説明

ランフラットタイヤ支持体の製造方法

【課題】補強材の位置ずれを防止しつつ、優れた生産性を発揮することができるランフラットタイヤ支持体の製造方法を提供すること。
【解決手段】ランフラットタイヤ支持体のリム装着面を形成する中型11に、リング状の補強材5を外嵌して配設し、ランフラットタイヤ支持体の外周面を形成する外型12と側面を形成する横型10とを中型11に組み合わせて、リング状のキャビティ16を形成した後、ランフラットタイヤ支持体の形成原料をキャビティ16に供給して反応硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤのリムに装着され、タイヤ内圧が低下した際に必要なタイヤ外径を維持して安全に走行可能とするランフラットタイヤ支持体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ランフラットタイヤは、パンク等によりタイヤ内圧が大きく低下した状態(ランフラット状態)において、最寄りのサービス施設まで到達するまでの間、車両荷重と走行に耐え得る耐久性を備えたタイヤである。ランフラットタイヤとしては、タイヤのサイド部を補強したサイド補強タイプと、タイヤ内部にランフラットタイヤ支持体(以下、単に支持体と省略する場合がある。)を配設した中子タイプとが実用化されている。後者の例として、下記特許文献1には可撓性エラストマー材料からなる支持体が開示されており、その内周側部分には、高速回転時の遠心力による浮き上がりを抑制するための補強材が埋設されている。
【0003】
支持体の成形は、リング状のキャビティを形成する成形型を用いて、RIM成形法により行うことができる(例えば、下記特許文献2参照)。かかる成形法によれば、補強材が配設されたキャビティに、支持体の形成原料を供給して反応硬化させることにより支持体が成形される。但し、支持体の装着性やリムとの密着性を確保する観点から、支持体のリム装着面には補強材が露出しないようにされる。
【0004】
図10は、成形型の(a)型開き状態と(b)型締め状態を概略的に示す縦断面図であり、支持体を成形する様子を示している。キャビティ52は、型締め状態において軸方向が上下となるリング状をなしており、その内部にリング状の補強材53が配設される。補強材53は、型開き状態にて支持体の側面を形成する横型50上に載置され、且つスペーサー等により位置合わせされて、その剛性の高さを利用して立ち姿勢を維持している。下記特許文献2には、このような比較的高い剛性を備えたリング状の補強材が記載されている。
【0005】
補強材53は、支持体のリム装着面を形成する中型51に対し、その外周面から離間する位置に外挿されており、支持体のリム装着面に露出しないように配設されている。RIM成形法では形成原料の注入圧が高く、かかる場合において支持体の形成原料がキャビティ52に供給されると、補強材53が押されて位置ずれを生じることがあり、補強材53がリム装着面に露出してしまうという問題がある。
【0006】
下記特許文献3には、中型の外周面にコード材を巻回して補強材を形成する方法が開示されている。中型の外周面には、軸方向に延びる凹溝が周方向に所定ピッチで複数形成されており、補強材は凹溝上に架け渡されるようにして配設される。これにより、支持体の内周には凹溝に対応した凸部が形成され、補強材をリム装着面に露出させないようにすることができる。しかし、かかる方法では、コード材を巻回するのに時間がかかり、生産性が低下するという問題がある。
【特許文献1】特開平10−6721号公報
【特許文献2】特表2004−508977号公報
【特許文献3】特開2005−313690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、補強材の位置ずれを防止しつつ、優れた生産性を発揮することができるランフラットタイヤ支持体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、下記の如き本発明により達成することができる。即ち、本発明のランフラットタイヤ支持体の製造方法は、ランフラットタイヤ支持体のリム装着面を形成する中型にリング状の補強材を外嵌することにより、又は前記中型の外周面に帯状の補強材をリング状に巻き付けることにより、前記中型の外周に補強材を配設する工程と、ランフラットタイヤ支持体の外周面を形成する外型と側面を形成する横型とを前記中型に組み合わせて、リング状のキャビティを形成する工程と、ランフラットタイヤ支持体の形成原料を前記キャビティに供給して硬化させる工程とを備えるものである。
【0009】
