説明

レーザシステムおよびレーザ生成方法

【課題】安定したレーザ光を得る。
【解決手段】レーザシステムは、パルスレーザ光を出力するマスタオシレータと、前記マスタオシレータから出力されたパルスレーザ光のコヒーレンスを低下させる低コヒーレンス化光学システムと、前記パルスレーザ光のスペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御するコントローラと、を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザシステムおよびレーザ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体リソグラフィプロセスに使用される典型的な紫外線光源エキシマレーザは、波長がおよそ248nmのKrFエキシマレーザと波長がおよそ193nmのArFエキシマレーザである。
【0003】
そうしたArFエキシマレーザの殆どは発振段レーザと増幅段を含む2ステージレーザシステムとして市場に供給されている。2ステージのArFエキシマレーザシステムの発振段レーザと増幅段の共通する主要な構成を説明する。発振段レーザは第1チャンバを有し、増幅段は第2チャンバを有する。それらの第1、第2チャンバ内にレーザガス(F、Ar、Ne、Xeの混合ガス)が封入されている。発振段レーザと増幅段はまた、前記レーザガスを励起するために電気エネルギーを供給する電源を有する。発振段レーザと増幅段とはそれぞれ電源を有することができるが、1台の電源を共有することもできる。前記第1チャンバ内には、それぞれが前記電源に接続された第1アノードと第1カソードとを含む第1放電電極が設置され、前記第2チャンバ内にも同様にそれぞれが前記電源に接続された第2アノードと第2カソードとを含む第2放電電極が設置されている。
【0004】
発振段レーザ特有の構成は、例えば狭帯域モジュールである。狭帯域モジュールは典型的にはひとつのグレーティングと少なくともひとつのプリズムビームエキスパンダとを含む。半透過ミラーと前記グレーティングとが光共振器を構成し、これらの半透過ミラーとグレーティングとの間に発振段レーザの前記第1チャンバが設置されている。
【0005】
前記第1放電電極の第1アノードと第1カソードとの間に放電が発生されると前記レーザガスが励起されて、その励起エネルギーを放出する際に光が発生する。その光が前記狭帯域モジュールによって波長選択されたレーザ光となって発振段レーザから出力される。
【0006】
増幅段が共振器構造を含むレーザである場合の2ステージレーザシステムをMOPOと言い、増幅段が共振器構造を含まずレーザではない場合の2ステージレーザシステムをMOPAと言う。前記発振段レーザからのレーザ光が前記増幅段の第2チャンバ内に存在するときに、前記第2放電電極の第2アノードと第2カソードとの間に放電を発生させる制御が行なわれる。これにより前記第2チャンバ内のレーザガスが励起されて、前記レーザ光が増幅されて増幅段から出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009−67468号明細書
【概要】
【0008】
本開示の一態様によるレーザシステムは、パルスレーザ光を出力するマスタオシレータと、前記マスタオシレータから出力されたパルスレーザ光のコヒーレンスを低下させる低コヒーレンス化光学システムと、前記パルスレーザ光のスペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御するコントローラと、を備えてもよい。
【0009】
本開示の他の態様によるレーザ生成方法は、パルスレーザ光を出力するマスタオシレータと、前記マスタオシレータから出力されたパルスレーザ光のコヒーレンスを低下させる低コヒーレンス化光学システムと、を備える装置のレーザ生成方法であって、前記パルスレーザ光のスペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図1】図1は、本開示の実施の形態1による波長変換素子を有する固体レーザ装置およびそれを用いた2ステージレーザ装置の一例の概略構成を示す。
【図2】図2は、本開示の実施の形態2の第1例による低コヒーレンス化光学システムの概略構成を示す。
【図3】図3は、図2のランダム位相板を示す。
【図4】図4は、図3のランダム位相板の一例を示す。
【図5】図5は、実施の形態2の第2例による低コヒーレンス化光学システムの概略構成を示す。
【図6】図6は、図5のランダム位相板およびウェッジ基板を示す。
【図7】図7は、実施の形態2の第3例による低コヒーレンス化光学システムの概略構成を示す。
【図8】図8は、実施の形態2の第4例による低コヒーレンス化光学システムの概略構成を示す。
【図9】図9は、図8のランダム位相板および平行平面基板を示す。
【図10】図10は、実施の形態2の第5例による低コヒーレンス化光学システムの概略構成を示す。
【図11】図11は、本開示の実施の形態3によるレーザシステムの概略構成を示す。
【図12】図12は、実施の形態3によるレーザシステム全体の概略動作を示す。
【図13】図13は、制御量として所定の制御量を用いる場合の図12のステップS101に示すパラメータ初期設定ルーチンの概略動作を示す。
【図14】図14は、図12のステップS103によってコントローラが開始する動作を示す。
【図15】図15は、図12のステップS104によってレーザコントローラが開始する動作を示す。
【図16】図16は、実施の形態2の第1例を採用した実施の形態3において制御量として所定の制御量を用いる場合に図12のステップS105によってレーザコントローラが開始する動作を示す。
【図17】図17は、実施の形態2の第2例を採用した実施の形態3において制御量として所定の制御量を用いる場合に図12のステップS105によってレーザコントローラが開始する動作を示す。
【図18】図18は、実施の形態2の第4例を採用した実施の形態3において制御量として所定の制御量を用いる場合に図12のステップS105によってレーザコントローラが開始する動作を示す。
【図19】図19は、制御量としてランダムな制御量を用いる場合の図12のステップS101に示すパラメータ初期設定ルーチンの概略動作を示す。
【図20】図20は、実施の形態2の第1例を採用した実施の形態3において制御量としてランダムな制御量を用いる場合に図12のステップS105によってレーザコントローラが開始する動作を示す。
【図21】図21は、実施の形態2の第2例を採用した実施の形態3において制御量としてランダムな制御量を用いる場合に図12のステップS105によってレーザコントローラが開始する動作を示す。
【図22】図22は、実施の形態2の第4例を採用した実施の形態3において制御量としてランダムな制御量を用いる場合に図12のステップS105によってレーザコントローラが開始する動作を示す。
【実施の形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示の一例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。なお、以下の説明では、下記目次の流れに沿って説明する。
【0012】
目次
1.概要
2.用語の説明
3.波長変換装置を有するマスタオシレータを用いたArF増幅器のレーザシステム(実施の形態1)
3.1 構成
3.2 動作
4.ランダム位相板を含む低コヒーレンス化光学システム(実施の形態2)
4.1 ランダム位相板の回転装置(第1例)
4.1.1 ランダム位相板
4.2 ランダム位相板とレーザビーム角度制御機構との組合せ
4.2.1 レーザビーム角度制御機構としてウェッジ基板を用いた場合(第2例)
4.2.2 レーザビーム角度制御機構として高反射ミラーを用いた場合(第3例)
4.3 ランダム位相板とレーザビーム平行移動機構との組合せ
4.3.1 レーザビーム平行移動機構として平行平面基板を用いた場合(第4例)
4.3.2 レーザビーム平行移動機構として高反射ミラーを用いた場合(第5例)
5.低コヒーレンス化光学システムを含むマスタオシレータとArF増幅器とを組合せたレーザシステム(実施の形態3)
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用
5.4 フローチャート
5.4.1 所定の制御量を用いる場合
5.4.1.1 第1例のフローチャート
5.4.1.2 第2例のフローチャート
5.4.1.3 第4例のフローチャート
5.4.2 ランダムな制御量を用いる場合
5.4.2.1 第1例のフローチャート
5.4.2.2 第2例のフローチャート
5.4.2.3 第4例のフローチャート
【0013】
1.概要
以下で例示する実施の形態では、マスタオシレータ(MO)とパワーオシレータ(PO)との間、または、マスタオシレータ(MO)とパワー増幅器(PA)との間の光路上に、低コヒーレンス化光学システムを配置してもよい。低コヒーレンス化光学システムは、パルスレーザ光のスペックルをパルス毎に移動させるように、制御されてもよい。
