説明

レジストパターン形成方法、レジストパターン、架橋性ネガ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスク

【課題】高い解像力、小さいラインエッジラフネス(LER)、優れたパターン形状、及び、高感度を同時に満足したパターンを形成できるレジストパターン形成方法、レジストパターン、架橋性ネガ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクを提供する。
【解決手段】基板上に、架橋反応によりネガ化するネガ型レジスト組成物を用いて膜を形成する工程、該膜を露光する工程、及び露光後にアルカリ現像液を用いて現像する工程をこの順番で有する、レジストパターンの形成方法において、前記ネガ型レジスト組成物が下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有し、前記工程で形成された膜の膜厚が15nm〜40nmであり、かつ、前記アルカリ現像液中のアルカリ成分の濃度が0.5質量%〜1.1質量%である、レジストパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられる、電子線(EB)や極紫外線(EUV)などを使用して高精細化したパターンを形成しうるレジストパターン形成方法、並びに、レジストパターン、架橋性ネガ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクに関するものであり、特に特定の下地膜を有する基板を使用するプロセスに用いられるレジストパターン形成方法、並びに、レジストパターン、架橋性ネガ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクに関する。
また本発明のレジストパターン形成方法は、ナノインプリント用モールド構造体の作製方法にも好適に適用できる。
【背景技術】
【0002】
レジスト組成物を用いた微細加工では、集積回路の高集積化に伴って、近年では、超微細な(例えば、線幅30nm以下の1:1のラインアンドスペース、すなわち30nm以下のラインと30nm以下のスペースの繰り返し)パターン形成が求められている。
そのため、露光波長もg線からi線に、更にエキシマレーザー光にというように短波長化の傾向が見られ、現在では、極紫外光(EUV)や電子線を用いたリソグラフィー技術の開発が進んでいる。また、近年ではいわゆるインプリントプロセスに用いられるモールド作成用途などにも用いられている(例えば、特許文献1、及び非特許文献1)。
【0003】
また、形成されるパターンの微細化に伴い、パターンが倒れるという問題が新たに発生し、この問題を防ぐために、レジスト膜の薄膜化も併せて適用されている。
極紫外光(EUV)や電子線を用いたリソグラフィー技術、またインプリント用モールド作成用途に用いられるレジスト組成物としては、例えば、フェノール性水酸基の水素原子をアセタール構造などの酸不安定性基で置換した樹脂を用いたものが、特許文献2〜4に開示されている。
【0004】
2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液(以下TMAH水溶液と略す)が、事実上業界標準の現像液として用いられているが、上述したレジスト膜の薄膜化に伴い、現像時のレジスト膜の膜減りによるパターンの断線やLERの悪化などが問題となっている。
この問題を解決するため、例えば、ポジ型ノボラックレジストを現像する際に、0.115N〜0.15Nのアルカリ現像液を用いてパターンを現像する方法(特許文献5)や、1.2質量%以下のTMAH水溶液を用いてエステル型の酸分解性繰り返し単位を有する樹脂を含むレジスト組成物から形成されたレジスト膜を現像する方法(特許文献6)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−162101号公報
【特許文献2】特開2000−239538号公報
【特許文献3】特開2006−146242号公報
【特許文献4】国際公開第05/023880号
【特許文献5】特開昭63−232430号公報
【特許文献6】特開2010−134240号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開−ナノインプリントの基盤技術と最新の技術展開―編集:平井義彦 フロンティア出版(2006年6月発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、開示されてきたレジスト組成物等のいかなる組合せにおいても、超微細パターンの解像性能、良好なナノエッジラフネスなどを満足できていないのが現状である。
本発明の目的は、超微細な(例えば、線幅30nm以下の1:1のラインアンドスペース)パターン形成においても、高感度、高解像性(例えば、高い解像力、小さいラインエッジラフネス(LER))、及び、優れたパターン形状を同時に満足したパターンを形成できるレジストパターン形成方法、レジストパターン、架橋性ネガ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造の高分子化合物を含む架橋性ネガ型レジスト組成物を用いて形成した、特定の膜厚の膜をパターン露光した後、特定のアルカリ成分濃度のアルカリ現像液を用いて現像することによって上記目的が達成されることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0009】
〔1〕
(1)基板上に、架橋反応によりネガ化するネガ型レジスト組成物を用いて膜を形成する工程、
(2)該膜を露光する工程、及び
(4)露光後にアルカリ現像液を用いて現像する工程
をこの順番で有する、レジストパターンの形成方法において、
前記ネガ型レジスト組成物が、(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有し、
前記工程(1)で形成された膜の膜厚が15nm〜40nmであり、かつ、
前記アルカリ現像液中のアルカリ成分の濃度が0.5質量%〜1.1質量%である、レジストパターン形成方法。
【化1】