本発明では、リング状の補強材を外嵌することにより又は帯状の補強材をリング状に巻き付けることにより、補強材を中型の外周に配設するため、キャビティ内での補強材の変位が規制されたものとなる。その結果、支持体の形成原料をキャビティに供給した際に、その注入圧により補強材が押されて位置ずれを生じることを防止することができる。かかる補強材の配設は、リング状の補強材を外嵌するか又は帯状の補強材をリング状に巻き付けることにより行われるため、作業が容易で短時間で行うことができ、優れた生産性を発揮することができる。なお、本発明では、上記のようにして補強材を配設することから、使用する補強材が従来のように定形性を具備する必要がなく、立ち姿勢を維持できない程度に低剛性でも構わない。
【0010】
上記において、前記リング状の補強材の内周にリング状の繊維材を取り付けておくことにより、又は前記帯状の補強材の長手方向端部に帯状の繊維材を連結しておくことにより、前記中型の外周に配設された前記補強材の内周に繊維材をリング状に配設することが好ましい。
【0011】
補強材の内周にリング状の繊維材を配設することにより、補強材を中型の外周面から離間させてリム装着面に露出させないようにすることができる。しかも、リング状の補強材の内周にリング状の繊維材を取り付けておくことにより、補強材と繊維材とを同時に中型に外嵌することができ、又は、帯状の補強材の長手方向端部に帯状の繊維材を連結しておくことにより、繊維材が内周に配されるように補強材を中型に巻き付けることができる。その結果、繊維材の配設を短時間で容易に行うことができ、生産性を阻害することがない。
【0012】
上記において、前記リング状の補強材の内周に複数のスペーサーを取り付けておくことにより、又は前記帯状の補強材の片面に複数のスペーサーを取り付けておくことにより、前記中型の外周に配設された前記補強材の内周に前記スペーサーを配設することが好ましい。
【0013】
補強材の内周に複数のスペーサーを配設することにより、補強材をスペーサーの外周に架け渡されるようにして中型の外周面から離間させ、リム装着面に露出させないようにすることができる。しかも、リング状の補強材の内周に複数のスペーサーを取り付けておくことにより、補強材とスペーサーとを同時に中型に外嵌することができ、又は、帯状の補強材の片面に複数のスペーサーを取り付けておくことにより、スペーサーが内周に配されるように補強材を中型に巻き付けることができる。その結果、スペーサーの配設を短時間で容易に行うことができ、生産性を阻害することがない。スペーサーは、成形した支持体に取り付けたままにしておくこともでき、かかる場合にはリム装着面が円滑なリング状面となるため、リム装着面に凹凸がある場合と比べてリムとの密着性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
図1は、ランフラットタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図である。図2は、そのランフラットタイヤに組み付けたランフラットタイヤ支持体の一部破断斜視図である。
【0015】
タイヤ2は、一対のビード部21と、ビード部21から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部22と、サイドウォール部22の各々の外周側端を連ねるトレッド部23とを備える。各ビード部21はリム3のビードシート31、32に装着され、タイヤ内部の空気の漏洩を防止した状態で、タイヤ2がリム3に嵌合固定されている。本実施形態のリム3は、ビードシート31がランフラットタイヤ支持体4の内径以下に形成された一体型リムであり、タイヤ2が左右非対称の断面形状を有する。
【0016】
支持体4は、リム3の取付面33に装着される円筒状のベース41と、ベース41の外周側に配され、タイヤ内圧が低下したときにトレッド部23の内面に当接しうる円筒状のキャップ42と、ベース41とキャップ42との間で径方向Rに延びて、両者を一体的に連結する環状本体43とを備え、断面矩形状をなす環状体に形成されている。ベース41の内径は、取付面33の外径よりも若干小さく設定されており、支持体4をビードシート31側から押し込んで外挿することによりリム3に組み付けることができる。
【0017】
環状本体43は、周方向に沿って延びる周方向壁44と、幅方向Wに沿って延びる幅方向壁45とを備える。幅方向壁45は、周方向壁44の端部同士を略ジグザグ状に繋ぐようにして延び、先細状をなして幅方向に延びる凹部47が互い違いに形成されている。凹部47は、中子重量を軽減しうるとともに、ランフラット走行時に発生する熱を外部に散逸させて放熱効果を高め、支持体4の耐久性向上に寄与しうる。
【0018】
ベース41には補強材5がリング状に埋設されており、高速回転時の遠心力による浮き上がりを抑制して、安定した装着強度を確保している。補強材5は、支持体4の最内面から外周側に少し離間しており、支持体4の装着性やリム3との密着性を確保する観点から、また補強材5の接触による取付面33の損傷を防止する観点から、リム装着面46に露出しないように配されている。
【0019】
