説明

リチウムイオン伝導性固体電解質およびその製造方法

【課題】粉体を焼結して得られる固体電解質において、リチウムイオン二次電池、およびリチウム一次電池に適用しうる高いイオン伝導度と著しく少ない水分透過量を実現すること。
【解決手段】リチウムイオン伝導性無機物粉体を含むグリーンシートを作製する工程と、前記グリーンシートを焼成する工程とを有し、前記グリーンシートを焼成する工程において、前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆う固体電解質の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本発明はリチウムイオン伝導性固体電解質に関し、特に全固体リチウム一次電池用、または全固体リチウムイオン二次電池用として好適な固体電解質、リチウム一次電池及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池は携帯電話、ノートPCなどの携帯情報機器の電源として幅広く利用されている。上記のような用途に用いられる電池には、高い安全性が求められると同時に、高いエネルギー密度と優れたサイクル特性が必要とされる。
これら要望に対して、電解質材料は有機電解液から高分子に電解液を含浸させたゲルポリマー電解質に注目が集まっている。ゲルポリマー電解質を利用したゲルポリマー電池はポリマー中に液体の電解液を含浸させたゲル状の電解質を使用しており、漏液し難く、電池の安全性が向上し、また電池の形状にも自由度があること等の利点がある。ただし、依然としてこのゲルポリマー電解質も有機電解液を用いているため、危険性を完全に排除したものとは言えず、発火などの可能性を含んでいる。従ってより高い安全性の為には有機電解液を全く使用しない電池が望まれている。
そこで、安全性と環境への負荷が少ない材料として、無機固体電解質を用いる試みが多数なされてきており、成形の自由度の高さやコストの面で有利であるとの理由から、粉体を焼結して得られる固体電解質が提案されている。
しかし、粉体を焼結して得られる固体電解質は空孔が多く、リチウム金属電極と空気電極からなるリチウム金属−空気一次電池にセパレータとして使用した場合、空気電極で生成される水分が固体電解質に存在する空孔を通過して、リチウム電極側に到達して発火するという危険性がある。このため、リチウム金属−空気一次電池においては緻密かつ水分透過量が著しく低い固体電解質が必要となるが、水分の透過性が十分に低い固体電解質は得られていなかった。
また、粉体を焼結して得られる固体電解質は、空孔がリチウムイオン伝導を阻害し、高いリチウムイオン伝導度を得ることは困難であった。この点からもリチウムイオン二次電池、リチウム一次電池用途の固体電解質として課題を有している。
【0003】
【特許文献1】特開2007−134305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、粉体を焼結して得られる固体電解質において、リチウムイオン二次電池、およびリチウム一次電池に適用しうる高いイオン伝導度と著しく少ない水分透過量を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はリチウムイオン伝導性無機物粉体を使用したグリーンシートを焼成して得られる無機固体電解質について詳細な検討を行った結果、該グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆って焼成することで、固体電解質の厚み方向に貫通する細孔総面積が一定の値以下となり、高いイオン伝導性を有し、緻密で水分透過量が著しく少ない固体電解質が得られることを見いだし、さらに固体電解質中の空孔率を一定の値以下にするための製造方法を見いだした。
また、この製造方法で得られた固体電解質の両面に正極・負極をそれぞれ配することで得られる電池は、従来の表面の空孔率が高い固体電解質を用いた電池に比べ、出力・容量が高く、充放電サイクル特性も良好で、安全性も高いことを見出し、本発明に到達した。
【0006】
具体的には本発明は以下のようなものを提供する。
【0007】
(構成1)
リチウムイオン伝導性無機物粉体を含むグリーンシートを作製する工程と、前記グリーンシートを焼成する工程とを有し、前記グリーンシートを焼成する工程において、前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆う固体電解質の製造方法。
(構成2)
前記セッターがガラス、ガラスセラミックス、またはセラミックスのいずれかである構成1に記載の固体電解質の製造方法。
(構成3)
前記セッターの最大貫通細孔径が6μm以下である構成1または2に記載の固体電解質の製造方法。
(構成4)
前記グリーンシートを焼成する工程は脱脂工程と焼成工程を含み、当該焼成工程における焼結温度が750〜1250℃である構成1から3のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
(構成5)
前記グリーンシートを焼成する工程は脱脂工程を含み、当該脱脂工程において、脱脂温度が300〜700℃である構成1から4のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
(構成6)
