説明

レジストパターンおよび導体パターンの製造方法

【課題】上面に銅が存在する支持体を用いたときに、レジストパターンに与えられる銅の影響を低減することができるとともに、製造時の管理、制御が容易であり、ミキシングの問題が生じにくいレジストパターンの形成方法を提供する。
【解決手段】(a)上面に銅が存在する支持体と、(b)無機物供給源より供給される無機物からなる無機物層と、(c)化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物からなるホトレジスト層とを積層してホトレジスト積層体を得る積層工程と、前記ホトレジスト積層体に選択的に活性光線又は放射線を照射する露光工程と、前記(c)層とともに前記(b)層を現像することにより、レジストパターンを形成する現像工程とを含むことを特徴とするレジストパターンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンおよび導体パターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器のダウンサイジングに伴い、LSIなどの高集積化が急激に進んでいる。そして、LSIなどを電子機器に搭載するために、基板などの支持体の上面に突起電極からなる接続端子を設ける多ピン薄膜実装方法が適用されてる。多ピン薄膜実装方法においては、支持体から突出するバンプからなる接続端子や、支持体から突出するメタルポストと呼ばれる支柱と、その上に形成されたハンダボールとからなる接続端子などが用いられている。
【0003】
バンプやメタルポストは、例えば上面に銅によって形成された部分を有する支持体、好ましくは銅基板の上面に概ね厚さ5μm以上の厚膜レジスト層を形成し、所要のマスクパターンを介して露光し、現像して、接続端子を形成する部分が選択的に除去(剥離)することにより、レジストパターンを形成し、この除去された部分(非レジスト部)に銅、金、ニッケル、ハンダなどの導体をめっきなどによって埋め込み、最後にその周囲のレジストパターンを除去することにより、形成することができる。
【0004】
一方、高感度な感光性樹脂組成物として、酸発生剤を用いた化学増幅型レジスト組成物が知られている。化学増幅型レジスト組成物においては、放射線の照射により、酸発生剤から酸が発生する。そして、露光後に加熱処理を行うと、この酸の発生が促進されることによって、レジスト組成物中のベース樹脂のアルカリ溶解性が変化する様に設計されている。そして、アルカリ不溶であったものがアルカリ可溶化するものをポジ型、アルカリ可溶であったものがアルカリ不溶化するものをネガ型という。このようにして、化学増幅型レジスト組成物においては、光反応効率(一光子当たりの反応)が1未満の従来のレジストに比べて飛躍的な高感度化を達成している。
【0005】
しかし、従来、化学増幅型レジスト組成物を使用して銅を有する支持体の上にホトレジスト層を作成すると、銅による影響を受け、高精度のレジストパターンが得られないという問題がある。例えば現像後のレジストパターンに膜剥がれや抜けなどの障害が発生する。
【0006】
そこで、特許文献1(特開2003−140347号公報)においては、支持体と、アルカリ溶解性が酸の作用によって変化する樹脂および酸発生剤を含む厚膜ホトレジスト層とを、該支持体と該厚膜ホトレジスト層との接触を妨げる、有機物からなる遮蔽層を介して積層する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2003−140347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記遮蔽層の材料は有機物なので、基板の下層の厚さ、材質、構造等により乾燥条件が異なる為、製造時において、時間、温度などを高度に管理、制御しなければならないという問題がある。
また、有機物を用いた遮蔽膜においては、ホトレジスト層とのミキシングが問題となる場合がある。なおミキシングとは2層以上の層を積層したときに、隣接する層の界面において隣接する層が溶解して、混ざり合う現象をいう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、上面に銅が存在する支持体の上にレジストパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、レジストパターンに与えられる銅の影響を低減することができるとともに、製造時の管理、制御が容易であり、ミキシングの問題が生じにくいレジストパターンの形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明のレジストパターンの製造方法は、(a)上面に銅が存在する支持体と、(b)無機物供給源より供給される無機物からなる無機物層と、(c)化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物からなるホトレジスト層とを積層してホトレジスト積層体を得る積層工程と、前記ホトレジスト積層体に選択的に活性光線又は放射線を照射する露光工程と、前記(c)層とともに前記(b)層を現像することにより、レジストパターンを形成する現像工程とを含むことを特徴とする。
本発明の導体パターンの製造方法は、本発明のレジストパターンの製造方法を用いて得られるレジストパターンの非レジスト部に、導体パターンを形成する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、上面に銅が存在する支持体の上にレジストパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、レジストパターンに与えられる銅の影響を低減することができるとともに、製造時の管理、制御が容易であり、ミキシングの問題が生じにくいレジストパターンの形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[レジストパターンの製造方法]
本発明のレジストパターンの製造方法は、(a)上面に銅が存在する支持体と、(b)無機物供給源より供給される無機物からなる無機物層と、(c)化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物からなるホトレジスト層とを積層してホトレジスト積層体を得る積層工程と、前記ホトレジスト積層体に選択的に活性光線又は放射線を照射する露光工程と、前記(c)層とともに前記(b)層を現像することにより、レジストパターンを形成する現像工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
