説明

リニアモータおよびリニアモータを備えた携帯機器

【課題】薄型化を図ることが可能なリニアモータを提供する。
【解決手段】このリニアモータ100は、プリント基板40および50と枠体10とからなる筐体と、プリント基板40(50)に設けられた渦巻状の平面コイル41および42(51および52)と、平面コイル41および42(51および52)と対向する磁極面を有し、矢印X1およびX2方向に沿って移動可能に設けられる可動部20と、を備える。そして、可動部20は、筐体の内部に移動可能なように配置され、平面コイル41および42(51および52)は、平面的に見て、枠体10の側壁部10bおよび10cに平面コイル41および42(51および52)の一部が重なるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータおよびリニアモータを備えた携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルからの電磁力により振動する可動部を備えた振動モータが知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、円板状のマグネットからなる可動子と、可動子を取り囲むように配置されたコイルとを備えた振動アクチュエータ(振動モータ)が開示されている。上記特許文献1に記載の振動アクチュエータでは、円板状の可動部を取り囲むように上下方向に厚みが大きいコイルが配置されているとともに、そのコイルからの電磁力により円板状の可動部を上下方向(可動部の厚み方向)に直線移動させるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、永久磁石と、永久磁石に対向するように配置された振動子と、振動子に連結されるとともに筒状に形成された可動コイルとを備えた振動装置が開示されている。上記特許文献2に記載の振動装置では、可動コイルは、振動子の移動方向に延びる棒状のガイドレールに対して直交する方向にコイルの巻き面が配置されるとともに、ガイドレールに沿った方向に振動子とともに振動するように構成されている。
【特許文献1】特開2006−68688号公報
【特許文献2】特開2004−174309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された振動アクチュエータでは、上下方向に厚みが大きいコイルを用いて円板状の可動部が上下方向(可動部の厚み方向)に移動するように構成されているので、その上下方向に可動部の移動空間を設ける必要があり、構造的に装置の薄型化を図ることが困難であるという問題点がある。
【0006】
上記特許文献2に開示された振動装置では、可動コイルの移動方向(ガイドレールに沿った方向)に対して直交する方向に筒状の可動コイルの巻き面が配置されることになる。このため、可動コイルの巻き面の高さ方向の長さが大きくなるので、装置の薄型化を図ることが困難であるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、薄型化を図ることが可能なリニアモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるリニアモータは、筐体と、筐体に設けられた渦巻状のコイルと、渦巻状のコイルと対向する磁極面を有し、渦巻状のコイルの表面に沿った方向に移動可能に設けられる可動部とを備え、可動部は、筐体の内部に移動可能なように配置され、渦巻状のコイルは、平面的に見て、筐体の側壁部に渦巻状のコイルの一部が重なるように配置されている。
【0009】
この発明の第2の局面による携帯機器は、上記第1の局面によるリニアモータを備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明の第1の局面によるリニアモータでは、上記の構成により、薄型化を可能にしながら、可動部の駆動力を増大させることができるとともに、可動部の応答時間を短縮することができる。
【0011】
この発明の第2の局面による携帯機器では、上記のリニアモータを備えることによって、携帯機器の薄型化とともに、振動量の増大および振動の応答時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるリニアモータの構造を示した斜視図である。図2〜図5は、図1に示した第1実施形態によるリニアモータの構造を説明するための図である。
【0014】
本発明の第1実施形態によるリニアモータ(リニア駆動型振動モータ)100は、図1に示すように、収納部10aが設けられた枠体10と、収納部10aに配置された可動部20と、可動部20を支持する一対の板バネ30と、枠体10の収納部10aを上下方向(矢印Z1およびZ2方向)から塞ぐように配置されたプリント基板40、50とを備えている。なお、枠体10、プリント基板40および50は、それぞれ、本発明の「筐体」の一例である。
【0015】
枠体10は、平面的に見て、矢印Y1、Y2方向に延びる一対の第1側壁部10bと、矢印X1、X2方向に延びる一対の第2側壁部10cとから構成され、実質的に矩形形状(長方形形状)に形成されている。また、枠体10の収納部10aは、上下方向に貫通する矩形形状の開口部からなる。
【0016】
可動部20は、図1〜図5に示すように、平面的に見て円形形状に形成された平板状の永久磁石(フェライトやネオジウムなどの強磁性材料からなる磁石)により構成されている。可動部20は、平面的に見て、枠体10の収納部10aの略中央に位置するように一対の板バネ30により側面20aが支持されている。また、可動部20は、図4に示すように、収納部10aの高さよりも低い高さを有している。可動部20は、永久磁石の厚み方向に着磁され、可動部20のプリント基板40側(矢印Z1方向側)の表面20bはN極、プリント基板50側(矢印Z2方向側)の表面20cはS極に着磁されている。そして、可動部20は、一対の板バネ30に支持された状態で、収納部10aの内部でプリント基板40、50に対して平行な矢印X1およびX2方向に直線移動する。ここで、平行とは、互いに平行な状態だけでなく、可動部20が直線移動する際の妨げにならない程度に平行な状態からずれた状態(所定の角度傾斜した状態)を含んでいる。
【0017】
一対の板バネ30は、図1および図2に示すように、それぞれ、枠体10の収納部10a内において可動部20の矢印X1方向側および矢印X2方向側に配置されている。一対の板バネ30の一方端部は、収納部10aの互いに対角に位置する角部で枠体10に取り付けられている。また、一対の板バネ30は、それぞれ、枠体10への取付部を支持点として撓み変形可能に構成されており、可動部20を互いに他方の板バネ30側に付勢する機能を有している。