一般式(I)中、
Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はアルキルスルホニルオキシ基を表し、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
aは1〜3の整数を表す。
bは0〜(3−a)の整数を表す。
〔2〕
前記現像工程(4)において、実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像する、上記〔1〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔3〕
前記一般式(I)で表される繰り返し単位において、高分子化合物(A)の主鎖からの結合に対して、ベンゼン環の少なくとも一つのメタ位に−OHが存在する、上記〔1〕又は〔2〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔4〕
前記現像工程(4)で用いられるアルカリ現像液が、テトラメチルアンモニウムハイドロキシドを含む水溶液である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
〔5〕
前記露光工程(2)と前記現像工程(4)との間に、ベーク工程(3)を更に有する、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
〔6〕
前記露光工程(2)における露光が、電子線又はEUV光により行われる、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
〔7〕
前記膜形成工程(1)で用いられるネガ型レジスト組成物が、更に、(B)酸の作用により前記高分子化合物(A)と架橋する架橋剤、(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(D)塩基性化合物を含有する、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
〔8〕
前記架橋剤(B)が、分子内にベンゼン環を2個以上有するフェノール性化合物である、上記〔7〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔9〕
上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により形成される、レジストパターン。
〔10〕
上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法に用いられる、架橋性ネガ型レジスト組成物。
〔11〕
上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により製造される、ナノインプリント用モールド。
〔12〕
上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により製造される、フォトマスク。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超微細な(例えば、線幅30nm以下の1:1のラインアンドスペース)パターンを解像できる高解像性能(例えば、高い解像力、小さいラインエッジラフネス(LER))、優れたパターン形状、及び、高感度を同時に満足したパターンを形成できるレジストパターン形成方法、レジストパターン、架橋性ネガ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
具体的には、本発明のレジストパターン形成方法、レジストパターン、架橋性ネガ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクについて詳細に説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記において、置換又は無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0012】
[レジストパターン形成方法及びレジストパターン]
まず、本発明に係る架橋性ネガ型レジスト組成物の使用形態を説明する。
本発明のレジストパターン形成方法は、(1)基板上に、架橋反応によりネガ化するネガ型レジスト組成物を用いて膜を形成する工程、(2)該膜を露光する工程、及び(4)露光後にアルカリ現像液を用いて現像する工程をこの順番で有する、レジストパターンの形成方法において、前記ネガ型レジスト組成物が(A)後述の一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有し、前記工程(1)で形成された膜の膜厚が15nm〜40nmであり、かつ、前記アルカリ現像液中のアルカリ成分の濃度が0.5質量%〜1.1質量%である。
ここでネガ化とは、架橋反応により高分子化合物の分子量が増大して、アルカリ現像液に不溶化することである。
本発明に係る架橋性ネガ型レジスト組成物は、化学増幅型の架橋性ネガ型レジスト組成物であることが好ましい。
また本発明のレジストパターンは、上記本発明のレジストパターン形成方法により形成される。
また本発明は、後述するように、上記本発明のレジストパターン形成方法に用いられる、架橋性ネガ型レジスト組成物にも関する。
以下、本発明のパターン形成方法について詳細に説明する。
【0013】
<1>製膜
本発明において、線幅30nm以下の1:1のラインアンドスペースパターンを解像させるためには、架橋性ネガ型レジスト組成物から形成される膜の膜厚が15nm〜40nmであることが必要である。該膜厚が40nmを超えると、パターン倒れが顕著に起こり、十分な解像性能を得ることが出来ない。また、該膜厚が15nm未満であると良好なエッチング耐性を得ることが出来ない。該膜厚の範囲として、好ましくは15nm〜35nmである。該膜厚がこの範囲にあると、優れたエッチング耐性と解像性能を同時に満足させることができる。
架橋性ネガ型レジスト組成物膜を得るには、後述する各成分を溶剤に溶解し、必要に応じてフィルター濾過した後、支持体(基板)に塗布して用いる。フィルターとしては、ポアサイズ0.1ミクロン以下、より好ましくは0.05ミクロン以下、更に好ましくは0.03ミクロン以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。塗布膜は好ましくは60〜180℃で1〜20分間、より好ましくは80〜160℃で1〜10分間プリベークして薄膜を形成する。
組成物は、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン、二酸化シリコン被覆)上にスピナー等の適当な塗布方法により塗布される。その後乾燥し、架橋性ネガ型レジスト組成物膜を形成する。
必要により、レジスト組成物膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜)を塗布して用いることもできる。
【0014】
<2>露光
形成した該膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する。なお、電子ビームの照射では、マスクを介さない描画(直描)が一般的である。
活性光線又は放射線としては特に限定されないが、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV光、電子線等であり、EUV光、電子線が好ましい。すなわち、膜を露光する工程(2)における露光が、電子線又はEUV光を用いて行われることが好ましい。
【0015】
<3>ベーク
露光後、現像を行う前にベーク(加熱)を行うことが好ましい。すなわち、本発明のレジストパターン形成方法は、前記露光工程(2)と前記現像工程(4)との間に、ベーク工程(3)を更に有することが好ましい。
加熱温度は80〜150℃で行うことが好ましく、90〜150℃で行うことがより好ましく、100〜140℃で行うことが更に好ましい。
加熱時間は30〜1000秒が好ましく、60〜800秒がより好ましく、60〜600秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行っても良い。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
【0016】
<4>アルカリ現像
アルカリ現像液のアルカリ成分の濃度は、0.5質量%〜1.1質量%である。該アルカリ成分の濃度が0.5質量%を下回ると、現像が完了するまでに多大な時間を必要とし、生産性が著しく低下する。一方、該アルカリ成分の濃度が1.1質量%を超えると、該レジスト膜の露光部の膜減りにより、解像性能が低下する。アルカリ現像液のアルカリ成分の濃度として好ましくは、0.6質量%〜1.0質量%である。アルカリ成分の濃度がこの範囲にあるアルカリ現像液を用いると、生産性と解像性能を同時に満足することができる。
使用するアルカリ現像液中のアルカリ成分(以下、“アルカリ種”とも呼ぶ)としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類が挙げられ、アルカリ現像液としてはこれらアルカリ類の水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ類の水溶液に、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤(例えばサーフィノール440、465(日信化学工業(株)))を適当量添加して、表面張力を低下させたアルカリ水溶液を使用することもできる。
アルコール類やノニオン系等の界面活性剤は、アルカリ現像液の表面張力が十分に低下する必要量を添加すれば良い。
アルコール類や界面活性剤の添加量と水溶液の表面張力の関係は、添加する化合物の種類に応じて変化するため、添加量としては一概には言えないが、例えば、イソプロピルアルコールを添加する場合には、アルカリ現像液の全質量に対し5〜20質量%添加することで、アルカリ現像液の表面張力を30〜50mN/mに低下させることができる。
表面張力は既知の方法により測定することが出来るが、例えば協和界面科学(株)製 CBVP−Z型を用いて、白金プレートによる測定法などがある。
【0017】
これら現像液中のアルカリ種の中で好ましくは、第四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドである(すなわち、前記現像工程(4)で用いられるアルカリ現像液が、テトラメチルアンモニウムハイドロキシドを含む水溶液であることが好ましい)。
また、現像液中の金属イオンの含有量は10ppb以下であることが好ましく、ハロゲンイオンの含有量は10ppb以下であることが好ましい。
【0018】
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
特に好ましい現像方法は、実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像する方法であり、具体的には、基板表面に実質的に新鮮なアルカリ現像液を噴霧しつづける方法(スプレー法)か、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら、実質的に新鮮なアルカリ現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)である。実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像することで、露光部の現像が速やかに進行し、解像性能が向上する。また、新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給しつづけて現像することで、現像からリンスに切り替わる段階で発生する残渣系の現像欠陥を低減させることもできる。
【0019】
現像時間は未露光部のレジスト組成物中の成分が十分に溶解する時間と生産性を両立できることが重要である。現像時間は、現像液に含まれるアルカリ類の濃度とレジスト組成物中の成分のアルカリ溶解性により変化するため、一義的に決めることは出来ない。
しかしながら、現像時間として60秒〜600秒となるように、アルカリ類の濃度を調整したアルカリ現像液を用いることが好ましい。現像時間が上記範囲内になる様に濃度調整したアルカリ現像液を用いて現像を行うと、パターンサイズの基板面内均一性と生産性の両立が維持される。
現像液の温度は0℃〜50℃が好ましく、10℃〜30℃が更に好ましい。
【0020】
<5>リンス処理
また、現像を行う工程の後に、純水に置換しながら、現像を停止する工程を実施することが好ましい。
更に、上記純水にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス時間は、基板上のアルカリ現像液が十分に洗い流される時間が好ましく、通常は5秒〜600秒が好ましい。更に好ましくは10秒〜300秒である。
リンス液の温度は0℃〜50℃が好ましく、10℃〜30℃が更に好ましい。
【0021】
更に、本発明は、本発明のレジストパターン形成方法により製造される、ナノインプリント用モールド、及び、フォトマスクにも関する。
このようなナノインプリント用モールド、及び、フォトマスクは、マスクブランクスに本発明の架橋性ネガ型レジスト組成物から得られるレジスト膜を塗布した、レジスト塗布マスクブランクスを用いて製造されることが好ましい。
このようなレジスト塗布マスクブランクス上に、本発明のレジストパターン形成方法に基づいてレジストパターンを形成する場合、使用される基板としては、石英、フッ化カルシウム等の透明基板を挙げることができる。一般には、該基板上に、遮光膜、反射防止膜、更に位相シフト膜、追加的にはエッチングストッパー膜、エッチングマスク膜といった機能性膜の必要なものを積層する。機能性膜の材料としては、ケイ素、又はクロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニオブ等の遷移金属を含有する膜が積層される。また、最表層に用いられる材料としては、ケイ素又はケイ素に酸素及び/又は窒素を含有する材料を主構成材料とするもの、更にそれらに遷移金属を含有する材料を主構成材料とするケイ素化合物材料や、遷移金属、特にクロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニオブ等より選ばれる1種以上、又は更にそれらに酸素、窒素、炭素より選ばれる元素を1以上含む材料を主構成材料とする遷移金属化合物材料が例示される。
遮光膜は単層でも良いが、複数の材料を塗り重ねた複層構造であることがより好ましい。複層構造の場合、1層当たりの膜の厚みは、特に限定されないが、5nm〜100nmであることが好ましく、10nm〜80nmであることがより好ましい。遮光膜全体の厚みとしては、特に限定されないが、5nm〜200nmであることが好ましく、10nm〜150nmであることがより好ましい。
【0022】
次いで、このレジスト膜に対して、上記したように、露光、現像を行い、レジストパターンを得る。そして、このレジストパターンをマスクとして用いて、適宜エッチング処理などを行い、ナノインプリント用モールドやフォトマスクを製造する。
【0023】
本発明におけるフォトマスクは、ArFエキシマレーザー等で用いられる光透過型マスクであっても、EUV光を光源とする反射系リソグラフィーで用いられる光反射型マスクであっても良い。
なお、本発明の組成物を用いてインプリント用モールドを作成する場合のプロセスについては、例えば、特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報、及び「ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦(フロンティア出版)」に記載されている。
【0024】
[ネガ型レジスト組成物]
以下に、本発明のレジストパターン形成方法に用いる、本発明の架橋反応によりネガ化する、ネガ型レジスト組成物について詳細に説明する。
架橋反応によりネガ化する、ネガ型レジスト組成物は、(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有する。
本発明のネガ型レジスト組成物は、更に、(B)酸の作用により前記高分子化合物(A)と架橋する架橋剤、(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(D)塩基性化合物を含有することが好ましい。
【0025】
〔1〕(A)高分子化合物
本発明に係るネガ型レジスト組成物は、(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有している。これにより、電子線やEUV露光における二次電子発生効率、及び、露光部における架橋効率が優れ、未露光部の上記したアルカリ現像液に対する溶解性も適切なものとなる。
高分子化合物(A)は、後述の(B)酸の作用により高分子化合物(A)と架橋する化合物とともに使用することが好ましい。
【0026】
【化2】

