることにより、このラベル紙2を上記抜き刃7にてラベル紙2に抜き溝8を加工できる距離に設定されている。なお、この軸間距離及び抜き刃7の突出長さは、上記ラベル紙2の厚さに応じて調整できるようになっている。
【0018】
抜き装置4の送り方向の上流側に積層連続体1の台紙3側に転接するようにした剥離用ローラ9が設けてあり、抜き装置4の下側に、上記剥離用ローラ9に巻き掛けられてラベル紙2から剥離された台紙3を抜き装置4をバイパスするバイパス通路10がガイドローラ10a,10bにて構成されている。そして抜き装置4の下流側に、抜き装置4を通ったラベル紙2とバイパス通路10を通った台紙3とを再び合流して貼り合わせる一対の押圧ローラ11a,11bからなる貼り合わせ装置11が設けてある。なお、上記剥離用ローラ9に対向してラベル紙2に転接するガイドローラ9aを設けてもよい。
【0019】
上記貼り合わせ装置11は、抜き装置4の下流側で、この抜き装置4に可能な限り近い位置に配置されていて、抜き装置4にて抜き加工されるラベルの抜き加工終了前に、このラベルの下流端部が貼り合わせ装置11にかかるようになっている。この場合、貼り合わせ装置11を構成する両押圧ローラ11a,11bを小径にすることにより抜き装置4側に近づけることができる。
【0020】
上記構成において供給された積層連続体1は、剥離用ローラ9にてラベル紙2から台紙3が剥離される。そしてラベル紙2だけが抜き装置4を通り、ここでこの抜き装置4の抜き刃7にて抜き溝8が形成されて、ラベルとしての所定の形に打ち抜きされる。
【0021】
一方、剥離用ローラ9にて剥離された台紙3は、バイパス通路10を通ることによって上記抜き装置4をバイパスして抜き装置4による打ち抜き加工の影響を受けることなく、貼り合わせ装置11にて再び上記ラベル紙2と貼り合わされる。この貼り合わせ装置11より下流側へ所定の形状の抜き溝8が形成されたラベル紙2と台紙3とが一体状になって走行される。このとき貼り合わせ装置11が、抜き装置4の下流側の近い位置に設けられていることにより、図3に示すように、抜き装置4にて抜き溝8が加工されて打ち抜かれるラベルは、これの全体が打ち抜かれる前にこれの下流側端部が貼り合わせ装置11にかかって台紙3上に重ねられるので、貼り合わせる前にラベルが抜け落ちることがない。なお、この一体状になったラベル紙2のラベル2aの周囲のカスは、図示しない下流側でのカス巻き上げ装置にて適宜巻き上げる。
【0022】
図4、図5は本発明の第2の実施の形態を示すもので、この実施の形態は上記第1の実施の形態における抜き装置4に代えてレーザ光線を用いて抜き溝8を形成する従来公知のレーザ抜き装置12を用いたもので、他の構成及び作用は第1の実施の形態と同じである。
【0023】
上記第1の実施の形態における抜き装置4のアンビルロール6の周面は、ラベル紙2の内面に付着している仮着け用粘着材が付着しないよう表面処理されている。
【0024】
また、上記両実施の形態にあっては、積層連続体1のラベル紙2を上側にして加工する例を示したが、これを上下逆にしてラベル紙2を下側にしてもよい。この場合、抜き装置4、レーザ抜き装置12を上下逆にすると共に、バイパス通路10を上側にする。また、台紙3は1枚に限るものではなく2枚以上あってもよい。
【0025】
図6、図7は本発明の第3の実施の形態を示すもので、この実施の形態は、抜き装置4と貼り合わせ装置11との間が離隔している場合で、この両装置4,11の間に、抜き加工後のラベル紙2からラベル紙2aが抜け落ちるのを防止するラベル支持手段15を設けたものである。
【0026】
図6、図7は上記ラベル支持手段15の一例を示すもので、このラベル支持手段15はラベル紙2の表面側に対向して設けられている。このときのラベル紙2は上側であると共に、ダイロール5も上側になっている。このラベル支持手段15は、抜き装置4のダイロール7にできる限り近い位置で、かつラベル紙2に対向させて設けられた案内ローラ16と、この案内ローラ16と貼り合わせ装置11のラベル紙側の押圧ローラ11aとに、ラベル紙2の表面に沿って走行するように巻き掛けた案内ベルト17と、案内ベルト17の内側に設けられた吸引室18とからなっている。この吸引室18は真空ポンプに接続されて負圧となっている。
【0027】
上記案内ベルト17には多数の小孔19が設けてある。吸引室18は、上記案内ベルト17の案内ローラ16から押圧ローラ11aにわたる内側面に、少ない隙間で対向されていて、この対向面に図示しないが小孔、あるいは長手方向のスリットが複数設けられていて、吸引室18の負圧力が案内ベルト17の小孔19を介してラベル紙2の表面に作用するようになっている。
【0028】