【0018】
プリント基板40の内部には、2層配線構造からなる一対の平面コイル41、42が配置されている。平面コイル41、42は、それぞれ、平面的に見て矩形形状の輪郭を有している。なお、この場合の矩形形状とは、四隅が直角である必要はなく、本実施形態の目
的を達成する範囲で略矩形形状であればよい。また、平面コイル41、42は、それぞれ、本発明の「コイル」の一例である。
【0019】
平面コイル41、42の配置領域を合わせた領域は、平面的に見て可動部20よりも大きく、可動部20全体を覆うように配置されている。一対の平面コイル41、42は、1本の電流線43により電気的に直列接続されている。この1本の電流線43は、平面コイル41の第1層目電流線43aと、平面コイル41の第2層目電流線43bと、平面コイル42の第2層目電流線43cと、平面コイル42の第1層目電流線43dとから構成されている。
【0020】
電流線43の第1層目電流線43a、第2層目電流線43b、第2層目電流線43cおよび第1層目電流線43dは、互いに一筆書き状に電気的に接続されている。平面コイル41を構成する矢印Z1方向側に配置された第1層目電流線43aは、図3に示すように、外側から内側に向かって反時計回りに渦巻状に巻回されている。平面コイル41の第1層目電流線43aの外側の端部は、電極パッド48aに接続されている。平面コイル41を構成する矢印Z2方向側に配置された第2層目電流線43bは、図5に示すように、内側から外側に向かって反時計回りに渦巻状に巻回されている。そして、平面コイル41の第1層目電流線43aの内側の端部と第2層目電流線43bの内側の端部とが、平面コイル41の中心部44近傍においてプリント基板40に設けられたコンタクトホールを介して接続されている。
【0021】
平面コイル42の矢印Z2方向側の第2層目電流線43cは、図5に示すように、外側から内側に向かって時計回りに渦巻状に巻回されている。この平面コイル41の第2層目電流線43bの外側の端部と平面コイル42の第2層目電流線43cの外側の端部とは、可動部20の中心部21近傍において、接続されている。また、図3に示すように、平面コイル42を構成する矢印Z1方向側に配置された第1層目電流線43dは、内側から外側に向かって時計回りに渦巻状に巻回されている。この第1層目電流線43dの外側端部は、電極パッド48bに接続されている。平面コイル41の第1層目電流線43aおよび第2層目電流線43bには、同方向に電流が流れ、平面コイル42の第2層目電流線43cおよび第1層目電流線43dには、同方向に電流が流れる。
【0022】
図3〜図5に示すように、平面コイル41、42は、それぞれ、可動部20の移動方向(矢印X1およびX2方向)に直交する矢印Y1およびY2方向に延びる第1部分41a、42aと、第2部分41b、42bとを有している。平面コイル41の第1部分41aおよび平面コイル42の第1部分42aは、可動部20の中心部21側において互いに隣接するように配置されている。平面コイル41の第2部分41bおよび平面コイル42の第2部分42bは、可動部20の移動方向(矢印X1およびX2方向)の両端部側に配置されている。
【0023】
第2部分41b、42bは、それぞれ、平面的に見て、可動部20の中心部21からの距離が、第1部分41a、42aの可動部20の中心部21からの距離よりも大きくなるように配置されている。また、平面的に見て、第2部分41bおよび42bの一部は、それぞれ、枠体10の第1側壁部10bに重なるように配置されている。すなわち、枠体10の収納部10aの領域内(可動部20の可動範囲に対応する領域)には、第1部分41a、42aが第2部分41b、42bよりも多く配置される。
【0024】
平面コイル41の第1部分41aと第2部分41bとは、矢印X1方向に延びる第3部分41cにより接続されているとともに、平面コイル42の第1部分42aと第2部分42bとは、矢印X2方向に延びる第3部分42cにより接続されている。また、平面的に見て、第3部分41cおよび42cの一部は、それぞれ、枠体10の第2側壁部10cに
重なるように配置されている。
【0025】
平面コイル41および42に駆動電流が供給された際には、第1部分41a、42aの電流方向は、第2部分41b、42bの電流方向とは相反する方向となる。そして、第1部分41a、42aによる電磁力が、可動部20を移動させるための駆動力となる。なお、第2部分41b、42bにより発生する電磁力は、第1部分41a、42aとは電流方向が反対であるため、第1部分41a、42aによる電磁力(駆動力)と反対方向に働く。また、第1部分41a、42aの電流方向、および、第2部分41b、42bの電流方向は、それぞれ、本発明の「一方の方向」および「他方の方向」の一例である。
【0026】
ここで、平面的に見て、第1部分41a、42aが可動部20と重なる領域は、第2部分41b、42bが可動部20と重なる領域に比べて大きいので、第1部分41a、42aの方が永久磁石からなる可動部20からより強い磁界の影響を受ける。
【0027】
また、図3および図5に示すように、平面コイル41、42は、それぞれ、第2部分41b、42bの矢印Y1およびY2方向の端部に位置するコーナ部46a、47aが、斜め直線状に形成されている。また、図3および図4に示すように、プリント基板40の第1層目電流線43a側の表面において、平面コイル41の矢印Y1方向側のコーナ部46近傍には、第1層目電流線43a、43dの外側の端部がそれぞれ接続される矩形形状の2つの電極パッド48a、48bが配置されている。
【0028】
第1部分41a、42aの可動部20の中心部21側の端部に位置するコーナ部46b、47bは、それぞれ、平面的に見て、直角形状になるように形成されている。なお、この場合の直角とは、コーナ部46b、47bが90度に形成された状態だけでなく、コーナ部46b、47bが90度に形成された場合の頂点近傍で、コーナ部46b、47bが90度以外の角度または曲線に形成された略直角の状態を含んでいる。
【0029】
矢印Z2方向側のプリント基板50に配置された平面コイル51、52は、それぞれ、矢印Z1方向側のプリント基板40に配置された平面コイル41、42と同様の構造を有するように形成されている。このため、平面コイル51の第1部分51a、第2部分51b、平面コイル52の第1部分52aおよび第2部分52bは、それぞれ、平面コイル41の第1部分41a、第2部分41b、平面コイル42の第1部分42aおよび第2部分42bに対応する。また、平面コイル41、42の第3部分41c、42cは、それぞれ、平面コイル51、52の第3部分51c、52cに対応する。