(積層工程)
積層工程においては、(a)上面に銅が存在する支持体(以下、便宜上(a)層という場合がある)と、(c)化学増幅型ネガ型ホトレジスト層((c)層)との間に、(b)無機物供給源より供給される無機物層((b)層)を設けて積層体を製造することが好ましい。以下、(a)層、(b)層、(c)層の順に積層する方法例について説明する。
なお、(a)層、(b)層、および(c)層を積層するにおいては、この様に、下方から上方に向かって、(a)層、(b)層、(c)層の順に積層することが好ましい。
そして、(a)層と(b)層との間や(b)層と(c)層との間に、「他の層」を積層することもできる。ただし、この「他の層」は現像時の除去される特性を有するものであることが好ましい。
「他の層」としては、例えば密着層、反射防止層、平坦化層などが挙げられる。
【0013】
まず(a)層を用意する。
(a)層は、上面((c)層を積層する方の面)に銅が存在するものであれば限定されない。例えば銅基板、銅スパッタ基板、銅配線を有する支持体などを挙げることができる。好ましくは、銅による(c)層への影響が大きい銅基板、銅スパッタ基板である。
(a)層の厚さは特に限定せず、用途に応じて適宜変更可能である。
【0014】
ついで、(a)層の上面に(b)層を積層する。
(b)層は、無機物供給源から、(a)層の上面に、無機物を供給することにより、形成することができる。
ここで、無機物供給源とは、(a)層とは別個に存在するものである。すなわち、(b)層は、(a)層を構成する材料起因のものとは区別される。したがって、種々の材料を用いて所望の特性の(b)層を形成することができる。
具体的な無機物供給源としては、例えばメッキに適用されるメッキ液;電着に適用される電着液;PVD(物理気層成長法)、CVD(化学気層成長法)、スパッタ、蒸着などに適用されるターゲット;などが挙げられる。
すなわち、無機物供給源から、(a)層の上面に無機物を供給して(b)層を形成する方法としては、PVD(物理気層成長法)、CVD(化学気層成長法)、スパッタ、蒸着、メッキ、電着などが挙げられる。なかでも、形成容易性の点から、特にスパッタ法、蒸着法、メッキ法が好ましい。なお、これらの方法は1種または2種以上組み合わせて適用することができる。
【0015】
無機物としてはB、C、Mg、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ge、As、Se、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、La、Hf、Ta、W、Re、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Biなどが挙げられる。また、これらの無機物の合金や、酸化物などを用いることもできる。現像性の点で、Al、Zn、Mo、Sn、Pb、およびITO(インジウム−スズ酸化物)からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いること好ましく、特に無機物がAlを含むことが好ましい。そして、Alのみを用いることが特に好ましい。
無機物は1種、または2種以上混合して用いることができる。
【0016】
(b)層は、(a)層の銅による(c)層に対する影響を遮蔽する点から、その膜厚が0.05nm〜1μm、好ましくは3nm〜1μm、さらには20nm〜1μmとなる様に形成することが好ましい。
【0017】
ついで、(b)層の上面に(c)層を積層する。
化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物を、(b)層の上に塗布し、加熱(プレベーク)により溶媒を除去することによって所望の塗膜を形成する。塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法、カーテンコート法などの方法を採用することができる。
プレベーク条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚などによって異なるが、通常は70〜150℃で、好ましくは80〜140℃で、2〜60分間程度である。
【0018】
(c)層を形成する材料は、化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物であれば特に限定することなく用いることができる。
中でも、高感度で、メッキ耐性が良好である上に、バンプ形成用材料として好適な厚膜形成に適する点から好適なものとしては、特開2003−43688号公報に記載の、(A)ノボラック樹脂、(B)可塑剤、(C)架橋剤、および(D)酸発生剤を含有するネガ型ホトレジスト組成物が挙げられる。
このネガ型レジストホトレジスト組成物においては、(A)成分がアルカリ可溶性ノボラック樹脂であることが好ましい。
また、(B)成分がアルカリ可溶性アクリル系樹脂であることが好ましい。
さらに、(B)成分がアルカリ可溶性ビニル樹脂であることも好ましい。
また、(C)成分がアルコキシメチル化アミノ樹脂であることが好ましい。
さらに、このアルコキシメチル化アミノ樹脂は、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂およびブトキシメチル化メラミン樹脂から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
また、(D)成分がトリアジン化合物であることが好ましい。
以下、このネガ型ホトレジスト組成物の組成について詳細に説明する。
【0019】
(A)ノボラック樹脂
(A)ノボラック樹脂は、好ましくはアルカリ可溶性のものである。
このような(A)ノボラック樹脂は、例えばフェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
この際使用されるフェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、pーフェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
また、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
付加縮合反応時の触媒として、特に限定されるものではないが例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、蓚酸、酢酸等が使用される。
【0020】
