説明

リフロー半田付け装置

【課題】コンベヤにより移動する電子部品搭載基板に熱風が吹き付けられる時間を長くするリフロー半田付け装置を提供する。
【解決手段】電子部品を搭載した基板を熱風循環装置を有する炉内をコンベヤで搬送し、熱風循環装置はコンベヤ上の基板に熱風を吹付ける細長い熱風吹出通風路を複数有し、これらの熱風吹出通風路はコンベヤの搬送方向に互いに間隔を置いてコンベヤの搬送方向に交差するようにして配置し、熱風が熱風吹出通風路からコンベヤ上の基板に吹付けられるリフロー半田付け装置において、熱風吹出通風路の熱風吹出面に形成した複数の熱風吹出孔27をコンベヤの搬送方向に細長い長孔に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉内を電子部品が搭載された基板をコンベヤで搬送しながら循環する熱風を使用して半田付けを行なうリフロー半田付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リフロー半田付け装置は電子部品を搭載した基板をコンベヤで搬送しながら炉内で加熱して、クリーム半田を溶融させ、電子部品を基板上に半田付けする装置である。
【0003】
このリフロー半田付け装置には送風機とヒータを備えた熱風循環装置により熱風を炉内で循環させ、電子部品をリフロー半田付けするものがある(特許文献1参照)。このリフロー半田付け装置は複数の予備加熱室とリフロー半田付け室をコンベヤの搬送方向に沿って順に有しており、各予備加熱室とリフロー半田付け室にそれぞれ熱風循環装置が設けられている。熱風循環装置はコンベヤ上の基板に熱風を吹き付ける細長い熱風吹出通風路を複数有している。これらの熱風吹出通風路は送風機とコンベヤとの間にコンベヤの搬送方向に間隔を置いてコンベヤの搬送方向に交差するようにして配置され、送風機によってヒータを通って加熱された熱風が熱風吹出通風路に入り、熱風吹出通風路から熱風がコンベヤ上の基板に吹き付けられて、電子部品が基板に半田付けされる。このリフロー半田付け装置において、前記熱風吹出通風路の熱風吹出面に形成されている複数の熱風吹出孔は、特許文献1の図7に示されているように、熱風吹出通風路に沿って細長い長孔、すなわちコンベヤの搬送方向と交差する方向に細長い長孔に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3515058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱風吹出通風路の熱風吹出面に形成されている複数の熱風吹出孔がコンベヤの搬送方向と交差する方向に細長い長孔形状に形成されていると、熱風をプリント基板の熱風吹出通風路に面する部分にできるだけ均一に吹き付けられるようにできるが、コンベヤにより炉内を移動するプリント基板に熱風が吹き付けられる時間が短いものとなる。なお、全ての熱風吹出孔の総面積は熱風吹出孔から吹き出される熱風の風速等の関係により一定の値に決定されている。
【0006】
本発明の目的は、コンベヤにより移動する電子部品搭載基板に熱風が吹き付けられる時間を長くするリフロー半田付け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電子部品が搭載された基板が熱風循環装置を有する炉内をコンベヤで搬送され、前記熱風循環装置はコンベヤ上の基板に熱風を吹き付ける細長い熱風吹出通風路を複数有し、これらの熱風吹出通風路はコンベヤの搬送方向に互いに間隔を置いてコンベヤの搬送方向に交差するようにして配置され、熱風が前記熱風吹出通風路からコンベヤ上の基板に吹き付けられるリフロー半田付け装置において、
前記熱風吹出通風路の熱風吹出面に形成されている複数の熱風吹出孔がコンベヤの搬送方向に細長い長孔に形成されていることを特徴とする。
【0008】
互いに隣り合う熱風吹出通風路において、一方の熱風吹出通風路の熱風吹出孔は、コンベヤの搬送方向から見て、他方の熱風吹出通風路の互いに隣り合う熱風吹出孔の間に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱風吹出孔がコンベヤの搬送方向に細長い長孔に形成されているので、コンベヤの搬送方向に交差するようにして配置されている熱風吹出通風路を電子部品が搭載された基板が通過して行く際、熱風が基板に吹き付けられる時間が長くなり、電子部品が搭載された基板を充分に加熱できる。そして互いに隣り合う熱風吹出通風路において、一方の熱風吹出通風路の熱風吹出孔は、コンベヤの搬送方向から見て、他方の熱風吹出通風路の互いに隣り合う熱風吹出孔の間に配置されているように構成すれば、前記基板をより均一に加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるリフロー半田付け装置を示す縦断面図である。
【図2】搬送方向に直角に切った図1の要部縦断面図である。
【図3】熱風循環装置の底面図である。
【図4】ケーシングの底面図である。
