説明

リニア位置センサ

【課題】従来のリニア位置センサは、複雑な構造が必要となり、信頼性が低くなっている。
【解決手段】本発明によるリニア位置センサでは、スケール方向3に沿う第1位置26での第1スケール内ギャップ24の幅と第2スケール内ギャップ25の幅との組み合わせが、スケール方向3に沿う第2位置27での第1スケール内ギャップ24の幅と第2スケール内ギャップ25の幅との組み合わせと異なるように第1〜第3スケール部材21〜23が配置されており、演算部31が、第1検出コイル15からの信号15aと第2検出コイル16からの信号16aとに基づいて、スケール方向3に沿う検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置を検出する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア位置センサに関し、特に、スケール方向に沿う第1位置での第1スケール内ギャップの幅と第2スケール内ギャップの幅との組み合わせが、スケール方向に沿う第2位置での第1スケール内ギャップの幅と第2スケール内ギャップの幅との組み合わせと異なるように第1〜第3スケール部材が設けられるように構成することで、検出ステータとスケール体との間のギャップが広くとることができ、適用範囲を広くできるようにするための新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種のリニア位置センサとしては、例えば下記の特許文献1等に記載された構成が挙げられる。このような構成のセンサでは、検出ステータとスケール体との間のギャップ長の変化が位置検出信号として利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−314606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のリニア位置センサでは、検出ステータとスケール体との間のギャップ長の変化を位置検出信号として利用しているので、検出ステータとスケール体との間のギャップを広くするとギャップ長の変化による位置検出信号が小さくなってしまう。このため、検出ステータとスケール体との間のギャップが広くとることができず、適用対象の制限の原因となっている。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、検出ステータとスケール体との間のギャップを広くでき、適用範囲を広くできるリニア位置センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るリニア位置センサは、検出ステータとスケール体とがギャップを介して互いに対向して配置され、前記検出ステータとスケール体とのスケール方向に沿う相対的な位置が検出されるリニア位置センサであって、前記検出ステータに設けられたステータコアと、前記スケール方向に直交する幅方向に沿って前記第1突部が間に位置されるように互いに離間して前記ステータコアに設けられた第2及び第3突部と、前記第1突部に巻回された励磁コイルと、前記第2突部に巻回された第1検出コイルと、前記第3突部に巻回された第2検出コイルと、前記スケール体に設けられ、前記第1〜第3突部にそれぞれ対向するように前記幅方向に沿って互いに離間されて配置された第1〜第3スケール部材と、前記第1スケール部材と前記第2スケール部材との間に設けられた第1スケール内ギャップと、前記第1スケール部材と前記第3スケール部材との間に設けられた第2スケール内ギャップと、前記第1及び第2検出コイルに接続された演算部とを備え、前記第1〜第3スケール部材は、前記スケール方向に沿う第1位置での前記第1スケール内ギャップの幅と前記第2スケール内ギャップの幅との組み合わせが、前記スケール方向に沿う第2位置での前記第1スケール内ギャップの幅と前記第2スケール内ギャップの幅との組み合わせと異なるように設けられており、前記演算部は、前記第1検出コイルからの信号と前記第2検出コイルからの信号とに基づいて、前記スケール方向に沿う前記検出ステータと前記スケール体との相対的な位置を検出する。
【0007】
また、前記第1〜第3スケール部材は、前記スケール方向に沿う前記スケール体の一端から他端に向かうにつれて前記第1及び第2スケール内ギャップのいずれか一方が狭くなるとともに他方が広くなるように設けられている。
【0008】
また、前記第1突部に巻回された第1及び第2オフセット調節コイルをさらに備え、前記演算部は、前記第1検出コイルからの信号と前記第1オフセット調節コイルからの信号との差、及び前記第2検出コイルからの信号と前記第2オフセット調節コイルからの信号との差に基づいて、前記スケール方向に沿う前記検出ステータと前記スケール体との相対的な位置を検出する。
【0009】
