説明

リフタ装置

【課題】リフタ装置全体の寸法を小さくして省スペース化を図るとともに、機械エリアのフィルタを不要として保守、メンテナンス部品を減らすことができるリフタ装置を提供すること。
【解決手段】クリーンブース2に、搬送物を載置して昇降する昇降体4と、昇降体4を昇降可能に支持する昇降マスト5と、昇降マスト5を介して昇降体4を昇降させる駆動装置6とを配設するとともに、昇降体4が昇降するリフタエリア7から、昇降マスト5及び駆動装置6を設置した機械エリア8を区画し、リフタエリア7にダウンフローを導入するようにしたリフタ装置において、リターンダクト3の隔壁9で機械エリア8の一部を区画形成するとともに、隔壁9に、機械エリア8を通過した空気をリターンダクト3に排出する開口部10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム等に設置されるリフタ装置に関し、特に、リフタ装置全体の寸法を小さくして省スペース化を図るとともに、機械エリアのフィルタを不要として保守、メンテナンス部品を減らすことができるリフタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ガラス基板や半導体ウエハが大形化するに伴って、無人搬送台車や製造装置が設置されるクリーンルームの面積が大きくなり、このため、工場の建屋を複数階建て以上とする場合がある。
この場合、液晶ガラス基板や半導体ウエハを収容したカセットを、各階間で搬送するために、複数階の間を昇降するリフタ装置を設けるようにしている。
【0003】
リフタ装置は、図2に示すように、上部にファンフィルタユニット(FFU)1を備えたダウンフローのクリーンブース2と、該クリーンブース2を通過した空気をファンフィルタユニット1の上流側に戻すリターンダクト3とを備え、前記クリーンブース2に、搬送物を載置して昇降する昇降体4と、該昇降体4を昇降可能に支持する昇降マスト5と、該昇降マスト5を介して昇降体4を昇降させる駆動装置6とを配設している。
そして、昇降体が昇降するリフタエリア7から、昇降マスト及び駆動装置を設置した機械エリア8を切り分けるように区画し、リフタエリア7にダウンフローを導入するようにしている。
【0004】
すなわち、上記従来のリフタ装置では、昇降マスト5に摺動部があるため、昇降マスト5や駆動装置6の機械エリア8を有底のカバー83で覆い、カバー83の排気部にファンフィルタユニット(FFU)1aを付けてリフタエリア7をクリーンに保っているが、カバー83を周囲から独立して形成しているため、排気部にフィルタが必要になるとともに、カバー83とリターンダクト3の隔壁が別々に必要になり、そのためのスペースSを要するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のリフタ装置が有する問題点に鑑み、リフタ装置全体の寸法を小さくして省スペース化を図るとともに、機械エリアのフィルタを不要として保守、メンテナンス部品を減らすことができるリフタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のリフタ装置は、上部にフィルタを備えたダウンフローのクリーンブースと、該クリーンブースを通過した空気をフィルタの上流側に戻すリターンダクトとを備え、前記クリーンブースに、搬送物を載置して昇降する昇降体と、該昇降体を昇降可能に支持する昇降マストと、該昇降マストを介して昇降体を昇降させる駆動装置とを配設するとともに、昇降体が昇降するリフタエリアから、昇降マスト及び駆動装置を設置した機械エリアを区画し、リフタエリアにダウンフローを導入するようにしたリフタ装置において、リターンダクトの隔壁で機械エリアの一部を区画形成するとともに、該隔壁に、機械エリアを通過した空気をリターンダクトに排出する開口部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のリフタ装置によれば、上部にフィルタを備えたダウンフローのクリーンブースと、該クリーンブースを通過した空気をフィルタの上流側に戻すリターンダクトとを備え、前記クリーンブースに、搬送物を載置して昇降する昇降体と、該昇降体を昇降可能に支持する昇降マストと、該昇降マストを介して昇降体を昇降させる駆動装置とを配設するとともに、昇降体が昇降するリフタエリアから、昇降マスト及び駆動装置を設置した機械エリアを区画し、リフタエリアにダウンフローを導入するようにしたリフタ装置において、リターンダクトの隔壁で機械エリアの一部を区画形成するとともに、該隔壁に、機械エリアを通過した空気をリターンダクトに排出する開口部を設けることから、機械エリアの隔壁の一部を省略し、空調も含めたリフタ装置全体の寸法を小さくして省スペース化を図るとともに、機械エリアを通過した空気をリターンダクトに直接排気することにより、機械エリアにファンフィルタユニットを設けなくてもリフタエリアをクリーンに保つことができ、これにより、低コスト化を図り、かつフィルタを不要として保守、メンテナンス部品を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のリフタ装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
図1に、本発明のリフタ装置の一実施例を示す。
このリフタ装置は、上部にファンフィルタユニット1を備えたダウンフローのクリーンブース2と、該クリーンブース2を通過した空気をファンフィルタユニット1の上流側に戻すリターンダクト3とを備え、前記クリーンブース2に、搬送物を載置して昇降する昇降体4と、該昇降体4を昇降可能に支持する昇降マスト5と、該昇降マスト5を介して昇降体4を昇降させる駆動装置6とを配設するとともに、昇降体4が昇降するリフタエリア7から、昇降マスト5及び駆動装置6を設置した機械エリア8を区画し、リフタエリア7にダウンフローを導入するようにしている。