(A)ノボラック樹脂の質量平均分子量(MW;ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィによる測定値。以下同じ。)はとくに制限されないが、3,000〜50,000が好ましい。
上記(A)成分は(A)〜(D)成分の総量100質量部に対して50〜95質量部、好ましくは65〜80質量部の範囲で含有することができる。(A)成分を50質量部以上とすることにより、耐メッキ液性、バンプ形状、剥離性を向上させることができ、95質量部以下にすることにより、現像時の現像不良の発生を抑制する効果が得られる。
【0021】
(B)可塑剤
(B)可塑剤は、エチレン性二重結合を有する重合体等が挙げられ、中でもアクリル系ポリマーまたはビニル系ポリマーを採用するのが好ましい。
以下、(B)成分としてアクリル系ポリマーまたはビニル系ポリマーを用いた例について説明する。
【0022】
(B)成分において、とくにアクリル系ポリマーは、アルカリ可溶性であるものが好ましく、またエーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位、およびカルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含有するものが好ましい。
【0023】
エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合およびエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体を例示することができ、好ましくは、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートである。
なお、(メタ)アクリレートはメタクリレートとアクリレートの一方あるいは両方を示す。(メタ)アクリル酸はメタクリル酸とアクリル酸の一方あるいは両方を示す。
これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
カルボキシル基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基およびエステル結合を有するメタクリル酸誘導体を例示することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
【0024】
アクリル系ポリマーにおけるエーテル結合を有する重合性化合物の割合は30〜90質量%であり、好ましくは40〜80質量%である。
90質量%以下にすることにより、(A)ノボラック樹脂溶液に対する相溶性を向上させることができ、プリベイク時にベナードセル(重力もしくは表面張力勾配等によって塗膜表面に生じる不均一性を有する五〜七角形のネットワークパターン)の発生を抑制し、均一なレジスト膜が得ることができる。30質量%以上にすることにより、メッキ時のクラックを抑制できる。
アクリル系ポリマーにおけるカルボキシル基を有する重合性化合物の割合は2〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%である。2質量%以上にすることにより、アクリル樹脂のアルカリ溶解性を向上させ、十分な現像性が得ることができる。また剥離性が向上し、基板上のレジスト残膜を抑制できる。50質量%以下にすることにより、現像後の残膜率を向上させることができ、耐メッキ性を向上させることができる。
【0025】
アクリル系ポリマーの質量平均分子量は10,000〜800,000、好ましくは30,000〜500,000である。
10,000以上にすることにより、レジスト膜が十分な強度を有し、メッキ時のプロファイルの膨れ、クラックの発生を抑制できる。800,000以下にすることにより、密着性、剥離性を向上させることができる。
【0026】
さらに、アクリル系ポリマーには、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で他のラジカル重合性化合物を単量体として含むことができる。
ここで「他のラジカル重合性化合物」とは、前出の重合性化合物以外のラジカル重合性化合物の意味である。
この様なラジカル重合性化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物;酢酸ビニルなどのビニル基含有脂肪族化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物などを用いることができる。
これらの化合物は単独、もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのうち特に、n−ブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレートなどが好ましい。アクリル系ポリマーに占める他のラジカル重合性化合物の割合は50質量%未満が好ましく、より好ましくは40質量%未満である。
【0027】
アクリル系ポリマーを合成する際に用いられる重合溶媒としては、例えばエタノール、ジエチレングリコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を用いることができる。
これらのうち特に、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
アクリル系ポリマーを合成する際に用いられる重合触媒としては、通常のラジカル重合開始剤が使用でき、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどの有機過酸化物などが使用できる。
【0028】
また、(B)成分としてビニル系ポリマーを好ましく用いることができる。
なお、ここでいうビニル系ポリマーとは、ビニル系化合物から得られる重合体である。
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリマレイン酸イミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルフェノールおよびそれらの共重合体等が挙げられる。これらの樹脂の中では樹脂側鎖または主鎖にカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基等を有するものがアルカリ現像可能なため好ましい。特に、カルボキシル基を有する樹脂は高アルカリ現像性なので好ましい。
また、ビニル系ポリマーの質量平均分子量は、10,000〜200,000、好ましくは50,000〜100,000がよい。
【0029】