補強材5としては、コード材を用いて作製したネットにより構成されるものが好ましく使用され、ランフラットタイヤ支持体の技術分野において公知のコード材を限定なく使用可能である。例として、レーヨンコード、ナイロン−6,6等のポリアミドコード、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維コード、ケブラー繊維コード、カーボンファイバー、スチールコード等が挙げられ、これらを1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0020】
本実施形態では、図3に示すようなリング状の補強材5が用いられる。この補強材5は、格子状に配列された非伸長性のガラス繊維コードからなり、シート状のガラス繊維ネット(例えばカネボウ社製:KS3815)を切断して得られた帯状体を環状に形成して、その端部同士を熱融着テープ等によりジョイントすることにより得られる。なお、所望の強度を得るために、上記帯状体を内外に積層しても構わないが、コード材の間隙(ネットの網目)が適度に形成されていることが好ましい。
【0021】
上記ガラス繊維ネットからなる補強材5は、周方向に延在するコード材と軸方向に延在するコード材とが接着剤により接着されて格子状をなすものであるが、それ自体は容易に変形しうる程度に柔軟であり、軸方向を水平にした状態で2mの高さから硬質の床上に自然落下させた場合には、径方向の変形量が20%以上となるものである。なお、接着剤以外の接着手段や編み込みによりコード材を格子状にしたものでも構わない。
【0022】
支持体4は本質的に可撓性材料により構成され、熱可塑性エラストマー及び架橋ゴム材料のいずれもが使用可能であるが、支持体として要求される特性を備えるものであれば特に限定なく使用可能である。熱可塑性エラストマーとしては、公知の熱可塑性エラストマーは限定なく使用可能であり、具体的にはポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー、ポリウレタンエラストマー等が例示される。
【0023】
また架橋ゴム材料を構成するゴム材料としては、天然ゴムの他、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(水添NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが例示される。これらのゴム材料は必要に応じて2種以上を併用してもよい。また、可撓性材料としては発泡弾性材料を使用してもよく、上記例示の発泡材料が使用可能である。
【0024】
図4は、支持体4の成形型の型開き状態を概略的に示す縦断面図である。図5は、その成形型の型締め状態を概略的に示す縦断面図である。この成形型は、支持体4の側面を形成する第1横型10(下型)と、第1横型10に対して開閉可能な上型とにより構成され、上型は、支持体4のリム装着面46を形成する円盤状の中型11と、同じく外周面を形成するリング状の外型12と、外型12と一体的に形成された第2横型13とを備える。中型11の外周面には、支持体4の軸方向(上下方向)に延びる突条14が、周方向に所定ピッチで複数設けられている。また、第1横型10と第2横型13とには、支持体4に凹部47を形成するための突起15が互い違いに突設されている。
【0025】
型締め状態では、図5に示すようにリング状のキャビティ16が形成される。第1横型10には、上下方向に延びるスプルー17と、スプルー17の上端から放射状に分岐してキャビティ16に連通する下凹溝とが形成されており、中型11の下面には、下凹溝に対向してランナー18を構成する上凹溝が形成されている。支持体4の形成原料は、不図示の射出機構からスプルー17に供給され、ランナー18を介してキャビティ16に射出注入される。
【0026】
支持体4は、補強材5の配設に関する点を除いて従来公知のRIM成形法により成形することができ、具体的には以下の通りである。まず、型開き状態において、図6に示すように、リング状の補強材5を中型11に外嵌する。補強材5の内径は、中型11に対して適度な嵌合強度が得られ、成形中に落下しないように設定されている。中型11は第2横型13から下方に離間しており、補強材5を配設するための作業スペースが適切に設けられている。
【0027】
補強材5は、図6(b)に示すように、突条14間に架け渡されるようにして中型11の外周にリング状に配設され、中型11の外周面と補強材5との間には空隙19が設けられる。なお、後工程において形成原料の流れ性に影響を及ぼさないよう、ランナー18の出口は補強材5を構成するコード材の間隙(ネットの網目)に位置していることが好ましい。
【0028】
次に、図5に示すように上型を下降させて型締め状態とし、第1横型10、外型12及び第2横型13を中型11に組み合わせてリング状のキャビティ16を形成する。キャビティ16内は、その内周側部分に補強材5が配設されるとともに、突起15が上下に互い違いに入り込んだ状態となる。
