説明

リーファーコンテナの荷役方法、及びその荷役制御システム

【課題】電源ケーブルの連結を解除する解放作業を行う作業員と、荷役作業を行うクレーンオペレータが有する情報を共有化し、リーファーコンテナの電源ケーブルの切断事故を防止し、荷役作業の安全性の高いリーファーコンテナの荷役方法を提供する。
【解決手段】コンテナターミナル1で荷役するリーファーコンテナ5Rの荷役方法において、リーファーコンテナ5Rの電源ケーブル6の接続の状態を、リーファーコンテナの管理システム10で収集する接続情報収集ステップと、接続情報をコンテナターミナル制御システム4に送信するデータ蓄積ステップと、リーファーコンテナ5Rの荷役を行う岸壁クレーン3又は門型クレーン25が、コンテナターミナル制御システム4から接続情報を車載端末14で受信する受信ステップと、接続情報を基に、岸壁クレーン3又は門型クレーン25で、リーファーコンテナ5Rを荷役する荷役作業ステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナターミナルにおいて、リーファーコンテナを荷役する方法、及びその荷役制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾や内陸地等のコンテナターミナル(コンテナヤードともいう)では、岸壁クレーンや門型クレーンによって、コンテナ船及びトレーラ間のコンテナの荷役を行っている。図3にコンテナターミナル1Xの概略を示す。
【0003】
以下に、コンテナターミナル1Xにおいて、コンテナ5を荷役する様子を説明する。このコンテナターミナル1Xでは、まず、コンテナ船2に積載したコンテナ5を、岸壁クレーン3で荷揚げし、トレーラ26に搭載する。そして、コンテナ5を搭載したトレーラ26は、コンテナ載置エリア27に移動する。その後、門型クレーン25は、トレーラ26からコンテナ5を吊り上げ、コンテナ載置エリア27(27R、27D)に載置する。
【0004】
なお、コンテナ5には、ドライコンテナ5Dと呼ばれる通常のコンテナや、リーファーコンテナ5Rと呼ばれる保温機能を有したコンテナがある。このリーファーコンテナ5Rは、冷凍コンテナとも呼ばれており、冷凍食品や野菜等を運搬する際に利用し、外部電源により、内部の保温を行っている。
【0005】
また、コンテナ載置エリア27には、ドライコンテナ5Dを載置するドライエリア27Dや、リーファーコンテナ5Rを載置するリーファーエリア27Rがある。このリーファーエリア27Rには、リーファースタンド28を設置している。このリーファースタンド28は、リーファーコンテナ5Rに電気を供給するための電源を設置したものである。
【0006】
次に、リーファーコンテナ5Rの荷役作業に関して説明する。リーファーコンテナ5R
には、冷凍食品等、温度管理が厳格に要求される貨物をおさめている。そのため、この貨物の品質を保つために、リーファーコンテナ5R内の温度管理が重要となっている。
【0007】
そのため、リーファーコンテナ5Rの荷役(荷役作業)では、例えば、コンテナ船2で電源ケーブルの連結を解除(解放作業)した後、リーファーエリア27Rに運搬し、電源ケーブルを接続するまでの時間が規定されている。この予め規定されている時間内に、コンテナの荷役を完了する必要がある。
【0008】
この規定時間を厳守するために、コンテナ船2内で、電源ケーブルの連結を解除する解放作業は、リーファーコンテナ27Rの荷役作業の直前に行っている。また、同様のことが、リーファーコンテナ27Rを、リーファーエリア27Rからコンテナ船2に運搬する際にも言える。なお、電源ケーブルの連結及び解放作業は、作業員による人力により行っている。
【0009】
しかしながら、リーファーコンテナ5Rの荷役作業は、いくつかの問題点を有している。第1に、前述の規定時間を守るために、電源ケーブルの連結を解除する解放作業を、荷役直前まで遅らせると、電源ケーブルの接続の解除を十分に確認することができず、解除作業が完了していないリーファーコンテナを荷役し、電源ケーブルを切断する事故が発生するという問題を有している。
【0010】
この事故により、リーファーコンテナの電源ケーブルが破損し、交換できない場合、リ
ーファーコンテナ内の温度管理が不可能となり、内部の貨物に損傷を与え、貨物を破棄せざるを得ない状況となることが多い。
【0011】