前記グリーンシートを作製する工程は、リチウムイオン伝導性の無機物粉体と有機バインダーを混合する工程を含む構成1から5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
(構成7)
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体と有機バインダーを混合する工程において、リチウムイオン伝導性の無機物粉体の含有率を50wt%以上とする構成6に記載の固体電解質の製造方法。
(構成8)
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体と有機バインダーを混合する工程において、リチウムイオン伝導性の無機物粉体の平均粒径を5μm以下とする構成6または7に記載の固体電解質の製造方法。
(構成9)
前記リチウムイオン伝導性無機粉体はLi1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)である結晶を含む構成1から8に記載の固体電解質の製造方法。
(構成10)
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体は、酸化物基準のmol%表示で、
LiO 10〜25%、および
Alおよび/またはGa 0.5〜15%、および
TiOおよび/またはGeO 25〜50%、および
SiO 0〜15%、および
26〜40%
の各成分を含有する構成1から9に記載の固体電解質の製造方法。
(構成11)
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体はガラスもしくはガラスセラミックスであることを特徴とする構成1から10に記載の固体電解質の製造方法。
(構成12)
リチウムイオン伝導性無機物粉体を含むグリーンシートを焼成して得られ、空孔率が5vol%以下かつ厚さ方向の最大貫通細孔径が8μm以下であることを特徴とする固体電解質。
(構成13)
前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆い焼成して得られることを特徴とする構成12に記載の固体電解質。
(構成14)
前記セッターの最大貫通細孔径が6μm以下である構成12または13に記載の固体電解質。
(構成15)
厚さ方向の貫通最大細孔径が8μm以下で、平均細孔径が5μm以下であることを特徴とする構成12から14に記載の固体電解質。
(構成16)
イオン伝導度が1×10−4Scm−1以上であることを特徴とする構成12から15のいずれかに記載の固体電解質。
(構成17)
Li1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)である結晶を含む構成12から16のいずれかに記載の固体電解質。
(構成18)
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体は、酸化物基準のmol%表示で、
LiO 10〜25%、および
Alおよび/またはGa 0.5〜15%、および
TiOおよび/またはGeO 25〜50%、および
SiO 0〜15%、および
26〜40%
の各成分を含む構成12から17のいずれかに記載の固体電解質。
(構成19)
前記固体電解質の厚みは300μm以下であることを特徴とする構成12から18のいずれかに記載の固体電解質。
(構成20)
前記リチウムイオン伝導性無機物のみで構成されることを特徴とする構成12から19のいずれかに記載の固体電解質。
(構成21)
構成12から20のいずれかに記載の固体電解質を備えることを特徴とするリチウム一次電池。
(構成22)
構成12から20のいずれかに記載の固体電解質を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リチウムイオン二次電池、およびリチウム一次電池などの電気化学的な用途において、電池容量が高くなり、長期的に安定して安全に使用できる固体電解質およびその製造方法を得ることができる。さらには成形の自由度が高く、リチウム金属−空気一次電池などのリチウム一次電池用途においてイオン伝導度が高く、水分透過量が著しく少ない、安全な固体電解質およびその製造方法を得ることができる。また、リチウム二次電池用途において充放電サイクル特性が良好な固体電解質およびその製造方法を得ることができる。さらに、電池容量も高く、長期的に安定して安全に使用できるリチウム一次電池、リチウム二次電池を得ることができる。
本発明の固体電解質のイオン伝導度は1×10−4Scm−1以上の値を得ることができ、総合的な観点の好ましい態様においては3×10−4Scm−1以上、より好ましい態様においては4×10−4Scm−1以上の値を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について詳細に説明する。本発明の固体電解質の製造方法はリチウムイオン伝導性無機物粉体を含むグリーンシートを作製する工程と、前記グリーンシートを焼成する工程とを有し、前記グリーンシートを焼成する工程において、前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆うことを特徴とする。
【0010】