上記(B)成分は、(A)〜(D)成分の総量100質量部に対して5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部の範囲で含有することができる。
前記(B)成分を5質量部以上とすることにより、メッキ時にレジストの浮き、クラックの発生等を抑制することができ、耐メッキ液性を向上させることができる。30質量部以下にすることにより、形成されるレジスト膜の強度が向上し、膨れなどにより鮮明なプロファイルが得られず、解像度が低下する傾向を抑制できる。
【0030】
(C)架橋剤
(C)成分としては、アミノ化合物、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等を用いることができるが、特にアルコキシメチル化メラミン樹脂やアルコキシメチル化尿素樹脂等のアルコキシメチル化アミノ樹脂等が好適に使用できる。
【0031】
前記アルコキシメチル化アミノ樹脂は、例えば、沸騰水溶液中でメラミンまたは尿素をホルマリンと反応させて得た縮合物を、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化させ、次いで反応液を冷却して析出させることで製造できる。
前記アルコキシメチル化アミノ樹脂としては、具体的にメトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、メトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、プロポキシメチル化尿素樹脂、ブトキシメチル化尿素樹脂等が挙げられる。
前記アルコキシメチル化アミノ樹脂は単独、または2種以上を組合わせて用いることができる。
特にアルコキシメチル化メラミン樹脂は、放射線の照射量の変化に対するレジストパターンの寸法変化量が小さく安定したレジストパターンを形成できて好ましい。中でも、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂およびブトキシメチル化メラミン樹脂が好適である。
【0032】
上記(C)成分は、(A)〜(D)成分の総量100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲で含有することができる。前記(C)成分が1質量部以上であると、厚膜のレジスト膜を形成し、これを利用してバンプを形成するときに、得られた厚膜の耐メッキ性、耐薬品性、密着性を向上させることができる。その結果、形成されたバンプ形状を良好なものとすることができる。30質量部以下であると、現像時に現像不良を起こす傾向を抑制できる。
【0033】
(D)酸発生剤
(D)成分としては、光により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されないが、具体的には、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物およびトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアネート等の下記の一般式で表されるハロゲン含有トリアジン化合物;
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なってもよく、ハロゲン化アルキル基を示す)
【0036】
α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、下記一般式で表される化合物;
【0037】
【化2】

【0038】
(式中、Rは、一価〜三価の有機基、Rは置換、未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基または芳香族性化合物基を示し、nは1〜3の自然数を示す。
ここで芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を指し、例えばフェニル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基や、フリル基、チエニル基などの複素環基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基などを1個以上有していてもよい。
また、Rは炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
の一価〜三価の有機基としては芳香族性化合物基が好ましく、特にRが芳香族性化合物基、Rが低級アルキル基の化合物が好ましい。
上記一般式で表わされる酸発生剤としては、n=1の時、Rがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、Rがメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリルが挙げられる。n=2の時、上記一般式で表わされる酸発生剤としては、具体的には下記化学式で表される酸発生剤が挙げられる。)
【0039】
【化3】

【0040】
ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート、ニトロベンジルスルホネート、ニトロベンジルカルボネート、ジニトロベンジルカルボネート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシレート、ピルガロールトリトシレート、ベンジルトシレート、ベンジルスルホネート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩;ベンゾイントシレート、α−メチルベンゾイントシレートなどのベンゾイントシレート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボネート等が挙げられる。
特に、トリアジン化合物は光による酸発生剤としての性能が高く、かつ溶剤を用いる場合においても溶解性が良好であることから好ましく用いることができる。中でも、ブロモ含有トリアジン化合物、とくに2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリル−s−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアネートが好適に使用できる。
【0041】