【0014】
2.用語の説明
KBBF結晶とは、化学式KBeBOで表される非線形光学結晶であり、波長変換素子である。バースト発振とは、所定の期間に、所定の繰返し周波数で、パルスレーザ光を出力することである。光路とは、レーザ光が伝搬する経路のことである。
【0015】
3.波長変換装置を有するマスタオシレータを用いたArF増幅器のレーザシステム(実施の形態1)
3.1 構成
図1に本開示の実施の形態1による2ステージレーザ装置の一例の概略構成を示す。
2ステージレーザ装置(以下、レーザシステムという)1は、マスタオシレータ2と、増幅装置3とを含んでもよい。マスタオシレータ2は、たとえば波長変換素子を有してもよい。増幅装置3は、たとえば放電励起式ArFエキシマ増幅器であってよい。前記マスタオシレータ2と前記増幅装置3との間には、低コヒーレンス化光学システム4が設置されてもよい。低コヒーレンス化光学システム4としては、光学パルスストレッチャーやランダム位相板等のシステムを使用してよい。
【0016】
次に、マスタオシレータ2について説明する。マスタオシレータ2は、ポンピングレーザ5と、Ti:サファイアレーザ6と、増幅器7と、ビームスプリッタ81と、高反射ミラー82と、LBO結晶9と、KBBF結晶10と、高反射ミラー11とを含んでもよい。
【0017】
ポンピングレーザ5は、たとえば半導体レーザ励起Nd:YAGレーザの第2高調波光を発振するレーザであってもよい。Ti:サファイアレーザ6は、Ti:サファイア結晶と光共振器を含んでもよい。増幅器7は、Ti:サファイア結晶を含む増幅器であってよい。
【0018】
次いで、増幅装置3について説明する。増幅装置3は、チャンバ20と、一対の放電電極(アノード21およびカソード22)と、出力結合ミラー14と、高反射ミラー15、16、および17とを含んでもよい。チャンバ20内には、レーザガスが封入されていてもよい。このレーザガスは、Ar、Ne、F、およびXeの混合ガスでもよい。アノード21およびカソード22は、チャンバ20内に設置されてもよい。アノード21およびカソード22は、図1の紙面に沿った方向に間隔を開けて配置してもよい。アノード21およびカソード22は、図1の紙面に対して垂直方向に配列していてもよい。アノード21およびカソード22の間は、放電空間23であってよい。チャンバ20には、パルスレーザ光32を透過するウィンドウ18および19が取り付けてあってもよい。また、図示を省略した電源がチャンバ20の外に設置されていてもよい。
【0019】
前記出力結合ミラー14と高反射ミラー15、16、および17とは、リング光共振器を構成していてもよい。出力結合ミラー14は、一部の光を透過し、一部の光を反射する素子であってもよい。
【0020】
3.2 動作
マスタオシレータ2は、波長がおよそ193nmのパルスレーザ光31を出力してもよい。低コヒーレンス化光学システム4は、前記パルスレーザ光31のコヒーレンシーを低下させてもよい。増幅装置3は、コヒーレンシーの低下したパルスレーザ光32を増幅してパルスレーザ光33として出力してもよい。パルスレーザ光33は、例えば図示していない半導体露光機へ送られて、露光処理に使用されてもよい。
【0021】
ポンピングレーザ5からは、波長がおよそ532nmの励起光(ポンピング光ともいう)51が出力されてもよい。励起光51の一部は、ビームスプリッタ81を透過してもよい。励起光51の他の一部はビームスプリッタ81で反射してもよい。ビームスプリッタ81を透過した励起光51は、Ti:サファイアレーザ6を励起してもよい。励起されたレーザ6からは、波長がおよそ773.6nmのパルスレーザ光が出力されてもよい。ここで、Ti:サファイアレーザ6は、図示しない波長選択素子を備える光共振器を含んでもよい。このTi:サファイアレーザ6からは、波長選択素子によって狭帯域化されたスペクトル幅のパルスレーザ光が出力されてもよい。
【0022】
ポンピングレーザ5から出力された励起光51のうち、ビームスプリッタ81で反射した励起光51は、さらに高反射ミラー82で反射されてもよい。この反射した励起光51は、Ti:サファイアの増幅器7に入射し、これが備えるTi:サファイア結晶を励起してもよい。増幅器7はその励起エネルギーによってTi:サファイアレーザ6から出力されたパルスレーザ光を増幅してもよい。この結果、増幅器7からは、波長がおよそ773.6nmのパルスレーザ光が出力されてもよい。
【0023】
Ti:サファイアの増幅器7から出力されたパルスレーザ光は、波長変換素子であるLBO結晶9を透過することで、波長がおよそ386.8nm(前記773.6nmの1/2)のパルスレーザ光へ変換されてもよい。波長変換後のパルスレーザ光は、波長変換素子であるKBBF結晶10を透過することで、波長がおよそ193.4nm(前記386.8nmの1/2)のパルスレーザ光31へさらに変換されてもよい。
【0024】
KBBF結晶10を透過後のパルスレーザ光31は、反射ミラー11によって進行方向を変えられて、低コヒーレンス化光学システム4に入射してもよい。パルスレーザ光31のコヒーレンスは、低コヒーレンス化光学システム4を透過することによって低下してもよい。そのコヒーレンスが低下したパルスレーザ光32は増幅装置3に入射してもよい。
【0025】
チャンバ20内のアノード21とカソード22に電気的に接続された電源は、アノード21およびカソード22間に電位差を加えてもよい。これにより、増幅装置3の放電空間23にパルスレーザ光32が通過するタイミングで、アノード21およびカソード22間で放電が発生してもよい。
【0026】
低コヒーレンス化光学システム4を出射したパルスレーザ光32の一部は、出力結合ミラー14を透過して、高反射ミラー15を反射してもよい。このパルスレーザ光32は、ウィンドウ18を透過して、前記アノード21と前記カソード22との間の放電空間23へ進行してもよい。パルスレーザ光32が前記放電空間23内に存在するときに前記放電空間23に放電を生じさせる制御が行われることによって、そのパルスレーザ光32が増幅されてもよい。増幅されたパルスレーザ光32は、ウィンドウ19を介してチャンバ20から出射してもよい。出射したパルスレーザ光32は、高反射ミラー16および17を高反射して、再びウィンドウ19を介して、チャンバ20内の放電空間23へ進行してもよい。そして、このパルスレーザ光32は、今度はウィンドウ18を介してチャンバ20から出射してもよい。出射したパルスレーザ光32は、出力結合ミラー14に入射してもよい。このパルスレーザ光32の一部は、出力結合ミラー14を透過して、パルスレーザ光33として増幅装置3から出射してもよい。パルスレーザ光32の他の一部は、出力結合ミラー14で反射することで、フィードバック光として、再びリング光共振器中に戻されてもよい。
【0027】
本説明では、増幅装置3がリング光共振器を含む場合を例示したが、この例に限定されるものではない。たとえば、増幅装置3は、増幅器に光共振器が配置されたファブリーペロー型共振器を含んでもよい。
【0028】
4.ランダム位相板を含む低コヒーレンス化光学システム(実施の形態2)
つぎに、上述した低コヒーレンス化光学システム4の具体例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、低コヒーレンス化光学システム4、および、以下で例示する低コヒーレンス化光学システム4A〜4Eは、マスタオシレータ2または2Aに含まれていてもよい。
【0029】
4.1 ランダム位相板の回転装置(第1例)
図2は、実施の形態2の第1例による低コヒーレンス化光学システム4Aの概略構成を示す。図3は、図2のランダム位相板410を示す。
【0030】
図2に示すように、低コヒーレンス化光学システム4Aは、ランダム位相板410と、基板ホルダ412と、支持部414と、モータ416と、モータドライバ418と、を備えてもよい。ランダム位相板410、基板ホルダ412、支持部414、モータ416、およびモータドライバ418は、チャンバ401内に設置されてもよい。チャンバ401には、ウィンドウ402および403が設けられてもよい。
【0031】
レーザシステム1から出力されたパルスレーザ光31は、ウィンドウ402を介してチャンバ401に進入してもよい。チャンバ401内に進入したパルスレーザ光31は、ランダム位相板410を透過してもよい。ランダム位相板410を透過したパルスレーザ光31は、パルスレーザ光32として、ウィンドウ403からチャンバ401外へ出射してもよい。
【0032】
円盤状のランダム位相板410は、リング状の基板ホルダ412によって保持されてもよい。基板ホルダ412は、支持部414によって回転可能に保持されてもよい。基板ホルダ412には、ランダム位相板410を囲むように、ギア412aが設けられてもよい。ギア412aは、モータ416のギア416aと噛み合っていてもよい。モータ416は、モータドライバ418から入力された駆動電流によって動作することで、基板ホルダ412を回転させてもよい。これにより、図3に示すように、ランダム位相板410が、ランダム位相板410の中心を通りランダム位相板410に垂直な軸(図3においてはパルスレーザ光31のビーム軸AXと一致)を回転中心として回転してもよい。このように、基板ホルダ412、モータ416およびモータドライバ418は、ランダム位相板410を回転させる回転機構であってもよい。
