説明

リーダライタ端末

【課題】無線LAN通信を行いうるリーダライタ端末を、部品点数を抑え、より小型構成にて実現することを目的とする。
【解決手段】リーダライタ端末1は、共用アンテナ50と、共用アンテナ50を介して非接触通信媒体と非接触通信を行うRFID処理部20と、共用アンテナ50を介して無線LAN通信を行う無線LAN処理部40と、共用アンテナ50からの第1周波数帯の信号と第2周波数帯の信号とを分離する周波数分離回路10とが設けられている。周波数分離回路10は、RFID処理部20及び無線LAN処理部40に接続されており、第1周波数帯の信号をRFID処理部20に伝達し、第2周波数帯の信号を無線LAN処理部40に伝達する構成をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダライタ端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、RFIDタグ読取機能を備えたリーダライタ端末が広く提供されている。この種のリーダライタ端末では、取得したRFIDデータを外部に送信する場合など、外部装置との通信が求められる場合が多く、その通信方式としては、ユーザの利便性の面から無線LAN通信方式が採用される場合が多い。
【特許文献1】特開平7−128423号公報
【特許文献2】特開2006−101117公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようにリーダライタ端末内に無線LAN通信機能を搭載すると、単一の端末でRFID通信機能及び無線LAN通信機能をいずれも実現できるため、ユーザの利便性を格段に高めることができるが、その一方で、高機能化に伴う部品点数増加、大型化等の問題がある。
【0004】
即ち、リーダライタ端末内に無線LAN通信機能を搭載する場合、一般的に、非接触通信を行うためのアンテナ、通信制御回路だけでなく、無線LAN通信を行うためのアンテナ、通信制御回路が必要となるため、部品点数増加、大型化を招き、また、アンテナなどの配置スペースも問題となる。従って、端末内に無線LAN通信機能を搭載して高機能化を図る場合、このような問題を効果的に解消しうる構成が望まれる。
【0005】
なお、本発明に関連する技術としては、例えば特許文献1、2のようなものがある。しかしながら、いずれの技術も、無線LAN通信機能を搭載したリーダライタ端末に直接適用し難く、上記問題を解消しうる記載や示唆を有するものではない。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、無線LAN通信を行いうるリーダライタ端末を、部品点数を抑え、より小型構成にて実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、非接触通信媒体と第1周波数帯で通信を行う非接触通信手段と、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯で無線LAN通信を行う無線LAN通信手段と、とを備えたリーダライタ端末であって、前記非接触通信手段及び前記無線LAN通信手段のいずれにも用いられる共用アンテナと、前記共用アンテナを介して前記非接触通信媒体と非接触通信を行う非接触通信制御回路と、前記共用アンテナを介して無線LAN通信を行う無線LAN通信制御回路と、前記共用アンテナからの前記第1周波数帯の信号と前記第2周波数帯の信号とを分離する前記周波数分離手段と、を有し、前記周波数分離手段は、前記無線LAN通信制御回路及び前記非接触通信制御回路に接続されており、前記第1周波数帯の信号を前記非接触通信制御回路に伝達し、前記第2周波数帯の信号を前記無線LAN通信制御回路に伝達することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のリーダライタ端末において、前記共用アンテナと前記周波数分離回路とが単一の同軸ケーブルによって接続されており、前記共用アンテナと前記周波数分離回路との間において、前記第1周波数帯の信号及び前記第2周波数帯の信号が、いずれも前記単一の同軸ケーブルを介して伝達されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のリーダライタ端末において、当該リーダライタ端末は長手状に構成され、前記共用アンテナは、当該リーダライタ端末の長手方向一端部側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載のリーダライタ端末において、当該リーダライタ端末の長手方向一端部寄りに表示装置が設けられ、他端部寄りに複数の操作ボタンが配置される操作領域が設けられており、前記共用アンテナは、当該リーダライタ端末の長手方向一端部において、当該リーダライタ端末の厚さ方向における前記表示装置が設けられた面側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリーダライタ端末において、前記周波数分離手段は、前記第1周波数帯の信号を通過させる第1バンドパスフィルタと、前記第2周波数帯の信号を通過させる第2バンドパスフィルタとを有し、前記第1周波数帯の信号が前記第1バンドパスフィルタを介して前記非接触通信制御回路に伝達され、前記第2周波数帯の信号が前記第2バンドパスフィルタを介して前記無線LAN通信制御回路に伝達されることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載のリーダライタ端末において、前記第1バンドパスフィルタは、前記共用アンテナ側から前記第1周波数帯の信号が入力されるときにインピーダンスが整合状態となり、前記共用アンテナ側から前記第2周波数帯の信号が入力されるときにオープン状態となるように、前記第2周波数帯の帯域阻止フィルタとして構成され、前記第2バンドパスフィルタは、前記共用アンテナ側から前記第2周波数帯の信号が入力されるときにインピーダンスが整合状態となり、前記共用アンテナ側から前記第1周波数帯の信号が入力されるときにオープン状態となるように、前記第1周波数帯の帯域阻止フィルタとして構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリーダライタ端末において、前記周波数分離手段は、前記共用アンテナ側からの高周波信号を伝達する経路を、前記非接触通信制御回路に伝達する第1伝達経路と、前記無線LAN通信制御回路に伝達する第2伝達経路とで切り