【0029】
続いて、支持体4の形成原料をキャビティ16に射出注入して反応硬化させる。このとき、補強材5は中型11の外周に配設されており、キャビティ16内での変位が規制されているため、形成原料の注入圧による補強材5の位置ずれが防止される。注入された形成原料は、キャビティ16の内周側部分から全体に行き渡って充填され、空隙19にも注入されて補強材5を取り囲み、その補強材5を構成するコード材の間隙にも浸入する。これにより補強材5を支持体4のベース41に埋設し、しかもリム装着面46に露出させないようにすることができる。形成原料が硬化した後は、成形型を型開きして支持体4を脱型する。
【0030】
[第2実施形態]
第2実施形態は、補強材の配設が以下の通りである他は、第1実施形態と同様であるので、共通点を省略して主に相違点について説明する。
【0031】
図7は、本実施形態の補強材を示す平面図である。補強材6は、シート状のガラス繊維ネットを切断して得られた帯状体からなり、その長手方向端部に帯状の繊維材7が連結されている。繊維材は、織布又はネット等にて構成することができ、公知の繊維材料が限定なく使用できる。例として、レーヨン、ナイロン−6,6等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、アラミド繊維等が挙げられる。これらの繊維材料には、形成原料との接着性を向上させるための処理を施すことが好ましい。
【0032】
本実施形態の繊維材7は、ナイロンネットを切断して得られた帯状体であり、補強材6と熱融着によりジョイントされている。この補強材6を中型に配設するに際しては、繊維材7の非ジョイント側の端部を巻き付け始端として中型の外周面に固定し、周方向に沿って巻き付けるようにする。これにより補強材6が中型の外周にリング状に配設され、その内周に繊維材7がリング状に配される。なお、補強材6又は繊維材7を複数周巻回して、内外に積層しても構わない。以上のように、本実施形態では、補強材6の内周にリング状の繊維材7を配設することにより、第1実施形態のような突条14が設けられた中型11を使用しなくても、補強材6を中型の外周面から離間させて、リム装着面46に露出させないようにすることができる。
【0033】
なお、リング状の繊維材7が内周に配されるように補強材6をリング状に形成しておき、それを中型に外嵌しても構わない。かかる場合、内外に配される補強材6と繊維材7とを接着剤等で固定しておくことが好ましい。これに対して、既に繊維材がリング状に配された中型の外周に、リング状の補強材を外嵌する場合には、それらが擦れ合う際の抵抗が大きく作業性が悪化する傾向にある。
【0034】
[第3実施形態]
第3実施形態は、補強材の配設が以下の通りである他は、第1実施形態と同様であるので、共通点を省略して主に相違点について説明する。また、第1実施形態で説明した部材・部位と同様の部材・部位には、同一の符号を用いて説明する。
【0035】
図8は、本実施形態の補強材を示す斜視図である。補強材8は、シート状のガラス繊維ネットを切断して得られた帯状体からなり、その片面には、断面台形状をなして幅方向に延びる複数のスペーサー9が、長手方向に所定ピッチで配列されて取り付けられている。スペーサー9の材質は特に限られるものではないが、支持体の形成原料との接着性に優れた樹脂成形品であることが好ましい。かかる補強材8は、帯状体にスペーサー9を個別に取り付けて形成してもよいが、例えばシート状のガラス繊維ネットに長尺のスペーサーを所定ピッチで配列して取り付け、それらを切断して形成することが効率的で好ましい。
【0036】
この補強材8を中型に配設するに際しては、図9に示すようにスペーサー9が内周に配されるようにして、補強材8を中型11の外周に巻き付けるようにする。これにより、補強材8がスペーサー9の外周に架け渡されるようにしてリング状に配設され、第1実施形態のような突条14が設けられた中型を使用しなくても、補強材6を中型の外周面から離間させて、リム装着面46に露出させないようにすることができる。なお、スペーサー9が内周に配されるように補強材8をリング状に形成しておき、それを中型に外嵌しても構わない。
【0037】
形成原料を硬化させて支持体4を成形した後、スペーサー9を支持体4に取り付けたままにしておいてもよい。かかる場合、支持体4のリム装着面46が円滑なリング状面となり、第1実施形態のように凹凸がある場合に比べてリム3との密着性を高めることができる。
【0038】
本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であり、支持体の構造やスペーサーの形状などは上記に限られるものではない。
【実施例】
【0039】
本発明の構成と効果を具体的に示すため、前述の実施形態で示した構造において、内径が460mm、外径が540mm、キャップの厚みが5mm、ベースの厚みが5mm、周方向壁の厚みが11mm、幅方向壁の厚みが9.5mmである支持体をポリウレタンによりRIM成形した。なお、この支持体が組み付けられるタイヤサイズは215−660R460A、ホイールサイズは205×460A−CLである。
