説明

レーザクラッドバルブシート形成方法及びレーザクラッドバルブシート形成装置

【課題】レーザビームを走査することなく肉盛り可能なエネルギー密度としたリング形状ビームにて肉盛りを実現して肉盛り加工部の品質を高める。
【解決手段】シリンダーヘッドのバルブシート形成部位に形成されたリング形状凹溝に、リング状の金属材料である金属粉末リング体15を配置した後、この金属粉末リング体にレーザビームhvを照射して溶融固化させることによりバルブシートを形成する。レーザビームhvを、バルブシートの直径と近似した径且つバルブシートのリング幅よりも小さい幅のリング形状ビームとして、このリング形状ビームを前記金属粉末リング体全域に亘り偏芯照射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザクラッドバルブシート形成方法及びレーザクラッドバルブシート形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車エンジンでは、バルブシートとして従来のシートリングを打ち込む方式に変えてバルブシート合金をシリンダーヘッドへ直接肉盛りする方式(レーザクラッド加工)が採用され初めている。このように、バルブシート合金をシリンダーヘッドに直接肉盛りすれば、シートリングの打ち込み方式に比べて熱伝導性を大幅に向上させることができ、冷却性能を高めることができる。
【0003】
レーザクラッド加工は、シリンダーヘッドのバルブシート形成部位に金属粉末(肉盛り材料)を供給しながら、若しくは、予めバルブシート形状に押し固めたリング形状の金属粉末をバルブシート形成部位に配置してその金属粉末に対してレーザビームを照射して溶融固化させて肉盛る技術である(例えば、特許文献1など参照)。その中でも、内燃機関用シリンダヘッドのバルブシート部に対してレーザクラッド加工を行い、リング形状のバルブシートを形成する手法をレーザクラッドバルブシート加工という。
【0004】
金属粉末を供給しながらレーザビームを照射して肉盛るためには、シリンダーヘッドとレーザビームを円周方向に相対的に回転させる必要があることから、加工開始部と加工終端部をオーバーラップさせる必要があり、オーバーラップ部の品質の安定化が難しい。
【0005】
この一方、予めバルブシート形状に押し固めた金属粉末にレーザビームを照射して肉盛を行う場合、レーザを走査させずにリング形状としたレーザビームのビーム幅をバルブシート幅と同等にして照射した場合、エネルギー密度が小さくなり、肉盛り加工が困難になる。
【0006】
そこで、レーザエネルギー密度を肉盛り加工可能な値にしながらリングビーム幅を肉盛り幅と同等にする方法として、レーザ発振器の出力を増加させることが考えられる。しかし、現在市販されているレーザ発振器の出力値には上限があるため、リングビーム幅を肉盛り幅へ到達させることができない。
【0007】
リングビーム幅を肉盛り幅に増加させる別の手段として、リング形状を分割した円弧形状を複数のレーザ発振器により形成し、それらを合わせてリング形状とする手法がある(例えば、特許文献2など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−21908号公報
【特許文献2】特開2002−066779号公報
【特許文献3】特開2003−251480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、リング形状を分割した円弧形状を複数のレーザ発振器により形成する方法では、複数のレーザ発振器が必要となり、設備費が高くなる。
【0010】
そこで、本発明は、レーザビームを走査することなく肉盛り可能なエネルギー密度としたリング形状ビームにて肉盛りを実現して肉盛り加工部の品質を高めることができ且つ設備費も抑えることのできるレーザクラッドバルブシート形成方法及びレーザクラッドバルブシート形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のレーザクラッドバルブシート形成方法では、レーザビームを、バルブシートの直径と近似した径且つバルブシートのリング幅よりも小さい幅のリング形状ビームとして、このリング形状ビームをリング状の金属材料全域に亘り偏芯照射させる。
【0012】