替える高周波スイッチと、前記高周波スイッチの切り替えを制御する高周波スイッチ制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載のリーダライタ端末において、前記非接触通信手段は、キャリアを出力するキャリア出力手段と、前記キャリア出力手段による前記キャリアの出力を制御する構成をなし、前記キャリアの出力が所定の許容時間を超える場合に前記キャリアの出力を強制的にオフ状態とし、且つ前記オフ状態が一定時間継続した場合に再び前記キャリアの出力を前記許容時間において継続可能とするオンオフ制御手段と、を備え、前記高周波スイッチ制御手段は、前記オンオフ制御手段により前記キャリアの出力が強制的に前記オフ状態となったときに前記第2伝達経路に切り替えることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載のリーダライタ端末において、前記非接触通信手段は、前記共用アンテナと前記周波数分離手段との間の信号伝達ラインに接続される受信端子と、前記受信端子及び前記共用アンテナを介してキャリアセンス通信処理を行うキャリアセンス手段とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項9に記載のリーダライタ端末において、前記受信端子には、前記共用アンテナ側から前記第1周波数帯の信号が入力されるとき及び前記第2周波数帯の信号が入力されるときにハイインピーダンス状態となる高抵抗手段が接続されており、前記キャリアセンス手段は、前記高抵抗手段を介して前記キャリアセンス通信処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、非接触通信手段及び無線LAN通信手段に兼用される共用アンテナが設けられているため、各々の専用アンテナを設ける構成と比較してアンテナ数を削減でき、アンテナ設置エリアの省スペース化、装置構成の小型化を図ることができる。また、共用アンテナからの第1周波数帯の信号と第2周波数帯の信号とを分離する周波数分離手段が設けられ、第1周波数帯の信号を非接触通信制御回路に伝達し、第2周波数帯の信号を無線LAN通信制御回路に伝達するように構成されている。このようにすると、単一の共用アンテナを両機能に兼用させて小型化を図りつつ、その共用アンテナを介して伝達される各周波数帯の信号を適切に振り分けることができるようになる。従って、いずれの周波数帯の通信も適切に行うことができ、ひいては非接触通信機能及び無線LAN通信機能をいずれも良好に実現できる。
【0018】
請求項2の発明は、共用アンテナと周波数分離回路との間において、第1周波数帯の信号及び第2周波数帯の信号が、いずれも単一の同軸ケーブルを介して伝達されるように構成されている。このようにすると、共用アンテナと周波数分離回路との間の信号伝達ラインをより簡素化でき、部品点数削減、軽量化等を図りやすくなる。
【0019】
請求項3の発明では、共用アンテナがリーダライタ端末の長手方向一端部側に配置されている。このようにすると、アンテナを適切な場所にまとめることができ、端末回路内部の電気部品や金属体等の影響を抑えやすくなる。
また、本発明のような構成とせずに、非接触通信用のアンテナと無線LAN通信用のアンテナとを別々の構成とした場合、アンテナを配置する上での位置的な制約が大きく、両アンテナをいずれも適切な位置に配置することが難しくなるが(例えば、いずれか一方のアンテナを最適な位置に配置した場合、他方のアンテナがその一方のアンテナによって配置上の制約を受け、最適な位置に配置し難くなるといった問題があるが)、本発明のように共用アンテナとすると、このような制約を受けにくく、いずれの通信についてもより適切な位置に配置されるアンテナを介して行いやすくなる。
【0020】
請求項4の発明は、リーダライタ端末の長手方向一端部寄りに表示装置が設けられ、他端部寄りに複数の操作ボタンが配置される操作領域が設けられている。そして、共用アンテナは、リーダライタ端末の長手方向一端部において、当該リーダライタ端末の厚さ方向における表示装置が設けられた面側に配置されている。このようにすると、表示装置側を先端側とし、操作領域付近を把持して使用する場合に、共用アンテナがユーザの手の影響を受け難くなる。また、そのような使用態様のときに共用アンテナを通信対象に近づける操作を行いやすいというメリットもある。
【0021】
請求項5の発明は、周波数分離手段は、第1周波数帯の信号を通過させる第1バンドパスフィルタと、第2周波数帯の信号を通過させる第2バンドパスフィルタとを有し、第1周波数帯の信号が第1バンドパスフィルタを介して非接触通信制御回路に伝達され、第2周波数帯の信号が第2バンドパスフィルタを介して無線LAN通信制御回路に伝達される構成をなしている。このようにすると、第1周波数帯の信号と第2周波数帯の信号を簡易な回路構成で適切に振り分けることができる。また、非接触通信制御回路については第1周波数帯域外の耐妨害波特性を向上でき、無線LAN通信制御回路については、第2周波数帯域外の耐妨害波特性を向上できる。
【0022】
請求項6の発明では、第1バンドパスフィルタが、共用アンテナ側から第1周波数帯の信号が入力されるときにインピーダンスが整合状態となり、共用アンテナ側から第2周波数帯の信号が入力されるときにオープン状態となるように、第2周波数帯の帯域阻止フィルタとして構成されている。
このように、第1周波数帯の信号が入力されたときに整合状態となるように第1バンドパスフィルタを構成すると、インピーダンス不整合による損失を効果的に低減できる。また、第2周波数帯の信号が入力されたときには、オープン状態となるため、非接触通信制御回路に対する第2周波数帯の影響を遮断できる。同様に、第2バンドパスフィルタについては、第2周波数帯の信号が入力されたときにインピーダンスが整合状態となるため損失を効果的に抑えることができ、第1周波数帯の信号が入力されたときには、オープン状態となるため、無線LAN通信制御回路に対する第1周波数帯の信号の影響を遮断できる。
【0023】
請求項7の発明は、共用アンテナ側からの高周波信号を伝達する経路を、第1周波数帯の信号を非接触通信制御回路に伝達する第1伝達経路と、第2周波数帯の信号を無線LAN通信制御回路に伝達する第2伝達経路とで切り替える高周波スイッチと、高周波スイッチの切り替えを制御する高周波スイッチ制御手段とが設けられている。このようにすると、各周波数帯の信号を、制御によって第1伝達経路と第2伝達経路とに適切に振り分けることができる。また、アンテナを介して非接触通信と無線LAN通信とが同時に行われなくなるため、アンテナやケーブルでの許容損失超過や異常発熱が発生しにくくなり、また2周波数が混在することに起因する相互変調も確実に排除できる。
