説明

レンズアレイおよびこれを備えた光モジュール

【課題】光送信・モニタ用と光受信用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことができるレンズアレイおよび光モジュールを提供すること。
【解決手段】複数の第1のレンズ面11と、複数の第2のレンズ面12と、両レンズ面11、12間の各発光/受光素子7、30ごとの光路を形成する第1の反射面14および第2の反射面16と、前記光路上における第2の反射面16と各第2のレンズ面12との間に位置する凹部17の傾斜面18とを有し、凹部17内に、光学機能部21を配置することによって、各発光素子7ごとの光の光路(送信用光路)およびモニタ光の光路を形成し、凹部17内に光学機能部21を配置しないことによって、各受光素子30ごとの光の光路(受信用光路)を形成すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイおよびこれを備えた光モジュールに係り、特に、複数の発光素子または受光素子と光伝送体の端面とを光学的に結合するのに好適なレンズアレイおよびこれを備えた光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、システム装置内または装置間もしくは光モジュール間において信号を高速に伝送する技術として、いわゆる光インターコネクションの適用が広まっている。ここで、光インターコネクションとは、光部品をあたかも電気部品のように扱って、パソコン、車両または光トランシーバなどに用いられるマザーボードや回路基板等に実装する技術をいう。
【0003】
このような光インターコネクションに用いられる光モジュールには、例えば、メディアコンバータやスイッチングハブの内部接続、光トランシーバ、医療機器、テスト装置、ビデオシステム、高速コンピュータクラスタなどの装置内や装置間の部品接続等の様々な用途がある。
【0004】
そして、この種の光モジュールに適用される光学部品としては、マルチチャンネルの光通信をコンパクトな構成で実現するのに有効なものとして、複数の小径のレンズが並列配置されたレンズアレイの需要が益々高まりつつある。
【0005】
ここで、レンズアレイは、従来から、複数の発光素子(例えば、VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)または受光素子(例えば、フォトディテクタ)を備えた光電変換装置が取り付け可能とされるとともに、光伝送体としての複数の光ファイバが取り付け可能とされていた。
【0006】
そして、レンズアレイは、このように光電変換装置と複数の光ファイバとの間に配置された状態で、光電変換装置の各発光素子から出射された光を、各光ファイバの端面に光学的に結合させることにより、マルチチャンネルの光送信を行うことや、各光ファイバの端面から出射された光を、各受光素子に光学的に結合させることにより、マルチチャンネルの光受信を行うことが可能とされていた。
【0007】
また、光送信用の光電変換装置の中には、発光素子の出力特性を安定させるべく、発光素子から出射された光(特に、強度もしくは光量)をモニタ(監視)するためのモニタ用の受光素子を備えたものもあり、このような光電変換装置に対応するレンズアレイは、発光素子から出射された光の一部を、モニタ光としてモニタ用の受光素子側に反射させるようになっていた。
【0008】
このようなモニタ光を発生させる反射機能を備えたレンズアレイとしては、これまでも、本発明者によって、例えば、特許文献1に示すような提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−262222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は、特許文献1に記載のモニタ機能を備えたレンズアレイの利点を活かしつつ、更に、コストの削減および利便性の向上を実現させるべく鋭意研究を行った結果、モニタをともなう光送信用と、光受信用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことができる本発明をなすに至った。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、光送信・モニタ用と光受信用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことができ、ひいては、コストの削減および利便性の向上を実現することができるレンズアレイおよびこれを備えた光モジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係るレンズアレイの特徴は、複数の発光素子または受光素子が整列形成された光電変換装置と、光伝送体との間に配置され、前記複数の発光/受光素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合可能とされたレンズアレイであって、レンズアレイ本体における前記光電変換装置側の第1の面に、前記複数の発光/受光素子に対応する所定の整列方向に整列するように形成され、前記複数の発光/受光素子ごとに発光された光または受光される光がそれぞれ通過する複数の第1のレンズ面と、前記第1の面に前記複数の第1のレンズ面の整列方向に垂直な方向において隣位する前記レンズアレイ本体における前記光伝送体側の第2の面に、前記複数の第1のレンズ面の整列方向に沿って整列するように形成され、前記複数の発光/受光素子ごとの光が、前記光伝送体の端面に向けた前記レンズアレイ本体側からの出射光または前記光伝送体の端面からの前記レンズアレイ本体側への入射光として、前記複数の第1のレンズ面の通過後または通過前にそれぞれ通過する複数の第2のレンズ面と、前記第1の面に対向する前記レンズアレイ本体における第3の面に、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面側に傾斜するように形成され、前記複数の第1のレンズ面と前記複数の第2のレンズ面との間の前記複数の発光/受光素子ごとの光の光路を形成する第1の反射面と、前記第3の面における前記第1の反射面よりも前記第2の面側の位置に、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面と反対側に傾斜するように形成され、前記光路上における前記第1の反射面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置において前記第1の反射面とともに前記光路を形成する第2の反射面と、前記第1の面における前記第2の反射面に対向する位置に凹入形成された凹部と、この凹部の内面の一部をなすとともに、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面と反対側に傾斜するように形成され、前記光路上における前記第2の反射面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置に配置された傾斜面とを備え、前記光電変換装置として、前記複数の発光素子が整列形成されるとともに、これら複数の発光素子の少なくとも1つから発光された光をモニタするためのモニタ光を受光する少なくとも1つの第2の受光素子が形成されたものを用いる場合には、前記凹部内に、前記第1の反射面および前記第2の反射面とともに前記複数の発光素子ごとの光の光路を形成する機能および前記モニタ光の光路を形成する機能を併有する光学機能部として、前記第2の反射面側から前記傾斜面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の第2のレンズ面に向かう光と前記モニタ光を含む前記第2の受光素子側に向かう光とに分光した上で前記モニタ光を前記第2の受光素子に向けて出射させる光学機能部が配置された状態で、前記光電変換装置による前記モニタをともなう前記光伝送体側への光送信に用いられ、前記光電変換装置として、前記複数の受光素子が整列形成されたものを用いる場合には、前記凹部内に前記光学機能部が配置されない状態で、前記傾斜面が、前記第1の反射面および前記第2の反射面とともに前記複数の受光素子ごとの光の光路を形成する全反射面として機能することにより、前記光電変換装置による前記光伝送体側からの光受信に用いられる点にある。
【0013】
そして、この請求項1に係る発明によれば、凹部内に光学機能部を配置することによってモニタをともなう光送信用のレンズアレイを構成することができ、また、凹部内に光学機能部を配置しないことによって光受信用のレンズアレイを構成することができ、さらに、複数の第1のレンズ面および複数の第2のレンズ面を送受信兼用とする(換言すれば、レンズアレイ本体に送信専用のレンズ面または受信専用のレンズ面を形成することを要しなくする)ことができるので、光送信・モニタ用と光受信用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことが可能となる。
【0014】
また、請求項2に係るレンズアレイの特徴は、請求項1において、更に、前記光学機能部は、前記傾斜面上に形成され、前記傾斜面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、所定の反射率で前記複数の第2のレンズ面側に反射させるとともに所定の透過率で前記第2の受光素子側に透過させ、その際に、前記複数の発光素子ごとの光の少なくとも1つを前記モニタ光として透過させる反射/透過層と、この反射/透過層に接するようにして前記凹部内に充填され、前記モニタ光を前記第2の受光素子側に向かって進行させる前記レンズアレイ本体と同屈折率の充填材と、この充填材を挟むようにして前記反射/透過層に対向するように配置され、前記モニタ光が入射する入射面およびこの入射面に入射した前記モニタ光を前記第2の受光素子に向けて出射させる少なくとも1つの第3のレンズ面を有するレンズ部材とを備えた点にある。
【0015】
そして、この請求項2に係る発明によれば、反射/透過層において、複数の発光素子ごとの光を、送信光として複数の第2のレンズ面側に反射させることができるとともに、モニタ光として透過させることができ、透過されたモニタ光を、充填材において屈折させることなくレンズ部材の入射面に入射させて第3のレンズ面から第2の受光素子に向けて出射させることができるので、モニタをともなう光送信を簡易な構成によって適正に行うことが可能となる。
【0016】
さらに、請求項3に係るレンズアレイの特徴は、請求項2において、更に、前記レンズ部材の前記入射面は、前記反射/透過層における前記モニタ光の透過方向に垂直に形成されている点にある。
【0017】
そして、この請求項3に係る発明によれば、レンズ部材の入射面にモニタ光を垂直入射させることによって、レンズ部材への入射時におけるモニタ光の屈折を抑制することができるので、第3のレンズ面におけるモニタ光の出射方向を第3のレンズ面の面形状に負担をかけずに適正化することが可能となる。
【0018】