また、前記励磁コイル、前記第1オフセット調節コイル、及び前記第2オフセット調節コイルが巻回された第1ボビンと、前記第1検出コイルが巻回された第2ボビンと、前記第2検出コイルが巻回された第3ボビンとをさらに備え、前記励磁コイル、前記第1オフセット調節コイル、前記第2オフセット調節コイル、前記第1検出コイル、及び前記第2検出コイルは、前記第1〜第3ボビンが前記第1〜第3突部に挿入されることで、前記第1〜第3ボビンを介して前記第1〜第3突部に巻回される。
また、前記励磁コイル、前記第1オフセット調節コイル、及び前記第2オフセット調節コイルは、前記第1ボビンの径方向に沿って互いに重ねられて前記第1ボビンに巻回されている。
また、前記第1ボビンには、互いに別体に設けられるとともに、前記第1突部の長手方向に沿って互いに重ねて配置された励磁コイル用ボビン部、第1調節コイル用ボビン部、及び第2調節コイル用ボビン部が含まれており、前記励磁コイル、前記第1オフセット調節コイル、及び前記第2オフセット調節コイルは、前記励磁コイル用ボビン部、前記第1調節コイル用ボビン部、及び前記第2調節コイル用ボビン部に巻回されることで、前記長手方向に沿って積層配置されている。
また、前記第1ボビンには、互いに一体に設けられるとともに、前記第1突部の長手方向に沿って互いに重ねて配置された励磁コイル用ボビン部、第1調節コイル用ボビン部、及び第2調節コイル用ボビン部が含まれており、前記励磁コイル、前記第1オフセット調節コイル、及び前記第2オフセット調節コイルは、前記励磁コイル用ボビン部、前記第1調節コイル用ボビン部、及び前記第2調節コイル用ボビン部に巻回されることで、前記長手方向に沿って積層配置されている。
また、前記第1ボビンには、互いに一体に設けられるとともに、前記第1突部の長手方向に沿って互いに重ねて配置された励磁コイル用ボビン部と調節コイル用ボビン部とが含まれており、前記励磁コイルは、前記励磁コイル用ボビン部に巻回され、前記第1及び第2オフセット調節コイルは、前記調節コイル用ボビン部の径方向に沿って互いに重ねられて前記調節コイル用ボビン部に巻回されている。
【0010】
また、前記励磁コイルが巻回された第1ボビンと、前記第1検出コイルが巻回された第2ボビンと、前記第2検出コイルが巻回された第3ボビンとをさらに備え、前記励磁コイル、前記第1検出コイル、及び前記第2検出コイルは、前記第1〜第3ボビンが前記第1〜第3突部に挿入されることで、前記第1〜第3ボビンを介して前記第1〜第3突部に巻回されている。
また、前記第1〜第3スケール部材は、鋼板、珪素鋼板、又はパーマロイからなる薄板が前記スケール方向に沿って積層されることにより作成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリニア位置センサによれば、スケール方向に沿う第1位置での第1スケール内ギャップの幅と第2スケール内ギャップの幅との組み合わせが、スケール方向に沿う第2位置での第1スケール内ギャップの幅と第2スケール内ギャップの幅との組み合わせと異なるように第1〜第3スケール部材が配置されるので、第1検出コイルからの信号と第2検出コイルからの信号とに基づいて、スケール方向に沿う検出ステータとスケール体との相対的な位置を検出することができる。すなわち、検出ステータとスケール体との間のギャップに拘わらず検出ステータとスケール体との相対的な位置を検出できるので、検出ステータとスケール体との間のギャップを広くでき、適用範囲を広くできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1によるリニア位置センサを示す斜視図である。
【図2】図1のステータコアの断面図である。
【図3】図1の第1及び第2スケール内ギャップを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2によるリニア位置センサの要部の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3によるリニア位置センサの要部の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4によるリニア位置センサの要部の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態5によるリニア位置センサの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるリニア位置センサを示す斜視図であり、図2は図1のステータコアの断面図であり、図3は図1の第1及び第2スケール内ギャップを示す斜視図である。図1において、リニア位置センサには、ギャップ5を介して互いに対向して配置された検出ステータ1とスケール体2とが設けられている。これら検出ステータ1とスケール体2は、スケール方向3に沿って相対的に変位可能に設けられている。すなわち、検出ステータ1及びスケール体2のいずれか一方に直線的な変位の検出が必要とされる被検出体(図示せず)が接続され、この被検出体に接続された一方が他方に対して変位されるように構成されている。
【0014】