【0027】
一般式(I)中、
Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はアルキルスルホニルオキシ基を表し、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
aは1〜3の整数を表す。好ましくは、aは1である。
bは0〜(3−a)の整数を表す。bは好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
【0028】
一般式(I)において、Aとしてのアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。Aとしてのシクロアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、単環でも多環でもよく、炭素数5〜10のシクロアルキル基が好ましい。Aとしてのハロゲン原子としては、Cl、Br、F等を挙げることができる。Aは、好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基等)であり、特に好ましくは水素原子、メチル基である。
Rとしてはハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はアルキルスルホニルオキシ基を挙げることができ、更に置換基を有していてもよい。Rとしてのハロゲン原子は、Cl、Br、F、I等を挙げることができる。また、複数のRを有する場合には、互いに結合して環(好ましくは5又は6員環)を形成してもよい。
【0029】
Rは、好ましくはハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜16のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜8のアルキルカルボニルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルスルホニルオキシ基である。
【0030】
Rとして、より好ましくは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基であり、特に好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基)である。
【0031】
A、Rが更に有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、オキソ基を挙げることができ、好ましくは炭素数15以下の置換基である。
【0032】
一般式(I)で表される繰り返し単位におけるベンゼン環上の置換基(−(OH)a及び(R)b)は、高分子化合物(A)の主鎖からの結合に対してパラ位、メタ位、オルト位のいずれであってもよいが、少なくとも一つのメタ位に−OHが存在することが好ましい。ヒドロキシベンゼン環において、例えば後述する架橋剤との架橋反応は、ベンゼン環上の水酸基の結合位置に隣接する炭素原子を反応部位として進行する。よって、水酸基が、ベンゼン環の主鎖への結合手に対して、メタ位に存在している場合、主鎖に対して最も外方に位置するパラ位が反応部位となり、架橋剤からの攻撃を受けやすい。これにより、露光部における架橋効率が優れるものと推察される。
【0033】
本発明で用いられる高分子化合物(A)は、一般式(I)で表される繰り返し単位とともに、一般式(II)〜(IV)のいずれかで表される繰り返し単位の少なくとも一種を有することもできる。
【0034】
【化3】

