説明

レーザーマーキングシステムおよびエネルギー制御方法

【課題】識別可能な印を表面に形成するのに好適なレーザーマーキングシステムを提供すること。
【解決手段】本願発明の識別可能な印を表面に形成するレーザーマーキングシステム30は、たとえば、マーキング光ビームを提供するファイバレーザー36と、制御信号に依存して該ファイバレーザー36を光学的にポンピングするポンプレーザーと、該制御信号を該ポンプレーザーに提供するパルス制御回路32と、該識別可能な印を該表面に形成するように該表面において該マーキング光ビームをスキャンするスキャナ40とを備え、該パルス制御回路は、フィードバック回路を有し、該フィードバック回路は、該マーキング光ビームの光出力レベルを所望の光出力レベルと比較し、該マーキング光ビームの光出力レベルを該所望の光出力レベルにもっていくように光学的なポンピングを調整する、レーザーマーキングシステム30である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、1997年5月27日に出願された仮特許出願である、米国特許出願第60/047,750号の継続出願であり、それを本明細書中において参考として援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、レーザーマーキングシステムに関し、より具体的には、情報またはデータを備える対象物の表面をマーキングするための持続波(cw)またはパルス作動ファイバレーザーマーキングシステムに関する。それらの情報またはデータは、例えば、英数字情報、文字、単語、個人的もしくは企業ロゴ、商号、商標、データもしくはバッチコード、数字、記号、模様、商品コードもしくはID、個別化署名、等を含み、以下、本明細書中において「識別印(indicia)」として言及される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
レーザーマーキングシステムは、商品の表面に識別印をマーキングするために、1971年もの前から存在している。特に大量製造ラインに関して、ある商品または製品あるいは製品パッケージをマーキングするための商品のレーザーマーキングの主な用途は、これらの商品に「急ぎの際」にマーキングする利点を得ること、そしてその製品に関するデータ(例えば、製造日、有効期間、製造元(factory origin)、型および/またはシリアルナンバ、製品経路(product tracking)等)を与えることである。識別印のマーキングを提供するレーザーの使用は、商品または製品あるいはそのパッケージの完全性(integrity)に概して影響を与えず、同時に容易に取除くことができないことから、好まれている。
【0004】
従来のレーザーマーキングシステム1つの例は、cwまたはパルスCOレーザーおよびイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)であり、例えば、Nd:YAGレーザーマーキングが適用されるレーザービームの熱によって行われる。パルスの波長は、可視または赤外線の範囲にある。マーキングされる模様または識別印は、レーザービームがマスクを介して通過することにより、あるいは所望の識別印または模様を生成するために移動もしくはスキャンされたフォーカシングレーザービームにより、形成される。そのようなレーザーは、彫刻、ハンダ付け、および溶接にも用いられ、ここでマーキングする際には、物質の表面層が溶かされ、除去されるか、もしくは蒸発され、識別可能な識別印または模様を生成する。また、この種類の商品マーキングは、マーキングされる商品表面での化学反応を用いることより、商品の表面上の特定のコーティング剤(これは透明であり得る)が、レーザービームまたはレーザーパルスの影響下において可視コントラスト変化(visible contrast change)を経て、達成され得る。
【0005】
COレーザーは、主にICパッケージのようなプラスチック表面をマーキングするために用いられている。レーザーからのレーザービームは、銅のステンシルを介してプラスチック表面上に識別印を形成するように方向づけられる。しかし、数年に渡るICパッケージの収縮が起こると、多くの場合、COレーザーはもはや適したものとはいえない。なぜなら、視認性の良い高品質の識別印がこの特定のアプリケーションに対しては、もはや十分なものではないためである。しかし、低コストのX−Y検流計(galvanometer)デバイスを用いた低コストで、より低いマーキング品質のCOシステムは依然、高品質のマーキングを要求しないアプリケーションには用いられる。
【0006】
YAGレーザーは、今日、多くの他のマーキングアプリケーションと同様に、ICパッケージマーキングに広範囲に用いられている。YAGレーザーは、より短い作動波長を有し、セラミックのようなより硬度な表面上での識別印のマーキングを可能にする。YAGマーキングシステムにおけるビームは、マーキングされる表面上にビームの二次元スキャンを形成するように、直交方向におけるレーザービームを置き換えるための回転用に取付けられた一組の移動可能なミラーにより一次元、二次元、あるいは三次元にステアリングまたはスキャンされる。例えば、コンピュータ制御で作動するX−Y検流計デバイスまたはX−X検流計デバイスである。二次元スキャナの例は、米国特許第5,225,923号、第5,329,090号、第5,719,372号、および第5,724,412号に開示されている。識別印は、比較的より小さな表面上(例えば、より小さなICパッケージの場合)に、高解像度およびマーキングの明瞭性を備えてマーキングされるように、商品の表面上に記される。このタイプのマーキングにおけるYAGレーザーシステムの特定的な例は、NEC Corporation of Japanにより製造される、Laser Marker SL475Eと称するスキャンNd:YAGレーザーである。このシステムのマーキングパラメータは、以下の通りである。(1)レーザーオシレータ:SL114K、(2)レーザータイプ:cw Nd:YAGレーザー、(3)出力:50W以上、(4)マーキング文字数:40、(5)マーキング方法:1ストロークまたはベクトル、(6)マーキング表面における電力:1W、(7)スキャニング速度:100mm/秒、(8)バイトサイズ:30μm、および(9)Q−スイッチ周波数:3kHzである。
【0007】
これらのCOおよびYAGレーザーマーキングシステムの欠点は、ほとんどの場合において、YAGロッドまたはcw作動COマーキングレーザーをポンピングするためのcw作動レーザーダイオードアレイの冷却を維持するための高価な冷蔵チラー、または水冷却ユニット、ならびに対応するクーラーコントローラおよび電源が必要であることである。チラーは、ランプポンプの光をcwレーザー出力へ変換する際に低効率であるために、COマーキングレーザーにおいて必要とされる。
【0008】
さらに、これらのマーキングレーザーの変調は、概してそれらの光学的出力ビームを、例えば音響光学変調器(acusto-optic modulator)により変調することにより行われ、共に商品の表面上に知的な識別印を形成する、ストロークまたはベクトルマーキングを形成するための適切なパルスを生成する。結果として、変調された出力における20%から30%もの電力が、このタイプの外部からの変調のために失われる。これらのレーザーのcw作動は、エネルギーの浪費であり、レーザーの頻繁なメインテナンスが要求され、そしてそれら全体的な寿命有用性を減少する。パルスモードでは、YAGマーキングレーザーにおける大きなパルス−パルス変化が、それらがマーキング表面に付与するエネルギーにおける均一性を欠く際に、存在する。さらに、外部変調器はそのような高損失に加えて、この分野では長くは持続せず、置換が必要であり、そしてそのRFドライバに沿ってマーキングレーザーシステムへの追加コストとなる。さらに、マーキングに使用されるYAGレーザーシステムは、第1のパルス抑制を必要とし、すなわちレーザーが遮断されると、光を「取り出さ(bled off)」なければならない。また、関連冷却ユニットおよび大きな電源、ならびに大きなレーザーヘッドを備えたこれらのシステムは、製造施設において相当量のフロアスペースをとる。
【0009】
先行技術のWO-A-94/41404号は、レーザー信号ソースを含むファイバオプティックレーザーシステム、レーザー信号ソースにより主要レーザー信号出力をいくつかのレーザー信号に分割するための配信ネットワーク、電力増幅手段、ビーム結合器、および制御システムを開示している。上記いくつかのレーザー信号は、電力増幅器手段(レーザーダイオードによりポンピングされる光ファイバ増幅器であり得る)により増幅される。
【0010】
