ランプおよび電気照明システムの調光制御を提供する装置および方法
広い範囲の既存の「調光できない」電気照明製品およびシステムを「調光できる」製品およびシステムに変更するために使用できる省エネルギー調光方法および装置を開示する。調光できない電気照明システムの例は、(i)磁気安定器または特定の電子安定器のどちらかにより電力を供給される高圧および低圧放電灯、(ii)白熱電球、および(iii)電気照明システムのグループである。電圧ベクトル制御および無効電力制御の概念の統合された新しいアプローチに基づいて、照明システムに加えられる電圧は、照明システムの有効電力を扱わずに滑らかに変更できる。結果として、提案されたと調光装置および方法が汎用であって、広い範囲の「調光できない」電気照明システムの調光に対する省エネルギー調光アプローチとして使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、個々の電気ランプ、またはより一般的には、複数の個々のランプから形成される電気照明システムの調光制御を提供する装置および方法に関する。本発明は、特に単純な一般的目的および既存のランプにはめ込める煩わしくない調光システムに関し、使用しないときに、調光装置が、ランプの従来の制御に影響を持たないという意味で煩わしくない。
【背景技術】
【0002】
広い範囲の異なるタイプのランプおよび照明システムが種々の異なる用途で使用されている。これらは、蛍光灯、高エネルギー放電灯、および放電灯を含む。しかし、そのようなランプの一般的な欠点は、一般論として、そのようなランプが調光不可能であると考えられていることであり、すなわち、それらのランプは固定出力を持つ傾向があり、特定の決められた明るさと強さとをもつ。一般的に、ライトが明るすぎたり、強すぎて不快になり、電力の浪費になりうるので、これは望ましくない。
【0003】
美的理由および省エネの理由の両方のため、種々の試みが従来技術においてなされて、ランプの明るさが調整できるように、調光制御能力を持つそのようなランプを提供する。
【0004】
既存の照明システム用の既存の調光方法は、白熱電球およびトライアック調光器と互換性のある放電灯用のトライアックベースの調光器、放電灯用の調光可能な電子安定器、および磁気安定器により駆動されるランプを調光するための本質的に異なる技術の範囲を含む。これらの従来技術を順に論じる。
【0005】
エジソン型の白熱電球は、長い間使用されてきた。白熱電球は、内蔵調光機能を有しておらず、白熱電球の光の強さを制御するために、トライアック調光器が、図1(a)に示された調光装置として使用されてきた。トライアック調光器は、従来は、逆行性較正で接続された2つのサイリスタ、および本線電圧の関連する半分のサイクルで適切なサイリスタを始動させる遅れ角を制御できるトリガ回路からなる。図1(b)に示されているように、遅れ始動角(α)を制御することにより、本線電圧の成分は、トライアック調光器の出力電圧として制御でき、白熱電球およびトライアックと互換性のあるコンパクト型蛍光灯(CFL)に印加される。しかし、トライアック調光器を経由する本線入力電流は、調光器の出力電圧の形状に影響され、遅れ始動角が0でないとき、入力電流は、本線電圧の正弦曲線形状から逸脱し、電気系統の高調波となる。大電流高調波成分は、特に遅れ角が大きいとき、トライアック調光器により制御される照明システム固有の問題である。
【0006】
図1(c)は、トライアック調光器により制御される照明システムの電力フロー図である。トライアック調光器回路は、照明装置またはシステムの有効電力(P)および無効電力(Q)の両方を扱わねばならない。したがって、その電圧電流(VI)定格は、照明システムの全電力を扱うのに十分大きくなくてはならない。トライアックベースの調光器の2つの例は、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0007】
最近、蛍光灯および高輝度放電(HID)ランプなどの放電灯用の調光可能な電子安定器を使用する傾向が増えてきている。放電灯用の調光可能な電子安定器の概略は図2に示されている。調光可能な電子安定器は、通常、入力側に4つの接続線を持つ配置をし、2つの接続線は、交流本線の「ライブ」および「中性」用であり、他の2つは、通常1Vから10Vの間で設定される直流調光レベル制御信号用である。
【0008】
調光可能な電子安定器は、本質的に、ランプへの電力の流れを制御する電力変換器である。従来の調光可能な電子安定器は、安定器インバータの周波数の切り替えを増やすことにより、ランプを調光する。ランプへの電流を制限するインダクタのインピーダンスは、動作周波数と共に増加し、それ故、ランプの出力は、インバータの周波数を制御することにより制御できる。
【0009】
トライアック調光器と同様に、調光可能な電子安定器は、従来は、交流本線電圧および照明負荷の間に接続される。したがって、既存の調光可能な電子安定器は、照明負荷の最大電力(有効電力Pおよび無効電力Qの両方)を扱わねばならない。したがって、安定器の電力性能は、ランプの最大電力と、電子的損失との合計よりも高くなければならない。
【0010】
図1(c)および図3に示されているように、電力フロー図は、既存の調光装置または回路が、有効電力と無効電力との両方を扱う必要があることを示す。したがって、これらの方法に基づいた1つの調光装置を使用して、大きなグループまたはネットワークのランプから形成される照明システムを調光することは非経済的である。トライアック調光器は、典型的には数百ワットに限られ、調光可能な電子安定器は、通常、1つまたは1組のみの放電灯用に設計されている。
【0011】
磁気安定器は電子安定器より長い歴史を持つ。磁気安定器は蛍光灯および高輝度放電(HID)ランプの両方に広く使用されてきた。高周波数(典型的には40kHzより高い)で動作する電子安定器とは異なり、磁気安定器は本線の周波数(50Hzまたは60Hz)で動作する。
【0012】
磁気安定器は、電子安定器に対していくつかの利点を持つ。これらの利点は、極度に高い信頼性および長寿命(典型的には交換なしに15年より長い)、一時的な電圧変化(稲妻による)および都合の悪い動作環境(高温多湿等)に対する堅牢性を含む。特に、磁気安定器は、HIDランプの優れたランプアーク安定性能を提供し、それは、HIDランプが高周波数電子安定器と共に動作するとき、よく知られている音響共振の問題を有する。これは、HIDランプ市場が磁気安定器に占有されているためであり、磁気安定器は本線周波数で動作し、HIDランプアークの音響共振を引き起こさない。
【0013】
大抵の磁気安定器の主な制限は、放電灯を調光できないことである。この問題の解決を試みるか、避けて通り、調光磁気安定器を提供するいくつかの技術が報告されている。
【0014】
1つの従来の提案は、本線電圧の大きさの変更を達成する交流本線変圧器の開発を含む。論理的に、磁気安定器により駆動される放電灯は、本線電圧を下げるために本線変圧器を手動で開発することにより、調光できる。しかし、特に調光プロセスが、中央でまたは自動で制御されねばならないときには、これは、機械的解決法であって、適切な調光の解決法ではない。特許文献3は、放電灯の2段階調光システムを達成する2巻線自動変圧器の使用を記載している。2巻線は2つの別の電圧源を提供する。スイッチは、1組の巻線からの電圧、または直列に接続された2組の巻線からの全電圧のどちらかを選択するために使用される。そのような2段階調光システムは、複数のランプに使用できるけれども、調光レベルは段階的であって、連続的ではない。ペルソン(Persson)らの非特許文献1は、より複雑な変圧器を使用した複数段階の調光システムを提案した。
【0015】
もう1つの可能性は、磁気安定器−放電灯システムに流れ込む電流を制御する外部電流制御電力回路の使用である。特許文献4および特許文献5は、放電灯システムにより駆動される磁気安定器に流れ込む入力電流の大きさを制御する外部電流制御電力回路の使用を開示している。そのようなアプローチは、本線周波数の入力電流の大きさを変化させることにより、ランプの電力を制御する。しかし、電流制御電力ステージであっても、照明負荷の有効電力および無効電力の両方を制御せねばならない。
【0016】
代わりに、サイクロコンバータなどの交流−交流変換器が、安定器およびランプの両方からなる照明負荷に対する大きさを制御可能である本線周波数交流電圧をつくるために、原理上、使用できる。1つの実用的な交流−交流変換器(特許文献6)は、交流正弦電圧を、正弦波のエンベロープを持つ電圧パルスに刻む電力変換器を使用する。しかし、交流−交流電圧変換器のアプローチ(サイクロコンバータおよび特許文献6の変換器)は照明負荷用の正弦電圧を生成しない。結果として、プロセスの中でたくさんの高調波電流が生成され、電力線の高調波汚染問題に繋がる。加えて、図3の電力フローの図は、そのようなアプローチにより、交流−交流電圧変換器が、有効電力および無効電力の両方を扱う必要があるようになる。したがって、電力変換器の電力定格は、照明負荷の全電力よりも高くなければならない。
【0017】
磁気安定器システムのインピーダンスを変更することによる調光磁気安定器が報告されてきた。特許文献7は、特に、調光プロセスが、中央または自動で制御されねばならないときの、磁気安定器の中のチョークとして2段階インダクタの使用を開示している。2段階インダクタは、直列に接続された2つのインダクタから成る。2つのインダクタのうち1つをバイパスできるスイッチにより、2段階インダクタのインダクタンスは段階的に変更できる。このアプローチの欠点は、連続した調光レベルが達成できないことである。
【0018】
特許文献8は、限られた範囲内で連続して調光できる磁気安定器の可飽和リアクトル(インダクタ)の使用を記載している。余分な巻線をリアクトルに加え、この余分な巻線に直流電流を注入すると、リアクトルの磁気コアが飽和できる。したがって、磁気安定器の中のインダクタのインピーダンスを変更でき、ランプ電流が変更できる。しかし、この方法は、汎用の調光方法として、可飽和リアクトルになっていない既存の磁気安定器には利用できない。
【0019】
特許文献9は、放電灯システムの調光目的のために電流を絞るキャパシタの使用を記載している。スイッチできるキャパシタは放電灯にまたがって接続される。調光が必要になると、あるランプの電流が、そのランプからキャパシタに迂回するように、キャパシタのスイッチがオンになる。この方法で、ランプの電流、すなわちランプの電力および光の強度が、段階的に制御できる。しかし、連続した調光レベルはこの方法では達成できない。
【特許文献1】米国特許第4,437,043号
【特許文献2】米国特許第5,757,145号
【特許文献3】米国特許第6,271,635号
【特許文献4】米国特許第6,538,395号
【特許文献5】米国特許第6,121,734号
【特許文献6】米国特許第4,350,935号
【特許文献7】米国特許第5,389,857号
【特許文献8】米国特許第5,432,406号