さらにまた、請求項4に係るレンズアレイの特徴は、請求項2または3において、更に、前記レンズ部材は、前記レンズアレイ本体と同屈折率に形成されている点にある。
【0019】
そして、この請求項4に係る発明によれば、レンズ部材への入射時におけるモニタ光の屈折およびフレネル反射を抑制することができるので、第3のレンズ面におけるモニタ光の出射方向を適正化することができるとともに、フレネル反射に起因する迷光の発生を抑制することが可能となる。
【0020】
また、請求項5に係るレンズアレイの特徴は、請求項2〜4のいずれか1項において、更に、前記反射/透過層は、前記傾斜面上にコーティングによって形成され、前記凹部における開口側の所定範囲の部位は、前記傾斜面上への前記コーティングを行い易くするために、前記開口側に向かうにしたがって拡開するような形状に形成されている点にある。
【0021】
そして、この請求項5に係る発明によれば、反射/透過層を簡便かつ適切に形成することが可能となる。
【0022】
さらに、請求項6に係るレンズアレイの特徴は、複数の発光素子または受光素子が整列形成された光電変換装置と、光伝送体との間に配置され、前記複数の発光/受光素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合可能とされたレンズアレイであって、レンズアレイ本体における前記光電変換装置側の第1の面に、前記複数の発光/受光素子に対応する所定の整列方向に整列するように形成され、前記複数の発光/受光素子ごとに発光された光または受光される光がそれぞれ通過する複数の第1のレンズ面と、前記第1の面に前記複数の第1のレンズ面の整列方向に垂直な方向において隣位する前記レンズアレイ本体における前記光伝送体側の第2の面に、前記複数の第1のレンズ面の整列方向に沿って整列するように形成され、前記複数の発光/受光素子ごとの光が、前記光伝送体の端面に向けた前記レンズアレイ本体側からの出射光または前記光伝送体の端面からの前記レンズアレイ本体側への入射光として、前記複数の第1のレンズ面の通過後または通過前にそれぞれ通過する複数の第2のレンズ面と、前記第1の面に対向する前記レンズアレイ本体における第3の面に、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面側に傾斜するように形成され、前記複数の第1のレンズ面と前記複数の第2のレンズ面との間の前記複数の発光/受光素子ごとの光の光路を形成する第1の反射面と、前記第3の面における前記第1の反射面よりも前記第2の面側の位置に、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面と反対側に傾斜するように形成され、前記光路上における前記第1の反射面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置において前記第1の反射面とともに前記光路を形成する第2の反射面と、前記第1の面における前記第2の反射面に対向する位置に凹入形成された凹部と、この凹部の内面の一部をなすとともに、前記第2の反射面に対向するように形成され、前記光路上における前記第2の反射面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置に配置された第1の光学面と、前記凹部の内面の一部をなすとともに、前記第1の光学面に連接されるようにして前記複数の第2のレンズ面に対向するように形成され、前記光路上における前記第1の光学面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置に配置された第2の光学面とを備え、前記光電変換装置として、前記複数の発光素子が整列形成されるとともに、これら複数の発光素子の少なくとも1つから発光された光をモニタするためのモニタ光を受光する少なくとも1つの第2の受光素子が形成されたものを用いる場合には、前記凹部内に、前記第1の反射面および前記第2の反射面とともに前記複数の発光素子ごとの光の光路を形成する機能および前記モニタ光の光路を形成する機能を併有する光学機能部として、前記第2の反射面側から前記第1の光学面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の第2のレンズ面に向かう光と前記モニタ光を含む前記第2の受光素子側に向かう光とに分光した上で前記モニタ光を前記第2の受光素子に向けて出射させる第1の光学機能部が配置された状態で、前記光電変換装置による前記モニタをともなう前記光伝送体側への光送信に用いられ、前記光電変換装置として、前記複数の受光素子が整列形成されたものを用いる場合には、前記凹部内に、前記第1の反射面および前記第2の反射面とともに前記複数の受光素子ごとの光の光路を形成する機能を有する光学機能部として、前記複数の第2のレンズ面側から前記第2の光学面に入射した前記複数の受光素子ごとの光を前記第2の反射面に向けて反射させる第2の光学機能部が配置された状態で、前記光電変換装置による前記光伝送体側からの光受信に用いられる点にある。
【0023】
そして、この請求項6に係る発明によれば、凹部内に第1の光学機能部を配置することによってモニタをともなう光送信用のレンズアレイを構成することができ、また、凹部内に第2の光学機能部を配置することによって光受信用のレンズアレイを構成することができ、さらに、複数の第1のレンズ面および複数の第2のレンズ面を送受信兼用とすることができるので、光送信・モニタ用と光受信用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことが可能となる。
【0024】
さらにまた、請求項7に係るレンズアレイの特徴は、請求項6において、更に、前記第1の光学機能部は、前記第1の光学面に前記第1の面側から対向するとともに前記第2の光学面に前記複数の第2のレンズ面の反対側から対向し、かつ、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面と反対側に傾斜するような状態で配置され、前記第1の光学面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、所定の反射率で前記複数の第2のレンズ面側に反射させるとともに所定の透過率で前記第2の受光素子側に透過させ、その際に、前記複数の発光素子ごとの光の少なくとも1つを前記モニタ光として透過させる反射/透過層と、この反射/透過層が形成され、これ(反射/透過層)を透過した前記モニタ光が入射する傾斜面、およびこの傾斜面に入射した前記モニタ光を前記第2の受光素子に向けて出射させる少なくとも1つの第3のレンズ面を有するレンズ部材と、前記第1の光学面、前記第2の光学面および前記反射/透過層によって囲まれた空間内に充填された前記レンズ部材と同屈折率の充填材とを備え、前記第2の光学機能部は、前記レンズ部材と、前記充填材と、前記レンズ部材の前記傾斜面に、前記反射/透過層に代わって形成された反射層とを備えた点にある。
【0025】
そして、この請求項7に係る発明によれば、レンズ部材の傾斜面に反射/透過層および反射層のいずれを形成するかによって第1の光学機能部および第2の光学機能部の別を決定することができるので、レンズアレイ本体だけでなく、光学機能部についても共通の部材(レンズ部材および充填材)を用いることができ、これにより、更なるコストの低廉化を図ることが可能となる。
【0026】
また、請求項8に係るレンズアレイの特徴は、請求項7において、更に、前記第1の光学面および前記第2の光学面は、これらに対する前記複数の発光/受光素子ごとの光の入射方向に垂直に形成されている点にある。
【0027】
そして、この請求項8に係る発明によれば、第1の光学面および第2の光学面への入射時における複数の発光/受光素子ごとの光の屈折を抑制することができるので、第2の反射面と第3のレンズ面との間の光路の直線性および反射/透過層または反射層と第2のレンズ面との間の光路の直線性を確保することができるので、直線性を確保できない場合に比較して簡便な設計および製造が可能となる。
【0028】
さらに、請求項9に係るレンズアレイの特徴は、請求項7または8において、更に、前記充填材は、前記レンズアレイ本体と同屈折率に形成されている点にある。
【0029】
そして、この請求項9に係る発明によれば、第1の光学面および第2の光学面への入射時における複数の発光/受光素子ごとの光の屈折およびフレネル反射を抑制することができるので、第2の反射面と第3のレンズ面との間の光路の直線性および反射/透過層または反射層と第2のレンズ面との間の光路の直線性を確保して簡便な設計および製造が可能となるとともに、フレネル反射に起因する迷光の発生を抑制することが可能となる。
【0030】
さらにまた、請求項10に係るレンズアレイの特徴は、請求項7〜9のいずれか1項において、更に、前記反射/透過層および前記反射層の少なくとも一方は、前記傾斜面上にコーティングによって形成されている点にある。
【0031】
そして、この請求項10に係る発明によれば、反射/透過層および/または反射層を簡便かつ適切に形成することが可能となる。
【0032】
また、請求項11に係るレンズアレイの特徴は、請求項2〜5および7〜10のいずれか1項において、前記充填材は、透光性の接着材からなり、前記レンズ部材は、前記充填材の接着力によって前記凹部内に固定されている点にある。
【0033】
そして、この請求項11に係る発明によれば、レンズ部材をレンズアレイ本体に固定するための特別な手段を要しないので、部品点数を削減して更なるコストの低廉化を図ることが可能となる。
【0034】
さらに、請求項12に係るレンズアレイの特徴は、請求項11において、更に、前記レンズ部材における光軸方向に垂直な方向側の端面に、前記凹部内への前記充填材の充填および/または前記凹部内に充填された前記充填材の気泡抜きに用いるための切り欠き部が、前記レンズ部材の前記端面における前記充填材側の端部から前記第3のレンズ面側の端部にわたって形成されている点にある。
【0035】
そして、この請求項12に係る発明によれば、簡易な構成によって、充填材の充填および気泡抜きの少なくとも一方を適切に行うことが可能となる。
【0036】
さらにまた、請求項13に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜12のいずれか1項において、更に、前記第1の反射面および前記第2の反射面は、前記複数の発光/受光素子ごとの光が臨界角よりも大きな入射角で入射するように形成された前記レンズアレイ本体の傾斜面からなる全反射面である点にある。
【0037】
そして、この請求項11に係る発明によれば、レンズアレイ本体の傾斜面形状のみによって第1および第2の反射面を構成することができるので、更なるコストの削減が可能となる。
【0038】
また、請求項14に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜13のいずれか1項において、更に、前記第1の面における前記複数の第1のレンズ面と前記凹部との間に、前記光電変換装置における前記複数の発光/受光素子の近傍位置への電子部品の搭載を許容するための逃げ部が形成されている点にある。