【0035】
一般式(II)〜(IV)において、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。Rとしてのアルキル基、シクロアルキル基、及びハロゲン原子の具体例及び好ましい例は、上記一般式(I)におけるAとしてのアルキル基、シクロアルキル基、及びハロゲン原子で記載したものと同様である。
の好ましい例は、上記一般式(I)におけるAの上記した好ましい例と同様である。
Xは単結合、−COO−基、−O−基、又は−CON(R16)−基を表し、R16は水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。Xとして好ましくは、単結合、−COO−基、−CON(R16)−基であり、特に好ましくは単結合、−COO−基である。
Yで示される環構造は、3環以上の多環芳香族炭化水素環構造を表し、好ましくは下記構造式で表されるいずれかを表す。
【0036】
【化4】

【0037】
11〜R15はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。R11〜R15は互いに結合し、環(好ましくは5又は6員環)を形成してもよい。R11〜R15で表されるハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基及びアルキルスルホニルオキシ基は、具体的には一般式(I)のRと同様のものが挙げられる。R11〜R15で表されるアリールカルボニルオキシ基は、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数7〜16のアリールカルボニルオキシ基である。R11〜R15で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基である。
101〜R106はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(Cl、Br、F、I)、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜8の直鎖又は分岐状のアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜16のアラルキル基、カルボキシ基、水酸基を有していてもよい炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を表す。
c〜hはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
【0038】
これらの置換基の具体例としては、前記一般式(I)のRが更に有していてもよい置換基の例として挙げたものと同じものが挙げられる。
101〜R106として好ましくは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基であり、特に好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基)、炭素数2又は3のアルキルカルボニルオキシ基(アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等)である。
101〜R106が主鎖の炭素原子と連結して、環構造を形成する場合、形成される環構造は4〜6員環が好ましい。
c〜hはそれぞれ独立に0又は1を表すことが好ましく、0であることがより好ましい。
【0039】
本発明で用いられる高分子化合物(A)は、一般式(I)で表される繰り返し単位を1種のみを有する高分子化合物、一般式(I)で表される繰り返し単位を2種以上有する高分子化合物、一般式(I)で表される繰り返し単位と、一般式(II)〜(IV)のいずれかで表される繰り返し単位の少なくとも1種とを有する高分子化合物のいずれであってもよいが、製膜性や溶剤溶解性を制御できるような他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
これらの重合性モノマーの例としては、スチレン、アルキル置換スチレン、アルコキシスチレン、アシルオキシスチレン、水素化ヒドロキシスチレン、無水マレイン酸、アクリル酸誘導体(アクリル酸、アクリル酸エステル等)、メタクリル酸誘導体(メタクリル酸、メタクリル酸エステル等)、N−置換マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、上記とは別に、好ましい高分子化合物(A)の繰り返し単位として、主鎖に環状構造を有する単位(インデン構造を有するモノマーに由来する単位など)、ナフトール構造を有する単位、−C(CFOH基を有する繰り返し単位なども挙げられる。
【0040】
高分子化合物(A)は、更に、下記一般式(V)で表される繰り返し単位を有することもできる。
【0041】
【化5】

【0042】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基を表す。Arは芳香族環を表す。mは1以上の整数である。)
【0043】
一般式(V)におけるRは水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(V)のArの芳香族環としては、例えば、炭素数6〜18の置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素環又は芳香環ヘテロ環を挙げることができる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が解像性の観点で好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。
Arの芳香族環は、上記−OXで表される基以外にも置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
は非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基を表す。なお本願において非酸分解性とは、後述の(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物が発生する酸により、分解反応が起こらない性質を意味する。
で表される非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基における多環脂環炭化水素構造としては、アダマンタン構造、デカリン構造、ノルボルナン構造、セドロール構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造、トリシクロデカン構造があげられ、アダマンタン構造がドライエッチング耐性の観点で最も好ましい。
mは1〜5の整数であることが好ましく、1が最も好ましい。mが1でArがベンゼン環の時、―OXの置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位又はメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0044】
前記一般式(V)で表される繰り返し単位は、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(VI)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を使用すると、高分子化合物のTgが高くなり、非常に硬いレジスト膜を形成するため、酸の拡散性やドライエッチング耐性をより確実に制御できる。
【0045】
【化6】