【特許文献9】米国特許第5,949,169号
【非特許文献1】”A performance comparison of electronic vs. magnetic ballast for power gas−discharge UV lamps”、RadTech’98、Chicago、ページ1〜9、1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
蛍光灯(低圧放電灯)市場では、電子安定器が、従来の調光できない磁気安定器に置き換わってきている。高周波数(典型的には20kHz以上)で動作すると、電子安定器は蛍光灯のちらつき効果を取り除くことができ、本線周波数(50Hzまたは60Hz)で動作する磁気安定器よりも高い効果を達成する。したがって、電子安定器により駆動される蛍光灯は、磁気安定器により駆動されるランプと比較すると、同じ光出力に関してより少ないエネルギーしか使用しない。しかし、電子安定器の1つの弱点は、比較的短い寿命である。磁気安定器は、通常、交換せずに10年以上動作するけれども、そのような長い寿命を持つ電子安定器が存在するのはまれである。磁気安定器が調光可能にできると、その長寿命、高信頼性、およびエネルギー節約の組み合わされた特性は、そのような「調光可能な磁気安定器」を、蛍光灯などの低圧放電灯に対する魅力的な解決法にする。
【0021】
高輝度放電(HID)灯などの高圧ランプ市場では、まだ、磁気安定器が、電子安定器よりも信頼できるオプションと考えられている。この理由は、HIDランプが、1kHzより高い周波数で動作するとき、音響共振に苦しむ可能性があるからである。音響共振は、種々の形の共振を引き起こしうるランプ管の中での電流圧力の変化のためである。音響共振を避けるために、HIDランプは、通常、低周波数(1kHz未満)またはとても高い周波数(350−700kHzより上)で動作する。HIDランプと共に使用するように勧められている電子安定器もあるけれども、ランプの特性は時間と共に変化し、ランプの使用時間による影響が著しくなると、ランプの安定性が保証されない。HIDランプ用の電子安定器を開発する努力をますます増やしていても、磁気安定器が、その著しく高いランプアーク性能、安定器の高い信頼性、および低コストのために、HIDランプ市場をまだ占有している。稲妻に対する堅牢性および高信頼性が、考慮のための重要な基準であるアウトドア照明用途(街路灯など)では、特に市場を占有している。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明により、交流本線電源と電灯との間に設けられる安定器により駆動されるタイプの上記電灯の調光制御を提供する装置が提供され、上記装置は、上記本線電源と上記安定器との間に直列に位置する補助電圧を挿入するための手段を備え、上記補助電圧は上記本線電源とは位相が異なり、上記供給電圧は上記安定器に加えられる電圧と上記補助電圧とのベクトル結合であり、上記安定器に加えられる上記電圧は、上記本線電源の上記電圧の大きさよりも小さく、上記装置は、上記電灯に加えられる上記電圧を変更する上起補助電圧を制御する手段をさらに備え、上起補助電圧は上記装置を流れる電流から90度または270度位相がずれた状態を維持し、上記補助電圧の大きさは、上記電灯に加えられる上記電圧を変更するために使用される。この後の特性は、調光制御装置が無効電力のみを扱うことを保証する利点があり、これにより、上記調光制御装置での有効電力損失を最小にする。
【0023】
好ましい実施の形態では、上記装置は、高周波数で、出力としてパルス幅変調(PWM)波形を生成するようにスイッチされる2つのスイッチを含むハーフブリッジインバータを備える。好ましくは、上記ハーフブリッジインバータのPWM出力は、高い正弦波特性を備えた補助電圧を提供するためにフィルタリングされる。この実施の形態では、上記補助電圧の大きさを制御するために、上記ハーフブリッジインバータ用の所望の直流リンク電圧を選択する手段が提供される。特に、上記直流リンク電圧を上記所望の値に維持し、上記装置に流れる電流の位相から90度または270度ずれた上起補助電圧の位相を維持する手段が提供される。例えば、上記直流リンク電圧を上記所望の値に維持し、上記電流から90度または270度ずれた上起補助電圧の位相を維持するために、閉じられたループの制御スキームが使用できる。
【0024】
好ましくは、スイッチ手段が提供され、それにより、調光制御が必要なくなり、上記本線電源の電圧が直接安定器に加えられると、装置をバイパスできる。
【0025】
もう1つの形態から分かるように、本発明は、安定器経由で交流本線電源に接続された少なくとも1つのランプを備える電気照明システムを提供し、上記システムは、上記少なくとも1つのランプの調光制御を提供する手段をさらに備え、上記調光制御手段は、本線電源と補助電圧を挿入する上記安定器との間に直列に位置する手段を備え、上記補助電圧は上記本線電圧とは位相がずれ、それにより、上記供給電圧が上記安定器に加えられた電圧と上記補助電圧とのベクトル結合となり、それにより、上記安定器に加えられる上記電圧の大きさが、上記本線電源の上記電圧の大きさよりも小さく、上記ランプに加えられる上記電圧を変更する上記補助電圧を制御する手段をさらに備え、上記補助電圧は、上記調光制御手段を流れる電流の位相から90度または270度ずれた状態を維持し、上記補助電圧の大きさが、上記ランプに加えられる上記電圧を変更するために使用される。
【0026】
また別の形態から分かるように、本発明は、安定器により駆動される電灯の調光制御を提供する方法も提供し、交流電源と上記安定器との間に補助電圧を挿入するステップを備え、上記補助電圧が上記交流電源の電圧から位相がずれ、それにより供給電圧は、上記安定器に加えられた電圧と上記補助電圧とのベクトル結合になり、上記補助電圧は上記安定器に供給される電流の位相から90度または270度ずれて維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図を参照して発明の実施の形態を説明する。
【0028】
本発明は、少なくともその好ましい形では、磁気安定器または電子安定器のどちらかにより電源供給される蛍光灯またはHID放電灯などの電子照明システム用の高度にエネルギーの効率的な、かつ煩わしくない調光方法および装置を提供する。この方法および装置は、既存の「煩わしくない」磁気安定器ランプシステムを、有効エネルギーを節約する「煩わしい」磁気安定器に変える。提案された調光方法は、照明システムの有効電力を扱うことなしに、安定器ランプシステムに入手可能な電圧を制御することにより、有効エネルギーを節約する調光機能を達成する。本発明の背後にある概念は、新しく統合された電圧ベクトル制御および無効電力制御概念である。
【0029】
以下に続く発明を実施するための最良の形態から分かるように、照明システムに流れる無効電力を制御することにより、提案された調光装置は、制御可能な電圧ベクトルを本線電圧に挿入する。安定器ランプシステムに入手可能な得られた電圧はこのようにして制御できる。好ましい実施の形態では、調光方法および装置は、無効電力のみを扱うことにより、最小の電力損失を達成する。したがって、提案された調光装置の電力定格は、照明システムの全電力定格よりもかなり小さくなりうる。これにより、提案された調光装置が、高出力照明システムまたは照明装置のグループを調光できるようになる。本発明のもう1つの効果は、煩わしくない特性である。安定器ランプシステムは、たとえ提案された調光装置が動作していなくても、通常、全出力(すなわち調光しない状態)でも機能する。
【0030】
提案された方法、および装置は、個々の放電灯または街路灯などのHIDランプのネットワークを調光するために使用できる。これは、屋内用にも野外用にも使用できる。
【0031】
図4(a)は、本発明の実施の形態にかかる統合された電圧ベクトル制御および無効電力制御概念の基本的概念を示す。照明システムを調光するために、照明負荷に入力できる交流電圧は、照明負荷の有効電力を処理する必要なしに、変化する。Vsは交流本線電圧ベクトルであり;Vaは調光装置により挿入される補助電圧ベクトルであり;VLは、負荷用に関して得られる電圧ベクトルである。Iaは調光装置の電流ベクトルであり、補助電圧に対して垂直を維持する(すなわち、Vaの位相に対して90度または270度)。ILは負荷電流であり、Iaに等しい。
【0032】
本発明の実施の形態の電力フロー図は図4(b)に示される。無効電力制御回路を使用して、補助電圧ベクトルVaを挿入することにより、供給電圧ベクトルVsと補助電圧ベクトルVaとのベクトル差である得られる電圧VLは、制御できる。Vaの生成が無効電力Qを扱うことにより実行されるので、調光装置は、論理的に、照明負荷のどの有効電力Pも扱わない。調光装置の唯一の実効損失のみが、調光装置の電力回路内の導電損失およびスイッチング損失である。多くの実験例の計測において後に示すように、調光装置の全損失は、典型的には、調光プロセスで節約されたランプの電力の10%未満である。例えば、放電灯の150Wのランプ電力が80Wに調光されると、ランプの電力の減少は70Wであり、調光装置は7W未満消費するだけである。結果として、この例では、63Wの有効エネルギー節約が達成される。
【0033】
図4(c)は、本発明の実施の形態の等価回路を示す。電力ネットワーク理論に基づいて、Vxは、送電ネットワークの送電端に関する制御された交流電圧源である。このVxは、フィルタインダクタLFによりフィルタリングされる前の交流電圧(インバータブリッジにより生成される)に等価である。補助電圧Va(Vxのフィルタリングされたバージョン)は、ネットワークの受信端である。Vxの大きさおよび位相シフトδは制御できる。回路に供給される有効電力Pおよび無効電力Qは、以下のように示される。
【数1】
【数2】
ω=2πf、fは本線周波数、δは電圧ベクトルVaとVxとの間の角度である。
【0034】
式(1)および(2)から、電圧ベクトル生成および無効電力制御概念がどのように調光回路で電力の損失を最小にするかが分かる。式(1)は、δを0に維持することにより、sinδが0であり、このPは0に等しいことを示す。したがって、調光回路は電力フローの有効電力を消費しない。式(2)は、無効電力Qおよび補助電圧ベクトルVaが、Vxの大きさを制御することにより調整できることを示す。Vxの大きさは、以下でさらに説明するように閉じたループの制御スキーム内のインバータブリッジの直流リンク電圧Vdcを調整することにより制御できる。
【0035】
好ましくは、以下に説明するように、ハーフブリッジ較正を持つ電圧源インバータは、2つのキャパシタから供給される直流側と共に、本発明のこの実施の形態に使用される。インバータのキャパシタ電圧は、直流電圧設定を調整することにより、閉じたループ制御回路により制御できる。閉じたループ回路は、この遷移状態の間に一時的にδを変更する。δが正であると、キャパシタ電圧は増加し、負であると減少する。角度δは、定常状態におけるキャパシタ電圧調整の後で、0を維持する。
