ループブラシローラおよび画像形成装置
【課題】ループブラシローラのほつれの発生を抑制することで、ループブラシローラの使用において発生する不具合を防止することを可能とするループブラシローラおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】リボンブラシ31aの記織方向Wに対して垂直方向に位置する両端部の内、少なくとも一方の端部においては、隣接するループ310Rの間を通る横糸31a2は縦糸31a1の下を通過し、ループ310Rの中を通る横糸31a2は縦糸31a1の上を通過している。
【解決手段】リボンブラシ31aの記織方向Wに対して垂直方向に位置する両端部の内、少なくとも一方の端部においては、隣接するループ310Rの間を通る横糸31a2は縦糸31a1の下を通過し、ループ310Rの中を通る横糸31a2は縦糸31a1の上を通過している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループブラシローラおよびループブラシローラを有し電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、FAX、これら複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像形成装置は、円筒状で回転可能な像担持体と、像担持体の表面を一様に帯電する帯電手段と、像担持体を露光して静電潜像を作成する露光手段と、現像部に印加される電圧と静電潜像間の電位差により静電潜像にトナー像を現像する現像手段と、感光体ドラムと対向するように配置されてトナー像と逆極性の電圧が印加されることで像担持体上のトナー像を紙などの転写体に転写しながら搬送する転写搬送手段と、転写体上に転写されずに感光体ドラム上に残留した転写残トナーを掻き落とすために感光体ドラムに当接している清掃手段と、転写体上に転写されたトナー像に熱と圧力を加えることでトナー像を転写体上に定着させる定着手段とを有し、画像形成を行なう。
【0003】
清掃手段としては、短冊状のポリウレタンを像担持体に押し当てて転写残トナーを掻き落とすクリーニングブレードが使用される。
【0004】
近年では、画像形成装置内の様々な箇所においてブラシローラが使用されている。ブラシローラとしては、縦糸と横糸を編みこんで形成した基材の間に繊維束を通して一方の面にループ形状を形成したループブラシローラと、基材から繊維束が突出した直毛ブラシローラがある。
【0005】
従来は構成が単純な直毛ブラシローラが多く用いられてきたが、ループブラシローラは接触対象に対する面圧が低く攻撃性が低いために広く使用され始めている。使用領域としては、帯電ブラシローラ、清掃ブラシローラ、滑剤塗布ブラシローラ、紙粉除去ブラシローラ等がある。ここでは滑剤塗布用のループブラシローラとして使用する場合を主に説明する。
【0006】
ループブラシローラを使用する際は、直毛ブラシローラを使用する際とは異なる取り扱いが必要である。たとえば、特開2010−107683号公報(特許文献1)には、ループブラシローラとブラシローラの回転方向の形成する角度を所定の設定にすることでクリーニングブレード端部と像担持部材の表面との摩擦力を低減させて、クリーニングブレードおよび像担持体の長期使用を可能にする構成が提案されている。
【0007】
また、特開2010−97234号公報(特許文献2)には、ループを包含する平面と基材表面とが交差する線の角度を所定角度に設定にすることによる固形潤滑剤の均一な掻き取りと、フリッカによる現像剤の払い落しとを達成することが提案されている。
【0008】
また、特開平06−289759号公報(特許文献3)には、像担持体表面に摺擦して、同表面を清掃するファーブラシローラが開示されている。このファーブラシローラは、潜像担持体の表面に接触するループ状毛体を有し、そのループ状毛体として、根元の両脚部の間隔が少なくとも3mmに設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−107683号公報
【特許文献2】特開2010−97234号公報
【特許文献3】特開平06−289759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながらループブラシローラは、ループを編みこんだ基材を軸芯ローラに螺旋状に巻き付けて形成するという構成上、強い引っ張り力がループに加わったときにループがほつれてしまうという課題がある。
【0011】
滑剤塗布ブラシローラとして使用されるループブラシローラではほつれが発生すると、ほつれた繊維束がブラシローラの表面に巻きつくために、滑剤掻き取り力の高いブラシローラ先端部が繊維束に覆われて滑剤の掻き取り力が低下してしまう。
【0012】
これにより滑剤塗布用のループブラシローラから像担持体に供給される滑剤量が減少して、クリーニングブレードと像担持体の間で発生する摩擦が大きくなり、クリーニングブレードと像担持体が短期間で摩耗してしまい使用できなくなってしまう。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ループブラシローラのほつれの発生を抑制することで、ループブラシローラの使用において発生する不具合を防止することを可能とするループブラシローラおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に基づいたループブラシローラにおいては、軸芯ローラおよび上記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられるリボンブラシを備えるループブラシローラであって、上記リボンブラシは、織方向と同方向に走る縦糸および上記織方向に対して垂直に走る横糸を編みこんで形成される基材と、上記基材の中を、上記縦糸の間を、上記縦糸と並行に通る繊維束とを含み、上記繊維束は、上記基材の表面側に一定間隔で突出するループを形成し、上記リボンブラシの上記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、少なくとも一方の端部においては、上記表面側を上とするとき、隣接する上記ループの間を通る上記横糸は上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸は上記縦糸の上を通過している。
【0015】
他の形態では、上記リボンブラシの上記織方向に対して垂直方向に位置する両端部のいずれもが、隣接する上記ループの間を通る上記横糸は上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸は上記縦糸の上を通過している。
【0016】
他の形態では、上記繊維束と上記繊維束との間の上記縦糸の本数が偶数本であり、上記繊維束の本数が偶数である。
【0017】
他の形態では、上記繊維束と上記繊維束との間の上記縦糸の本数が偶数本であり、上記繊維束の本数が奇数本であり、上記リボンブラシの上記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、隣接する上記ループの間を通る上記横糸が上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸が上記縦糸の上を通過している端部側を、当該ループブラシローラの回転方向の下流側に位置するように、上記リボンブラシが上記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられている。
【0018】
他の形態では、上記繊維束と上記繊維束との間の上記縦糸の本数が奇数本であり、上記繊維束の本数が奇数本であり、上記リボンブラシの上記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、隣接する上記ループの間を通る上記横糸が上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸が上記縦糸の上を通過している端部側を、当該ループブラシローラの回転方向の下流側に位置するように、上記リボンブラシが上記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられている。
【0019】
この発明に基づいた画像形成装置においては、像担持体と、上記像担持体に回転可能に接触するように配置される、上述のいずれかに記載のループブラシローラと、を備える。
【0020】
他の形態では、上記ループブラシローラは、上記リボンブラシにおける、少なくとも上記ループブラシローラの回転方向下流側の端部において、隣接する上記ループの間を通る上記横糸が上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸が上記縦糸の上を通過しているループブラシローラである。