上記(D)成分は、(A)〜(D)成分の総和100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜2質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部の範囲で含有することができる。(D)成分が0.01質量部以上であると、厚膜で形成する場合に、熱や光による架橋硬化が十分に行われ、得られた厚膜の耐メッキ性、耐薬品性、密着性を向上させることができる。また、形成されたバンプ形状を良好なものとすることができる。5質量部以下にすることにより、現像時の現像不良の発生を抑制することができる。
【0042】
さらに、ネガ型ホトレジスト組成物は粘度調整のため有機溶剤を適宜配合することができる。前記有機溶剤としては、具体的にはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルシソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチル,メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチル−3−プロポキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、イソプロピル−3−メトキシプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどを挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0043】
これらの溶剤の使用量は、得られるネガ型ホトレジスト組成物をスピンコート法を用いて20μm以上の膜厚を得るためには、固形分濃度が65質量%以下になる範囲が好ましい。固形分濃度が65質量%以下であると、組成物の流動性が悪化し、取り扱いが困難となることを抑制できるとともに、スピンコート法では、均一なレジストフィルムを得ることができる。
【0044】
上記各成分に加えて、ネガ型ホトレジスト組成物は、必要に応じ、レジストパタ−ン形状、引き置き安定性等の向上のために、さらに(E)酸拡散制御剤(以下、(E)成分という。)を含有させることが好ましい。
(E)成分としては、従来化学増幅型レジストにおける酸拡散制御剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。特に、(e1)含窒素化合物を含有させることが好ましく、さらに必要に応じて、(e2)有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。
【0045】
(e1)含窒素化合物:
(e1)成分である含窒素化合物としては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリベンジルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、4−メチルイミダゾ−ル、8−オキシキノリン、アクリジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、2,4,6−トリ(2−ピリジル)−S−トリアジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
これらのうち、特にトリエタノ−ルアミンのようなアルカノ−ルアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(e1)成分は(A)成分を100質量%とした場合、通常0〜5質量%の範囲で用いられ、特に0〜3質量%の範囲で用いられることが好ましい。
【0046】
(e2)有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体:
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適であり、特にサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(e2)成分は、(A)成分を100質量%とした場合、通常0〜5質量%の範囲で用いられ、特に0〜3質量%の範囲で用いられることが好ましい。
また、(e2)成分は、(e1)成分に対して同量用いられることが好ましい。これは、(e2)成分と(e1)成分とが塩を形成して安定化するためである。
【0047】
ネガ型ホトレジスト組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性などを向上させる目的で必要に応じて界面活性剤を配合することもできる。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種活性剤が挙げられる。
例えば、BM−1000、BM−1100(BM ケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(旭硝子(株)製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(東レシリコーン(株)製)などの名称(商品名)で市販されているフッ素系界面活性剤等を使用することができる。
これらの界面活性剤の使用量は、(A)ノボラック樹脂100質量部に対して好ましくは5質量部以下である。
【0048】
ネガ型ホトレジスト組成物には、基板との接着性を向上させるために接着助剤を使用することもできる。
使用される接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が有効である。ここで、官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤を意味し、具体例としてはトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
その配合量は、(A)ノボラック樹脂100質量部当たり20質量部以下が好ましい。
【0049】
また、ネガ型ホトレジスト組成物には、アルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行なうために、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、安息香酸、けい皮酸などのモノカルボン酸;乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシけい皮酸、3−ヒドロキシけい皮酸、4−ヒドロキシけい皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸などのヒドロキシモノカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4,−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリテート、グリセリントリス無水トリメリテートなどの酸無水物を添加することもできる。