【0036】
図5(a)は、どの調光機能も持たない磁気安定器駆動放電灯システムの典型的なベクトル図を示す(ベクトルは本線周波数から反時計回りに回転するように思われる。)。この場合、Vxは単純にVLに等しい。磁気安定器が大きなインダクタまたはチョークから成り、ランプアークは抵抗として表すことができるので、回路は高度に誘導的である。したがって、負荷電流ILは、位相角度φだけ供給電圧Vsより遅れる。図5(b)は、本発明の実施の形態の調光装置が含まれると、ベクトル図を示す。調光装置は、(多くの電力を消費せずに)電圧ベクトルVaをシステムに挿入する。照明システムに入力できる得られた負荷電圧は、滑らかに(より小さくして)変更できる。結果として、ランプの電力は、電圧ベクトル概念により制御できる。図5(a)(調光装置なし)と図5(b)(調光装置あり)とを比較すると、補助電圧ベクトルVaを本線電圧ベクトルVsへ挿入すると、得られた電圧VLの大きさは減少する。したがって、磁気安定器駆動照明システムは、より少ない電流ILを有し、ランプの電力を減らすことができる。
【0037】
Iaおよび負荷電流ILは図5(b)では等しい。図5(b)の考慮から、負荷に加えられた電圧の大きさは、概ね、補助電圧の大きさおよび/または位相を変更することにより制御できる。しかし、大いに好ましいのは、調光装置の中で電力損失を最小にするために、電流のベクトルに垂直になるように、補助電圧のベクトルを維持することであり、それ故、調光装置(Ia=IL)に入る電流ベクトルは、調光装置により生成される補助電圧ベクトル(Va)の位相から90度または270度ずれた状態を好ましくは維持すべきである。ベクトルIaおよびVaが、互いに垂直なので、調光装置は論理的には有効電力を消費しない。実際には、調光装置は、調光装置の中の導電損失、スイッチング損失、および磁気損失のために、ほんのわずかな量の電力を消費する。しかし、調光装置の中の全電力損失は、全体で節約できるランプの電力の一部分(典型的には10%未満)である。
【0038】
図6は本発明の実施の形態にかかる調光装置の電力電子回路の概略を示す。この装置は、調光回路が始動されないとき、通常は閉じている(N.C.)バイパススイッチSm(リレーまたは接触器等の電気機械的スイッチ)を含む。この非動作モード(リレーが閉じられているとき)では、Iaは調光回路をバイパスし、Vaは0である。それ故、提案された調光装置は調光される電子照明システムには煩わしくない。調光装置が始動すると、Smは開き、Iaが調光回路に流れ込む。
【0039】
この実施の形態の調光装置の回路は、トーテムポール電力電子スイッチS1およびS2の組を備えたハーフインバータブリッジから成る。2つのキャパシタ(C1およびC2)は、直流リンクバルクキャパシタおよびエネルギー貯蔵キャパシタとして機能する。2つのフリーホイーリングダイオードD1およびD2と、スイッチング動作S1およびS2とにより、直流電圧は、調光装置が始動されると、2つの直接接続されたキャパシタC1およびC2の中に集められる。C1およびC2にまたがる直流電圧は、ハーフインバータブリッジのための直流電圧源となる。ハーフインバータブリッジの中の2つの電力電子スイッチS1およびS2は、高品質正弦成分を持つPWM電圧波形を生成するために、正弦パルス幅変調(PWM)スキームで高周波数でスイッチされる。次に、PWM電圧波形は、PWM電圧波形中の高周波数電圧高調波がフィルタリングされるように、インダクタLおよびキャパシタCを備えた低域通過フィルタによりフィルタリングされる。次に、フィルタリングされた電圧は、高品質正弦波電圧であり、調光装置により生成される補助電圧Vaである。
【0040】
図12に示されているように、フルブリッジインバータは、ハーフブリッジインバータを置き換えるためにも使用できる。しかし、ハーフブリッジインバータは、フルブリッジインバータの電力電子装置の半分の数を使用するので、より費用効率のいい解決法である。小電力用途(例えば2kVa未満)に関しては、ハーフブリッジインバータで十分である。しかし、大電力用途では、フルブリッジインバータの方が適している。
【0041】
始動時に、調光回路は、通常は閉じているバイパススイッチSmを開けることにより、その動作を開始する。照明負荷の調光レベルは、閉じられたループの制御スキームを使用して調整できる。調光レベルは、ハーフブリッジインバータの直流リンク電圧(Vdc)の基準レベルを設定することにより決定できる。このVdc基準が、例えば0に設定されと、調光回路により生成されるVaの大きさは0になる。Vdc基準があるレベルに設定されると、このVdcは、インバータの直流リンク電圧になり、補助電圧Vaの大きさに影響する。
【0042】
ハーフブリッジインバータにより生成されるPWM電圧は+0.5Vdcと−0.5Vdcとのピーク間の大きさを有する。閉じられたループの制御では、本線電圧ベクトルVsと補助電圧ベクトルVaとの間の位相角は、(1)実際の直流リンク電圧Vdcが基準設定にしたがって調整される方法、および(2)Ia(=IL)がVaの位相から90度または270度ずれた状態である方法により制御される。状態(1)はVaの大きさを決定する。状態(2)は、調光回路が、照明システムの無効電力(Q)のみを扱うことを確実にする。この方法で、調光回路の電力定格は、照明システムの電力定格よりかなり小さい。結果として、低コスト調光回路が、「調光不可能な」照明システムを調光するために開発できる。
【0043】
図7は、調光装置に関する電圧ベクトルおよび無効電力制御スキームのブロック図を示す。図6を参照して説明したように、通常は閉じている(N.C.)電気機械的スイッチ(リレーまたは接触器)は、調光回路が始動されていないと、スイッチをバイパスするために使用される。一旦調光回路が始動されると、N.C.スイッチは、図7に示されるように回路に接続される。1つのセンサ(典型的には信号変圧器)は、Vsの位相が得られるように、本線電圧を感知するために使用される。もう1つのセンサは、調光回路の中のインバータブリッジの直流リンク電圧Vdcを検出するための直流電圧センサ(典型的には分圧器)である。調光制御は、直流電圧(Vdc)基準の形で制御される。比較器が、Vdc基準とVdcフィードバック信号との間の誤り信号を得るために使用される。誤り信号は、誤り補正器に入力されるか、または、典型的には、比例積分(PI)コントローラに入力され、そこで位相シフト信号を生成する。入力としての、本線電圧の位相シフト信号および位相基準により、補助電圧ベクトルVaが、Vdc基準レベルにおいて直流リンク電圧Vdcを維持するために本線電圧ベクトルVsにより適切に位相シフトされるように、フェーズロックループが使用されて、電力スイッチS1およびS2へのパルス幅変調(PWM)ゲート信号を生成する。要求される基準レベルにVdcを維持することにより、調光回路における有効電力の実際の消費はなくなる。したがって、この制御スキームは、補助電圧ベクトルVaが調光回路の入力電圧Iaに対して垂直である自動的な特性をもつ。すなわち、提案された制御スキームにより、調光回路が、無効電圧のみを扱うことにより、必要な補助電圧ベクトルを生成することが保証される。したがって、調光回路の電力定格は、照明負荷の無効電力にしたがい、照明負荷の全電力にしたがわずに設計できる。
【0044】
提案された調光方法および装置は、実験用のプロトタイプで試験してきており、磁気安定器により駆動されるいくつかの放電灯は調光に成功した。図8は、実験設定のブロック図を示す。放電灯の範囲に関して、図6に示されているように、調光装置は、磁気安定器放電灯システムに接続される。
【0045】
新しい調光概念を確かめるために試験が実施される。Vdcに関する基準設定を増やすことにより、直流リンク電圧は、補助電圧Vaを生成するために、異なるレベルに調整される。本線電圧は50Hzで220Vであった。本線電圧Vs、補助電圧Va、照明負荷に入力される得られる電圧(VLoad)、および負荷電流IL(Iaに等しい)が計測される。照明負荷により消費される全入力電力(PLoad)および新しい調光装置の中の全電力損失も計測される。
【0046】
図9(a)−(e)は、磁気安定器により駆動される150W高圧ナトリウム放電灯の計測値を示す。このシステムは新しい調光装置により調光した。
【0047】
図9(a)は、バイパスリレースイッチSmが通常閉じられていて、調光回路が始動していないときに計測されたVs、Ia、Va、およびVLoad(VL)を示す。ランプは全出力で動作し、Smが閉じられているので、VLoadがVsに等しく、Vaは0であることが分かる。
【0048】
図9(b)はバイパスリレーが開いていて、調光回路がとても小さな(ほとんど0)調光設定で始動されたときの計測値を示す。Vaは7Vであって、VsがほとんどVLoadと同じであることが分かる。ランプはほとんど最高出力で動作している。
【0049】
図9(c)は、ナトリウム放電灯が全出力の約75%に調光されたときの計測値を示す。補助電圧は約20Vであって、VLOADは現在198Vである。図9(a)および図9(b)の負荷電流Iaと比較して、図9(c)の負荷電流Iaは減少し、ランプ電力の減少と、提案された調光原理の減少を確認する。図9(c)から、VaとIaは、互いに90度位相がずれていることに注意するのは重要であり、調光装置は、本質的に無効電力のみを扱う。全ランプ出力の50%および30%に調光されたランプ出力の試験結果は、各々図9(d)および図9(e)に記録されている。
【0050】
図9(a)から(e)までから、(i)大きさの増加する電圧ベクトルVaは、照明負荷に関して得られた電圧VLOADを減少させ、(ii)VaおよびIaは90度位相がずれている。図9(f)は、照明負荷(磁気安定器およびナトリウム放電灯の両方を含む)の実際の有効電力消費(P)の計測値を示す。積分された電圧ベクトル制御および調光目的のための無効電力制御概念は、実際に確認され、示される。
【0051】
フィリップスマスタカラー(CDM−T 150W/830)150Wメタルハライドランプは、フィリップス磁気安定器(BSN 150L 407 I TS)により駆動される。図10(a)は、調光レンジにわたって照明負荷の有効電力消費の計測値を示す。同じ調光レンジにわたって、新しい調光装置の中で消失する実際の電力損失は、図10(b)に記録され、プロットされている。ランプ出力が150Wから約92Wに減少(すなわち58Wの電力節約)しても、調光装置は6W未満しか消費しない。これは、52Wの実際の電力節約になる。すなわち、調光装置は、節約されたランプ電力の約10%しか消費しない。
【0052】
