説明

レーザアニール方法及びレーザアニール装置

【課題】半導体膜の結晶化プロセスにおいて均質な核を発生させることにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成する。
【解決手段】半導体膜5の下地層又はキャップ層として光触媒層4を形成する。光触媒層4に吸収される波長をもつ励起光8を光触媒層4に照射しながら、半導体膜5にレーザ光1を照射して、半導体膜5を溶融及び固化させることにより結晶化させる。この方法により、光触媒層4の超親水作用によって半導体融液の濡れ性が改善する。このため、半導体膜5の融点近傍で、半導体膜5と光触媒層4の界面に結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された半導体膜にレーザ光を照射することにより半導体膜を結晶化させるレーザアニール方法及びレーザアニール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザアニールは、低融点ガラス(通常、無アルカリガラス)からなる基板上に形成された非晶質半導体膜(通常、アモルファスシリコン膜)にレーザ光を照射し、溶融、固化させて再結晶化させることにより多結晶シリコンを形成する技術である。以下、アモルファスシリコン膜をa−Si膜という。結晶化したシリコン膜はa−Si膜に比べ電気的特性に優れているため、携帯電話やデジタルスチルカメラなどの高精細な表示が要求される液晶ディスプレイを駆動するトランジスタに採用されている。
【0003】
図7は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)に使用されている、a−Si膜付きガラス基板の断面構造を示す図である(なお、このような構造は例えば、下記特許文献1に開示されている)。図7において、ガラス基板32(無アルカリガラス等)上にSiO膜33が形成され、その上にa−Si膜35が形成されている。このa−Si膜35にレーザ光31を照射して溶融させ、その後固化させることにより、a−Si膜35が結晶化し、多結晶シリコンとなる。
【0004】
下記表1に示すように、例えば、SiO膜に対するシリコン融液の接触角は93度以上であり、濡れ性は悪い。また、他の半導体、例えばGe(ゲルマニウム)、InP(インジウムリン)のSiO膜に対する接触角は、前記の順に120度以上、130度以上である。このように濡れ性が悪いために、SiO膜とシリコン融液との界面エネルギーが高い。このため、上記の界面近傍では融点以下になっても結晶核が形成されず、過冷却(融点以下になっても結晶核が発生しない現象)となり、核が発生するときは、界面から離れた位置、すなわち膜内で多量の小さい核が発生することになり、均質な核を発生させることができず、結晶粒径の揃った多結晶シリコンが得られないという問題がある。なお、下記特許文献2には、濡れ性と過冷却度に関する事項が記載されている。
【0005】
【表1】

【0006】
【特許文献1】特開2001−60551号公報
【特許文献2】特開2005−257244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、半導体膜の結晶化プロセスにおいて均質な核を発生させることにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成することができるレーザアニール方法及びレーザアニール装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のレーザアニール方法及びレーザアニール装置は、以下の手段を採用する。
(1)本発明は、基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射して前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール方法であって、前記基板の一方面側に光触媒層を形成し、該光触媒層の上に直接、前記半導体膜を形成し、前記光触媒層に吸収される波長をもつ励起光を前記光触媒層に照射しながら、前記半導体膜にレーザ光を照射して、前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させる、ことを特徴とする。
【0009】
上記方法によれば、光触媒層に、この光触媒層が吸収する波長をもつ励起光を照射することにより、半導体膜と光触媒層との界面にキャリア(電子/正孔)が形成するため、半導体膜がレーザ光の照射によって溶融した際の濡れ性が改善する。すなわち、光触媒層の超親水作用によって半導体融液の濡れ性が改善する。このため、半導体膜の融点近傍で、半導体膜と光触媒層の界面で結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成することができる。
また、光触媒層は、半導体膜の下地層として形成されているので、結晶化プロセス以降に行なわれる処理のために光触媒層を除去する必要がない。
【0010】
(2)また、上記(1)の方法において、前記光触媒層の吸収端波長は前記基板の吸収端波長より長く、前記基板は前記励起光を透過させる材料からなり、前記基板の他方面側から、前記基板を通して前記光触媒層に前記励起光を照射する。