要求に応じてマーキング電力を提供する(すなわち連続的ポンピングが継続的に必要ではない)、より安価なマーキングレーザーシステムが、マーキングプロセスおよび最小限のフロアスペース利用を実現するために必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主要な目的は、要求に応じて識別印マーキング電力を供給するファイバレーザーシステムを提供することである。
【0012】
本発明の1つの目的は、表面をマーキングし、その表面に可視識別印を生成するための従来のレーザーシステムよりもサイズにおいてより小型で、より狭量なレーザーポンプファイバレーザーマーキングシステムを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、第1のパルス抑制を全く必要としないレーザーマーキングシステムを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、二重クラッドファイバをマーキングレーザーとして用いる第1の高出力レーザーマーキングシステムを提供することであり、このシステムでは、その光パワー出力が変調され、そのポンプレーザーの変調またはONおよびOFF切換え(例えば、半導体レーザーダイオードソース)により、識別印のマーキングを形成する。
【0015】
本発明のさらなる目的は、約27μmよりも極めて小さい表面の深さにおいて、行われる表面マーキングのための高出力を成し遂げるレーザーマーキングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の要旨
本発明によると、レーザーマーキングシステムは、内部ポンプクラッディングに包囲された、ドープされたコアを有する二重クラッドファイバからなり、マーキングのための光出力を供給する、高出力ファイバレーザーと、二重クラッドファイバレーザーを入力を介して内部ポンプクラッディングへポンピングするための高出力レーザーダイオードソースと、マーキング出力を二重クラッドファイバレンズから受信するように連結され、一次元、二次元、または三次元においてストロークまたはベクトルを形成するようにマーキング出力をスイープすることによりマーキングされる商品の表面上に出力をスキャンし、その完了は商品表面に識別印がマーキングされることを含む、光スキャナと、レーザーダイオードポンプソースの変調と同期しているスキャナの作動を制御し、マーキング出力を開始し、一次元、二次元、または三次元において識別印を含むストロークを形成するようにマーキング光出力をスイープし、変調する、コントローラとを含む。システムは、有益な変調速度(ピークパルス出力(例えば1kW前後から約5kW)を備えた多様な異なる物質上で、ハイコントラストマーキングとして約20kHzから、薄い、表面実装パッケージのマーキングに特に適合されたcw作動まで)に対応できる。ダイオードポンプおよびフラッシュランプYAGポンプレーザーマーキングシステムにおいてのファイバレーザーマーキングシステムの主要な利点は、光パワービームをマーキングレーザーの出力時に変換しなければならない(例えば、パルス幅を超える光パワーの点から均一性のパルスを提供せず、変調されたビーム出力における電力量を実質的に減少する音響光学変調器を介して)わけではなく、マーキングレーザーへの入力時に半導体レーザーダイオードを介した変調を提供することである。また、レーザーダイオードポンプソースの作動における電流信号入力の立ち上がりON時間を減衰させるか、あるいは減少させる回路も開示されており、これは二重クラッドファイバマーキングレーザーにより作製されたマーキング光出力のON時間品質を改善する。
【0017】
本明細書中に開示されているファイバマーキングレーザーシステムは、市販可能な唯一の継続的単一モードファイバマーキングレーザーシステムである、とこの書類においては考えられている。
【0018】
本発明のレーザーマーキングシステムにおいて、マーキング用に供給される光パワーは、要求に応じてオンになる、すなわち、ファイバマーキングレーザー用のダイオードポンプレーザーが、ON時間周期中にマーキング出力をスイープすることによりストロークおよびベクトルマーキングを形成するために電力が必要とされる際に、オンおよびオフとなる。レーザーダイオードポンプがcw作動でないことから、ポンプソースの寿命は、使用時間が同じ周期において比較的延びる。
【0019】
本発明におけるファイバレーザーマーキングシステムの他の利点は、変調されたレーザーダイオードソースが、任意の長さの、任意に選択された高さで任意の時間(すなわち、要求に応じて必要なとき)においてファイバマーキングレーザーから生成されたパルスと共に、ランダムON時間周期様式において変調され得ることである。QスイッチYAGレーザーでは、パルス出力は、Qスイッチにより制限され、そこでそれは、ほぼ同じパルス幅の周期パルスとのみ作動し得る。
【0020】
ダイオードポンプYAGマーキングシステムに対する本発明のファイバレーザーのさらなる利点は、ファイバレーザーのレーザーダイオードポンピングがファイバの長さに沿って(例えば、長さ約20メートルから約50メートルの間のどこか)で起こり、この長さはYAGロッドの長さ(例えば、長さ1cmから3cmであり得る)よりも100倍よりも大きな長さである。結果として、レーザーダイオードポンプYAGにおいて発する熱は、はるかにより大きく、YAGロッドにおいて容易にサーマルレンジングを引き起こし、YAGロッドのモードを側面から遷移すること、あるいは基礎モード以外の他のモードにおいて作動することのいずれかによりYAG単一モード作動の歪みをもたらす。この遷移および多重モード作動は、ロッド長さに沿った光パワーにおける差異を原因とする、ロッドの長さに沿って発展した熱の非均一性のために、YAGロッドの屈折率の変化により引き起こされる。この現象は、パルス幅長さまたはパルス高さがパルスからパルスへYAGマーキングレーザーの作動において変化する場合、パルス電力およびモード品質におけるパルス−パルス変化をもたらし得る。本発明の単一モードファイバマーキングレーザーの使用において、モードの歪みは全く起こらない。なぜなら、ファイバのモードコア導波管(これは例えば、直径3μmから6μmの範囲にある)が、連続的に単一モード作動を維持するためである。
【0021】
本発明のファイバマーキングレーザーシステムの他の特徴は、レーザーダイオードポンプソースの作動における電流レベルを制御するためのフィードバックにより、光マーキング出力の強度レベルを維持する信頼性である。よって、マーキング出力の強度における検出が存在する場合、フィードバック制御は電流の増加をドライバ回路へポンプレーザーソース用に供給し、ファイバマーキングレーザーのマーキング出力をその本来の強度レベルまで増加する。
【0022】
本発明のファイバマーキングレーザーシステムのさらなる特徴は、連続的単一モードマーキング出力であり、これはフィールドにおける最初の位置合わせもしくは後の再位置合わせの必要(これはスキャナの入力と相対的に、YAGマーキングレーザー光共振器および出力の周期的な再位置合わせが必要である、YAGレーザーマーキングシステムの場合に該当する)なしに、出力がスキャナの光出力に直接的に連結されるという点で柔軟性がある。
【0023】
YAGマーキングシステムにおいてのファイバレーザーマーキングシステムの効率および有用性は、実質的に(1)レーザーダイオードポンプレーザーの数が、システムの信頼性を向上させる数において顕著により少なく、(2)光変換効率は顕著により高く、(3)作動電力は、2ボルトから5ボルトDCのみの範囲内であるほど、かなり低く、(4)レーザーダイオードポンプソースまたはフラッシュランプのような消耗品(YAGシステムにおいては、それらのcw作動のために比較的速く消耗する)の置換が必要ではなく、ならびに(5)ポンプソースとして使用される特定のレーザーダイオードの、それらのより高い作動波長のために改善された信頼性(例えば、YAGポンプシステムにおいて用いられる810nmに対して、本発明のシステムにおいて使用されるポンプソースは915nmである)である。
【0024】
好ましい実施形態において、光スキャナは、多次元においてストロークを形成するためにファイバマーキングレーザー出力をスイープし、その完成は商品表面上に形成される識別可能な識別印を含む。
【0025】
さらに好ましい実施形態において、ポンプレーザーソースは、レーザーダイオードソースまたはレーザーダイオードポンプファイバレーザーソースを含む。
【0026】