【0024】
請求項8の発明は、キャリアの出力が所定の許容時間を超える場合にキャリアの出力を強制的にオフ状態とし、且つオフ状態が一定時間継続した場合に再びキャリアの出力を許容時間において継続可能とするオンオフ制御手段が設けられている。一方、高周波スイッチ制御手段は、オンオフ制御手段によりキャリアの出力が強制的にオフ状態となったときに第2伝達経路に切り替えるように構成されている。このようにすると、強制的に非接触通信が遮断される時間を利用して無線LAN通信を行うことができるため、両通信の効率化を図ることができ、通信完了をより早めることができる。
【0025】
請求項9の発明は、共用アンテナと周波数分離手段との間の信号伝達ラインに接続される受信端子と、受信端子及び共用アンテナを介してキャリアセンス通信処理を行うキャリアセンス手段とが設けられている。このようにすると、第2伝達経路側に切り替えているとき(即ち無線LAN通信中)であってもキャリアセンス通信処理を行うことができ、第1伝達経路側に切り替えられた後には即座に非接触通信を行うことができるようになる。
【0026】
請求項10の発明は、受信端子に、共用アンテナ側から第1周波数帯の信号が入力されるとき及び第2周波数帯の信号が入力されるときにハイインピーダンス状態となる高抵抗手段が接続されている。このようにすると、キャリアセンスに用いる受信端子によってアンテナの整合が崩れず、キャリアセンス用受信端子に起因する損失を効果的に抑えることができる。一方、キャリアセンスについては、弱い電力であっても処理可能であるため、高抵抗手段を介したとしてもキャリアセンス手段によってキャリアセンス通信処理を良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯端末装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るリーダライタ端末を概略的に例示する説明図である。図1は、第1実施形態に係るリーダライタ端末を概略的に例示する説明図である。図2は、図1のリーダライタ端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3は、図2のRFID制御部の構成例を示すブロック図である。図4は、図2の周波数分離回路等の構成例を示すブロック図である。図5は、周波数と減衰量の関係を示すグラフである。
【0028】
(1.全体構成)
まず、図1、図2を参照して全体的構成について説明する。
本実施形態に係るリーダライタ端末1は、例えばICカードやその他のRFIDタグと非接触通信を行う携帯型のRFIDタグリーダライタとして構成されており、RFIDタグ(非接触通信媒体)に対する読み取り及び書き込みを行う構成をなしている。このリーダライタ端末1は、長手状のケース2内に各種部品が収容されており、ケース2の長手方向一端側にはアンテナ50が設けられている。
【0029】
図2に示すように、リーダライタ端末1には、全体的制御を司るCPU5が設けられ、更に、RFID制御部20、無線LAN制御部40、画像認識制御部3、液晶表示器4、メモリ6、キー入力部7、LED8、バッテリ9、などが設けられている。
【0030】
RFID制御部20は、共用アンテナ50と共にリーダライタとして機能する部分である。本実施形態では、RFID制御部20が「非接触通信制御回路」の一例に相当する。また、RFID制御部20、共用アンテナ50、CPU5が「非接触通信手段」の一例に相当する。なお、RFID制御部20の具体的構成は後述する。
【0031】
無線LAN制御部40は、公知の無線LAN通信方式で通信を行う制御回路として構成されるものである。本実施形態では、無線LAN制御部40が共用アンテナ50を介して公知の無線LAN通信を行い、図示しない有線LANのアクセスポイントに設けられた無線LANインターフェースにアクセス可能とされている。なお、メモリ6には、リーダライタ1のIPアドレス等が予め記憶されており、無線LAN制御部40は、このIPアドレス等を用いて有線LANにリンクしている他の情報処理端末装置とデータ通信を行うことができるようになっている。
本実施形態では、無線LAN制御部40が「無線LAN通信制御回路」の一例に相当する。また、無線LAN制御部40、共用アンテナ50、CPU5が「無線LAN通信手段」の一例に相当する。
【0032】
画像認識制御部3は、CPU5と協働してコードリーダとして機能する部分であり、バーコード、二次元コード等の光学的情報を撮像し、その撮像された光学的情報を読み取る構成をなしている。また、液晶表示器4は、「表示手段」の一例に相当するものであり、CPU5の制御により、読取結果やユーザに対する報知情報などの各種情報を表示する構成をなしている。
【0033】
メモリ6は、ROM、RAM等の記憶手段によって構成されており、各種情報を記憶する構成をなしている。また、キー入力部7は、外部に露出する複数の操作キーを備えており、操作キーの操作に応じた情報をCPU5に入力する構成をなしている。また、LED8は、CPU5からの指令に応じて点灯する構成をなし、ユーザに対する各種報知を行う機能を有している。また、バッテリ9は、充電可能な2次電池(例えばリチウムイオン電池等)によって構成されており、リーダライタ端末1内の各種電気部品に電力を供給している。
【0034】
次に、RFID制御部20について説明する。
RFID制御部20は、図3に示すように、送信側を構成する回路として、キャリア発振器21、符号化部22、変調部23、送信部フィルタ24、増幅器25、サーキュレータ26などが設けられている。また、受信側には、受信部フィルタ27、増幅器28、復調部29、二値化処理部30、複号化部31が設けられている。
【0035】
符号化部22は、CPU5から送信データを受ける構成をなしており、当該CPU5より出力される送信データを符号化して変調部23に出力する構成をなしている。変調部23は、キャリア発振器21より出力される例えば周波数953MHzのキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部22より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、送信部フィルタ24に出力する。なお、キャリア発振器21の発振動作の動作/停止は、CPU5によって制御されるようになっている。