【0011】
基板の一方面側(半導体膜側)から励起光を照射した場合、半導体膜によって励起光が吸収されてしまい、光触媒層に励起光を照射することができないが、上記のように励起光を透過させる材料からなる基板を用い、基板側から光触媒層に励起光を照射することにより、励起光を光触媒層に効率的かつ確実に照射することができる。
【0012】
(3)また、上記(2)の方法において、前記基板の一方面を上側に向けた状態で、所定の隙間を挟んで水平方向に並べた第1ステージと第2ステージの上面からガスを吹き出して前記基板を浮上させるとともに、浮上した前記基板を前記隙間を跨いで第1ステージと第2ステージの一方から他方に向って水平方向に搬送し、該基板の搬送と並行して、前記隙間及び前記基板を通して前記基板の下面側から、前記光触媒層に前記励起光を照射しながら、前記基板の上面側から前記隙間に向って、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射する。
【0013】
上記方法によれば、第1ステージと第2ステージの間に隙間が形成されているので、基板の他方面(下面)側から、前記の隙間を通して光触媒層に励起光を容易に照射することができる。
【0014】
(4)また、上記(2)の方法において、前記励起光を透過させる材料からなる基板ステージにより前記他方面を該基板ステージに向けた状態で前記基板を支持し、前記基板ステージ及び前記基板を通して前記基板の他方面側から前記光触媒層に前記励起光を照射しながら、前記基板の一方面側から、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射し、該レーザ光を前記基板の面方向に走査する。
【0015】
上記方法によれば、基板ステージが励起光を透過させる材料からなるので、基板の他方面側から、基板ステージを通して光触媒層に励起光を容易に照射することができる。
【0016】
(5)また、本発明は、基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射して前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール方法であって、前記基板の一方面側に前記半導体膜を形成し、該半導体膜の上に直接、光触媒層を形成し、前記光触媒層が吸収する波長をもつ励起光を前記光触媒層に照射しながら、前記半導体膜にレーザ光を照射して、前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させることを特徴とする。
【0017】
上記方法によれば、上記(1)の方法と同様に、半導体膜の融点近傍で、半導体膜と光触媒層の界面で結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成することができる。
【0018】
(6)また、上記(5)の方法において、前記光触媒層は前記レーザ光を透過させる材料からなり、基板ステージにより前記他方面を該基板ステージに向けた状態で前記基板を支持し、前記基板の一方面側から前記光触媒層に前記励起光を照射しながら、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜に前記基板の一方面側からレーザ光を照射し、該レーザ光を前記基板の面方向に走査する。
【0019】
上記方法によれば、光触媒層がレーザ光を透過させる材料からなるので、通常のレーザアニールと同様に基板の一方面側から半導体膜にレーザ光を照射することができる。また、基板の一方面側から光触媒層に励起光を照射するので、基板ステージに特別な工夫を加える必要が無い。
【0020】
(7)また、上記(1)〜(6)の方法において、光触媒層は、TiO、ZnO、MgO、SnO、SrTiO、WO、Bi又はFeからなる。
【0021】
このように、光触媒層として、種々の光触媒を適用することができる。特に、TiO(二酸化チタン)は、無害であり、化学的に安定であり、かつ安価に入手可能である。
【0022】
(8)また、本発明は、基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射して前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール装置であって、処理対象となる前記基板は、一方面側に光触媒層が形成され、該光触媒層の上に直接、前記半導体膜が形成され、前記光触媒層の吸収端波長が当該基板の吸収端波長より長い、ものであり、所定の隙間を挟んで水平方向に並べた第1ステージと第2ステージとを有し該第1ステージと第2ステージの上面からガスを吹き出して前記一方面を上側に向けた前記基板を浮上させるガス浮上装置と、該ガス浮上装置により浮上した前記基板を、前記隙間を跨いで第1ステージと第2ステージの一方から他方に向って水平方向に送る水平送り装置と、前記基板の上面側から前記隙間に向って、前記半導体膜にレーザ光を照射するレーザ照射装置と、前記光触媒層に吸収される波長をもつ励起光を前記光触媒層に照射する励起光照射装置と、を備え、前記基板は前記励起光を透過させる材料からなり、前記励起光照射装置は、前記基板の下面側から前記隙間及び前記基板を通して前記光触媒層に前記励起光を照射し、前記レーザ照射装置は、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射する。