さらに好ましい実施形態において、レーザーマーキングシステムは、1ミリ秒よりも小さい速い立ち上がり時間を有する出力マーキングビームを生成するための光ソースシステムとして、ファイバレーザーと、ファイバレーザーを光学的にポンピングするためのポンプレーザーソースと、出力マーキングビームを変調するために作動する外部変調器が必要でないように、レーザーターンオン遅延を最小限化するポンプレーザー回路機構とを含む。
【0027】
さらに好ましい実施形態において、マーキングシステムは、マーキングシステムのスキャナに容易に位置合わせ可能であるように、柔軟性があり、かつ可動であるマーキング出力を供給するための出力端部を有するドープされた光ファイバを備えるファイバレーザーを含む。
【0028】
さらに好ましい実施形態において、ファイバレーザーに基づくマーキングシステムが、希土類のドープされたコアを有し、レーザーダイオードソースによりポンピングされ、ファイバレーザーとして機能する光ファイバと、その光出力を変調するためのレーザーダイオードソースを変調し、それを光ファイバに連結するための手段と、レーザーダイオードソースにより生成され、ファイバコアの長さに沿って吸収される光であって、レーザーマーキング出力を供給する、光と、複数の一続きのマーキングストロークを形成するためのレーザーダイオードソースの変調に応答して変調された、ファイバレーザーのマーキング出力であって、該マーキングストロークは、マーキングされる商品の表面上に、識別可能な識別印をそこへ形成するようにパターン化される、マーキング出力とを含む。
【0029】
好ましくは、ファイバレーザーは単一モードレーザーである。
【0030】
好ましくは、ファイバレーザーは、二重クラッドファイバを含む。
【0031】
好ましい実施形態において、ファイバレーザーに基づいたマーキングシステムは、商品の表面上に知的な識別印を形成するために、互いに関して所定の空間的関係にあるマーキングストロークを産生するための手段と、レーザーダイオードソースの作動の励起レベルおよびタイミングを、マーキングされる商品表面の物質に基づいて、商品表面における所望のマーキングコントラストおよびマーキング深さを生成するように、ストロークが所定の空間的関係において、マーキング出力電力の所定のレベルにて起こるように制御する手段とをさらに含む。
【0032】
さらに好ましい実施形態において、レーザーマーキングシステムは、ドープされた単一モードコアを有し、マーキングのための光出力を供給する、ファイバを備えた高出力ファイバマーキングレーザーと、ファイバレーザーをポンピングするために連結された光出力を供給するレーザーダイオードソースと、レーザーダイオードソースに供給される電流レベルを制御するための電気的信号を供給し、対応して、ファイバマーキングレーザーに供給される光出力強度レベルを供給するためのドライブ回路と、ファイバマーキングレーザーからの強度レベルを検出するための手段と、検出された強度レベルを、所望のレベルと比較し、光出力強度レベルを所望のレベルにおいて維持するように電流レベルを調節するフィードバック手段とを含む。
【0033】
他の目的および到達点は本発明の全体的理解と同様に、添付の図面と合わせて、以下の説明および請求の範囲を参照しながら明らかとなり、理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
発明の好適な実施形態の詳細な説明
ここで、ポンプソース12と組み合わせてファイバレーザー16を用いるレーザーマーキングシステム10を示す図1を参照する。ポンプソース12は、単一高出力レーザーダイオード、単一レーザーダイオードバー、光出力の組み合わさった複数のレーザーダイオードアレイ、またはファイバレーザーソースから構成され得、ファイバレーザー16への入力として、ポンプビームまたは光パルス14を含む出力を提供する。ファイバレーザー16は、外殻クラディングで包囲されたマルチモード内殻ポンプクラディングにより対称的に包囲された単一モードを有する、米国特許第3,808,549号に示されるような、二重クラッドファイバであるか、あるいは、矩形の内殻ポンプクラディングを有する、米国特許第4,815,079号に示されるタイプの二重クラッドファイバであり、それらの参考として両件を本明細書中において援用する。また二重クラッドファイバは、本願の同一人に譲渡されている、1998年3月30日に出願された米国特許出願第09/050,386号において開示されているタイプ(例えばD型もしくは八角形のような、多角形の内殻ポンプクラディングを有するタイプ)のものであり得、または1997年5月28日に発行された欧州特許出願公報第0776074号に示されるタイプ(星型もしくは不規則な表面の内殻ポンプクラディングを有するタイプ)であり得る。それらの参考として、この米国およびヨーロッパの特許出願の両件を本明細書中において援用する。
【0035】
ファイバレーザー16からの出力ビームまたはパルス18は、ビームフォーカシングおよびステアリングデバイス20への入力として連結される。デバイス20は、マーキングビーム18をイメージ平面(これはマーキングされる対象物の表面にある)においてフォーカスし、同時にイメージ平面での二次元においてビームをスキャンする。このようなデバイス20は、当該分野においては周知であり、その例は米国特許第5,225,923号、第5,719,372号、および第5,734,412号に開示されており、それらの例の参考として、これら特許を本明細書中において援用する。メインコントローラ(例えば、米国特許第5,719,372号に示されるようなQスイッチではなくむしろポンプレーザーの制御を除いたもの)を含むコンピュータ24は、ライン26を介し、ポンプソース12へソース12のオン/オフ作動、ならびに振幅、周波数またはパルス速度、およびソース12へ供給された電流信号のON時間(より詳細に後述)を制御するように接続される。コンピュータ24はまた、ライン28を介してビームフォーカシングおよびステアリングデバイス20へ接続され、デバイス内の一組のXおよびY検流計ミラーの二次元作動を制御し、スキャンされたビーム22のスイープを通してベクトルまたはストロークを供給し、一連のそのようなストロークは、識別印のような知的マーキングをマーキングされる商品の表面に生成する。デバイス20が、一次元(X−X)もしくは三次元(X−Y−Z)スキャニングデバイスでもあり得ることに注目されたい。デバイス20からのビーム22は、商品表面上のイメージ平面での二次元において、一組の検流計ミラーにより、当該分野において公知の様式において偏向する。これは、(米国特許第5,734,412号の図面1に示されるように)3件のすでに援用した米国特許において説明されている。コンピュータ24は、従来のPCであり得、マーキング回路およびタイミングボードならびに座標情報を与えるオペレーティングソフトウェアを含み得、マーキング回路を介して、ライン28上にて、検流計ミラーを調整およびスキャンし、商品表面上に形成される識別印(例えば、文字または記号)を形成するためのストローク経路を供給する。1つの例として、文字「A」は3つのストローク、その文字の角度を有する2つのサイドストローク、およびそのクロスバーストロークを含む。コンピュータプログラムは、それらストロークの各々のための座標情報を与え、そしてコントローラは、ポンプビームまたはパルス14をONまたはOFFにするために、ポンプソース12へ電流信号を供給するように作動する。デバイス20は、レーザーマーキングビーム22を対応してスイープし、検流計ミラーを介して、文字「A」を含む3ストロークを形成する。文字「A」を形成するストロークのそれぞれの形成の間(検流計ミラーが、形成される文字「A」用の次のストロークを始めるために、座標点に位置づけ、あるいは再位置づけされている間)、スキャンレーザービームまたは出力22は、ポンプソース20の作動の終了を通して、終了もしくは消され得る。
【0036】
レーザーマーキングシステム10の重要な特徴は、要求に応じてオンとなるマーキング電力が供給されたレーザーマーカーを提供することである。一方、YAGレーザーを用いた従来のレーザーマーキングシステムは、変調器によるマーキングビームの中断を伴う連続的な作動(例えばQスイッチ)、ならびに次のストロークまたはマーキングの開始に先立ってレーザー共振器(cavity)内の残留電力を抜き出すための抜き出し回路を必要とする。また、これらを用いるCOマーキングレーザーは、パルス幅変調を伴う連続的な作動を必要する。また、これらの気体および固体レーザーデバイスは一般に、必須の、および追加の機器として何らかのクーリング(例えば冷蔵チラー)を電源とならんで要求し、cw作動のために冷却されたCOレーザーまたはYAGダイオードポンプレーザーを維持する。システム10は、そのような追加の機器の必要性を排除し、商品表面をマーキングするための9Wから20Wよりも大きな電力を生成する高出力ファイバマーキングレーザーを介した制御が、ファイバマーキングレーザー16へ電力を供給するポンプソース12を単に変調することによって成し遂げられる。ポンプソース12は、要求に応じてオンとなる電力が、マーキング用の識別印を含むストロークまたはベクトルを形成するように変調され得るか、あるいはcw作動され得る。マーキング用の出力の軸の外側および内側にパルス出力を提供する変調器(例えば、QスイッチYAGレーザーシステム内の音響光学変調器)の使用は、必要ではないか、または要求されない。このような変調器は、生成した出力パルスの安定性およびQスイッチ用のRFドライバの信頼性という観点から望ましくなく、頻繁なフィールドサービスならびにマーキングシステムへの追加コストを要求する。それらはまた、出力マーキングビームまたはパルスの電力を20%から30%ほども低減し得る。