【0039】
そして、この請求項14に係る発明によれば、光電変換装置側において、電子部品と複数の発光/受光素子との間のワイヤーボンディング等の電気回路の距離を短縮化することができ、ひいては、雑音(EMI:Electro Magnetic Interference)が低減された安定的な通信を実現することが可能となる。
【0040】
さらに、請求項15に係る光モジュールの特徴は、請求項1〜14のいずれか1項に記載のレンズアレイと、このレンズアレイに対応する前記光電変換装置とを備えた点にある。
【0041】
そして、この請求項15に係る発明によれば、光送信・モニタ用と光受信用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、光送信・モニタ用と光受信用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことができ、ひいては、コストの削減および利便性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るレンズアレイおよび光モジュールの第1実施形態において、光送信・モニタ用のレンズアレイおよび光モジュールを示す概略構成図
【図2】図1に示すレンズアレイの正面図
【図3】図2の平面図
【図4】図2の左側面図
【図5】図2の右側面図
【図6】図2の下面図
【図7】図1に示すレンズアレイにおけるレンズ部材の下面図
【図8】第1実施形態において、光受信用のレンズアレイおよび光モジュールを示す概略構成図
【図9】第1実施形態の第1変形例において、光送信・モニタ用のレンズアレイおよび光モジュールを示す概略構成図
【図10】第1実施形態の第1変形例において、光受信用のレンズアレイおよび光モジュールを示す概略構成図
【図11】第1実施形態の第2変形例において、光送信・モニタ用のレンズアレイおよび光モジュールを示す概略構成図
【図12】第1実施形態の第2変形例において、光受信用のレンズアレイおよび光モジュールを示す概略構成図
【図13】第1実施形態の第3変形例として、レンズ部材の一変形例を示す下面図
【図14】第1実施形態の第3変形例として、レンズ部材の図13とは異なる一変形例を示す下面図
【図15】第1実施形態の第3変形例として、レンズ部材の図13および図14とは異なる一変形例を示す下面図
【図16】本発明に係るレンズアレイおよび光モジュールの第2実施形態において、光送信・モニタ用のレンズアレイおよび光モジュールを示す概略構成図
【図17】第2実施形態において、光受信用のレンズアレイおよび光モジュールを示す概略構成図
【図18】本発明に係るレンズアレイおよび光モジュールの他の実施形態として、光送信・モニタ用の光モジュールと光受信用の光モジュールとを組み合わせた送受信一体型の光モジュールアレイを示す概略構成図
【図19】本発明に係るレンズアレイの他の実施形態として、光送信・モニタ用の機能と光受信用の機能とを併有する構成を示す下面図
【発明を実施するための形態】
【0044】
(第1実施形態)
(光送信・モニタ用の形態)
以下、本発明に係るレンズアレイおよびこれを備えた光モジュールの第1実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
【0045】
ここで、図1は、本実施形態における光モジュール1の概要を本実施形態における光送信・モニタ用のレンズアレイ2の縦断面図とともに示す概略構成図である。また、図2は、図1に示すレンズアレイ2の正面図である。さらに、図3は、図2の平面図である。さらにまた、図4は、図2の左側面図である。また、図5は、図2の右側面図である。さらに、図6は、図2の下面図である。
【0046】
図1に示すように、本実施形態におけるレンズアレイ2は、光電変換装置3と光ファイバ5との間に配置されるようになっている。
【0047】
ここで、図1の光電変換装置3は、光送信・モニタ用の光電変換装置3とされている。すなわち、図1に示すように、光電変換装置3は、半導体基板(回路基板)6におけるレンズアレイ2に臨む面に、この面に対して垂直方向(図1における上方向)にレーザ光Laを出射(発光)する複数の発光素子7を有しており、これらの発光素子7は、前述したVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)を構成している。なお、図1において、各発光素子7は、図1における紙面垂直方向に整列形成されている。また、光電変換装置3は、半導体基板6におけるレンズアレイ2に臨む面であって、各発光素子7に対する図1における左方位置に、各発光素子7からそれぞれ出射されたレーザ光Laの出力(例えば、強度や光量)をモニタするためのモニタ光Mを受光する第2の受光素子としての発光素子7と同数の複数の受光素子8を有している。なお、受光素子8は、発光素子7と同方向に整列形成されており、互いに対応する素子7,8同士の間で、整列方向における位置が互いに一致している。すなわち、受光素子8は、発光素子7と同一ピッチで形成されている。この受光素子8は、フォトディテクタであってもよい。また、受光素子8は、少なくとも1つ形成するのであれば、必ずしも発光素子7と同数形成しなくてもよく、発光素子7よりも形成数を少なくしてもよい。さらに、図1に示すように、半導体基板6におけるレンズアレイ2に臨む面であって、各発光素子7と各受光素子8との間には、受光素子8によって受光されたモニタ光Mの強度や光量に基づいて発光素子7から発光されるレーザ光Laの出力を制御する制御回路を兼ねたドライバIC等の電子部品9が実装されており、この電子部品9は、ワイヤ線20(ボンディングワイヤ)を介して各発光素子7および各受光素子8に電気的に接続されている。このような光電変換装置3は、例えば、半導体基板6および/またはこれが搭載された基板(レンズアレイ2および光電変換装置3を収容するための筐体の底板等)をレンズアレイ2に当接させた状態で、レンズアレイ2に対して対向配置されるようになっている。そして、この光電変換装置3は、例えば、クランプバネ等の不図示の公知の固定手段によってレンズアレイ2に取付けられることにより、レンズアレイ2とともに光モジュール1を構成するようになっている。
【0048】
また、本実施形態における光ファイバ5は、発光素子7および受光素子8と同数配設されており、図1における紙面垂直方向に沿って発光素子7と同一ピッチで整列形成されている。各光ファイバ5は、互いに同寸法の例えばマルチモード方式の光ファイバ5とされているとともに、その端面5a側の部位が前述したMTコネクタ等の多心一括型の光コネクタ10内に保持されている。このような光ファイバ5は、例えば、光コネクタ10におけるレンズアレイ2側の端面をレンズアレイ2に当接させた状態で、不図示の公知の固定手段(例えば、クランプバネ等)によってレンズアレイ2に取付けられるようになっている。
【0049】
そして、レンズアレイ2は、このような光電変換装置3と光ファイバ5との間に配置された状態で、各発光素子7と各光ファイバ5の端面5aとを光学的に結合させるようになっている。
【0050】
このレンズアレイ2についてさらに詳述すると、図1に示すように、レンズアレイ2は、透光性のレンズアレイ本体4を有しており、このレンズアレイ本体4は、その外形が略直方体状に形成されている。すなわち、図1〜図6に示すように、レンズアレイ本体4は、上端面4a、下端面4b、左端面4c、右端面4d、前端面4eおよび後端面4fの各平面によって大まかな外形を構成している。また、上下の端面4a、4bは互いに平行とされ、左右の端面4c、4dも互いに平行とされている。さらに、上下の端面4a、4bと左右の端面4c、4dとは、互いに垂直とされている。
【0051】
このようなレンズアレイ本体4の下端面4bは、光電変換装置3が取り付けられる光電変換装置3側の面(第1の面)とされており、この下端面4bには、図1および図6に示すように、発光素子7と同数の複数(12個)の平面円形状の第1のレンズ面(凸レンズ面)11が形成されている。ここで、図1および図6に示すように、下端面4bは、右端部側中央寄りの所定範囲の平面矩形状の部位4b’が、左端部側および前後両端部側にわたる所定範囲の略コの字状の最下端部位(以下、最下端面と称する)4b”よりも図1における上方に凹入された凹入平面(以下、レンズ形成面と称する)4b’に形成されている。そして、複数の第1のレンズ面11は、このような下端面4bにおけるレンズ形成面4b’上に形成されている。ただし、レンズ形成面4b’は、最下端面4b”に対して平行に形成されている。また、各第1のレンズ面11は、各発光素子7の整列方向に対応する所定の整列方向(図1における紙面垂直方向、図6における縦方向)に整列するように形成されている。さらに、各第1のレンズ面11は、互いに同寸法に形成されているとともに、発光素子7と同一ピッチで形成されている。なお、整列方向において互いに隣位する第1のレンズ面11同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されていてもよい。また、図1に示すように、各第1のレンズ面11上における光軸OA(1)は、各第1のレンズ面11にそれぞれ対応する各発光素子7から発光されるレーザ光Laの中心軸に一致することが望ましい。より好ましくは、各第1のレンズ面11上における光軸OA(1)の軸方向は、レンズアレイ本体4の下端面4bに対して垂直になるようにする。
【0052】
このような各第1のレンズ面11には、図1に示すように、レンズアレイ2に光電変換装置3が取り付けられた状態において、各第1のレンズ面11にそれぞれ対応する各発光素子7ごとに出射されたレーザ光Laが入射する。そして、各第1のレンズ面11は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laをレンズアレイ本体4の内部へと進行(通過)させる。なお、各第1のレンズ面11は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laをコリメートさせるような面形状(パワー等)に形成されている。
【0053】
一方、レンズアレイ本体4の左端面4cは、下端面4bに複数の第1のレンズ面11の整列方向に垂直な方向(図1における左方向)において隣位する面であって、複数の光ファイバ5が取り付けられる光伝送体側の面(第2の面)とされている。この左端面4cには、図1および図4に示すように、第1のレンズ面11と同数の平面円形状の複数の第2のレンズ面(凸レンズ面)12が形成されている。ここで、図1および図4に示すように、左端面4cは、中央側の所定範囲の平面略矩形状の部位4c’が、この部位4c’を囲む周辺側の最左端面4c”よりも図1における右方に凹入された凹入平面(以下、レンズ形成面4c’と称する)に形成されており、複数の第2のレンズ面12は、このような左端面4cにおけるレンズ形成面4c’上に形成されている。ただし、レンズ形成面4c’は、最左端面4c”に対して平行に形成されている。また、各第2のレンズ面12は、各光ファイバ5の端面5aの整列方向すなわち第1のレンズ面11の整列方向と同方向に整列するように形成されている。さらに、各第2のレンズ面12は、互いに同寸法に形成されているとともに、第1のレンズ面11と同一ピッチで形成されている。なお、整列方向において互いに隣位する第2のレンズ面12同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されていてもよい。また、各第2のレンズ面12上における光軸OA(2)は、各第2のレンズ面12に対応する各光ファイバ5の端面5aの中心軸と同軸上に位置することが望ましい。より好ましくは、各第2のレンズ面12上における光軸OA(2)の軸方向は、レンズアレイ本体4の左端面4cに対して垂直になるようにする。