【0021】
他の形態では、当該画像形成装置は、固形潤滑剤を含み、上記ループブラシローラは、上記固形潤滑剤が押圧されている。
【発明の効果】
【0022】
この発明に基づいたループブラシローラおよび画像形成装置によれば、ループブラシローラのほつれの発生を抑制することで、ループブラシローラの使用において発生する不具合を防止することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態における画像形成装置100の全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態における潤滑剤供給手段の概略構成を示す図である。
【図3】実施の形態におけるループブラシローラの全体構成を示す図である。
【図4】実施の形態におけるリボンブラシの平面図である。
【図5】図4中のVで示す織方向(W)に対して垂直方向から見た端部の構成を示す図である。
【図6】実施の形態におけるリボンブラシのループに引張力が作用した場合を示す第1模式図である。
【図7】実施の形態におけるリボンブラシのループに引張力が作用した場合を示す第2模式図である。
【図8】比較例における、図4中のVで示す織方向(W)に対して垂直方向から見た端部の構成を示す対応図である。
【図9】比較例における、リボンブラシのループに引張力が作用した場合を示す第1模式図である。
【図10】比較例における、リボンブラシのループに引張力が作用した場合を示す第2模式図である。
【図11】実施の形態におけるループブラシローラと、比較例におけるループブラシローラとの、位置とほつれ発生荷重値との関係を示す図である。
【図12】他の実施の形態におけるリボンブラシの平面図である。
【図13】リボンブラシを軸芯ローラに対して螺旋状に巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図14】ループブラシローラのリボンブラシの継目に生じる外力を模式的に示す図である。
【図15】さらに他の実施の形態におけるリボンブラシの平面図である。
【図16】実験例1から実験例5の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に基づいた実施の形態における画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0025】
(画像形成装置100)
図1に本実施の形態における画像形成装置100を示す。この画像形成装置100においては、図1に示すように、黄色,マゼンタ色,シアン色,黒色の異なった色彩のトナーを収容させた4つの現像装置11に対応させて、像担持体となる4つの感光体ドラム10を有する。
【0026】
ここで、この画像形成装置100において、フルカラーの画像形成を行なうにあたっては、上記の各感光体ドラム10を回転させて、各感光体ドラム10の表面をそれぞれコロナ放電を行う帯電装置12によって帯電させる。このように帯電された各感光体ドラム10に対して、それぞれ露光装置13により画像データに従った露光を行って、各感光体ドラム10の表面にそれぞれ静電潜像を形成する。
【0027】
静電潜像が形成された各感光体ドラム10に対して、それぞれ対応する現像装置11から所定の色彩のトナーを各感光体ドラム10の静電潜像に供給して現像を行い、各感光体ドラム10の表面にそれぞれの色彩のトナー像を形成する。
【0028】
各感光体ドラム10に形成されたそれぞれの色彩のトナー像を、ローラ14に架け渡されて駆動される無端ベルト状の中間転写体15にそれぞれローラ状になった一次転写装置16により順々に一次転写させて、この中間転写体15の上にフルカラーのトナー像を形成する。
【0029】
中間転写体15の上に形成されたフルカラーのトナー像を、この中間転写体15によりローラ状になった二次転写装置17と対向する位置に導く。同時に、この画像形成装置100の下部に収容された記録シートSを、送りローラ18により中間転写体15と二次転写装置17との間に導き、上記の二次転写装置17により中間転写体15の上に形成されたフルカラーのトナー像をこの記録シートSに二次転写させる。
【0030】
フルカラーのトナー像が転写された記録シートSを定着装置19に導いて、転写されたフルカラーのトナー像を記録シートSに定着させる。その後、フルカラーのトナー像が定着された記録シートSを排紙させる。一方、記録シートSに転写されずに上記の中間転写体15に残ったトナーを、第1クリーニング装置20に設けられた第1クリーニングブレード21によって中間転写体15から除去する。
【0031】
この画像形成装置100においては、中間転写体15にトナー像を転写させた後の各感光体ドラム10の表面に、図1に示すように、潤滑剤供給手段30によって潤滑剤を供給する。その後、各感光体ドラム10の表面に第2クリーニングブレード40の端部を圧接させて、各感光体ドラム10の表面に残留しているトナーを除去する。また、均し手段41により、各感光体ドラム10の表面に供給された潤滑剤を各感光体ドラム10の表面に塗布させるようにしている。
【0032】
ここで、図2に示すように、上記のように転写後の感光体ドラム10の表面に潤滑剤供給手段30によって潤滑剤を供給するにあたり、この実施の形態においては、上記の感光体ドラム10の表面に接触して回転するループブラシローラ31を感光体ドラム10の軸方向に沿って設けている。
【0033】
さらに、このループブラシローラ31に対して、感光体ドラム10の軸方向に沿って設けられた固形潤滑剤32をバネ部材からなる押圧手段33によって押圧させ、上記のループブラシローラ31におけるリボンブラシ31aにより固形潤滑剤32から潤滑剤を掻き取って感光体ドラム10の表面に供給するようにしている。
【0034】
ループブラシローラ31は、感光体ドラム10と同方向への回転いわゆるカウンター回転し、感光体ドラム10と同等か速い線速度、ここでは線速度比で1.3倍になるように回転する。材質は導電性のポリエステルであり、ループブラシローラ31としての抵抗値は106Ω〜108Ωである。
【0035】
繊維太さは、4d(デニール)の繊維束からなり、繊維密度は150kF/inch2である。ループブラシローラ31の軸芯ローラは鉄製でφ6mm、ループブラシローラ31の外径はφ12mmである。繊維束は厚さ約0.5mmの基材の上に織られているため、繊維束の高さは約2.5mmとなっている。
【0036】
固形潤滑剤32には、ステアリン酸亜鉛の粉体を溶融整形したもので、そのままだと脆く割れてしまうため、板金でできた保持部材に両面テープで接着されている。この固形潤滑剤32は圧縮バネによる押圧手段33でループブラシローラ31に押圧保持されている。
【0037】
ループブラシローラ31の回転と押圧手段33の押圧力によって固形潤滑剤32は削り取られ、粉体状に戻されて感光体ドラム10との接触部まで搬送されて感光体ドラム10に塗布される。感光体ドラム10は電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型有機感光体ドラムであり、最表面には厚さ2μm程度のオーバーコート層(OCL)が設けられている。
【0038】
OCLには粒径50nmのSiO2微粒子が均一に分散されており、これにより感光体ドラム10の表面に凹凸の粗さを形成している。凹凸形状を有することで、ステアリン酸亜鉛の取り込み性および保持性が良くなる。
【0039】
ループブラシローラ31の感光体ドラム10の回転方向下流に配設される均し手段41は、ポリウレタンゴムをシート状に加工して先端部分が感光体ドラム10に接触するようにトレーリング方向に配置される。
【0040】
ループブラシローラ31によって感光体ドラム10に塗布されて均し手段41と感光体ドラム10の当接部まで搬送されてきた固形潤滑剤32の粉体は、感光体ドラム10上に固形潤滑剤32の皮膜を形成する。固形潤滑剤32の皮膜は摩擦係数が低く、感光体ドラム10と第2クリーニングブレード40とが摺擦する際に、感光体ドラム10と第2クリーニングブレード40との間で作用する力を低減する効果があるために、感光体ドラム10と第2クリーニングブレード40との摩耗が小さくなり感光体ドラム10の寿命を延ばすことが可能になる。
【0041】
(ループブラシローラ31)
図3に本実施の形態におけるループブラシローラ31の全体構成を示す。図3に示すように、ループブラシローラ31は金属で形成された軸芯ローラ34にリボンブラシ31aが巻き付けられて構成される。ここでリボンブラシ31aは、所定幅を有する短冊状のリボンであり、縦糸と横糸を編みこんで形成した基材の間に繊維束を通して一方の面にループ形状を形成したループブラシである。
【0042】
軸芯ローラ34は、一般的に用いられる鉄製のシャフトを用いる。軸芯ローラ34は、φ6mm以上の外径を使用することがベンディング防止の観点から望ましい。また、リボンブラシ31aを軸芯ローラ34に巻きつけて構成することから、リボンブラシ31aの端部と端部が接触する継目B1が発生する。