本発明の固体電解質の製造方法は、固体電解質の成形について高い自由度を得るため、リチウムイオン伝導性無機物粉体を含むグリーンシートを作製する工程と、前記グリーンシートを焼成する工程を有する。
グリーンシートとは、薄板状に成形した無機物粉体の未焼成体をさし、無機物粉体、有機バインダー、可塑剤、溶剤などの混合スラリーをドクターブレードやカレンダ法等により薄板状に成形したものをいう。焼成前のグリーンシートは柔軟であり、任意の形状に切断することや、積層することも可能である。
【0011】
グリーンシートを焼成する際にグリーンシートに含まれる無機物以外の有機バインダー等の成分はガス化してグリーンシートから除去される。本発明は前記グリーンシートを焼成する工程において、前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆うことにより、緻密かつ水分透過量が著しく低い固体電解質を得ることができる。これは、前記のセッターで覆うことにより、グリーンシートの厚み部分(側面)から有機バインダー等が多く排出され、グリーンシートのセッターで覆われた面から排出される有機バインダー等が低減し、有機バインダー等の排出に伴ってグリーンシートに現われる、厚み方向に貫通する空孔が少なくなる事による。
【0012】
緻密かつ水分透過量が著しく低い固体電解質をより得やすくするためには前記セッターの空孔率は少ないほど良く、具体的には7vol%以下であることがより好ましく、3vol%以下であることが最も好ましい。本発明の効果をより得やすくするためには、グリーンシートの両面を上記範囲の空孔率を有するセッターで覆うことがより好ましい。両面を覆うことによってガスはグリーンシートの厚み部分から多く排出され、グリーンシートの厚み方向に貫通する空孔が少なくなりやすい。
ここで、空孔率とは単位体積中に含まれる空孔の割合であり、次式で表される。
空孔率(%)=(真密度−嵩密度)/真密度×100
真密度とはアルキメデス法等の既知の方法で測定できる物質そのものの密度である。これに対し、嵩密度とは物体の重さを見掛けの体積で割った密度であり、物体の表面の孔や内部の空孔も含まれている密度である。測定方法としては、測定しやすい形状(角型や円柱状)に加工した試料の重さと体積を測定し、重さ/体積で求めることができる。
【0013】
前記セッターの材質としてはグリーンシートの焼成温度領域に対して化学的安定性を有し、形状を維持できる材料であれば特に限定されない。ガラス、ガラスセラミックス、またはセラミックスは上記の特性を得やすく、所望の空孔率となりやすいので、セッターの材料としては好ましい。具体的には石英、ジルコニア、アルミナなどが挙げられる。
【0014】
セッターは上記の空孔率を有する他に、最大貫通孔径が6μm以下であることが好ましい。セッターの最大貫通孔径を6μm以下とすることで、グリーンシートの厚み方向に貫通する空孔を少なくする効果を得やすくなる。この効果をより得やすくするためにはセッターの最大貫通孔径は3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが最も好ましい。セッターの最大貫通細孔径は小さいほど好ましいので、下限値は特に限定されない。
【0015】
本明細書において最大貫通細孔径は、試験液として水またはエタノールを用い、試験用ガスとして空気または窒素を用いて、JIS K 3832「精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法」に基づいて測定されるバブルポイント値Pに対応する、下記式1によって表わされる細孔直径をいう。
d=K4γcosθ/P ・・・(式2)
ここで、d:細孔直径、γ:表面張力、θ:試験液の接触角、P:圧力(バブルポイント値)、K:キャピラリー定数である。
【0016】
また、平均貫通細孔径とは、次の方法によって得られる値である。
まず、乾燥状態の板状の固体電解質の片側からガス圧を印加して、ガス圧を増加させ、Pの時の板状の固体電解質を通過するガス流量(乾き流量D[リットル/分])の関係を表わす曲線(乾き流量曲線)を求める。
次に、板状の固体電解質に試験液を吸収させた後、板状の固体電解質の片側に試験液との接触界面を形成し、その裏側からガス圧を印加して、ガス圧を増加させ、Pnの時の板状の固体電解質を通過するガス空気流量(濡れ流量Wn[リットル/分])の関係を表わす曲線(濡れ流量曲線)を求める。
上記で求めた濡れ流量曲線と、乾き流量曲線の1/2の流量の曲線とを重ね合わせ、その時の交点の圧力Pに対応する細孔径を式2から求め、これを平均貫通細孔径とする。
上記平均貫通細孔径の測定条件は上述した以外はJIS K 3832に準ずる。
=K4γcosθ/P ・・・(式2)
ここで、d:細孔直径、γ:表面張力、θ:試験液の接触角、P:圧力、K:キャピラリー定数である。
上記の最大貫通細孔径と平均貫通細孔径の測定は例えば、ポアサイズメータ・PSM165(TOPAS社)を用いて測定することができる。
【0017】
以下、本発明の固体電解質の製造方法について説明する。
本発明の固体電解質はグリーンシートを任意の形状に加工し、好ましくは加圧した後、上述した通り、前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆い、焼成して有機バインダーの有機成分を除去することにより製造する。グリーンシートは、まず、リチウムイオン伝導性無機物粉体と、有機バインダーや必要に応じて分散剤等とともに溶剤を用いて混合し、ドクターブレード法、カレンダーロール法等によりシート状に成形する。以下、詳細に説明する。
