説明

リヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造

【課題】本発明は、後方衝突時に後方から加えられた荷重を車両の前方に伝達する経路を改善したリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造を提供する。
【解決手段】本発明は、車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造であって、前記クォーターメンバーの一端には、前記センターピラーの一側面に車両の長さ方向と垂直な方向に接する垂直接合部が形成され、前記センターピラーは、車体の内側と外側に各々形成されるセンターピラーインナーとセンターピラーアウターとからなり、前記クォーターメンバーは、車体の内側と外側に各々形成されるクォーターメンバーインナーとクォーターメンバーアウターとからなり、前記クォーターメンバーインナーとクォーターメンバーアウターは先に組み立てられて、前記センターピラーに結合されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造に係り、より詳しくは、後方衝突時に後方から加えられた荷重を車両の前方に伝達する経路を改善したリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ハッチバック型自動車、クーペ型自動車のような2ドア車両、または最近公開された左右非対称構造の3ドア車両の場合にはリヤドアがないか片方にだけあるため、後方衝突時に車両の後方から加えられた衝突エネルギを車両の前方に伝達できる通路が存在しない。
例えば、図1に示す4ドア車両の後尾200の場合には、センターピラー210に備えられたリヤドア220が車両の後方から伝達されたエネルギを車両の前方に伝達する通路、いわゆるロードパスの役割をする。
【0003】
しかし、2ドア車両または3ドア車両は、リヤドアが存在しないため、車両の後方から伝達されたエネルギを前方に伝達するロードパスの役割を果たす構成要素を必要とする。
1例として、先行特許KR10−2004−0029793Aがある。
また、図2に示すように、リヤドアのない2ドア車両の後尾100のセンターピラー110と車両のリヤピラーを連結するクォーターメンバー120を備えて、車両の後方から伝達されたエネルギを前方に伝達する方式がある。
【0004】
より具体的に説明すれば、図3および図4に示すように、センターピラー110を構成するセンターピラーアウター112とセンターピラーインナー111に、各々、クォーターメンバーアウター122とクォーターメンバーインナー121を溶接などを利用して結合し、互いに結合されたセンターピラーアウター112−クォーターメンバーアウター122をセンターピラーインナー111−クォーターメンバーインナー121と結合することによって、センターピラー110とクォーターメンバー120を互いに連結する。
【0005】
しかし、前記のような従来技術によるセンターピラー110とクォーターメンバー120の連結構造によれば、図5および図6に示すように荷重が加えられれば、クォーターメンバーアウター122とクォーターメンバーインナー121は、各々、センターピラーアウター112とセンターピラーインナー111に側面結合面の剪断荷重だけで伝達された荷重を伝達しなければならない構造を有する。すなわち、図5にSで示す側面の結合面を通じてセンターピラー110とクォーターメンバー120が結合されるため、図6に示すように、荷重はA、A’で示された部分を通じて伝達される。
【0006】
上記のように従来技術によるセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造によれば、クォーターメンバー120からセンターピラー110に荷重が伝達される時、センターピラー110とクォーターメンバー120の連結部分の剪断荷重だけで荷重を伝達しなければならないため、荷重を効率的に伝達することができず、2列空間の後方から加えられた荷重によってクォーターメンバー120が破損したり車体が破損したりして、車両に搭乗した搭乗者に傷害を負わせるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】KR10−2004−0029793A
【特許文献2】特開2008−284936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、2ドアまたは3ドア車両のようにリヤドアのない車両において、車両の後方から伝達される荷重を、クォーターメンバーが、荷重が伝達される方向と平行したセンターピラーとの側面結合部分だけでなく、荷重の直角方向にも伝達して、車両の後方から加えられた荷重を安定的に車両の前方に伝達できるリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するためになされた本発明に係るリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造は、車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造であって、前記クォーターメンバーの一端には、前記センターピラーの一側面に車両の長さ方向と垂直な方向に接する垂直接合部が形成されることを特徴とする。
【0010】
前記センターピラーは、車体の内側と外側に各々形成されるセンターピラーインナーとセンターピラーアウターとからなり、前記クォーターメンバーは、車体の内側と外側に各々形成されるクォーターメンバーインナーとクォーターメンバーアウターとからなることを特徴とする。
【0011】
前記クォーターメンバーインナーとクォーターメンバーアウターは先に組み立てられて、前記センターピラーに結合されることを特徴とする。
【0012】
前記クォーターメンバーインナーは、車両の長さ方向に形成され、前記クォーターメンバーアウターに接して結合される水平結合部と、前記水平結合部の先端から車両の前方方向に延び、前記センターピラーと垂直に接するように曲げられた垂直接合部と、前記水平結合部と実質的に同じ長さで形成され、車両の室内に露出されるトリムが結合されるトリム結合部と、前記垂直接合部とトリム結合部を連結する連結部と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記クォーターメンバーインナーは、切断されたプレートを順次ベンディング加工してなることを特徴とする。