【図5】通風路形成部材を示し、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1において、リフロー半田付け装置は細長い炉1を有している。炉1内は電子部品及び半田の酸化を防止するために窒素ガスが供給されている。電子部品を搭載したプリント基板2は炉1内を移動するコンベヤ3によって炉1内を搬送される。
【0013】
炉1は仕切壁4で5個の室に仕切られており、3個の予備加熱室5と1個のリフロー半田付け室6と冷却室7とを搬送方向に沿って順に備えている。電子部品を搭載した基板2は炉1内をコンベヤ3で搬送されながら、予備加熱室5で徐々に加熱され、リフロー半田付け室6でクリーム半田が溶融されて半田付けされ、冷却室7で溶融半田が冷却固化される。
【0014】
炉1の予備加熱室5とリフロー半田付け室6には、コンベヤ3を挟んで上下に同じ構造の熱風循環装置Aが設けられている。以下、上側の熱風循環装置Aについて説明する。
【0015】
図2において、炉1の各室5,6内の上端部にはそれぞれ送風機8が設けられており、炉1の外の上側に設置されたモータ9に接続している。送風機8は水平な仕切板を挟んだ上下に羽根が円周方向に間隔を置いて複数配置され、上面に吸入口10、外周に吐出口11を有し、下面に吸入口12、外周に吐出口13を有している。
【0016】
図2及び図4に示されているように、ケーシング14は送風機収納部15と導風部16とからなっている。送風機収納部15は送風機8を収納し、送風機8の吸入口10,12に対向する上下面にそれぞれ吸入口17,18を有している。導風部16は送風機収納部15の左右から左右に張り出している水平部16aと、その先端部が下方に湾曲して垂直に下方に延びている垂直延出部16bとから構成されている。ケーシング14は平面視で矩形であり、仕切壁4との間に殆ど隙間がないが、各室5,6の左右側面との間には空間部19があり、また、上面よりも少し下側に間隔をあけて配置されているので各室5,6の上面との間に空間部20が形成されている。ケーシング14で囲まれた空間部21にヒータ22が配置されている。ヒータ22の種類は問わないが、本実施形態ではシーズヒータが使用されている。
【0017】
図2〜図5に示すように、熱風吹出通風路23を形成する通風路形成部材24がケーシング14の左右一対の導風部16における垂直延出部16bの間に接続配置されている。通風路形成部材24は細長い箱状部材で、その内部が熱風吹出通風路23を構成し、長手方向の両端部がケーシング14の左右一対の導風部16における垂直延出部16bの対向する内面間に接続されている。通風路形成部材24の長手方向の両端面には開口25がそれぞれ形成されており、その開口25が臨む導風部16の垂直延出部16b壁面にも開口が形成されており、導風部16と通風路形成部材24はこれらの開口を通じて互いに連通している。
【0018】
通風路形成部材24の下部はV字形をした複数のノズル部26が長手方向に連続して配置された構造を有している。これらのノズル部26の底面にはそれぞれ熱風吹出孔27が形成されている。熱風吹出孔27は通風路形成部材24の長手方向に対して直角方向に細長い長孔に形成されている。
【0019】
上記通風路形成部材24はコンベヤ3の搬送方向に互いに間隔をおいて左右の導風部16における垂直延出部16bの間に複数設けられている。
【0020】
このようにして、通風路形成部材24が形成する熱風吹出通風路23が送風機8とコンベヤ3との間にコンベヤ3の搬送方向に互いに間隔を置いてコンベヤ3の搬送方向に交差するようにして複数配置されている。熱風吹出通風路23はその熱風吹出面にコンベヤ3の搬送方向に細長い長孔状の熱風吹出孔27をコンベヤ3の搬送方向と直角方向に間隔をおいて複数有している。
【0021】
コンベヤ3の搬送方向に互いに間隔をおいて配置されている複数の熱風吹出通風路23の互いに隣り合う熱風吹出通風路23において、一方の熱風吹出通風路23の熱風吹出孔27は、コンベヤ3の搬送方向に沿って見ると、他方の熱風吹出通風路23の熱風吹出孔27とは左右方向にずらして配置され、他方の熱風吹出通風路23の互いに隣り合う熱風吹出孔27の間の中間位置に配置されている。
【0022】
なお、ケーシング14の導風部16における垂直延出部16bの底面にも熱風吹出孔28がコンベヤ3の搬送方向に互いに間隔をおいて複数形成されている。
【0023】
互いに隣り合う通風路形成部材24の間は隙間29を形成しており、電子部品を搭載したプリント基板2を加熱した後の熱風がこれらの隙間29から流入して送風機8の下面の吸入口12から吸入される。
【0024】
以上は、コンベヤ3の上側の熱風循環装置Aについて説明したが、コンベヤ3の下側の熱風循環装置Aも同じように構成されている。
【0025】
冷却室7は上記熱風循環装置Aからヒータ22を除いた冷却風循環装置Bを有している。
【0026】
次に、本発明の作用を説明する。
【0027】
電子部品を搭載したプリント基板2は、炉1の入口側でコンベヤ3に載せられ、コンベヤ3によって炉1内を搬送される。炉1の予備加熱室5とリフロー半田付け室6と冷却室7では、各室5,6,7内の送風機8がモータ9によって回転される。