150Wナトリウム放電灯および150Wメタルハライドランプに基づく結果は、少なくとも好ましい実施の形態では、本発明は、通常は「調光できない」照明システムを調光する高度にエネルギー効率のよい方法であることを確かめた。調光装置も試験されて、2つの従来の磁気安定器により駆動される2組の2x36W T8 蛍光灯を、全ランプ出力の100%から約40%まで調光するのに成功した。図11(a)および図11(b)は、フィリップス磁気安定器により電力を供給される2X36W T8 ランプシステム(1つのランプはフィリップスTLD 36W/33 白色であって、もう1つはTLD 36W/54 昼光色)の中の全ランプ電力の計測値を示し、2X36Wランプシステムは、提案された調光器により調光される。全負荷時には、ランプシステムは約70Wを消費する。全出力の100%から40%(30W)の調光範囲内では、調光器内での全損失は2W未満である。
【0053】
上に記載された実施の形態では、補助電圧の生成に別のエネルギー源は必要ない。しかし、所望ならば、図13に示されているように、補助エネルギー源が使用できる。補助エネルギー源が交流電圧であると、Vxを生成するために交流−交流電力変換器を使用してVxを生成できる。補助エネルギー源が直流電圧であると、直流−交流電力変換器(ハーフブリッジ電力インバータまたはフルブリッジ電力インバータ)を使用してVxを生成できる。
【0054】
本発明は、電子安定器が安定器への交流入力電圧を減らすことにより調光できるタイプであれば、放電灯用の特定の電子安定器にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1(a)】従来技術のトライアックベースの調光器の動作を示す図
【図1(b)】従来技術のトライアックベースの調光器の動作を示す図
【図1(c)】従来技術のトライアックベースの調光器の動作を示す図
【図2】従来技術の調光可能な電子安定器を示すブロック図
【図3】従来技術による磁気安定器システムの調光制御用の交流−交流変換器の使用を示すブロック図
【図4(a)】本発明の実施の形態にかかる装置を示すブロック図
【図4(b)】本発明の実施の形態にかかる負荷のグループを示し、電力フローを示す概略図
【図4(c)】本発明の実施の形態にかかる等価な回路を示す図
【図5(a)】本発明の調光制御装置を使用しないで磁気安定器により駆動される放電灯システムのベクトル図
【図5(b)】本発明の調光制御装置を使用して磁気安定器により駆動される放電灯システムのベクトル図
【図6】本発明の実施の形態にかかる調光制御装置の電力電子回路を示す概略図
【図7】本発明の実施の形態で使用する閉じられたループの制御システムを示す図
【図8】実験の設定を示すブロック図
【図9(a)】実験結果を示す図
【図9(b)】実験結果を示す図
【図9(c)】実験結果を示す図
【図9(d)】実験結果を示す図
【図9(e)】実験結果を示す図
【図9(f)】実験結果を示す図
【図10(a)】1つの実験例における電圧に対する負荷の有効電力消費の計測値を示す図
【図10(b)】計測値を示す図
【図11(a)】もう1つの実験例における電圧に対する負荷の有効電力消費の計測値を示す図
【図11(b)】調光制御装置における全電力損失の計測値を示す図
【図12】補助電圧を生成するフルブリッジインバータを使用する代わりの実施の形態を示す図
【図13】別のエネルギー源が補助電圧に使用される代わりの実施の形態を示す図
【技術分野】
【0001】
この発明は、個々の電気ランプ、またはより一般的には、複数の個々のランプから形成される電気照明システムの調光制御を提供する装置および方法に関する。本発明は、特に単純な一般的目的および既存のランプにはめ込める煩わしくない調光システムに関し、使用しないときに、調光装置が、ランプの従来の制御に影響を持たないという意味で煩わしくない。
【背景技術】
【0002】
広い範囲の異なるタイプのランプおよび照明システムが種々の異なる用途で使用されている。これらは、蛍光灯、高エネルギー放電灯、および放電灯を含む。しかし、そのようなランプの一般的な欠点は、一般論として、そのようなランプが調光不可能であると考えられていることであり、すなわち、それらのランプは固定出力を持つ傾向があり、特定の決められた明るさと強さとをもつ。一般的に、ライトが明るすぎたり、強すぎて不快になり、電力の浪費になりうるので、これは望ましくない。
【0003】
美的理由および省エネの理由の両方のため、種々の試みが従来技術においてなされて、ランプの明るさが調整できるように、調光制御能力を持つそのようなランプを提供する。
【0004】
既存の照明システム用の既存の調光方法は、白熱電球およびトライアック調光器と互換性のある放電灯用のトライアックベースの調光器、放電灯用の調光可能な電子安定器、および磁気安定器により駆動されるランプを調光するための本質的に異なる技術の範囲を含む。これらの従来技術を順に論じる。
【0005】
エジソン型の白熱電球は、長い間使用されてきた。白熱電球は、内蔵調光機能を有しておらず、白熱電球の光の強さを制御するために、トライアック調光器が、図1(a)に示された調光装置として使用されてきた。トライアック調光器は、従来は、逆行性較正で接続された2つのサイリスタ、および本線電圧の関連する半分のサイクルで適切なサイリスタを始動させる遅れ角を制御できるトリガ回路からなる。図1(b)に示されているように、遅れ始動角(α)を制御することにより、本線電圧の成分は、トライアック調光器の出力電圧として制御でき、白熱電球およびトライアックと互換性のあるコンパクト型蛍光灯(CFL)に印加される。しかし、トライアック調光器を経由する本線入力電流は、調光器の出力電圧の形状に影響され、遅れ始動角が0でないとき、入力電流は、本線電圧の正弦曲線形状から逸脱し、電気系統の高調波となる。大電流高調波成分は、特に遅れ角が大きいとき、トライアック調光器により制御される照明システム固有の問題である。
【0006】
図1(c)は、トライアック調光器により制御される照明システムの電力フロー図である。トライアック調光器回路は、照明装置またはシステムの有効電力(P)および無効電力(Q)の両方を扱わねばならない。したがって、その電圧電流(VI)定格は、照明システムの全電力を扱うのに十分大きくなくてはならない。トライアックベースの調光器の2つの例は、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0007】
最近、蛍光灯および高輝度放電(HID)ランプなどの放電灯用の調光可能な電子安定器を使用する傾向が増えてきている。放電灯用の調光可能な電子安定器の概略は図2に示されている。調光可能な電子安定器は、通常、入力側に4つの接続線を持つ配置をし、2つの接続線は、交流本線の「ライブ」および「中性」用であり、他の2つは、通常1Vから10Vの間で設定される直流調光レベル制御信号用である。
【0008】
調光可能な電子安定器は、本質的に、ランプへの電力の流れを制御する電力変換器である。従来の調光可能な電子安定器は、安定器インバータの周波数の切り替えを増やすことにより、ランプを調光する。ランプへの電流を制限するインダクタのインピーダンスは、動作周波数と共に増加し、それ故、ランプの出力は、インバータの周波数を制御することにより制御できる。
【0009】
トライアック調光器と同様に、調光可能な電子安定器は、従来は、交流本線電圧および照明負荷の間に接続される。したがって、既存の調光可能な電子安定器は、照明負荷の最大電力(有効電力Pおよび無効電力Qの両方)を扱わねばならない。したがって、安定器の電力性能は、ランプの最大電力と、電子的損失との合計よりも高くなければならない。
【0010】
図1(c)および図3に示されているように、電力フロー図は、既存の調光装置または回路が、有効電力と無効電力との両方を扱う必要があることを示す。したがって、これらの方法に基づいた1つの調光装置を使用して、大きなグループまたはネットワークのランプから形成される照明システムを調光することは非経済的である。トライアック調光器は、典型的には数百ワットに限られ、調光可能な電子安定器は、通常、1つまたは1組のみの放電灯用に設計されている。
【0011】
磁気安定器は電子安定器より長い歴史を持つ。磁気安定器は蛍光灯および高輝度放電(HID)ランプの両方に広く使用されてきた。高周波数(典型的には40kHzより高い)で動作する電子安定器とは異なり、磁気安定器は本線の周波数(50Hzまたは60Hz)で動作する。
【0012】
磁気安定器は、電子安定器に対していくつかの利点を持つ。これらの利点は、極度に高い信頼性および長寿命(典型的には交換なしに15年より長い)、一時的な電圧変化(稲妻による)および都合の悪い動作環境(高温多湿等)に対する堅牢性を含む。特に、磁気安定器は、HIDランプの優れたランプアーク安定性能を提供し、それは、HIDランプが高周波数電子安定器と共に動作するとき、よく知られている音響共振の問題を有する。これは、HIDランプ市場が磁気安定器に占有されているためであり、磁気安定器は本線周波数で動作し、HIDランプアークの音響共振を引き起こさない。
【0013】
大抵の磁気安定器の主な制限は、放電灯を調光できないことである。この問題の解決を試みるか、避けて通り、調光磁気安定器を提供するいくつかの技術が報告されている。
【0014】
1つの従来の提案は、本線電圧の大きさの変更を達成する交流本線変圧器の開発を含む。論理的に、磁気安定器により駆動される放電灯は、本線電圧を下げるために本線変圧器を手動で開発することにより、調光できる。しかし、特に調光プロセスが、中央でまたは自動で制御されねばならないときには、これは、機械的解決法であって、適切な調光の解決法ではない。特許文献3は、放電灯の2段階調光システムを達成する2巻線自動変圧器の使用を記載している。2巻線は2つの別の電圧源を提供する。スイッチは、1組の巻線からの電圧、または直列に接続された2組の巻線からの全電圧のどちらかを選択するために使用される。そのような2段階調光システムは、複数のランプに使用できるけれども、調光レベルは段階的であって、連続的ではない。ペルソン(Persson)らの非特許文献1は、より複雑な変圧器を使用した複数段階の調光システムを提案した。
【0015】
もう1つの可能性は、磁気安定器−放電灯システムに流れ込む電流を制御する外部電流制御電力回路の使用である。特許文献4および特許文献5は、放電灯システムにより駆動される磁気安定器に流れ込む入力電流の大きさを制御する外部電流制御電力回路の使用を開示している。そのようなアプローチは、本線周波数の入力電流の大きさを変化させることにより、ランプの電力を制御する。しかし、電流制御電力ステージであっても、照明負荷の有効電力および無効電力の両方を制御せねばならない。
【0016】
代わりに、サイクロコンバータなどの交流−交流変換器が、安定器およびランプの両方からなる照明負荷に対する大きさを制御可能である本線周波数交流電圧をつくるために、原理上、使用できる。1つの実用的な交流−交流変換器(特許文献6)は、交流正弦電圧を、正弦波のエンベロープを持つ電圧パルスに刻む電力変換器を使用する。しかし、交流−交流電圧変換器のアプローチ(サイクロコンバータおよび特許文献6の変換器)は照明負荷用の正弦電圧を生成しない。結果として、プロセスの中でたくさんの高調波電流が生成され、電力線の高調波汚染問題に繋がる。加えて、図3の電力フローの図は、そのようなアプローチにより、交流−交流電圧変換器が、有効電力および無効電力の両方を扱う必要があるようになる。したがって、電力変換器の電力定格は、照明負荷の全電力よりも高くなければならない。