【0033】
モータドライバ418には、外部装置220から、ランダム位相板410を所定の回転角Δθ、回転させる制御信号S6が、パルスごとに入力されてもよい。ただし、これに限らず、モータドライバ418には、外部装置220からランダム位相板410を所定の角速度で回転させる指示信号が継続して入力されてもよい。
【0034】
4.1.1 ランダム位相板
ここで、ランダム位相板410の一例を、図4に示す。図4に示すように、ランダム位相板410は、円盤状の透明基板411の盤面に、矩形状の領域であるセル411aおよび411bがランダムに2次元配列した構成を備えてもよい。セル411aにおける基板の厚みとセル411bにおける基板の厚みは異なってもよい。その結果、セル411bを透過したパルスレーザ光31の位相は、セル411aを透過したパルスレーザ光31の位相に対して、π分、シフトしていてもよい。
【0035】
セル411aおよび411bが形成された面において、セル411aが占める面積と、セル411bが占める面積とは、等しくてもよい。セル411aおよびセル411bは、多角形の領域であってもよい。セル411aおよび411bの一辺は、たとえば20μm程度であってもよい。
【0036】
ランダム位相板410を通過したパルスレーザ光31の空間コヒーレンスは、セル411aおよび411bによる回折とランダムな空間位相変化との相乗効果によって、低下し得る。ただし、ランダム位相板410を通過したパルスレーザ光31は、ランダム位相板410の位相関係に対応したスペックルを発生させる可能性がある。
【0037】
そこで、ランダム位相板410を回転させると、ランダム位相板410を透過したパルスレーザ光31における位相シフト分布が変化し得る。それにより、ランダム位相板410を透過後のパルスレーザ光32によって発生し得るスペックルが変化し得る。この発生し得るスペックルが異なるパルスレーザ光32を積算すれば、スペックルが発生したとしてもスペックルの分布が平均化されると考えられる。それにより、パルスレーザ光32の実質的なスペックルを低減できる。
【0038】
ランダム位相板410を回転させる構成は、パルスレーザ光32のビーム軸AXを変化させないであろう。そのため、パルスレーザ光31のロスが小さいであろう。また、ビーム軸AXの変動によるパルスレーザ光32のダイバージェンス増加を抑制できるであろう。
【0039】
なお、本例では、透過型のランダム位相板410を例示したが、これに限るものではない。たとえば反射型のランダム位相板を用いてもよい。
【0040】
4.2 ランダム位相板とレーザビーム角度制御機構との組合せ
4.2.1 レーザビーム角度制御機構としてウェッジ基板を用いた場合(第2例)
図5は、実施の形態2の第2例による低コヒーレンス化光学システム4Bの概略構成を示す。図6は、図5のランダム位相板410およびウェッジ基板420を示す。
【0041】
図5に示すように、低コヒーレンス化光学システム4Bは、ランダム位相板410と、支持部414と、透明なウェッジ基板420と、基板ホルダ422と、支持部424と、モータ426と、モータドライバ428と、を備えてもよい。ランダム位相板410、支持部414、ウェッジ基板420、基板ホルダ422、支持部414、モータ426、およびモータドライバ428は、チャンバ401内に設置されてもよい。チャンバ401には、ウィンドウ402およびスリット430が設けられてもよい。
【0042】
ウィンドウ402を介してチャンバ401内に進入したパルスレーザ光31は、ランダム位相板410を透過してもよい。ランダム位相板410は、支持部414によって固定されていてもよい。
【0043】
ランダム位相板410を透過したパルスレーザ光31は、ウェッジ基板420を透過してもよい。円盤状のウェッジ基板420は、一方の盤面が他方の盤面に対して所定の傾きを持つように形成されていてもよい。円盤状のウェッジ基板420は、パルスレーザ光31の入射面に対して、出射面が傾斜していてもよい。このウェッジ基板420は、リング状の基板ホルダ422によって保持されてもよい。基板ホルダ422は、支持部424によって回転可能に保持されてもよい。基板ホルダ422には、ウェッジ基板420を囲むように、ギア422aが設けられてもよい。ギア422aは、モータ426のギア426aと噛み合っていてもよい。モータ426は、モータドライバ428から入力された駆動電流によって動作することで、基板ホルダ422を回転させてもよい。これにより、図6に示すように、ウェッジ基板420が、ウェッジ基板420の中心を通りウェッジ基板420に垂直な軸(図6においてはパルスレーザ光31のビーム軸AXと一致)を回転中心として回転してもよい。このように、基板ホルダ422、モータ426およびモータドライバ428は、ウェッジ基板420を回転させる回転機構であってもよい。
【0044】
モータドライバ428には、外部装置220から、ウェッジ基板420を所定の回転角Δθ、回転させる制御信号S6が、パルスごとに入力されてもよい。ただし、これに限らず、モータドライバ428には、外部装置220からウェッジ基板420を所定の角速度で回転させる指示信号が継続して入力されてもよい。
【0045】
ランダム位相板410を通過することで空間コヒーレンスが低下したパルスレーザ光31のビーム軸AXの向きは、ウェッジ基板420を透過することで、所定角度、変化し得る。そこで、ウェッジ基板420を回転させると、パルスレーザ光32のスペックルの発生位置が変化し得る。このスペックルの発生位置が変化したパルスレーザ光32を積算すれば、スペックルの分布が平均化されると考えられる。それにより、パルスレーザ光32の実質的なスペックルを低減できる。
【0046】
ウェッジ基板420を透過したパルスレーザ光31は、スリット430を通過することで、ビーム断面形状が整形されてもよい。なお、ウェッジ基板420およびこれを回転させるための構成は、パルスレーザ光31の光路において、ランダム位相板410よりも上流に配置されてもよい。
【0047】
4.2.2 レーザビーム角度制御機構として高反射ミラーを用いた場合(第3例)
図7は、実施の形態2の第3例による低コヒーレンス化光学システム4Cの概略構成を示す。
【0048】
図7に示すように、低コヒーレンス化光学システム4Cは、ランダム位相板410と、支持部414と、高反射ミラー440と、2軸傾斜ステージ442と、モータドライバ448と、を備えてもよい。ランダム位相板410、支持部414、高反射ミラー440、2軸傾斜ステージ442、およびモータドライバ448は、チャンバ401内に設置されてもよい。チャンバ401には、ウィンドウ402および403が設けられてもよい。
【0049】
ウィンドウ402を介してチャンバ401内に進入したパルスレーザ光31は、ランダム位相板410を透過してもよい。ランダム位相板410は、支持部414によって固定されていてもよい。
【0050】
ランダム位相板410を透過したパルスレーザ光31は、高反射ミラー440で反射されてもよい。高反射ミラー440は、2軸傾斜ステージ442によって保持されてもよい。2軸傾斜ステージ442は、たとえばモータ444および446を備えていてもよい。モータ444および446は、モータドライバ448から入力された駆動電流によって動作することで、2軸傾斜ステージ442の傾きをX軸回転方向θxおよびY軸回転方向θyに変化できる。これにより、高反射ミラー440のミラー面の傾きが、X軸回転方向θxおよびY軸回転方向θyに変化してもよい。
【0051】
モータドライバ448には、外部装置220から、高反射ミラー440の傾きを所定の角度Δθ(Δθx,Δθy)、変化させる制御信号S6が、パルスレーザ光31ごとに入力されてもよい。ただし、これに限らず、モータドライバ448には、外部装置220から、高反射ミラー440の傾きを絶えず変化させる指示信号が継続して入力されてもよい。
【0052】
ランダム位相板410を通過することで空間コヒーレンスが低下したパルスレーザ光31のビーム軸AXは、高反射ミラー440で反射することで変化してもよい。そこで、高反射ミラー440の傾斜角度を変化させると、パルスレーザ光32のスペックルの発生位置が変化すると考えられる。このスペックルの発生位置が変化したパルスレーザ光32を積算すれば、スペックルの分布が平均化されると考えられる。それにより、パルスレーザ光32の実質的なスペックルを低減できる。
【0053】
なお、高反射ミラー440およびこれをチルトさせるための構成は、パルスレーザ光31の光路において、ランダム位相板410よりも上流に配置されてもよい。
【0054】
4.3 ランダム位相板とレーザビーム平行移動機構との組合せ
4.3.1 レーザビーム平行移動機構として平行平面基板を用いた場合(第4例)