第2に、リーファークレーンを荷役するクレーン(岸壁クレーン又は門型クレーン)のオペレータが、解放作業を行う作業員を目視することは困難であるため、作業員の傍のコンテナを荷役し、作業員の負傷事故が発生するという問題を有している。特に、解放作業と荷役作業の時間的間隔を小さくして、効率化を図ると、この事故の発生する可能性が高くなってしまう。
【0012】
他方で、リーファーコンテナ5R内の貨物の品質保持のために、リーファーコンテナにモニタリング用のソケットを接続し、それぞれのリーファーコンテナの温度、コンプレッサの運転状態、及び除霜作業の状況を、冷凍コンテナモニタ(管理システム)で、監視する方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0013】
また、コンテナターミナルにおいて、荷役作業の効率化し、リーファーコンテナ5R内の貨物の品質保持のために、コンテナターミナル制御システムを採用している場合がある。図4に、従来技術の制御システム、及び上記のリーファーコンテナ5Rの管理システムを採用した、コンテナターミナル1Xにおけるリーファーコンテナ5Rの荷役方法の概念を示す。
【0014】
コンテナターミナル1Xには、主に、リーファーコンテナ5Rを搭載しているコンテナ船2と、リーファーコンテナ5Rを荷役する岸壁クレーン3と、コンテナターミナル1の運行を制御するコンテナターミナル制御システム4がある。
【0015】
まず、リーファーコンテナ5Rの載置している状況を説明する。図4に示す様に、リーファーコンテナ5Rは、電源プラグ7(7a、7b)及び電源ケーブル6を介して、コンテナ船2に搭載している電源8に接続している。また、モニタリング用のケーブル9、又は電源ケーブル6を介して、コンテナ船2に設置したリーファーコンテナの管理システム10に接続している。
【0016】
次に、このコンテナターミナル1Xにおけるリーファーコンテナ5Rの荷役方法に関して説明する。まず、コンテナ船2内で、作業員がリーファーコンテナ5Rの電源プラグ7a、7bの接続を解除する解放作業を行う。この解放作業により荷役可能状態となったリーファーコンテナ5Rを、岸壁クレーン3で荷揚げする荷役作業Uを行う。
【0017】
岸壁クレーン3は、モニタ画面を有した車載端末(無線ターミナル)14を有している。この車載端末14に、コンテナターミナル制御システム4から、荷役作業Uの指示等をデータ通信L2するように構成している。なお、岸壁クレーン3は、クレーン制御装置15を有している。
【0018】
また、図4に示すコンテナターミナル制御システム4は、いくつかのシステムを組み合わせて構成している。例えば、ヤードプランコンピュータシステム(以下、YPCS)11に、ベッセルプランモジュール(VP)12及びヤードプランモジュール(以下、YP)13を組み合わせたものがある。
【0019】
以下に、各システムの働きを説明する。ヤードプランコンピュータシステム(YPCS)11は、オンライン且つリアルタイムに、コンテナ5に関する情報を管理し、コンテナヤード1X内におけるコンテナ5の在庫管理と、ハンドリングスケジュール(荷役作業の予定)の計画等を行う。このYPCS11は、コンテナターミナル制御システム4の中心となるシステムである。
【0020】
また、ベッセルプランモジュール(VP)12は、コンテナ船2におけるコンテナ情報(識別番号や行き先情報等)及び位置情報等を保持しており、この情報に基づいて、コンテナ5の荷役作業の予定を作成し、岸壁クレーン3に指示する。この指示に基づいて、クレーンオペレータは、荷揚げすべきコンテナ5を識別し、荷役作業Uを行う。
【0021】
また、ヤードプランモジュール(YP)13は、コンテナヤードにおけるコンテナ情報及び位置の情報を保持しており、この情報に基づいてコンテナ載置計画や、コンテナシフトプラン等を作成し、門型クレーン25等に指示する。
【0022】
このコンテナターミナル制御システム4の導入により、リーファーコンテナ5Rの荷役を効率的に行える。つまり、コンテナターミナルでは、例えば、あるコンテナ船から異なるコンテナ船へ、一部のコンテナの乗換えを行う場合があり、この乗換えを行うコンテナは、移動先のコンテナ船が到着する岸壁近くに載置する必要がある。また、トレーラによりコンテナターミナルの外部に運搬するコンテナは、コンテナターミナルの出口傍に載置する必要がある。このコンテナの載置する位置の指示を制御システムにより行い、荷役作業を行う領域を分散し、荷役効率の向上を実現している。