検出ステータ1は、E字形状の複数の磁性板部材(珪素鋼板)が積層されることで形成されたステータコア10(E型コア)を有している。なお、ステータコア10は、パーマロイ又は圧粉鉄心によって作成されてもよい。このステータコア10には第1〜第3突部11〜13が設けられており、第1突部11は、スケール方向3に直交する幅方向4に沿うステータコア10の中央位置に配置され、第2及び第3突部12,13は、幅方向4に沿って第1突部11が間に位置されるように互いに離間して配置されている。すなわち、第2及び第3突部12,13は、第1突部11の両側に分けて配置されている。
【0015】
第1突部11には励磁コイル14が巻回され、第2突部12には第1検出コイル15が巻回され、第3突部13には第2検出コイル16が巻回されている。具体的には、図2に示すように、励磁コイル14、第1検出コイル15、及び第2検出コイル16は、第1〜第3ボビン110〜130を介して第1〜第3突部11〜13に巻回されている。第1〜第3ボビン110〜130は、各コイル14〜16が予め巻回された状態で第1〜第3突部11〜13に挿入されている。
【0016】
図1に戻り、スケール体2には、スケール方向3に沿って延在された磁性板部材からなる第1〜第3スケール部材21〜23が設けられている。詳細に説明すると、第1〜第3スケール部材21〜23は、鋼板、珪素鋼板、又はパーマロイからなる薄板がスケール方向3に沿って積層されることにより作成されている。これら第1〜第3スケール部材21〜23は、第1〜第3突部11〜13にそれぞれ対向するように幅方向4に沿って互いに離間されて配置されている。具体的には、第1スケール部材21は第1突部11に対向するように配置され、第2及び第3スケール部材22,23は第2及び第3突部12,13にそれぞれ対向するように第1スケール部材21の側方に配置されている。
【0017】
第1スケール部材21と第2スケール部材22との間には、第1スケール内ギャップ24が形成され、第1スケール部材21と第3スケール部材23との間には、第2スケール内ギャップ25が形成されている。なお、この実施の形態では、第1及び第2スケール内ギャップ24,25はエアギャップである。
【0018】
図3に示すように、第1〜第3スケール部材21〜23は、スケール方向3に沿う第1位置26(任意位置)での第1スケール内ギャップ24の幅と第2スケール内ギャップ25の幅との組み合わせが、スケール方向3に沿う第2位置27(他の任意位置)での第1スケール内ギャップ24の幅と第2スケール内ギャップ25の幅との組み合わせと異なるように設けられている。具体的には、第1〜第3スケール部材21〜23は、スケール方向3に沿うスケール体2の一端2aから他端2bに向かうにつれて第1及び第2スケール内ギャップ24,25のいずれか一方(第1スケール内ギャップ24)が狭くなるとともに他方(第2スケール内ギャップ25)が広くなるように配置されている。
【0019】
図1に戻り、励磁コイル14には励磁回路30が接続されており、第1及び第2検出コイル15,16には演算部31が接続されている。励磁回路30は、励磁コイル14に励磁電流30aを入力して、励磁コイル14から磁束を発生させるものである。励磁コイル14からの磁束は、第1スケール部材21、第1スケール内ギャップ24、及び第2スケール部材22を含む磁路を通って第1検出コイル15を通過するとともに、第1スケール部材21、第2スケール内ギャップ25、及び第3スケール部材23を含む磁路を通って第2検出コイル16を通過する。なお、第1〜第3スケール部材21〜23が、鋼板、珪素鋼板、又はパーマロイからなる薄板がスケール方向3に沿って積層されることにより作成されているので、励磁コイル14からの磁束がスケール方向3に沿って流れることが妨げられている。
【0020】
ここで、第1及び第2スケール内ギャップ24,25の幅は、第1及び第2検出コイル15,16を通過する磁束の大きさに大きく影響を与える。すなわち、上記のように第1及び第2スケール内ギャップ24,25が形成されるように第1〜第3スケール部材21〜23が設けられることで、スケール方向3に沿う任意位置における第1検出コイル15からの信号15aと第2検出コイル16からの信号16aとの組み合わせが、他の任意位置における組み合わせと異なるように構成されている。
【0021】
演算部31は、第1検出コイル15からの信号15aと第2検出コイル16からの信号16aとに基づいて、スケール方向3に沿う検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置を検出する。具体的には、第1検出コイル15からの信号15aの電圧値をVaとし、第2検出コイル16からの信号16aの電圧値をVbとした場合、演算部31は、(Va−Vb)/(Va+Vb)の比の演算を行うことで検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置を検出する。
【0022】