【0054】
このような各第2のレンズ面12には、図1に示すように、各第2のレンズ面12に対応する各第1のレンズ面11にそれぞれ入射してレンズアレイ2の内部の光路を進行してきた各発光素子7ごとのレーザ光Laがそれぞれ入射する。このとき、各発光素子7ごとのレーザ光Laの中心軸は、各第2のレンズ面12上における光軸OA(2)と一致することが望ましい。そして、各第2のレンズ面12は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laを収束させて、レンズアレイ2に取り付けられた対応する各光ファイバ5の端面5aに向けてそれぞれ出射させる。
【0055】
これにより、各発光素子7と各光ファイバ5の端面5aとが第1のレンズ面11および第2のレンズ面12を介して光学的に結合される。
【0056】
さらに、レンズアレイ本体4には、このような各第1のレンズ面11と各第2のレンズ面12との間の各発光素子7ごとのレーザ光Laの光路(以下、送信用光路と称する)を形成するための種々の構成が備えられている。
【0057】
すなわち、図1および図3に示すように、レンズアレイ本体4の上端面4a(第3の面)におけるレンズ形成面4b’に対向する右端部側の所定範囲の部位は、下端面4b側から上端面4a側に向かうにしたがって左端面4c側に傾くような左端面4cに対して傾斜角を有する傾斜面14に形成されており、この傾斜面14は、送信用光路を形成する第1の反射面14とされている。
【0058】
この第1の反射面14には、図1に示すように、各第1のレンズ面11にそれぞれ入射した後の各発光素子7ごとのレーザ光Laが、図1における下方から臨界角より大きな入射角で入射(内部入射)する。そして、第1の反射面14は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laを、図1における左方に向かって全反射させる。
【0059】
なお、第1の反射面14の傾斜角は、好ましくは、左端面4cを基準(0°)として図1における反時計回りに45°とする。また、第1の反射面14は、Au、Ag、Al等からなる反射膜がコーティングされたものであってもよい。
【0060】
また、図1および図3に示すように、レンズアレイ本体4の上端面4aにおける第1の反射面14よりも左端面4c側の部位には、下方に向かって縦断面台形状の凹部15が凹入形成されている。この凹部15の内面における傾斜面16は、下端面4b側から上端面4a側に向かうにしたがって左端面4cと反対側(すなわち、右端面4d側)に傾くような傾斜角を有するように形成されており、この傾斜面16は、送信用光路上における第1の反射面14よりも複数の第2のレンズ面12側の位置において第1の反射面14とともに送信用光路を形成する第2の反射面16とされている。
【0061】
この第2の反射面16には、図1に示すように、第1の反射面14において反射された各発光素子7ごとのレーザ光Laが、図1における右方から臨界角より大きな入射角で入射(内部入射)する。そして、第2の反射面16は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laを、図1における下方に向かって全反射させる。
【0062】
なお、第2の反射面16の傾斜角は、好ましくは、左端面4cを基準(0°)として図1における時計回りに45°とする。また、第2の反射面16も、Au、Ag、Al等からなる反射膜がコーティングされたものであってもよい。
【0063】
さらに、図1に示すように、レンズアレイ本体4の下端面4bにおける第2の反射面16に対向する位置には、上方に向かって第2の凹部17が凹入形成されている。図1に示すように、第2の凹部17は、その開口側(下端面4b側)の所定範囲の部位が、相対的に図1における横幅が広い縦断面略矩形状に形成され、残りの底面側(上端面4a側)の所定範囲の部位が、相対的に図1における横幅が狭い縦断面五角形状(略台形状)に形成されている。ただし、第2の凹部17は、開口側の部位と底面側の部位とで図1の紙面垂直方向における幅および形成位置が互いに同一とされている。そして、図1に示すように、第2の凹部17の底面(内面の一部)における左端面4c側の大部分の部位は、下端面4b側から上端面4a側に向かうにしたがって左端面4cと反対側に傾斜するように形成されており、この部位は、送信用光路上における第2の反射面16よりも複数の第2のレンズ面12側に配置された傾斜面18とされている。この傾斜面18の傾斜角は、好ましくは、左端面4cを基準(0°)として図1における時計回りに45°とする。
【0064】
さらにまた、図1に示すように、第2の凹部17の傾斜面18上には、厚みが薄く且つ均一な反射/透過層(ハーフミラー)22が形成されており、この反射/透過層22は、発光素子7からの入射光を所定の反射率で反射させるとともに所定の透過率で透過させる光学特性を有している。このような反射/透過層22は、Ni、CrまたはAl等の単一の金属からなる単層膜もしくは互いに誘電率が異なる複数の誘電体(例えば、TiOとSiO)を交互に積層することによって得られる誘電体多層膜を、傾斜面18上にコーティングすることによって形成することができる。なお、コーティングには、真空蒸着法等の公知のコーティング技術を用いることができる。このようなコーティングを用いることにより、反射/透過層22を、例えば、1μm以下の極めて薄い厚さに形成することができる。
【0065】
ここで、図1に示すように、第2の反射面16側から傾斜面18に入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、直ちに反射/透過層22に入射する。このとき、傾斜面18に対する各発光素子7ごとのレーザ光Laの入射角は、第1および第2の反射面14、16に対する各発光素子7ごとのレーザ光Laの入射角(臨界角超過)と等しくなる場合(例えば、45°)があるが、そのような場合であっても、傾斜面18が第1および第2の反射面14、16のように各発光素子7ごとのレーザ光Laを全反射させることはない。蓋し、全反射は、高屈折率媒質(レンズアレイ本体4)と低屈折率媒質(空気)との界面(反射面14、16)に光が高屈折率媒質側から臨界角より大きな入射角で入射する場合に生じるところ、傾斜面18に対する各発光素子7ごとのレーザ光Laの入射は、低屈折率媒質(レンズアレイ本体4材料)と高屈折率媒質(反射/透過層22材料)との界面18に対する低屈折率媒質側からの入射になるからである。
【0066】
このようにして反射/透過層22に入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、反射/透過層22によって、所定の反射率で各第2のレンズ面12側(図1における左方向)に反射されるとともに、所定の透過率で受光素子8側に透過される。
【0067】
そして、反射/透過層22において反射された各発光素子7ごとのレーザ光Laは、前述のように、各第2のレンズ面12にそれぞれ入射する。すなわち、反射/透過層22は、その反射機能によって、第1の反射面14および第2の反射面16とともに送信用光路を形成するようになっている。
【0068】
このような送信用光路を形成するための構成に加えて、さらに、レンズアレイ2には、モニタ光の光路を形成するための構成が備えられている。
【0069】
すなわち、図1に示すように、第2の凹部17内には、送信用光路を形成する機能とモニタ光の光路を形成する機能とを併有する光学機能部21が配置されている。具体的には、図1に示すように、光学機能部21は、前述した反射/透過層22を有している。ここで、反射/透過層22が各発光素子7ごとのレーザ光Laを反射光と透過光とに分光することについては前述したが、これらのうち、分光された各発光素子7ごとの透過光は、各発光素子7ごとのモニタ光Mとして対応する受光素子8に向かって進行する。このとき、反射/透過層22の厚みが薄いことによって、反射/透過層22を透過するモニタ光Mの屈折は無視する(直進透過とみなす)ことができる。なお、反射/透過層22の反射率および透過率としては、十分とみなされる光量のモニタ光Mを得ることができる限度において、反射/透過層22の材質や厚み等に応じた所望の値を設定することができる。例えば、反射/透過層22の反射率を60%、透過率を20%(吸収率20%)とすることもできるし、また、反射/透過層22の反射率を90%、透過率を10%とすることもできる。
【0070】
また、図1に示すように、光学機能部21は、レンズアレイ本体4と同屈折率の充填材23を有している。この充填材23は、第2の凹部17における底面側の縦断面五角形状の部位内に、反射/透過層22に接するようにして充填されている。図1に示すように、充填材23には、反射/透過層22を透過した各発光素子7ごとのモニタ光Mが入射する。このとき、反射/透過層22における屈折を無視できることおよび充填材23がレンズアレイ本体4と同屈折率であることによって、充填材23に入射した各発光素子7ごとのモニタ光Mは、屈折せずに下方に向かって充填材23内を進行する。また、本実施形態において、充填材23は、透光性の接着材からなり、自らの接着力によって反射/透過層22および第2の凹部17の内面に接着されるようにしてレンズアレイ本体4に安定的に固定されている。このような充填材23としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂を用いることができる。ここで、レンズアレイ本体4と同屈折率の透光性接着材からなる充填材23としては、公知の種々の樹脂材料を採用することができる。例えば、レンズアレイ本体4を、ポリエーテルイミドとしてのSABIC社製Ultem(登録商標)によって形成する場合には、充填材23を、三菱ガス化学社製ルミプラス(登録商標)によって形成してもよい。この場合には、レンズアレイ本体4および充填材23の屈折率を、波長850nmの光に対していずれも1.64とすることができる。この他にも、例えば、レンズアレイ本体4を、環状オレフィン樹脂としてのJSR社製のARTON(登録商標)によって形成する場合には、充填材23を、UV硬化樹脂としての(株)テクス製のA1754Bによって形成してもよい。この場合には、レンズアレイ本体4および充填材18の屈折率を、波長850nmの光に対していずれも1.50とすることができる。