図8は、実施の形態2の第4例による低コヒーレンス化光学システム4Dの概略構成を示す。図9は、図8のランダム位相板410および平行平面基板450を示す。
【0055】
図8に示すように、低コヒーレンス化光学システム4Dは、ランダム位相板410と、支持部414と、透明な平行平面基板450と、2軸傾斜ステージ452と、モータドライバ458と、を備えてもよい。ランダム位相板410、支持部414、平行平面基板450、2軸傾斜ステージ452、およびモータドライバ458は、チャンバ401内に設置されてもよい。チャンバ401には、ウィンドウ402およびスリット430が設けられてもよい。
【0056】
ウィンドウ402を介してチャンバ401内に進入したパルスレーザ光31は、ランダム位相板410を透過してもよい。ランダム位相板410は、支持部414によって固定されていてもよい。
【0057】
ランダム位相板410を透過したパルスレーザ光31は、平行平面基板450を透過してもよい。平行平面基板450は、2軸傾斜ステージ452によって保持されてもよい。2軸傾斜ステージ452は、たとえばモータ454および456を備えていてもよい。モータ454および456は、モータドライバ458から入力された駆動電流によって動作することで、2軸傾斜ステージ452の傾きをX軸回転方向θxおよびY軸回転方向θyに変化できる。これにより、平行平面基板450の傾きが、X軸回転方向θxおよびY軸回転方向θyに変化してもよい。
【0058】
モータドライバ458には、外部装置220から、平行平面基板450の傾きを所定の角度Δθ(Δθx,Δθy)、変化させる制御信号S6が、パルスレーザ光31ごとに入力されてもよい。ただし、これに限らず、モータドライバ458には、外部装置220から、平行平面基板450の傾きを絶えず変化させる指示信号が継続して入力されてもよい。
【0059】
ランダム位相板410を通過することで空間コヒーレンスが低下したパルスレーザ光31のビーム軸AXは、平行平面基板450を透過することで、平行平面基板450の傾きに応じた分、ビーム軸AXと垂直な方向にシフトしてもよい。そこで、平行平面基板450の傾斜角度を変化させると、パルスレーザ光32のスペックルの発生位置が変化すると考えられる。このスペックルの発生位置が変化したパルスレーザ光32を積算すれば、スペックルの分布が平均化されると考えられる。それにより、パルスレーザ光32の実質的なスペックルを低減できる。
【0060】
平行平面基板450を透過したパルスレーザ光31は、スリット430を通過することで、ビーム断面形状が整形されでもよい。平行平面基板450をチルトさせる構成は、ビーム軸AXを平行移動させるため、ビーム軸AXの変動によるパルスレーザ光32のダイバージェンス増加を抑制できる。なお、平行平面基板450およびこれをチルトさせるための構成は、パルスレーザ光31の光路において、ランダム位相板410よりも上流に配置されてもよい。
【0061】
4.3.2 レーザビーム平行移動機構として高反射ミラーを用いた場合(第5例)
図10は、実施の形態2の第5例による低コヒーレンス化光学システム4Eの概略構成を示す。
【0062】
図10に示すように、低コヒーレンス化光学システム4Eは、ランダム位相板410と、および高反射ミラー460〜464と、を備えてもよい。ランダム位相板410および高反射ミラー460〜464は、不図示のチャンバ内に設置されてもよい。チャンバには、ウィンドウおよびスリット430が設けられてもよい。
【0063】
ウィンドウを介してチャンバ401内に進入したパルスレーザ光31は、ランダム位相板410を透過してもよい。ランダム位相板410は、不図示の支持部によって固定されていてもよい。
【0064】
ランダム位相板410を透過したパルスレーザ光31は、高反射ミラー460で反射されてもよい。高反射ミラー460は、不図示の移動機構によってY軸方向に平行移動可能であってもよい。または、高反射ミラー460は、不図示の移動機構によってX軸方向に平行移動可能であってもよい。移動機構は、不図示のモータを備えていてもよい。モータは、不図示のモータドライバから入力された駆動電流によって動作することで、高反射ミラー460を平行移動してもよい。これにより、ランダム位相板410から高反射ミラー460までの光路長が変化してもよい。
【0065】
モータドライバには、不図示の外部装置から、高反射ミラー460を所定距離、移動させる指示信号が、パルスレーザ光31ごとに入力されてもよい。ただし、これに限らず、モータドライバには、外部装置から、高反射ミラー460を絶えず移動させる指示信号が継続して入力されてもよい。
【0066】
ランダム位相板410を通過することで空間コヒーレンスが低下したパルスレーザ光31は、高反射ミラー460で反射することでその進行方向を変える。そこで、高反射ミラー460からランダム位相板410までの光路長を変化させることで、この変化量に応じた分、ビーム軸がこれと垂直な方向にシフトし得る。したがって、高反射ミラー460を平行移動させると、パルスレーザ光32のスペックルの発生位置が変化し得る。このスペックルの発生位置が変化したパルスレーザ光32を積算すれば、スペックルの分布が平均化されると考えられる。それにより、パルスレーザ光32の実質的なスペックルを低減できる。
【0067】
高反射ミラー460を反射したパルスレーザ光31は、高反射ミラー462で反射されてもよい。高反射ミラー462を反射したパルスレーザ光31は、高反射ミラー464で反射されてもよい。高反射ミラー464は、不図示の移動機構によってY軸方向に平行移動可能であってもよい。または、高反射ミラー464は、不図示の移動機構によってZ軸方向に平行移動可能であってもよい。移動機構は、不図示のモータを備えていてもよい。モータは、不図示のモータドライバから入力された駆動電流によって動作することで、高反射ミラー464を平行移動してもよい。これにより、高反射ミラー460から高反射ミラー464までの光路長が変化してもよい。高反射ミラー464の代わりに高反射ミラー462を高反射ミラー464と同様に平行移動させてもよい。
【0068】
高反射ミラー460で反射したパルスレーザ光31は、1つ以上の高反射ミラー462および464で反射された後、スリット430を通過することで、ビーム断面形状が整形されてもよい。高反射ミラー460及び464を平行移動させる構成は、ビーム軸を平行移動させるため、ビーム軸の変動によるパルスレーザ光32のダイバージェンス増加を抑制できる。なお、高反射ミラー460は、パルスレーザ光31の光路において、ランダム位相板410よりも上流に配置されてもよい。その際に、高反射ミラー464は、パルスレーザ光31の光路において、ランダム位相板410よりも上流に配置されてもよい。
【0069】
5.低コヒーレンス化光学システムを含むマスタオシレータとArF増幅器とを組合せたレーザシステム(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3によるレーザシステム1Aを、図面を参照して詳細に説明する。
【0070】
5.1 構成
図11は、実施の形態3によるレーザシステム1Aの概略構成を示す。レーザシステム1Aは、マスタオシレータ2Aと、高反射ミラー11と、低コヒーレンス化光学システム4Aと、増幅装置3Aと、レーザコントローラ220Aとを備えてもよい。レーザコントローラ220Aは、レーザシステム1Aの全体動作を制御してもよい。ただし、低コヒーレンス化光学システム4Aに代えて、低コヒーレンス化光学システム4B〜4Eのいずれを用いてもよい。
【0071】
マスタオシレータ2Aは、固体レーザ装置200と、コントローラ210とを含んでもよい。固体レーザ装置200は、図1に示すマスタオシレータ2と同様に、ポンピングレーザ5、Ti:サファイアレーザ6(シードレーザ)、増幅器7、LBO結晶9およびKBBF結晶10を含む波長変換装置8、ビームスプリッタ81、および高反射ミラー82を備えてもよい。
【0072】
コントローラ210は、パルスレーザ光31を出力するタイミングを制御する同期制御装置であってもよい。そのようなコントローラ210は、内部トリガ発振器211を含んでもよい。内部トリガ発振器211は、たとえば所定繰返し周波数で内部トリガを発振してもよい。コントローラ210は、この内部トリガをポンピングレーザ発振信号S11としてポンピングレーザ5へ送信してもよい。
【0073】
また、コントローラ210は、たとえば外部装置220の一例であるレーザコントローラ220Aなどから、略所定繰返し周波数でトリガ信号S1を受信してもよい。コントローラ210は、レーザコントローラ220Aから受信したトリガ信号S1に基づいて、ポンピングレーザ発振信号S11をポンピングレーザ5に送信してもよい。これにより、ポンピングレーザ5が、略所定繰返し周波数で励起光51を継続的に出力し得る。
【0074】
マスタオシレータ2Aは、発振遅延回路311を備えてもよい。発振遅延回路311は、コントローラ210からポンピングレーザ5へ出力されたポンピングレーザ発振信号S11を、増幅装置3Aとのタイミング調整のために、所定遅延時間(発振遅延時間Ddp)分遅延させてもよい。