【0018】
[リチウムイオン伝導性無機物粉体]
リチウムイオン伝導性無機物粉体としては、LiN、LISICON類、La0.55Li0.35TiO、LiTi12、Li1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)等の結晶の粉体、またはこれらの結晶を析出させたガラスセラミックスの粉体が、リチウムイオン伝導度が高いという点で好ましい。
【0019】
ここで、ガラスセラミックスとは、ガラスを熱処理することによりガラス相中に結晶相
を析出させて得られる材料であり、非晶質固体と結晶からなる材料をいう。ガラスセラミックスはイオン伝導を妨げる空孔や結晶粒界をほとんど有しないため、イオン伝導性が高くかつ化学的な安定性に優れるためより好ましい。なお、ガラスセラミックスには、ガラス相すべてを結晶相に相転移させた材料、すなわち、材料中の結晶量(結晶化度)が100質量%のものを含む。これらは結晶の粒子間や結晶中に空孔がほとんどない。特にイオン伝導に関しては、セラミックスの場合は空孔や結晶粒界の存在により、結晶粒子自体の伝導度よりもかなり低い値となってしまう。ガラスセラミックスは結晶化工程の制御により結晶間の伝導度の低下を抑えることができ、結晶そのもののイオン伝導度と同程度の伝導度を保つことができる。
【0020】
上記のリチウムイオン伝導性無機物粉体の中でも特に、Li1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)である結晶を析出させたガラスセラミックスの粉体は高いリチウムイオン伝導度を有し、化学的にも安定であるため最も好ましい。
【0021】
前記の結晶を有するガラスセラミックス、すなわちLi1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)の結晶が結晶相として析出しているガラスセラミックスは、
酸化物基準のmol%で、
LiO 10〜25%、および
Alおよび/またはGa 0.5〜15%、および
TiOおよび/またはGeO 25〜50%、および
SiO 0〜15%、および
26〜40%
の各成分を含有するガラスを溶融、急冷することでガラスを得たのち、このガラスを熱処理し、結晶を析出させることによって得ることができる。
【0022】
また、前記のガラスをリチウムイオン伝導性無機物粉体としてグリーンシートを作製しても良い。この場合、前記のガラスはグリーンシートの焼成時に上記の結晶が析出し、高いイオン伝導度を示す。
【0023】
リチウムイオン伝導性無機物粉体の作製は、上記のリチウムイオン伝導性無機物をボールミル、ジェットミル等によって粉砕することにより作製する。有機バインダーと混合する際のリチウムイオン伝導性無機物粉体の平均粒径は、充填率を高めるため5μm以下とすることが好ましく、3μm以下とすることがより好ましく、1μm以下とすることが最も好ましい。またリチウムイオン伝導性無機物粉体の平均粒径の下限値としては、均一に分散させるため0.01μm以上とすることが好ましく、0.05μm以上とすることがより好ましく、0.1μm以上とすることが最も好ましい。
ここで平均粒径とはレーザー回折法によって測定した時のD50(累積50%径)の値であり、使用する測定装置を具体的にはベックマン・コールター社の粒度分布測定装置LS100Qまたはサブミクロン粒子アナライザーN5によって測定した値を用いることができる。なお、前記平均粒子径は体積基準で表わした値である。前記の測定装置は被測定物の粒径によって使い分けをする。被測定物の最大粒径が3μm未満の場合はサブミクロン粒子アナライザーN5のみを用いて測定する。
【0024】
有機バインダーと混合する際のリチウムイオン伝導性無機物粉体の含有量の下限値は、焼成後の空隙を低減させるため、無機物粉体、有機バインダー、可塑剤、溶剤などからなる混合スラリーの量に対して50wt%以上とすることが好ましく、55wt%以上とすることがより好ましく、60wt%以上とすることが最も好ましい。また、リチウムイオン伝導性無機物粉体の含有量の上限値は、シート形状を維持させるため、混合スラリーの量に対して97wt%以下とすることが好ましく、95wt%以下とすることがより好ましく、93wt%以下とすることが最も好ましい。
【0025】
[有機バインダー]
有機系のバインダーとしては、プレス成形やラバープレス、押し出し成形、射出成形用の成形助剤として市販されている汎用のバインダーを用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチルメタアクリレート、ビニル系の共重合物等を用いることができる。有機バインダーの含有量の下限値は、シート形状を維持させやすくするため、無機物粉体、有機バインダー、可塑剤、溶剤などからなる混合スラリーの量に対して3wt%以上とすることが好ましく、5wt%以上とすることがより好ましく、7wt%以上とすることが最も好ましい。また、有機バインダーの含有量の上限値は、脱脂後の空隙を低減させやすくするため、混合スラリーの量に対して50wt%以下とすることが好ましく、40wt%以下とすることがより好ましく、30wt%以下とすることが最も好ましい。
【0026】