【0037】
作動において、コンピュータ24は、ポンプソース12へ制御パルスのパターンを供給し、同時にビームステアリングデバイス20を検出してマーキングされる商品表面に渡りマーキングビームエネルギーを二次元において動かす。ポンプソース12へ供給された方形波、あるいは直線で囲まれたパルスは出力14を供給し、出力14はマーキングレーザー16をしきい値に到達させ、電気パルスの振幅とほぼ比例し、光ポンプソースパルスに対応している一連の光パルスを生成するが、ファイバレーザーの時間的応答が原因で数百マイクロ秒だけ遅延している。ポンプソース12により生成されるパルス幅およびパルス周波数もしくはパルス速度は、マーキングレーザー16のデューティーサイクル、およびマーキング用に商品表面へのスキャンビーム22において付与されるマーキングエネルギーの量を改変するように変化し得る。ポンプソース12へのパルスの振幅レベルは、識別印ストロークまたはベクトルの形成において、焼損し得るか、そうでなければ異なるコントラストレベルを引き起こし得る過剰な電力レベルを付与しない、デューティーサイクルの1パーセントから100%までのマーキングレーザー16からの出力光パルスを提供するように設定され得る。
【0038】
また、ファイバレーザーマーキングシステム10の他の利点は、マーキングプロセスおよび第1のストロークまたはベクトルのレンダリングの開始に先だって、いかなる残留エネルギーを放電するという必要性がないことである。システム10内の最初のポンプパルス、もしくは最初からより高強度のビーム14は、追加のエネルギーまたは振幅を供給され得、ファイバレーザー16内の反転分布(population inversion)においてより迅速な立ち上がりを引き起こすように供給し、よってギャップまたは欠けたストローク部分が、最初の識別印ストロークのマーキングの際に全く起こらない。あるいは、マーキングビームスイープがマーキングビームの出力の開始のすぐ前に開始する場合において、ダミーマークがマーキングプロセスの開始時に供給され得、プリントされる第1のストロークの一部の失敗を補償する。連続的cw作動と比較して、ある時間周期の間(例えば1秒以上)もしくは数100マイクロ秒のパルス間隔を伴うパルス速度において、マーキングシステム10がアイドリングしている場合、第1のストロークの全範囲をマーキングするこの失敗は、主にポンプレーザー12のON時間のアプリケーションと、遅延が異なり、且つより長いマーキングレーザー16からの出力との間における分散、またはより長い遅延によるものであり得る。後者の場合、ファイバマーキングレーザー内にいくらかの残留反転分布が存在し、システムがいくらかの時間周期の間アイドリングしながらファイバ内の全てのエネルギーが散逸する場合と比べて、エネルギーレベルはより早くマーキング出力18を達成する。よって、システム10のコントローラは、システムが、第1の識別印ストローク用のパルスの完了とダミーマークパルスの組合せを含む、識別印の第1のマーキングストロークを形成するためにアイドリングしている所定の時間周期の後に、ダミーパルスを供給し得る。
【0039】
ここで、本発明のより詳細な実施形態を示す図2を参照する。レーザーマーキングシステム30は、レーザーダイオードアレイ(例えば、カリフォルニア州、San JoseのSLD,Inc.により製造されるSDL Model No.6460-P6)から構成され得る半導体レーザーソース32を含み、約17ワットの光出力を供給する。より高い光出力として、多数の光エミッタを有するいくつかの半導体レーザーバーが(例えば、反射鏡を用いて)組合わさり得、28W以上ものポンプ出力電力を含む単一出力を生成し、これは例えば、米国特許第5,168,401号および第5,268,978号において示されており、それらの参考として本明細書中において両件を援用する。これらのタイプのデバイスは、定常環境温度を維持するために何らかの冷却(例えば、当該分野において知られるように熱電気クーラーを用いる)を必要とし得る。これらのクーラーは、気体または固体のマーキングソースと共に使用されるチラーと比較すると、かなり小さく、レーザーソースパッケージの一部として提供される。
【0040】
レーザーソース32からの光出力ビーム37は、ビーム37を二重クラッドファイバ36の入力端へ、特に、ファイバの内殻ポンプクラディング36Bへ、方向づけるためにコリメートされ、そしてレンズセット34の各球状タイプレンズによりフォーカスされる。二重クラッドファイバ36は、当該分野において周知の希土類物質(例えばYb)でドープされたコア36Aを含む。コア36Aは、ガラスから構成され得、例えば内殻ポンプクラディング36Bは約100μmまたは200μmの直径を有し得るのに対して、約3μmの直径を有する。内殻ポンプクラディング36Bは、ガラスのような物質であり、この物質はコア36Aよりもより高い指数を有する。内殻クラディング36Cは、外殻クラディング36Cにより包囲されており、外殻クラディング36Cは、内殻クラディング36Bよりも高い屈折率を有し、クラディング36B内のポンプ光37を包含する。当該分野において周知のように、ポンプ光はクラディング36Bとクラディング36Cとの間の界面において、ポンプ光がファイバの全長を伝搬するように前後に反射され、そして反射光が希土類コア36Aを十字に横切る際にコアに吸収される。ファイバ36の断面図の例は図3に示されており、上述の米国特許出願第09/050,386号において開示されている。
【0041】
レーザー発光共振器を形成するために、ミラー36Mがファイバ36の入力端に備えられ、ミラー36はポンプ光37に対して透過するようにコーティングされているが、ファイバ36のレーザー発光波長においてはより高い反射性を有する。ファイバ36の出力端36Fは、部分的に内部反射する表面を形成するように、高度に研磨されている(例えば、レーザー発光波長において、約4%の反射率を有する)。従って、研磨小面36Fおよびミラー36Mは、二重クラッドファイバマーキングレーザー36のレーザー発光共振器を形成する。マーキングレーザー36からの出力ビームは、二次元スキャナ40における入力開口への44で示されるような通路に、レンズ41によりコリメートされる。コレット39は、マーキングレーザー36の出力端の上に嵌合し、そこにレンズ41を支持するためにレンズフレーム38が固定される。出力ビーム44のごく一部がビームスプリッタ46を介して分割され、ダイオードレーザーポンプソース32への電力を制御するために、閉ループ制御(closed-loop control)への光フィードバックを供給し、ポンプソース32がcw作動、あるいはパルスであろうと、所定の強度レベルにおいて出力44を維持する。このコントローラについてはさらに後述する。
【0042】
簡略化を目的として、レンズフレーム38およびビームスプリッタは、図2において模式的な形で示されていることに注目されたい。しかし実際には、ファイバ36の端部に固定されたこれらの構成要素は、全て単一の管状ハウジング内に実装され、ファイバマーキングレーザー36を含む柔軟性のある長さのファイバにおける一部の端部において端部ハウジングを形成する。よって、この管状ハウジングの前方端部は、スキャナ40の入力開口40Aに容易に取り付けられ、そのためスキャナ入力も合わせた適切な光の位置合わせが連続的に保たれる。この取り付けには、後のフィールド調整(これはスキャナ40のスキャンミラーへの適切な光軸の位置合わせを伴うパルス出力を再位置合わせすることが必要である、YAGマーキングレーザーシステムの場合に該当する)が不要である。
【0043】