【0046】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Yは単結合又は2価の連結基を表し、Xは非酸分解性の多環脂環炭化水素基を表す。)
【0047】
一般式(VI)におけるRは水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(VI)において、Yは2価の連結基であることが好ましい。Yの2価連結基として好ましい基は、カルボニル基、チオカルボニル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)、スルホニル基、−COCH−、−NH−又はこれらを組合せた2価の連結基(好ましくは総炭素数1〜20、より好ましくは総炭素数1〜10)であり、より好ましくはカルボニル基、スルホニル基、−CONH−、−CSNH−であり、特に好ましくはカルボニル基である。
【0048】
は多環脂環炭化水素基を表し、非酸分解性である。Xの多環脂環炭化水素基としては、好ましくはアダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、トリシクロデカニル基であり、アダマンチル基がドライエッチング耐性の観点で最も好ましい。
更に上記脂環炭化水素基は置換基を有してもよく、置換基としては例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
一般式(VI)における―O―Y―Xの置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位又はメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0049】
本発明において、前記一般式(V)で表される繰り返し単位が、下記一般式(VI’)で表される繰り返し単位であることが最も好ましい。
【0050】
【化7】

【0051】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
【0052】
一般式(VI’)におけるRは水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(VI’)におけるアダマンチルエステル基の置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位又はメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0053】
高分子化合物(A)は、上記一般式(V)で表される繰り返し単位を有していても、有していなくてもよいが、上記一般式(V)で表される繰り返し単位を有する場合、一般式(V)で表される繰り返し単位の含有量の範囲は、高分子化合物(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に1〜40モル%、好ましくは2〜30モル%である。
【0054】
本発明において、高分子化合物(A)は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0055】
高分子化合物(A)は、一般式(I)で表される繰り返し単位のみからなっても、一般式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含有しても良いが、一般式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含有する場合、高分子化合物(A)における一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量の範囲は、高分子化合物(A)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に50〜99.5モル%、好ましくは70〜99モル%である。
また、高分子化合物(A)が、一般式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含有する場合、一般式(I)で表される繰り返し単位と、一般式(II)〜(IV)で表される繰り返し単位の比率は、モル比で99/1〜50/50が好ましく、より好ましくは99/1〜60/40であり、特に好ましくは99/1〜70/30である。
高分子化合物(A)の好ましい分子量は、質量平均分子量として1000〜50000であり、更に好ましくは2000〜20000であり、特に好ましくは2000〜6000である。
高分子化合物(A)の好ましい分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜2.0であり、より好ましくは1.0〜1.35である。
なお、高分子化合物の分子量及び分子量分布は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。
高分子化合物(A)の添加量(複数併用する場合は合計の量)は組成物の全固形分に対して、30〜95質量%、好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜80質量%で用いられる。
【0056】
高分子化合物(A)は、公知のラジカル重合法やアニオン重合法により合成することができる。例えば、ラジカル重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、過酸化物(過酸化ベンゾイル等)やニトリル化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、又はレドックス化合物(クメンヒドロペルオキシド−第一鉄塩等)を開始剤として、室温又は加温条件下で反応させて重合体を得ることができる。また、アニオン重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、金属化合物(ブチルリチウム等)を開始剤として、通常、冷却条件化で反応させて重合体を得ることができる。
【0057】
以下に本発明で使用される高分子化合物(A)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
具体例中のnは正の整数を表す。
x、y、zは高分子化合物組成のモル比を表し、2成分からなる高分子化合物では、x=10〜95、y=5〜90、好ましくはx=40〜90、y=10〜60の範囲で使用される。3成分からなる高分子化合物では、x=10〜90、y=5〜85、z=5〜85、好ましくはx=40〜80、y=10〜50、z=10〜50の範囲で使用される。また、これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0058】
【化8】

【0059】
【化9】

【0060】
【化10】

【0061】
【化11】

【0062】
【化12】

【0063】
【化13】

【0064】
【化14】

【0065】
【化15】

【0066】
【化16】

【0067】
〔2〕(B)酸の作用により高分子化合物(A)と架橋する架橋剤
本発明においては、高分子化合物(A)とともに、酸の作用により高分子化合物(A)を架橋する化合物(以下、架橋剤(B)と称する)を使用することが好ましい。ここでは公知の架橋剤を有効に使用することができる。
架橋剤(B)は、例えば、高分子化合物(A)を架橋しうる架橋性基を有している化合物であり、好ましくは架橋性基として、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、又はアルコキシメチルエーテル基を2個以上有する化合物あるいは樹脂、又はエポキシ化合物である。
更に好ましくは、アルコキシメチル化、アシルオキシメチル化メラミン化合物あるいは樹脂、アルコキシメチル化、アシルオキシメチル化ウレア化合物あるいは樹脂、ヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化フェノール性化合物あるいは樹脂、及びアルコキシメチルエーテル化フェノール性化合物あるいは樹脂等が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化フェノール性化合物あるいは樹脂が、感度、解像性能及びパターン形状の観点から最も好ましい。
【0068】
特に好ましい架橋剤(B)としては、分子量が1200以下、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、更にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、そのヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を少なくともいずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるフェノール誘導体を挙げることができる。このようなフェノール誘導体を用いることにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。更に、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロポキシ基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。
架橋剤(B)は、分子内にベンゼン環を有するフェノール性化合物であることが好ましく、分子内にベンゼン環を2個以上有するフェノール性化合物であることがより好ましく、また、窒素原子を含まないフェノール性化合物であることが好ましい。架橋剤(B)においてベンゼン環が2個以上であると、二次電子発生効率が高く、架橋反応が十分に進行するため、感度及び解像性能が高くなる。
架橋剤(B)は、高分子化合物(A)を架橋しうる架橋性基を1分子あたり2〜8個有するフェノール性化合物であることが好ましく、架橋性基を3〜6個有することがより好ましい。架橋剤(B)において架橋性基が上記の範囲であると、露光部における架橋効率が優れるため、レジストパターンにアルカリ現像液が浸透しにくくなる。これにより、解像力が高く、LERが小さくなり、結果、解像性能が優れる。
【0069】
これらのフェノール誘導体の内、特に好ましいものを以下に挙げる。式中、L〜Lはアルコキシメチル基等の架橋性基を示し、同じであっても異なっていてもよく、架橋性基としては好ましくはヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。
【0070】
【化17】