【0023】
上記構成によれば、光触媒層に、この光触媒層が吸収する波長をもつ励起光を照射することにより、半導体膜と光触媒層との界面にキャリア(電子/正孔)が形成するため、半導体膜がレーザ光の照射によって溶融した際の濡れ性が改善する。すなわち、光触媒層の超親水作用によって半導体融液の濡れ性が改善する。このため、半導体膜の融点近傍で、半導体膜と光触媒層の界面で結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成することができる。
また、第1ステージと第2ステージの間に隙間が形成されているので、基板の他方面(下面)側から、上記の隙間を通して光触媒層に励起光を容易に照射することができる。
【0024】
(9)また、本発明は、レーザ光を基板の面方向に走査して、該基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射し、前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール装置であって、処理対象となる前記基板は、一方面側に光触媒層が形成され、該光触媒層の上に直接、前記半導体膜が形成され、前記光触媒層の吸収端波長が当該基板の吸収端波長より長い、ものであり、前記基板を該基板の他方面側から支持する基板ステージと、前記基板の一方面側から前記半導体膜にレーザ光を照射するレーザ照射装置と、前記光触媒層に吸収される波長をもつ励起光を前記光触媒層に照射する励起光照射装置と、を備え、前記基板及び前記基板ステージは、前記励起光を透過させる材料からなり、前記励起光照射装置は、前記基板の他方面側から前記基板ステージ及び前記基板を通して前記光触媒層に前記励起光を照射し、前記レーザ照射装置は、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射する、ことを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、上記(8)の装置と同様に、半導体膜の融点近傍で、半導体膜と光触媒層の界面で結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成することができる。
また、基板ステージが励起光を透過させる材料からなるので、基板の他方面側から、基板を通して光触媒層に励起光を容易に照射することができる。
【0026】
(10)また、本発明は、レーザ光を基板の面方向に走査して、該基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射し、前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール装置であって、処理対象となる前記基板は、一方面側に半導体膜が形成され、該半導体膜の上に直接、光触媒層が形成され、該光触媒層が前記レーザ光を透過させる材料からなる、ものであり、前記基板を該基板の他方面側から支持する基板ステージと、前記基板の一方面側から前記半導体膜にレーザ光を照射するレーザ照射装置と、前記基板の一方面側から前記光触媒層に前記励起光を照射する励起光照射装置と、を備え、前記レーザ照射装置は、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射する、ことを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、上記(8)の装置と同様に、半導体膜の融点近傍で、半導体膜と光触媒層の界面で結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成することができる。
また、基板の一方面側から光触媒層に励起光を照射するので、基板ステージに特別な工夫を加える必要が無い。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、半導体膜の結晶化プロセスにおいて均質な核を発生させることにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0030】
[第1実施形態にかかるレーザアニール方法]
図1は、本発明の第1実施形態にかかるレーザアニール方法の説明図である。
このレーザアニールは、基板2の一方面側に形成された半導体膜5にレーザ光1を照射して半導体膜5を溶融及び固化させることにより結晶化させる。以下、基板2において、半導体膜5が形成された側の面を「一方面」といい、その反対側の面を「他方面」という。
【0031】
図1において、基板2の一方面(図で上面)にバリア層3が形成されている。基板2は、液晶パネル用、PDPパネル用などのガラス基板である。ガラス基板は、無アルカリガラスがよく用いられるが、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、バイコールガラス等の他のガラス基板であってもよい。バリア層3は、SiO膜などからなる。
【0032】