【0030】
一方、平面コイル51の第1層目電流線53a、第2層目電流線53b、平面コイル52の第2層目電流線53cおよび第1層目電流線53dは、それぞれ、平面コイル41の第1層目電流線43a、第2層目電流線43b、平面コイル42の第2層目電流線43cおよび第1層目電流線43dに対応する。
【0031】
また、平面コイル41のコーナ部46a、46b、平面コイル42のコーナ部47a、47bにそれぞれ対応するように平面コイル51のコーナ部56a、56b、平面コイル52のコーナ部57a、57bが設けられている。電極パッド48a、48bに対応するように、電極パッド58a、58bが設けられている。また、平面コイル41、42の中心部44、45に対応するように、平面コイル51、52の中心部54、55が設けられている。なお、平面コイル51、52は、それぞれ、本発明の「コイル」の一例である。
【0032】
図6および図7は、それぞれ、本発明の第1実施形態によるリニアモータの動作を説明するための断面図である。
【0033】
まず、電極パッド48a(58a)、48b(58b)を介して、電流線43(53)に駆動電流が供給される。これにより、図6に示すように、永久磁石からなる可動部20により形成される矢印Z1方向の磁界(図6の破線矢印を参照)と直交する方向(図3および図5の矢印Y1方向)の電流が平面コイル41(51)、42(52)の第1部分41a(51a)、42a(52a)に流れる。そして、第1部分41a(51a)、42a(52a)を流れる電流が寄与するローレンツ力により、可動部20が矢印X1方向に直線移動される。この際、第2部分41b(51b)、42b(52b)によるローレンツ力は、第1部分41a(51a)、42a(52a)によるローレンツ力(駆動力)に対抗する方向(矢印X2方向)に働く。しかし、上述のとおり、第1部分41a(51a)、42a(52a)の方が永久磁石からなる可動部20からより強い磁界の影響を受けるので、第1部分41a(51a)、42a(52a)によるローレンツ力(駆動力)が支配的となる。
【0034】
そして、所定時間後、図7に示すように、図6に示す状態とは反対方向の駆動電流を供給することによって、上記と同様の作用により、可動部20が矢印X2方向に直線移動される。このようにして、所定の周波数で駆動電流の方向を切り替えることによって、可動部20は、矢印X1方向と矢印X2方向とに交互に移動されて共振運動される。
【0035】
また、このとき、可動部20には、互いに対向する第3部分41c同士および42c同士から発生する電磁力により、それぞれ、矢印Y1およびY2方向に沿った中心に向かう方向の力、または、中心から矢印Y1およびY2方向に沿った外側に引っ張る方向の力が加えられている。
【0036】
本発明の第1実施形態によるリニアモータ100では、以下の効果を得ることができる。
【0037】
(1)横振動(矢印X1およびX2方向の振動)のリニアモータ100を構成することによって、縦振動(矢印Z1およびZ2方向の振動)のリニアモータに比べて薄型化を図りやすい。
【0038】
(2)平面コイル41(51)、42(52)の表面に沿った方向(矢印X1およびX2方向)に沿って移動可能な可動部20を設けた。これによって、上下方向に厚みが大きいコイルを用いて上下方向に可動部20を直線移動させる場合に比べて、可動部20の移動範囲(移動空間)を設ける必要がないので、その方向の厚みを小さくするための設計の自由度を確保することができる。その結果、薄型化を図ることが可能なリニアモータ100を提供することができる。
【0039】
(3)平面的に見て、平面コイル41(51)および42(52)における第2部分41b(51b)および42b(52b)の一部を、それぞれ、枠体10の第1側壁部10bに重なるように配置する。これによって、可動部20の可動領域である枠体10の収納部10aにおいて、可動部20を移動するための電磁力の発生に寄与する第1部分41a(51a)、42a(52a)が配置された領域に対して、可動部20を移動するための電磁力とは反対方向の電磁力の発生に寄与する第2部分41b(51b)、42b(52b)が配置された領域を小さくすることができるので、その分、駆動方向と逆方向の電磁力を減少させることができる。したがって、可動部20の駆動力を増大させることができるとともに、可動部20の応答時間を短縮することができる。また、第1部分41a(51a)、42a(52a)による電磁力を用いて容易に可動部20を矢印X1およびX2方向に移動させることができる。
【0040】
(4)平面的に見て、平面コイル41および42(51および52)の第3部分41c
および42c(51cおよび52c)の一部を第2側壁部10cに重なるように配置したことで、可動部20に矢印Y1およびY2方向の力が作用する領域を小さくすることができるので、可動部20が矢印X1およびX2方向に直線移動する際に、矢印Y1およびY2方向の力に起因して直線状の移動経路からずれるのを抑制することができる。その結果、リニアモータ100を安定して動作させることができる。
【0041】
(5)平面コイル41、42の表面に対向するように、可動部20の磁極面が配置されるように構成した。これにより、可動部20側から発生する磁力線(磁力線が生じる磁極面)と平面コイル41、42に電流を流すことにより発生する磁束線(磁束線が生じるコイル面)とが平行になる。これに対して、上記特許文献2に記載の構成では、磁石からの磁力線とコイルからの磁束線とは直交する。したがって、上記特許文献2に記載の構成に比べてリニアモータ100における構成は、磁力線と磁束線とが重なる量が大きいので、その分、可動部20を移動させる際の駆動力を大きくすることができる。
【0042】
(第2実施形態)
図8および図9は、それぞれ、本発明の第1実施形態によるリニアモータを用いた携帯機器の一例を説明するための図である。なお、図9は、図8のリニアモータを含む部分の一断面である。
【0043】
本発明の第1実施形態によるリニアモータ100は、図8および図9に示すように、携帯電話200などに用いることが可能である。携帯電話200は、リニアモータ100と、CPU110(図9参照)と、表示部120とを備えている。リニアモータ100は、携帯電話200の表示部120が配置された側とは反対側の面に配置されている。表示部120は、タッチパネル方式のパネルにより構成され、表示部120に表示されたボタン部120aを押圧することにより携帯電話200を操作するように構成されている。そして、リニアモータ100は、表示部120に表示されたボタン部120aが押圧されたことを検知した場合や電話を着信した際にマナーモードに設定されている場合などに振動するようにCPU110で制御される。なお、携帯電話200は、本発明の「携帯機器」の一例である。