本発明のレーザクラッドバルブシート形成装置は、レーザ発振器から照射される円形状のレーザビームを、バルブシートの直径と近似した径且つバルブシートのリング幅よりも小さい幅のリング形状ビームとするビーム形状変更ミラーと、レーザビームをリング状の金属材料全域に亘り偏芯照射させる偏芯回転機構を持つビーム照射ミラーと、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレーザクラッドバルブシート形成方法によれば、リング形状ビーム幅をバルブシート幅と同等にする必要がないため、レーザ出力を高出力としてエネルギー密度を高める必要がなく、肉盛り可能なエネルギー密度で充分に肉盛り加工することができる。また、レーザビームを円周上に走査する必要もないため、加工開始部と加工終了部をオーバーラップさせたオーバーラップ部の空孔や割れの心配もない。したがって、本発明方法によれば、肉盛り加工部の品質の高いレーザクラッドバルブシートを形成することができる。
【0014】
本発明のレーザクラッドバルブシート形成装置によれば、ビーム形状変更ミラーでバルブシートの直径と近似した径且つバルブシートのリング幅よりも小さい幅のリング形状ビームとしたレーザビームを、偏芯回転機構を持つビーム照射ミラーでリング状の金属材料全域に亘り偏芯照射させるので、レーザビームを円周上に走査するためのシリンダヘッド回転機構を無くすことができ、装置構成を大幅に簡素化且つ低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はレーザクラッドバルブシート形成装置を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示すレーザクラッドバルブシート形成装置の光学系機構部の概略構成図である。
【図3】図3は図1に示したシリンダーヘッドのバルブシート形成部位に形成されたリング形状凹溝に金属粉末リング体を配置する前の状態を示す要部拡大斜視図である。
【図4】図4は金属粉末リング体に照射するレーザビームをリング形状ビームとしたときのビーム径及びビーム幅の前記金属粉末リング体に対する相対的な寸法関係を示す図である。
【図5】図5はレーザビームを金属粉末リング体全域に亘り偏芯回転照射した時の図である。
【図6】図6は偏芯回転機構により回転されるビーム照射ミラーの斜視図である。
【図7】ビーム照射ミラーの照射方向を変更して、先にレーザクラッド加工した隣のバルブシート形成部位に配置される金属粉末リング体をレーザクラッド加工する時の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
「レーザクラッドバルブシート形成装置の構成説明」
先ず、レーザクラッドバルブシート形成装置の構成について説明する。図1はレーザクラッドバルブシート形成装置を示す斜視図、図2は図1に示すレーザクラッドバルブシート形成装置の光学系機構部の概略構成図、図3は図1に示したシリンダーヘッドのバルブシート形成部位に形成されたリング形状凹溝に金属粉末リング体を配置する前の状態を示す要部拡大斜視図、図4は金属粉末リング体に照射するレーザビームをリング形状ビームとしたときのビーム径及びビーム幅の前記金属粉末リング体に対する相対的な寸法関係を示す図、図5はレーザビームを金属粉末リング体全域に亘り偏芯回転照射した時の図、図6は偏芯回転機構により回転されるビーム照射ミラーの斜視図である。
【0018】
レーザクラッドバルブシート形成装置は、図1に示すように、例えば自動車用内燃機関エンジンなどのシリンダーヘッド1のバルブシート形成部位2にレーザビームhvを照射するレーザ照射装置3を備えている。
【0019】
レーザ照射装置3は、レーザ発振器4と、このレーザ発振器4により出力されるレーザの強さなどを制御するレーザ発振器制御部5と、NC制御装置6と、レーザを集光してバルブシート形成部位2に照射させる光学系機構部7と、からなる。
【0020】
レーザ発振器4で出力されたレーザビームhvは、レーザ発振器制御部5で制御されて光学系機構部7に供給され、この光学系機構部7でリング形状ビームとされてバルブシート形成部位2に照射される。このレーザクラッドバルブシート形成装置では、レーザ発振器4とレーザ発振器制御部5とNC制御装置6とがそれぞれコンピュータ8によって制御されている。
【0021】
光学系機構部7は、図2に示すように、レーザ発振器4から出力されるレーザビームhvをリング形状ビームとするビーム形状変更ミラー9と、そのリング形状ビームとしたレーザビームhvを肉盛り加工可能なエネルギー密度に増加させる集光レンズ10と、エネルギー密度を増加させたレーザビームhvを偏芯照射させる偏芯回転機構11を持つビーム照射ミラー12と、このビーム照射ミラー12へ集光レンズ10でエネルギー密度を増加させたレーザビームhvを送る全反射ミラー13と、を備えている。