【0043】
(リボンブラシ31aの構成)
図4に本実施の形態におけるリボンブラシ31aの概略構成を示し、図5は、図4中のVで示す織方向(W)に対して垂直方向から見た端部の構成を示す。図4に示すように、本実施の形態におけるリボンブラシ31aは、織方向(W)と同方向に走る縦糸31a1と織方向(W)に対して垂直に走る横糸31a2とを編みこんで基材310が形成され、この基材310の中を、縦糸31a1と並行に通る繊維束31a3が基材310の表面側(片面側)に一定間隔で突出してループ310Rを形成している。
【0044】
本実施の形態では、16本の縦糸を用い、#2と#3との間、#4と#5との間、#6と#7との間、#8と#9との間、#10と#11との間、#12と#13との間、および#14と#15との間には、繊維束31a3を通していない。
【0045】
また、図5に示すように、両端部における#1と#2との間を通す繊維束31a3および#15と#16との間を通す繊維束31a3においては、隣接するループ310Rの間を通る横糸31a2は縦糸31a1の下を通過し、ループ310Rの中を通る横糸31a2は縦糸31a1の上を通過している。
【0046】
ここで、図5から図7を参照して、ループ310Rに引張力F1が作用した場合について説明する。なお、図6および図7は、ループ310Rに引張力F1が作用した場合の、縦糸31a1および横糸31a2に生じる作用する力を模式的に示した図であり、図5中のVI線矢視に相当する図である。
【0047】
図6に示すように、隣接するループ310Rのそれぞれに引張力F1が作用した場合には、繊維束31a3にf1の張力が作用し、隣接するループ310Rの間の横糸31a2を引き上げようとする力が作用する。
【0048】
しかし、図7に示すように、隣接するループ310Rの間において、横糸31a2の上側には、縦糸31a1が存在するため、横糸31a2の上方への移動は縦糸31a1により妨げられる。その結果、本実施の形態におけるリボンブラシ31aの両端部において、ループ310Rに引張り力が作用した場合であっても、リボンブラシ31aの両端部のほつれを抑制することができる。
【0049】
一方、図8から図10を参照して、リボンブラシ31aの両端部がほつれ易い場合について説明する。図8は、図5と同様に織方向(W)に対して垂直方向から見た端部に相当する構成を示し、図9および図10は、ループ310Rに引張力F1が作用した場合の、縦糸31a1および横糸31a2に生じる作用する力を模式的に示した図であり、図8中のIX線矢視に相当する図である。
【0050】
図8においては、隣接するループ310Rの間を通る横糸31a2は縦糸31a1の上を通過し、ループ310Rの中を通る横糸31a2は縦糸31a1の下を通過している。図5とは縦糸31a1と横糸31a2との編み方が逆である。
【0051】
隣接するループ310Rのそれぞれに引張力F1が作用した場合には、繊維束31a3にf1の張力が作用し、隣接するループ310Rの間の横糸31a2を引き上げようとする力が作用する。
【0052】
しかし、図9に示すように、隣接するループ310Rの間において、横糸31a2の下側に、縦糸31a1が存在するため、横糸31a2の上方への移動は縦糸31a1により妨げられることはない。その結果、容易に縦糸31a1が上方に持ち上げられ、リボンブラシ31aの端部においてほつれが発生することになる。
【0053】
リボンブラシ31aの端部においてほつれが発生すると、ブラシローラの継目B1(図3参照)で毛羽立ちが観察される。ほつれが発生した状態で継続してブラシローラを使用していると、ほつれが長くなってブラシローラの表面を覆うようにブラシローラに巻きついてしまう。
【0054】
この状態では、固形潤滑剤32を掻き取る力の大きなブラシローラの先端部が、ほつれた繊維束31a3に覆われてしまい、固形潤滑剤32を掻き取る力が低下する。これによって固形潤滑剤32皮膜の形成不良が発生し、感光体ドラム10と第2クリーニングブレード40との間の摩耗が大きくなり、感光体ドラム10の寿命が短くなる結果、早期に画像ノイズを発生することになってしまう。
【0055】
ここで、本実施の形態におけるループブラシローラ31を評価するため、本実施の形態におけるループブラシローラ31と図8に示した構成のブラシローラとのほつれの発生のし易さの評価を行った。評価の結果を図11に示す。
【0056】
評価の方法は、プッシュプルゲージの測定プローブ部分にフックを装着して、このフックをブラシローラのループに引っ掛けて引っ張り力を与えたときに、ほつれが発生する荷重値を測定する方法を採用した。ほつれが発生しやすいループは小さい荷重でもほつれが発生し、ほつれが発生しにくいループは大きな荷重を与えないとほつれない。
【0057】
ブラシローラの長手方向に沿ってループのほつれが発生する荷重値を測定したところ、軸芯ローラにリボンブラシが螺旋状に巻かれるというブラシローラの構成上、リボンブラシの端部が連続する継ぎ目でのほつれ発生荷重値が、比較ブラシローラと本実施の形態のブラシローラでは異なっている。
【0058】
比較ブラシローラでは、リボンブラシの端部におけるほつれ発生荷重値が1N〜1.3Nと、端部以外の領域でのほつれ発生荷重値1.5N〜よりも低い引っ張り力でほつれが発生してしまう。
【0059】
一方、本実施の形態のブラシローラではリボンブラシの端部におけるほつれ発生荷重値も1.5N以上であり、端部以外の領域と同等のほつれに対する耐力が得られていることが確認できた。
【0060】
次に、再び図4を参照して、ループを構成する繊維束31a3において、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数と、リボンブラシ31aの一方端部から他方端部までの繊維束31a3数、およびリボンブラシ31bを軸芯ローラ34に巻きつける方向の関係について説明する。
【0061】
隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数が偶数であり、リボンブラシ31aの一方端部から他方端部までの繊維束31a3数が偶数である場合について検証する。
【0062】
図12に示すように、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間の縦糸31a1の本数が2本であり、リボンブラシ31bの一方端部から他方端部までの繊維束31a3数が8である場合は、本発明に基づく実施の形態を適用した端部をリボンブラシ31bの端部Aと端部Bの両端に形成することができる。
【0063】
よって、上記構成のリボンブラシ31bの場合には、軸芯ローラ34へのリボンの巻き方向はいずれであっても、ほつれに対する耐力は一定であり、ブラシローラの構成として、このリボンブラシ31bを用いることが最も望ましい。
【0064】
次に、図13に示す、リボンブラシ31cについて検証する。このリボンブラシ31cが、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数は偶数(例えば、2本)であり、リボンの端部からリボンの端部までの繊維束31a3は奇数(例えば、7本)であると、本発明に基づく実施の形態を適用した端面は一方の端部(端部A)には形成できるが、一方の端部(端部B)は図8に示すほつれ易い端部構成になる。
【0065】
そこで、図13および図14に示すようにリボンブラシ31cを軸芯ローラ34に螺旋状に巻きつける際には、端部Aを有する端部E1がループブラシローラ31の回転方向Rの下流(リボンブラシ31cの移動方向後方側)になるように巻きつける。これによって、ほつれが発生しやすい端部Bを有する端部E2は、回転方向Rの上流側(リボンブラシ31cの移動方向前方側)に位置する。
【0066】
その結果、図14に示すように、ほつれが発生し難い端部Aには引張方向の力F1が作用し、ほつれが発生し易い端部Bには圧縮方向の力F2が作用することから、継目B1でのほつれの発生を抑制することが可能になる。
【0067】
ここまで、図4および図12では、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数が2本の例を説明をしたが、偶数本であれば、4本、6本と増やした場合でも同じことが言える。
【0068】
リボンブラシの端部から端部までの繊維束31a3の本数についても、図4では8本、図12では7本の場合について説明したが、偶数本でも奇数本でもかまわない。
【0069】
ここで、図15に、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数が奇数(1本)である場合のリボンブラシ31dについて説明する。本発明に基づく実施の形態を適用した端面を端部Aに形成した場合、端部Bは、リボンブラシ31dの端部から端部のループの本数にかかわらず、図8に示すほつれ易い端部構成になる。