【0017】
磁気安定器システムのインピーダンスを変更することによる調光磁気安定器が報告されてきた。特許文献7は、特に、調光プロセスが、中央または自動で制御されねばならないときの、磁気安定器の中のチョークとして2段階インダクタの使用を開示している。2段階インダクタは、直列に接続された2つのインダクタから成る。2つのインダクタのうち1つをバイパスできるスイッチにより、2段階インダクタのインダクタンスは段階的に変更できる。このアプローチの欠点は、連続した調光レベルが達成できないことである。
【0018】
特許文献8は、限られた範囲内で連続して調光できる磁気安定器の可飽和リアクトル(インダクタ)の使用を記載している。余分な巻線をリアクトルに加え、この余分な巻線に直流電流を注入すると、リアクトルの磁気コアが飽和できる。したがって、磁気安定器の中のインダクタのインピーダンスを変更でき、ランプ電流が変更できる。しかし、この方法は、汎用の調光方法として、可飽和リアクトルになっていない既存の磁気安定器には利用できない。
【0019】
特許文献9は、放電灯システムの調光目的のために電流を絞るキャパシタの使用を記載している。スイッチできるキャパシタは放電灯にまたがって接続される。調光が必要になると、あるランプの電流が、そのランプからキャパシタに迂回するように、キャパシタのスイッチがオンになる。この方法で、ランプの電流、すなわちランプの電力および光の強度が、段階的に制御できる。しかし、連続した調光レベルはこの方法では達成できない。
【特許文献1】米国特許第4,437,043号
【特許文献2】米国特許第5,757,145号
【特許文献3】米国特許第6,271,635号
【特許文献4】米国特許第6,538,395号
【特許文献5】米国特許第6,121,734号
【特許文献6】米国特許第4,350,935号
【特許文献7】米国特許第5,389,857号
【特許文献8】米国特許第5,432,406号
【特許文献9】米国特許第5,949,169号
【非特許文献1】”A performance comparison of electronic vs. magnetic ballast for power gas−discharge UV lamps”、RadTech’98、Chicago、ページ1〜9、1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
蛍光灯(低圧放電灯)市場では、電子安定器が、従来の調光できない磁気安定器に置き換わってきている。高周波数(典型的には20kHz以上)で動作すると、電子安定器は蛍光灯のちらつき効果を取り除くことができ、本線周波数(50Hzまたは60Hz)で動作する磁気安定器よりも高い効果を達成する。したがって、電子安定器により駆動される蛍光灯は、磁気安定器により駆動されるランプと比較すると、同じ光出力に関してより少ないエネルギーしか使用しない。しかし、電子安定器の1つの弱点は、比較的短い寿命である。磁気安定器は、通常、交換せずに10年以上動作するけれども、そのような長い寿命を持つ電子安定器が存在するのはまれである。磁気安定器が調光可能にできると、その長寿命、高信頼性、およびエネルギー節約の組み合わされた特性は、そのような「調光可能な磁気安定器」を、蛍光灯などの低圧放電灯に対する魅力的な解決法にする。
【0021】
高輝度放電(HID)灯などの高圧ランプ市場では、まだ、磁気安定器が、電子安定器よりも信頼できるオプションと考えられている。この理由は、HIDランプが、1kHzより高い周波数で動作するとき、音響共振に苦しむ可能性があるからである。音響共振は、種々の形の共振を引き起こしうるランプ管の中での電流圧力の変化のためである。音響共振を避けるために、HIDランプは、通常、低周波数(1kHz未満)またはとても高い周波数(350−700kHzより上)で動作する。HIDランプと共に使用するように勧められている電子安定器もあるけれども、ランプの特性は時間と共に変化し、ランプの使用時間による影響が著しくなると、ランプの安定性が保証されない。HIDランプ用の電子安定器を開発する努力をますます増やしていても、磁気安定器が、その著しく高いランプアーク性能、安定器の高い信頼性、および低コストのために、HIDランプ市場をまだ占有している。稲妻に対する堅牢性および高信頼性が、考慮のための重要な基準であるアウトドア照明用途(街路灯など)では、特に市場を占有している。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明により、交流本線電源と電灯との間に設けられる安定器により駆動されるタイプの上記電灯の調光制御を提供する装置が提供され、上記装置は、上記本線電源と上記安定器との間に直列に位置する補助電圧を挿入するための手段を備え、上記補助電圧は上記本線電源とは位相が異なり、上記供給電圧は上記安定器に加えられる電圧と上記補助電圧とのベクトル結合であり、上記安定器に加えられる上記電圧は、上記本線電源の上記電圧の大きさよりも小さく、上記装置は、上記電灯に加えられる上記電圧を変更する上起補助電圧を制御する手段をさらに備え、上起補助電圧は上記装置を流れる電流から90度または270度位相がずれた状態を維持し、上記補助電圧の大きさは、上記電灯に加えられる上記電圧を変更するために使用される。この後の特性は、調光制御装置が無効電力のみを扱うことを保証する利点があり、これにより、上記調光制御装置での有効電力損失を最小にする。
【0023】
好ましい実施の形態では、上記装置は、高周波数で、出力としてパルス幅変調(PWM)波形を生成するようにスイッチされる2つのスイッチを含むハーフブリッジインバータを備える。好ましくは、上記ハーフブリッジインバータのPWM出力は、高い正弦波特性を備えた補助電圧を提供するためにフィルタリングされる。この実施の形態では、上記補助電圧の大きさを制御するために、上記ハーフブリッジインバータ用の所望の直流リンク電圧を選択する手段が提供される。特に、上記直流リンク電圧を上記所望の値に維持し、上記装置に流れる電流の位相から90度または270度ずれた上起補助電圧の位相を維持する手段が提供される。例えば、上記直流リンク電圧を上記所望の値に維持し、上記電流から90度または270度ずれた上起補助電圧の位相を維持するために、閉じられたループの制御スキームが使用できる。
【0024】
好ましくは、スイッチ手段が提供され、それにより、調光制御が必要なくなり、上記本線電源の電圧が直接安定器に加えられると、装置をバイパスできる。
【0025】
もう1つの形態から分かるように、本発明は、安定器経由で交流本線電源に接続された少なくとも1つのランプを備える電気照明システムを提供し、上記システムは、上記少なくとも1つのランプの調光制御を提供する手段をさらに備え、上記調光制御手段は、本線電源と補助電圧を挿入する上記安定器との間に直列に位置する手段を備え、上記補助電圧は上記本線電圧とは位相がずれ、それにより、上記供給電圧が上記安定器に加えられた電圧と上記補助電圧とのベクトル結合となり、それにより、上記安定器に加えられる上記電圧の大きさが、上記本線電源の上記電圧の大きさよりも小さく、上記ランプに加えられる上記電圧を変更する上記補助電圧を制御する手段をさらに備え、上記補助電圧は、上記調光制御手段を流れる電流の位相から90度または270度ずれた状態を維持し、上記補助電圧の大きさが、上記ランプに加えられる上記電圧を変更するために使用される。
【0026】
また別の形態から分かるように、本発明は、安定器により駆動される電灯の調光制御を提供する方法も提供し、交流電源と上記安定器との間に補助電圧を挿入するステップを備え、上記補助電圧が上記交流電源の電圧から位相がずれ、それにより供給電圧は、上記安定器に加えられた電圧と上記補助電圧とのベクトル結合になり、上記補助電圧は上記安定器に供給される電流の位相から90度または270度ずれて維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図を参照して発明の実施の形態を説明する。
【0028】
本発明は、少なくともその好ましい形では、磁気安定器または電子安定器のどちらかにより電源供給される蛍光灯またはHID放電灯などの電子照明システム用の高度にエネルギーの効率的な、かつ煩わしくない調光方法および装置を提供する。この方法および装置は、既存の「煩わしくない」磁気安定器ランプシステムを、有効エネルギーを節約する「煩わしい」磁気安定器に変える。提案された調光方法は、照明システムの有効電力を扱うことなしに、安定器ランプシステムに入手可能な電圧を制御することにより、有効エネルギーを節約する調光機能を達成する。本発明の背後にある概念は、新しく統合された電圧ベクトル制御および無効電力制御概念である。
【0029】
以下に続く発明を実施するための最良の形態から分かるように、照明システムに流れる無効電力を制御することにより、提案された調光装置は、制御可能な電圧ベクトルを本線電圧に挿入する。安定器ランプシステムに入手可能な得られた電圧はこのようにして制御できる。好ましい実施の形態では、調光方法および装置は、無効電力のみを扱うことにより、最小の電力損失を達成する。したがって、提案された調光装置の電力定格は、照明システムの全電力定格よりもかなり小さくなりうる。これにより、提案された調光装置が、高出力照明システムまたは照明装置のグループを調光できるようになる。本発明のもう1つの効果は、煩わしくない特性である。安定器ランプシステムは、たとえ提案された調光装置が動作していなくても、通常、全出力(すなわち調光しない状態)でも機能する。
【0030】
提案された方法、および装置は、個々の放電灯または街路灯などのHIDランプのネットワークを調光するために使用できる。これは、屋内用にも野外用にも使用できる。
【0031】
図4(a)は、本発明の実施の形態にかかる統合された電圧ベクトル制御および無効電力制御概念の基本的概念を示す。照明システムを調光するために、照明負荷に入力できる交流電圧は、照明負荷の有効電力を処理する必要なしに、変化する。Vsは交流本線電圧ベクトルであり;Vaは調光装置により挿入される補助電圧ベクトルであり;VLは、負荷用に関して得られる電圧ベクトルである。Iaは調光装置の電流ベクトルであり、補助電圧に対して垂直を維持する(すなわち、Vaの位相に対して90度または270度)。ILは負荷電流であり、Iaに等しい。
【0032】
本発明の実施の形態の電力フロー図は図4(b)に示される。無効電力制御回路を使用して、補助電圧ベクトルVaを挿入することにより、供給電圧ベクトルVsと補助電圧ベクトルVaとのベクトル差である得られる電圧VLは、制御できる。Vaの生成が無効電力Qを扱うことにより実行されるので、調光装置は、論理的に、照明負荷のどの有効電力Pも扱わない。調光装置の唯一の実効損失のみが、調光装置の電力回路内の導電損失およびスイッチング損失である。多くの実験例の計測において後に示すように、調光装置の全損失は、典型的には、調光プロセスで節約されたランプの電力の10%未満である。例えば、放電灯の150Wのランプ電力が80Wに調光されると、ランプの電力の減少は70Wであり、調光装置は7W未満消費するだけである。結果として、この例では、63Wの有効エネルギー節約が達成される。