【0071】
さらに、図1に示すように、光学機能部21は、第2の凹部17における開口側の縦断面略矩形状の部位内に、充填材23を挟むようにして反射/透過層22に対向するように配置されたレンズ部材24を有しており、このレンズ部材24は、充填材23の接着力によって第2の凹部17内(レンズアレイ本体4)に安定的に固定されている。図1に示すように、レンズ部材24は、その充填材23側の端面(図1における上端面)における充填材23に接着された中央側の所定範囲の部位が、各発光素子7ごとのモニタ光Mの入射面25とされており、この入射面25は、反射/透過層22における各発光素子7ごとのモニタ光Mの透過方向(図1における下方向)に垂直に形成されている。また、図1に示すように、レンズ部材24は、その受光素子8側の端面(図1における下端面)上に、受光素子8と同数(本実施形態においては、発光素子7、光ファイバ5、第1のレンズ面11および第2のレンズ面12とも同数)の平面円形状の第3のレンズ面(凸レンズ面)13を有している。各第3のレンズ面13は、受光素子8に対応する所定の整列方向すなわち第1のレンズ面11の整列方向と同方向に整列するように形成されている。また、各第3のレンズ面13は、互いに同寸法に形成されているとともに、各受光素子8と同一ピッチで形成されている。なお、整列方向において互いに隣位する第3のレンズ面13同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されていてもよい。また、各第3のレンズ面13上における光軸OA(3)は、各第3のレンズ面13にそれぞれ対応する各受光素子8の受光面の中心軸に一致することが望ましい。より好ましくは、各第3のレンズ面13上における光軸OA(3)の軸方向は、レンズアレイ本体4の下端面4bに対して垂直になるようにする。さらに、図1に示すように、レンズ部材24は、その充填材23側の端面における入射面25の外側の部位を、第2の凹部17における縦断面略矩形状の部位と縦断面五角形状の部位との図1における横幅の差がなす水平な段差面17Aに当接させることによって、第2の凹部17内における位置決めを容易に行うことが可能となっている。さらにまた、図7に示すように、レンズ部材24は、これの光軸OA(3)方向に直交する方向側の端面としての各第3のレンズ面13の整列方向側の両端面上に、充填材23側の端部から第3のレンズ面13側の端部にわたる長尺な一対の切り欠き部26を有している。これらの切り欠き部26は、第2の凹部17内への充填材23の充填および第2の凹部17内に充填された充填材23の気泡抜きの少なくとも一方に利用可能とされている。なお、切り欠き部26を充填材23の充填に利用する場合には、レンズ部材24を第2の凹部17内の所定の配置位置(例えば、段差面17Aへの当接位置)に位置させた状態で、第2の凹部17と切り欠き部26との間の間隙部を介して充填材23をレンズ部材24の外側から傾斜面18側に向かって注入すればよい。
【0072】
このようなレンズ部材24に対して、充填材23内を進行した各発光素子7ごとのモニタ光Mは、図1に示すように、まず、入射面25に垂直入射する。そして、垂直入射した各発光素子7ごとのモニタ光Mは、屈折することなくレンズ部材24内を各受光素子8側に向かって進行した後に、それぞれ対応する各第3のレンズ面13に入射する。さらに、各第3のレンズ面13に入射した各発光素子7ごとのモニタ光Mは、各第3のレンズ面13によって収束されて、各第3のレンズ面13に対応する各受光素子8に向けてそれぞれ出射させる。
【0073】
このようにして、光学機能部21によって、各発光素子7ごとのモニタ光Mの光路を形成することができる。
【0074】
さらにまた、図1に示すように、レンズアレイ本体4の下端面4bにおけるレンズ形成面4b’と第2の凹部17との間の部位4b’’’は、最下端面4b”よりも上方に退避されており、この部位4b’’’は、電子部品9搭載用の逃げ部4b’’’とされている。すなわち、逃げ部4b’’’は、レンズアレイ2への光電変換装置3の取り付け状態において、半導体基板6上における各発光素子7および各受光素子8の近傍に実装された電子部品9に対して図1における上方に所定の間隙を以て臨む(逃げる)ことによって、光電変換装置3上への電子部品9の搭載を許容する(電子部品9に当接しない)ようになっている。
【0075】
上記構成の他にも、第2の凹部17は、レンズアレイ本体4の下端面4b側から平面視した場合に、第2の凹部17における底面および全ての側面が、第2の凹部17における開口部(図1における下端部)の外形によって示される範囲以内に収まるような形状に形成されている。換言すれば、第2の凹部17は、内面すべてについての下端面4bの面法線方向への投影面が、開口部の外形によって示される範囲以内に収まるように形成されている。このような第2の凹部17の形状は、金型からの離型性を確保し得る形状となっている。このことは、前述した第1の凹部15においても同様である。
【0076】
また、図1〜図4および図6に示すように、レンズアレイ本体4の左端面4c上であって、レンズ形成面4c’に対して第2のレンズ面12の整列方向における両外側の位置には、一対のファイバ位置決め用凸部27が、左端面4cに対して垂直に形成されている。これら一対のファイバ位置決め用凸部27は、左端面4cから光ファイバ5側に向かって突出された互いに同寸法の丸ピン状(円柱形状)に形成されている。これら一対のファイバ位置決め用凸部27は、光コネクタ10側に形成された例えばF12形多心光ファイバコネクタの規格(IEC 61754-5、JIS C 5981)にしたがった寸法精度を満足する一対の丸ボス穴(図示せず)に挿入されることによって、光ファイバ5をレンズアレイ2に取り付ける際における光ファイバ5の位置決めに用いられるようになっている。
【0077】
さらに、図6に示すように、レンズアレイ本体4の最下端面4b”上であって、第2の凹部17および逃げ部4b’’’に対して第1のレンズ面11および第3のレンズ面13の整列方向における両外側位置には、レンズアレイ4の上端面4aに至る一対のデバイス位置決め用貫通孔28が穿設されている。これら一対のデバイス位置決め用貫通孔28は、互いに同寸法の丸孔状に形成されている。これら一対のデバイス位置決め用貫通孔28は、光電変換装置3側に配設された一対の丸ピン(図示せず)が挿入されることによって、光電変換装置3をレンズアレイ2に取り付ける際における光電変換装置3の位置決めに用いられるようになっている。なお、図1において、半導体基板6の紙面垂直方向における寸法は、第2の凹部17の同方向の寸法よりも小さく形成されていて、半導体基板6が第2の凹部17内に入り込むような構成になっている。このような構成においては、半導体基板6が搭載されている基板(筐体の底板等)に一対の丸ピンを立設し、これを一対のデバイス位置決め用貫通孔28に挿入するとともに、この半導体基板6が搭載されている基板をレンズアレイ本体4の最下端面4b”に当接させるようにして光電変換装置3の位置決めを行えばよい。
【0078】
さらにまた、レンズアレイ2、光電変換装置3および光コネクタ10は、不図示の筐体内に収容され、また、各光ファイバ5におけるレンズアレイ2と反対側の端面は、光ファイバリボンとして筐体の外部に引き出されるようにして不図示の光受信側のデバイスやコネクタに取り付けられるようになっている。
【0079】
なお、レンズ部材24をレンズアレイ本体4および充填材23と同屈折率に形成してもよい。このようにすれば、レンズ部材24の入射面25への入射時における各発光素子7ごとのモニタ光Mのフレネル反射を抑制することができる。なお、この場合には、入射面25をモニタ光Mの入射方向に対して垂直に配置することは要しなくなる。また、この場合には、各発光素子7ごとのモニタ光Mがコリメート光ではなく収束光となるように構成しても光学性能上問題はない。
【0080】
(光受信用の形態)
また、本実施形態においては、レンズアレイ本体4の第2の凹部17に光学機能部21を配置しないことによって、光受信用のレンズアレイを構成することができるようになっている。図8は、このような受信用のレンズアレイ2’の縦断面図を、光受信用の光電変換装置3’とともに示した受信用の光モジュール1’の概略構成図である。
【0081】
ここで、図8に示すように、光受信用の光電変換装置3’は、光送信・モニタ用の光電変換装置3における各発光素子7の形成位置に、各発光素子7に代わり、各発光素子7と同数の複数の受光素子30を備えている。各受光素子30は、モニタ用の受光素子8と同様に、フォトディテクタであってもよい。ただし、光受信用の光電変換装置3’は、光送信・モニタ用とは異なり、モニタ用の受光素子8は備えていない。
【0082】
このような光受信用の構成において、各光ファイバ5の端面5aからは、レンズアレイ2’に向けて各受光素子30ごとに受光されるべき各受光素子30ごとのレーザ光La’が出射される。なお、図示はしないが、各光ファイバ5のレンズアレイ2’と反対側の端面側には、レーザ光La’の光源が配置されることになる。
【0083】
そして、各光ファイバ5の端面5aから出射された各受光素子30ごとのレーザ光La’は、対応する各第2のレンズ面12にそれぞれ入射し、各第2のレンズ面12によってコリメートまたは収束された上でレンズアレイ本体4内を傾斜面18側(図8における右方向)に向かって進行する。
【0084】
次いで、傾斜面18側に向かって進行した各受光素子30ごとのレーザ光La’は、傾斜面18に臨界角よりも大きな入射角で入射(内部入射)する。そして、傾斜面18に入射した各受光素子30ごとのレーザ光La’は、傾斜面18によって第2の反射面16に向けて全反射される。
【0085】
次いで、傾斜面18において全反射された各受光素子30ごとのレーザ光La’は、第2の反射面16に入射(内部入射)して、この第2の反射面16によって第1の反射面14に向けて反射される。
【0086】
次いで、第2の反射面16によって反射された各受光素子30ごとのレーザ光La’は、第1の反射面14に入射(内部入射)して、この第1の反射面14によって各第1のレンズ面11に向けて反射される。
【0087】
そして、第1の反射面14によって反射された各受光素子30ごとのレーザ光La’は、対応する各第1のレンズ面11にそれぞれ入射した上で、各第1のレンズ面11によって収束されて対応する受光素子30に向けてそれぞれ出射される。
【0088】
このようにして、傾斜面18、第2の反射面16および第1の反射面14によって、各第2のレンズ面12と各第1のレンズ面11との間の各受光素子30ごとのレーザ光La’の光路(受信用光路)を形成することができる。この受信用光路は、送信用光路上を逆行するような送信用光路と同一もしくは同一光軸の光路となっている。
【0089】
(第1実施形態の効果)