【0071】
【化18】

【0072】
【化19】

【0073】
【化20】

【0074】
【化21】

【0075】
架橋剤(B)は、市販されているものを用いることもでき、また公知の方法で合成することもできる。例えば、ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール性化合物(上記式においてL〜Lが水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号、特開平7−64285号等に記載されている方法にて合成することができる。
【0076】
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。このようにして合成されたヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0077】
架橋剤は、残膜率及び解像力が低下することを防止するとともに、レジスト液の保存時の安定性を良好に保つ観点から、レジスト組成物の全固形分中、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは8〜25質量%の添加量で用いられる。
本発明において、架橋剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0078】
〔3〕(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のネガ型レジスト組成物は、(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤(C)」ともいう)を含有することが好ましく、活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸以外の酸を発生する化合物を含有することがより好ましい。酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0079】
酸発生剤(C)としての、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0080】
【化22】

【0081】
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF、PF、SbFなどが挙げられ、好ましくは炭素原子を含有する有機アニオンである。好ましい有機アニオンとしては下式AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
【0082】
【化23】

【0083】
式AN1〜AN3中、Rc〜Rcはそれぞれ独立に有機基を表す。
Rc〜Rcにおける有機基として、炭素数1〜30のものがあげられ、好ましくは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。更には他の結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rdは水素原子、又はアルキル基を表し、他の結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rc〜Rcの有機基として、1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。Rc〜Rcにおいて炭素原子を5個以上有する時、少なくとも1つの炭素原子は水素原子で置換されていることが好ましく、水素原子の数がフッ素原子より多いことがより好ましい。炭素数5以上のパーフロロアルキル基を有さないことにより生態への毒性が軽減する。
【0084】
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
【0085】
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0086】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0087】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基、シクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203としてのアリール基、アルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0088】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であり、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R201〜R203としてのシクロアルキル基は、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0089】
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0090】
【化24】

【0091】
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R7cのいずれか2つ以上が結合して環構造を形成しても良い。また、RとRが結合して環構造を形成しても良い。これらの環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
は、一般式(ZI)におけるZと同義である。
化合物(ZI−3)の具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0046,0047や、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物、等を挙げることができる。
【0092】
次に、一般式(ZII)、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基の具体例、好適なものとしては、前記化合物(ZI−1)におけるR201〜R203としてのアリール基として説明したものと同様である。
204〜R207のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例、好適なものとしては、前記化合物(ZI−2)におけるR201〜R203としての直鎖又は分岐のアルキル基及びシクロアルキル基として説明したものと同様である。
は、一般式(ZI)に於けるZと同義である。
【0093】
酸発生剤(C)としての、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【0094】
【化25】

【0095】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar及びArは、各々独立に、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
208は、一般式(ZV)と(ZVI)中で各々独立して、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。発生酸の強度を高める点では、R208はフッ素原子により置換されていることが好ましい。
209及びR210は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基又は電子求引性基を表す。R209として好ましくは、置換若しくは無置換のアリール基である。R210として好ましくは、電子求引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、又は置換若しくは無置換のアリーレン基を表す。
なお、一般式(ZVI)で表される構造を複数有する化合物も本発明では好ましい。例えば、一般式(ZVI)で表される化合物のR209又はR210のいずれかが、一般式(ZVI)で表されるもう一つの化合物のR209又はR210のいずれかと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0096】
酸発生剤(C)としての、活性光線又は放射線の照射により分解してカルボン酸以外の酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物であり、更に好ましくは(ZI)で表される化合物であり、最も好ましくは(ZI−1)〜(ZI−3)で表される化合物である。
酸発生剤(C)の具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
【0097】
【化26】

【0098】
【化27】

【0099】
【化28】

【0100】
【化29】

【0101】
【化30】

【0102】
酸発生剤(C)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
酸発生剤(C)の組成物中の含有量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、1〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは8〜20質量%である。
【0103】
〔4〕(D)塩基性化合物
本発明のネガ型レジスト組成物は、塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物は、含窒素有機塩基性化合物であることが好ましい。
使用可能な化合物は特に限定されないが、例えば以下の(1)〜(4)に分類される化合物が好ましく用いられる。
【0104】
(1)下記一般式(BS−1)で表される化合物
【0105】
【化31】