【0033】
図4(c)は、本発明の実施の形態の等価回路を示す。電力ネットワーク理論に基づいて、Vxは、送電ネットワークの送電端に関する制御された交流電圧源である。このVxは、フィルタインダクタLFによりフィルタリングされる前の交流電圧(インバータブリッジにより生成される)に等価である。補助電圧Va(Vxのフィルタリングされたバージョン)は、ネットワークの受信端である。Vxの大きさおよび位相シフトδは制御できる。回路に供給される有効電力Pおよび無効電力Qは、以下のように示される。
【数1】
【数2】
ω=2πf、fは本線周波数、δは電圧ベクトルVaとVxとの間の角度である。
【0034】
式(1)および(2)から、電圧ベクトル生成および無効電力制御概念がどのように調光回路で電力の損失を最小にするかが分かる。式(1)は、δを0に維持することにより、sinδが0であり、このPは0に等しいことを示す。したがって、調光回路は電力フローの有効電力を消費しない。式(2)は、無効電力Qおよび補助電圧ベクトルVaが、Vxの大きさを制御することにより調整できることを示す。Vxの大きさは、以下でさらに説明するように閉じたループの制御スキーム内のインバータブリッジの直流リンク電圧Vdcを調整することにより制御できる。
【0035】
好ましくは、以下に説明するように、ハーフブリッジ較正を持つ電圧源インバータは、2つのキャパシタから供給される直流側と共に、本発明のこの実施の形態に使用される。インバータのキャパシタ電圧は、直流電圧設定を調整することにより、閉じたループ制御回路により制御できる。閉じたループ回路は、この遷移状態の間に一時的にδを変更する。δが正であると、キャパシタ電圧は増加し、負であると減少する。角度δは、定常状態におけるキャパシタ電圧調整の後で、0を維持する。
【0036】
図5(a)は、どの調光機能も持たない磁気安定器駆動放電灯システムの典型的なベクトル図を示す(ベクトルは本線周波数から反時計回りに回転するように思われる。)。この場合、Vxは単純にVLに等しい。磁気安定器が大きなインダクタまたはチョークから成り、ランプアークは抵抗として表すことができるので、回路は高度に誘導的である。したがって、負荷電流ILは、位相角度φだけ供給電圧Vsより遅れる。図5(b)は、本発明の実施の形態の調光装置が含まれると、ベクトル図を示す。調光装置は、(多くの電力を消費せずに)電圧ベクトルVaをシステムに挿入する。照明システムに入力できる得られた負荷電圧は、滑らかに(より小さくして)変更できる。結果として、ランプの電力は、電圧ベクトル概念により制御できる。図5(a)(調光装置なし)と図5(b)(調光装置あり)とを比較すると、補助電圧ベクトルVaを本線電圧ベクトルVsへ挿入すると、得られた電圧VLの大きさは減少する。したがって、磁気安定器駆動照明システムは、より少ない電流ILを有し、ランプの電力を減らすことができる。
【0037】
Iaおよび負荷電流ILは図5(b)では等しい。図5(b)の考慮から、負荷に加えられた電圧の大きさは、概ね、補助電圧の大きさおよび/または位相を変更することにより制御できる。しかし、大いに好ましいのは、調光装置の中で電力損失を最小にするために、電流のベクトルに垂直になるように、補助電圧のベクトルを維持することであり、それ故、調光装置(Ia=IL)に入る電流ベクトルは、調光装置により生成される補助電圧ベクトル(Va)の位相から90度または270度ずれた状態を好ましくは維持すべきである。ベクトルIaおよびVaが、互いに垂直なので、調光装置は論理的には有効電力を消費しない。実際には、調光装置は、調光装置の中の導電損失、スイッチング損失、および磁気損失のために、ほんのわずかな量の電力を消費する。しかし、調光装置の中の全電力損失は、全体で節約できるランプの電力の一部分(典型的には10%未満)である。
【0038】
図6は本発明の実施の形態にかかる調光装置の電力電子回路の概略を示す。この装置は、調光回路が始動されないとき、通常は閉じている(N.C.)バイパススイッチSm(リレーまたは接触器等の電気機械的スイッチ)を含む。この非動作モード(リレーが閉じられているとき)では、Iaは調光回路をバイパスし、Vaは0である。それ故、提案された調光装置は調光される電子照明システムには煩わしくない。調光装置が始動すると、Smは開き、Iaが調光回路に流れ込む。
【0039】
この実施の形態の調光装置の回路は、トーテムポール電力電子スイッチS1およびS2の組を備えたハーフインバータブリッジから成る。2つのキャパシタ(C1およびC2)は、直流リンクバルクキャパシタおよびエネルギー貯蔵キャパシタとして機能する。2つのフリーホイーリングダイオードD1およびD2と、スイッチング動作S1およびS2とにより、直流電圧は、調光装置が始動されると、2つの直接接続されたキャパシタC1およびC2の中に集められる。C1およびC2にまたがる直流電圧は、ハーフインバータブリッジのための直流電圧源となる。ハーフインバータブリッジの中の2つの電力電子スイッチS1およびS2は、高品質正弦成分を持つPWM電圧波形を生成するために、正弦パルス幅変調(PWM)スキームで高周波数でスイッチされる。次に、PWM電圧波形は、PWM電圧波形中の高周波数電圧高調波がフィルタリングされるように、インダクタLおよびキャパシタCを備えた低域通過フィルタによりフィルタリングされる。次に、フィルタリングされた電圧は、高品質正弦波電圧であり、調光装置により生成される補助電圧Vaである。
【0040】
図12に示されているように、フルブリッジインバータは、ハーフブリッジインバータを置き換えるためにも使用できる。しかし、ハーフブリッジインバータは、フルブリッジインバータの電力電子装置の半分の数を使用するので、より費用効率のいい解決法である。小電力用途(例えば2kVa未満)に関しては、ハーフブリッジインバータで十分である。しかし、大電力用途では、フルブリッジインバータの方が適している。
【0041】
始動時に、調光回路は、通常は閉じているバイパススイッチSmを開けることにより、その動作を開始する。照明負荷の調光レベルは、閉じられたループの制御スキームを使用して調整できる。調光レベルは、ハーフブリッジインバータの直流リンク電圧(Vdc)の基準レベルを設定することにより決定できる。このVdc基準が、例えば0に設定されと、調光回路により生成されるVaの大きさは0になる。Vdc基準があるレベルに設定されると、このVdcは、インバータの直流リンク電圧になり、補助電圧Vaの大きさに影響する。
【0042】
ハーフブリッジインバータにより生成されるPWM電圧は+0.5Vdcと−0.5Vdcとのピーク間の大きさを有する。閉じられたループの制御では、本線電圧ベクトルVsと補助電圧ベクトルVaとの間の位相角は、(1)実際の直流リンク電圧Vdcが基準設定にしたがって調整される方法、および(2)Ia(=IL)がVaの位相から90度または270度ずれた状態である方法により制御される。状態(1)はVaの大きさを決定する。状態(2)は、調光回路が、照明システムの無効電力(Q)のみを扱うことを確実にする。この方法で、調光回路の電力定格は、照明システムの電力定格よりかなり小さい。結果として、低コスト調光回路が、「調光不可能な」照明システムを調光するために開発できる。
【0043】
図7は、調光装置に関する電圧ベクトルおよび無効電力制御スキームのブロック図を示す。図6を参照して説明したように、通常は閉じている(N.C.)電気機械的スイッチ(リレーまたは接触器)は、調光回路が始動されていないと、スイッチをバイパスするために使用される。一旦調光回路が始動されると、N.C.スイッチは、図7に示されるように回路に接続される。1つのセンサ(典型的には信号変圧器)は、Vsの位相が得られるように、本線電圧を感知するために使用される。もう1つのセンサは、調光回路の中のインバータブリッジの直流リンク電圧Vdcを検出するための直流電圧センサ(典型的には分圧器)である。調光制御は、直流電圧(Vdc)基準の形で制御される。比較器が、Vdc基準とVdcフィードバック信号との間の誤り信号を得るために使用される。誤り信号は、誤り補正器に入力されるか、または、典型的には、比例積分(PI)コントローラに入力され、そこで位相シフト信号を生成する。入力としての、本線電圧の位相シフト信号および位相基準により、補助電圧ベクトルVaが、Vdc基準レベルにおいて直流リンク電圧Vdcを維持するために本線電圧ベクトルVsにより適切に位相シフトされるように、フェーズロックループが使用されて、電力スイッチS1およびS2へのパルス幅変調(PWM)ゲート信号を生成する。要求される基準レベルにVdcを維持することにより、調光回路における有効電力の実際の消費はなくなる。したがって、この制御スキームは、補助電圧ベクトルVaが調光回路の入力電圧Iaに対して垂直である自動的な特性をもつ。すなわち、提案された制御スキームにより、調光回路が、無効電圧のみを扱うことにより、必要な補助電圧ベクトルを生成することが保証される。したがって、調光回路の電力定格は、照明負荷の無効電力にしたがい、照明負荷の全電力にしたがわずに設計できる。
【0044】
提案された調光方法および装置は、実験用のプロトタイプで試験してきており、磁気安定器により駆動されるいくつかの放電灯は調光に成功した。図8は、実験設定のブロック図を示す。放電灯の範囲に関して、図6に示されているように、調光装置は、磁気安定器放電灯システムに接続される。
【0045】
新しい調光概念を確かめるために試験が実施される。Vdcに関する基準設定を増やすことにより、直流リンク電圧は、補助電圧Vaを生成するために、異なるレベルに調整される。本線電圧は50Hzで220Vであった。本線電圧Vs、補助電圧Va、照明負荷に入力される得られる電圧(VLoad)、および負荷電流IL(Iaに等しい)が計測される。照明負荷により消費される全入力電力(PLoad)および新しい調光装置の中の全電力損失も計測される。
【0046】
図9(a)−(e)は、磁気安定器により駆動される150W高圧ナトリウム放電灯の計測値を示す。このシステムは新しい調光装置により調光した。
【0047】
図9(a)は、バイパスリレースイッチSmが通常閉じられていて、調光回路が始動していないときに計測されたVs、Ia、Va、およびVLoad(VL)を示す。ランプは全出力で動作し、Smが閉じられているので、VLoadがVsに等しく、Vaは0であることが分かる。
【0048】
図9(b)はバイパスリレーが開いていて、調光回路がとても小さな(ほとんど0)調光設定で始動されたときの計測値を示す。Vaは7Vであって、VsがほとんどVLoadと同じであることが分かる。ランプはほとんど最高出力で動作している。