システム30の作動波長の具体例は、半導体レーザーソース32が、約900nmから930nm(例えば915nm)の範囲内における発光波長(Ybの吸収バンド内である)で作動する。ファイバマーキングレーザー36は、1100nmから1110nmのような波長において作動する。レーザー36におけるファイバの長さは、ファイバの長さに沿って、ポンプ光の良好な減損(depletion)を供給するのに十分な長さにされる。17Wの出力を伴う多数の光エミッタを備えたレーザーダイオードバーポンプレーザーを含む(例えば、SDL Model No.6460-P6)の使用により、9Wの電力レベルが高出力二重クラッドファイバレーザー36から得られ得る。複数のスタックされたレーザーバーが用いられる場合、ソース32としてそれらの組合せ出力は約15Wとなる。すでに報告されている構成において、807nmの波長で作動する13.5Wレーザーダイオードポンプソース32は、1064nmにおいて5Wのcw単一トランスバースモード出力電力を、45から50メートル長さのYbのドープされた、二重クラッドファイバから生成された。ソース32とファイバ36との間の光インターフェースでの損失が原因で、全体の光変換効率はわずか40%であったが、スロープ効率は51%であった。しかしこれらの変換効率は、60%に改良されている。システム30におけるビームは、1μmほどの小さいスポットサイズにフォーカスされ得るが、二重クラッドファイバマーキングレーザー36の出力小面36Fからの出力ビーム44の回折限定品質が原因で、109W/cmステラジアン(sterdain)の対応輝度を備える、直径約15μm以上がほとんどのマーキングアプリケーションにとって十分である。
【0044】
レンズセット34を使用する代わりに、ダイオードレーザーバーからの出力が二重クラッドファイバ36に連結されるファイバであり得、ここで本明細書中においてその参考として援用している、米国特許第5,268,978号に示されるものに類似した方法において、個々のエミッタからの連結ファイバが二重クラッドファイバ36の内殻クラディング36Bの入力開口または開口数(NA)と一致する束を形成するように共に用いられ得ることに注目されたい。また、ソースファイバは、それらの出力端部において共に融合され、その溶融端部は溶融状態に引き込まれ、二重クラッドファイバ36の内殻クラディング36Bの入力端部のNAと一致するようにある点において切断される。
【0045】
また、マーキングレーザー36の高出力作動がSRSまたはハイラマンゲインを引き起こす場合、そのピーク出力が1110nmであるレーザーを他の出力波長へロビングし、SRSをフィルタにかけるようにファイバ格子フィルタがレーザー共振器に用いられ得るか、またはファイバ36は、コアあたりで適切な屈曲角において屈曲され得、ラマン波長の放出(ejection)を許容する。また、コア36Aの共同ドーピング(例えばEr:Yb)は、ラマン散乱からの軽減(relief)をも供給し得る。
【0046】
レーザーマーキングソース36としての二重クラッドファイバの使用は、単一モードファイバに対して、いくつかの利点を有する。第1に、32において単一モードポンプソースは要求されない。なぜなら、マルチモードがポンプ共振器に沿って伝搬するように、内殻ポンプクラディング36Bの開口数(NA)は、その直径という観点から非常に大きいためである。希土類のドープされたファイバ36の大きなスペクトル吸収バンド幅(例えば、Ybにおける吸収スペクトル)のために、ポンプソース波長に対する厳格な制御は要求されず、また不要である。
【0047】
第2に、二重クラッドファイバは、ポンプ光のほとんどを吸収するのに十分なファイバに対して、より多くの出力がファイバコアへ吸収され得るように、クラディング共振器のために、その全長に沿って本質的にポンピングされ、単一モードファイバを備えて可能な場合のものと比べ、はるかに高い電力ゲイン媒体を与える。また、YAGシステムにおいては、YAGロッドに沿ったポンプ長さは、実質的により小さく、YAGロッドの屈折率における変更または遷移をもたらすはるかにより大きなサーマルロードが存在し、このYAGロッドは、パルス−パルス電力における光非均一性を特徴とするモード歪みおよびパルス出力につながる。また、レーザーマーキング電力ソースとしての二重クラッドファイバの使用は、全体的な光変換効率を60%以上(これはCOおよびYAGレーザーを用いる従来の単一モード(TEM00)レーザーマーキングシステムよりも高い)まで増加させる。
【0048】
第3に、図3に示されるような、上記米国特許出願第09/050,386号において教示されるタイプのファイバが用いられる場合、より大量のポンプ出力が、比較的より短い長さの二重クラッドファイバに吸収され得る。このタイプの多角形内殻ポンプクラディング構成は、この特定のマーキングアプリケーションにおける二重クラッドファイバにとって好ましい実施形態であり得る。なぜなら、図3におけるクラディング構成80は、伝搬ポンプ光がより多くの異なる角度におけるインターフェースに沿って反射すること、ならびにコア36Aをより頻繁に十字に横切ることを引き起こし、より短い長さの二重クラッドファイバのコア36Aにおけるポンプ光吸収の量を大きく向上させる。しかし、他の多角形構成でも同じく機能する。しかし、図3の構成は、当該分野において内殻ポンプクラディングとして提案される他の多角形構成よりも製造が容易である。
【0049】
第4に、内殻ポンプクラディング36Bの大きなNAは、内殻ポンプクラディング36Bの入力端部を備えるポンプレーザーソース32のより良好なアスペクト比の一致を可能にし、ポンプレーザーソースとファイバ間のより効率的な連結をもたらす。
【0050】
第5に、単一レーザーバー、または15Wから30W以上の送達電力出力能力のある他の高出力レーザーソースによりポンビングされるシステム30は、COおよびYAGレーザーシステムにおける寿命有用性を改良する一方で、システムの複雑性を低減し、COまたはYAGレーザー単一モードを使用する(TEM00)レーザーマーキングソースに使用されるような大量の電源、冷蔵チラー、および独立したレーザーヘッドを必要としない。
【0051】
図2を再度参照すると、二次元スキャナ40は、市販で入手可能なデバイスであり、本実施形態においては、マサチューセッツ州、WatertownのGeneral Scanning, Inc.から入手できるModel No. HPM10A光スキャンヘッドである。レーザーマーキング出力ビーム44は、X軸およびY軸に一つずつ、一組の高速回復検流計ミラーの使用を介して、スキャナ40の入力開口において受け入れられる。スキャナ40からのフォーカスされた出力ビーム42は、二次元においてスキャンされ得、マーキングされる商品60の表面62であるイメージ平面におけるスポット66にフォーカスされ得る。商品60は、一連の商品60を移動させるコンベヤシステム63の上に位置づけられ得る。この商品60は、当該分野において公知のように、一度につき1つ、識別印64をマーキングするためにスキャンビーム42の下に位置づけられる。イメージ平面におけるスキャナ40の作業フィールドは、平方もしくは矩形であり得、これらはスキャナ40の出力に用いられる、選ばれたフラットフィールドレンズにより、約60nmから約180nmの側面のサイズ内で変化し得る。図2において、フォーカスされたスキャンビーム42は、文字「D」の第2のストローク65を完了するプロセス中において示されており、その第1のストローク64はすでに完了している。
【0052】
レーザービーム42の電力出力は、5Wから20W以上の範囲内にあり、商品60の上面62から薄い表面層を気化させることができる。商品60は、例えばカーボン等のフィラーを備えたプラスチック樹脂材料を含むカプセル化集積回路チップであり得る。スキャンビーム42は、薄い表面層を樹脂パッケージから気化させ、これにより表面62とは目に見えて異なる反射コントラストである下層を露出させる。そして識別印が裸眼でも識別できるようになり、容易には除去できず、またこすれて消えることのない永続的なマークを提供する。このプロセスにおいて、付加的なプリント媒体またはインクは全く必要ではない。より重要なことには、パッケージからの大きく、深い物質の除去が必要ではない、もしくは望ましくないことである。高出力COまたはYAGレーザーマーキングシステムは、しばしば商品の表面からの物質を除去し、識別印マーキングを形成する商品表面に、50μmから100μmほどの深さで穴および溝を形成する。システム30において、識別印65のストロークを形成する穴および溝は、約6μmから27μmの範囲内にあり、この範囲の高い方の端は、識別印ストロークが互いに触れるか、もしくは横切る場合である。高出力COまたはYAGレーザーマーキングシステムに伴うより大きな穴または溝から形成される破片は著しく、マーキングサイトでの真空クリーニングを必要とする。しかし、システム30におけるマーキングビームは、はるかにより少ない量の物質を表面から気化し、且つその量は商品表面上に目に見える識別可能な識別印を形成する反射コントラストを達成するのに十分である。従って、本発明のファイバレーザーマーキングシステムにおいては、余分な真空クリーニングは主な要件ではない。