【0106】
一般式(BS−1)中、
Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基(直鎖又は分岐)、シクロアルキル基(単環又は多環)、アリール基、アラルキル基の何れかを表す。但し、三つのRの全てが水素原子とはならない。
Rとしてのアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1〜20、好ましくは1〜12である。
Rとしてのシクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常3〜20、好ましくは5〜15である。
Rとしてのアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6〜20、好ましくは6〜10である。具体的にはフェニル基やナフチル基などが挙げられる。
Rとしてのアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7〜20、好ましくは7〜11である。具体的にはベンジル基等が挙げられる。
Rとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、水素原子が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
一般式(BS−1)で表される化合物は、3つのRの1つのみが水素原子、あるいは全てのRが水素原子でないことが好ましい。
【0107】
一般式(BS−1)の化合物の具体例としては、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリイソデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,4,6−トリ(t−ブチル)アニリンなどが挙げられる。
また、一般式(BS−1)において、少なくとも1つのRが、ヒドロキシル基で置換されたアルキル基である化合物が、好ましい態様の1つとして挙げられる。具体的化合物としては、トリエタノールアミン、N,N−ジヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
【0108】
なお、Rとしてのアルキル基は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、アルキレンオキシ鎖が形成されていてもよい。アルキレンオキシ鎖としては−CHCHO−が好ましい。具体的例としては、トリス(メトキシエトキシエチル)アミンや、米国特許第6040112号明細書のカラム3、60行目以降に例示の化合物などが挙げられる。
【0109】
(2)含窒素複素環構造を有する化合物
複素環構造としては、芳香族性を有していてもいなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよく、更に、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、イミダゾール構造を有する化合物(2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物(N−ヒドロキシエチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなど)、ピリジン構造を有する化合物(4−ジメチルアミノピリジンなど)、アンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン、ヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
また、環構造を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エンなどが挙げられる。
【0110】
(3)フェノキシ基を有するアミン化合物
フェノキシ基を有するアミン化合物とは、アミン化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基、アリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
より好ましくは、フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのアルキレンオキシ鎖を有する化合物である。1分子中のアルキレンオキシ鎖の数は、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。アルキレンオキシ鎖の中でも−CHCHO−が好ましい。
具体例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミンや、米国特許出願公開第2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)などが挙げられる。
【0111】
(4)アンモニウム塩
アンモニウム塩も適宜用いられる。好ましくはヒドロキシド又はカルボキシレートである。より具体的にはテトラブチルアンモニウムヒドロキシドに代表されるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。これ以外にも上記(1)〜(3)のアミンから誘導されるアンモニウム塩を使用可能である。
【0112】
その他、本願の組成物に使用可能な塩基性化合物として、特開2002−363146号公報の実施例で合成されている化合物、特開2007−298569号公報の段落0108に記載の化合物などが挙げられる。
【0113】
塩基性化合物は、単独であるいは2種以上併用して用いられる。
塩基性化合物の使用量は、組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
酸発生剤/塩基性化合物のモル比は、2〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比は2以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。このモル比としてより好ましくは3〜200、更に好ましくは4〜150である。
【0114】
〔5〕界面活性剤
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有してもよい。含有する場合、界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
これらに該当する界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックF176、メガファックR08、OMNOVA社製のPF656、PF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341などが挙げられる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類などが挙げられる。
【0115】
その他、公知の界面活性剤が適宜使用可能である。使用可能な界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
【0116】
界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、ネガ型レジスト組成物の全固形分量(溶剤を除く全量)に対して、好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0.0001〜2質量%、特に好ましくは0.0005〜0.5質量%である。
【0117】
〔6〕レジスト溶剤
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、各成分を溶解するものである限り特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)など)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;1−メトキシ−2−プロパノール)など)、乳酸アルキルエステル(乳酸エチル、乳酸メチルなど)、環状ラクトン(γ−ブチロラクトンなど、好ましくは炭素数4〜10)、鎖状又は環状のケトン(2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど、好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、カルボン酸アルキル(酢酸ブチルなどの酢酸アルキルが好ましい)、アルコキシ酢酸アルキル(エトキシプロピオン酸エチル)などが挙げられる。その他使用可能な溶媒として、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0244]以降に記載されている溶剤などが挙げられる。
【0118】
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
【0119】
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、通常1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。
水酸基を有する溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、水酸基を有しない溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましい。
本発明の組成物全量中における溶媒の使用量は、所望の膜厚等に応じて適宜調整可能であるが、一般的には組成物の全固形分濃度が0.5〜30質量%、好ましくは 0.7〜20質量%、より好ましくは1.0〜10質量%、更に好ましくは1.2〜5質量%となるように調整される。
【0120】
〔7〕その他添加剤
本発明の組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸オニウム塩、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、酸化防止剤などを適宜含有することができる。また、露光源としてEUVを用いる場合には、アウトオブバンド光を吸収する添加剤を含有することができる。アウトオブバンド光吸収剤の例としては米国特許出願公開第2006/0223000号に記載の芳香族化合物などが挙げられる。
【実施例】
【0121】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0122】
〔合成例1〕Polymer−3の合成
日本曹達株式会社製、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(VP2500)20gをテトラヒドロフラン(THF)120mLに溶解し、4.96gの1−アダマンタンカルボニルクロリド、3.37gのトリエチルアミンを加え、50℃で4時間撹拌した。反応液を室温に戻した後、酢酸エチル100mLと蒸留水100mLを加え、反応液を氷水中で撹拌しながら、1NのHCl水溶液を少しずつ反応液に添加し中和した。反応液を分液ロートに移し、酢酸エチル100mLと蒸留水100mLを更に加えて撹拌後、水層を除去した。その後有機層を200mLの蒸留水で5回洗浄後、有機層を濃縮し、ヘキサン2L中に滴下した。粉体をろ過後、分取し、真空乾燥することで高分子化合物(Polymer−3)20.6gが得られた。
また下記表1に示すPolymer−1及びPolymer−2を準備した。
【0123】
[レジスト組成物1〜7]
下記表1に示す高分子化合物(A)と、下記表2に示す各成分を、表2に示す溶剤に溶解させた。これを0.1μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターを用いてろ過した。
【0124】
【表1】