このようなリニア位置センサでは、スケール方向3に沿う第1位置26での第1スケール内ギャップ24の幅と第2スケール内ギャップ25の幅との組み合わせが、スケール方向3に沿う第2位置27での第1スケール内ギャップ24の幅と第2スケール内ギャップ25の幅との組み合わせと異なるように第1〜第3スケール部材21〜23が配置されるので、第1検出コイル15からの信号15aと第2検出コイル16からの信号16aとに基づいて、スケール方向3に沿う検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置を検出することができる。すなわち、検出ステータ1とスケール体2との間のギャップ5に拘わらず検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置を検出できるので、検出ステータとスケール体との間のギャップを広くでき、適用範囲を広くできる。また、従来のギャップ長変動タイプ、もしくは歯付スケールタイプと比べて、コイル数を少なくでき、スケール体2の構成も単純にできる。
【0023】
また、スケール方向3に沿うスケール体2の一端2aから他端2bに向かうにつれて第1及び第2スケール内ギャップ24,25のいずれか一方が狭くなるとともに他方が広くなるように第1〜第3スケール部材21〜23が配置されているので、第1及び第2スケール内ギャップ24,25の幅の組み合わせをより確実に異なるようにすることができ、より確実に信頼性を向上できる。また、検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置に拘わらず第1及び第2検出コイル15,16からの信号15a,16aの合計値を一定にでき、ギャップ5の変動により強い耐性を得ることができる。
【0024】
さらに、励磁コイル14、第1検出コイル15、及び第2検出コイル16は、第1〜第3ボビン110〜130が第1〜第3突部11〜13に挿入されることで、第1〜第3ボビン110〜130を介して第1〜第3突部11〜13に巻回されているので、予め各コイル14〜16が巻回された各ボビン110〜130を各突部11〜13に挿入することで各コイル14〜16の各突部11〜13への巻回を完了でき、製造工程を簡略化できる。
【0025】
さらにまた、第1〜第3スケール部材21〜23は、鋼板、珪素鋼板、又はパーマロイからなる薄板がスケール方向3に沿って積層されることにより作成されているので、励磁コイル14からの磁束がスケール方向3に沿って流れることを妨げることができ、検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置の検出精度を向上できる。
【0026】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2によるリニア位置センサの要部の断面図である。実施の形態1では、第1突部11に励磁コイル14のみが巻回される構成を説明したが、この実施の形態2の構成では、図4に示すように、第1突部11には、励磁コイル14、第1オフセット調節コイル17、及び第2オフセット調節コイル18が、第1ボビン110を介して第1突部11に巻回されている。具体的には、励磁コイル14が第1ボビン110に直接巻回され、第1オフセット調節コイル17が第1ボビン110の径方向110aに沿って励磁コイル14に重ねて巻回され、第2オフセット調節コイル18が径方向110aに沿って第1オフセット調節コイル17に重ねて巻回されている。第1及び第2オフセット調節コイル17,18は、第1及び第2スケール内ギャップ24,25の幅の変動に拘わらず、励磁コイル14から磁束によって発生する一定の起電力を検出するものである。
【0027】
演算部31は、第1検出コイル15からの信号15aと第1オフセット調節コイル17からの信号17aとの差(第1差分と呼ぶ)を求める。この第1差分は、該第1差分が求められた時点での検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置における第1スケール内ギャップ24の幅を直接的に示す値となる。同様に、演算部31は、第1検出コイル15からの信号15aと第2オフセット調節コイル17からの信号17aとの差(第2差分と呼ぶ)を求める。この第2差分は、該第2差分が求められた時点での検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置における第2スケール内ギャップ25の幅を直接的に示す値となる。
【0028】