【0049】
図9(c)は、ナトリウム放電灯が全出力の約75%に調光されたときの計測値を示す。補助電圧は約20Vであって、VLOADは現在198Vである。図9(a)および図9(b)の負荷電流Iaと比較して、図9(c)の負荷電流Iaは減少し、ランプ電力の減少と、提案された調光原理の減少を確認する。図9(c)から、VaとIaは、互いに90度位相がずれていることに注意するのは重要であり、調光装置は、本質的に無効電力のみを扱う。全ランプ出力の50%および30%に調光されたランプ出力の試験結果は、各々図9(d)および図9(e)に記録されている。
【0050】
図9(a)から(e)までから、(i)大きさの増加する電圧ベクトルVaは、照明負荷に関して得られた電圧VLOADを減少させ、(ii)VaおよびIaは90度位相がずれている。図9(f)は、照明負荷(磁気安定器およびナトリウム放電灯の両方を含む)の実際の有効電力消費(P)の計測値を示す。積分された電圧ベクトル制御および調光目的のための無効電力制御概念は、実際に確認され、示される。
【0051】
フィリップスマスタカラー(CDM−T 150W/830)150Wメタルハライドランプは、フィリップス磁気安定器(BSN 150L 407 I TS)により駆動される。図10(a)は、調光レンジにわたって照明負荷の有効電力消費の計測値を示す。同じ調光レンジにわたって、新しい調光装置の中で消失する実際の電力損失は、図10(b)に記録され、プロットされている。ランプ出力が150Wから約92Wに減少(すなわち58Wの電力節約)しても、調光装置は6W未満しか消費しない。これは、52Wの実際の電力節約になる。すなわち、調光装置は、節約されたランプ電力の約10%しか消費しない。
【0052】
150Wナトリウム放電灯および150Wメタルハライドランプに基づく結果は、少なくとも好ましい実施の形態では、本発明は、通常は「調光できない」照明システムを調光する高度にエネルギー効率のよい方法であることを確かめた。調光装置も試験されて、2つの従来の磁気安定器により駆動される2組の2x36W T8 蛍光灯を、全ランプ出力の100%から約40%まで調光するのに成功した。図11(a)および図11(b)は、フィリップス磁気安定器により電力を供給される2X36W T8 ランプシステム(1つのランプはフィリップスTLD 36W/33 白色であって、もう1つはTLD 36W/54 昼光色)の中の全ランプ電力の計測値を示し、2X36Wランプシステムは、提案された調光器により調光される。全負荷時には、ランプシステムは約70Wを消費する。全出力の100%から40%(30W)の調光範囲内では、調光器内での全損失は2W未満である。
【0053】
上に記載された実施の形態では、補助電圧の生成に別のエネルギー源は必要ない。しかし、所望ならば、図13に示されているように、補助エネルギー源が使用できる。補助エネルギー源が交流電圧であると、Vxを生成するために交流−交流電力変換器を使用してVxを生成できる。補助エネルギー源が直流電圧であると、直流−交流電力変換器(ハーフブリッジ電力インバータまたはフルブリッジ電力インバータ)を使用してVxを生成できる。
【0054】
本発明は、電子安定器が安定器への交流入力電圧を減らすことにより調光できるタイプであれば、放電灯用の特定の電子安定器にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1(a)】従来技術のトライアックベースの調光器の動作を示す図
【図1(b)】従来技術のトライアックベースの調光器の動作を示す図
【図1(c)】従来技術のトライアックベースの調光器の動作を示す図
【図2】従来技術の調光可能な電子安定器を示すブロック図
【図3】従来技術による磁気安定器システムの調光制御用の交流−交流変換器の使用を示すブロック図
【図4(a)】本発明の実施の形態にかかる装置を示すブロック図
【図4(b)】本発明の実施の形態にかかる負荷のグループを示し、電力フローを示す概略図
【図4(c)】本発明の実施の形態にかかる等価な回路を示す図
【図5(a)】本発明の調光制御装置を使用しないで磁気安定器により駆動される放電灯システムのベクトル図
【図5(b)】本発明の調光制御装置を使用して磁気安定器により駆動される放電灯システムのベクトル図
【図6】本発明の実施の形態にかかる調光制御装置の電力電子回路を示す概略図
【図7】本発明の実施の形態で使用する閉じられたループの制御システムを示す図
【図8】実験の設定を示すブロック図
【図9(a)】実験結果を示す図
【図9(b)】実験結果を示す図
【図9(c)】実験結果を示す図
【図9(d)】実験結果を示す図
【図9(e)】実験結果を示す図
【図9(f)】実験結果を示す図
【図10(a)】1つの実験例における電圧に対する負荷の有効電力消費の計測値を示す図
【図10(b)】計測値を示す図
【図11(a)】もう1つの実験例における電圧に対する負荷の有効電力消費の計測値を示す図
【図11(b)】調光制御装置における全電力損失の計測値を示す図
【図12】補助電圧を生成するフルブリッジインバータを使用する代わりの実施の形態を示す図
【図13】別のエネルギー源が補助電圧に使用される代わりの実施の形態を示す図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と電灯との間に設けられる安定器により駆動されるタイプの上記電灯の調光制御を提供する装置であって、上記装置は、上記交流電源と上記安定器との間に直列に位置する補助電圧を挿入するための手段を備え、上記補助電圧は上記交流電源とは位相が異なり、上記供給電圧は上記安定器に加えられる電圧と上記補助電圧とのベクトル結合であり、上記安定器に加えられる上記電圧の大きさは、上記交流電源の上記電圧の大きさよりも小さく、上記装置は、上記電灯に加えられる上記電圧を変更する上起補助電圧を制御する手段をさらに備え、上起補助電圧の位相は上記装置を流れる電流から90度または270度位相がずれた状態を維持し、上記補助電圧の大きさは、上記電灯に加えられる上記電圧を変更するために使用される装置。
【請求項2】
補助電圧を挿入する上記手段が、上記補助電圧を生成する電力変換器を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記電力変換器が、高周波数でスイッチされて、出力として、パルス幅変調(PWM)波形を生成する2つのスイッチを含むハーフブリッジインバータを備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
上記ハーフブリッジインバータのPWM出力がフィルタリングされて、上記補助電圧を提供する請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上記補助電圧の大きさを制御するために、上記ハーフブリッジインバータの所望の直流リンク電圧を選択する手段が提供される請求項3に記載の装置。
【請求項6】
上記直流リンク電圧を、上記所望の値に維持する手段が提供される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
上記直流リンク電圧を上記所望の値に維持するためと、上記補助電圧の位相を、上記電流の位相から90度または270度ずれて維持するために、閉じられたループ制御スキームが使用される請求項6に記載の装置。
【請求項8】
上記電力変換器がフルブリッジ変換器である請求項2に記載の装置。
【請求項9】
上記装置が、さらにスイッチ手段を含み、それにより、調光制御が必要でないと、上記装置がバイパスでき、上記交流電源の電圧が直接上記安定器に加えられる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
安定器経由で交流電源に接続された少なくとも1つのランプを備える電気照明システムであって、上記システムは、上記少なくとも1つのランプの調光制御を提供する手段をさらに備え、上記調光制御手段は、交流電源と補助電圧を挿入する上記安定器との間に直列に位置する手段を備え、上記補助電圧は上記交流電圧とは位相がずれ、それにより、上記供給電圧が上記安定器に加えられた電圧と上記補助電圧とのベクトル結合となり、それにより、上記安定器に加えられる上記電圧が、上記交流電源の上記電圧の大きさよりも小さく、上記ランプに加えられる上記電圧を変更する上記補助電圧を制御する手段をさらに備え、上記補助電圧は、上記調光制御手段を流れる電流の位相から90度または270度ずれた状態を維持し、上記補助電圧の大きさが、上記ランプに加えられる上記電圧を変更するために使用されるシステム。
【請求項11】
上記調光制御手段が、上記補助電圧を生成する電力変換器を備える請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
上記電力変換器が、高周波数でスイッチされて、出力として、パルス幅変調(PWM)波形を生成する2つのスイッチを含むハーフブリッジインバータを備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
上記ハーフブリッジインバータのPWM出力がフィルタリングされて、上記補助電圧を提供する請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
上記補助電圧の大きさを制御するために、上記ハーフブリッジインバータの所望の直流リンク電圧を選択する手段が提供される請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
上記直流リンク電圧を、上記所望の値に維持する手段が提供される請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
上記直流リンク電圧を上記所望の値に維持するためと、上記補助電圧の位相を、上記電流の位相から90度または270度ずれて維持するために、閉じられたループ制御スキームが使用される請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
上記電力変換器がフルブリッジインバータを備える請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
スイッチング手段をさらに備え、それにより、調光制御が必要でないと、上記調光制御手段がバイパスでき、上記交流電源の電圧が上記安定器に直接加えられる請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
上記安定器が磁気安定器である請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
上記安定器が、上記安定器への交流入力電圧の減少により、光を調光できるタイプの電子安定器である請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