さらに、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒を添加することもできる。
上記のアルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行なうための化合物の使用量は、用途、塗布方法に応じて調整することができ、組成物を均一に混合させることができれば特に限定されるものではないが、得られる組成物に対して60質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
【0050】
さらに、ネガ型ホトレジスト組成物には必要に応じて充填材、着色剤、粘度調整剤などを添加することもできる。充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、ベントナイト、ジルコニウムシリケート、粉末ガラスなどを挙げることができる。
着色剤としては、アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウムなどの体質顔料;亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラックなどの無機顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機顔料;マゼンタ、ローダミンなどの塩基性染料;ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジなどの直接染料;ローセリン、メタニルイエローなどの酸性染料が挙げられる。
また、粘度調整剤としては、ベントナイト、シリカゲル、アルミニウム粉末などを挙げることができる。これらの添加剤は、組成物の本質的な特性を損なわない範囲、好ましくは、得られる組成物に対して、50質量%以下である。
【0051】
また、ネガ型ホトレジスト組成物には必要に応じて消泡剤、その他の添加剤を添加することができる。消泡剤としてはシリコーン系、フッ素系各種消泡剤などが挙げられる。
【0052】
ネガ型ホトレジスト組成物の調製は、充填材、顔料を添加しない場合には、通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、充填材、顔料を添加する場合にはディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させればよい。また、必要に応じて、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
【0053】
(c)層の膜厚は1μm〜1mm、好ましくは10μm〜1mm、より好ましくは20μm〜1mm、特に単層では好ましくは20μm〜150μm、より好ましくは20〜80μmとすることが、厚膜用途への適用の点から、望ましい。なお、(c)層は単層でもよいし、2層以上積層して複層としてもよい。
この様にして得られたホトレジスト積層体を、つぎの露光工程に供する。
【0054】
(露光工程)
積層工程で得られたホトレジスト積層体の(c)層に、所定のパターンのマスクを介して、活性光線、または放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線または可視光線を照射して選択的露光を行う。これら活性光線、または放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどを用いることができる。
ここで、活性光線とは、酸を発生させるために、酸発生剤を活性化させる光線を意味する。
ここで放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線、イオン線などを意味する。
活性光線または放射線の照射量は、ネガ型ホトレジスト組成物中の各成分の種類、配合量、(c)層の膜厚などによって異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合20μm膜厚で、100〜3000mJ/cmである。
【0055】
この様にして選択的露光を行った後、好ましくは加熱処理(PEB処理)を行うことにより、適度に酸発生剤から発生する酸を拡散させる。
【0056】
(現像工程)
現像工程においては、アルカリ現像液として用いて未露光部分を溶解除去する。
このとき、現像液により、(c)層の未露光部分が溶解する。すると、この(c)層の未露光部分の下に存在する(b)層もアルカリ現像液に接触する。そして、(b)層はアルカリ現像液に溶解する。
したがって、現像工程においては、未露光部分の(b)層と(c)層とを同時に現像して除去することができる。
【0057】
現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができ、濃度0.1〜10質量%程度のTMAH水溶液が好ましい。
また、アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0058】
現像方法はディッピング法、パドル法、スプレー現像法などのいずれでも良い。
現像時間は、条件によって異なるが、例えば通常1〜30分間程度である。
【0059】
なお、現像工程において(b)層及び(c)層は現像工程において得られたレジストパターンが(c)層と共に(b)層も現像される様に処理することができればよく、例えば現像工程を複数回繰り返してもよい。ただし、処理の簡便さから、一度の現像で(b)層及び(c)層の両方を除去することが望ましい。
【0060】
現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、エアーガンなどを用いて風乾させたり、オーブン中で乾燥させると好ましい。
【0061】
[導体パターンの製造方法]
本発明の導体パターンの製造方法は、本発明のレジストパターンの製造方法を用いて得られるレジストパターンの非レジスト部(未露光部)に、導体パターンを形成する工程を含む。
導体パターンは、例えば金、銅、ニッケル、ハンダなどにより形成することができる。
導体パターンを形成する方法は、前述の(b)層を積層する方法が挙げられるが、好ましくはメッキ法などを挙げることができる。メッキ法はとくに制限されず、従来から公知の各種メッキ法を採用することができる。
これにより、バンプ、メタルポスト、配線、再配線などを形成することができる。
【0062】
本発明においては、(b)層を用いることにより、(c)層に対する、(a)層の有する銅の影響を低減することができる。