このように、本実施形態によれば、第2の凹部17内に光学機能部21を配置することによって、モニタをともなう光送信用のレンズアレイ2を構成することができ、また、第2の凹部17内に光学機能部21を配置しないことによって、光受信用のレンズアレイ2’を構成することができ、さらに、各第1のレンズ面11および各第2のレンズ面12を送受信兼用とすることができるので、光送信・モニタ用(専用)と光受信用(専用)との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことができる。より具体的には、レンズアレイ本体4を金型を用いた射出成形によって形成する場合には、同一の金型を用いて成形したレンズアレイ本体4を、送信用および受信用のいずれにも用いることができるので、送信用と受信用とで別々の金型を用意しなくても済む。
【0090】
また、本実施形態によれば、反射/透過層22において、各発光素子7ごとのレーザ光Laを、送信光として各第2のレンズ面12側に反射させることができるとともに、各発光素子7ごとのモニタ光Mとして透過させることができ、透過された各発光素子7ごとのモニタ光Mを、充填材23において屈折させることなくレンズ部材24の入射面25に入射させて各第3のレンズ面13から各受光素子8に向けて出射させることができる。これにより、モニタをともなう光送信を簡易な構成によって適正に行うことができる。
【0091】
さらに、本実施形態によれば、レンズ部材24の入射面25に各発光素子7ごとのモニタ光Mを垂直入射させることによって、レンズ部材24への入射時におけるモニタ光Mの屈折を抑制することができるので、各第3のレンズ面13におけるモニタ光Mの出射方向を、第3のレンズ面13の面形状に負担をかけずに各受光素子8に向かって収束するように適正化することができる。
【0092】
さらにまた、本実施形態によれば、反射/透過層22をコーティングによって簡便かつ適切に形成することができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、充填材23が接着材を兼ねることによって、レンズ部材24をレンズアレイ本体4に固定するための特別な手段を要しないので、部品点数を削減して更なるコストの低廉化を図ることが可能となる。
【0094】
さらに、本実施形態によれば、レンズ部材24に形成された切り欠き部26を用いて、充填材23の充填および気泡抜きの少なくとも一方を適切に行うことができるので、光送信・モニタ用のレンズアレイ2を更に簡便かつ適切に形成することができる。
【0095】
さらにまた、レンズアレイ本体4の傾斜面形状のみによって第1および第2の反射面14、16を構成することができるので、更にコストを削減することができる。
【0096】
また、逃げ部4b’’’によって、各発光/受光素子7、8、30の近傍位置への電子部品9の実装を許容することができるので、電子部品9と各発光/受光素子7、8、30との間のワイヤーボンディング等の電気回路の距離を短縮化することができ、ひいては、雑音が低減された安定的な通信を実現することが可能となる。
【0097】
(第1変形例)
次に、図9は、本実施形態におけるレンズアレイおよび光モジュールの第1変形例として、光送信・モニタ用のレンズアレイ32および光モジュール33を示す概略構成図である。また、図10は、図9のレンズアレイ32および光モジュール33に対応する本変形例における光受信用のレンズアレイ32’および光モジュール33’を示すものであり、この図10の構成は、図9の構成から光学機能部21を取り除いたものに相当する。
【0098】
図9および図10に示すように、本変形例においては、第2の凹部17における開口側(下端部側)の部位が、開口側に向かうにしたがって図9および図10における横方向に拡開する(換言すれば、図9および図10における横幅が広がる)ような形状(テーパ面状)に形成されている。
【0099】
このような本変形例の構成によれば、真空蒸着等によってコーティング材を傾斜面18上に反射/透過層22としてコーティングする際に、コーティング材を第2の凹部17内に入りやすくすることができるので、更なる製造の容易化を実現することができる。
【0100】
(第2変形例)
次に、図11は、本実施形態におけるレンズアレイおよび光モジュールの第2変形例として、光送信・モニタ用のレンズアレイ34および光モジュール35を示す概略構成図である。また、図12は、図11のレンズアレイ34および光モジュール35に対応する本変形例における光受信用のレンズアレイ34’および光モジュール35’を示すものであり、この図12の構成は、図11の構成から光学機能部21を取り除いたものに相当する。
【0101】
図11および図12に示すように、本変形例の構成は、前述した各レンズアレイ2(2’)、32(32’)に比べて第2の凹部17の形状が最も単純とされており、具体的には、図11および図12における横幅が、開口側から傾斜面18に至るまで一定とされた縦断面五角形状に形成されている。
【0102】
本変形例によれば、金型形状を単純化することによって更に容易な成形が可能となり、また、傾斜面18自体の面積を大きくすることができるので、傾斜面18上への反射/透過層22のコーティングも容易に行うことができる。
【0103】
(第3変形例)
この他にも、本実施形態には、種々の変形例を適用することができる。例えば、図13に示すように、切り欠き部26をレンズ部材24の四隅に形成してもよい。または、図14に示すように、コンセプトによっては、切り欠き部26を有しない単純な平面矩形状のレンズ部材24を採用してもよいし、あるいは、図15(a)(b)に示すように、レンズ部材24における第3のレンズ面13側の端面(下端面)に、各第3のレンズ面13を包囲するようにして各第3のレンズ面13の面頂よりも下方に突出された凸縁部36を形成してもよい。
【0104】
(第2実施形態)
(光送信・モニタ用の形態)
次に、本発明に係るレンズアレイおよび光モジュールの第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に、図16および図17を参照して説明する。なお、第1実施形態と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号および用語を用いて説明する。
【0105】
図16は、本実施形態における光送信・モニタ用のレンズアレイ41および光モジュール42を示す概略構成図である。
【0106】
本実施形態の第1実施形態との相違点は、第2の凹部17の形状および光学機能部の具体的な構成にある。
【0107】
すなわち、図16に示すように、本実施形態において、第2の凹部17は、底面側の部位が、第1実施形態のような縦断面五角形状ではなく、縦断面矩形状に形成されている。より具体的には、図16に示すように、本実施形態における第2の凹部17は、第1実施形態のように底面に傾斜面18が形成されているものではなく、底面が、レンズアレイ本体4の左端面4cに垂直かつ上下端面4a、4bに平行な面17aに形成されており、この面17aは、第1の光学面17aとされている。この第1の光学面17aは、第2の反射面16に対向するように形成されているとともに、第1実施形態における傾斜面18と同様に、送信用光路上における第2の反射面16よりも各第2のレンズ面12側の位置に配置されている。すなわち、図16に示すように、第1の光学面17aには、第1実施形態のように第2の反射面16によって反射された各発光素子7ごとのレーザ光Laが、図16における上方から垂直入射するようになっている。また、図16に示すように、本実施形態における第2の凹部17は、底面側の部位における左内側面17bが、レンズアレイ本体4の左端面4cに平行かつ上下端面4a、4bに垂直な面17bに形成されており、この面17bは、第2の光学面17bとされている。この第2の光学面17bは、第1の光学面17aの図16における左端部に連接されるようにして各第2のレンズ面12に対向するように形成されているとともに、送信用光路上における第1の光学面17aよりも各第2のレンズ面12側の位置に配置されている。すなわち、図16に示すように、第2の光学面17bには、第1の光学面17aに垂直入射した後の各発光素子7ごとのレーザ光Laが、図16における右方から垂直入射するようになっている。第2の光学面17bに垂直入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、各第2のレンズ面12に向かってレンズアレイ本体4内を屈折することなく直進した後に、各第2のレンズ面12において対応する光ファイバ5の端面5aに向けて出射される。
【0108】
また、図16に示すように、本実施形態において、第2の凹部17内には、第1の光学面17aおよび第2の光学面17bとともに送信用光路を形成する機能と、モニタ光の光路を形成する機能とを併有する第1の光学機能部43が配置されている。この第1の光学機能部43は、第1の光学面17aにレンズアレイ本体4の下端面4b側(図16における下方)から対向するとともに、第2の光学面17bに各第2のレンズ面12と反対側(図16における右方)から対向し、かつ、下端面4b側から上端面4a側に向かうにしたがって各第2のレンズ面12と反対側に傾斜した状態で配置された第1実施形態と同様の反射/透過層22を有している。ただし、本実施形態における反射/透過層22は、第1実施形態のようにレンズアレイ本体4の傾斜面18に形成されているのではなく、図16に示すように、反射/透過層22とともに第1の光学機能部43を構成するレンズ部材24の傾斜面24a上にコーティング等によって形成されている。この傾斜面24aは、第1実施形態における傾斜面18と同様に、レンズアレイ本体4の下端面4b側から上端面4a側に向かうにしたがって各第2のレンズ面12と反対側に傾斜されている。なお、レンズ部材24が複数の第3のレンズ面13を有している点については、第1実施形態のレンズ部材24と同様である。また、図16に示すように、第1の光学機能部43は、第1の光学面17a、第2の光学面17bおよび反射/透過層22によって囲まれた空間内に隙間無く充填されたレンズ部材24と同屈折率の透光性の接着材からなる充填材23を有している。
【0109】
ここで、前述のようにして第1の光学面17aに垂直入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、屈折することなく充填材23内を進行して反射/透過層22に入射する。次いで、反射/透過層22に入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、図16に示すように、反射/透過層22において所定の反射率で第2の光学面17b側に反射されるとともに、所定の透過率でレンズ部材24側に各発光素子7ごとのモニタ光Mとして透過される。このとき、第1実施形態と同様に、反射/透過層22の厚みが極めて薄いので、反射/透過層22を透過する際における各発光素子7ごとのモニタ光Mの屈折は無視することができる。次いで、反射/透過層22において反射された各発光素子7ごとのレーザ光Laは、前述のようにして第2の光学面17bに垂直入射して、屈折することなくレンズアレイ本体4内を進行した後に、各第2のレンズ面12を介して対応する光ファイバ5の端面5aに向けて出射される。一方、反射/透過層22において透過された各発光素子7ごとのモニタ光Mは、充填材23とレンズ部材24とが同屈折率であり、かつ、反射/透過層22における屈折を無視できることにより、レンズ部材24内を屈折することなく各第3のレンズ面13に向かって進行した後に、各第3のレンズ面13において、対応するモニタ用の受光素子8に向けて出射される。このように、本実施形態においても、第1実施形態と同様の送信用光路およびモニタ光の光路を形成することができる。