【0075】
増幅装置3Aは、図1に示す増幅装置3と同様の構成に加え、レーザ電源24と、スイッチ遅延回路350とをさらに含んでもよい。レーザ電源24は、チャンバ20内のアノード21とカソード22とに電気的に接続されてもよい。遅延回路350は、レーザコントローラ220Aからレーザ電源24内のスイッチ25へ出力されたスイッチ信号S5を、所定遅延時間(スイッチ遅延時間Dpp)分遅延させてもよい。
【0076】
また、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aを駆動させる制御信号S6を送信してもよい。低コヒーレンス化光学システム4Aは、制御遅延回路360を備えてもよい。制御遅延回路360は、レーザコントローラ220Aから出力された制御信号S6を、マスタオシレータ2Aおよび増幅装置3Aとのタイミング調整のために、所定遅延時間(制御遅延時間Dcp)分遅延させてもよい。
【0077】
5.2 動作
つづいて、レーザシステム1Aの概略動作を説明する。レーザコントローラ220Aは、露光装置600における露光コントローラ601からパルスレーザ光33のバースト出力を要求されてもよい。レーザコントローラ220Aは、バースト出力が要求されると、マスタオシレータ2Aのコントローラ210にバースト要求信号S2を出力してもよい。また、レーザコントローラ220Aは、コントローラ210に、略所定繰返し周波数でトリガ信号S1を出力してもよい。コントローラ210は、トリガ信号S1または内部トリガ発振器211が生成した内部トリガを、ポンピングレーザ発振信号S11として、ポンピングレーザ5に出力してもよい。ポンピングレーザ発振信号S11は、発振遅延回路311を介することで、トリガ信号S1の入力に対して所定遅延時間(発振遅延時間Ddp)分遅れて、ポンピングレーザ5に入力してもよい。ポンピングレーザ5は、ポンピングレーザ発振信号S11が入力されると、励起光51を出力してもよい。これにより、固体レーザ装置200内でパルスレーザ光L1が生成されてもよい。
【0078】
また、レーザコントローラ220Aは、増幅装置3のレーザ電源24に、略所定繰返し周波数でスイッチ信号S5を出力してもよい。レーザコントローラ220Aは、継続的にスイッチ信号S5を出力してもよいし、露光コントローラ601からバースト出力が要求されている期間のみスイッチ信号S5を出力してもよい。スイッチ信号S5は、スイッチ遅延回路350を介することで、トリガ信号S1の入力に対して所定遅延時間(スイッチ遅延時間Dpp)分遅れて、レーザ電源24のスイッチ25に入力してもよい。スイッチ信号S5によってスイッチ25がオンされると、レーザ電源24は、アノード21およびカソード22間に放電用の電位差を与えてもよい。これにより、アノード21およびカソード22間の放電空間23で放電が生じ得る。
【0079】
放電空間23に放電を発生させるタイミングは、マスタオシレータ2Aから低コヒーレンス化光学システム4Aを経由して増幅装置3に入射したパルスレーザ光32がチャンバ20内を通過するタイミングに合わせられるとよい(同期)。その同期を達成するための発振遅延時間Ddpおよびスイッチ遅延時間Dppは、たとえば経験、実験またはシミュレーションなどで予め求めておいてもよい。また、発振遅延時間Ddpおよびスイッチ遅延時間Dppの少なくとも一方は、パルスレーザ光のタイミングと放電のタイミングとの差に基づいてフィードバック制御されてもよい。
【0080】
また、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aに、略所定繰返し周波数で制御信号S6を出力してもよい。制御信号S6は、制御遅延回路360を介することで、トリガ信号S1の入力に対して所定遅延時間(制御遅延時間Dcp)分遅れて、低コヒーレンス化光学システム4Aのモータドライバ418に入力してもよい。低コヒーレンス化光学システム4Aを駆動するタイミングは、パルスレーザ光31が低コヒーレンス化光学システム4Aを通過した後であってもよいし、パルスレーザ光31が低コヒーレンス化光学システム4Aを通過する直前であってもよい。
【0081】
5.3 作用
実施の形態3では、レーザコントローラ220Aは、パルスレーザ光31ごとに、低コヒーレンス化光学システム4Aを駆動してもよい。それにより、低コヒーレンス化光学システム4Aを透過後のパルスレーザ光32のスペックルが変化すると考えられる。このスペックルが変化したパルスレーザ光32を積算すれば、スペックルの分布が平均化されると考えられる。それにより、パルスレーザ光32の実質的なスペックルを低減できる。
【0082】
5.4 フローチャート
つぎに、図11に示すレーザシステム1Aの動作を、図面を用いて詳細に説明する。以下では、実施の形態2における第1、第2および第4例の動作をそれぞれ説明する。実施の形態2の第3および第5例の動作は、ここでは説明を省略する。
【0083】
レーザシステム1Aの動作において、低コヒーレンス化光学システム4Aの制御量Δθは、予め用意しておいた所定の制御量Δθであってもよいし、乱数等を用いて決定したランダムな値の制御量Δθであってもよい。以下では、それぞれのパターンについて説明する。
【0084】
5.4.1 所定の制御量を用いる場合
5.4.1.1 第1例のフローチャート
まず、制御量Δθに、所定の値の制御量Δθを用いる場合を説明する。図12は、レーザシステム1A全体の概略動作を示すフローチャートである。図13は、図12のステップS101に示すパラメータ初期設定ルーチンの概略動作を示すフローチャートである。図14は、図12のステップS103によってコントローラ210が開始する動作を示すフローチャートである。図15は、図12のステップS104によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を示すフローチャートである。なお、図12、図13、および図15では、レーザコントローラ220Aの動作を示す。図14では、コントローラ210の動作を示す。
【0085】
図12に示すように、レーザコントローラ220Aは、起動後、各種パラメータを初期設定するパラメータ初期設定ルーチンを実行してもよい(ステップS101)。なお、設定する初期パラメータは、予め登録されていてもよいし、露光コントローラ601等の外部から入力または要求されてもよい。
【0086】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、露光コントローラ601等からパルスレーザ光33のバーストを要求するバースト要求信号を受信するまで待機してもよい(ステップS102;NO)。バースト要求信号を受信すると(ステップS102;YES)、レーザコントローラ220Aは、マスタオシレータ2Aにパルスレーザ光31のバーストを出力させる制御を開始してもよい(ステップS103)。また、レーザコントローラ220Aは、増幅装置3Aに放電させる制御を開始してもよい(ステップS104)。さらに、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aをパルスレーザ光31ごとに駆動する制御を開始してもよい(ステップS105)。
【0087】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、トリガ信号S1を、所定繰返し周波数となるように、コントローラ210へ出力してもよい(ステップS106)。
【0088】
その後、レーザコントローラ220Aは、パルスレーザ光33の出力を停止するか否かを判定してもよい(ステップS107)。出力を停止する場合(ステップS107;YES)、レーザコントローラ220Aは、ステップS103で開始したマスタオシレータ2Aの制御を終了してもよい(ステップS108)。また、レーザコントローラ220Aは、ステップS104で開始した増幅装置3Aの制御を終了してもよい(ステップS109)。さらに、レーザコントローラ220Aは、ステップS105で開始した低コヒーレンス化光学システム4Aの制御を終了し(ステップS110)、その後、本動作を終了してもよい。一方、出力を停止しない場合(ステップS107;NO)、レーザコントローラ220Aは、ステップS103へリターンし、以降の動作を実行してもよい。
【0089】
つぎに、図12のステップS101に示すパラメータ初期設定ルーチンの概略動作を説明する。図13に示すように、パラメータ初期設定ルーチンでは、レーザコントローラ220Aは、発振遅延回路311に設定する発振遅延時間Ddpを取得してもよい(ステップS121)。取得される発振遅延時間Ddpは、予め不図示のメモリ等に保存しておいた初期値であってもよいし、新たにレーザコントローラ220Aによって算出された値であってもよい。つづいて、レーザコントローラ220Aは、取得した発振遅延時間Ddpを、コントローラ210を介して発振遅延回路311に設定してもよい(ステップS122)。これにより、発振遅延回路311を通過するポンピングレーザ発振信号S11のタイミングが、発振遅延時間Ddp分遅延されてもよい。