【0070】
このため、このリボンブラシ31dを軸芯ローラ34に螺旋状に巻きつける際には、図14に示したように、本発明に基づく実施の形態を適用した端部Aがブラシローラの回転方向の下流側になるように巻きつけることが有効である。ここでは、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数を1本として説明したが、3本、5本と増やした場合でも、奇数本であれば同じことが言える。
【0071】
(実験例)
滑剤塗布のためのブラシローラとして本発明に基づく実施の形態を適用したブラシローラによる実験例1,2,3と、両端部に図8に示す端部構造を有するブラシローラを使用した実験例4の耐久試験を行った。
【0072】
耐久試験で使用した機械はコニカミノルタビジネステクノロジーズ製 bizhub PRO C6501P(A4 65枚/分、600dpi)のイメージングユニットを実験例のごとく改造を行ったものを使用した。潤滑剤供給手段30、固形潤滑剤32、および感光体ドラム10は、図1および2で説明したものを用いた。
【0073】
固形潤滑剤32は押圧手段33によりループブラシローラ31に対して2N/mで押圧した。第2クリーニングブレード40はポリウレタンゴムを使用し、当接力を25N/m、当接角度を15°とした。均し手段41としては、当接力を25N/m、当接角度を45°とした。
【0074】
現像装置11はトナーとキャリアを混合した現像剤からなる2成分現像であり、トナーの帯電極性は負帯電であるものを用いた。耐久条件としては23℃×65%RHの環境で、画像濃度は各色5%のチャートを連続でプリントした。
【0075】
評価項目は、感光体ドラム10の膜厚減耗量と第2クリーニングブレード40の摩耗幅および画像ノイズとし、通紙枚数が100k枚、400k枚、800k枚、1200k枚(kは103)で確認を行なった。
【0076】
確認結果を図16に示す。図16中において、「ほつれ」は、ほつれのなきものを「A」、ほつれたループの長さがループ高さ×2以下を「B」、ほつれたループの長さがループ高さ×2よりも大きいものを「C」として記載した。
【0077】
感光体ドラム10の膜厚減耗量(「感光体ドラム減耗」)は1.0μm以下を「A」、1.4μm未満を「B」、1.4μm以上を「C」として記載した。
【0078】
「クリーニングブレード摩耗」は、顕微鏡にて観察した摩耗幅が20μm以下の場合を「A」、20μm〜30μmの場合を「B」、30μm〜の場合を「C」として記載した。
【0079】
「画像ノイズ」は、A3縦の画像先端から0mm〜100mmがベタ帯画像であり、100mm〜420mmが白ベタ画像のチャートを作成し、この画像でクリーニング不良とカブリの評価を行ない、クリーニング不良とカブリの発生なきものを「A」、軽微なカブリが発生したものを「B」、クリーニング不良もしくは重度のカブリが発生したものを「C」として記載した。
【0080】
ここで用いたブラシローラは、図13、図14で示したような構成を有している。実験例1では、両端部が図5〜図7で示される本願発明に基づく構成を有するリボンブラシを用いている。実験例2および実験例3で用いたリボンブラシは、一端部が本願発明に基づく端部であるが、他端部が図8〜図10に示される「ほつれ端」となっている。実験例2では、ほつれ端が図13における回転方向Rの上流側(リボンブラシの移動方向前方側)になるようにリボンブラシが巻きつけられている。一方、実験例3では、ほつれ端が回転方向Rの下流側(リボンブラシの移動方向後方側)になるようにリボンブラシが巻きつけられている。実験例4では、両端部とも「ほつれ端」であるリボンブラシが用いられている。
【0081】
以上のように、本実施の形態おけるブラシローラおよびこのブラシローラを用いた画像形成装置においては、ブラシローラにおいて、ループに引っ張り力が加わっても、ループの間を通る縦糸が横糸に干渉することでループのほつれ発生を抑制することが可能となる。
【0082】
これによって、リボンブラシがほつれることで発生する不具合、たとえば、ループブラシを、滑剤塗布用のブラシローラとして使用する場合には、滑剤が像担持体に塗布される量が減少することで、クリーニングブレード、感光体ドラムが短期で摩耗し画像ノイズを発生することを防止することが可能になる。
【0083】
なお、上記実施の形態では、ブラシローラを滑剤塗布のブラシローラとして使用する場合について説明を行なってきたが、帯電ブラシローラ、清掃ブラシローラ、紙粉除去ブラシローラ等に使用した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
10 感光体ドラム、11 現像装置、12 帯電装置、13 露光装置、14,18 ローラ、15 中間転写体、16 一次転写装置、17 二次転写装置、19 定着装置、20 第1クリーニング装置、21 第1クリーニングブレード、30 潤滑剤供給手段、31 ループブラシローラ、31a1 縦糸、31a2 横糸、31a3 繊維束、31a,31b,31c,31d リボンブラシ、32 固形潤滑剤、33 押圧手段、34 軸芯ローラ、40 第2クリーニングブレード、41 均し手段、100 画像形成装置、310 基材、310R ループ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループブラシローラおよびループブラシローラを有し電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、FAX、これら複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像形成装置は、円筒状で回転可能な像担持体と、像担持体の表面を一様に帯電する帯電手段と、像担持体を露光して静電潜像を作成する露光手段と、現像部に印加される電圧と静電潜像間の電位差により静電潜像にトナー像を現像する現像手段と、感光体ドラムと対向するように配置されてトナー像と逆極性の電圧が印加されることで像担持体上のトナー像を紙などの転写体に転写しながら搬送する転写搬送手段と、転写体上に転写されずに感光体ドラム上に残留した転写残トナーを掻き落とすために感光体ドラムに当接している清掃手段と、転写体上に転写されたトナー像に熱と圧力を加えることでトナー像を転写体上に定着させる定着手段とを有し、画像形成を行なう。
【0003】
清掃手段としては、短冊状のポリウレタンを像担持体に押し当てて転写残トナーを掻き落とすクリーニングブレードが使用される。
【0004】
近年では、画像形成装置内の様々な箇所においてブラシローラが使用されている。ブラシローラとしては、縦糸と横糸を編みこんで形成した基材の間に繊維束を通して一方の面にループ形状を形成したループブラシローラと、基材から繊維束が突出した直毛ブラシローラがある。
【0005】
従来は構成が単純な直毛ブラシローラが多く用いられてきたが、ループブラシローラは接触対象に対する面圧が低く攻撃性が低いために広く使用され始めている。使用領域としては、帯電ブラシローラ、清掃ブラシローラ、滑剤塗布ブラシローラ、紙粉除去ブラシローラ等がある。ここでは滑剤塗布用のループブラシローラとして使用する場合を主に説明する。
【0006】
ループブラシローラを使用する際は、直毛ブラシローラを使用する際とは異なる取り扱いが必要である。たとえば、特開2010−107683号公報(特許文献1)には、ループブラシローラとブラシローラの回転方向の形成する角度を所定の設定にすることでクリーニングブレード端部と像担持部材の表面との摩擦力を低減させて、クリーニングブレードおよび像担持体の長期使用を可能にする構成が提案されている。
【0007】
また、特開2010−97234号公報(特許文献2)には、ループを包含する平面と基材表面とが交差する線の角度を所定角度に設定にすることによる固形潤滑剤の均一な掻き取りと、フリッカによる現像剤の払い落しとを達成することが提案されている。
【0008】
また、特開平06−289759号公報(特許文献3)には、像担持体表面に摺擦して、同表面を清掃するファーブラシローラが開示されている。このファーブラシローラは、潜像担持体の表面に接触するループ状毛体を有し、そのループ状毛体として、根元の両脚部の間隔が少なくとも3mmに設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−107683号公報
【特許文献2】特開2010−97234号公報
【特許文献3】特開平06−289759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながらループブラシローラは、ループを編みこんだ基材を軸芯ローラに螺旋状に巻き付けて形成するという構成上、強い引っ張り力がループに加わったときにループがほつれてしまうという課題がある。