【0014】
前記クォーターメンバーインナーにおいて、前記トリム結合部は、前記水平結合部より室内側に位置することを特徴とする。
【0015】
前記クォーターメンバーインナーは、スポット溶接によって前記センターピラーとクォーターメンバーアウターに結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造によれば、車両の後方から伝達された荷重をセンターピラーの側面結合部分だけでなく、荷重の直角方向にも伝達することにより、クォーターメンバーとセンターピラーが結合される部分における構造的な強度を向上させる。
また、クォーターメンバーとセンターピラーが結合される部分において荷重が伝達される構造が改善されることにより、後方衝突などによって車両の後方から荷重が加えられても、加えられた荷重を車両の前方に伝達して、搭乗者が搭乗する室内空間を確保することによって人命事故を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】通常の4ドア車両の後方衝突時の荷重伝達構造を示す概略図である。
【図2】2ドア車両の後方衝突時の荷重伝達構造を示す概略図である。
【図3】従来技術によるセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造を示す斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図である。
【図5】図3の要部拡大図である。
【図6】図5において荷重伝達構造を示す断面図である。
【図7】本発明に係るリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造を示す斜視図である。
【図8】図7の分解斜視図である。
【図9】図7の要部拡大図である。
【図10】図7において荷重伝達構造を示す断面図である。
【図11】クォーターメンバーインナーの製作過程は示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明に係るリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造について詳細に説明する。
本発明に係るリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造は、図7〜図10に示すように、クォーターメンバー20の一端に車両の長さ方向と垂直した方向にセンターピラー10に接するように形成された垂直接合部21bが形成され、垂直接合部21bがセンターピラー10に結合されることによって、車両の後方から伝達された荷重を垂直接合部21bを通じてセンターピラー10に伝達されるようにする。
【0019】
センターピラー10は、図7および図8に示すように、車両の内部に位置するセンターピラーインナー11と車両の外部に位置するセンターピラーアウター12が結合されてなる。センターピラー10は1列と2列を区分し、車両のループを支持すると共にクォーターメンバー20を通じて伝達される荷重を支持し分散させる役割をする。
クォーターメンバー20は、センターピラー10の中間部分にセンターピラー10と垂直に配置され、車両の前方に向かう先端がセンターピラー10の中間部分に結合され、後端はリヤピラー、トランク側に結合されることにより、車両の後方から加えられた荷重をクォーターメンバー20がセンターピラー10より優先的にセンターピラー10に伝達する。
【0020】
このような、クォーターメンバー20は、先端が車両の長さ方向と垂直に備えられた垂直接合部21bを通じてセンターピラー10に結合されることにより、従来技術に比べて安定的に車両の後方から加えられた荷重をセンターピラー10に伝達することができる。
クォーターメンバー20は、車両の外側に位置するクォーターメンバーアウター22とクォーターメンバーアウター22に対して車両の室内側に位置するクォーターメンバーインナー21とからなる。
【0021】
クォーターメンバーインナー21は、水平結合部21a、垂直接合部21b、トリム結合部21cおよび連結部21dとからなる。
水平結合部21aは、車両の長さ方向に形成され、クォーターメンバーアウター22と平行に配置され、クォーターメンバーアウター22が結合される。
垂直接合部21bは、水平結合部21aの先端、すなわち車両の前方に向かう水平結合部21aの断面において水平結合部21aと実質的に直角になるように形成される。垂直接合部21bは、水平結合部21aの先端から突出するように形成され、垂直接合部21bと実質的に垂直するように曲げられる。
【0022】
垂直接合部21bは、クォーターメンバーインナー21がセンターピラー10に結合される時、センターピラー10の一側に接して、クォーターメンバー20に入力された荷重が垂直接合部21bを通じてセンターピラー10に伝達されるようにする。
トリム結合部21cは、水平結合部21aに比べて室内側に位置し、トリム結合部21cに複数の締結孔が形成され、締結孔を利用して内装トリムが締結される。
【0023】
連結部21dは、水平結合部21aとトリム結合部21cを連結する。水平結合部21aとトリム結合部21cは、クォーターメンバーインナー21が加工された時に相異なる平面上に存在するため、連結部が傾斜して形成され、水平結合部21aとトリム結合部21cを連結する役割をする。
クォーターメンバーインナー21は、上下に各々水平結合部21aが形成され、中心にトリム結合部21cが形成され、水平結合部21aとトリム結合部21cとの間に連結部21dが形成される。
このような、クォーターメンバーインナー21は、図11に示す形状の通り、切断されたプレートをベンディング加工で製作される。
【0024】
クォーターメンバーインナー21をベンディング加工で製作する理由は、垂直接合部21bは、実質的に垂直接合部21bと垂直または垂直に隣接する鋭角で水平結合部に形成されるが、プレスを利用して加工すれば、クォーターメンバーインナー21を加工した後に取り出す過程で垂直接合部21bがプレスにかかって取り出されないという問題が発生することによる。したがって、クォーターメンバーインナー21は、切断されたプレートを順次ベンディング加工することによって製作される。