バリア層3の上に光触媒からなる光触媒層4が形成されている。光触媒層4の形成は、CVD、PVDなどの成膜法を用いて行なうことができる。光触媒には、光を吸収することにより表面が超親水性もつ「超親水作用」がある。光触媒としては、TiO、ZnO、MgO、SnO、SrTiO、WO、Bi又はFeを用いることができるが、他の光触媒であっても良い。上記の光触媒のうち、TiO(二酸化チタン)は、無害であり、化学的に安定であり、かつ安価に入手可能である。
【0033】
光触媒層4の上に直接、半導体膜5が形成されている。半導体膜5の形成は、CVD、PVDなどの成膜法を用いて行なうことができる。半導体膜5は、非晶質半導体膜(例えばa−Si膜)である。
以下、基板2に、バリア層3、光触媒層4及び半導体膜5が形成された構造体を、半導体膜付き基板6という。
【0034】
本実施形態のレーザアニール方法は、基板2の一方面側に、光触媒層4を形成し、この光触媒層4の上に直接、半導体膜5を形成し、光触媒層4に吸収される波長をもつ励起光8を光触媒層4に照射しながら、半導体膜5にレーザ光1を照射して、半導体膜5を溶融及び固化させることにより結晶化させる、ことを特徴とする。図1(A)は、光触媒層4に励起光8を照射しながら、半導体膜5にレーザ光1を照射している様子を示しており、図1(B)は、レーザ光1の照射によって半導体膜5が溶融及び固化し、結晶化した様子を示している。図1(B)の符号5aは、半導体膜5の結晶化した領域を示している。
【0035】
上記の「光触媒層4に吸収される波長」は、光触媒層4が例えば二酸化チタンである場合は、380nmである。なお、「光触媒層4に吸収される波長」は、光触媒層4のバンドギャップより大きいエネルギーの波長」と言い換えることもできる。
【0036】
上記の励起光8は、励起光照射装置9から照射される。光触媒層4が二酸化チタンである場合、上記の励起光8は紫外光であり、励起光照射装置9は、紫外線照射灯(ブラックライト)である。なお、励起光8はレーザ光であってもよく、この場合、励起光照射装置9はレーザ装置である。
【0037】
図1(A)に示すように、基板2の他方面(図で下面)側から、基板2を通して光触媒層4に励起光8を照射する。このため、光触媒層4の吸収端波長は基板2の吸収端波長より長く、かつ基板2は励起光8を透過させる材料からなることが必要である。
【0038】
半導体膜5に対するレーザ光1の照射は、レーザ光1を基板2の面方向に走査することにより行なう。通常、レーザ光1の位置を固定し、基板2を面方向に移動させることにより、上記の走査を行なうが、逆に、基板2の位置を固定しレーザ光1の照射位置を基板2の面方向に移動させることにより、上記の走査を行なってもよい。
【0039】
レーザ光1は、通常のレーザアニールと同様に、線状ビームに成形されて半導体膜5を溶融するのに十分なエネルギー密度で半導体膜5に照射される。
レーザ光1は、連続波、パルス波のいずれでもよいが、半導体膜5の結晶粒径は、溶融及び固化した回数すなわちレーザ光1の入射回数に応じて大きくなるため、パルス波を用い、単位領域あたりのパルス光の照射回数が複数回となるようにレーザ光1を基板2の面方向に走査することにより、効率的に粒径の大きな結晶粒を得ることができる。
【0040】
本実施形態のレーザアニール方法によれば、半導体膜5にレーザ光1を照射する際に、光触媒層4に、この光触媒層4が吸収する波長をもつ励起光8を照射することにより、半導体膜5と光触媒層4との界面にキャリア(電子/正孔)が形成されるため、半導体膜5がレーザ光1の照射によって溶融した際の濡れ性が改善される。すなわち、光触媒層4の超親水作用によって半導体融液の濡れ性が改善される。このため、半導体膜5の融点近傍で、半導体膜5と光触媒層4の界面で結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜5を形成することができる。
また、光触媒層4は、半導体膜5の下地層として形成されているので、結晶化プロセス以降に行なわれる処理のために光触媒層4を除去する必要がない。
【0041】
また、基板2の一方面側(半導体膜5側)から励起光8を照射した場合、半導体膜5によって励起光8が吸収されてしまい、光触媒層4に励起光8を照射することができないが、上記のように、光触媒層4の吸収端波長は基板2の吸収端波長より長くかつ基板2は励起光8を透過させる材料からなる、という条件の下で、基板2の他方面側から光触媒層4に励起光8を照射することにより、励起光8を光触媒層4に効率的かつ確実に照射することができる。なお、通常用いられる無アルカリガラス等のガラス基板は、上記の条件を満たしている。
【0042】
図2は、半導体膜35の、レーザ光の照射によって溶融及び固化し結晶化した結晶化領域35aと、レーザ光が照射されておらず結晶化していない固相領域35bを模式的に示した図である。レーザ光により融液化した半導体とその固相との濡れ性は良く、固液界面で濡れようとするため、光触媒層4を用いていない従来のレーザアニール方法では、図2に示すように、融液の固液界面近傍の部分が表面まで達し、表面の凹凸が大きくなる。なお、濡れ性が良い場合に融液が表面に達する現象を説明するものとして、特許第2710670号がある。
【0043】