【0044】
本発明の第2実施形態によるリニアモータ100を備える携帯電話200では、以下の効果を得ることができる。
【0045】
(6)上記薄型化が可能なリニアモータ100を振動源として搭載することで、リニアモータ100が薄型化される分、携帯電話200の薄型化を図ることが可能になる。
【0046】
(7)上記のリニアモータ100を備えることによって、携帯電話200の薄型化とともに、振動量の増大および振動の応答時間の短縮を図ることができる。

(第3実施形態)
本発明の第3実施形態によるリニアモータ(リニア駆動型振動モータ)400は、図10および図11に示すように、収納部410aが設けられた枠体410と、収納部410aに配置された可動部420と、可動部420を支持する一対の板バネ430とを備えている。
【0047】
枠体410は、平面的に見て、矢印X1およびX2方向に延びる第1側壁部410bと矢印Y1およびY2方向に延びる第2側壁部410cとにより実質的に矩形形状(正方形形状)に形成されている。また、枠体410の収納部410aは、上下方向(矢印Z1およびZ2方向)に貫通する矩形形状の開口部からなる。また、枠体410には、収納部410aの上方向側(矢印Z1方向側)の開口部を塞ぐようにプリント基板440が配置さ
れているとともに、下方向側(矢印Z2方向側)の開口部を塞ぐように底板450が配置されている。また、枠体410、プリント基板440および底板450は、ガラスエポキシ樹脂により形成されている。
【0048】
可動部420は、図11に示すように、平面的に見て角部が面取りされた矩形形状(長方形状)に形成されているとともに、平板状の永久磁石(フェライトやネオジウムなどの強磁性材料からなる磁石)により構成されている。可動部420は、矢印X1およびX2方向に沿って約8mmの長さを有するとともに、矢印Y1およびY2方向に沿って約10mmの長さを有する。また、可動部420は、平面的に見て、枠体410の収納部410aの略中央に位置するように一対の板バネ430により側面が支持されている。また、図12に示すように、可動部420は、収納部410aの高さよりも低い高さ(小さい厚み)を有している。
【0049】
可動部420は、図12に示すように、第1磁石421および第2磁石422からなる2つの永久磁石により構成されている。具体的には、可動部420の中心線C1−C1近傍(図11参照)を境界として矢印X1方向側に第1磁石421が配置されるとともに、矢印X2方向側に第2磁石422が配置されるように構成されている。第1磁石421のプリント基板440に対向する側には、厚み方向にN極に着磁されたN極面421aが設けられている。また、第2磁石422のプリント基板440に対向する側には、厚み方向にS極に着磁されたS極面422aが設けられている。
【0050】
第1磁石421の底板450に対向する側には、厚み方向にS極に着磁されたS極面421bが設けられている。同様に、第2磁石422の底板450に対向する側には、厚み方向にN極に着磁されたN極面422bが設けられている。
【0051】
また、第1磁石421と第2磁石422とは、プリント基板440側の表面において、N極面421aとS極面422aとが隣接するとともに、底板450側の表面において、S極面421bとN極面422bとが隣接するように配置されている。そして、第1磁石421と第2磁石422とは、それぞれ、互いに隣接するN極面421aおよびS極面422a間による引力と、S極面421bおよびN極面422b間による引力とにより密着した状態で保持されているとともに、接着剤などにより互いに固定されている。
【0052】
以上により、可動部420は、一対の板バネ430に支持された状態で、収納部410aの内部においてプリント基板440に対して平行な矢印X1およびX2方向に直線移動する。ここで、平行とは、互いに平行な状態だけでなく、可動部420が直線移動する際の妨げにならない程度に平行な状態からずれた状態(所定の角度傾斜した状態)を含んでいる。また、このとき、第1側壁部410b(図11参照)は、可動部420が矢印X1およびX2方向に移動する際のガイドとしての機能を有する。
【0053】
一対の板バネ430は、図10および図11に示すように、それぞれ、枠体410の第2側壁部410cの内側面に配置されている。具体的には、一対の板バネ430は、それぞれ、枠体410に固定される固定部430aと、撓み部430bと、可動部420の支持部430cとにより構成されている。固定部430aは、矢印Y1およびY2方向に沿って延びるように形成されているとともに、枠体410の第2側壁部410cに接着剤などにより固定されている。また、撓み部430bは、固定部430aとの境界部分から支持部430cまでの間に複数回(2回)折り曲げられることによって、一対の板バネ430の支持部430cの軌跡が中心線C2−C2上を矢印X1およびX2方向に沿って直線的に移動するように撓み可能に構成されており、可動部420を互いに他方側の板バネ430に付勢する機能を有している。また、各板バネ430の支持部430cは、それぞれ、枠部410の収納部410aの中心線C2−C2上近傍において可動部420を挟むよ
うにして支持するように構成されている。
【0054】
第1磁石421および第2磁石422における底板450に対向する側の表面には、鉄板などからなるヨーク460aが設けられている。また、プリント基板440の可動部420と対向する側とは反対側の表面にも、同様に、鉄板などからなるヨーク460bが設けられている。ヨーク460aおよび460bは、装置本体から外部へ磁気が漏れるのを抑制するための磁気シールドとしての機能を有する。
【0055】
プリント基板440の内部には、図12〜図14に示すように、2層配線構造からなる扁平形状の平面コイル441および442が配置されている。平面コイル441および442は、それぞれ、平面的に見て、矩形形状の輪郭を有するとともに、内側から外側に向かってXY面(矢印X1(X2)方向と矢印Y1(Y2)方向とにより形成される面)方向に広がるように渦巻状に形成されている。なお、平面コイル441および442は、それぞれ、本発明の「コイル」の一例である。
【0056】
平面コイル441および442は、1本の電流線443により互いに電気的に直列接続されている。具体的には、平面コイル441を構成する第1層目電流線443aは、図13に示すように、外側から内側に向かって反時計回りに渦巻状に巻回されている。平面コイル441の第1層目電流線443aの外側の端部は、プリント基板440上に設けられた電極パッド470aに接続されている。