【0110】
(光受信用の形態)
また、本実施形態においては、第2の凹部17内に、第1の光学機能部43に代わり第2の光学機能部43’を配置することによって、光受信用のレンズアレイを構成することができるようになっている。図17は、このような受信用のレンズアレイ41’の縦断面図を、光受信用の光電変換装置3’とともに示した光受信用の光モジュール42’の概略構成図である。
【0111】
ここで、図17に示すように、第2の光学機能部43’は、第1の光学機能部43に対して、反射/透過層22の代わりに反射層45をレンズ部材24の傾斜面24a上に形成することによって構成されている。反射層45は、Au、Ag、Al等を傾斜面24a上にコーティングすることによって形成してもよい。なお、第2の光学機能部43’におけるレンズ部材24は、第1の光学機能部43におけるレンズ部材24のように光学的に機能するわけではなく、反射層45の形成面としての役割しか有しないが、第1の光学機能部43と同一のレンズ部材24を用いることができるといった経済的な意義を有している。
【0112】
このような受信用の構成において、各光ファイバ5の端面5aからは、レンズアレイ41’に向けて各受光素子30ごとに受光されるべき各受光素子30ごとのレーザ光La’が出射される。
【0113】
次いで、出射された各受光素子30ごとのレーザ光La’は、対応する各第2のレンズ面12に入射して、各第2のレンズ面12によってコリメートまたは収束された上でレンズアレイ本体4内を第2の光学面17b側(図17における右方向)に向かって進行する。
【0114】
次いで、第2の光学面17b側に向かって進行した各受光素子30ごとのレーザ光La’は、第2の光学面17bに垂直入射した後に、屈折することなく充填材23内を反射層45側に向かって進行する。
【0115】
次いで、反射層45側に向かって進行した各受光素子30ごとのレーザ光La’は、反射層45に入射して、この反射層45によって第2の反射面16側に向けて反射される。
【0116】
次いで、反射層45によって反射された各受光素子30ごとのレーザ光La’は、充填材23内を第2の反射面16側に向かって進行した後に第2の反射面16に臨界角よりも大きな入射角で入射(内部入射)する。
【0117】
これ以後の各受光素子30ごとのレーザ光La’の進行は、第1実施形態における光受信用の構成で説明したものと同様である。
【0118】
このように、本実施形態においても、第1実施形態と同様に受信用光路を形成することができる。
【0119】
その他の構成は、第1実施形態と基本的に同様である。
【0120】
(第2実施形態の効果)
このように、本実施形態によれば、第2の凹部17内に第1の光学機能部43を配置することによって、モニタをともなう光送信・モニタ用のレンズアレイ41を構成することができ、また、第2の凹部17内に第2の光学機能部43’を配置することによって、光受信用のレンズアレイ41’を構成することができ、さらに、各第1のレンズ面11および各第2のレンズ面12を送受信兼用とすることができるので、第1実施形態と同様に、光送信・モニタ用(専用)と光受信用(専用)との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことができる。なお、本実施形態においては、光受信用の構成に第2の光学機能部43’を要するが、この第2の光学機能部43’は、第1の光学機能部43に対して、レンズ部材24の傾斜面24a上に形成する光学膜を反射/透過層22から反射層45に代えるだけでよいので、光送信・モニタ用と光受信用とでレンズ部材24を成形するための別個の金型を用意する必要はない。
【0121】
また、本実施形態によれば、第1および第2の光学面17a、17bに各発光/受光素子7、30ごとのレーザ光La、La’を垂直入射させることによって、この入射の際におけるレーザ光Laの屈折を抑制することができるので、第2の反射面16と各第3のレンズ面13との間の光路の直線性および反射/透過層22もしくは反射層45と各第2のレンズ面12との間の光路の直線性を確保することができる。ここで、このような光路の直線性を確保できなければ、例えば、光送信・モニタ用の構成において、光ファイバ5の端面5aへのレーザ光Laの結合およびモニタ用の受光素子8へのモニタ光Mの結合を適正に行うために、レンズ面12、13の形状、光学面17a、17bの角度、反射/透過層22角度等を複雑に調整しなければならないので、設計上手間がかかるばかりでなく、製造誤差が生じた場合には、これを解消するための金型形状の補正等が煩雑になる。したがって、本実施形態においては、このような光路の直線性を確保することによって、直線性が確保できない場合に比べて簡便な設計および製造が可能となる。なお、このような光路の直線性は、第1および第2の光学面17a、17bをレーザ光La、La’の入射方向に対して垂直に形成しない場合であっても、充填材23およびレンズ部材24をレンズアレイ本体4と同屈折率に形成すれば、同様に確保することができる。このような場合には、第1および第2の光学面17a、17bにおけるフレネル反射も抑制することができる。
【0122】
その他の効果は、基本的に第1実施形態と同様である。また、第1実施形態に適用される変形例は、本実施形態においても適宜適用することができる。
【0123】
なお、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0124】
例えば、第2実施形態における第2の光学機能部としては、反射層45を適正に形成することができるとともに第2の凹部17内に適正に配置することができる形状の部材であれば、レンズ部材24以外の部材を採用してもよい。この場合には、第1の光学機能部とは別個の金型を用意する必要があるが、レンズアレイ本体4については、光送信・モニタ用と光受信用とで金型を共用することができる。
【0125】
また、図18に示すように、光送信・モニタ用の光モジュール1と光受信用の光モジュール1’とを一体的に並設することによって、送受信一体型の光モジュールアレイを構成してもよい。なお、図18においては、レンズアレイ2、2’、光電変換装置3、3’および光コネクタ10が、矩形の筐体48内に収容されており、筐体48からは、光コネクタ10に収容された各光ファイバ5の延長部分からなる光ファイバリボン50が引き出されている。また、図18においては、光送信・モニタ用の光モジュール1と光受信用の光モジュール1’とが、筐体48における半導体基板6が搭載されている底板48a同士を互いに対峙させた腹合わせの状態で配置されている。このような構成は、第1実施形態の各変形例の光モジュール33(33’)、35(35’)および第2実施形態の光モジュール42(42’)に適用してもよいことは勿論である。
【0126】
さらに、図19に示すように、第1実施形態において、光送信・モニタ用のレンズ部材24および第3のレンズ面13を、第2の凹部17の長手方向(図19における縦方向)の一部の範囲にわたって形成(配置)してもよい。なお、同図においては、第3のレンズ面13が上端側から数えて4つ形成されているが、これらは、同図における各第3のレンズ面13の右方近傍に位置する4つの第1のレンズ面11にそれぞれ対応するものである。一方、第2の凹部17におけるレンズ部材24が形成(配置)されていない範囲は、傾斜面18が剥き出しになっている。このような構成によれば、第1のレンズ面11の一部(4つ)のみを用いたモニタをともなう光送信と、他のレンズ面11の一部(例えば、同図において下端側のレンズ面11から数えて4つ)のみを用いた光受信とを同時に行うことが可能である。なお、同様な作用は、第2実施形態において、例えば、第2の凹部17の長手方向における一部の範囲にわたって、反射/透過層22が形成されたレンズ部材24を配置し、第2の凹部17の長手方向における残余の範囲にわたって、反射層45が形成されたレンズ部材24を配置することによっても実現することができる。
【0127】
さらにまた、本発明は、光導波路等の光ファイバ5以外の光伝送体にも有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 光モジュール
2 レンズアレイ
3 光電変換装置
4 レンズアレイ本体
5 光ファイバ
7 発光素子
8 受光素子
11 第1のレンズ面
12 第2のレンズ面
14 第1の反射面
16 第2の反射面
17 第2の凹部
18 傾斜面
21 光学機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子または受光素子が整列形成された光電変換装置と、光伝送体との間に配置され、前記複数の発光/受光素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合可能とされたレンズアレイであって、
レンズアレイ本体における前記光電変換装置側の第1の面に、前記複数の発光/受光素子に対応する所定の整列方向に整列するように形成され、前記複数の発光/受光素子ごとに発光された光または受光される光がそれぞれ通過する複数の第1のレンズ面と、
前記第1の面に前記複数の第1のレンズ面の整列方向に垂直な方向において隣位する前記レンズアレイ本体における前記光伝送体側の第2の面に、前記複数の第1のレンズ面の整列方向に沿って整列するように形成され、前記複数の発光/受光素子ごとの光が、前記光伝送体の端面に向けた前記レンズアレイ本体側からの出射光または前記光伝送体の端面からの前記レンズアレイ本体側への入射光として、前記複数の第1のレンズ面の通過後または通過前にそれぞれ通過する複数の第2のレンズ面と、
前記第1の面に対向する前記レンズアレイ本体における第3の面に、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面側に傾斜するように形成され、前記複数の第1のレンズ面と前記複数の第2のレンズ面との間の前記複数の発光/受光素子ごとの光の光路を形成する第1の反射面と、
前記第3の面における前記第1の反射面よりも前記第2の面側の位置に、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面と反対側に傾斜するように形成され、前記光路上における前記第1の反射面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置において前記第1の反射面とともに前記光路を形成する第2の反射面と、
前記第1の面における前記第2の反射面に対向する位置に凹入形成された凹部と、