[溶剤]
溶剤はリチウムイオン伝導性無機物粉体を均質に分散する為に用いてもよい。溶剤としてはPVA、IPA、ブタノールなど公知の材料を使用することができるが、環境の点でアルコールもしくは水が好ましい。さらに均質で緻密な固体電解質を得るために、リチウムイオン伝導性無機物粉体、有機バインダーと共に分散剤を適量添加することも可能であり、混合乾燥時の泡抜きを良好にするための界面活性剤などを適量添加することも可能である。
【0027】
[その他]
また、グリーンシートには、Liを含む無機化合物を同時に含有する事も可能である。これは、Liを含む無機化合物が焼結助剤(バインダー)として働き、ガラスセラミックス粒子を結合させる働きを持つ。
Liを含む無機化合物としてはLiPO、LiPO、LiI、LiN、LiO、Li、LiF等が挙げられる。特に、これらのLiを含む無機化合物は、リチウムイオン伝導性無機物粉体と混合して焼結させた際に、焼結温度・雰囲気を調整することにより、軟化または溶融させることが可能である。軟化または溶融したLiを含む無機化合物は、リチウムイオン伝導性無機物粉体の隙間に流れ込み、前記無機物粉体を強固に結合させることが可能である。
【0028】
グリーンシートに無機粉体として誘電性の高い絶縁性の結晶またはガラスを少量加えると、リチウムイオンの拡散性が上がるため、リチウムイオン伝導性が向上する効果が得られることがある。例えばBaTiO、SrTiO、Nb、LaTiO等が挙げられる。
【0029】
[グリーンシートの成形]
グリーンシートの成形はドクターブレード法、カレンダ法等の公知の方法を用い、シート状に成形する。成形後のグリーンシートの厚みの下限値は、乾燥工程において内部の残溶媒量をできるだけ少なくし表面にクラックを生じさせないようにするため、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下が最も好ましい。また、グリーンシートの厚みの下限値は安定したハンドリング性をもたせるため0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がよりこのましく、1μm以上が最も好ましい。さらに必要に応じて任意の形状に加工してもよい。焼成後の固体電解質を所望の厚みとするために、グリーンシートを積層してもよい。また焼成後の固体電解質の緻密性をより向上させる為に、グリーンシートをロールプレスや一軸、等方加圧等により加圧しても良い。
積層後のグリーンシートの厚みの上限値は焼成時間の短縮のため800μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、400μm以下が最も好ましい。また、グリーンシートの厚みの下限値はうねり度低減のため0.5μm以上が好ましく、1μm以上がよりこのましく、5μm以上が最も好ましい。
【0030】
[焼成]
成形したグリーンシートは次に焼成する工程(焼成工程)が施される。本発明はグリーンシートの焼成工程において前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆うことは上述した通りである。焼成工程は脱脂工程と焼結工程を含む。脱脂工程とはグリーンシートを高温で処理し、構成する無機物以外の有機バインダー等の成分をガス化してグリーンシートから排出する工程である。焼結工程とは脱脂工程より高温でグリーンシートを処理することにより、グリーンシートを構成する無機物の粒子を焼き固める工程である。脱脂工程および焼結工程いずれにおいても炉内の雰囲気を一定に保つため、大気を導入しつつ、排気を行うことが好ましい。
焼成工程はガス炉、マイクロ波炉などの公知の焼成炉をもちいて行えばよいが、環境・炉内温度分布・コストなどの理由から電気炉を用いることが好ましい。
【0031】
脱脂工程における処理温度(脱脂温度)はバインダーを燃焼させ分解させる必要があるので、その下限は300℃以上が好ましく、320℃以上がより好ましく、340℃以上が最も好ましい。脱脂温度の上限は急昇温するとバインダーが急速に燃焼および分解することでグリーンシートが変形する場合があるので700℃以下が好ましく、680℃以下がより好ましく、660℃以下が最も好ましい。
【0032】
焼結工程における処理温度(焼結温度)は高いほど緻密になりそれに伴いイオン伝導度も高くなるので、その下限は750℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、850℃以上が最も好ましい。しかしながら、焼結温度が高すぎると高イオン伝導性を有する結晶が分解してしまうでの上限は1250℃以下が好ましく、1200℃以下がより好ましく、1150℃以下が最も好ましい。
【0033】
本発明の固体電解質について説明する。本発明の固体電解質は空孔率が5vol%以下かつ厚さ方向の最大貫通細孔径が8μm以下であり、上述の製造方法により得ることができる。
本発明の固体電解質の空孔率は、水分透過量を少なくし、リチウム金属−空気一次電池などで安全に適用するために、その上限を5vol%以下とすることが好ましく、3vol%の以下とすることがより好ましく、1vol%の以下とすることが最も好ましい。空孔率は値が小さいほど良く0vol%に近いほど好ましいが、本発明者は上述の上限値以下の範囲であればリチウム金属−空気一次電池に安全に適用できることを見いだしたのである。