【0125】
【表2】

【0126】
以下に、表2中に略記した各成分の詳細を示す。
【0127】
<架橋剤(B)>
【0128】
【化32】

【0129】
<酸発生剤(C)>
【0130】
【化33】

【0131】
<塩基性化合物(D)>
TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
【0132】
<界面活性剤>
W−1:PF6320(OMNOVA(株)製)
W−2:メガフアックF176(DIC(株)製)
【0133】
<溶剤>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
EL:乳酸エチル
【0134】
<EB露光評価1:実施例1〜12、比較例1〜4>
上記組成物1〜7を用い、以下の操作により、レジストパターンを形成した。レジストパターン形成条件の詳細は表3に示す。
【0135】
〔レジスト塗布〕
調製したネガ型レジスト溶液を、スピンコータを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、表3に記載の条件で加熱乾燥を行った。なお、表3に記載の塗布膜厚は該加熱乾燥後の膜厚である。
【0136】
〔露光〕
レジスト膜に対して、電子線照射装置((株)JEOL製 JBX6000;加速電圧50keV)を用いて、2.5nm刻みで線幅20nm〜30nmのラインパターン(長さ方向0.5mm、描画本数40本)を、照射量を変えて露光した。
【0137】
〔ポストエクスポージャーベーク〕
照射後ただちに、表3に記載の条件でホットプレート上にて加熱した。
【0138】
〔現像〕
1.シャワー現像
シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハーを回転しながら表3に記載のアルカリ現像液(23℃)を、200mL/minの流量で、表3に記載の時間スプレー吐出して現像を行った。
その後、50回転(rpm)でウエハーを回転しながらリンス液(23℃)として純水を用い、200mL/minの流量で、30秒間スプレー吐出してリンス処理を行った。
最後に、2500回転(rpm)で60秒間高速回転してウエハーを乾燥させた。
【0139】
2.パドル現像
シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハーを回転しながら表3に記載のアルカリ現像液(23℃)を、200mL/minの流量で、5秒間スプレー吐出して、ウエハー上に現像液を液盛りした。ついで、ウエハーの回転を止め、表3に記載の時間ウエハーを静置して現像を行った。
その後、50回転(rpm)でウエハーを回転しながらリンス液(23℃)として純水を用い、200mL/minの流量で、30秒間スプレー吐出してリンス処理を行った。
【0140】
表3に記載のアルカリ現像時間は、以下に記載の方法により決定した。
上記表2に記載の組成物をスピンコータを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、ホットプレートを用いて表3に記載の条件で加熱乾燥して、組成物を塗設したウエハーを準備した。
ついで、表3に記載の各条件で上記ウエハーを現像し、現像完了後にウエハーの膜厚を測定した。レジストが残存している場合を×、レジストが残存していない場合を〇として、各濃度のアルカリ現像液を用いた場合に必要な現像時間を決定した。参考例として、実施例3に記載の現像時間を決定した結果を表4に示す。
なお表3中、その他添加剤の欄に記載される添加量は、アルカリ現像液の全質量に対する質量%で表記した値である。また以下の表中、TMAHはテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液を意味し、サーフィノール440はサーフィノール440(日信化学工業(株))を意味する。
【0141】
【表3】

【0142】
【表4】

【0143】
以下の項目について、レジストパターンの評価を行った。結果の詳細は表5に示す。
【0144】
〔感度〕
得られたパターンを、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて観察した。30nmの線幅において、ラインとスペースの比率が1:1で分離解像する照射エネルギーを感度(μC/cm)とした。
【0145】
〔解像力〕
ラインとスペースの比率が1:1で分離解像する最小の線幅を解像力(nm)とした。
【0146】
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
線幅30nmのラインパターンの長さ方向1μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。この値が小さい程、ラインエッジラフネスが良好である。
【0147】
〔パターン形状〕
上記の感度を示す照射量における線幅30nmのパターンの形状を、電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4800)を用いて観察し、矩形に近いものを〇とし、それ以外は程度に応じて、△、×と記載し、形状に関するコメントを併記した。
【0148】
【表5】

【0149】
表5に示す結果から、本発明に係るレジストパターン形成方法は、高感度、高い解像力、小さいラインエッジラフネス(LER)、及び、優れたパターン形状を同時に満足できることが分かる。
【0150】
<EB露光評価2:実施例13〜15>
調製したネガ型レジスト溶液を、酸化Cr膜を蒸着した6インチウェハーに塗布した以外は、上記EB露光評価1と同様の操作によりレジストパターンを形成、評価した。パターン形成条件及びパターン評価結果を表6及び表7に示す。
【0151】
【表6】

【0152】
【表7】

【0153】
表7に示す結果から、本発明に係るレジストパターン形成方法は、ナノインプリント用モールドやフォトマスクの製造にも適用可能であることが分かる。
【0154】
<EUV露光評価1:実施例16〜18>
EUV光(波長13nm)を用いて、線幅30nmの1:1ラインアンドスペースのマスクパターンを用いて露光を行った。レジスト塗布、現像は、上記EB露光評価1と同様の操作によりレジストパターンを形成し、解像力以外の同様の評価をした。パターン形成条件及びパターン評価結果を表8及び表9に示す。
【0155】
【表8】

【0156】
【表9】

【0157】
表9に示す結果から、本発明に係るレジストパターン形成方法は、EUV光(波長13nm)を用いた場合においても、高感度、小さいラインエッジラフネス(LER)、及び、優れたパターン形状を同時に満足できることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)基板上に、架橋反応によりネガ化するネガ型レジスト組成物を用いて膜を形成する工程、
(2)該膜を露光する工程、及び
(4)露光後にアルカリ現像液を用いて現像する工程
をこの順番で有する、レジストパターンの形成方法において、
前記ネガ型レジスト組成物が、(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有し、
前記工程(1)で形成された膜の膜厚が15nm〜40nmであり、かつ、
前記アルカリ現像液中のアルカリ成分の濃度が0.5質量%〜1.1質量%である、レジストパターン形成方法。
【化1】

一般式(I)中、
Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はアルキルスルホニルオキシ基を表し、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
aは1〜3の整数を表す。
bは0〜(3−a)の整数を表す。
【請求項2】
前記現像工程(4)において、実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像する、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記一般式(I)で表される繰り返し単位において、高分子化合物(A)の主鎖からの結合に対して、ベンゼン環の少なくとも一つのメタ位に−OHが存在する、請求項1又は2に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
前記現像工程(4)で用いられるアルカリ現像液が、テトラメチルアンモニウムハイドロキシドを含む水溶液である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記露光工程(2)と前記現像工程(4)との間に、ベーク工程(3)を更に有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項6】
前記露光工程(2)における露光が、電子線又はEUV光により行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項7】
前記膜形成工程(1)で用いられるネガ型レジスト組成物が、更に、(B)酸の作用により前記高分子化合物(A)と架橋する架橋剤、(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(D)塩基性化合物を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項8】
前記架橋剤(B)が、分子内にベンゼン環を2個以上有するフェノール性化合物である、請求項7に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により形成される、レジストパターン。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法に用いられる、架橋性ネガ型レジスト組成物。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により製造される、ナノインプリント用モールド。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により製造される、フォトマスク。

【公開番号】特開2013−44808(P2013−44808A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180893(P2011−180893)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】