これに対し、本実施形態のレーザアニール方法によれば、光触媒層4に対する半導体融液の濡れ性が良いため、光触媒層4と半導体融液との固液界面での濡れようとするエネルギーによって、上述したような融液が表面に達する現象を抑制し、表面の凹凸を小さくする効果が期待できる。
【0044】
[第2実施形態にかかるレーザアニール方法]
図3は、本発明の第2実施形態にかかるレーザアニール方法の説明図である。なお、本実施形態の説明において、言及しない事項については、第1実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態のレーザアニール方法は、基板2の一方面側に半導体膜5を形成し、半導体膜5の上に直接、光触媒層4を形成し、光触媒層4が吸収する波長をもつ励起光8を光触媒層4に照射しながら、半導体膜5にレーザ光1を照射して、半導体膜5を溶融及び固化させることにより結晶化させる、ことを特徴とする。図3(A)は、光触媒層4に励起光8を照射しながら、半導体膜5にレーザ光1を照射している様子を示しており、図3(B)は、レーザ光1の照射によって半導体膜5が溶融及び固化し、結晶化した様子を示している。図3(B)の符号5aは、半導体膜5の結晶化した領域を示している。
【0046】
上述した第1実施形態では、半導体膜5の下地層として光触媒層4を形成したが、本実施形態では、半導体膜5のキャップ層として光触媒層4を形成する。
以下、基板2に、バリア層3、半導体膜5及び光触媒層4が形成された構造体を、半導体膜付き基板7という。
【0047】
励起光8を基板2の他方面側から照射した場合、半導体膜5によって遮られ、光触媒層4に照射できないため、本実施形態では、基板2の一方面側から光触媒層4に励起光8を照射する。この場合、レーザ光1を半導体膜5に照射するためには、レーザ光1が光触媒層4を透過しなければならない。したがって、光触媒層4はレーザ光1を透過させる材料からなることが必要である。
【0048】
本実施形態のレーザアニール方法によれば、第1実施形態と同様に、光触媒層4の超親水作用によって半導体融液の濡れ性が改善するので、半導体膜5の融点近傍で、半導体膜5と光触媒層4の界面で結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜5を形成することができる。
また、光触媒層4がレーザ光1を透過させる材料からなるので、通常のレーザアニールと同様に基板2の一方面側から半導体膜5にレーザ光1を照射することができる。
【0049】
以下、上述したレーザアニール方法を実施するためのレーザアニール装置の構成例について説明する。
【0050】
[第1構成例]
図4は、第1実施形態のレーザアニール方法を実施するための第1構成例にかかるレーザアニール装置10Aの概略構成を示す図である。
このレーザアニール装置10Aは、レーザ照射装置16と、ガス浮上装置12と、水平送り装置14と、励起光照射装置9とを備え、図1に示した半導体膜付き基板6を対象として、半導体膜5にレーザ光1を照射し、半導体膜5を溶融及び固化させることにより結晶化させる。
【0051】
レーザ照射装置16は、基板2の上面側から基板2上の半導体膜5にレーザ光1を照射するための装置であり、レーザ光1を発振するレーザ発振器17と、レーザ発振器17からのレーザ光1を均一化し線状ビームに成形するビームホモジナイザ18と、ビームホモジナイザ18からのレーザ光1を基板2の方向に反射するミラー19と、ミラー19からのレーザ光1を基板2上の半導体膜5に集光する投影レンズ20とを有する。
【0052】
上記のレーザ発振器17としては、エキシマレーザの他、YAG、YLF、YVO等の固体レーザ、半導体レーザ、COレーザが例示される。より具体的には、波長248nmや308nmのエキシマレーザ、1064nm、532nmや355nmのYAGレーザ、波長600nm〜1000nmの半導体レーザ(レーザダイオード)、波長10.6μmのCOレーザが例示される。また、上述したように、レーザ光1は、連続波、パルス波のいずれでもよい。
【0053】
ガス浮上装置12は、所定の隙間を挟んで水平方向(図で左右方向)に並べた第1ステージ12aと第2ステージ12bとを有し、第1ステージ12aと第2ステージ12bの上面からガスを吹き出して一方面(半導体膜5が形成された面)を上側に向けた基板2を浮上させる。第1ステージ12aと第2ステージ12bの上面には、ガスを吹き出す穴が多数設けられ、その穴はガス配管(図示せず)を介してガス供給器(図示せず)に接続されている。
【0054】
水平送り装置14は、ガス浮上装置12により浮上した基板2を、上記の隙間を跨いで第1ステージ12aと第2ステージ12bの一方から他方に向って水平方向に送る。以下、第1ステージ12aと第2ステージ12bの一方から他方に向う水平方向を「送り方向」という。図4では、水平送り装置14のうち基板2の端部を把持する把持機構のみが示されており、把持機構移動装置(図示せず)の駆動により、把持機構が送り方向に水平移動する。
【0055】
励起光照射装置9は、基板2の他方面(下面)側から、上記の隙間を通して、光触媒層4に吸収される波長をもつ励起光8を光触媒層4に照射する。上述したように、励起光照射装置9は、励起光8が紫外光の場合は紫外線照射灯(ブラックライト)である。また、励起光照射装置9はレーザ装置であってもよい。