【0023】
しかしながら、上記のコンテナターミナル制御システム4を利用した場合であっても、リーファーコンテナ5Rの電源プラグの着脱情報が保持されていないため、解放作業と荷役作業を時間的に短い間隔で行う際に、前述の問題が発生する。つまり、岸壁クレーン又は門型クレーンで、解放作業の完了していないコンテナを荷役したり、解放作業を行う作業員が負傷する事故が発生したりする問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平10−91827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、電源ケーブルの連結を解除する解放作業を行う作業員と、荷役作業を行うクレーンオペレータが有する情報を共有化し、リーファーコンテナの電源ケーブルの切断事故を防止し、荷役作業の安全性の高いリーファーコンテナの荷役方法を提供することにある。また、リーファーコンテナ内の貨物の品質低下を抑制するリーファーコンテナの荷役方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するための本発明に係るリーファーコンテナの荷役方法は、海上輸送用のリーファーコンテナを、コンテナターミナルで荷役するリーファーコンテナの荷役方法において、前記リーファーコンテナの電源ケーブルの接続の状態を、前記リーファーコンテナの管理システムで収集する接続情報収集ステップと、前記接続情報をコンテナターミナル制御システムに送信するデータ蓄積ステップと、前記リーファーコンテナの荷役を行う岸壁クレーン又は門型クレーンが、前記コンテナターミナル制御システムから前記接続情報を車載端末で受信する受信ステップと、前記接続情報を基に、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンで、リーファーコンテナを荷役する荷役作業ステップを有したことを特徴とする。
【0027】
この構成により、電源ケーブルの接続の解除状況を、岸壁クレーン及び門型クレーン(以下、クレーンと総称する)のオペレータは、リアルタイムで知ることができるため、電源ケーブルの接続を解除していないリーファーコンテナを荷役してしまう事故を防止することができる。また、解放作業を行う作業員に対する事故を抑制することができる。
【0028】
なお、リーファーコンテナの電源ケーブルの接続を解除する解放作業は、作業員による人力で行ってもよく、コンテナ船、岸壁クレーン、門型クレーン、又はコンテナターミナル制御システムからの制御信号により自動的に行うようにしてもよい。
【0029】
上記のリーファーコンテナの荷役方法において、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンが、前記リーファーコンテナを荷役する際に、前記電源ケーブルの接続を解除する解放作業が完了しているかを判断する判断ステップと、前記判断ステップで荷役不可能と判断した場合、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンのクレーン制御装置に荷役禁止信号を送信し、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンの荷役動作を停止する禁止制御ステップを有したことを特徴とする。
【0030】
この構成により、クレーンは、電源ケーブルの解除が完了していないリーファーコンテナを荷役することが不可能となるため、電源ケーブルが破断する事故等を防止することができる。
【0031】
なお、具体的には、例えば、荷役禁止信号を、クレーンに搭載したクレーン制御装置に送り、リーファーコンテナと、クレーンのスプレッダ(吊り具)を連結する連結金物(ツイストロック)の回転を禁止する制御を行い、コンテナの荷役作業を禁止することができる。また、スプレッダの巻上げを禁止する制御を行ってもよい。
【0032】