複数のランプを含む請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
安定器により駆動される電灯の調光制御を提供し、交流電源と上記安定器との間に補助電圧を挿入するステップを備え、上記補助電圧が上記交流電源の電圧から位相がずれ、それにより供給電圧は、上記安定器に加えられた電圧と上記補助電圧とのベクトル結合になり、上記補助電圧は上記安定器に供給される電流の位相から90度または270度ずれて維持される方法。
【請求項23】
上記補助電圧が電力変換器により生成される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記電力変換器が、高周波数でスイッチされて、出力として、パルス幅変調(PWM)波形を生成する2つのスイッチを含むハーフブリッジインバータを備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ハーフブリッジインバータの出力をフィルタリングして、上記補助電圧を生成するステップをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記補助電圧の大きさが、上記ハーフブリッジインバータの直流リンク電圧を設定することにより制御される請求項24に記載の方法。
【請求項27】
上記直流リンク電圧の大きさを所望の値に維持するために制御手段が提供される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
電力変換器がフルブリッジコンバータである請求項23に記載の方法。
【請求項1】
交流電源と電灯との間に設けられる安定器により駆動されるタイプの上記電灯の調光制御を提供する装置であって、上記装置は、上記交流電源と上記安定器との間に直列に位置する補助電圧を挿入するための手段を備え、上記補助電圧は上記交流電源とは位相が異なり、上記供給電圧は上記安定器に加えられる電圧と上記補助電圧とのベクトル結合であり、上記安定器に加えられる上記電圧の大きさは、上記交流電源の上記電圧の大きさよりも小さく、上記装置は、上記電灯に加えられる上記電圧を変更する上起補助電圧を制御する手段をさらに備え、上起補助電圧の位相は上記装置を流れる電流から90度または270度位相がずれた状態を維持し、上記補助電圧の大きさは、上記電灯に加えられる上記電圧を変更するために使用される装置。
【請求項2】
補助電圧を挿入する上記手段が、上記補助電圧を生成する電力変換器を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記電力変換器が、高周波数でスイッチされて、出力として、パルス幅変調(PWM)波形を生成する2つのスイッチを含むハーフブリッジインバータを備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
上記ハーフブリッジインバータのPWM出力がフィルタリングされて、上記補助電圧を提供する請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上記補助電圧の大きさを制御するために、上記ハーフブリッジインバータの所望の直流リンク電圧を選択する手段が提供される請求項3に記載の装置。
【請求項6】
上記直流リンク電圧を、上記所望の値に維持する手段が提供される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
上記直流リンク電圧を上記所望の値に維持するためと、上記補助電圧の位相を、上記電流の位相から90度または270度ずれて維持するために、閉じられたループ制御スキームが使用される請求項6に記載の装置。
【請求項8】
上記電力変換器がフルブリッジ変換器である請求項2に記載の装置。
【請求項9】
上記装置が、さらにスイッチ手段を含み、それにより、調光制御が必要でないと、上記装置がバイパスでき、上記交流電源の電圧が直接上記安定器に加えられる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
安定器経由で交流電源に接続された少なくとも1つのランプを備える電気照明システムであって、上記システムは、上記少なくとも1つのランプの調光制御を提供する手段をさらに備え、上記調光制御手段は、交流電源と補助電圧を挿入する上記安定器との間に直列に位置する手段を備え、上記補助電圧は上記交流電圧とは位相がずれ、それにより、上記供給電圧が上記安定器に加えられた電圧と上記補助電圧とのベクトル結合となり、それにより、上記安定器に加えられる上記電圧が、上記交流電源の上記電圧の大きさよりも小さく、上記ランプに加えられる上記電圧を変更する上記補助電圧を制御する手段をさらに備え、上記補助電圧は、上記調光制御手段を流れる電流の位相から90度または270度ずれた状態を維持し、上記補助電圧の大きさが、上記ランプに加えられる上記電圧を変更するために使用されるシステム。
【請求項11】
上記調光制御手段が、上記補助電圧を生成する電力変換器を備える請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
上記電力変換器が、高周波数でスイッチされて、出力として、パルス幅変調(PWM)波形を生成する2つのスイッチを含むハーフブリッジインバータを備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
上記ハーフブリッジインバータのPWM出力がフィルタリングされて、上記補助電圧を提供する請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
上記補助電圧の大きさを制御するために、上記ハーフブリッジインバータの所望の直流リンク電圧を選択する手段が提供される請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
上記直流リンク電圧を、上記所望の値に維持する手段が提供される請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
上記直流リンク電圧を上記所望の値に維持するためと、上記補助電圧の位相を、上記電流の位相から90度または270度ずれて維持するために、閉じられたループ制御スキームが使用される請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
上記電力変換器がフルブリッジインバータを備える請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
スイッチング手段をさらに備え、それにより、調光制御が必要でないと、上記調光制御手段がバイパスでき、上記交流電源の電圧が上記安定器に直接加えられる請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
上記安定器が磁気安定器である請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
上記安定器が、上記安定器への交流入力電圧の減少により、光を調光できるタイプの電子安定器である請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
複数のランプを含む請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
安定器により駆動される電灯の調光制御を提供し、交流電源と上記安定器との間に補助電圧を挿入するステップを備え、上記補助電圧が上記交流電源の電圧から位相がずれ、それにより供給電圧は、上記安定器に加えられた電圧と上記補助電圧とのベクトル結合になり、上記補助電圧は上記安定器に供給される電流の位相から90度または270度ずれて維持される方法。
【請求項23】
上記補助電圧が電力変換器により生成される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記電力変換器が、高周波数でスイッチされて、出力として、パルス幅変調(PWM)波形を生成する2つのスイッチを含むハーフブリッジインバータを備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ハーフブリッジインバータの出力をフィルタリングして、上記補助電圧を生成するステップをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記補助電圧の大きさが、上記ハーフブリッジインバータの直流リンク電圧を設定することにより制御される請求項24に記載の方法。
【請求項27】
上記直流リンク電圧の大きさを所望の値に維持するために制御手段が提供される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
電力変換器がフルブリッジコンバータである請求項23に記載の方法。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図9(d)】
【図9(e)】
【図9(f)】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図13】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図9(d)】
【図9(e)】
【図9(f)】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−534109(P2007−534109A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524203(P2006−524203)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000990
【国際公開番号】WO2005/022952
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サイクロ
【出願人】(506065208)イー・エナジー・ダブル・ツリー・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】e.Energy Double Tree Limited
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000990
【国際公開番号】WO2005/022952
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サイクロ
【出願人】(506065208)イー・エナジー・ダブル・ツリー・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】e.Energy Double Tree Limited
【Fターム(参考)】
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