【0036】
送信部フィルタ24は、フィルタリングした送信信号を増幅器25に出力し、増幅器25は、入力信号(送信部フィルタ24でフィルタリングされた送信信号)を所定のゲインで増幅する構成をなしており、その増幅信号は、サーキュレータ26、周波数分離回路10を介して共用アンテナ50に出力される。このようにして共用アンテナ50に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該共用アンテナ50より外部に放射される。
【0037】
一方、共用アンテナ50を介して受信された信号は、周波数分離回路10、サーキュレータ26を介して受信部フィルタ27に入力され、この受信部フィルタ27によってフィルタリングされた後、増幅器28によって増幅され、復調部29に与えられて復調される。その復調された信号波形は二値化処理部30において二値化され、その後、復号化部31において復号化される。そして、復号化された受信データはCPU5に出力される。
【0038】
(2.共用アンテナ)
次に、共用アンテナ50について説明する。
共用アンテナ50は、「非接触通信手段」及び「無線LAN通信手段」のいずれにも用いられるアンテナであり、図2、図4に示すように、後述する周波数分離回路10を介してRFID制御部20及び無線LAN制御部40のいずれにも接続されている。
【0039】
本実施形態では、図1に示すようにリーダライタ端末1が全体として長手状に構成されており、共用アンテナ50は、当該リーダライタ端末1の長手方向一端部側に配置されている。なお、図1では、リーダライタ端末1の長手方向をX軸方向、リーダライタ端末1の厚さ方向をY軸方向として説明している。
【0040】
具体的には、リーダライタ端末1の長手方向一端部寄りに液晶表示器4が設けられ、他端部寄りには、操作キー7を構成する複数の操作ボタンが配置される操作領域が設けられている。なお、図1ではこの操作領域を一点鎖線7'にて概念的に示している。共用アンテナ50は、このように構成されるリーダライタ端末1の長手方向一端部において、当該リーダライタ端末1の厚さ方向における液晶表示器4が設けられた面側に配置されている。この構成では、ユーザがリーダライタ端末1を手に持って使用する場合に、液晶表示器4の見易さや、操作のし易さから、操作領域7'付近を把持するように用いられるため、共用アンテナ50はユーザが把持する手から離れた状態で使用されることになる。なお、図1の例では、リーダライタ端末1の長手方向他端部側(即ち操作領域7'側)のほうが、長手方向一端部側よりもケース2の厚さが薄く構成されており、一端部側(液晶表示器4側)よりも他端部側(操作領域7'側)のほうが握りやすくなっている。
【0041】
また、図1に示すように、共用アンテナ50には、単一の同軸ケーブル51が接続されている。この同軸ケーブル51は、一端が上記共用アンテナ50に接続され、他端が基板52に接続されており、図4に示すように、基板52に設けられた周波数分離回路10と共用アンテナ50とを電気的に接続する構成をなしている。
【0042】
(3.周波数分離回路)
次に、図2、図4に示す周波数分離回路10について説明する。
本実施形態では、RFID制御部20による非接触通信が第1周波数帯(例えば953MHz帯など)で行われ、無線LAN制御部40による無線LAN通信が第2周波数帯(例えば2.4GHz帯、或いは5GHz帯など)で行われるようになっており、これら第1周波数帯の信号と、第2周波数帯の信号とを分離するための周波数分離回路10が設けられている。
【0043】
本実施形態では、上述したように共用アンテナ50と周波数分離回路10とが単一の同軸ケーブル51によって接続されており、共用アンテナ50と周波数分離回路10との間において、第1周波数帯の信号及び第2周波数帯の信号が、いずれも単一の同軸ケーブル51を介して伝達されるようになっている。
【0044】
周波数分離回路10には、伝達経路13を介してRFID制御部20が接続され、伝達経路14を介して無線LAN制御部40が接続されており、周波数分離回路10は、共用アンテナ50からの第1周波数帯の信号をRFID制御部20(非接触通信制御回路)に伝達し、共用アンテナ50からの第2周波数帯の信号を無線LAN制御部40(無線LAN通信制御回路9に伝達するように、共用アンテナ50からの第1周波数帯の信号と第2周波数帯の信号とを分離するように機能している。
【0045】
周波数分離回路10は、具体的には、第1周波数帯の信号を通過させる第1バンドパスフィルタ11と、第2周波数帯の信号を通過させる第2バンドパスフィルタ12とを有しており、共用アンテナ50からの共通ラインから分岐する分岐点T1とRFID制御部20との間に第1バンドパスフィルタ11が設けられ、分岐点T1と無線LAN制御部40との間に第2バンドパスフィルタ12が設けられている。この構成では、共用アンテナ50からの第1周波数帯の信号が第1バンドパスフィルタ11を介してRFID制御部20に伝達される。また、共用アンテナ50からの第2周波数帯の信号は、第2バンドパスフィルタ12を介して無線LAN制御部40に伝達される。なお、第1バンドパスフィルタ11、第2バンドパスフィルタ12のいずれについても公知の様々なバンドパスフィルタを採用できる。
【0046】
図5(a)は、第1バンドパスフィルタ11を所定構成(構成例1)としたときの特性を示すグラフである。この例では、第1バンドパスフィルタ11は、共用アンテナ50側から第1周波数帯(周波数f1付近)の信号が入力されるときに、共用アンテナ50側から見てインピーダンスが整合状態となるように構成されており、第1周波数帯の信号が通過するときに減衰しにくい構成となっている。一方、第1周波数帯以外の信号が入力されたときには減衰量が大きくなるように構成されている。従って第1周波数帯の信号については損失を抑えて良好に伝達でき、第1周波数帯以外の帯域については適切にカットすることができる。
【0047】
また、図5(b)は、第2バンドパスフィルタ12について所定構成(構成例2)としたときの特性を示すグラフである。この例では、第2バンドパスフィルタ12は、共用アンテナ50側から第2周波数帯(周波数f2付近)の信号が入力されるときに、共用アンテナ50側から見てインピーダンスが整合状態となるように構成されており、第2周波数帯の信号が通過するときに減衰しにくい構成となっている。一方、第2周波数帯以外の信号が入力されたときには減衰量が大きくなるように構成されている。従って第2周波数帯の信号については損失を抑えて良好に伝達でき、第2周波数帯以外の帯域については適切にカットすることができる。