この第3の実施の形態では、抜き装置4にて抜き加工されたラベル紙2は、直ちに案内ローラ16の下側から案内ベルト17に吸引されながら案内される。したがって、打ち抜かれたラベル2aの下流側端部が貼り合わせ装置11に到達しないうちに抜き装置4による打ち抜きが完了しても、このときの打ち抜きかれたラベル2aは、案内ベルト17に吸着されて走行されるのでラベル紙2から抜け落ちない。
【0029】
この第3の実施の形態における他例として、案内ベルト17にラベル紙2を静電気にてラベルを吸着可能にした静電吸着搬送ベルトを用いてもよい。この場合、吸引室18及びベルトに設ける小孔19が不要となる。
【0030】
図8は本発明の第4の実施の形態を示すもので、この実施の形態では、抜き装置4と貼り合わせ装置11との間に、抜き装置4を通過したラベル紙2を受ける案内板20がラベル紙2の走行路の下側に設けた構成になっている。
【0031】
この第4の実施の形態では、抜き装置4に対するバイパス通路10をこの抜き装置4の上側に配置し、積層連続体1は、このラベル紙2をアンビルロール6側にして走行させ、台紙3を上記バイパス通路10を通して貼り合わせ装置11にてラベル紙2と合流するようにしている。そしてこの実施の形態での貼り合わせ装置11は、台紙3側に転接する一方のローラ11aのみを用い、このローラ11aと上記案内板20との間でラベル紙2と台紙3とが張り合わされるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す平面図である。
【図3】貼り合わせ装置部での作用を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す正面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す正面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態を示す正面図である。
【図9】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1…積層連続体、2…ラベル紙、2a…ラベル、3…台紙、4…抜き装置、5…ダイロール、6…アンビルロール、7…抜き刃、8…抜き溝、9…剥離用ローラ、10…バイパス通路、11…貼り合わせ装置、11a,11b…押圧ローラ、12…レーザ抜き装置、15…ラベル支持手段、16…案内ローラ、17…案内ベルト、18…吸引室、19…小孔、20…案内板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙にラベル紙を貼着材にて仮着けしてなる積層連続体のラベル紙に抜き溝を加工するラベル連続体の生産装置において、
積層連続体の走行路に台紙側に転接してラベル紙から台紙を剥離してバイパス通路へ案内する剥離用ローラと、この剥離用ローラを通過したラベル紙とバイパス通路を通過した台紙とを再度貼り合わせる貼り合わせ装置を設け、
上記剥離用ローラと貼り合わせ装置の間にダイロールにてラベル紙に抜き溝を加工する抜き装置を設け、
上記抜き装置と貼り合わせ装置の間隔を、抜き装置にて抜き加工されるラベルの抜き加工終了前に、このラベルの下流側先端部が貼り合わせ装置にかかる間隔とした
ことを特徴とするラベル連続体の生産装置。
【請求項2】
台紙にラベル紙を貼着材にて仮着けしてなる積層連続体のラベル紙に抜き溝を加工するラベル連続体の生産装置において、
ラベル紙を上側にして走行するようにした積層連続体の走行路に台紙側に転接してラベル紙から台紙を剥離してバイパス通路へ案内する剥離用ローラと、この剥離用ローラを通過したラベル紙とバイパス通路を通過した台紙とを再度貼り合わせる貼り合わせ装置を設け、
上記剥離用ローラと貼り合わせ装置の間にダイロールにてラベル紙に抜き溝を加工する抜き装置を、ダイロールを上側にして設け、
抜き装置と貼り合わせ装置との間に、ラベル紙の表面に対向する案内ローラを設けると共に、この案内ローラと貼り合わせ装置の押圧ローラにラベル紙の表面を案内する案内ベルトを巻き掛け、この案内ベルトの少なくとも上記ラベル紙に対向する部分に、ラベル紙を上側から吸引する吸引機能を付与した
ことを特徴とするラベル連続体の生産装置。
【請求項3】
請求項2に係るラベル連続体の生産装置において、案内ローラから押圧ローラの間において案内ベルトの内面に対向する吸引室を設け、案内ベルトに多数の小孔を設けると共に、上記吸引室の上記案内ベルトの内面に対向する部分に吸引口を設けたことを特徴とするラベル連続体の生産装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−296320(P2008−296320A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144495(P2007−144495)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000161057)株式会社ミヤコシ (122)
【Fターム(参考)】