【0040】
実施例1
外周面に突条が設けられたスチール製の中型(外径460mm)に離型剤を塗付し、リング状の補強材を外嵌した後に型締めを行い、ウレタン反応液をキャビティに供給して反応硬化させた。このリング状の補強材は、ガラス繊維ネット(カネボウ社製:KS5431)を切断してなる50mm幅の帯状体を2周巻回し、両端を熱融着テープにより固定することで成形した。なお、この補強材は容易に変形しうる程度に柔軟であり、上述した落下試験における変形量が20%以上となるものである。
【0041】
実施例2
補強材が、実施例1よりも軟質であるガラス繊維ネット(カネボウ社製:KS3815)からなる点と、内外の帯状体をウレタン系接着剤により接着固定した点とを除いて、実施例1と同じとした。
【0042】
実施例3
中型の外周面に突条が設けられていない点と、リング状の補強材の内周にリング状の繊維材が配された点とを除いて、実施例2と同じとした。この繊維材は、ナイロンネットを切断してなる50mm幅の帯状体であり、ガラス繊維ネットの帯状体に接着剤を用いてジョイントした。
【0043】
実施例4
中型の外周面に突条が設けられていない点と、リング状の補強材の内周に複数のスペーサーが取り付けられた点とを除いて、実施例2と同じとした。スペーサーとしては、ナイロン樹脂の射出成形品を使用し、留め具(鉄線)にて取付固定した。
【0044】
実施例1〜4においては、いずれもキャビティ内での補強材の変位が規制され、補強材がベースに埋設されつつリム装着面に露出していない支持体を適切に作製することができた。また、中型の外周に補強材をリング状に配設するにあたり、従来に比べて作業能率を低下させることもなく、優れた作業性を発揮しうることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】ランフラットタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図
【図2】ランフラットタイヤ支持体の一部を破断させて示す斜視図
【図3】第1実施形態におけるリング状の補強材を示す斜視図
【図4】成形型の型開き状態を概略的に示す縦断面図
【図5】成形型の型締め状態を概略的に示す縦断面図
【図6】補強材が配設された中型の正面図と、そのb−b断面を部分的に示す断面図
【図7】第2実施形態における帯状の補強材を示す平面図
【図8】第3実施形態における帯状の補強材を示す斜視図
【図9】図8に示す補強材が配設された中型を下方から見た図
【図10】成形型の(a)型開き状態と(b)型締め状態を概略的に示す縦断面図であり、従来の支持体の製造方法を説明する図
【符号の説明】
【0046】
2 タイヤ
3 リム
4 ランフラットタイヤ支持体
5 第1実施形態の補強材
6 第2実施形態の補強材
7 繊維材
8 第3実施形態の補強材
9 スペーサー
10 第1横型
11 中型
12 外型
13 第2横型
14 突条
16 キャビティ
41 ベース
46 リム装着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランフラットタイヤ支持体のリム装着面を形成する中型にリング状の補強材を外嵌することにより、又は前記中型の外周面に帯状の補強材をリング状に巻き付けることにより、前記中型の外周に補強材を配設する工程と、
ランフラットタイヤ支持体の外周面を形成する外型と側面を形成する横型とを前記中型に組み合わせて、リング状のキャビティを形成する工程と、
ランフラットタイヤ支持体の形成原料を前記キャビティに供給して硬化させる工程とを備えるランフラットタイヤ支持体の製造方法。
【請求項2】
前記リング状の補強材の内周にリング状の繊維材を取り付けておくことにより、又は前記帯状の補強材の長手方向端部に帯状の繊維材を連結しておくことにより、前記中型の外周に配設された前記補強材の内周に繊維材をリング状に配設する請求項1記載のランフラットタイヤ支持体の製造方法。
【請求項3】
前記リング状の補強材の内周に複数のスペーサーを取り付けておくことにより、又は前記帯状の補強材の片面に複数のスペーサーを取り付けておくことにより、前記中型の外周に配設された前記補強材の内周に前記スペーサーを配設する請求項1記載のランフラットタイヤ支持体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−320140(P2007−320140A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152058(P2006−152058)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】