【0048】
また、第1バンドパスフィルタ11を、図5(c)のような特性としてもよい。図5(c)の第1バンドパスフィルタ11は、共用アンテナ50側から第1周波数帯(周波数f1付近)の信号が入力されるときに、共用アンテナ50側から見てインピーダンスが整合状態となり、共用アンテナ50側から第2周波数帯の信号が入力されるときにオープン状態となるように、第2周波数帯の帯域阻止フィルタとして構成されている。即ち、無線LAN制御部40に与えるべき第2周波数帯の信号については透過を確実にカットでき、RFID制御部20に第2周波数帯の信号が入力されることを確実に防止することができるようになっている。
【0049】
同様に、第2バンドパスフィルタ12を、図5(d)のような特性としてもよい。図5(d)の第2バンドパスフィルタ12では、共用アンテナ50側から第2周波数帯(周波数f2付近)の信号が入力されるときに、共用アンテナ50側から見てインピーダンスが整合状態となり、共用アンテナ50側から第1周波数帯の信号が入力されるときにオープン状態となるように、第1周波数帯の帯域阻止フィルタとして構成されている。即ち、RFID制御部20に与えるべき第1周波数帯の信号については透過を確実にカットでき、RFID制御部20に第2周波数帯の信号が入力されることを確実に防止することができるようになっている。
【0050】
(4.第1実施形態の主な効果)
本実施形態では、非接触通信手段及び無線LAN通信手段に兼用される共用アンテナ50が設けられているため、各々の専用アンテナを設ける構成と比較してアンテナ数を削減でき、アンテナ設置エリアの省スペース化、装置構成の小型化を図ることができる。また、共用アンテナ50からの第1周波数帯の信号と第2周波数帯の信号とを分離する周波数分離回路10が設けられ、第1周波数帯の信号をRFID制御部20(非接触通信制御回路)に伝達し、第2周波数帯の信号を無線LAN制御部40(無線LAN通信制御回路)に伝達するように構成されている。このようにすると、単一の共用アンテナ50を両機能に兼用させて小型化を図りつつ、その共用アンテナ50を介して伝達される各周波数帯の信号を適切に振り分けることができるようになる。従って、いずれの周波数帯の通信も適切に行うことができ、ひいては非接触通信機能及び無線LAN通信機能をいずれも良好に実現できる。
【0051】
また、本実施形態では、共用アンテナ50と周波数分離回路10との間において、第1周波数帯の信号及び第2周波数帯の信号が、いずれも単一の同軸ケーブル51を介して伝達されるように構成されている。このようにすると、共用アンテナ50と周波数分離回路10との間の信号伝達ラインをより簡素化でき、部品点数削減、軽量化等を図りやすくなる。
【0052】
また、本実施形態では、共用アンテナ50がリーダライタ端末1の長手方向一端部側に配置されている。このようにすると、アンテナを適切な場所にまとめることができ、端末回路内部の電気部品や金属体等の影響を抑えやすくなる。
【0053】
なお、本発明のような構成とせずに、非接触通信用のアンテナと無線LAN通信用のアンテナとを別々の構成とした場合、アンテナを配置する上での位置的な制約が大きく、両アンテナをいずれも適切な位置に配置することが難しくなるが(例えば、いずれか一方のアンテナを最適な位置に配置した場合、他方のアンテナがその一方のアンテナによって配置上の制約を受け、最適な位置に配置し難くなるといった問題があるが)、本実施形態のように共用アンテナ50を用いる場合、このような制約を受けにくく、いずれの通信についてもより適切な位置に配置されるアンテナを介して行いやすくなる。
【0054】
また、本実施形態では、リーダライタ端末1の長手方向一端部寄りに液晶表示器4(表示装置)が設けられ、他端部寄りに複数の操作ボタンが配置される操作領域7'が設けられている。そして、共用アンテナ50は、リーダライタ端末1の長手方向一端部において、当該リーダライタ端末1の厚さ方向における液晶表示器4(表示装置)が設けられた面側に配置されている。このようにすると、液晶表示器4が設けられる側を先端側とし、操作領域付近を把持して使用する場合に、共用アンテナ50がユーザの手の影響を受け難くなる。また、そのような使用態様(即ち、操作領域7'付近を把持し、共用アンテナ50側を先端側とするような使用態様)のときに共用アンテナ50を通信対象に近づける操作を行いやすいというメリットもある。
【0055】
また、本実施形態では、第1周波数帯の信号を通過させる第1バンドパスフィルタ11と、第2周波数帯の信号を通過させる第2バンドパスフィルタ12とが設けられ、第1周波数帯の信号が第1バンドパスフィルタ11を介してRFID制御部20(非接触通信制御回路)に伝達され、第2周波数帯の信号が第2バンドパスフィルタ12を介して無線LAN制御部40(無線LAN通信制御回路)に伝達される構成をなしている。このようにすると、第1周波数帯の信号と第2周波数帯の信号を簡易な回路構成で適切に振り分けることができる。また、RFID制御部20については第1周波数帯域外の耐妨害波特性を向上でき、無線LAN制御部40については、第2周波数帯域外の耐妨害波特性を向上できる。
【0056】
また、構成例3(図5(c))では、第1バンドパスフィルタ11は、共用アンテナ50側から第1周波数帯の信号が入力されるときにインピーダンスが整合状態となり、共用アンテナ50側から第2周波数帯の信号が入力されるときにオープン状態となるように、第2周波数帯の帯域阻止フィルタとして構成されている。このように、第1周波数帯の信号が入力されたときに整合状態となるように第1バンドパスフィルタ11を構成すると、インピーダンス不整合による損失を効果的に低減できる。また、第2周波数帯の信号が入力されたときには、オープン状態となるため、非接触通信制御回路に対する第2周波数帯の影響を遮断できる。同様に、第2バンドパスフィルタ12を構成例4(図5(d))のようにすると、第2周波数帯の信号が入力されたときにインピーダンスが整合状態となるため損失を効果的に抑えることができ、第1周波数帯の信号が入力されたときには、オープン状態となるため、無線LAN通信制御回路に対する第1周波数帯の信号の影響を遮断できる。