【0057】
平面コイル442を構成する第2層目電流線443bは、図14に示すように、内側から外側に向かって反時計回りに渦巻状に巻回されている。平面コイル442の第2層目電流線443bの外側の端部は、プリント基板440上に設けられた電極パッド470bに接続されている。そして、第1層目電流線443aの内側の端部と、第2層目電流線443bの内側の端部とが、それぞれの中心部分近傍においてプリント基板440に設けられたコンタクトホールを介して互いに接続されている。なお、ヨーク460bには、プリント基板440上の電極パッド470aおよび470bに対応する位置にそれぞれ開口部460cおよび460dが設けられている。そのため、ヨーク460bと、電極パッド470aおよび470bとは接触していない。
【0058】
図13に示すように、平面コイル441は、それぞれ、矢印Y1およびY2方向に延びる第1部分441aおよび441bと、矢印X1およびX2方向に延びる第2部分441cおよび441dとを有している。第2部分441cおよび441dを構成する電流線443aの幅W2が、平面コイル441の第1部分441aおよび441bを構成する電流線443aの幅W1よりも小さくなるように形成されている。これにより、第2部分441cおよび441dを構成する電流線443aのピッチ(隣接する電流線443aの中心間の距離)L2が、第1部分441aおよび441bを構成する電流線443aのピッチL1よりも小さくなる。その結果、第1部分441aおよび441bに流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさが、第2部分441cおよび441dに流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさよりも大きくなる。
【0059】
また、平面的に見て、第2部分441cおよび441dの少なくとも一部は、それぞれ、枠体410の第1側壁部410bに重なるように配置されている。つまり、平面コイル441の配置領域は、平面的に見て可動部420よりも大きく、可動部420全体を覆っている。
【0060】
図14に示すように、平面コイル442も、平面コイル441と同様の構成であり、矢印Y1およびY2方向に延びるとともに幅W1を有する第1部分442aおよび442bと、矢印X1およびX2方向に延びるとともに幅W2を有する第2部分442cおよび4
42dとを有している。また、平面的に見て、第2部分442cおよび442dの一部は、それぞれ、枠体410の第1側壁部410bに重なるように配置されている。
【0061】
以上により、平面コイル441および442に駆動電流が供給された際には、第1部分441a(442a)と第1部分441b(442b)とにおいて電流方向は相反する方向となる。そして、第1部分441a(442a)、および、第1部分441b(442b)による電磁力が、可動部420を移動させるための駆動力となる。
【0062】
次に、図13〜図16を参照して、本発明の第3実施形態によるリニアモータ400の動作を説明する。
【0063】
まず、電極パッド470aおよび470bを介して、電流線443に駆動電流が供給される。これにより、図15に示すように、可動部420のN極面421aおよびS極面422a間において発生する矢印Z1およびZ2方向の磁界(図15の破線矢印を参照)と直交する方向(図13および図14の矢印Y1およびY2方向)の電流が平面コイル441の第1部分441aおよび441bと、平面コイル442の第1部分442aおよび442bに流れる。そして、平面コイル441(442)の第1部分441a(442a)を流れる電流が寄与するローレンツ力が第1磁石421のN極面421aに矢印X2方向に働く。同時に、平面コイル441(442)の第1部分441b(442b)を流れる電流が寄与するローレンツ力が第2磁石422のS極面422aに矢印X2方向に働く。以上により、可動部420が矢印X2方向に直線移動される。
【0064】
そして、所定時間後、図16に示すように、図15に示す状態とは反対方向の駆動電流を供給することによって、上記と同様の作用により、可動部420が矢印X1方向に直線移動される。このようにして、所定の周波数で駆動電流の方向を切り替えることによって、可動部420は、矢印X1方向と矢印X2方向とに交互に直線移動されて共振運動される。この際、第1磁石421のS極面421bと第2磁石422のN極面422bとの間に発生する磁束は、透磁率が高く磁束が通りやすいヨーク460a内を選択的に通過するので、底板450を貫いて外側にまで及ぶようには発生しない。また、第1磁石421のN極面421aと第2磁石422のS極面422aとの間に発生する磁束は、プリント基板440を貫いた場合に透磁率が高く磁束が通りやすいヨーク460b内を選択的に通過するので、ヨーク460bの外側にまで及ぶようには発生しない。
【0065】
また、このとき、可動部420には、平面コイル441(442)において互いに対向する第2部分441c(442c)および441d(442d)から発生する電磁力により、それぞれ、矢印Y1およびY2方向に沿った中心に向かう方向の力、または、中心から矢印Y1およびY2方向に沿った外側に引っ張る方向の力が加えられている。
【0066】
本発明の第3実施形態によるリニアモータ400では、以下の効果を得ることができる。
【0067】
(8)横振動(矢印X1およびX2方向の振動)のリニアモータ400を構成することによって、縦振動(矢印Z1およびZ2方向の振動)のリニアモータに比べて薄型化を図りやすい。
【0068】
(9)平面コイル441および442の表面に沿った方向(矢印X1およびX2方向)に沿って移動可能な可動部420を設けた。これによって、上下方向(Z方向)に厚みが大きいコイルを用いて上下方向に可動部420を直線移動させる場合に比べて、可動部420の移動範囲(上下方向への移動空間)を設ける必要がないので、その方向の厚みを小さくするための設計の自由度を確保することができる。その結果、薄型化を図ることが可
能なリニアモータ400を提供することができる。
【0069】
(10)平面コイル441および442を可動部420の移動方向に沿って扁平状になるように渦巻状にした。これによって、コイルの巻き面が可動部の移動方向に対して直交する方向に配置される場合に比べて、コイルの巻き面による高さ方向(高さ方向)への領域を設ける必要がなくなり、矢印Z1およびZ2方向の厚みを小さくすることができる。したがって、リニアモータ400の薄型化を図ることができる。
【0070】