また、演算部31は、上述した第1差分と第2差分とを増幅するとともに、これら第1差分と第2差分とに基づいて、スケール方向3に沿う検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置を検出する。具体的には、第1及び第2検出コイル15,16からの信号15a,16aの電圧値をVa,Vbとし、第1及び第2オフセット調節コイル17,18からの信号17a,18aの電圧値をVo1,Vo2とした場合、演算部31は、第1差分をVa’=Va−Vo1として求めるとともに、第2差分をVb’=Vb−Vo2として求め、(Va’−Vb’)/(Va’+Vb’)の比の演算を行うことで検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置を検出する。上記のようにVo1,Vo2がVa,Vbから減算されることで、比(Va’−Vb’)/(Va’+Vb’)をより大きくでき、相対的な位置の検出精度を向上できる。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0029】
このようなリニア位置センサでは、演算部31は、第1検出コイル15からの信号15aと第1オフセット調節コイル17からの信号17aとの差、及び第2検出コイル16からの信号16aと第2オフセット調節コイル18からの信号18aとの差に基づいて、スケール方向3に沿う検出ステータ1とスケール体2との相対的な位置を検出するので、検出ステータ1とスケール体2との相対的な変位に伴う第1及び第2スケール内ギャップ24,25の幅の変動に起因する信号変化をより確実に得ることができ、信頼性をさらに向上できる。
【0030】
また、励磁コイル14、第1オフセット調節コイル17、第2オフセット調節コイル18、第1検出コイル15、及び第2検出コイル16は、第1〜第3ボビン110〜130が第1〜第3突部11〜13に挿入されることで、第1〜第3ボビン110〜130を介して第1〜第3突部11〜13に巻回されるので、予め各コイル14〜18が巻回された各ボビン110〜130を各突部11〜13に挿入することで各コイル14〜18の各突部11〜13への巻回を完了でき、製造工程を簡略化できる。
【0031】
さらに、励磁コイル14、第1オフセット調節コイル17、及び第2オフセット調節コイル18は、第1ボビン110の径方向110aに沿って互いに重ねられて第1ボビン110に巻回されているので、第1ボビン110の形状を簡略化でき、製造コストを低減できる。
【0032】
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3によるリニア位置センサの要部の断面図である。実施の形態2では、励磁コイル14、第1オフセット調節コイル17、及び第2オフセット調節コイル18が径方向110aに沿って互いに重ねられて配置されている形態を説明したが、この実施の形態3のリニア位置センサでは、励磁コイル14、第1オフセット調節コイル17、及び第2オフセット調節コイル18が第1突部11の長手方向11aに沿って積層配置されている。
【0033】
具体的に説明すると、この実施の形態3の第1ボビン110には、励磁コイル用ボビン部111、第1調節コイル用ボビン部112、及び第2調節コイル用ボビン部113が設けられている。これら励磁コイル用ボビン部111、第1調節コイル用ボビン部112、及び第2調節コイル用ボビン部113は、互いに別体に設けられており、第1突部の長手方向11aに沿って互いに重ねて配置されている。励磁コイル14、第1オフセット調節コイル17、及び第2オフセット調節コイル18は、互いに別体に設けられたこれらの励磁コイル用ボビン部111、第1調節コイル用ボビン部112、及び第2調節コイル用ボビン部113に巻回されることで、長手方向11aに沿って積層配置されている。その他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0034】
このようなリニア位置センサでは、励磁コイル14、第1オフセット調節コイル17、及び第2オフセット調節コイル18は、互いに別体に設けられたこれらの励磁コイル用ボビン部111、第1調節コイル用ボビン部112、及び第2調節コイル用ボビン部113に巻回されるので、コイル14,17,18のいずれかに製造時に断線が生じていたとしても断線が生じたコイル14,17,18に対応するボビン111〜113のみを交換すればよく、廃棄される部品のコストを低減できる。
【0035】
実施の形態4.
図6は、本発明の実施の形態4によるリニア位置センサの要部の断面図である。実施の形態3では、励磁コイル用ボビン部111、第1調節コイル用ボビン部112、及び第2調節コイル用ボビン部113が互いに別体に設けられる構成を説明したが、図6に示すように、励磁コイル用ボビン部111、第1調節コイル用ボビン部112、及び第2調節コイル用ボビン部113を互いに別体に設けることもできる。その他の構成は、実施の形態3と同様である。
【0036】
このようなリニア位置センサでは、励磁コイル14、第1オフセット調節コイル17、及び第2オフセット調節コイル18は、互いに一体に設けられた励磁コイル用ボビン部111、第1調節コイル用ボビン部112、及び第2調節コイル用ボビン部113に巻回されるので、管理する部品点数を低減でき、管理コストを低減できる。
【0037】
実施の形態5.