また、(b)層は無機物からなるので、製造時の制御、管理を厳密にしなくても、容易に安定した特性の膜を形成することができ、製造時の制御、管理が容易である。また、(c)層とのミキシングの問題も生じない。また、本発明方法を用いれば(c)層とともに(b)層も現像するので現像工程時に特別な処理を必要とせず、工程数の増加もない。
この様に(b)層は、簡便に形成することができ、また(c)層とミキシングの問題を生じない安定した特性のものが得られるので、結果として(c)層は(b)層の影響を受けず、(c)層も安定して製造することができる。
【実施例】
【0063】
以下本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、また、特にことわりの無い限り、部は質量部、%は質量%を示す。以下の実施例中に示す「分散度」とは、質量平均分子量/数平均分子量を示す。
【0064】
<(A)アルカリ可溶性ノボラック樹脂の合成>
合成例1
m−クレゾールとp−クレゾールを質量比60:40の割合で混合し、これにホルマリンを加え、シュウ酸触媒を用いて常法により縮合してクレゾールノボラック樹脂を得た。この樹脂に対して分別処理を施し、低分子領域をカットして質量平均分子量15000のアルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。この樹脂を(A)ノボラック樹脂とする。
【0065】
<(B)アルカリ可溶性アクリル樹脂の合成>
合成例2
撹拌装置、還流器、温度計、滴下槽のついたフラスコを窒素置換した後、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを200g仕込み、撹拌を始めた。その後、溶剤の温度を80℃まで上昇させた。滴下槽に重合溶媒として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5g、2−メトキシエチルアクリレート130g、ベンジルメタクリレート50.0g、アクリル酸20.0gを仕込み、重合開始剤(和光純薬社製、商品名V−65)が溶解するまで撹拌した後、この溶液をフラスコ内に3時間均一滴下し、引き続き80℃で5時間重合を行った。その後、室温まで冷却し、アクリル樹脂を得た。この樹脂を(B)アルカリ可溶性アクリル樹脂とする。
【0066】
実施例1
(A)ノボラック樹脂75部、(B)アルカリ可溶性アクリル樹脂15部、(C)架橋剤としてヘキサメトキシメチル化メラミン(三和ケミカル社製商品名ニカラックMw−100)10部、(D)下記式で示される酸発生剤0.3部をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート150部の溶剤に溶解した後、孔径1.0μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ネガ型化学増幅型ホトレジスト組成物を調製した。該組成物を用いて、表1に示す条件で、下記に示す特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
【化4】

【0068】
実施例2
(A)ノボラック樹脂70部、(B)アルカリ可溶性アクリル樹脂20部を用いた以外は実施例1と同様の操作によりネガ型化学増幅型ホトレジスト組成物を調製した。該組成物を用いて、表1に示す条件で、下記に示す特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0069】
実施例3
(A)ノボラック樹脂80部、(B)アルカリ可溶性アクリル樹脂10部を用いた以外は実施例1と同様の操作によりネガ型化学増幅型ホトレジスト組成物を調製した。該組成物を用いて、表1に示す条件で、下記に示す特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0070】
実施例4
(B)可塑剤にエチルビニルエーテルを触媒存在下、気相高温高圧重合反応することで得られるアルカリ可溶性ビニルエチルエーテルポリマー15部を用いた以外は実施例1と同様の操作によりネガ型化学増幅型ホトレジスト組成物を調整した。該組成物を用いて、表1に示す条件で、下記に示す特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0071】
実施例5
(B)可塑剤にメチルビニルエーテルを触媒存在下、気相高温高圧重合反応することで得られるアルカリ可溶性ビニルメチルエーテルポリマー15部を用いた以外は実施例1と同様の操作によりネガ型化学増幅型ホトレジスト組成物を調整した。該組成物を用いて、表1に示す条件で、下記に示す特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0072】
実施例6〜11
実施例1と同じネガ型化学増幅型ホトレジスト組成物を用いて、表1に示す条件で、下記に示す特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0073】
比較例1
<(b)無機物層なし>
(b)無機物層がない以外は実施例1と同様に処理した所、(a)支持体の影響を受けてレジストパターン上部に比べて(a)支持体と接触する下層部分が太くなるもしくは現像不可能な不十分なパターンになった。評価を表1に示す。
【0074】
比較例2
<遮蔽層>
<遮蔽層材料の調製>
合成例3
紫外線吸収剤として4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン3g、架橋剤としてメラミン環1個当りメトキシメチル基が平均3.7個置換されているメラミン誘導体(三和ケミカル社製、Mx−750)5g、添加剤として2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン5gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150gに溶解し、さらにフッ素系界面活性剤(住友3M社製、Fc−430)1000ppmを溶解、孔径が0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過して、遮蔽層材料を調製した。
【0075】
(a)5インチの銅スパッタリングウェーハの上に上記合成例3の遮蔽層材料を塗布し、150℃で10分加熱して特定の膜厚の(b)遮蔽層を形成した以外は実施例1と同様に処理した所、(b)層と(c)層のミキシングにより(a)支持体の影響を受けてレジストパターン上部に比べて(a)支持体と接触する下層部分が太くなるもしくは現像不可能な不十分なパターンになった。