(11)平面コイル441(442)に対向する側の表面に互いに異なる極性のN極面421aおよびS極面422aを含む可動部420を備え、N極面421aおよびS極面422aにそれぞれ対応する位置に、互いに電流の流れる方向が反対である平面コイル441(442)の第1部分441aおよび441b(442aおよび442b)を配置した。これにより、平面コイル441(442)に電流が流れた際に発生する電磁力によりN極面421aおよびS極面422aに加わる力が同じ方向になるので、その方向に可動部420を移動させることができる。すなわち、1つの渦巻状の平面コイルによりリニアモータを構成することができるので、その分、装置を小型化(小面積化)することが可能になる。
【0071】
なお、コイルに対向する側の永久磁石の極性が1種類のみからなる場合では、可動部を一方方向および他方方向に移動させるために両側にそれぞれコイルを配置する必要があるため、装置の小型化(小面積化)には一定の限界がある。
【0072】
(12)平面コイル441(442)の表面に対向するように、可動部420のN極面421aおよびS極面422aが配置されるように構成した。これにより、可動部420側から発生する磁力線(磁力線が生じる磁極面)と平面コイル441(442)に電流を流すことにより発生する磁束線(磁束線が生じるコイル面)とが平行になる。これに対して、上記特許文献2に記載の構成では、磁石からの磁力線とコイルからの磁束線とは直交する。したがって、上記特許文献2に記載の構成に比べてリニアモータ400における構成は、磁力線と磁束線とが重なる量が大きいので、その分、可動部420を移動させる際の駆動力を大きくすることができる。
【0073】
(13)可動部420の平面コイル441(442)と対向する面とは反対側の面において、N極面421aに対応する位置にS極面421bを設けるとともに、S極面422aに対応する位置にN極面422bを設けた。これによって、可動部420のN極面421a、S極面422a、S極面421bおよびN極面422bは、互いに、可動部420の移動方向(矢印X1およびX2方向)および厚み方向(矢印Z1およびZ2方向)において異なる磁極が隣接するように配置される。したがって、それぞれの磁極面の間において発生する磁路が小さくなるので、その分、リニアモータ400の外部に磁束が漏れるのを抑制することができる。その結果、リニアモータ400を種々の装置内に配置した場合に、リニアモータ400からの磁束漏れに起因して装置の動作不良が発生するのを抑制することができる。
【0074】
(14)可動部420のS極面421bおよびN極面422bの表面に磁気シールドとしての機能を有するヨーク460aを設けることによって、S極面421bおよびN極面422b間に発生する磁束がリニアモータ400の底板450側から外部に漏れるのを確実に抑制することができる。また、プリント基板440の表面にもヨーク460bを配置することによって、N極面421aおよびS極面422a間において、平面コイル441および442を貫きつつ、ヨーク460b内を通過するようにして磁束が発生する。したがって、N極面421aおよびS極面422a間に発生する磁束がプリント基板440側から外部に漏れるのを確実に抑制することができる。以上により、リニアモータ400か
らの外部への磁束漏れを容易に抑制することができる。
【0075】
(15)可動部420を両側から支持する一対の板バネ430を、可動部420との支持部430cが可動部420の移動方向(矢印X1およびX2方向)に沿って撓むように折り曲げられた形状に設けることによって、板バネ430は、支持部430cの軌跡が矢印X1およびX2方向に沿って直線的に移動する。これによって、支持部430cが矢印X1およびX2方向に沿って直線的に移動しながら可動部420を支持するので、可動部420が移動する際に支持部430cと可動部420との接触部分にずれが発生するのを抑制することができる。その結果、可動部420が移動しながら回転するのを抑制することができるので、リニアモータ400を安定して動作させることができる。
【0076】
(16)可動部420を角部が面取りされた矩形形状にすることによって、面取りしない場合に比べて、可動部420が移動する際に、枠部410の第1側壁部410bとの間に引っかかりが生じるのを抑制することができる。したがって、こうした引っかかりに起因して可動部420が回転するのをより確実に抑制することができる。
【0077】
(17)平面コイル441(442)に、可動部420が移動する方向と交差する方向(矢印Y1方向および矢印Y2方向)に延びる第1部分441a、441b(442a、442b)と、可動部420が移動する方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に延びる第2部分441c、441d(442c、442d)とを設けた。そして、第2部分441c、441d(442c、442d)の隣接する電流線443a(443b)のピッチL2が、第1部分441a、441b(442a、442b)の隣接する電流線443a(443b)のピッチL1よりも小さくなるように構成した。
【0078】
これにより、第2部分441c、441d(442c、442d)のピッチL2が小さくなった分、第1部分441a、441b(442a、442b)の矢印Y1方向および矢印Y2方向の長さが大きくなるので、可動部420を移動するための電磁力を増大させることができるとともに、可動部420の応答時間を短縮することができる。
【0079】
(18)第2部分441c、441d(442c、442d)の電流線443a(443b)の幅W2を小さくすることにより、第2部分441c、441d(442c、442d)の隣接する電流線443a(443b)間のピッチL2が、第1部分441a、441b(442a、442b)の隣接する電流線443a(443b)間のピッチL1よりも小さくなるように構成した。これによって、第1部分441a、441b(442a、442b)の電流線443a(443b)の幅W1が大きい分、電流線443a(443b)の抵抗を小さくすることができるので、電流線443a(443b)を流れる電流量を大きくすることができる。その結果、可動部420の駆動力を増大させることができる。
【0080】