【0011】
滑剤塗布ブラシローラとして使用されるループブラシローラではほつれが発生すると、ほつれた繊維束がブラシローラの表面に巻きつくために、滑剤掻き取り力の高いブラシローラ先端部が繊維束に覆われて滑剤の掻き取り力が低下してしまう。
【0012】
これにより滑剤塗布用のループブラシローラから像担持体に供給される滑剤量が減少して、クリーニングブレードと像担持体の間で発生する摩擦が大きくなり、クリーニングブレードと像担持体が短期間で摩耗してしまい使用できなくなってしまう。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ループブラシローラのほつれの発生を抑制することで、ループブラシローラの使用において発生する不具合を防止することを可能とするループブラシローラおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に基づいたループブラシローラにおいては、軸芯ローラおよび上記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられるリボンブラシを備えるループブラシローラであって、上記リボンブラシは、織方向と同方向に走る縦糸および上記織方向に対して垂直に走る横糸を編みこんで形成される基材と、上記基材の中を、上記縦糸の間を、上記縦糸と並行に通る繊維束とを含み、上記繊維束は、上記基材の表面側に一定間隔で突出するループを形成し、上記リボンブラシの上記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、少なくとも一方の端部においては、上記表面側を上とするとき、隣接する上記ループの間を通る上記横糸は上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸は上記縦糸の上を通過している。
【0015】
他の形態では、上記リボンブラシの上記織方向に対して垂直方向に位置する両端部のいずれもが、隣接する上記ループの間を通る上記横糸は上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸は上記縦糸の上を通過している。
【0016】
他の形態では、上記繊維束と上記繊維束との間の上記縦糸の本数が偶数本であり、上記繊維束の本数が偶数である。
【0017】
他の形態では、上記繊維束と上記繊維束との間の上記縦糸の本数が偶数本であり、上記繊維束の本数が奇数本であり、上記リボンブラシの上記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、隣接する上記ループの間を通る上記横糸が上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸が上記縦糸の上を通過している端部側を、当該ループブラシローラの回転方向の下流側に位置するように、上記リボンブラシが上記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられている。
【0018】
他の形態では、上記繊維束と上記繊維束との間の上記縦糸の本数が奇数本であり、上記繊維束の本数が奇数本であり、上記リボンブラシの上記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、隣接する上記ループの間を通る上記横糸が上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸が上記縦糸の上を通過している端部側を、当該ループブラシローラの回転方向の下流側に位置するように、上記リボンブラシが上記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられている。
【0019】
この発明に基づいた画像形成装置においては、像担持体と、上記像担持体に回転可能に接触するように配置される、上述のいずれかに記載のループブラシローラと、を備える。
【0020】
他の形態では、上記ループブラシローラは、上記リボンブラシにおける、少なくとも上記ループブラシローラの回転方向下流側の端部において、隣接する上記ループの間を通る上記横糸が上記縦糸の下を通過し、上記ループの中を通る横糸が上記縦糸の上を通過しているループブラシローラである。
【0021】
他の形態では、当該画像形成装置は、固形潤滑剤を含み、上記ループブラシローラは、上記固形潤滑剤が押圧されている。
【発明の効果】
【0022】
この発明に基づいたループブラシローラおよび画像形成装置によれば、ループブラシローラのほつれの発生を抑制することで、ループブラシローラの使用において発生する不具合を防止することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態における画像形成装置100の全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態における潤滑剤供給手段の概略構成を示す図である。
【図3】実施の形態におけるループブラシローラの全体構成を示す図である。
【図4】実施の形態におけるリボンブラシの平面図である。
【図5】図4中のVで示す織方向(W)に対して垂直方向から見た端部の構成を示す図である。
【図6】実施の形態におけるリボンブラシのループに引張力が作用した場合を示す第1模式図である。
【図7】実施の形態におけるリボンブラシのループに引張力が作用した場合を示す第2模式図である。
【図8】比較例における、図4中のVで示す織方向(W)に対して垂直方向から見た端部の構成を示す対応図である。
【図9】比較例における、リボンブラシのループに引張力が作用した場合を示す第1模式図である。
【図10】比較例における、リボンブラシのループに引張力が作用した場合を示す第2模式図である。
【図11】実施の形態におけるループブラシローラと、比較例におけるループブラシローラとの、位置とほつれ発生荷重値との関係を示す図である。
【図12】他の実施の形態におけるリボンブラシの平面図である。
【図13】リボンブラシを軸芯ローラに対して螺旋状に巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図14】ループブラシローラのリボンブラシの継目に生じる外力を模式的に示す図である。
【図15】さらに他の実施の形態におけるリボンブラシの平面図である。
【図16】実験例1から実験例5の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に基づいた実施の形態における画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0025】
(画像形成装置100)
図1に本実施の形態における画像形成装置100を示す。この画像形成装置100においては、図1に示すように、黄色,マゼンタ色,シアン色,黒色の異なった色彩のトナーを収容させた4つの現像装置11に対応させて、像担持体となる4つの感光体ドラム10を有する。
【0026】
ここで、この画像形成装置100において、フルカラーの画像形成を行なうにあたっては、上記の各感光体ドラム10を回転させて、各感光体ドラム10の表面をそれぞれコロナ放電を行う帯電装置12によって帯電させる。このように帯電された各感光体ドラム10に対して、それぞれ露光装置13により画像データに従った露光を行って、各感光体ドラム10の表面にそれぞれ静電潜像を形成する。
【0027】
静電潜像が形成された各感光体ドラム10に対して、それぞれ対応する現像装置11から所定の色彩のトナーを各感光体ドラム10の静電潜像に供給して現像を行い、各感光体ドラム10の表面にそれぞれの色彩のトナー像を形成する。
【0028】
各感光体ドラム10に形成されたそれぞれの色彩のトナー像を、ローラ14に架け渡されて駆動される無端ベルト状の中間転写体15にそれぞれローラ状になった一次転写装置16により順々に一次転写させて、この中間転写体15の上にフルカラーのトナー像を形成する。
【0029】
中間転写体15の上に形成されたフルカラーのトナー像を、この中間転写体15によりローラ状になった二次転写装置17と対向する位置に導く。同時に、この画像形成装置100の下部に収容された記録シートSを、送りローラ18により中間転写体15と二次転写装置17との間に導き、上記の二次転写装置17により中間転写体15の上に形成されたフルカラーのトナー像をこの記録シートSに二次転写させる。
【0030】
フルカラーのトナー像が転写された記録シートSを定着装置19に導いて、転写されたフルカラーのトナー像を記録シートSに定着させる。その後、フルカラーのトナー像が定着された記録シートSを排紙させる。一方、記録シートSに転写されずに上記の中間転写体15に残ったトナーを、第1クリーニング装置20に設けられた第1クリーニングブレード21によって中間転写体15から除去する。