【0053】
上記例が集積回路チップアプリケーションに関する一方、レーザーマーキングシステム30は、マーキング他の物質(例えば、金属、セラミック、木材、ガラス、および他のプラスチック)をマーキングするために用いられ得、それゆえ、上述のアプリケーションのみに限定されない。
【0054】
さらに図2を参照すると、レーザーマーキングシステム30のコントローラ50は、スキャナ40へライン59を介してデジタル信号制御を供給する、従来の回路機構を含むパーソナルコンピュータ51を備える。制御機能は、スキャニングシステムとして当業者には標準且つ公知であり、そしてPC-MARKTMまたはPC-MARK MTTMおよびJOB EDITORTMと称する、スキャナ製造者により提供されるソフトウェアと、カリフォルニア州、San JoseのSDL,Inc.から入手可能であるRJETM、WINLASETMおよびWINICTMと称する機械およびユーザインターフェースソフトウェアとを用いるコンピュータRS-232インターフェースを通してアクセス可能である。
【0055】
本発明の重要な特徴は、レーザーソース32の電流を制御するための閉ループフィードバック回路であり、特にシステム30が、マーキング出力44(これは識別印を形成するためのストロークを形成するようにスキャンされたか、もしくはスイープされたもの)を形成するようにレーザーポンプソース32を切り換えることにより、パルスモードで作動する場合、あるいは要求に応じてオンとなる電力を伴い作動する場合に特に重要である。システム30は、商品表面上の連続的なマーキングコントラストレベルをもたらすパルス速度または周波数、およびデューティーサイクルに関わらず、マーキングエネルギーの安定したレベルを提供する。これは重要な要因であり、例えば音響光変調器による、マーキングレーザーの出力ビームよりもむしろ、その光ポンプソースを介してポンプソースを変調することにより変調されるファイバマーキングレーザーにより特徴づけられる、レーザーマーキングシステムにおいて達成される。図2において、マーキング出力44の強度は、この目的のために光および信号フィードバックを介して制御され、レーザーソース32を作動するための電流供給を制御する。コントローラ50は、光検出器48からライン58上のフィードバック信号を受信するための制御回路機構52を含む。光検出器48は、全出力の出力強度に比例するマーキング出力44の小さな一部をビームスプリッタ46を介して受信する。光検出器48は、電気的信号をライン58を介して回路機構52を制御するように供給し、回路機構52は、ドライブ電流信号をレーザーソース32へ出力44の強度に比例して供給する。より詳細に後述するように、ドライブ信号のレベルは、基準を備える光検出器48からのフィードバック信号との比較により決定される。
【0056】
このタイプの制御が、44において存在するマーキングレーザー36からの出力がある場合によく機能する一方で、このことはシステム30がCW作動でない場合、常にそうであるとは限らない。しかし、システム30の1つの利点は、マーキング電力が要求(すなわち、識別ストロークが形成されるとき)に応じてのみ供給されるように、パルスモードで作動することである。しかし、要求に応じてオンとなる電力が用いられる場合とは、すなわち、レーザーポンプソースがパルスモードで作動しストロークまたはベクトルを一連のマークとして形成する場合か、あるいはレーザーが各識別印ストロークまたはベクトルの始まるときおよび終わるときに、それぞれONおよびOFFとなる場合という、2つの状況の内の1つである。これらの状況のいずれにおいても、レーザーポンプソース32を作動させるドライブ回路に供給される、各パルスまたはエネルギー信号の始まりに存在する出力44は全くない。従って、制御回路機構52を介して出力44を監視し、制御するための光フィードバックは、この時点においては全くあり得ない。よって、出力44の向上したより速いON時間(これはレーザーポンプソース32の作動とマーキングレーザー36との間のより少ない遅延をも提供し、ならびに全強度へより急に上昇するON時間を有する)を形成するために、図4に示されるパルス制御回路機構90が利用される。回路90の1つの目的は、ターンオン信号がレーザーポンプソース32へ送信されるとすぐに、ファイバマーキングレーザーに対するできるだけ多い瞬時のターンオン時間を供給すること(すなわちマーキング出力44を作製する際に、より方形パルスON時間を生成すること)である。回路90の他の重要な目的は、ファイバマーキングレーザー36の出力44における各ターンオン時間の立ち上がり時間の始まりに存在するオーバーシュートを減衰させることである。本明細書中で使用されている「ON時間」とは、レーザーポンプソースに供給される際の最大レベルへの電流の立ち上がり特性、ならびにファイバマーキングレーザー36により生成されるマーキング出力44の持続性強度レベルへの立ち上がり特性を意味する。「ON時間周期」とは、ファイバマーキングレーザー36またはレーザーポンプソースが出力を生成している時間を意味する。
【0057】
図4を参照すると、パルス制御回路機構90は、電流ドライバ回路102により供給されるライン104からの入力、電流信号I(s)が供給される半導体レーザーポンプソース92を示す。ソース92からの光出力は、二重クラッドファイバマーキングレーザー94(遅延時間または反転分布機能93を有し、誘電されたレーザー作動95を供給し、96において光パワー出力P(s)を生成する)に入力されるように供給される。すでに示したように、周波数または光出力のデューティーサイクルに関わらず、出力96の一部は、この出力の強度の制御に対するフィードバックである。光学的なものから電気的信号および振幅への信号変換は、回路98においてなされ、ライン99のこの電気的フィードバック信号は、101における基準信号R(s)との比較のためにコンパレータ100への入力として供給される。この回路機構は、よってマーキングレーザー94の出力強度を監視するための手段を提供し、そして適切なドライブ電流信号I(s)を生成するためにコンパレータ100からの信号をドライブ回路102へ供給し、光出力信号P(s)の継続時間中、定常状態の強度を維持する。しかし、遅延93のためにすでに示されたように、レーザーポンプソース92のON時間用にスタートするための電流の量の初期決定をするための、96における初期の出力は全くない。結果として、レーザーポンプソース92の電源は、マーキングレーザー94からの光パワー出力ON時間の開始の際の96における光出力のオーバーシュートを引き起こす。また、ソース92のON時間とマーキングレーザー94からの光パワー出力との間の遅延に関して、この遅延をできるだけ小さくし、ならびにポンプソース92(マーキングレーザー94からの光パワー出力ON時間の開始の対応している急な立ち上がり時間へ光学的に変換する)用のON時間の立ち上がり時間を供給する。さらに、出力44の立ち上がり時間は、平方ではない。しかし、回路90のオーバードライブ回路105は、これらの点の各々を改善するための方法を提供する。
【0058】
オーバードライブ回路105は、補償回路106および非線形機能デバイス108を備え、電流信号I(s)のON時間の小さなオーバードライブ(すなわち、信号I(s)の立ち上がり時間中)を供給する。回路106は、所定周期の時間内(例えば、約50マイクロ秒から約80マイクロ秒の範囲内)において信号I(s)の速い立ち上がり時間に応答する回路であり、出力信号を非線形機能デバイス108へ供給する。デバイス108は、一組の反対に連結されたバイポーラダイオードから構成され得、このバイポーラダイオードは、順方向および逆方向バイアスしきい値をそれらの間にしきい値ギャップ域(ここでフィードバックライン99上の信号出力として電流が流れることは許容されない)を備えて有する。従って、オーバードライブ回路105は、光出力96が開始する前であり、且つ電流信号I(s)に基づく電流信号立ち上がり時間の終了が、ライン104を介して電気的信号(このコンパレータ100への周期時間中、フィードバックライン99上の散逸パルスを生成するしきい値よりも上である)をデバイス108へ供給する前に、電流ドライバ回路102が、そのON時間信号I(s)により、最も速い速度で開始することを部分的に可能にする。コンパレータ100は、この減衰信号109(これは電流信号I(s)の立ち上がり速度を、そのピーク値に達する前に減衰し始める)により、作動し始める。信号109の減衰が散逸し終えたときには、96におけるファイバレーザー94からのピーク光出力は、回路98を介して感知されており、回路98からのライン99を介したフィードバック信号は、コンパレータ100へのフィードバックの機能を引き継ぐ。
