説明

レベル測定装置を備えた気泡塔反応器およびその中のレベル測定方法

本発明は、下側二相セクションおよび上側気相セクションを含有するカラム反応器を備えた気泡塔反応器において、反応器が、カラム反応器内の二相セクションのレベルを測定するための測定装置を備え、測定装置が、カラム反応器の外側に位置するエミッタおよび電磁放射線の検出器を備えることを特徴とする気泡塔反応器、およびそのような反応器におけるレベル測定方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下側二相セクションおよび上側気相セクションを含有するカラム反応器を備えた気泡塔反応器および気泡塔反応器中のレベル測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気泡塔反応器が当該技術分野において広く知られている。例えば、気泡塔反応器は、線状アルファ・オレフィン(LAO)を提供するためのエチレンのオリゴマー化プロセスに利用される。そのような気泡塔反応器は、ガス状モノマー供給物を導入するための底部区画を備え、その底部区画は、噴霧板により上側反応区画から分離されている。この上側反応区画において、気泡塔反応器は、下側二相セクションおよび上側気相セクションを含有する。従来、そのようなカラム反応器は、モノマー供給物、溶媒および触媒が連続的に供給され、溶媒、ガス状または液体の線状アルファ・オレフィン、および触媒が連続的に除去されるので、連続的に動作される。実質的に一定に維持されるべき二相セクションのレベルを注意深く制御することが、気泡塔反応器において行われるオリゴマー化プロセスの基本的な特徴である。
【0003】
これまで、レベル測定およびその制御は、差圧による測定、フロート装置、液体および気相の異なる導電率などの異なる原理により行われてきた。
【0004】
特に、線状アルファ・オレフィンを調製するための反応器において、レベル測定は、二相セクション中の高いガス含有量のために極めて難しい。何故ならば、このセクションは、完全に液体またはガス状とは考えられないからである。さらに、気相および液相の密度は、オリゴマー化プロセス中に変わるであろう。最後に、従来の測定装置は気泡塔反応器内に位置しているので、反応性材料により測定装置が詰まるかもしれない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服したレベル測定のための気泡塔反応器および方法を提供することにある。特に、測定が、その反応器におけるプロセス条件とは独立して行えるような気泡塔反応器および方法を提供すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、反応器が、カラム反応器内の二相セクションのレベルを測定するための測定装置を備え、その測定装置が、カラム反応器の外側に位置するエミッタおよび電磁放射線の検出器を備えることにより達成される。
【0007】
エミッタおよび検出器は、カラム反応器の実質的に反対側に位置していることが好ましい。
【0008】
ある実施の形態において、検出器は、実質的にその長さの一部に沿ってまたは全長に沿って、カラム反応器の壁に対して実質的に平行である。
【0009】
さらに、エミッタは、実質的に二相セクションのレベルに位置している。
【0010】
それに加え、検出器は制御ユニットと通信している。
【0011】
その制御ユニットは、カラム反応器の液体出口ライン内に位置するバルブと通信している。
【0012】
エミッタはコバルトγ線を放射する。
【0013】
前記課題は、下側二相セクションおよび上側気相セクションを含有する気泡塔反応器におけるレベル測定方法であって、二相セクションのレベルを、カラム反応器の外側に位置するエミッタおよび電磁放射線の検出器を備えた測定装置により測定する方法により達成される。
【0014】
検出器から検出された信号が制御ユニットに送信されることが好ましい。
【0015】
最後に、制御ユニットは、検出器により送信された信号に依存して、カラム反応器の液体出口ラインに位置するバルブを制御することが好ましい。
【0016】
意外なことに、従来技術の問題は、反応器内の気相または液相に直接接触していない測定装置を利用した気泡塔反応器により克服される。むしろ、本発明によれば、エミッタおよび検出器を備えた測定装置はカラム反応器の外側に、好ましくはその反対側に、位置している。エミッタは、気泡塔反応器を通して、すなわち、二相セクションおよび気相セクションを通して、電磁放射線を放射し、次いで、放射された放射線が検出器により検出され、異なる相による差が識別される。次いで、検出されたそれぞれの信号は、必要に応じて二相セクションのレベルを調節するために気泡塔反応器の液体出口ライン内に位置するバルブと通信している制御ユニットに送信される。
【0017】
それゆえ、無接触のレベル測定方法が適用され、ここで、レベル測定の結果も密度変化に依存しない。さらに、測定装置は反応器の外側に位置しているので、その装置の詰まりを避けることができる。
【0018】