【0022】
ビーム形状変更ミラー9は、レーザ発振器4から出力された、若しくは、その後コリメーションレンズ(図示は省略)を通過した円形状のレーザビームhvを、リング形状ビームに変更する。本実施形態では、図3に示すように、バルブシート形成部位2に形成されたリング形状凹溝14に、予めバルブシート形状に押し固めた銅合金からなるリング状の金属材料である金属粉末リング体15を配置した後、レーザビームhvをバルブシート形成部位2の円周上に沿って走査することなくリング形状ビームとしたレーザビームhvを照射する。
【0023】
この時、レーザビームhvは、図4に示すように、バルブシート(ここでは金属粉末リング体15に相当)の径に近似した径且つバルブシートのリング幅W1よりも小さい幅W2のリング形状ビームとする。例えば、金属粉末リング体15の内径をφ1とし、外径をφ2として、リング形状ビームの中心径(ビーム幅W2の中心位置の直径)をφ3とした時に、φ1<φ3<φ2なる関係とする。具体的には、リング形状ビームとしたレーザビームhvの中心径φ3を、金属粉末リング体(バルブシート)15の中心径(リング幅W1の中心位置の直径)とほぼ同じ径とする。また、金属粉末リング体15のリング幅W1を4mmとした時には、リング形状ビームとするレーザビームhvのビーム幅W2を0.5mmとする。これらの数値は一例であり、前記数値に限定されるものではない。
【0024】
集光レンズ10は、ビーム形状変更ミラー9の前方に設けられ、リング形状ビームとされたレーザビームhvのエネルギー密度を肉盛り可能なエネルギー密度に増加させる。金属粉末リング体15に照射するレーザビームhvのビーム幅W2は、金属粉末リング体15のリング幅W1と同一ではないため、同一とする場合に出力されるエネルギー密度よりも低いエネルギー密度で済む。この時のエネルギー密度としては、金属粉末リング体15を溶融することのできる、つまり肉盛り加工可能なエネルギー密度とする。
【0025】
全反射ミラー13は、集光レンズ10の前方に設けられている。この全反射ミラー13は、集光レンズ10でエネルギー密度を増加させたレーザビームhvをビーム照射ミラー12へと送る機能をする。
【0026】
ビーム照射ミラー12は、エネルギー密度を増加させたリング形状ビームとしたレーザビームhvを、リング形状凹溝14内に配置した金属粉末リング体15に照射させる。このビーム照射ミラー12は、偏芯回転機構11によって前記金属粉末リング体15に対し偏芯回転してレーザビームhvを照射する。
【0027】
このビーム照射ミラー12には、図6に示すように、一端16Aを同一点に集結させ、他端16Bをビーム照射ミラー12の円周部位を約3等分とする周縁近傍部位にそれぞれ固定させた3本の支持部材16が取り付けられている。これら3本の支持部材16は、全体形状が円錐形とされている。そして、3本の支持部材16の一端16Aが集結する部位からビーム照射ミラー12に対して垂線Hを引いた時の該ビーム照射ミラー12との交点17を、該ビーム照射ミラー12の中心点18に対して偏芯させている。前記垂線Hを、前記ビーム照射ミラー12の旋回中心線とする。
【0028】
偏芯回転機構11は、ビーム照射ミラー12の背面若しくは側面に設置した3個以上のシリンダ等からなるミラー駆動手段を有している。ビーム照射ミラー12は、背面若しくは側面に設置された複数個のシリンダを駆動することにより、そのミラーの向きを変えることができるようになっている。本実施形態では、図4で示したリング形状ビームによるレーザビームhvを、図5に示す如く、そのビーム中心を金属粉末リング体15の中心Oに対して一致させるのではなく中心位置をずらして偏芯させて前記金属粉末リング体15全域に亘り照射する。
【0029】
具体的には、ビーム照射ミラー12を、前記旋回中心線(前記した垂線H)を中心としてミラーの傾きを前後左右にその傾き角度に変化を付けて(ミラー傾き角度を任意の角度に変える)ミラー駆動手段にて動かすようにする。このようにビーム照射ミラー12を、金属粉末リング体15の中心O位置に対してそのミラー中心点18を一致させずに偏芯させた位置で旋回(ミラーの傾きを変えることでリング形状ビームを旋回)させる。この時、金属粉末リング体15のほぼ全体がリング形状ビームによるレーザビームhvで照射されるように、それぞれ照射したレーザビームhvの一部が重なるようにして前記ビーム照射ミラー12を旋回させる。また、偏芯回転機構11は、金属粉末リング体15の幅W1の範囲内(金属粉末リング体15の内径と外径の間の範囲内)にリング形状ビームの照射範囲が収まるようにビーム照射ミラー12を偏芯回転させる。