【0031】
この画像形成装置100においては、中間転写体15にトナー像を転写させた後の各感光体ドラム10の表面に、図1に示すように、潤滑剤供給手段30によって潤滑剤を供給する。その後、各感光体ドラム10の表面に第2クリーニングブレード40の端部を圧接させて、各感光体ドラム10の表面に残留しているトナーを除去する。また、均し手段41により、各感光体ドラム10の表面に供給された潤滑剤を各感光体ドラム10の表面に塗布させるようにしている。
【0032】
ここで、図2に示すように、上記のように転写後の感光体ドラム10の表面に潤滑剤供給手段30によって潤滑剤を供給するにあたり、この実施の形態においては、上記の感光体ドラム10の表面に接触して回転するループブラシローラ31を感光体ドラム10の軸方向に沿って設けている。
【0033】
さらに、このループブラシローラ31に対して、感光体ドラム10の軸方向に沿って設けられた固形潤滑剤32をバネ部材からなる押圧手段33によって押圧させ、上記のループブラシローラ31におけるリボンブラシ31aにより固形潤滑剤32から潤滑剤を掻き取って感光体ドラム10の表面に供給するようにしている。
【0034】
ループブラシローラ31は、感光体ドラム10と同方向への回転いわゆるカウンター回転し、感光体ドラム10と同等か速い線速度、ここでは線速度比で1.3倍になるように回転する。材質は導電性のポリエステルであり、ループブラシローラ31としての抵抗値は106Ω〜108Ωである。
【0035】
繊維太さは、4d(デニール)の繊維束からなり、繊維密度は150kF/inch2である。ループブラシローラ31の軸芯ローラは鉄製でφ6mm、ループブラシローラ31の外径はφ12mmである。繊維束は厚さ約0.5mmの基材の上に織られているため、繊維束の高さは約2.5mmとなっている。
【0036】
固形潤滑剤32には、ステアリン酸亜鉛の粉体を溶融整形したもので、そのままだと脆く割れてしまうため、板金でできた保持部材に両面テープで接着されている。この固形潤滑剤32は圧縮バネによる押圧手段33でループブラシローラ31に押圧保持されている。
【0037】
ループブラシローラ31の回転と押圧手段33の押圧力によって固形潤滑剤32は削り取られ、粉体状に戻されて感光体ドラム10との接触部まで搬送されて感光体ドラム10に塗布される。感光体ドラム10は電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型有機感光体ドラムであり、最表面には厚さ2μm程度のオーバーコート層(OCL)が設けられている。
【0038】
OCLには粒径50nmのSiO2微粒子が均一に分散されており、これにより感光体ドラム10の表面に凹凸の粗さを形成している。凹凸形状を有することで、ステアリン酸亜鉛の取り込み性および保持性が良くなる。
【0039】
ループブラシローラ31の感光体ドラム10の回転方向下流に配設される均し手段41は、ポリウレタンゴムをシート状に加工して先端部分が感光体ドラム10に接触するようにトレーリング方向に配置される。
【0040】
ループブラシローラ31によって感光体ドラム10に塗布されて均し手段41と感光体ドラム10の当接部まで搬送されてきた固形潤滑剤32の粉体は、感光体ドラム10上に固形潤滑剤32の皮膜を形成する。固形潤滑剤32の皮膜は摩擦係数が低く、感光体ドラム10と第2クリーニングブレード40とが摺擦する際に、感光体ドラム10と第2クリーニングブレード40との間で作用する力を低減する効果があるために、感光体ドラム10と第2クリーニングブレード40との摩耗が小さくなり感光体ドラム10の寿命を延ばすことが可能になる。
【0041】
(ループブラシローラ31)
図3に本実施の形態におけるループブラシローラ31の全体構成を示す。図3に示すように、ループブラシローラ31は金属で形成された軸芯ローラ34にリボンブラシ31aが巻き付けられて構成される。ここでリボンブラシ31aは、所定幅を有する短冊状のリボンであり、縦糸と横糸を編みこんで形成した基材の間に繊維束を通して一方の面にループ形状を形成したループブラシである。
【0042】
軸芯ローラ34は、一般的に用いられる鉄製のシャフトを用いる。軸芯ローラ34は、φ6mm以上の外径を使用することがベンディング防止の観点から望ましい。また、リボンブラシ31aを軸芯ローラ34に巻きつけて構成することから、リボンブラシ31aの端部と端部が接触する継目B1が発生する。
【0043】
(リボンブラシ31aの構成)
図4に本実施の形態におけるリボンブラシ31aの概略構成を示し、図5は、図4中のVで示す織方向(W)に対して垂直方向から見た端部の構成を示す。図4に示すように、本実施の形態におけるリボンブラシ31aは、織方向(W)と同方向に走る縦糸31a1と織方向(W)に対して垂直に走る横糸31a2とを編みこんで基材310が形成され、この基材310の中を、縦糸31a1と並行に通る繊維束31a3が基材310の表面側(片面側)に一定間隔で突出してループ310Rを形成している。
【0044】
本実施の形態では、16本の縦糸を用い、#2と#3との間、#4と#5との間、#6と#7との間、#8と#9との間、#10と#11との間、#12と#13との間、および#14と#15との間には、繊維束31a3を通していない。
【0045】
また、図5に示すように、両端部における#1と#2との間を通す繊維束31a3および#15と#16との間を通す繊維束31a3においては、隣接するループ310Rの間を通る横糸31a2は縦糸31a1の下を通過し、ループ310Rの中を通る横糸31a2は縦糸31a1の上を通過している。
【0046】
ここで、図5から図7を参照して、ループ310Rに引張力F1が作用した場合について説明する。なお、図6および図7は、ループ310Rに引張力F1が作用した場合の、縦糸31a1および横糸31a2に生じる作用する力を模式的に示した図であり、図5中のVI線矢視に相当する図である。
【0047】
図6に示すように、隣接するループ310Rのそれぞれに引張力F1が作用した場合には、繊維束31a3にf1の張力が作用し、隣接するループ310Rの間の横糸31a2を引き上げようとする力が作用する。
【0048】
しかし、図7に示すように、隣接するループ310Rの間において、横糸31a2の上側には、縦糸31a1が存在するため、横糸31a2の上方への移動は縦糸31a1により妨げられる。その結果、本実施の形態におけるリボンブラシ31aの両端部において、ループ310Rに引張り力が作用した場合であっても、リボンブラシ31aの両端部のほつれを抑制することができる。
【0049】
一方、図8から図10を参照して、リボンブラシ31aの両端部がほつれ易い場合について説明する。図8は、図5と同様に織方向(W)に対して垂直方向から見た端部に相当する構成を示し、図9および図10は、ループ310Rに引張力F1が作用した場合の、縦糸31a1および横糸31a2に生じる作用する力を模式的に示した図であり、図8中のIX線矢視に相当する図である。
【0050】
図8においては、隣接するループ310Rの間を通る横糸31a2は縦糸31a1の上を通過し、ループ310Rの中を通る横糸31a2は縦糸31a1の下を通過している。図5とは縦糸31a1と横糸31a2との編み方が逆である。
【0051】
隣接するループ310Rのそれぞれに引張力F1が作用した場合には、繊維束31a3にf1の張力が作用し、隣接するループ310Rの間の横糸31a2を引き上げようとする力が作用する。
【0052】
しかし、図9に示すように、隣接するループ310Rの間において、横糸31a2の下側に、縦糸31a1が存在するため、横糸31a2の上方への移動は縦糸31a1により妨げられることはない。その結果、容易に縦糸31a1が上方に持ち上げられ、リボンブラシ31aの端部においてほつれが発生することになる。
【0053】
リボンブラシ31aの端部においてほつれが発生すると、ブラシローラの継目B1(図3参照)で毛羽立ちが観察される。ほつれが発生した状態で継続してブラシローラを使用していると、ほつれが長くなってブラシローラの表面を覆うようにブラシローラに巻きついてしまう。
【0054】
この状態では、固形潤滑剤32を掻き取る力の大きなブラシローラの先端部が、ほつれた繊維束31a3に覆われてしまい、固形潤滑剤32を掻き取る力が低下する。これによって固形潤滑剤32皮膜の形成不良が発生し、感光体ドラム10と第2クリーニングブレード40との間の摩耗が大きくなり、感光体ドラム10の寿命が短くなる結果、早期に画像ノイズを発生することになってしまう。
【0055】
ここで、本実施の形態におけるループブラシローラ31を評価するため、本実施の形態におけるループブラシローラ31と図8に示した構成のブラシローラとのほつれの発生のし易さの評価を行った。評価の結果を図11に示す。
【0056】