上記の目的を達成するための本発明に係るリーファーコンテナの荷役制御システムは、海上輸送用のリーファーコンテナを、コンテナターミナルで荷役するリーファーコンテナの荷役制御システムにおいて、前記リーファーコンテナの電源ケーブルの接続の状態を把握し、接続情報を収集する前記リーファーコンテナの管理システムと、前記管理システムから前記接続情報を受けるコンテナターミナル制御システムと、前記リーファーコンテナの荷役を行う岸壁クレーン又は門型クレーンが、前記コンテナターミナル制御システムから前記接続情報を受信する車載端末と、前記車載端末の前記接続情報に基づき、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンを制御するクレーン制御装置を有したことを特徴とする。この構成により、上記のリーファーコンテナの荷役方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
上記のリーファーコンテナの荷役制御システムにおいて、前記管理システム側の電源プラグが、前記リーファーコンテナ側の電源ケーブルとの接続状態を把握する着脱センサを有していることを特徴とする。この構成により、電源ケーブルの接続状態を容易に把握することができる。
【0034】
上記のリーファーコンテナの荷役制御システムにおいて、前記管理システムを、前記電源ケーブルの電圧変化から、前記リーファーコンテナの電源ケーブルの接続状況を把握し、前記接続情報として収集するように構成したことを特徴とする。この構成により、電源ケーブルの接続状態を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係るリーファーコンテナの荷役方法、及びその荷役制御システムによれば、電源ケーブルの接続を解除する解放作業を行う作業員と、荷役作業を行うクレーンオペレータが有する情報を共有化でき、リーファーコンテナの電源ケーブルの切断事故を防止し、安全性が高く、且つ、荷役効率の高いリーファーコンテナの荷役方法、及びその荷役制御システムを提供することができる。更に、電源ケーブルの解放作業と、リーファーコンテナの荷役作業の間隔を短くすることができるため、リーファーコンテナに、荷役に伴う通
電不可能となる時間を短縮することができ、貨物を高品質に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る実施の形態のリーファーコンテナの荷役方法の概念を示した図である。
【図2】本発明に係る実施の形態のリーファーコンテナの荷役制御のフローを示した図である。
【図3】コンテナターミナルの概略を示した図である。
【図4】従来のコンテナターミナルにおけるリーファーコンテナの荷役方法の概念を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明に係る実施の形態のリーファーコンテナの荷役方法、及びその荷役制御システムについて、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明に係る実施の形態のリーファーコンテナの荷役方法の概念を示す。
【0038】
コンテナターミナル1には、主に、リーファーコンテナ5Rを搭載しているコンテナ船2と、リーファーコンテナ5Rを荷役する岸壁クレーン3と、コンテナターミナル1の運行を制御するコンテナターミナル制御システム4がある。
【0039】
まず、リーファーコンテナ5Rの載置している状況を説明する。図1に示す様に、リーファーコンテナ5Rは、電源プラグ7(7a、7b)及び電源ケーブル6を介して、コンテナ船2に搭載している電源8に接続している。また、この電源ケーブル6を介して、コンテナ船2に設置したリーファーコンテナ5Rの管理システム10に接続している。
【0040】
この管理システム10は、リーファーコンテナ5Rに供給している電気の電圧変化を、信号として収集している。この信号から、リーファーコンテナ5Rのコンプレッサの稼働状況を把握したり、あるいは、リーファーコンテナ5Rに供給している交流電源に、変調
波として合成されている信号によって、リーファーコンテナ5R内の温度を推定するように構成している。
【0041】
次に、コンテナターミナル1におけるリーファーコンテナ5Rの荷役方法に関して説明する。まず、コンテナ船2内で、作業員がリーファーコンテナ5Rの電源プラグ7a、7bの接続を解除する解放作業を行う。管理システム10は、この電源プラグ7の解除により変化する電圧を、リーファーコンテナ5Rの接続情報として収集し、この信号から電源プラグ7の接続が解除されたこと(接続情報)を認識する(接続情報収集ステップ)。
【0042】