【0025】
例えば、切断されたプレートを固定した後、トリム結合部21cを中心に連結部を形成するように曲げ、連結部21dの外側に水平結合部21aを形成するためベンディング加工した後、水平結合部21aの先端に垂直接合部21bを形成するようにベンディング加工して、クォーターメンバーインナー21を製作することができる。
【0026】
ベンディング加工によってクォーターメンバーインナー21を製作すれば、先ず、クォーターメンバーインナー21をクォーターメンバーアウター22と結合して、クォーターメンバー20として先に組み立て、先に組み立てられたクォーターメンバー20をセンターピラー10に結合する。クォーターメンバーインナー21とクォーターメンバーアウター22、クォーターメンバー20とセンターピラー10の結合は、図9にwで示すように、スポット溶接で行う。
【0027】
次に、本発明に係るリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造の作用について説明する。
本発明に係るリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造は、センターピラーとクォーターメンバーが互いに平行に配置される従来技術に比べ、互いに垂直に接する部分が存在するため、後方から伝達された荷重を安定的に伝達することができる。
図10に示すように、クォーターメンバー20に伝達された荷重は、B、B’で示す部分を通じて、大部分の荷重がセンターピラー10に伝達される。Bで示す部分においては、クォーターメンバーアウター22を通じてセンターピラーアウター12に剪断力として荷重が伝達される。
【0028】
しかし、B’で示す部分では、クォーターメンバーインナー21、特に垂直接合部21bにより荷重方向と垂直な部材を通じてセンターピラー10に荷重が伝達されることによって、センターピラー10とクォーターメンバー20の結合部位の強度が向上する。すなわち、垂直接合部21bの全面積がセンターピラー10に接しているため、伝達された荷重が作用方向と垂直な垂直接合部21bを通じてセンターピラー10に伝達され接合部位の強度が向上する。
このように強度が向上することにより、後方から伝達された荷重によってクォーターメンバー20が破損しないようにして室内空間を確保し安全性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0029】
10 ・・・センターピラー
11 ・・・センターピラーインナー
12 ・・・センターピラーアウター
20 ・・・クォーターメンバー
21 ・・・クォーターメンバーインナー
21a ・・・水平結合部
21b ・・・垂直接合部
21c ・・・トリム結合部
21d ・・・連結部
22 ・・・クォーターメンバーアウター
100 ・・・2ドア車両の後尾
110 ・・・センターピラー
111 ・・・センターピラーインナー
112 ・・・センターピラーアウター
120 ・・・クォーターメンバー
121 ・・・クォーターメンバーインナー
122 ・・・クォーターメンバーアウター
200 ・・・4ドア車両の後尾
210 ・・・センターピラー
220 ・・・リヤドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造であって、
前記クォーターメンバーの一端には、前記センターピラーの一側面に車両の長さ方向と垂直な方向に接する垂直接合部が形成されることを特徴とするリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造。
【請求項2】
前記センターピラーは、車体の内側と外側に各々形成されるセンターピラーインナーとセンターピラーアウターとからなり、
前記クォーターメンバーは、車体の内側と外側に各々形成されるクォーターメンバーインナーとクォーターメンバーアウターとからなることを特徴とする請求項1に記載のリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造。
【請求項3】
前記クォーターメンバーインナーとクォーターメンバーアウターは先に組み立てられて、前記センターピラーに結合されることを特徴とする請求項2に記載のリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造。
【請求項4】
前記クォーターメンバーインナーは、
車両の長さ方向に形成され、前記クォーターメンバーアウターに接して結合される水平結合部と、
前記水平結合部の先端から車両の前方方向に延び、前記センターピラーと垂直に接するように曲げられた垂直接合部と、
前記水平結合部と実質的に同じ長さで形成され、車両の室内に露出されるトリムが結合されるトリム結合部と、
前記垂直接合部とトリム結合部を連結する連結部と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載のリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造。
【請求項5】
前記クォーターメンバーインナーは、切断されたプレートを順次ベンディング加工してなることを特徴とする請求項4に記載のリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造。
【請求項6】
前記クォーターメンバーインナーにおいて、前記トリム結合部は、前記水平結合部より室内側に位置することを特徴とする請求項4に記載のリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造。
【請求項7】
前記クォーターメンバーインナーは、スポット溶接によって前記センターピラーとクォーターメンバーアウターに結合されることを特徴とする請求項2に記載のリヤドアのない車両のセンターピラーとクォーターメンバーの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−39903(P2013−39903A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237243(P2011−237243)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】