評価の方法は、プッシュプルゲージの測定プローブ部分にフックを装着して、このフックをブラシローラのループに引っ掛けて引っ張り力を与えたときに、ほつれが発生する荷重値を測定する方法を採用した。ほつれが発生しやすいループは小さい荷重でもほつれが発生し、ほつれが発生しにくいループは大きな荷重を与えないとほつれない。
【0057】
ブラシローラの長手方向に沿ってループのほつれが発生する荷重値を測定したところ、軸芯ローラにリボンブラシが螺旋状に巻かれるというブラシローラの構成上、リボンブラシの端部が連続する継ぎ目でのほつれ発生荷重値が、比較ブラシローラと本実施の形態のブラシローラでは異なっている。
【0058】
比較ブラシローラでは、リボンブラシの端部におけるほつれ発生荷重値が1N〜1.3Nと、端部以外の領域でのほつれ発生荷重値1.5N〜よりも低い引っ張り力でほつれが発生してしまう。
【0059】
一方、本実施の形態のブラシローラではリボンブラシの端部におけるほつれ発生荷重値も1.5N以上であり、端部以外の領域と同等のほつれに対する耐力が得られていることが確認できた。
【0060】
次に、再び図4を参照して、ループを構成する繊維束31a3において、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数と、リボンブラシ31aの一方端部から他方端部までの繊維束31a3数、およびリボンブラシ31bを軸芯ローラ34に巻きつける方向の関係について説明する。
【0061】
隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数が偶数であり、リボンブラシ31aの一方端部から他方端部までの繊維束31a3数が偶数である場合について検証する。
【0062】
図12に示すように、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間の縦糸31a1の本数が2本であり、リボンブラシ31bの一方端部から他方端部までの繊維束31a3数が8である場合は、本発明に基づく実施の形態を適用した端部をリボンブラシ31bの端部Aと端部Bの両端に形成することができる。
【0063】
よって、上記構成のリボンブラシ31bの場合には、軸芯ローラ34へのリボンの巻き方向はいずれであっても、ほつれに対する耐力は一定であり、ブラシローラの構成として、このリボンブラシ31bを用いることが最も望ましい。
【0064】
次に、図13に示す、リボンブラシ31cについて検証する。このリボンブラシ31cが、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数は偶数(例えば、2本)であり、リボンの端部からリボンの端部までの繊維束31a3は奇数(例えば、7本)であると、本発明に基づく実施の形態を適用した端面は一方の端部(端部A)には形成できるが、一方の端部(端部B)は図8に示すほつれ易い端部構成になる。
【0065】
そこで、図13および図14に示すようにリボンブラシ31cを軸芯ローラ34に螺旋状に巻きつける際には、端部Aを有する端部E1がループブラシローラ31の回転方向Rの下流(リボンブラシ31cの移動方向後方側)になるように巻きつける。これによって、ほつれが発生しやすい端部Bを有する端部E2は、回転方向Rの上流側(リボンブラシ31cの移動方向前方側)に位置する。
【0066】
その結果、図14に示すように、ほつれが発生し難い端部Aには引張方向の力F1が作用し、ほつれが発生し易い端部Bには圧縮方向の力F2が作用することから、継目B1でのほつれの発生を抑制することが可能になる。
【0067】
ここまで、図4および図12では、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数が2本の例を説明をしたが、偶数本であれば、4本、6本と増やした場合でも同じことが言える。
【0068】
リボンブラシの端部から端部までの繊維束31a3の本数についても、図4では8本、図12では7本の場合について説明したが、偶数本でも奇数本でもかまわない。
【0069】
ここで、図15に、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数が奇数(1本)である場合のリボンブラシ31dについて説明する。本発明に基づく実施の形態を適用した端面を端部Aに形成した場合、端部Bは、リボンブラシ31dの端部から端部のループの本数にかかわらず、図8に示すほつれ易い端部構成になる。
【0070】
このため、このリボンブラシ31dを軸芯ローラ34に螺旋状に巻きつける際には、図14に示したように、本発明に基づく実施の形態を適用した端部Aがブラシローラの回転方向の下流側になるように巻きつけることが有効である。ここでは、隣接する繊維束31a3と繊維束31a3との間を通る縦糸31a1の本数を1本として説明したが、3本、5本と増やした場合でも、奇数本であれば同じことが言える。
【0071】
(実験例)
滑剤塗布のためのブラシローラとして本発明に基づく実施の形態を適用したブラシローラによる実験例1,2,3と、両端部に図8に示す端部構造を有するブラシローラを使用した実験例4の耐久試験を行った。
【0072】
耐久試験で使用した機械はコニカミノルタビジネステクノロジーズ製 bizhub PRO C6501P(A4 65枚/分、600dpi)のイメージングユニットを実験例のごとく改造を行ったものを使用した。潤滑剤供給手段30、固形潤滑剤32、および感光体ドラム10は、図1および2で説明したものを用いた。
【0073】
固形潤滑剤32は押圧手段33によりループブラシローラ31に対して2N/mで押圧した。第2クリーニングブレード40はポリウレタンゴムを使用し、当接力を25N/m、当接角度を15°とした。均し手段41としては、当接力を25N/m、当接角度を45°とした。
【0074】
現像装置11はトナーとキャリアを混合した現像剤からなる2成分現像であり、トナーの帯電極性は負帯電であるものを用いた。耐久条件としては23℃×65%RHの環境で、画像濃度は各色5%のチャートを連続でプリントした。
【0075】
評価項目は、感光体ドラム10の膜厚減耗量と第2クリーニングブレード40の摩耗幅および画像ノイズとし、通紙枚数が100k枚、400k枚、800k枚、1200k枚(kは103)で確認を行なった。
【0076】
確認結果を図16に示す。図16中において、「ほつれ」は、ほつれのなきものを「A」、ほつれたループの長さがループ高さ×2以下を「B」、ほつれたループの長さがループ高さ×2よりも大きいものを「C」として記載した。
【0077】
感光体ドラム10の膜厚減耗量(「感光体ドラム減耗」)は1.0μm以下を「A」、1.4μm未満を「B」、1.4μm以上を「C」として記載した。
【0078】
「クリーニングブレード摩耗」は、顕微鏡にて観察した摩耗幅が20μm以下の場合を「A」、20μm〜30μmの場合を「B」、30μm〜の場合を「C」として記載した。
【0079】
「画像ノイズ」は、A3縦の画像先端から0mm〜100mmがベタ帯画像であり、100mm〜420mmが白ベタ画像のチャートを作成し、この画像でクリーニング不良とカブリの評価を行ない、クリーニング不良とカブリの発生なきものを「A」、軽微なカブリが発生したものを「B」、クリーニング不良もしくは重度のカブリが発生したものを「C」として記載した。
【0080】
ここで用いたブラシローラは、図13、図14で示したような構成を有している。実験例1では、両端部が図5〜図7で示される本願発明に基づく構成を有するリボンブラシを用いている。実験例2および実験例3で用いたリボンブラシは、一端部が本願発明に基づく端部であるが、他端部が図8〜図10に示される「ほつれ端」となっている。実験例2では、ほつれ端が図13における回転方向Rの上流側(リボンブラシの移動方向前方側)になるようにリボンブラシが巻きつけられている。一方、実験例3では、ほつれ端が回転方向Rの下流側(リボンブラシの移動方向後方側)になるようにリボンブラシが巻きつけられている。実験例4では、両端部とも「ほつれ端」であるリボンブラシが用いられている。
【0081】
以上のように、本実施の形態おけるブラシローラおよびこのブラシローラを用いた画像形成装置においては、ブラシローラにおいて、ループに引っ張り力が加わっても、ループの間を通る縦糸が横糸に干渉することでループのほつれ発生を抑制することが可能となる。
【0082】
これによって、リボンブラシがほつれることで発生する不具合、たとえば、ループブラシを、滑剤塗布用のブラシローラとして使用する場合には、滑剤が像担持体に塗布される量が減少することで、クリーニングブレード、感光体ドラムが短期で摩耗し画像ノイズを発生することを防止することが可能になる。
【0083】