【0057】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態のリーダライタ端末で用いられる周波数分離回路等の構成例を示すブロック図である。また、図7は、第2実施形態のリーダライタ端末で行われる通信処理を例示するフローチャートである。なお、本実施形態のリーダライタ端末のハードウェア構成は、周波数分離回路以外は第1実施形態と同様である。よって、周波数分離回路以外のハードウェア構成については適宜図1〜図3を参照して説明することとする。
【0058】
本実施形態でも、図6に示すように、第1実施形態と同様のRFID制御部20が設けられ、このRFID制御部20が「非接触通信制御回路」の一例に相当する。また、RFID制御部20、共用アンテナ50、CPU5が「非接触通信手段」の一例に相当している。また、第1実施形態と同様の無線LAN制御部40が設けられ、この無線LAN制御部40が「無線LAN通信制御回路」の一例に相当する。また、無線LAN制御部40、共用アンテナ50、CPU5が「無線LAN通信手段」の一例に相当している。
【0059】
また、本実施形態でも、共用アンテナ50からの第1周波数帯の信号と第2周波数帯の信号とを分離する周波数分離回路210が設けられており、この周波数分離回路210は、共用アンテナ50からの第1周波数帯の信号をRFID制御部20(非接触通信制御回路)に伝達し、共用アンテナ50からの第2周波数帯の信号を無線LAN制御部40(無線LAN通信制御回路)に伝達するように機能している。
【0060】
一方、本実施形態の周波数分離回路210は、第1実施形態の周波数分離回路10とは構成が異なっており、共用アンテナ50からの高周波信号の伝達経路を切り替える高周波スイッチ211を備えている。この高周波スイッチ211は、CPU5からの指令に応じて高周波信号の伝達経路を切り替える公知の高周波スイッチ(RF−SW)として構成されており、具体的には、共用アンテナ50側からの高周波信号を伝達する経路を、RFID制御部20に伝達する第1伝達経路213と、無線LAN制御部40に伝達する第2伝達経路214とで切り替える構成をなしている。即ち、CPU5が第1伝達経路213に切り替える指示を行った場合には、高周波スイッチ211において伝達経路が第1伝達経路213に切り替えられ、このときに非接触通信に用いる第1周波数帯の信号がRFID制御部20に伝達されるようになる。また、CPU5が第2伝達経路214に切り替える指示を行った場合には、高周波スイッチ211において伝達経路が第2伝達経路214に切り替えられ、このときに無線LAN通信に用いる第2周波数帯の信号が無線LAN制御部40に入力されるようになる。
【0061】
なお、本実施形態では、周波数分離回路210とCPU5とが「周波数分離手段」の一例に相当する。また、CPU5は「高周波スイッチ制御手段」の一例に相当し、高周波スイッチ211の切り替えを制御するように機能する。
【0062】
次に、本実施形態のリーダライタ端末で行われる通信処理について説明する。図7は本実施形態のリーダライタ端末で行われる通信処理の一例を示しており、この例では、処理開始に伴い、まず読み取るべきタグ枚数の入力処理を行う(S1)。この処理では、例えばユーザからの入力操作を受け付け、入力操作によって指示された枚数Nを登録する。S1にて読み取りタグ枚数Nが登録された後には、RFIDタグの読み取りを開始するための所定の指示処理を行う(S2)。
【0063】
その後、RFID制御部20を選択する選択処理を行う(S3)。S3では、CPU5から高周波スイッチ211に対して、第1伝達経路213に切り替える信号が与えられ、高周波スイッチ211はこれに応じて、共用アンテナ50からの高周波信号の伝達経路をRFID制御部20用の第1伝達経路213に切り替える。これにより、非接触通信に用いる第1周波数帯の信号がRFID制御部20と共用アンテナ50との間で伝達可能となる。S3にてRFID制御部20を選択した後には、共用アンテナ50をRFID用のアンテナとして機能させるべく、通電処理を行う(S4)。
【0064】
そして、S5にて現在の読取枚数を示す値(図7ではX)を初期化した後、その値Xをインクリメントし(S6)、1枚目のタグとの通信処理を行う(S7)。S7では、RFID制御部20及び共用アンテナ50によって1枚目のタグに対する読み取りや書き込みなどが行われる。
【0065】
S7の通信処理が終了した後には、現在の読取枚数XがS1で設定された設定枚数Nに達しているか否かを判断し、達している場合にはS8にてYesに進む。現在の読取枚数Xが設定枚数Nに達していない場合にはS8にてNoに進み、S6に戻ってXをインクリメントし、S6以降の処理を繰り返す。
【0066】
S8にてYesに進む場合には、S9にて無線LAN接続モードへの切り替えた後、無線LAN制御部40を選択する選択処理を行う(S10)。S10では、CPU5から高周波スイッチ211に対して、第2伝達経路214に切り替える信号が与えられ、高周波スイッチ211はこれに応じて、共用アンテナ50からの高周波信号の伝達経路を無線LAN制御部40用の第2伝達経路214に切り替える。その後、無線LAN処理部40及び共用アンテナ50によってアクセスポイントと通信する処理を行い(S11)、そのアクセスポイントを介して他の情報処理端末と通信する処理(例えば、S7で読み取ったRFID情報を送信する処理等)を行う(S12)。
【0067】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、更に、以下のような効果を奏する。
本実施形態では、共用アンテナ50側からの高周波信号を伝達する経路を、RFID制御部20(非接触通信制御回路)に伝達する第1伝達経路213と、無線LAN制御部40(無線LAN通信制御回路)に伝達する第2伝達経路214とで切り替える高周波スイッチ211が設けられ、この高周波スイッチ211の切り替えをCPU5によって制御している。このようにすると、各周波数帯の信号を、制御によって第1伝達経路213と第2伝達経路214とに適切に振り分けることができる。また、共用アンテナ50を介して非接触通信と無線LAN通信とが同時に行われるようなことがなくなるため、アンテナやケーブルでの許容損失超過や異常発熱が発生しにくくなり、また2周波数が混在することに起因する相互変調も確実に排除できる。