そして、このリフタ装置は、リターンダクト3の隔壁9で機械エリア8の一部を区画形成するとともに、該隔壁9に、機械エリア8を通過した空気をリターンダクト3に排出する開口部10を設けている。
【0010】
クリーンブース2は、外壁により外部から区画されるとともに、上部に配設した複数のファンフィルタユニット1により清浄空気のダウンフローを発生させる。
発生したダウンフローは、クリーンブース2の底部から、後方に設置されたリターンダクト3を通って、ファンフィルタユニット1の上流側へと循環する。
【0011】
クリーンブース2には、搬送物を昇降する昇降体4と、該昇降体4をバランスウェイト41とともに昇降可能に支持する昇降マスト5と、該昇降マスト5を介して昇降体4を昇降させる駆動装置6とが配設されている。
このうち、昇降マスト5には摺動部があり、パーティクルが発生するため、この昇降マスト5及び駆動装置6を設置した機械エリア8をリフタエリア7から切り分けるように区画し、リフタエリア7にダウンフローを導入するようにしている。
【0012】
機械エリア8は、上部が開口する有底のカバー82によって区画されており、後部隔壁81がリターンダクト3の隔壁9の一部と兼用して形成されている。
後部隔壁81には、リフタエリア7からカバー82の隙間を通って機械エリア8に流入した空気をリターンダクト3に排出する複数の開口部10が上下に間隔をあけて設けられている。
開口部10は、本実施例では、下の位置ほど大きく開口することによって、流量をコントロールしているが、ファンやガラリを取り付けることによって流量調整することもできる。
昇降マスト5で発生するパーティクルは、この後部隔壁81の開口部10から直接リターンダクト3に排出され、リフタエリア7を通過した空気とともに、クリーンブース2上部のファンフィルタユニット1によって濾過される。
パーティクルが濾過された空気は、清浄空気のダウンフローとしてリフタエリア7に供給される。
【0013】
かくして、本実施例のリフタ装置は、上部にファンフィルタユニット1を備えたダウンフローのクリーンブース2と、該クリーンブース2を通過した空気をファンフィルタユニット1の上流側に戻すリターンダクト3とを備え、前記クリーンブース2に、搬送物を載置して昇降する昇降体4と、該昇降体4を昇降可能に支持する昇降マスト5と、該昇降マスト5を介して昇降体4を昇降させる駆動装置6とを配設するとともに、昇降体4が昇降するリフタエリア7から、昇降マスト5及び駆動装置6を設置した機械エリア8を区画し、リフタエリア7にダウンフローを導入するようにしたリフタ装置において、リターンダクト3の隔壁9で機械エリア8の一部を区画形成するとともに、該隔壁9に、機械エリア8を通過した空気をリターンダクト3に排出する開口部10を設けることから、機械エリア8の隔壁の一部を省略し、空調も含めたリフタ装置全体の寸法を小さくして省スペース化を図るとともに、機械エリア8を通過した空気をリターンダクト3に直接排気することにより、機械エリア8にファンフィルタユニットを設けなくてもリフタエリア7をクリーンに保つことができ、これにより、低コスト化を図り、かつフィルタを不要として保守、メンテナンス部品を減らすことができる。
【0014】
以上、本発明のリフタ装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、実施例に記載した構成を適宜組み合わせるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明のリフタ装置は、リフタ装置全体の寸法を小さくして省スペース化を図るとともに、機械エリアのフィルタを不要として保守、メンテナンス部品を減らすことができるという特性を有していることから、例えば、クリーンルーム等に設置されるリフタ装置の用途に広く好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のリフタ装置の一実施例を示し、(a)はその縦断面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図2】従来のリフタ装置を示し、(a)はその縦断面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ファンフィルタユニット
2 クリーンブース
3 リターンダクト
4 昇降体
41 バランスウェイト
5 昇降マスト
6 駆動装置
7 リフタエリア
8 機械エリア
81 後部隔壁
82 カバー
9 隔壁
10 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にフィルタを備えたダウンフローのクリーンブースと、該クリーンブースを通過した空気をフィルタの上流側に戻すリターンダクトとを備え、前記クリーンブースに、搬送物を載置して昇降する昇降体と、該昇降体を昇降可能に支持する昇降マストと、該昇降マストを介して昇降体を昇降させる駆動装置とを配設するとともに、昇降体が昇降するリフタエリアから、昇降マスト及び駆動装置を設置した機械エリアを区画し、リフタエリアにダウンフローを導入するようにしたリフタ装置において、リターンダクトの隔壁で機械エリアの一部を区画形成するとともに、該隔壁に、機械エリアを通過した空気をリターンダクトに排出する開口部を設けたことを特徴とするリフタ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−172089(P2008−172089A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4851(P2007−4851)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】