【0034】
本発明の固体電解質の厚さ方向の最大貫通細孔径は、水分透過量をより小さい値としやすくするために、8μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが最も好ましい。また、本発明の固体電解質の平均貫通細孔径は、水分透過量をより小さい値としやすくするために、5μm以下であることが好ましく、1μmであることがより好ましく、0.5μm以下であることが最も好ましい。
上記の厚さ方向の最大貫通細孔径と平均貫通細孔径はともに値が小さいほど良く0μmに近いほど好ましいが、本発明者は上述の上限値以下の範囲であればリチウム金属−空気一次電池に安全に適用できることを見いだしたのである。
【0035】
本発明の固体電解質のリチウムイオン伝導度は、高容量かつ高出力なリチウム一次電池またはリチウム二次電池を得やすくするため1×10−4Scm−1以上であることが好ましく、3×10−4Scm−1以上であることが好ましく、5×10−4Scm−1以上であることが最も好ましい。
【0036】
本発明の固体電解質は、高いリチウムイオン伝導度を得やすくするため、Li1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)の結晶を含むことが好ましい。また、化学的耐久性および耐発火性の点から、リチウムイオン伝導性の無機物のみで構成されることがより好ましい。
【0037】
本発明の固体電解質の厚みの下限値は電池として使用した場合、リチウムイオンの移動距離が短いほうが高出力の電池が得られるため300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、150μm以下が最も好ましい。また、本発明の固体電解質の厚みの上限値は取り扱いを簡便にするため1μm以上が好ましく、3μm以上がよりこのましく、5μm以上が最も好ましい。
【0038】
本発明の固体電解質は、グリーンシートで成形した形状がそのまま得られるため、任意の形状への加工が容易であり、したがって任意の形状の固体電解質の製造が可能となる。
本発明の固体電解質を挟み、その両側に正極、負極を配し、パッケージすることにより全固体リチウム一次電池やリチウムイオン二次電池を得ることができる。
また、本発明の固体電解質は緻密で均一であるため、切断・研削などの加工も容易であり、使用用途の必要に応じて表面を研磨することも可能である。特に表面に薄い電極などを取り付ける場合は、表面を研削・研磨することにより、良好な接触界面が得られる。
また、焼成後の固体電解質は有機物を含まないか、非常に少ないため、耐熱性および化学的耐久性にすぐれ、また安全性や環境に対しても害を及ぼすことが少ない。
【0039】
本発明のリチウム一次電池の正極材料には、リチウムの吸蔵が可能な遷移金属化合物や炭素材料を用いることができる。例えば、マンガン,コバルト,ニッケル,バナジウム,ニオブ、モリブデン、チタンから選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属酸化物等や、グラファイトやカーボン等を使用することができる。
また、このリチウム一次電池の負極材料には、金属リチウムや、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−インジウム合金などリチウムの放出が可能な合金等を使用することができる。
【0040】
本発明のリチウムイオン二次電池の正極材料に使用する活物質としては、リチウムの吸蔵,放出が可能な遷移金属化合物を用いることができ、例えば、マンガン,コバルト,ニッケル,バナジウム,ニオブ、モリブデン、チタンから選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属酸化物等を使用することができる。
また、このリチウム二次電池において、その負極材料に使用する活物質としては、金属リチウムやリチウム−アルミニウム合金、リチウム−インジウム合金などリチウムの吸蔵、放出が可能な合金、チタンやバナジウムなどの遷移金属酸化物及び黒鉛などのカーボン系の材料を使用することが好ましい。
正極および負極には、固体電解質に含有されるイオン伝導性無機物粉体と同じものを添加するとイオン伝導が付与されるため、より好ましい。これらが同じものであると電解質と電極材に含まれるイオン移動機構が統一されるため、電解質―電極間のイオン移動がスムーズに行え、より高出力・高容量の電池が提供できる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明に係る固体電解質、固体電解質の製造方法、これを用いたリチウム二次電池およびリチウム一次電池について、具体的な実施例を挙げて説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0042】
[実施例1]