【0068】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態のリーダライタ端末で用いられるRFID制御部、周波数分離回路等を例示するブロック図である。なお、本実施形態のリーダライタ端末のハードウェア構成は基本的に第2実施形態と同様であり、RFID制御部320の受信端子P1を、共用アンテナ50と高周波スイッチ211との間に接続した点、RFID制御部320を、受信端子P1を介してキャリアセンス処理を行うように構成した点が第2実施形態と異なっている。
【0069】
本実施形態でも、図8に示すように、第1実施形態と同様のRFID制御部20が設けられ、このRFID制御部20が「非接触通信制御回路」の一例に相当する。また、RFID制御部20、共用アンテナ50、CPU5が「非接触通信手段」の一例に相当している。また、第1実施形態と同様の無線LAN制御部40が設けられ、この無線LAN制御部40が「無線LAN通信制御回路」の一例に相当する。また、無線LAN制御部40、共用アンテナ50、CPU5が「無線LAN通信手段」の一例に相当している。
【0070】
また、本実施形態でも、第2実施形態と同様の周波数分離回路210が設けられており、この周波数分離回路210とCPU5とが「周波数分離手段」の一例に相当する。また、CPU5は「高周波スイッチ制御手段」の一例に相当し、高周波スイッチ211の切り替えを制御するように機能する。
【0071】
本実施形態では、第2実施形態と同様の構成に加え、RFID制御部320に受信端子P1が設けられている。この受信端子P1は、共用アンテナ50と高周波スイッチ211との間に接続されており、図8の例では、高周波スイッチ211に接続される端子P2を介さず、受信端子P1を介してキャリアセンス処理を行うことができるようになっている。なお、本実施形態では、RFID制御部320とCPU5とが「キャリアセンス手段」の一例に相当しており、受信端子P1及び共用アンテナ50を介して空きチャネルを検索する公知のキャリアセンス通信処理を行い得るように構成されている。
【0072】
また、受信端子P1には、共用アンテナ50側から第1周波数帯の信号が入力されるとき及び第2周波数帯の信号が入力されるときにハイインピーダンス状態となる高抵抗手段が接続されており、「キャリアセンス手段」として機能するRFID制御部320及びCPU5は、この「高抵抗手段」を介してキャリアセンス通信処理を行うように構成されている。なお、「高抵抗手段」は、第1周波数帯の信号及び第2周波数帯の信号の通過を抑制しうる手段であればよく、例えば減衰器などの公知の様々な電気部品を採用できる。
【0073】
本実施形態の構成では、RFID制御部320(非接触通信制御回路)において、共用アンテナ50と周波数分離回路210との間の信号伝達ラインに接続される受信端子P1が設けられ、更に、受信端子P1及び共用アンテナ50を介してキャリアセンス通信処理を行う「キャリアセンス手段」が設けられている。このようにすると、高周波スイッチ211が第2伝達経路214側に切り替えられているとき(即ち無線LAN通信中)であってもキャリアセンス通信処理を行うことができ、高周波スイッチ211が第1伝達経路213側に切り替えられた後に即座に非接触通信を行うことができるようになる。
【0074】
また、受信端子P1に、共用アンテナ50側から第1周波数帯の信号が入力されるとき及び第2周波数帯の信号が入力されるときにハイインピーダンス状態となる「高抵抗手段」が接続されている。このようにすると、キャリアセンスに用いる受信端子P1によってアンテナの整合が崩れず、キャリアセンス用受信端子P1に起因する損失を効果的に抑えることができる。一方、キャリアセンスについては、その性質上、弱い電力であっても処理可能であるため、キャリアセンス手段により、高抵抗手段を介してキャリアセンス通信処理を良好に行うことができる。
【0075】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0076】
上記実施形態では、共用アンテナの配置の一例を示したが(図1参照)、共用アンテナの位置は図1の例に限定されず、リーダライタ端末の様々な位置に配置することができる。
【0077】
第2、第3実施形態の構成では以下のような制御を行ってもよい。
第2、第3実施形態の構成では、キャリア発振器21が「キャリア出力手段」の一例に相当しており、また、CPU5がキャリア発振器21からのキャリアのオンオフを制御する構成をなしている。このキャリアのオンオフ制御は、電波法などで制約を受ける場合があり、例えば、図9に示すように、キャリアの出力が所定の許容時間(例えば1s)を超える場合にキャリアの出力を強制的にオフ状態とし、且つオフ状態が一定時間(例えば0.1s)継続した場合に再びキャリアの出力を許容時間(例えば1s)において継続可能とするといった制御を行う場合がある。
このような制御を行う場合において、非接触通信と無線LAN通信とが競合するときには、図9のように、キャリアの出力が許容される所定の許容時間内のときに高周波スイッチ211を第1伝達経路213側に切り替えて非接触通信を行い、キャリアの出力が強制的にオフ状態となるときに、高周波スイッチ211に対し第2伝達経路214に切り替える信号を与え、このキャリアオフ時間において無線LAN通信処理を行うようにしてもよい。この場合、強制的なキャリアオフ時間が終了したタイミングで、再び、第1伝達経路213側に切り替えて非接触通信を行ってもよく、強制的なキャリアオフ時間が終了したときに無線LAN通信が完了していない場合には無線LAN通信が完了するのを待って非接触通信に切り替えてもよい。
なお、当該構成においてはCPU5が「オンオフ制御手段」「高周波スイッチ制御手段」の一例に相当する。
このようにすると、強制的に非接触通信が遮断される時間を利用して無線LAN通信を行うことができるため、両通信の効率化を図ることができ、通信完了をより早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、第1実施形態に係るリーダライタ端末を概略的に例示する説明図である。
【図2】図2は、図1のリーダライタ端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、図2のRFID制御部の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、図2の周波数分離回路等の構成例を示すブロック図である。
【図5】図5は、周波数と減衰量の関係を示すグラフである。
【図6】図6は、第2実施形態のリーダライタ端末で用いられる周波数分離回路等を例示するブロック図である。
【図7】図7は、第2実施形態のリーダライタ端末で行われる通信処理を例示するフローチャートである。