次に、リーファーコンテナ5Rの接続情報を、管理システム10と、コンテナターミナル制御システム4を構成するベッセルプランモジュール(VP)12の間で、データ通信L1する(データ蓄積ステップ)。次に、VP12の保持するコンテナ情報と共に、前述の接続情報を、岸壁クレーン3の車載端末(モニタ画面付き無線ターミナル)14で受信する(受信ステップ)。次に、このモニタ画面付き無線ターミナル14の指示に従い、クレーンオペレータは、リーファーコンテナ5Rを荷揚げする荷役作業Uを行う(荷役作業ステップ)。なお、データ通信L1、L2は、無線通信や無線LANを利用することができ、これらのデータ通信は、双方向に常時行うことが望ましい。
【0043】
また、この岸壁クレーン3による荷役作業Uにおいて、荷役対象となるリーファーコンテナ5Rが、荷役可能な状態であるかを判断する(判断ステップ)。リーファーコンテナ5Rの電源プラグ7の接続が解除されていない場合は、岸壁クレーン3に荷役禁止信号を送信し、クレーンの荷役動作を停止する制御を行う(禁止制御ステップ)。
【0044】
この判断は、VP12の情報と、クレーン制御装置15から得られるクレーンのスプレッダ(吊り具)の位置情報の比較から行い、この判断は、モニタ画面付き無線ターミナル(車載端末)14、コンテナターミナル制御システム4、又は、クレーン制御装置15等のいずれかで行うように構成している。この判断の結果、荷役不可能と判断した場合は、この荷役禁止信号をクレーン制御装置15に送るように構成している。
【0045】
なお、クレーン制御装置15は、岸壁クレーン3の動作のすべてを制御しており、このクレーン制御装置15から、スプレッダの巻上げ動作や、スプレッダに設置しているツイストロック(連結金具)の回転動作を制御することができる。つまり、クレーンオペレータがリーファーコンテナ5Rの荷役を行うための操作を行っても、クレーン制御装置15により、この操作を遮断することができる。そのため、解除作業の終了していないリーファーコンテナ5Rを、クレーンオペレータの操作に関わらず荷役できないように制御することができる。
【0046】
上記のリーファーコンテナ5Rの荷役方法により、岸壁クレーン3のオペレータは、解放作業の完了しているリーファーコンテナ5Rを、リアルタイムで認識することができる。そのため、解放作業と荷役作業Uを同時平行的に行うことができるようになり、コンテナターミナル1における荷役効率の大幅な向上を実現することができる。特に、リーファーコンテナ5Rの保温機能が停止する時間を短縮できるため、貨物の品質維持の精度を向上することが可能となる。
【0047】
また、クレーンオペレータが、モニタ画面付き無線ターミナル14の指示を、誤って理解してしまい、解放作業の完了していないリーファーコンテナ5Rを荷役しようとした場合であっても、クレーン制御装置15の制御により、強制的に荷役を禁止することができる。そのため、荷役作業Uに伴う事故の発生等を高いレベルで抑制することができる。
【0048】
図2に、リーファーコンテナの荷役方法における制御フローを示す。まず、作業員が、解放作業を行い(電源ケーブル解放ステップ)、解放したリーファーコンテナ5Rの識別番号や位置の情報を含む接続情報を、管理システム10で収集する(接続情報収集ステップ)。
【0049】
次に、コンテナターミナル1の中央管理室等に設置したコンテナターミナル制御システム4に、管理システム10から情報を送信する(データ蓄積ステップ)。
【0050】
次に、岸壁クレーン3の車載端末14が、コンテナターミナル制御システム4からリーファーコンテナ5Rの接続情報を受信する(受信ステップ)。受信した情報から、現在、荷役しようとしているリーファーコンテナ5Rが、荷役可能な状態であるかを判断する(判断ステップ)。荷役対象のリーファーコンテナ5Rが、荷役不可能の状態であれば、クレーン3は、他の可能なリーファーコンテナ5Rを荷役する、又は、荷役可能な状態となるまで待機する。荷役対象のリーファーコンテナ5Rが、荷役可能な状態であれば、荷役作業Uを行い、完了後に次の荷役対象となるリーファーコンテナ5Rが荷役可能な状態であるかの判断を行う。
【0051】
以上、リーファーコンテナ5Rの荷役方法の説明を、コンテナ船2から岸壁クレーン3により荷役する場合を例に説明したが、リーファーエリア27Rから門型クレーン25により荷役する場合も、同様の荷役方法を採用することができる。