【0090】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、スイッチ遅延回路350に設定するスイッチ遅延時間Dppを取得してもよい(ステップS123)。取得されるスイッチ遅延時間Dppは、予め不図示のメモリ等に保存しておいた初期値であってもよいし、新たにレーザコントローラ220Aによって算出された値であってもよい。つづいて、レーザコントローラ220Aは、取得したスイッチ遅延時間Dppをスイッチ遅延回路350に設定してもよい(ステップS124)。これにより、スイッチ遅延回路350を通過するスイッチ信号S5のタイミングが、スイッチ遅延時間Dpp分遅延されてもよい。
【0091】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、スイッチ24をオン状態としている時間、すなわちアノード21およびカソード22間に放電用電圧を印加する時間(スイッチオン時間ΔTpp)を取得してもよい(ステップS125)。取得されるスイッチオン時間ΔTppは、予め不図示のメモリ等に保存しておいた初期値であってもよいし、新たにレーザコントローラ220Aによって算出された値であってもよい。
【0092】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、パルスレーザ光31ごとに低コヒーレンス化光学システム4Aを駆動する制御量Δθを取得してもよい(ステップS126)。取得される制御量Δθは、予め不図示のメモリ等に保存しておいた初期値であってもよいし、新たにレーザコントローラ220Aによって算出された値であってもよい。その後、レーザコントローラ220Aは、図12に示す動作へリターンしてもよい。
【0093】
また、図12のステップS103によってコントローラ210が開始する動作を説明する。図14に示すように、レーザコントローラ220Aの制御の下、コントローラ210は、たとえばレーザコントローラ220Aからトリガ信号S1を受信するまで待機してもよい(ステップS131;NO)。
【0094】
トリガ信号S1を受信すると(ステップS131;YES)、コントローラ210は、トリガ信号S1をポンピングレーザ発振信号S11としてポンピングレーザ5へ送信してもよい(ステップS132)。ポンピングレーザ発振信号S11は、発振遅延回路311を経由してポンピングレーザ5に入力してもよい。なお、ポンピングレーザ5から励起光51が出力されるタイミングは、Ti:サファイアレーザ6からパルスレーザ光L1が出力されるタイミングと直接的に関係してもよい。
【0095】
その後、コントローラ210は、動作の終了がレーザコントローラ220A等から入力されたか否かを判定してもよい(ステップS133)。終了が入力されていた場合(ステップS133;YES)、コントローラ210は、本動作を終了してもよい。一方、終了が入力されていなかった場合(ステップS133;NO)、コントローラ210は、ステップS131へリターンしてもよい。
【0096】
また、図12のステップS104によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を説明する。図15に示すように、レーザコントローラ220Aは、トリガ信号S1をコントローラ210へ出力するまで待機してもよい(ステップS141;NO)。トリガ信号S1を出力すると(ステップS141;YES)、レーザコントローラ220Aは、スイッチ信号S5のスイッチ25への送信を開始してもよい(ステップS142)。スイッチ信号S5は、スイッチ遅延回路350を経由して、スイッチ25に入力してもよい。スイッチ遅延回路350には、パルスレーザ光32が放電空間23を通過するタイミングに合わせて、放電空間23で放電が発生するように、スイッチ遅延時間Dppが設定されていてもよい。
【0097】
その後、レーザコントローラ220Aは、スイッチ信号S5を送信開始してからの経過時間を、たとえば不図示のタイマなどを用いて計測してもよい。レーザコントローラ220Aは、この計測時間が予め設定しておいたスイッチオン時間ΔTpp以上となるまで待機してもよい(ステップS143;NO)。
【0098】
スイッチオン時間ΔTppが経過すると(ステップS143;YES)、レーザコントローラ220Aは、スイッチ信号S5の送信を終了してもよい(ステップS144)。これにより、放電空間23で放電が発生する期間が調整されてもよい。その後、レーザコントローラ220Aは、動作を終了するか否かを判定してもよい(ステップS145)。終了する場合(ステップS145;YES)、レーザコントローラ220Aは、本動作を終了してもよい。一方、終了しない場合(ステップS145;NO)、レーザコントローラ220Aは、ステップS141へリターンしてもよい。
【0099】
また、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を説明する。図16は、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を示すフローチャートである。ただし、図16に示す動作例は、実施の形態2の第1例の動作である。
【0100】
図16に示すように、レーザコントローラ220Aは、トリガ信号S1をコントローラ210へ出力するまで待機してもよい(ステップS151;NO)。トリガ信号S1を出力すると(ステップS151;YES)、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aにおけるランダム位相板410の現在の回転角θを取得してもよい(ステップS152)。ランダム位相板410の現在の回転角θは、たとえばモータドライバ418によって管理されていてもよい。
【0101】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、ターゲットとするランダム位相板410の回転角θを、現在の回転角θに制御量Δθを加算することで算出してもよい(ステップS153)。つぎに、レーザコントローラ220Aは、ランダム位相板410の回転角θが、新たに算出した回転角θとなるように、低コヒーレンス化光学システム4Aへ制御信号S6を送信してもよい(ステップS154)。
【0102】
その後、レーザコントローラ220Aは、動作を終了するか否かを判定してもよい(ステップS155)。終了する場合(ステップS155;YES)、レーザコントローラ220Aは、本動作を終了してもよい。一方、終了しない場合(ステップS155;NO)、レーザコントローラ220Aは、ステップS151へリターンしてもよい。
【0103】
5.4.1.2 第2例のフローチャート
また、実施の形態2の第2例を用いた場合に、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を説明する。図17は、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を示すフローチャートである。
【0104】
図17に示すように、レーザコントローラ220Aは、トリガ信号S1をコントローラ210へ出力するまで待機してもよい(ステップS151;NO)。トリガ信号S1を出力すると(ステップS151;YES)、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aにおけるウェッジ基板420の現在の回転角θを取得してもよい(ステップS152a)。ウェッジ基板420の現在の回転角θは、たとえばモータドライバ428によって管理されていてもよい。
【0105】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、ターゲットとするウェッジ基板420の回転角θを、現在の回転角θに制御量Δθを加算することで算出してもよい(ステップS153)。つぎに、レーザコントローラ220Aは、ウェッジ基板420の回転角θが、新たに算出した回転角θとなるように、低コヒーレンス化光学システム4Aへ制御信号S6を送信してもよい(ステップS154a)。
【0106】
その後、レーザコントローラ220Aは、動作を終了するか否かを判定してもよい(ステップS155)。終了する場合(ステップS155;YES)、レーザコントローラ220Aは、本動作を終了してもよい。一方、終了しない場合(ステップS155;NO)、レーザコントローラ220Aは、ステップS151へリターンしてもよい。
【0107】
5.4.1.3 第4例のフローチャート
また、実施の形態2の第4例を用いた場合に、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を説明する。図18は、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を示すフローチャートである。
【0108】