(19)平面的に見て、平面コイル441(442)の第2部分441c(442c)および441d(442d)の一部を第1側壁部410bに重なるように配置した。これによって、可動部420に矢印Y1およびY2方向の力が作用する領域を小さくすることができるので、可動部420が矢印X1およびX2方向に直線移動する際に、矢印Y1およびY2方向の力に起因して直線状の移動経路からずれるのを抑制することができる。その結果、リニアモータ400を安定して動作させることができる。また、第2部分441c、441d(442c、442d)の一部が枠体410の第1側壁部410bに重なる分、可動部420を移動するための電磁力の発生に寄与する第1部分441a、441b(442a、442b)の長さをより大きくすることができるので、可動部420の駆動力を増大させることができる。
【0081】
(20)N極面421aと対向する平面コイル441(442)の第1部分441a(442a)に流れる電流の方向と、S極面422aと対向する平面コイル441(442)の第1部分441b(442b)に流れる電流の方向とは、略反対の方向である。これによって、N極面421aと対向する平面コイル441(442)の第1部分441a(442a)と、S極面422aと対向する平面コイル441(442)の第1部分441b(442b)とには、同じ方向の力が働くので、容易に可動部420を駆動することができる。
【0082】
なお、第3実施形態のリニアモータ400は、第1実施形態のリニアモータ100の代わりに、第2実施形態における携帯電話200に搭載してもよい。この場合、薄型で漏れ磁束の少ない携帯電話を実現することができる。
【0083】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0084】
たとえば、第1、3実施形態では、平面的に見て、第2部分41b、42bおよび441c(441d)の一部を、それぞれ、枠体10、410の第1側壁部10b、410bに重なるように配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2部分41b、42bおよび441c(441d)の全てを枠体10、410の第1側壁部10b、410bと重なるように設けてもよい。
【0085】
また、第1実施形態では、可動部の一例として、平面的に見て円板形状の可動部20を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図17および図18に示すように、平面的に見て、円板形状の両端が切り落とされたような形状の可動部320を用いてもよいし、楕円形状の可動部を用いてもよい。また、このように構成することで、可動部20が同程度の円板形状である場合に比べて、その移動方向に変位できる量、すなわち移動量が増加するので、可動部20の振動量を増加させることができる。
【0086】
また、第1、3実施形態では、弾性部材の一例として2つの板バネ30、430により可動部20、420を移動可能に支持する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、コイルバネまたはゴム部材などの板バネ以外の弾性部材であってもよい。また、3つ以上の板バネ30、430により可動部20、420を支持してもよい。
【0087】
また、第1実施形態では、プリント基板40に平面コイル41、42を配置するとともにプリント基板50に平面コイル51、52を配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、プリント基板40および50のいずれか一方の基板のみに平面コイルを配置してもよい。
【0088】
また、第1実施形態では、可動部20の表面全体を覆うように磁性流体を配置した構成としてもよい。この場合、磁性流体の潤滑作用によって、可動部20と枠体10およびプリント基板40(50)との間の摩擦を低減することができるので、可動部20をスムーズに移動させることができるとともに、摩擦抵抗による熱や音の発生を軽減することができる。なお、磁性流体は、たとえば、ナノメートルオーダーの鉄などの強磁性材料と、油などの溶媒とを混合することにより形成されている。
【0089】
たとえば、第3実施形態では、可動部の一例として、平面的に見て角部が面取りされた矩形状の可動部420を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、面取りされていない矩形状の可動部を用いてもよい。また、可動部420をたとえば円形形状など矩形状以
外の形状にしてもよい。
【0090】
また、第3実施形態では、可動部420を、N極面421a、S極面422a、S極面421bおよびN極面422bにより構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、可動部420をN極面421aおよびS極面422aのみから構成し、S極面421bおよびN極面422bは設けないようにしてもよい。つまり、平面コイル441および442に対向する面に沿って、互いに異なる磁性に着磁された磁極面が設けられていればよい。
【0091】
また、第3実施形態では、可動部420を第1磁石421と第2磁石422とを隣接させるように設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、第1磁石421と第2磁石422との間に、たとえば、タングステンなどの錘を配置してもよい。この場合、錘を配置した分、可動部420をより安定して動作させることができる。また、このとき、可動部420の容積を変えずに錘を配置することにより、錘を配置していない場合に比べて同じ容積のまま可動部420の重量を増加させることができる。これにより、可動部420の振動量を容易に増加させることができる。
【0092】
また、第3実施形態では、ヨーク460aを、可動部420のS極面421bおよびN極面422bの表面上に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、ヨーク460aを、S極面421bおよびN極面422bの表面から側面の部分にまで延びるように配置してもよい。この場合、可動部420の側面方向(図12の矢印X1およびX2方向)の磁束漏れを確実に抑制することができる。
【0093】
また、第3実施形態では、平面コイル441および442が配置されたプリント基板440を可動部420の一方の表面側にのみ配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、可動部420の両側の表面にそれぞれ配置してもよい。これにより、可動部420の両側から駆動されるので、可動部420の駆動力を向上させることができる。その結果、可動部420の応答時間(可動部420が所定の振動量に達するまでの時間)を短縮させることができる。なお、プリント基板440を可動部420の両側の表面に配置する場合には、可動部420にヨーク460aを取りつけず、その代わりにヨーク460bを装置本体の両側に設けることにより、リニアモータ400からの外部への磁束漏れを抑制することが好ましい。