【0059】
図5Aから5Dは、一連のパルス図を示し、ここで曲線110Aから110Dはほぼ20A、20A、10A、5Aの各ピーク値における電流信号I(s)を示し、112Aから112Dは出力電力8W、8W、4Wおよび2Wに対応した光出力信号P(s)である。図5Aは、非線形機能デバイス108がない場合であり、図5Bから5Dは、8W、4Wおよび2Wの各光出力電力におけるオーバードライブ回路105における非線形機能デバイス108がある場合である。非線形性および他の二重クラッドファイバの非均一性によるものと考えられる全ての場合における光出力信号P(s)の特性が、ON時間中の光信号立ち上がりの頂点における共振またはリプル114Aから114Dであり、共振は短い周期の時間に渡って定常状態のピーク電力条件へ減衰することに注目されたい。この共振の時間間隔は、100マイクロ秒ほど小さくあり得、概して500マイクロ秒よりも小さい。この共振114Aから114Dは、特に、リプル時間周期が、スキャナ40内の検流計ミラーを動かし、位置づけする慣性時間よりも小さいことから、マーキングプロセスの性能に対する実質的な影響は全く有さないことがわかっている。
【0060】
注目されたいことは、図5Aの8Wにおける信号I(s)およびP(s)のON時間を、図5Bの8Wにおける同じ信号と比較した際の差異である。この差異は、すでに示したとおり、3段階(three-fold)である。第1に、図5Aの電流信号の立ち上がり時間は、図5Bのものよりも時間的に長い。第2に、図5Aの電流信号110Aと光出力信号112Aの立ち上がり時間との間の遅延115Aは、図5Bの遅延115Bよりも長い。第3に、116Aにおける光出力信号112Aの立ち上がりは、116Bにおける光出力信号112Bの立ち上がりよりもより角度のある勾配である。信号112Bの立ち上がり116Bは、直線的な垂直の時間立ち上がりに近い。図5Cおよび5Dの場合にも、同じことが当てはまる。オーバードライブ回路105は、コンパレータ100の作動により、出力96からのフィードバックの影響下の回路機構作動に先だって、電流ドライバ信号I(s)を減衰させ、図5Aに示す初期信号共振114Aの大きなオーバーシュート113の平均値を信号振幅のほぼ10%以下に制御する。図5Aの場合において、平均オーバーシュートは、ピークの1%のファクタであり得、そして信号112Aは、約8Wの定常状態に落ちつく。図5Bから5Dからわかるように、初期ピーク共振は、図5Aのものよりも顕著に小さく、電流信号I(s)の大きさに依存していることを示している。
【0061】
オーバードライブ回路105は、以下の方法において機能する。図2のコントローラ50のようなコントローラがマーキングプロセスを開始するための起動信号(activation signal)を供給する場合、制御回路機構52は、ドライブ回路102に電流信号I(s)を供給させ、レーザーポンプソース92を起動する。光出力信号P(s)が存在しないため、電流信号I(s)の立ち上がりは、初期に、ポイントに到達するまでの時間において急速に起こり、オーバードライブ回路105への十分な大きさのこの信号の入力を介して、デバイス回路108にそのしきい値まで到達させ、フィードバックライン99上のコンパレータへの信号の供給を行わせる。このことは、例えば図5Bに見られるように、光出力信号96のON時間の始まりの前に起こる。図5Bにおいて、118Bにおける電流信号立ち上がりがここでそれほど勾配していないことがわかる。電流信号I(s)の立ち上がり時間の残余に渡り、オーバードライブ回路は減衰信号をコンパレータ100を介して、光出力信号112BのON時間が終了するまで供給し続け、そして光フィードバックがコンパレータ100を介して用いられ、信号出力の定常状態条件を制御する。言い換えると、コンパレータ100は、電流信号I(s)の立ち上がり時間においてかなり早くに、且つ96における光信号出力からのいかなる利用可能なフィードバックに先だって、比較分析を開始する。
【0062】
本発明のファイバマーキングレーザーの重要な特性は、YAGレーザーマーキングシステムのものと比べ、ファイバレーザーからの光出力において顕著にノイズが低減することである。マーキング出力は、YAGレーザーからのものと比べ、マーキングストロークまたはベクトルの長さに沿ってより均一である。YAGレーザーシステムにおけるQスイッチのパルス−パルスノイズは、はるかにより雑音がある。このことは、図6および7に示される、本発明のマーキングレーザーシステム30により形成されたストローク、およびNd:YAGシステムのもののそれぞれにおける実際のマーキングプロフィールで図示される。結果的マーキングの断面プロフィールは、プラスチック商品表面を含む同じ商品における両方のケースにおいて、それらの図中に示される。図6に示すように、ファイバマーキングレーザーにより生成されたマークの深さは、マークの深さの幅に渡り顕著により均一であり、YAGマーキングレーザーによるものよりも全体的深さがはるかに少ない。特に、ファイバレーザーの平均マーキング深さ幅は、8μmよりも小さく、平均マーキング深さよりも約1.5倍だけ大きなピーク値を備える。一方、YAGマーキングレーザーの平均マーキング深さ幅は10μmよりも大きく、マークの深さのプロフィールの始まりおよび終わりに現れる平均マーキング深さよりも2から3倍大きなピーク値を備える。結果として、YAGマーキングレーザーのマーキングプロフィールは、本発明のファイバマーキングレーザーにより得られるものほど正確ではなく、マーキングプロフィールの均一性における改良を理由に、本発明は、YAGマーキングシステムにより生成されたものに関して、見る者にとって総体的に改善されたマーキング視感性を提供する。
【0063】
本発明のレーザーマーキングシステムの作動において、システムが最後のマークコマンドから1秒以上アイドリングしている場合、第1のマークコマンドの開始のために、コントローラからマーキングされる第1のストロークの全長を生成するに十分な光出力96を供給しない傾向がある。その後、スキャナおよびポンプレーザー92の変調によるマーキングビームの連続的なスイープにより、識別印を形成するためのマーキングストロークは、実質的に全ての適切に規定された長さである。そのような場合における長さの短い第1のストロークの補正は、第1のマーキングコマンドの開始に先だって、コントローラによりドライバ回路に供給された第1のダミーパルスを供給することにより補償され得る。このダミーパルスは、電流パルスをポンプレーザー92へ供給するための第1のマーキングストロークコマンドの完了と共に、商品表面上に印刷される識別印のための初期ストロークの全体および完全なマーキングの長さを形成するに十分な、96におけるファイバレーザー94からの光出力を供給する。また、レーザーマーキングシステム90がある周期時間の間(例えば1秒以上)アイドリングのままであり、初めに予め条件づけされたパルスをレーザーダイオードソース92へ、第1のマークコマンドの開始に先だって、システムコントローラの制御下の電流ドライバ回路102を介して供給し、マーキングされる識別印の第1のストロークを印刷する場合にも提供されることは、本発明の範囲内にある。この予め条件づけされたパルスは、レーザーポンプソース92に短い持続時間の高い強度の光パルスを二重クラッドファイバレーザーへ生成させるのに十分な短いパルスであり、第1のマークコマンドの開始に数マイクロ秒先だって、もしくは予め条件づけされているパルスのせいでファイバ内の残留エネルギーが散逸する機会を有する前の時間周期において、ファイバ中のいくつかの初期反転分布を提供する。ファイバ94内のエネルギーがいくらかの光出力をASEの形において、あるいは低いエネルギーレベルの光パルスでさえも供給し得、そのエネルギーはマーキングされる商品表目上のマークを生成するのに十分でない。しかし、ファイバ内の残留エネルギーの存在は、初期マーキングストロークが遅れずに始められるように「ヘッドスタート」を供給し、生成される初期マーキングストロークの全長を完成する。
【0064】
本発明を1つ以上の好適な実施形態と合わせて説明してきたが、他の代替、変更および改変が、上述の記載に照らして明らかに本発明の精神および範囲内であることは、当業者にとって明らかである。従って、本明細書中に記載の本発明は、以下の請求の範囲の精神および範囲内にあり得るそのような全ての代替、変更および改変を包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明を含むレーザーマーキングシステムの模式的なブロック図である。