【0028】
以下、上側の熱風循環装置Aを基に説明する。
【0029】
熱風は送風機8によりケーシング14の左右の導風部16を通って複数の熱風吹出通風路23に入り、熱風吹出通風路23のノズル部26の熱風吹出孔27からコンベヤ3上の電子部品を搭載したプリント基板2に吹き付けられる。また、ケーシング14の導風部16における垂直延出部16bの熱風吹出孔28からもコンベヤ3上の電子部品を搭載したプリント基板2に熱風が吹き付けられる。
【0030】
電子部品を搭載したプリント基板2に吹き付けられた熱風は、電子部品を搭載したプリント基板2を加熱した後、互いに隣り合う通風路形成部材24の間の隙間29からケーシング14で囲まれた空間部21に流入し、ヒータ22により加熱され、送風機8の下面の吸入口12に吸入されるとともに、ケーシング14の外側の空間部19,20を通って、送風機8の上面の吸入口10に吸入される。
【0031】
そして、送風機8によって熱風がケーシング14の導風部16を通って、熱風吹出通風路23の熱風吹出孔27及び導風部16の熱風吹出孔28から電子部品を搭載したプリント基板2に吹き付けられ、電子部品を搭載したプリント基板2が加熱される。
【0032】
以上は、上側の熱風循環装置Aを基に説明したが、下側の熱風循環装置Aも同じように作用する。
【0033】
以上の通り、熱風吹出孔27がコンベヤ3の搬送方向に細長い長孔に形成されているので、熱風吹出通風路23を電子部品が搭載された基板2が通過して行く際、熱風が基板2に吹き付けられる時間が長くなり、電子部品が搭載されたプリント基板2を充分に加熱できる。
【0034】
また、互いに隣り合う熱風吹出通風路23において、一方の熱風吹出通風路23の熱風吹出孔27は、コンベヤ3の搬送方向から見て、他方の熱風吹出通風路23の熱風吹出孔27とは左右方向にずらして配置され、他方の熱風吹出通風路23の互いに隣り合う熱風吹出孔27の間に配置されているので、電子部品が搭載されたプリント基板2をより均一に加熱できる。
【0035】
上記のようにして、電子部品を搭載したプリント基板2は予備加熱室5で徐々に加熱され、リフロー半田付け室6でクリーム半田が溶融され、電子部品がプリント基板2上に半田付けされる。その後、電子部品を搭載したプリント基板2は冷却室7を通る間に冷却されて半田部が固化される。
【0036】
上記実施形態では、循環する熱風のみで半田付けを行なうリフロー半田付け装置を示したが、本発明は熱風を使用することに加えて遠赤外線ヒータを併用して半田付けを行なう場合も含む。
【0037】
また、上記実施形態では、通風路形成部材はその下部に連続するV字形のノズル部を形成した例を示したが、これに限ることはなく、底面は平面としてその底面にコンベヤの搬送方向に長孔状の熱風吹出孔を複数形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・炉、2・・電子部品を搭載したプリント基板、3・・コンベヤ、4・・仕切壁、5・・予備加熱室、6・・リフロー半田付け室、7・・冷却室、A・・熱風循環装置、B・・冷却風循環装置、8・・送風機、9・・モータ、10・・吸入口、11・・吐出口、12・・吸入口、13・・吐出口、14・・ケーシング、15・・送風機収納部、16・・導風部、16a・・水平部、16b・・垂直延出部、17,18・・吸入口、19,20,21・・空間部、22・・ヒータ、23・・熱風吹出通風路、24・・通風路形成部材、25・・開口、26・・ノズル部、27,28・・熱風吹出孔、29・・隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載された基板が熱風循環装置を有する炉内をコンベヤで搬送され、前記熱風循環装置はコンベヤ上の基板に熱風を吹き付ける細長い熱風吹出通風路を複数有し、これらの熱風吹出通風路はコンベヤの搬送方向に互いに間隔を置いてコンベヤの搬送方向に交差するようにして配置され、熱風が前記熱風吹出通風路からコンベヤ上の基板に吹き付けられるリフロー半田付け装置において、
前記熱風吹出通風路の熱風吹出面に形成されている複数の熱風吹出孔がコンベヤの搬送方向に細長い長孔に形成されていることを特徴とするリフロー半田付け装置。
【請求項2】
互いに隣り合う熱風吹出通風路において、一方の熱風吹出通風路の熱風吹出孔は、コンベヤの搬送方向から見て、他方の熱風吹出通風路の互いに隣り合う熱風吹出孔の間に配置されていることを特徴とする請求項1記載のリフロー半田付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98464(P2013−98464A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242200(P2011−242200)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(500379509)有限会社ヨコタテクニカ (31)
【Fターム(参考)】