【0056】
光触媒層4の超親水性作用により半導体融液の濡れ性をよくするためには、半導体膜5におけるレーザ光1の照射領域が、上記の励起光8が照射されている光触媒層4に隣接していることが必要である。したがって、レーザ照射装置16は、上記の隙間に向ってレーザ光1を照射し、励起光8が照射された光触媒層4に隣接する半導体膜5にレーザ光1を照射する。
【0057】
上記のレーザアニール装置10Aを用い、基板2の一方面を上側に向けた状態で、ガス浮上ステージにより基板2を浮上させるとともに、浮上した基板2を上記の隙間を跨いで第1ステージ12aと第2ステージ12bの一方から他方に向って水平方向に送ることにより、基板2を搬送する。また、基板2の搬送と並行して、上記の隙間及び基板2を通して基板2の下面側から、光触媒層4に励起光8を照射しながら、基板2の上面側から隙間に向って、励起光8が照射された光触媒層4に隣接する半導体膜5にレーザ光1を照射する。
【0058】
このように第1構成例のレーザアニール装置10Aによれば、光触媒層4に、この光触媒層4が吸収する波長をもつ励起光8を照射することにより、光触媒層4の超親水作用によって半導体融液の濡れ性が改善する。このため、半導体膜5の融点近傍で、半導体膜5と光触媒層4の界面に結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜5を形成することができる。また、基板2側から光触媒層4に励起光8を照射することにより、励起光8を光触媒層4に効率的かつ確実に照射することができる。
また、第1ステージ12aと第2ステージ12bの間に隙間が形成されているので、基板2の他方面(下面)側から、上記の隙間を通して光触媒層4に励起光8を容易に照射することができる。
【0059】
[第2構成例]
図5は、第1実施形態のレーザアニール方法を実施するための第2構成例にかかるレーザアニール装置10Bの概略構成を示す図である。
このレーザアニール装置10Bは、レーザ照射装置16と、基板ステージ22と、励起光照射装置9とを備え、図1に示した半導体膜付き基板6を対象として、半導体膜5にレーザ光1を照射し、半導体膜5を溶融及び固化させることにより結晶化させる。
【0060】
この第2構成例が上述した第1構成例と異なるのは、第1構成例におけるガス浮上装置12及び水平送り装置14を、励起光8を透過させる材料からなる基板ステージ22に置き換えた点である。励起光8を透過させる材料としては、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス材が例示される。なお、「励起光8を透過させる材料」は、「吸収端波長が励起光8の波長より短い材料」と言い換えることもできる。
【0061】
上記の基板ステージ22は、基板2を、基板2の他方面側から支持する。本構成例において、基板ステージ22は、基板2に対するレーザ光1の入射方向に交差する方向(図では左右方向)に移動する。この基板ステージ22の移動により、レーザ光1を基板2の面方向に走査することができる。なお、基板ステージ22の位置を固定し、レーザ光1の照射方向を移動させることにより、レーザ光1を基板2の面方向に走査するようにしてもよい。
【0062】
本構成例のレーザアニール装置10Bを用い、基板ステージ22により他方面を基板ステージ22に向けた状態で基板2を支持し、基板ステージ22及び基板2を通して基板2の他方面側から光触媒層4に励起光8を照射しながら、基板2の一方面側から、励起光8が照射された光触媒層4に隣接する半導体膜5にレーザ光1を照射し、レーザ光1を基板2の面方向に走査する。
【0063】
本構成例のレーザアニール装置10Bによれば、第1構成例と同様に、半導体膜5の融点近傍で、半導体膜5と光触媒層4の界面に結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜5を形成することができる。
また、基板ステージ22が励起光8を透過させる材料からなるので、基板2の他方面側から、基板2を通して光触媒層4に励起光8を容易に照射することができる。
【0064】
[第3構成例]
図6は、第2実施形態のレーザアニール方法を実施するための第3構成例にかかるレーザアニール装置10Cの概略構成を示す図である。
このレーザアニール装置10Cは、レーザ照射装置16と、基板ステージ24と、励起光照射装置9とを備え、図3に示した半導体膜付き基板7を対象として、半導体膜5にレーザ光1を照射し、半導体膜5を溶融及び固化させることにより結晶化させる。
【0065】
レーザ照射装置16は、基板2の一方面側から前記半導体膜5にレーザ光1を照射する。レーザ照射装置16の構成は、第1構成例と同様である。
励起光照射装置9は、基板2の一方面側から、光触媒層4に吸収される波長をもつ励起光8を光触媒層4に照射する。励起光照射装置9の構成は、基板2に対する位置が異なる点を除き、第1構成例と同様である。
【0066】
本構成例の基板ステージ24は、基板2を、基板2の他方面側から支持するものである点で、第2構成例の基板ステージ22と同じであるが、励起光8を透過させる材料からなる必要がない点で、第2構成例の基板ステージ22とは異なる。
【0067】