評価を表1に示す。なお、表1中の「注」とは、無機物以外で遮蔽層を形成したことを示す。
【0076】
比較例3
<遮蔽層>
(a)5インチの銅スパッタリングウェーハの上に上記合成例9の遮蔽層材料を塗布し、200℃で10分加熱して特定の膜厚の(b)遮蔽層を形成した以外は実施例1と同様に処理した所、(b)遮蔽層が現像できなかった。
評価を表1に示す。なお、表1中の「注」とは、無機物以外で遮蔽層を形成したことを示す。
【0077】
比較例4
<酸化銅膜>
(a)5インチの銅スパッタリングウェーハを300℃で20分ベークし、ウェーハ上に酸化銅膜を形成した。このウェーハの酸化銅膜厚を断面SEMで計測したところ、少なくとも膜厚は3000Åあることが確認された。それ以外は実施例1と同様に処理した所、(b)遮蔽層が現像できなかった。評価を表1に示す。
【0078】
[特性評価]
・現像性
(a)5インチの銅スパッタリングウェーハ上に特定の(b)無機物ターゲットを用い、スパッタ法により特定の膜厚の(b)層を形成した。その後スピンナーを用いて、各組成物を、膜厚約20μmとなるように、1800rpmにて25秒間塗布後、110℃で6分間ホットプレート上でプレベークしてホトレジスト積層体を形成した。
膜厚約120μmの塗膜の場合、800rpmにて25秒間塗布後、110℃で1分間ホットプレート上でプレベークし、さらに500rpmにて25秒間塗布後、110℃で1分間ホットプレート上でプレベークし、さらに500rpmにて25秒間塗布後、110℃で20分間プレベークしてホトレジスト積層体を形成した。
膜厚約500μmの塗膜の場合、アプリケーターを用いて乾燥膜厚約500μmとなるように塗布後、120℃で2時間オーブンでプレベークしてホトレジスト積層体を形成した。
上記で得られた厚膜ホトレジスト積層体を、ステッパー(Nikon社製、NSR-2005i10D)を用いて解像度測定用のパターンマスクを介して、それぞれを100〜10,000mJ/cmの範囲で段階的に紫外線露光を行った。露光後、70℃で5分間加熱し、これを、現像液(商品名PMERシリーズ、P−7G、東京応化工業社製)で現像した。
この後、流水洗浄し、窒素ブローしてパターン状硬化物を得た。これを顕微鏡で観察し、現像性を下記の評価基準で判定した。
○:露光部の(b)層及び(c)層が現像されており、未露光部の(b)層及び(c)層が共に現像されていない場合。
×:露光部の(b)層及び(c)層が現像されていない、または未露光部の(b)層または未露光部の(c)層が現像されている場合。
【0079】
・熱安定性
「現像・解像性評価」で得られたパターン状硬化物を有する基板を試験体として、(b)層と(c)層のプレベーク、現像処理後の安定性を下記の評価基準で判定した。
〇:(b)層と(c)層にミキシングが見られず、安定。
×:(b)層と(c)層にミキシングが見られた。
【0080】
・バンプ形状
「現像・解像性評価」で得られたパターン状硬化物を有する基板を試験体として、酸素プラズマでアッシング処理後、硫酸銅メッキ液に23℃で30分間浸漬し、流水洗浄し、被処理試験体を得、形成されたバンプとパターン状硬化物の状態を光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて観察し、形成されたバンプの形状を下記の評価基準で判定した。また、バンプ形状が良好である場合には、基板とバンプの角度とマスク寸法に対する誤差比率を測定した。
○:バンプの形状がパターン状硬化物に依存(追随)し、良好。
×:パンプの形状がパターン状硬化物に依存せず、膨らみが生じている。
【0081】
実施例1〜11、および比較例1〜4で調製したポジ型ホトレジスト組成物について、上記の各試験を行い評価した。なお、評価方法において、比較例1〜4については、遮蔽層を形成していないか、あるいは本発明において必須の無機物供給源から供給される無機物からなる無機物層を形成していない点のみ異なる。
【0082】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)上面に銅が存在する支持体と、(b)無機物供給源より供給される無機物からなる無機物層と、(c)化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物からなるホトレジスト層とを積層してホトレジスト積層体を得る積層工程と、
前記ホトレジスト積層体に選択的に活性光線又は放射線を照射する露光工程と、
前記(c)層とともに前記(b)層を現像することにより、レジストパターンを形成する現像工程とを含むことを特徴とするレジストパターンの製造方法。
【請求項2】
前記積層工程において、前記(b)層の膜厚を0.05nm〜1μmとする請求項1記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項3】
前記積層工程において、前記(c)層の膜厚を10μm〜1mmとする請求項1または2に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項4】
前記無機物として、Al、Zn、Mo、Sn、Pb及びITOからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いる請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項5】
無機物供給源からAlを供給し、スパッタ法、蒸着法、メッキ法から選ばれる少なくとも1種の方法を用いて、Alを含む(b)層を形成する請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジストパターンの製造方法において、前記化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物として、(A)ノボラック樹脂、(B)可塑剤、(C)架橋剤、および(D)酸発生剤を含有するネガ型ホトレジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジストパターンの製造方法を用いて得られるレジストパターンの非レジスト部に、導体パターンを形成する工程を含むことを特徴とする導体パターンの製造方法。


【公開番号】特開2006−154570(P2006−154570A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347772(P2004−347772)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】