なお、上記実施の形態では、ブラシローラを滑剤塗布のブラシローラとして使用する場合について説明を行なってきたが、帯電ブラシローラ、清掃ブラシローラ、紙粉除去ブラシローラ等に使用した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
10 感光体ドラム、11 現像装置、12 帯電装置、13 露光装置、14,18 ローラ、15 中間転写体、16 一次転写装置、17 二次転写装置、19 定着装置、20 第1クリーニング装置、21 第1クリーニングブレード、30 潤滑剤供給手段、31 ループブラシローラ、31a1 縦糸、31a2 横糸、31a3 繊維束、31a,31b,31c,31d リボンブラシ、32 固形潤滑剤、33 押圧手段、34 軸芯ローラ、40 第2クリーニングブレード、41 均し手段、100 画像形成装置、310 基材、310R ループ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯ローラおよび前記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられるリボンブラシを備えるループブラシローラであって、
前記リボンブラシは、
織方向と同方向に走る縦糸および前記織方向に対して垂直に走る横糸を編みこんで形成される基材と、
前記基材の中を、前記縦糸の間を、前記縦糸と並行に通る繊維束とを含み、
前記繊維束は、前記基材の表面側に一定間隔で突出するループを形成し、
前記リボンブラシの前記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、少なくとも一方の端部においては、前記表面側を上とするとき、隣接する前記ループの間を通る前記横糸は前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸は前記縦糸の上を通過している、ループブラシローラ。
【請求項2】
前記リボンブラシの前記織方向に対して垂直方向に位置する両端部のいずれもが、隣接する前記ループの間を通る前記横糸は前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸は前記縦糸の上を通過している、請求項1に記載のループブラシローラ。
【請求項3】
前記繊維束と前記繊維束との間の前記縦糸の本数が偶数本であり、
前記繊維束の本数が偶数である、請求項2に記載のループブラシローラ。
【請求項4】
前記繊維束と前記繊維束との間の前記縦糸の本数が偶数本であり、
前記繊維束の本数が奇数本であり、
前記リボンブラシの前記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、隣接する前記ループの間を通る前記横糸が前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸が前記縦糸の上を通過している端部側を、当該ループブラシローラの回転方向の下流側に位置するように、前記リボンブラシが前記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられている、請求項1に記載のループブラシローラ。
【請求項5】
前記繊維束と前記繊維束との間の前記縦糸の本数が奇数本であり、
前記繊維束の本数が奇数本であり、
前記リボンブラシの前記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、隣接する前記ループの間を通る前記横糸が前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸が前記縦糸の上を通過している端部側を、当該ループブラシローラの回転方向の下流側に位置するように、前記リボンブラシが前記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられている、請求項1に記載のループブラシローラ。
【請求項6】
像担持体と、
前記像担持体に回転可能に接触するように配置される、請求項1から5のいずれかに記載のループブラシローラと、
を備える、画像形成装置。
【請求項7】
前記ループブラシローラは、前記リボンブラシにおける、少なくとも前記ループブラシローラの回転方向下流側の端部において、隣接する前記ループの間を通る前記横糸が前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸が前記縦糸の上を通過しているループブラシローラである、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
当該画像形成装置は、固形潤滑剤を含み、
前記ループブラシローラは、前記固形潤滑剤が押圧されている、請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項1】
軸芯ローラおよび前記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられるリボンブラシを備えるループブラシローラであって、
前記リボンブラシは、
織方向と同方向に走る縦糸および前記織方向に対して垂直に走る横糸を編みこんで形成される基材と、
前記基材の中を、前記縦糸の間を、前記縦糸と並行に通る繊維束とを含み、
前記繊維束は、前記基材の表面側に一定間隔で突出するループを形成し、
前記リボンブラシの前記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、少なくとも一方の端部においては、前記表面側を上とするとき、隣接する前記ループの間を通る前記横糸は前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸は前記縦糸の上を通過している、ループブラシローラ。
【請求項2】
前記リボンブラシの前記織方向に対して垂直方向に位置する両端部のいずれもが、隣接する前記ループの間を通る前記横糸は前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸は前記縦糸の上を通過している、請求項1に記載のループブラシローラ。
【請求項3】
前記繊維束と前記繊維束との間の前記縦糸の本数が偶数本であり、
前記繊維束の本数が偶数である、請求項2に記載のループブラシローラ。
【請求項4】
前記繊維束と前記繊維束との間の前記縦糸の本数が偶数本であり、
前記繊維束の本数が奇数本であり、
前記リボンブラシの前記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、隣接する前記ループの間を通る前記横糸が前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸が前記縦糸の上を通過している端部側を、当該ループブラシローラの回転方向の下流側に位置するように、前記リボンブラシが前記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられている、請求項1に記載のループブラシローラ。
【請求項5】
前記繊維束と前記繊維束との間の前記縦糸の本数が奇数本であり、
前記繊維束の本数が奇数本であり、
前記リボンブラシの前記織方向に対して垂直方向に位置する両端部の内、隣接する前記ループの間を通る前記横糸が前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸が前記縦糸の上を通過している端部側を、当該ループブラシローラの回転方向の下流側に位置するように、前記リボンブラシが前記軸芯ローラに螺旋状に巻き付けられている、請求項1に記載のループブラシローラ。
【請求項6】
像担持体と、
前記像担持体に回転可能に接触するように配置される、請求項1から5のいずれかに記載のループブラシローラと、
を備える、画像形成装置。
【請求項7】
前記ループブラシローラは、前記リボンブラシにおける、少なくとも前記ループブラシローラの回転方向下流側の端部において、隣接する前記ループの間を通る前記横糸が前記縦糸の下を通過し、前記ループの中を通る横糸が前記縦糸の上を通過しているループブラシローラである、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
当該画像形成装置は、固形潤滑剤を含み、
前記ループブラシローラは、前記固形潤滑剤が押圧されている、請求項6または7に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−3373(P2013−3373A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134962(P2011−134962)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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