図18に示すように、レーザコントローラ220Aは、トリガ信号S1をコントローラ210へ出力するまで待機してもよい(ステップS151;NO)。トリガ信号S1を出力すると(ステップS151;YES)、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aにおける平行平面基板450の現在の傾きθx,θyを取得してもよい(ステップS152b)。平行平面基板450の現在の傾きθx,θyは、たとえばモータドライバ448によって管理されていてもよい。
【0109】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、ターゲットとする平行平面基板450の傾きθx,θyを、現在の傾きθx,θyに制御量Δθを加算することで算出してもよい(ステップS153b)。なお、本例では、図13のステップS126で取得される制御量Δθは、平行平面基板450の傾きに対する制御量Δθ(Δθx,Δθy)である。つぎに、レーザコントローラ220Aは、平行平面基板450の傾きθx,θyが、新たに算出した傾きθx,θyとなるように、低コヒーレンス化光学システム4Aへ制御信号S6を送信してもよい(ステップS154b)。
【0110】
その後、レーザコントローラ220Aは、動作を終了するか否かを判定してもよい(ステップS155)。終了する場合(ステップS155;YES)、レーザコントローラ220Aは、本動作を終了してもよい。一方、終了しない場合(ステップS155;NO)、レーザコントローラ220Aは、ステップS151へリターンしてもよい。
【0111】
5.4.2 ランダムな制御量を用いる場合
つぎに、制御量Δθにランダムな値の制御量Δθを用いる場合を説明する。この場合において、レーザシステム1A全体の概略動作は、図12に示す概略動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、図12のステップS103によってコントローラ210が開始する動作、図12のステップS104によってレーザコントローラ220Aが開始する動作は、それぞれ図14および図15と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0112】
5.4.2.1 第1例のフローチャート
図19は、図12のステップS101に示すパラメータ初期設定ルーチンの概略動作を示すフローチャートである。図19に示すように、パラメータ初期設定ルーチンでは、レーザコントローラ220Aは、発振遅延回路311に設定する発振遅延時間Ddpを取得してもよい(ステップS221)。取得される発振遅延時間Ddpは、予め不図示のメモリ等に保存しておいた初期値であってもよいし、新たにレーザコントローラ220Aによって算出された値であってもよい。つづいて、レーザコントローラ220Aは、取得した発振遅延時間Ddpを、コントローラ210を介して発振遅延回路311に設定してもよい(ステップS222)。尚、レーザコントローラ220Aは、発振遅延時間Ddpを発振遅延回路311に設定する際には、図3に示すようにコントローラ210を介して設定してもよい。これにより、発振遅延回路311を通過するポンピングレーザ発振信号S11のタイミングが、発振遅延時間Ddp分遅延されてもよい。
【0113】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、スイッチ遅延回路350に設定するスイッチ遅延時間Dppを取得してもよい(ステップS223)。取得されるスイッチ遅延時間Dppは、予め不図示のメモリ等に保存しておいた初期値であってもよいし、新たにレーザコントローラ220Aによって算出された値であってもよい。つづいて、レーザコントローラ220Aは、取得したスイッチ遅延時間Dppをスイッチ遅延回路350に設定してもよい(ステップS224)。これにより、スイッチ遅延回路350を通過するスイッチ信号S5のタイミングが、スイッチ遅延時間Dpp分遅延されてもよい。
【0114】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、スイッチ24をオン状態としている時間、すなわちアノード21およびカソード22間に放電用電圧を印加する時間(スイッチオン時間ΔTpp)を取得してもよい(ステップS225)。取得されるスイッチオン時間ΔTppは、予め不図示のメモリ等に保存しておいた初期値であってもよいし、新たにレーザコントローラ220Aによって算出された値であってもよい。その後、レーザコントローラ220Aは、図12に示す動作へリターンしてもよい。
【0115】
また、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を説明する。図20は、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を示すフローチャートである。ただし、図20に示す動作例は、実施の形態2の第1例の動作である。
【0116】
図20に示すように、レーザコントローラ220Aは、トリガ信号S1をコントローラ210へ出力するまで待機してもよい(ステップS251;NO)。トリガ信号S1を出力すると(ステップS251;YES)、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aにおけるランダム位相板410の現在の回転角θを取得してもよい(ステップS252)。ランダム位相板410の現在の回転角θは、たとえばモータドライバ418によって管理されていてもよい。
【0117】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aに対する制御量Δθを、予め不図示のメモリ等に格納しておいた乱数表から取得してもよい(ステップS253)。乱数表より取得される制御量Δθは、ランダムな値であってよい。
【0118】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、ターゲットとするランダム位相板410の回転角θを、現在の回転角θに制御量Δθを加算することで算出してもよい(ステップS254)。つぎに、レーザコントローラ220Aは、ランダム位相板410の回転角θが、新たに算出した回転角θとなるように、低コヒーレンス化光学システム4Aへ制御信号S6を送信してもよい(ステップS255)。
【0119】
その後、レーザコントローラ220Aは、動作を終了するか否かを判定してもよい(ステップS256)。終了する場合(ステップS256;YES)、レーザコントローラ220Aは、本動作を終了してもよい。一方、終了しない場合(ステップS256;NO)、レーザコントローラ220Aは、ステップS251へリターンしてもよい。
【0120】
5.4.2.2 第2例のフローチャート
また、実施の形態2の第2例を用いた場合に、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を説明する。図21は、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を示すフローチャートである。
【0121】
図21に示すように、レーザコントローラ220Aは、トリガ信号S1をコントローラ210へ出力するまで待機してもよい(ステップS251;NO)。トリガ信号S1を出力すると(ステップS251;YES)、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aにおけるウェッジ基板420の現在の回転角θを取得してもよい(ステップS252a)。ウェッジ基板420の現在の回転角θは、たとえばモータドライバ428によって管理されていてもよい。
【0122】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aに対する制御量Δθを、予め不図示のメモリ等に格納しておいた乱数表から取得してもよい(ステップS253)。乱数表より取得される制御量Δθは、ランダムな値であってよい。
【0123】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、ターゲットとするウェッジ基板420の回転角θを、現在の回転角θに制御量Δθを加算することで算出してもよい(ステップS254)。つぎに、レーザコントローラ220Aは、ウェッジ基板420の回転角θが、新たに算出した回転角θとなるように、低コヒーレンス化光学システム4Aへ制御信号S6を送信してもよい(ステップS255a)。
【0124】
その後、レーザコントローラ220Aは、動作を終了するか否かを判定してもよい(ステップS256)。終了する場合(ステップS256;YES)、レーザコントローラ220Aは、本動作を終了してもよい。一方、終了しない場合(ステップS256;NO)、レーザコントローラ220Aは、ステップS251へリターンしてもよい。
【0125】
5.4.2.3 第4例のフローチャート
また、実施の形態2の第4例を用いた場合に、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を説明する。図22は、図12のステップS105によってレーザコントローラ220Aが開始する動作を示すフローチャートである。