【0030】
「レーザクラッドバルブシート形成方法の説明」
次に、レーザクラッドバルブシート形成方法について説明する。先ず、図3に示すように、鋳造されたシリンダーヘッド1のバルブシート形成部位2に形成されたリング形状凹溝14に、予めバルブシート形状に押し固めた金属粉末リング体15を配置する。図3では、1気筒当たり吸気用と排気用のバルブを2本としたエンジン構造としているため、1気筒当たり4つのレーザクラッドバルブシートを形成する。
【0031】
次に、レーザ発振器4を駆動してレーザビームhvを光学系機構部7に出力する。レーザビームhvの出力は、レーザ発振器制御部5によりその強さが制御される。出力されたレーザビームhvは、ビーム形状変更ミラー9によって円形状からリング形状ビームに変更される。また、リング形状ビームとされたレーザビームhvは、図4に示すように、バルブシート(金属粉末リング体15)の径に近似した径且つバルブシート(金属粉末リング体15)のリング幅W1よりも小さい幅W2のリング形状ビームとする。
【0032】
そして、ビーム形状変更ミラー9によりリング形状ビームとされたレーザビームhvは、このビーム形状変更ミラー9の前方に配置された集光レンズ10により肉盛り可能なエネルギー密度に増加される。
【0033】
次に、集光レンズ10でエネルギー密度が増加されたレーザビームhvは、この集光レンズ10の前方に配置された全反射ミラー13によってビーム照射ミラー12へと送られる。そして、このビーム照射ミラー12は、エネルギー密度を増加させたリング形状ビームとしたレーザビームhvを、前記したように偏芯回転機構11によって前記金属粉末リング体15に対して偏芯回転させて照射する。この時、金属粉末リング体15に照射されたレーザビームhvの跡(照射跡)が、図5に示すように、互いに交差するよう重ねて照射されるようにする。金属粉末リング体15の全体がレーザビームhvにより照射し終えたら、レーザ発振器4の駆動を停止し、レーザビームhvの照射を終了する。このレーザビームhvの照射により金属粉末リング体15は、溶融されることになる。その後、自然冷却することで溶融した金属粉末リング体15は、固化されてクラッド層、つまりレーザクラッドバルブシートとなる。
【0034】
一つ目のレーザクラッドバルブシートが形成されたら、今度は、図7の実線位置から点線で示す位置にビーム照射ミラー12の照射方向を変更して、先にレーザクラッド加工した隣のバルブシート形成部位2に配置される金属粉末リング体15をレーザクラッド加工する。この工程を繰り返すことで、シリンダーヘッド1に形成される全てのバルブシート形成部位2に配置された金属粉末リング体15にレーザビームhvを照射してレーザクラッドバルブシートを形成する。
【0035】
「実施形態の効果」
本実施形態のレーザクラッドバルブシート形成方法では、矩形状ビームとしたレーザビームをバルブシート形成部位に対して円周方向に走査するのではなく、リング形状ビームとしたレーザビームhvを金属粉末リング体15全域に亘り、該金属粉末リング体15の中心に対してビーム中心を偏芯させて旋回させる如く照射するため、加工開始部と加工終了部をオーバーラップさせることによりオーバーラップ部に発生する空孔や割れを無くすことができる。その結果、本発明方法によれば、品質の高いレーザクラッドバルブシートを得ることができ、歩留まりの向上も図れる。
【0036】
また、本実施形態のレーザクラッドバルブシート形成方法では、リング形状ビーム幅をバルブシート幅と同等にする必要がないため、レーザ出力を高出力としてエネルギー密度を高める必要がなく、肉盛り可能なエネルギー密度で充分に肉盛り加工することができる。その結果、単一のレーザ発振器4でレーザクラッドバルブシート加工を行うことができ、複数のレーザ発振器4を用いる手法と比較して設備費用を大幅に安くすることができる。
【0037】