本発明の追加の利点および特徴を、添付の図面を参照してさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、気泡塔反応器1を底部区画3および上側反応区画4に分割する噴霧板2を有する気泡塔反応器1を示している。上側反応区画4内に、下側二相セクション5および上側気相セクション6が設けられている。さらに、ガス状モノマー供給物を底部区画3中に導入するための供給ライン7、ガス状成分を除去するための出口ライン8、溶媒と触媒を導入するための供給ライン9、および液体生成物を除去するための出口ライン10が設けられている。気泡塔反応器1の側壁に、エミッタ11が、好ましくは実質的に二相セクション5のレベルに、設けられている。反応器の壁の反対側に、好ましくは、実質的に長さの一部に沿ってまたは全長に沿って反応器の壁に対して実質的に平行な検出器12が設けられている。この検出器は制御ユニット13と通信しており、その制御ユニットは、出口ライン10内に位置するバルブ14とも通信している。
【0020】
気泡塔反応器1の動作において、二相セクション5のレベルは、いくつかの理由のために変動するであろう。二相セクションのレベルの測定および制御のために、エミッタ11は、気泡塔反応器を通して、すなわち、二相セクション、気相セクションおよびそれらの間の中間相を通して、電磁放射線を放射する。放射された電磁放射線は、検出器12により検出され、二相セクション5のレベルを所望のレベルに調節するために、要望通りにバルブ14を開閉する制御ユニット13に送信される。
【0021】
先の説明、特許請求の範囲および図面に開示された特徴は、別々とその任意の組合せの両方で、本発明をその多種多様な形態で実施するための素材である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の気泡塔反応器の概略図
【符号の説明】
【0023】
1 気泡塔反応器
2 噴霧板
3 底部区画
4 上側反応区画
5 下側二相セクション
6 上側気相セクション
11 エミッタ
12 検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側二相セクション(5)および上側気相セクション(6)を含有するカラム反応器(1)を備えた気泡塔反応器において、前記反応器(1)が、該カラム反応器(1)内の二相セクション(5)のレベルを測定するための測定装置を備え、該測定装置が、前記カラム反応器(1)の外側に位置するエミッタ(11)および電磁放射線の検出器(12)を備えることを特徴とする気泡塔反応器。
【請求項2】
前記エミッタ(11)および前記検出器(12)が実質的に前記カラム反応器(1)の反対側に位置していることを特徴とする請求項1記載の気泡塔反応器。
【請求項3】
前記検出器(12)が実質的にその長さの一部に沿ってまたは全長に沿って前記カラム反応器(1)の壁に対して実質的に平行であることを特徴とする請求項1または2記載の気泡塔反応器。
【請求項4】
前記エミッタ(11)が実質的に前記二相セクション(5)のレベルに位置していることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の気泡塔反応器。
【請求項5】
前記検出器(12)が制御ユニット(13)と通信していることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の気泡塔反応器。
【請求項6】
前記制御ユニット(13)が、前記カラム反応器(1)の液体出口ライン(10)内に位置するバルブ(14)と通信していることを特徴とする請求項5記載の気泡塔反応器。
【請求項7】
前記エミッタがコバルトγ線を放射することを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の気泡塔反応器。
【請求項8】
下側二相セクション(5)および上側気相セクション(6)を含有する気泡塔反応器におけるレベル測定方法であって、前記二相セクション(5)のレベルを、前記カラム反応器(1)の外側に位置するエミッタ(11)および電磁放射線の検出器(12)を備えた測定装置により測定することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記検出器(12)から検出された信号を制御ユニット(13)に送信することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記制御ユニット(13)が、前記検出器(12)により送信された信号に依存して、前記カラム反応器(1)の液体出口ライン(10)内に位置するバルブ(14)を制御することを特徴とする請求項9記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−512745(P2009−512745A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535926(P2008−535926)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009621
【国際公開番号】WO2007/045356
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(507055615)リンデ アーゲー (29)
【氏名又は名称原語表記】LINDE AG
【出願人】(502132128)サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション (109)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】