【0126】
図22に示すように、レーザコントローラ220Aは、トリガ信号S1をコントローラ210へ出力するまで待機してもよい(ステップS251;NO)。トリガ信号S1を出力すると(ステップS251;YES)、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aにおける平行平面基板450の現在の傾きθx,θyを取得してもよい(ステップS252b)。平行平面基板450の現在の傾きθx,θyは、たとえばモータドライバ448によって管理されていてもよい。
【0127】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、低コヒーレンス化光学システム4Aに対する制御量Δθ(Δθx,Δθy)を、予め不図示のメモリ等に格納しておいた乱数表から取得してもよい(ステップS253b)。乱数表より取得される制御量Δθ(Δθx,Δθy)は、ランダムな値であってよい。
【0128】
つぎに、レーザコントローラ220Aは、ターゲットとする平行平面基板450の傾きθx,θyを、現在の傾きθx,θyに乱数表から取得した制御量Δθ(Δθx,Δθy)を加算することで算出してもよい(ステップS254b)。つぎに、レーザコントローラ220Aは、平行平面基板450の傾きθx,θyが、新たに算出した傾きθx,θyとなるように、低コヒーレンス化光学システム4Aへ制御信号S6を送信してもよい(ステップS255b)。
【0129】
その後、レーザコントローラ220Aは、動作を終了するか否かを判定してもよい(ステップS256)。終了する場合(ステップS256;YES)、レーザコントローラ220Aは、本動作を終了してもよい。一方、終了しない場合(ステップS256;NO)、レーザコントローラ220Aは、ステップS251へリターンしてもよい。
【0130】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0131】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【0132】
上述の実施形態においては、増幅器7が1つである例を示したが、増幅器7を複数使用してもよい。また、Ti:サファイアレーザ6と増幅器7は共通のポンピングレーザ5によってポンピングしているが、別々のポンピングレーザを使用してもよい。また、ポンピングレーザ5としてNd:YLFレーザあるいはNd:YVOレーザの第二高調波光を発振するレーザを使用してもよい。また、Ti:サファイアレーザ6の代わりにエルビウムドープト光ファイバレーザの第二高調波光を発生するレーザを使用してもよい。このレーザは、半導体レーザによってポンピングしてもよい。また、波長変換装置8は、本開示の構成に限定されるものではなく、波長変換装置8に入射される光を増幅装置3の増幅波長帯域の波長、例えば略193nmの波長の光に変換するものであればよい。例えば、波長変換装置8に含まれる波長変換素子としては、LBO結晶9の代わりにCLBO結晶を使用してもよい。
【符号の説明】
【0133】
1、1A 2ステージレーザ装置(レーザシステム)
2、2A マスタオシレータ
3、3A 増幅装置
4、4A〜4E 低コヒーレンス化光学システム
5 ポンピングレーザ
6 Ti:サファイアレーザ
7 増幅器
8 波長変換装置
81 ビームスプリッタ
11、82 高反射ミラー
9 LBO結晶
10 KBBF結晶
14 出力結合ミラー
15〜17 高反射ミラー
18、19 ウィンドウ
20 チャンバ
21 アノード
22 カソード
23 放電空間
24 レーザ電源
25 スイッチ
31 パルスレーザ光(出力パルスレーザ光)
32〜33、L1 パルスレーザ光
200 固体レーザ装置
210 コントローラ(同期制御装置)
211 内部トリガ発振器
220 外部装置
220A レーザコントローラ
311 発振遅延回路
350 スイッチ遅延回路
360 制御遅延回路
401 チャンバ
402、403 ウィンドウ
410 ランダム位相板
411 透明基板
411a、411b セル
412、422 基板ホルダ
412a、416a、422a、426a ギア
414、424 支持部
416、426、444、446、454、456 モータ
418、428、448、458 モータドライバ
420 ウェッジ基板
430 スリット
440、460、462、464 高反射ミラー
442、452 2軸傾斜ステージ
450 平行平面基板
600 露光装置
601 露光コントローラ
S1 トリガ信号
S11 ポンピングレーザ発振信号
S5 スイッチ信号
S6 制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスレーザ光を出力するマスタオシレータと、
前記マスタオシレータから出力されたパルスレーザ光のコヒーレンスを低下させる低コヒーレンス化光学システムと、
前記パルスレーザ光のスペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御するコントローラと、
を備えるレーザシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、パルスレーザ光ごとにスペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御する、請求項1記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記低コヒーレンス化光学システムは、ランダム位相板を含む、請求項1記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記低コヒーレンス化光学システムは、前記ランダム位相板を回転させる回転機構をさらに含む、請求項3記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記低コヒーレンス化光学システムは、
前記パルスレーザ光の入射面に対して出射面が傾斜した透明なウェッジ基板と、
前記ウェッジ基板を回転させる回転機構と、
をさらに含む、請求項3記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記低コヒーレンス化光学システムは、
前記パルスレーザ光を反射するミラーと、
前記ミラーの前記パルスレーザ光の入射軸に対する傾きを変化させる傾斜ステージと、
をさらに含む、請求項3記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記低コヒーレンス化光学システムは、
前記パルスレーザ光の入射面と出射面とが平行であって透明な平行平面基板と、
前記平行平面基板の前記パルスレーザ光の入射軸に対する傾きを変化させる傾斜ステージと、
をさらに含む、請求項3記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記低コヒーレンス化光学システムは、
前記パルスレーザ光を反射するミラーと、
前記ミラーと前記ランダム位相板との間の距離を変化させる移動機構と、
をさらに含む、請求項3記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記低コヒーレンス化光学システムを通過したパルスレーザ光を増幅する増幅装置をさらに備える、請求項1記載のレーザシステム。
【請求項10】
パルスレーザ光を出力するマスタオシレータと、前記マスタオシレータから出力されたパルスレーザ光のコヒーレンスを低下させる低コヒーレンス化光学システムと、を備える装置のレーザ生成方法であって、
前記パルスレーザ光のスペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御する、レーザ生成方法。
【請求項11】
パルスレーザ光ごとにスペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
パルスレーザ光ごとに所定量ずつ前記スペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
パルスレーザ光ごとにランダムに前記スペックルが変化するように前記低コヒーレンス化光学システムを制御する、請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−204819(P2012−204819A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71167(P2011−71167)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「省エネルギー革新技術開発事業/先導研究/リソグラフィ用ハイブリッドArFレーザシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】