図7は、本発明の実施の形態5によるリニア位置センサの要部の断面図である。実施の形態3,4では、第1オフセット調節コイル17及び第2オフセット調節コイル18が長手方向11aに沿って積層配置される構成を説明したが、図7に示すように、これら第1オフセット調節コイル17及び第2オフセット調節コイル18は、長手方向11aに直交する方向に積層配置されてもよい。
【0038】
具体的に説明すると、この実施の形態5の第1ボビン110には、励磁コイル用ボビン部111と調節コイル用ボビン部114とが設けられている。これら励磁コイル用ボビン部111と調節コイル用ボビン部114とは、互いに一体に設けられており、第1突部の長手方向11aに沿って互いに重ねて配置されている。励磁コイル14は励磁コイル用ボビン部111に巻回され、第1オフセット調節コイル17及び第2オフセット調節コイル18は、調節コイル用ボビン部114の径方向114aに沿って互いに重ねられて調節コイル用ボビン部114に巻回されている。その他の構成は、実施の形態3,4と同様である。
【0039】
このようなリニア位置センサでは、励磁コイル14は励磁コイル用ボビン部111に巻回され、第1オフセット調節コイル17及び第2オフセット調節コイル18は、調節コイル用ボビン部114の径方向114aに沿って互いに重ねられて調節コイル用ボビン部114に巻回されているので、実施の形態3,4の構成に比べて第1ボビン110の形状を簡素にでき、製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0040】
1 検出ステータ
2 スケール体
3 スケール方向
5 ギャップ
10 ステータコア
11〜13 第1〜第3突部
14 励磁コイル
15,16 第1及び第2検出コイル
17,18 第1及び第2オフセット調節コイル
21〜23 第1〜第3スケール部材
24,25 第1及び第2スケール内ギャップ
31 演算部
110 第1ボビン
111 励磁コイル用ボビン部
112,113 第1及び第2調節コイル用ボビン部
114 調節コイル用ボビン部
120 第2ボビン
130 第3ボビン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出ステータ(1)とスケール体(2)とがギャップ(5)を介して互いに対向して配置され、前記検出ステータ(1)とスケール体(2)とのスケール方向(3)に沿う相対的な位置が検出されるリニア位置センサであって、
前記検出ステータ(1)に設けられたステータコア(10)と、
前記ステータコア(10)に設けられた第1突部(11)と、
前記スケール方向(3)に直交する幅方向(4)に沿って前記第1突部(11)が間に位置されるように互いに離間して前記ステータコア(10)に設けられた第2及び第3突部(12,13)と、
前記第1突部(11)に巻回された励磁コイル(14)と、
前記第2突部(12)に巻回された第1検出コイル(15)と、
前記第3突部(13)に巻回された第2検出コイル(16)と、
前記スケール体(2)に設けられ、前記第1〜第3突部(11〜13)にそれぞれ対向するように前記幅方向(4)に沿って互いに離間されて配置された第1〜第3スケール部材(21〜23)と、
前記第1スケール部材(21)と前記第2スケール部材(22)との間に設けられた第1スケール内ギャップ(24)と、
前記第1スケール部材(21)と前記第3スケール部材(23)との間に設けられた第2スケール内ギャップ(25)と、
前記第1及び第2検出コイル(15,16)に接続された演算部(31)と
を備え、
前記第1〜第3スケール部材(21〜23)は、前記スケール方向(3)に沿う第1位置(26)での前記第1スケール内ギャップ(24)の幅と前記第2スケール内ギャップ(25)の幅との組み合わせが、前記スケール方向(3)に沿う第2位置(27)での前記第1スケール内ギャップ(24)の幅と前記第2スケール内ギャップ(25)の幅との組み合わせと異なるように設けられており、
前記演算部(31)は、前記第1検出コイル(15)からの信号(15a)と前記第2検出コイル(16)からの信号(16a)とに基づいて、前記スケール方向(3)に沿う前記検出ステータ(1)と前記スケール体(2)との相対的な位置を検出することを特徴とするリニア位置センサ。
【請求項2】
前記第1〜第3スケール部材(21〜23)は、前記スケール方向(3)に沿う前記スケール体(2)の一端(2a)から他端(2b)に向かうにつれて前記第1及び第2スケール内ギャップ(24,25)のいずれか一方が狭くなるとともに他方が広くなるように設けられていることを特徴とする請求項1記載のリニア位置センサ。
【請求項3】
前記第1突部(11)に巻回された第1及び第2オフセット調節コイル(17,18)をさらに備え、