一方、本実施形態のレーザクラッドバルブシート形成装置では、ビーム形状変更ミラー12でバルブシートの直径と近似した径且つバルブシートのリング幅W1よりも小さい幅W2のリング形状ビームとしたレーザビームhvを、偏芯回転機構11を持つビーム照射ミラー12で金属粉末リング体15全域に亘り偏芯照射させるので、シリンダーヘッド1を回転させることなくレーザクラッド加工することができ、これにより複雑なシリンダーヘッド回転機構を無くすことができ、設備の簡素化並びに設備費用の削減を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態の装置によれば、シリンダーヘッド1自体を回転させる必要がないため、光学系機構部7を複数設けることで多バルブの同時加工が可能になり、シリンダーヘッドの1台当たりの加工時間を大幅に短縮することができる。
【0039】
また、本実施形態のレーザクラッドバルブシート形成装置では、偏芯回転機構11を持つビーム照射ミラー12を、同一径のバルブシート形成部位2が集まる部位の上部に配置し、そのビーム照射ミラー12の傾きを変更して各バルブシート形成部位を順次加工するため、装置全体をバルブシート形成部位毎に移動させるような面倒な機構が不要となる。
【0040】
また、本実施形態のレーザクラッドバルブシート形成装置では、金属粉末リング体15の幅W1の範囲内にリング形状ビームの照射範囲が収まるようにビーム照射ミラー12を偏芯回転させるので、無駄なレーザビームhvの照射を省くことができ、バルブシート加工時間を短縮することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、バルブシート合金をシリンダーヘッドへ直接肉盛りする技術に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…シリンダーヘッド
2…バルブシート部位
3…レーザ照射装置
4…レーザ発振器
5…レーザ発振器制御部
7…光学系機構部
9…ビーム形状変更ミラー
10…集光レンズ
11…偏芯回転機構
12…ビーム照射ミラー
13…全反射ミラー
14…リング形状凹溝
15…金属粉末リング体(リング状の金属材料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーヘッドのバルブシート形成部位に形成されたリング形状凹溝に、リング状の金属材料を配置した後、この金属材料にレーザビームを照射して溶融固化させることによりバルブシートを形成するレーザクラッドバルブシート形成方法において、
前記レーザビームを、前記バルブシートの直径と近似した径且つ前記バルブシートのリング幅よりも小さい幅のリング形状ビームとして、このリング形状ビームを前記金属材料全域に亘り偏芯照射させる
ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成方法。
【請求項2】
シリンダーヘッドのバルブシート形成部位に形成されたリング形状凹溝に、リング状の金属材料を配置した後、この金属材料にレーザビームを照射して溶融固化させることによりバルブシートを形成するレーザクラッドバルブシート形成装置において、
レーザ発振器から出力される円形状のレーザビームを、前記バルブシートの直径と近似した径且つ前記バルブシートのリング幅よりも小さい幅のリング形状ビームとするビーム形状変更ミラーと、
前記レーザビームを前記金属材料全域に亘り偏芯照射させる偏芯回転機構を持つビーム照射ミラーと、
からなることを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザクラッドバルブシート形成装置であって、
前記偏芯回転機構を持つビーム照射ミラーを、同一径のバルブシート形成部位が集まる部位の上部に配置し、該ビーム照射ミラーの傾きを変更して各バルブシー形成部位を順次加工する
ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のレーザクラッドバルブシート形成装置であって、
前記偏芯回転機構は、前記リング状の金属材料の幅の範囲内に前記リング形状ビームの照射範囲が収まるように前記ビーム照射ミラーを偏芯回転させる
ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−207830(P2010−207830A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53891(P2009−53891)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】