【0052】
つまり、図1において、コンテナ船2をリーファーエリア27Rに、岸壁クレーン3を門型クレーン25に読み替えて、上記と同様の荷役方法を行い、同様の作用効果を得るこ
とができる。このとき、車載端末14に接続情報を送信するのは、ベッセルプランモジュール(VP)12からではなく、ヤードプランモジュール(YP)13からとなる。これは、リーファーエリア27Rでのリーファーコンテナ5Rの位置情報等を、YP13が保持しているためである。
【符号の説明】
【0053】
1 コンテナターミナル(コンテナヤード)
2 コンテナ船
3 岸壁クレーン
4 コンテナターミナル制御システム
5 コンテナ
5R リーファーコンテナ
6 電源ケーブル
10 管理システム
11 ヤードプランコンピュータシステム(YPCS)
12 ベッセルプランモジュール(VP)
13 ヤードプランモジュール(YP)
14 車載端末(モニタ画面付き無線ターミナル)
15 クレーン制御装置
U 荷役作業

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上輸送用のリーファーコンテナを、コンテナターミナルで荷役するリーファーコンテナの荷役方法において、
前記リーファーコンテナの電源ケーブルの接続の状態を、前記リーファーコンテナの管理システムで収集する接続情報収集ステップと、
前記接続情報をコンテナターミナル制御システムに送信するデータ蓄積ステップと、
前記リーファーコンテナの荷役を行う岸壁クレーン又は門型クレーンが、前記コンテナターミナル制御システムから前記接続情報を車載端末で受信する受信ステップと、
前記接続情報を基に、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンで、リーファーコンテナを荷役する荷役作業ステップを有したことを特徴とするリーファーコンテナの荷役方法。
【請求項2】
前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンが、前記リーファーコンテナを荷役する際に、前記電源ケーブルの接続を解除する解放作業が完了しているかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップで荷役不可能と判断した場合、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンのクレーン制御装置に荷役禁止信号を送信し、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンの荷役動作を停止する禁止制御ステップを有したことを特徴とする請求項1に記載のリーファーコンテナの荷役方法。
【請求項3】
海上輸送用のリーファーコンテナを、コンテナターミナルで荷役するリーファーコンテナの荷役制御システムにおいて、
前記リーファーコンテナの電源ケーブルの接続の状態を把握し、接続情報を収集する前記リーファーコンテナの管理システムと、
前記管理システムから前記接続情報を受けるコンテナターミナル制御システムと、
前記リーファーコンテナの荷役を行う岸壁クレーン又は門型クレーンが、前記コンテナターミナル制御システムから前記接続情報を受信する車載端末と、
前記車載端末の前記接続情報に基づき、前記岸壁クレーン又は前記門型クレーンを制御するクレーン制御装置を有したことを特徴とするリーファーコンテナの荷役制御システム。
【請求項4】
前記管理システム側の電源プラグが、前記リーファーコンテナ側の電源ケーブルとの接続状態を把握する着脱センサを有していることを特徴とする請求項3に記載のリーファーコンテナの荷役制御システム。
【請求項5】
前記管理システムを、前記電源ケーブルの電圧変化から、前記リーファーコンテナの電源ケーブルの接続状況を把握し、前記接続情報として収集するように構成したことを特徴とする請求項3に記載のリーファーコンテナの荷役制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−37542(P2011−37542A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184340(P2009−184340)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】