前記演算部(31)は、前記第1検出コイル(15)からの信号(15a)と前記第1オフセット調節コイル(17)からの信号(17a)との差、及び前記第2検出コイル(16)からの信号(16a)と前記第2オフセット調節コイル(18)からの信号(18a)との差に基づいて、前記スケール方向(3)に沿う前記検出ステータ(1)と前記スケール体(2)との相対的な位置を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニア位置センサ。
【請求項4】
前記励磁コイル(14)、前記第1オフセット調節コイル(17)、及び前記第2オフセット調節コイル(18)が巻回された第1ボビン(110)と、
前記第1検出コイル(15)が巻回された第2ボビン(120)と、
前記第2検出コイル(16)が巻回された第3ボビン(130)と
をさらに備え、
前記励磁コイル(14)、前記第1オフセット調節コイル(17)、前記第2オフセット調節コイル(18)、前記第1検出コイル(15)、及び前記第2検出コイル(16)は、前記第1〜第3ボビン(110〜130)が前記第1〜第3突部(11〜13)に挿入されることで、前記第1〜第3ボビン(110〜130)を介して前記第1〜第3突部(11〜13)に巻回されることを特徴とする請求項3記載のリニア位置センサ。
【請求項5】
前記励磁コイル(14)、前記第1オフセット調節コイル(17)、及び前記第2オフセット調節コイル(18)は、前記第1ボビンの径方向に沿って互いに重ねられて前記第1ボビン(110)に巻回されている請求項4記載のリニア位置センサ。
【請求項6】
前記第1ボビン(110)には、互いに別体に設けられるとともに、前記第1突部(11)の長手方向(11a)に沿って互いに重ねて配置された励磁コイル用ボビン部(111)、第1調節コイル用ボビン部(112)、及び第2調節コイル用ボビン部(113)が含まれており、
前記励磁コイル(14)、前記第1オフセット調節コイル(17)、及び前記第2オフセット調節コイル(18)は、前記励磁コイル用ボビン部(111)、前記第1調節コイル用ボビン部(112)、及び前記第2調節コイル用ボビン部(113)に巻回されることで、前記長手方向(11a)に沿って積層配置されていることを特徴とする請求項4記載のリニア位置センサ。
【請求項7】
前記第1ボビン(110)には、互いに一体に設けられるとともに、前記第1突部(11)の長手方向(11a)に沿って互いに重ねて配置された励磁コイル用ボビン部(111)、第1調節コイル用ボビン部(112)、及び第2調節コイル用ボビン部(113)が含まれており、
前記励磁コイル(14)、前記第1オフセット調節コイル(17)、及び前記第2オフセット調節コイル(18)は、前記励磁コイル用ボビン部(111)、前記第1調節コイル用ボビン部(112)、及び前記第2調節コイル用ボビン部(113)に巻回されることで、前記長手方向(11a)に沿って積層配置されていることを特徴とする請求項4記載のリニア位置センサ。
【請求項8】
前記第1ボビン(110)には、互いに一体に設けられるとともに、前記第1突部(11)の長手方向(11a)に沿って互いに重ねて配置された励磁コイル用ボビン部(111)と調節コイル用ボビン部(114)とが含まれており、
前記励磁コイル(14)は、前記励磁コイル用ボビン部(111)に巻回され、
前記第1及び第2オフセット調節コイル(17,18)は、前記調節コイル用ボビン部(114)の径方向(114a)に沿って互いに重ねられて前記調節コイル用ボビン部(114)に巻回されていることを特徴とする請求項4記載のリニア位置センサ。
【請求項9】
前記励磁コイル(14)が巻回された第1ボビン(110)と、
前記第1検出コイル(15)が巻回された第2ボビン(120)と、
前記第2検出コイル(16)が巻回された第3ボビン(130)と
をさらに備え、
前記励磁コイル(14)、前記第1検出コイル(15)、及び前記第2検出コイル(16)は、前記第1〜第3ボビン(110〜130)が前記第1〜第3突部(11〜13)に挿入されることで、前記第1〜第3ボビン(110〜130)を介して前記第1〜第3突部(11〜13)に巻回されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニア位置センサ。
【請求項10】
前記第1〜第3スケール部材(21〜23)は、鋼板、珪素鋼板、又はパーマロイからなる薄板が前記スケール方向に沿って積層されることにより作成されていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のリニア位置センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−141197(P2011−141197A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1927(P2010−1927)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】