原料としてHPO、Al(PO、LiCO、SiO、TiOを使用し、これらを酸化物換算のmol%でPを32.5%、Alを8.0%、LiOを15.0%、TiOを41.0%、SiOを3.5%といった組成になるように秤量して均一に混合した後に、白金ポットに入れ、電気炉中1450℃でガラス融液を撹拌しながら3時間加熱熔解した。その後、ガラス融液を流水中に滴下させることにより、フレーク状のガラスを得た。このガラスを970℃で15時間の熱処理により結晶化を行うことにより、目的のガラスセラミックスを得た。析出した結晶相は粉末X線回折法により、主結晶相が目的のLi1+x+zAlTi2−xSi3−z12(0<x≦0.4、0<z≦0.6)であることが確認された。得られたフレークをジェットミルにより粉砕し、平均粒径5μm、最大粒径20μmのガラスセラミックス粒子を得た。更に得られたガラスセラミックス粒子をエタノールを用いた湿式ボールミルで48h処理し、得られたスラリーをスプレードライで乾燥させることで平均粒径0.4μm、最大粒径5μmのガラスセラミックス微粒子を得た。このガラスセラミックス微粒子と水に分散させたアクリル樹脂に分散剤を添加して分散・混合してスラリーを調製した。このときのスラリーに含まれるガラスセラミックス微粒子は55.5wt%で、アクリル樹脂は12.5wt%とした。ここで得られたスラリーをドクターブレード法にて厚み150μmにて成形、85℃にて乾燥させてグリーンシートを得た。このグリーンシートを、100mm角に切り出し、最大貫通細孔径が0.2μm以下で空孔率が3%の厚みが1mmのジルコニアセッターで挟み、電気炉にて600℃で脱脂を行い、1020℃にて焼結して固体電解質を得た。このときの固体電解質の厚みは110μmで、イオン伝導度は2.4×10−4Scm−1となった。また、最大貫通細孔径は6μmで平均貫通細孔径が1.5μmであった、また、空孔率は5vol%であった。
【0043】
[比較例1]
実施例1と同じグリーンシートをセッターなどで挟まずに電気炉にて600℃で脱脂を行い、1020℃にて焼結した。主結晶相はX線回折法で実施例1と同じであることが確認され、イオン伝導度は1.8×10−4Scm−1となった。また、最大貫通細孔径は18μmで平均貫通細孔径が6μmであった、また、空孔率は7vol%であった。
【0044】
[実施例2]
実施例1で得られたガラスフレークを熱処理せずに、ジェットミルとエタノールによる湿式ボールミルを用いて粉砕し、そのスラリーを更にスプレードライで乾燥させることで平均粒径0.3μm、最大粒径4μmのガラスセラミックス微粒子を得た。このガラス微粒子と水に分散させたアクリル樹脂に分散剤を添加して分散・混合してスラリーを調製した。このときのスラリーに含まれるガラスセラミックス微粒子は63.5wt%で、アクリル樹脂は18.5wt%とした。ドクターブレード法にて厚み100μmにて成形、85℃にて乾燥させてグリーンシートを得た。このグリーンシートを、100mm角に切り出し、最大貫通細孔径が0.2μm以下で空孔率が3%の厚みが1mmびジルコニアセッターで挟み、電気炉にて600℃で脱脂を行い、1020℃にて焼結した。この熱処理によって、ガラスは結晶化され、主結晶相にLi1+x+zAlTi2−xSi3−z12(0≦x≦0.4、y=0、0<z≦0.6)を有する厚み85μmの薄板状の固体電解が得られた。この際の結晶相の確認はX線回折法により行った。イオン伝導度は2.1×10−4Scm−1であり、最大貫通細孔径は5μmで平均貫通細孔径が0.8μmであった。また、真密度、嵩密度より求めた空孔率は3vol%であった。実施例と比べてイオン伝導度は僅かに低下したが、緻密になっており、最大貫通細孔径、平均貫通細孔径ともにも小さい固体電解質が得られた。
【0045】
[水分透過量の測定]
20ccのガラス製サンプル瓶の中に、乾燥させたLiTFSIを吸湿剤として1000mg入れ、実施例1、2および比較例1にて得られた面積3.14cmの板状の固体電解質で蓋をし、隙間をエポキシ系の接着剤でシールして水分透過性の評価用サンプルセルとした。このサンプルセルを秤量後、温度60℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽に入れ、24時間保持後、再度評価用サンプルセルを秤量した。試験前後の重量差が、サンプルを透過しLiTFSIが吸湿した水分量に相当し、この値を固体電解質の面積で除した値を水分透過量とした。水分透過量の単位はg/m・24H(60℃×90%RH)である。得られた水分透過量を表1に示した。
【0046】
【表1】

【0047】
以上のように、空孔率10vol%以下のセッターで覆いグリーンシートを焼成することにより、水分透過量が少なくなり、かつイオン伝導性も良好な固体電解質が得られた。
また、こうして得られた固体電解質は、リチウム一次電池やリチウム二次電池の電解質としても使用でき、この固体電解質を用いた電池は、電池容量も高く、長期に安定して使用できる電池を実現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン伝導性無機物粉体を含むグリーンシートを作製する工程と、前記グリーンシートを焼成する工程とを有し、前記グリーンシートを焼成する工程において、前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆う固体電解質の製造方法。
【請求項2】
前記セッターがガラス、ガラスセラミックス、またはセラミックスのいずれかである請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項3】
前記セッターの最大貫通細孔径が6μm以下である請求項1または2に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項4】