【図2】図2は、図1に示される本発明の具体的な実施形態である。
【図3】図3は、本発明のアプリケーションにおけるレーザーマーキングシステムにとって好ましい二重クラッドファイバの断面図である。
【図4】図4は、本発明およびその後から信号消滅までのその定常状態制御を含む、レーザーマーキングシステムの電流信号のON時間のポンプレーザーソースへの補償のための回路の模式図である。
【図5】図5Aから5Dは、図4に示す回路における電流ドライバ信号I(s)および光出力信号P(s)の両方に対する一連の立ち上がりON時間である。図5Aは、光出力信号P(s)が8Wであり、且つ図4の回路が用いられていない場合である。図5Bは、光出力信号P(s)が8Wであり、且つ図4の回路が用いられている場合である。図5Cは、光出力信号P(s)が4Wであり、且つ図4の回路が用いられている場合である。図5Dは、光出力信号P(s)が2Wであり、且つ図4の回路が用いられている場合である。
【図6】図6は、本発明のファイバマーキングレーザーシステムを使用して、商品表面に形成されるマークのプロフィールを示す実際のグラフィックである。
【図7】図7は、当該分野において公知のNd:YAGマーキングレーザーシステムを使用して、商品表面に形成されるマークのプロフィールを示す実際のグラフィックである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別可能な印を表面に形成するレーザーマーキングシステムであって、
該レーザーマーキングシステムは、
マーキング光ビームを提供するファイバレーザーと、
制御信号に依存して該ファイバレーザーを光学的にポンピングするポンプレーザーと、
該制御信号を該ポンプレーザーに提供するパルス制御回路と、
該識別可能な印を該表面に形成するように該表面において該マーキング光ビームをスキャンするスキャナと
を備え、
該パルス制御回路は、フィードバック回路を有し、該フィードバック回路は、該マーキング光ビームの光出力レベルを所望の光出力レベルと比較し、該マーキング光ビームの光出力レベルを該所望の光出力レベルにもっていくように光学的なポンピングを調整する、レーザーマーキングシステム。
【請求項2】
前記フィードバック回路は、前記所望の光出力レベルが段階的に増加するときに観察される前記マーキング光ビームの光出力の振動の大きさを低減するオーバードライブ回路を備える、請求項1に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項3】
作動中に、前記オーバードライブ回路は、前記マーキング光ビームの光出力のON時間の立ち上がり中に該マーキング光ビームの光出力の振動の大きさを低減する、請求項2に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項4】
作動中に、前記オーバードライブ回路は、前記マーキング光ビームの光出力のON時間の立ち上がり時間を低減する、請求項3に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項5】
前記オーバードライブ回路は、入力と出力とを有する補償回路と、入力と出力とを有する非線形機能デバイスとを備え、該補償回路の出力は、該非線形機能デバイスの入力に結合されており、
作動中に、該補償回路は、補償期間中に該補償回路の入力において信号を受信すると該補償回路の出力において出力信号を生成し、該非線形機能デバイスは、該非線形機能デバイスの入力において該補償回路から信号を受信すると該非線形機能デバイスの出力において出力信号を生成し、
該非線形機能デバイスの該出力信号の大きさは、該補償回路からの該非線形機能デバイスによって受信された信号の大きさの非線形関数である、請求項4に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項6】
前記補償期間は、前記マーキング光ビームの光出力のON時間の立ち上がり時間よりも長い、請求項5に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項7】
前記補償期間は、100ミリ秒よりも長いが、500ミリ秒よりは短い、請求項5に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項8】
前記ファイバレーザーのON時間の間に前記表面において前記マーキング光ビームをスキャンするように前記パルス制御回路および前記スキャナを制御するコンピュータをさらに備える、請求項1に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項9】
前記ファイバレーザーは、反転分布によって特徴付けられるドーピング物質を含有するコアを有する光ファイバを含み、作動中に、前記ポンプレーザーは、該反転分布を増加させるように事前調整光パルスを提供する、請求項1に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項10】
0.5秒よりも長い時間にわたって前記ポンプレーザーが前記ファイバレーザーをポンピングしなかった場合は必ず、前記事前調整光パルスが提供される、請求項9に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項11】
前記ファイバレーザーは、コアと、内殻クラッドと、外殻クラッドとを有する二重クラッド光ファイバを含み、前記ポンプレーザーは、該二重クラッド光ファイバの該内殻クラッドに光学的に結合されている、請求項3に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項12】
前記内殻クラッドは、非円形の断面を有する、請求項11に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項13】
前記内殻クラッドは、多角形の断面を有する、請求項12に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項14】
前記内殻クラッドは、八角形の断面を有する、請求項13に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項15】
前記レーザーマーキングシステムは、再位置合わせが必要なくなるように、前記スキャナの光入力と維持された関係で前記マーキング光ビームを位置合わせする際の柔軟性を提供する、請求項1に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項16】
前記ファイバレーザーは、単一モードのファイバレーザーである、請求項11に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項17】
前記光ファイバは、単一モードの二重クラッド光ファイバである、請求項16に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項18】
前記ポンプレーザーは、ダイオードレーザーであり、前記制御信号は、電流信号である、請求項1に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項19】
前記ダイオードレーザーは、単一エミッタのレーザーダイオードである、請求項18に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項20】
前記ダイオードレーザーは、複数エミッタのレーザーダイオードバーである、請求項18に記載のレーザーマーキングシステム。
【請求項21】
前記ポンプレーザーは、ダイオードレーザーによってポンピングされるファイバレーザーであり、前記制御信号は、該ダイオードレーザーによって提供される電流信号である、請求項1に記載のレーザーマーキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−50916(P2009−50916A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225331(P2008−225331)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【分割の表示】特願平11−500856の分割
【原出願日】平成10年5月26日(1998.5.26)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】430 N. McCarthy Boulevard, Milpitas, California, 95035, USA
【Fターム(参考)】