【0094】
また、第3実施形態では、一対の板バネ430の支持部430cにより可動部420を挟むように支持する例を示したが、本発明はこれに限らず、板バネ430の支持部430cと可動部420との接触部分を接着してもよい。なお、可動部420が円形に近い形状であるほど接着した方が好ましい。
【0095】
また、第3実施形態では、可動部420を直接板バネ430により支持する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、可動部420の表面に磁性流体を配置した状態で板バネ430により支持してもよい。この場合、磁性流体を配置した分、可動部420と第1側壁部410bとの間の摩擦力、および、可動部420と底板450との間の摩擦力がそれぞれ低減されるので、可動部420の応答時間を短縮することができる。
【0096】
また、第3実施形態では、平面的に見て、平面コイル441の第2部分441c(441d)の全てのピッチL2が、第1部分441a(441b)のピッチL1よりも小さくなるように形成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、第2部分441c(441d)の一部分のピッチL2を第1部分441a(441b)のピッチL1よりも小さくなるように形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施形態によるリニアモータの構造を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態によるリニアモータの構造を説明するための平面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態によるリニアモータの平面コイルの第1層を示した平面図である。
【図4】図3の500−500線に沿った断面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態によるリニアモータの平面コイルの第2層を示した平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるリニアモータの動作を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるリニアモータの動作を説明するための断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による携帯機器の構造を示した平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態による携帯機器の構造を示した断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態によるリニアモータの構造を示した斜視図である。
【図11】第3実施形態によるリニアモータの平面図である。
【図12】第3実施形態によるリニアモータの断面図である。
【図13】第3実施形態によるリニアモータの平面コイルの第1層を示した平面図である。
【図14】第3実施形態によるリニアモータの平面コイルの第2層を示した平面図である。
【図15】第3実施形態によるリニアモータの動作を説明するための断面図である。
【図16】第3実施形態によるリニアモータの動作を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第1実施形態の変形例を説明するための平面図である。
【図18】本発明の第1実施形態の変形例を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0098】
10、410 枠体(筐体)
20、420 可動部
40、440 プリント基板(筐体)
41、42、441、442 平面コイル(コイル)
50 プリント基板(筐体)
51、52 平面コイル(コイル)
100、400 リニアモータ
200 携帯電話(携帯機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられた渦巻状のコイルと、
前記渦巻状のコイルと対向する磁極面を有し、前記渦巻状のコイルの表面に沿った方向に移動可能に設けられる可動部とを備え、
前記可動部は、前記筐体の内部に移動可能なように配置され、
前記渦巻状のコイルは、平面的に見て、前記筐体の側壁部に前記渦巻状のコイルの一部が重なるように配置されている、リニアモータ。
【請求項2】
前記筐体の側壁部は、前記可動部の移動方向に略直交する方向に沿って延びる第1側壁部を含み、
前記渦巻状のコイルは、平面的に見て、前記第1側壁部と前記渦巻状のコイルの一部とが重なるように配置されている、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記第1側壁部は、前記可動部の移動方向の両端部分にそれぞれ設けられ、
前記渦巻状のコイルは、平面的に見て、前記可動部の移動方向に略直交する方向のうちの一方の方向に電流が流れる部分と他方の方向に電流が流れる部分とを含み、
前記第1側壁部は、平面的に見て、それぞれ、前記渦巻状のコイルのうち、一方の方向または他方の方向に電流が流れる部分の少なくとも一部に重なるように配置されている、請求項2に記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記筐体の側壁部は、前記可動部の移動方向に沿って延びる第2側壁部を含み、
平面的に見て、前記第2側壁部と前記渦巻状のコイルの一部とが重なるように配置されている、請求項2または3に記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記可動部は、単一のコイル上を移動することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリニアモータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のリニアモータを備えた、携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−104894(P2010−104894A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278621(P2008−278621)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】