この凹部の内面の一部をなすとともに、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面と反対側に傾斜するように形成され、前記光路上における前記第2の反射面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置に配置された傾斜面と
を備え、
前記光電変換装置として、前記複数の発光素子が整列形成されるとともに、これら複数の発光素子の少なくとも1つから発光された光をモニタするためのモニタ光を受光する少なくとも1つの第2の受光素子が形成されたものを用いる場合には、前記凹部内に、前記第1の反射面および前記第2の反射面とともに前記複数の発光素子ごとの光の光路を形成する機能および前記モニタ光の光路を形成する機能を併有する光学機能部として、前記第2の反射面側から前記傾斜面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の第2のレンズ面に向かう光と前記モニタ光を含む前記第2の受光素子側に向かう光とに分光した上で前記モニタ光を前記第2の受光素子に向けて出射させる光学機能部が配置された状態で、前記光電変換装置による前記モニタをともなう前記光伝送体側への光送信に用いられ、
前記光電変換装置として、前記複数の受光素子が整列形成されたものを用いる場合には、前記凹部内に前記光学機能部が配置されない状態で、前記傾斜面が、前記第1の反射面および前記第2の反射面とともに前記複数の受光素子ごとの光の光路を形成する全反射面として機能することにより、前記光電変換装置による前記光伝送体側からの光受信に用いられること
を特徴とするレンズアレイ。
【請求項2】
前記光学機能部は、
前記傾斜面上に形成され、前記傾斜面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、所定の反射率で前記複数の第2のレンズ面側に反射させるとともに所定の透過率で前記第2の受光素子側に透過させ、その際に、前記複数の発光素子ごとの光の少なくとも1つを前記モニタ光として透過させる反射/透過層と、
この反射/透過層に接するようにして前記凹部内に充填され、前記モニタ光を前記第2の受光素子側に向かって進行させる前記レンズアレイ本体と同屈折率の充填材と、
この充填材を挟むようにして前記反射/透過層に対向するように配置され、前記モニタ光が入射する入射面およびこの入射面に入射した前記モニタ光を前記第2の受光素子に向けて出射させる少なくとも1つの第3のレンズ面を有するレンズ部材と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項3】
前記レンズ部材の前記入射面は、前記反射/透過層における前記モニタ光の透過方向に垂直に形成されていること
を特徴とする請求項2に記載のレンズアレイ。
【請求項4】
前記レンズ部材は、前記レンズアレイ本体と同屈折率に形成されていること
を特徴とする請求項2または3に記載のレンズアレイ。
【請求項5】
前記反射/透過層は、前記傾斜面上にコーティングによって形成され、
前記凹部における開口側の所定範囲の部位は、前記傾斜面上への前記コーティングを行い易くするために、前記開口側に向かうにしたがって拡開するような形状に形成されていること
を特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項6】
複数の発光素子または受光素子が整列形成された光電変換装置と、光伝送体との間に配置され、前記複数の発光/受光素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合可能とされたレンズアレイであって、
レンズアレイ本体における前記光電変換装置側の第1の面に、前記複数の発光/受光素子に対応する所定の整列方向に整列するように形成され、前記複数の発光/受光素子ごとに発光された光または受光される光がそれぞれ通過する複数の第1のレンズ面と、
前記第1の面に前記複数の第1のレンズ面の整列方向に垂直な方向において隣位する前記レンズアレイ本体における前記光伝送体側の第2の面に、前記複数の第1のレンズ面の整列方向に沿って整列するように形成され、前記複数の発光/受光素子ごとの光が、前記光伝送体の端面に向けた前記レンズアレイ本体側からの出射光または前記光伝送体の端面からの前記レンズアレイ本体側への入射光として、前記複数の第1のレンズ面の通過後または通過前にそれぞれ通過する複数の第2のレンズ面と、
前記第1の面に対向する前記レンズアレイ本体における第3の面に、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面側に傾斜するように形成され、前記複数の第1のレンズ面と前記複数の第2のレンズ面との間の前記複数の発光/受光素子ごとの光の光路を形成する第1の反射面と、
前記第3の面における前記第1の反射面よりも前記第2の面側の位置に、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面と反対側に傾斜するように形成され、前記光路上における前記第1の反射面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置において前記第1の反射面とともに前記光路を形成する第2の反射面と、
前記第1の面における前記第2の反射面に対向する位置に凹入形成された凹部と、
この凹部の内面の一部をなすとともに、前記第2の反射面に対向するように形成され、前記光路上における前記第2の反射面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置に配置された第1の光学面と、
前記凹部の内面の一部をなすとともに、前記第1の光学面に連接されるようにして前記複数の第2のレンズ面に対向するように形成され、前記光路上における前記第1の光学面よりも前記複数の第2のレンズ面側の位置に配置された第2の光学面と
を備え、
前記光電変換装置として、前記複数の発光素子が整列形成されるとともに、これら複数の発光素子の少なくとも1つから発光された光をモニタするためのモニタ光を受光する少なくとも1つの第2の受光素子が形成されたものを用いる場合には、前記凹部内に、前記第1の反射面および前記第2の反射面とともに前記複数の発光素子ごとの光の光路を形成する機能および前記モニタ光の光路を形成する機能を併有する光学機能部として、前記第2の反射面側から前記第1の光学面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の第2のレンズ面に向かう光と前記モニタ光を含む前記第2の受光素子側に向かう光とに分光した上で前記モニタ光を前記第2の受光素子に向けて出射させる第1の光学機能部が配置された状態で、前記光電変換装置による前記モニタをともなう前記光伝送体側への光送信に用いられ、
前記光電変換装置として、前記複数の受光素子が整列形成されたものを用いる場合には、前記凹部内に、前記第1の反射面および前記第2の反射面とともに前記複数の受光素子ごとの光の光路を形成する機能を有する光学機能部として、前記複数の第2のレンズ面側から前記第2の光学面に入射した前記複数の受光素子ごとの光を前記第2の反射面に向けて反射させる第2の光学機能部が配置された状態で、前記光電変換装置による前記光伝送体側からの光受信に用いられること
を特徴とするレンズアレイ。
【請求項7】
前記第1の光学機能部は、
前記第1の光学面に前記第1の面側から対向するとともに前記第2の光学面に前記複数の第2のレンズ面の反対側から対向し、かつ、前記第1の面側から前記第3の面側に向かうにしたがって前記第2の面と反対側に傾斜するような状態で配置され、前記第1の光学面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、所定の反射率で前記複数の第2のレンズ面側に反射させるとともに所定の透過率で前記第2の受光素子側に透過させ、その際に、前記複数の発光素子ごとの光の少なくとも1つを前記モニタ光として透過させる反射/透過層と、
この反射/透過層が形成され、これを透過した前記モニタ光が入射する傾斜面、およびこの傾斜面に入射した前記モニタ光を前記第2の受光素子に向けて出射させる少なくとも1つの第3のレンズ面を有するレンズ部材と、
前記第1の光学面、前記第2の光学面および前記反射/透過層によって囲まれた空間内に充填された前記レンズ部材と同屈折率の充填材と
を備え、
前記第2の光学機能部は、
前記レンズ部材と、
前記充填材と、
前記レンズ部材の前記傾斜面に、前記反射/透過層に代わって形成された反射層と
を備えたことを特徴とする請求項6に記載のレンズアレイ。
【請求項8】
前記第1の光学面および前記第2の光学面は、これらに対する前記複数の発光/受光素子ごとの光の入射方向に垂直に形成されていること
を特徴とする請求項7に記載のレンズアレイ。
【請求項9】
前記充填材は、前記レンズアレイ本体と同屈折率に形成されていること
を特徴とする請求項7または8に記載のレンズアレイ。
【請求項10】
前記反射/透過層および前記反射層の少なくとも一方は、前記傾斜面上にコーティングによって形成されていること
を特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項11】
前記充填材は、透光性の接着材からなり、
前記レンズ部材は、前記充填材の接着力によって前記凹部内に固定されていること
を特徴とする請求項2〜5および7〜10のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項12】
前記レンズ部材における光軸方向に垂直な方向側の端面に、前記凹部内への前記充填材の充填および/または前記凹部内に充填された前記充填材の気泡抜きに用いるための切り欠き部が、前記レンズ部材の前記端面における前記充填材側の端部から前記第3のレンズ面側の端部にわたって形成されていること
を特徴とする請求項11に記載のレンズアレイ。
【請求項13】
前記第1の反射面および前記第2の反射面は、前記複数の発光/受光素子ごとの光が臨界角よりも大きな入射角で入射するように形成された前記レンズアレイ本体の傾斜面からなる全反射面であること
を特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項14】
前記第1の面における前記複数の第1のレンズ面と前記凹部との間に、前記光電変換装置における前記複数の発光/受光素子の近傍位置への電子部品の搭載を許容するための逃げ部が形成されていること
を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のレンズアレイと、
このレンズアレイに対応する前記光電変換装置と
を備えたことを特徴とする光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−194454(P2012−194454A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59515(P2011−59515)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】