本構成例の基板ステージ24は、第2構成例と同様に、基板2に対するレーザ光1の入射方向に交差する方向(図では左右方向)に移動し、この基板ステージ24の移動により、レーザ光1を基板2の面方向に走査することができるが、基板ステージ24の位置を固定し、レーザ光1の照射方向を移動させることにより、レーザ光1を基板2の面方向に走査するようにしてもよい。
【0068】
本構成例のレーザアニール装置10Cを用い、基板ステージ24により他方面を基板ステージ24に向けた状態で基板2を支持し、基板2の一方面側から光触媒層4に励起光8を照射しながら、励起光8が照射された光触媒層4に隣接する半導体膜5に基板2の一方面側からレーザ光1を照射し、レーザ光1を基板2の面方向に走査する。
【0069】
本構成例のレーザアニール装置10Cによれば、第1構成例と同様に、半導体膜5の融点近傍で、半導体膜5と光触媒層4の界面に結晶核を発生させることができ、これにより結晶粒径の揃った多結晶半導体膜5を形成することができる。
また、基板2の一方面側から光触媒層4に励起光8を照射するので、基板ステージ24に特別な工夫を加える必要が無い。
【0070】
なお、第3構成例において、基板ステージ24を、第2構成例のガス浮上装置12及び水平送り装置14に置き換えて、ガス浮上装置12及び水平送り装置14により基板2を移動させてもよい。
【0071】
上記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施形態では非晶質半導体膜としてa−Si膜を対象としたが、他の非晶質半導体膜(例えば非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜)を対象としてもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるレーザアニール方法を説明する図である。
【図2】半導体膜の、レーザ光の照射によって溶融及び固化し結晶化した結晶化領域と、レーザ光が照射されておらず結晶化していない固相領域を模式的に示した図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかるレーザアニール方法を説明する図である。
【図4】第1実施形態のレーザアニール方法を実施するための第1構成例にかかるレーザアニール装置の概略構成を示す図である。
【図5】第1実施形態のレーザアニール方法を実施するための第2構成例にかかるレーザアニール装置の概略構成を示す図である。
【図6】第2実施形態のレーザアニール方法を実施するための第3構成例にかかるレーザアニール装置の概略構成を示す図である。
【図7】従来のa−Si膜付きガラス基板の断面構造を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 レーザ光
2 基板
3 バリア層
4 光触媒層
5 半導体膜
6,7 半導体膜付き基板
8 励起光
9 励起光照射装置
10A,10B,10C レーザアニール装置
12 ガス浮上装置
12a 第1ステージ
12b 第2ステージ
14 水平送り装置
16 レーザ照射装置
17 レーザ発振器
18 ビームホモジナイザ
19 ミラー
20 投影レンズ
22,24 基板ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射して前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール方法であって、
前記基板の一方面側に光触媒層を形成し、該光触媒層の上に直接、前記半導体膜を形成し、
前記光触媒層に吸収される波長をもつ励起光を前記光触媒層に照射しながら、前記半導体膜にレーザ光を照射して、前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させる、ことを特徴とするレーザアニール方法。
【請求項2】
前記光触媒層の吸収端波長は前記基板の吸収端波長より長く、前記基板は前記励起光を透過させる材料からなり、
前記基板の他方面側から、前記基板を通して前記光触媒層に前記励起光を照射する、請求項1記載のレーザアニール方法。
【請求項3】
前記基板の一方面を上側に向けた状態で、所定の隙間を挟んで水平方向に並べた第1ステージと第2ステージの上面からガスを吹き出して前記基板を浮上させるとともに、浮上した前記基板を前記隙間を跨いで第1ステージと第2ステージの一方から他方に向って水平方向に搬送し、
該基板の搬送と並行して、前記隙間及び前記基板を通して前記基板の下面側から、前記光触媒層に前記励起光を照射しながら、前記基板の上面側から前記隙間に向って、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射する、請求項2記載のレーザアニール方法。
【請求項4】
前記励起光を透過させる材料からなる基板ステージにより前記他方面を該基板ステージに向けた状態で前記基板を支持し、
前記基板ステージ及び前記基板を通して前記基板の他方面側から前記光触媒層に前記励起光を照射しながら、前記基板の一方面側から、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射し、該レーザ光を前記基板の面方向に走査する、請求項2記載のレーザアニール方法。