前記グリーンシートを焼成する工程は脱脂工程と焼結工程を含み、当該焼結工程における焼結温度が750〜1250℃である請求項1から3のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
【請求項5】
前記グリーンシートを焼成する工程は脱脂工程を含み、当該脱脂工程において、脱脂温度が300〜700℃である請求項1から4のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
【請求項6】
前記グリーンシートを作製する工程は、リチウムイオン伝導性の無機物粉体と有機バインダーを混合する工程を含む請求項1から5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
【請求項7】
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体と有機バインダーを混合する工程において、リチウムイオン伝導性の無機物粉体の含有率を50wt%以上とする請求項6に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項8】
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体と有機バインダーを混合する工程において、リチウムイオン伝導性の無機物粉体の平均粒径を5μm以下とする請求項6または7に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項9】
前記リチウムイオン伝導性無機粉体はLi1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)である結晶を含む請求項1から8に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項10】
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体は、酸化物基準のmol%表示で、
LiO 10〜25%、および
Alおよび/またはGa 0.5〜15%、および
TiOおよび/またはGeO 25〜50%、および
SiO 0〜15%、および
26〜40%
の各成分を含有する請求項1から9に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項11】
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体はガラスもしくはガラスセラミックスであることを特徴とする請求項1から10に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項12】
リチウムイオン伝導性無機物粉体を含むグリーンシートを焼成して得られ、空孔率が5vol%以下かつ厚さ方向の最大貫通細孔径が8μm以下であることを特徴とする固体電解質。
【請求項13】
前記グリーンシートの少なくとも1面を空孔率10vol%以下のセッターで覆い焼成して得られることを特徴とする請求項12に記載の固体電解質。
【請求項14】
前記セッターの最大貫通細孔径が6μm以下である請求項12または13に記載の固体電解質。
【請求項15】
厚さ方向の最大貫通細孔径が8μm以下で平均貫通細孔径が5μm以下であることを特徴とする請求項12から14に記載の固体電解質。
【請求項16】
イオン伝導度が1×10−4Scm−1以上であることを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載の固体電解質。
【請求項17】
Li1+x+z(Ge1−yTi2−xSi3−z12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)である結晶を含む請求項12から16のいずれかに記載の固体電解質。
【請求項18】
前記リチウムイオン伝導性の無機物粉体は、酸化物基準のmol%表示で、
LiO 10〜25%、および
Alおよび/またはGa 0.5〜15%、および
TiOおよび/またはGeO 25〜50%、および
SiO 0〜15%、および
26〜40%
の各成分を含む請求項12から17のいずれかに記載の固体電解質。
【請求項19】
前記固体電解質の厚みは300μm以下であることを特徴とする請求項12から18のいずれかに記載の固体電解質。
【請求項20】
前記リチウムイオン伝導性無機物のみで構成されることを特徴とする請求項12から19のいずれかに記載の固体電解質。
【請求項21】
請求項12から20のいずれかに記載の固体電解質を備えることを特徴とするリチウム一次電池。
【請求項22】
請求項12から20のいずれかに記載の固体電解質を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。

【公開番号】特開2009−80970(P2009−80970A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247904(P2007−247904)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000128784)株式会社オハラ (539)
【Fターム(参考)】