【図8】図8は、第3実施形態のリーダライタ端末で用いられるRFID制御部、周波数分離回路等を例示するブロック図である。
【図9】図9は、第2、第3実施形態の構成を採用したときの制御例を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1…リーダライタ端末
4…液晶表示器(表示装置)
5…CPU(非接触通信手段、無線LAN通信手段、高周波スイッチ制御手段)
7'…操作領域
10,210…周波数分離回路(周波数分離手段)
11…第1バンドパスフィルタ
12…第2バンドパスフィルタ
20,320…RFID制御部(非接触通信制御回路、非接触通信手段)
40…無線LAN制御部(無線LAN通信制御回路、無線LAN通信手段)
50…共用アンテナ(非接触通信手段、無線LAN通信手段)
51…同軸ケーブル
211…高周波スイッチ
P1…受信端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触通信媒体と第1周波数帯で通信を行う非接触通信手段と、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯で無線LAN通信を行う無線LAN通信手段と、とを備えたリーダライタ端末であって、
前記非接触通信手段及び前記無線LAN通信手段のいずれにも用いられる共用アンテナと、
前記共用アンテナを介して前記非接触通信媒体と非接触通信を行う非接触通信制御回路と、
前記共用アンテナを介して無線LAN通信を行う無線LAN通信制御回路と、
前記共用アンテナからの前記第1周波数帯の信号と前記第2周波数帯の信号とを分離する前記周波数分離手段と、
を有し、
前記周波数分離手段は、前記無線LAN通信制御回路及び前記非接触通信制御回路に接続されており、前記第1周波数帯の信号を前記非接触通信制御回路に伝達し、前記第2周波数帯の信号を前記無線LAN通信制御回路に伝達することを特徴とするリーダライタ端末。
【請求項2】
前記共用アンテナと前記周波数分離回路とが単一の同軸ケーブルによって接続されており、
前記共用アンテナと前記周波数分離回路との間において、前記第1周波数帯の信号及び前記第2周波数帯の信号が、いずれも前記単一の同軸ケーブルを介して伝達されることを特徴とする請求項1に記載のリーダライタ端末。
【請求項3】
当該リーダライタ端末は長手状に構成され、
前記共用アンテナは、当該リーダライタ端末の長手方向一端部側に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリーダライタ端末。
【請求項4】
当該リーダライタ端末の長手方向一端部寄りに表示装置が設けられ、他端部寄りに複数の操作ボタンが配置される操作領域が設けられており、
前記共用アンテナは、当該リーダライタ端末の長手方向一端部において、当該リーダライタ端末の厚さ方向における前記表示装置が設けられた面側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のリーダライタ端末。
【請求項5】
前記周波数分離手段は、前記第1周波数帯の信号を通過させる第1バンドパスフィルタと、前記第2周波数帯の信号を通過させる第2バンドパスフィルタとを有し、
前記第1周波数帯の信号が前記第1バンドパスフィルタを介して前記非接触通信制御回路に伝達され、前記第2周波数帯の信号が前記第2バンドパスフィルタを介して前記無線LAN通信制御回路に伝達されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリーダライタ端末。
【請求項6】
前記第1バンドパスフィルタは、前記共用アンテナ側から前記第1周波数帯の信号が入力されるときにインピーダンスが整合状態となり、前記共用アンテナ側から前記第2周波数帯の信号が入力されるときにオープン状態となるように、前記第2周波数帯の帯域阻止フィルタとして構成され
前記第2バンドパスフィルタは、前記共用アンテナ側から前記第2周波数帯の信号が入力されるときにインピーダンスが整合状態となり、前記共用アンテナ側から前記第1周波数帯の信号が入力されるときにオープン状態となるように、前記第1周波数帯の帯域阻止フィルタとして構成されていることを特徴とする請求項5に記載のリーダライタ端末。
【請求項7】
前記周波数分離手段は、
前記共用アンテナ側からの高周波信号を伝達する経路を、前記非接触通信制御回路に伝達する第1伝達経路と、前記無線LAN通信制御回路に伝達する第2伝達経路とで切り替える高周波スイッチと、
前記高周波スイッチの切り替えを制御する高周波スイッチ制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリーダライタ端末。
【請求項8】
前記非接触通信手段は、
キャリアを出力するキャリア出力手段と、
前記キャリア出力手段による前記キャリアの出力を制御する構成をなし、前記キャリアの出力が所定の許容時間を超える場合に前記キャリアの出力を強制的にオフ状態とし、且つ前記オフ状態が一定時間継続した場合に再び前記キャリアの出力を前記許容時間において継続可能とするオンオフ制御手段と、
を備え、
前記高周波スイッチ制御手段は、前記オンオフ制御手段により前記キャリアの出力が強制的に前記オフ状態となったときに前記第2伝達経路に切り替えることを特徴とする請求項7に記載のリーダライタ端末。
【請求項9】
前記非接触通信手段は、
前記共用アンテナと前記周波数分離手段との間の信号伝達ラインに接続される受信端子と、
前記受信端子及び前記共用アンテナを介してキャリアセンス通信処理を行うキャリアセンス手段とを有することを特徴とする請求項8に記載のリーダライタ端末。
【請求項10】
前記受信端子には、前記共用アンテナ側から前記第1周波数帯の信号が入力されるとき及び前記第2周波数帯の信号が入力されるときにハイインピーダンス状態となる高抵抗手段が接続されており、
前記キャリアセンス手段は、前記高抵抗手段を介して前記キャリアセンス通信処理を行うことを特徴とする請求項9に記載のリーダライタ端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−122977(P2010−122977A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297034(P2008−297034)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】