【請求項5】
基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射して前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール方法であって、
前記基板の一方面側に前記半導体膜を形成し、該半導体膜の上に直接、光触媒層を形成し、
前記光触媒層が吸収する波長をもつ励起光を前記光触媒層に照射しながら、前記半導体膜にレーザ光を照射して、前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させる、ことを特徴とするレーザアニール方法。
【請求項6】
前記光触媒層は前記レーザ光を透過させる材料からなり、
基板ステージにより前記他方面を該基板ステージに向けた状態で前記基板を支持し、
前記基板の一方面側から前記光触媒層に前記励起光を照射しながら、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜に前記基板の一方面側からレーザ光を照射し、該レーザ光を前記基板の面方向に走査する、請求項5記載のレーザアニール方法。
【請求項7】
前記光触媒層は、TiO、ZnO、MgO、SnO、SrTiO、WO、Bi又はFeからなる、請求項1乃至6のいずれか記載のレーザアニール方法。
【請求項8】
基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射して前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール装置であって、
処理対象となる前記基板は、一方面側に光触媒層が形成され、該光触媒層の上に直接、前記半導体膜が形成され、前記光触媒層の吸収端波長が当該基板の吸収端波長より長い、ものであり、
所定の隙間を挟んで水平方向に並べた第1ステージと第2ステージとを有し該第1ステージと第2ステージの上面からガスを吹き出して前記一方面を上側に向けた前記基板を浮上させるガス浮上装置と、
該ガス浮上装置により浮上した前記基板を、前記隙間を跨いで第1ステージと第2ステージの一方から他方に向って水平方向に送る水平送り装置と、
前記基板の上面側から前記隙間に向って、前記半導体膜にレーザ光を照射するレーザ照射装置と、
前記光触媒層に吸収される波長をもつ励起光を前記光触媒層に照射する励起光照射装置と、を備え、
前記基板は前記励起光を透過させる材料からなり、前記励起光照射装置は、前記基板の下面側から前記隙間及び前記基板を通して前記光触媒層に前記励起光を照射し、前記レーザ照射装置は、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射する、ことを特徴とするレーザアニール装置。
【請求項9】
レーザ光を基板の面方向に走査して、該基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射し、前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール装置であって、
処理対象となる前記基板は、一方面側に光触媒層が形成され、該光触媒層の上に直接、前記半導体膜が形成され、前記光触媒層の吸収端波長が当該基板の吸収端波長より長い、ものであり、
前記基板を該基板の他方面側から支持する基板ステージと、
前記基板の一方面側から前記半導体膜にレーザ光を照射するレーザ照射装置と、
前記光触媒層に吸収される波長をもつ励起光を前記光触媒層に照射する励起光照射装置と、を備え、
前記基板及び前記基板ステージは、前記励起光を透過させる材料からなり、前記励起光照射装置は、前記基板の他方面側から前記基板ステージ及び前記基板を通して前記光触媒層に前記励起光を照射し、前記レーザ照射装置は、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射する、ことを特徴とするレーザアニール装置。
【請求項10】
レーザ光を基板の面方向に走査して、該基板の一方面側に形成された半導体膜にレーザ光を照射し、前記半導体膜を溶融及び固化させることにより結晶化させるレーザアニール装置であって、
処理対象となる前記基板は、一方面側に半導体膜が形成され、該半導体膜の上に直接、光触媒層が形成され、該光触媒層が前記レーザ光を透過させる材料からなる、ものであり、
前記基板を該基板の他方面側から支持する基板ステージと、
前記基板の一方面側から前記半導体膜にレーザ光を照射するレーザ照射装置と、
前記基板の一方面側から前記光触媒層に前記励起光を照射する励起光照射装置と、を備え、
前記レーザ照射装置は、前記励起光が照射された光触媒層に隣接する前記半導体膜にレーザ光を照射する、ことを特徴とするレーザアニール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−300514(P2008−300514A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143411(P2007−143411)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】