説明

レーザ光源

【課題】低電圧で高速な出力変調を可能とする固体レーザ光源を提供すること。
【解決手段】前記課題を解決するために、固体レーザ結晶と固体レーザ結晶を励起するための励起レーザと固体レーザ結晶を発振させるための共振器と、固体レーザ結晶の発振・停止を制御するための電気光学素子からなり、共振器を構成する反射ミラーの少なくとも一つのミラーは凹面ミラーとし、固体レーザ結晶と電気光学素子は反射ミラー対の間に配置され、電気光学素子は自発分極が反転した領域が形成されており、自発分極が反転した領域と反転していない領域との境界面が共振器を構成する反射ミラー対の中心を通る軸に対して少なくとも1つの面が垂直でも平行でもない面が形成されていることを特徴とし、電気光学素子に電界を印加することで、共振状態を変化させ出力変調動作を行なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出力変調可能なレーザ光源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでに、レーザ光源の出力変調方法として多くの提案がなされている。例えば、半導体レーザを用いて、駆動電流を直接変調する方法は、構成が単純で数GHzの変調速度を得ることが可能である。しかしながら、半導体レーザの発振波長は、材料固有のエネルギーバンドギャップで決定され、発振できない波長があるという欠点を持つ。半導体レーザで発振できない波長のレーザ光を得るために、固体レーザ光源も提案されている。固体レーザにおける出力変調動作手法としては、例えば、特許文献1では固体レーザ結晶を励起する励起半導体レーザ(励起LD)の出力を変調することで、固体レーザの出力を変調する構成が提案されている。また、特許文献2では、偏光子と複屈折率により偏向を回転する素子(偏光回転素子)を用いた構成で固体レーザの出力変調を行う方法が提案されている。
【0003】
また、波長変換素子を固体レーザの共振器内部に配置することで、任意の波長へ変換する波長変換レーザも提案されており、紫外〜可視光域の様々な波長のレーザが実現されている。波長変換レーザにおける出力変調動作手法としては、固体レーザと同様の手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−232486号公報
【特許文献2】特開平4−221941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、固体レーザ結晶の蛍光寿命がμsオーダーと長いため、出力変調の変調速度が1MHz程度のサイン波までしか追従できないという課題があり、走査型ディスプレイのような用途への利用ができない。一方、特許文献2の構成では、偏光を回転する素子の駆動電圧が高いという課題がある。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、低電圧で高速な出力変調を可能とする固体レーザ光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のレーザ光源は、固体レーザ結晶と、前記固体レーザ結晶を励起するための励起レーザと、前記固体レーザ結晶を発振させるための共振器を構成する反射ミラー対と、前記固体レーザ結晶の発振・停止を制御するための電気光学素子を備え、前記共振器を構成する反射ミラー対のうち、少なくとも一つの反射ミラーは凹面ミラーであり、前記固体レーザ結晶と前記電気光学素子は、前記反射ミラー対の間に配置され、前記電気光学素子は、前記固体レーザから発振された光が通過する領域に対して、自発分極と平行な方向に電界を印加するための電極を備え、前記電気光学素子は、自発分極が反転した領域を持ち、前記電気光学素子に電界を印加することで、前記共振器の共振条件が外れ、前記固体レーザ結晶の発振が停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固体レーザ結晶の発振・停止を制御するための電気光学素子に印加する電圧を低減することができる。また、出力停止のために必要な電圧の電気光学素子温度や波長による依存性を低減し、スペクトル幅の広がりを持つ光が入射したときでも、電気光学素子を用いて低電圧で発振・停止の制御を行なう事ができる。本発明を用によれば、出力変調動作が可能な固体レーザ光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーザ光源の構成の一例を示す模式図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における凸レンズ形状の分極反転を形成した電気光学素子の一例を示す模式図(b)本発明の実施の形態1における凸レンズ形状の分極反転を形成した電気光学素子の断面の一例を示す模式図(c)本発明の実施の形態1における電気光学素子への電界印加系の一例を示す模式図
【図3】(a)本発明の実施の形態1における三角形状の分極反転を形成した電気光学素子の一例を示す模式図(b)本発明の実施の形態1における1方向のみに光を屈折させるための分極反転領域を形成した電気光学素子の一例を示す模式図(c)本発明の実施の形態1におけるC軸方向に光を屈折させることができるように分極反転を形成した電気光学素子の一例を示す模式図
【図4】電気光学素子の相互作用長と凸レンズ効果による焦点距離の関係の一例を示す図
【図5】共振器の光学距離と共振器内における基本波のビーム直径の一例を示す図
【図6】共振器長と出力変調に必要な電界強度の関係の一例を示す図
【図7】共振器長と出力変調に必要な電圧の関係の一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態2におけるレーザ光源の構成の一例を示す模式図
【図9】本発明の実施の形態3におけるレーザ光源の構成の一例を示す模式図
【図10】(a)本発明の実施の形態3における共振器の近軸光線解析の一例を示す模式図(b)本発明の実施の形態3における共振器の等価光学系の一例を示す模式図
【図11】特許文献2の偏光回転素子を用いた構成を示す模式図
【図12】特許文献2の偏光回転素子を用いたときの基本波波長と偏光子透過率の相互作用長依存性を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
初めに、従来の出力変調方法として、特許文献2の偏光回転素子を用いた方法について図11を用いて説明する。図11は特許文献2において提案されている出力変調方法を実現するための構成を模式的に示した図である。ここでは、ニオブ酸リチウムのような1軸性強誘電体結晶を用いた偏光回転素子について説明する。偏光回転素子は、偏光回転素子のC軸1101に対して平行方向の偏光成分を持つ光(以下、異常光と称す)に対する屈折率(以下、異常光屈折率と記す)と垂直方向の偏光成分を持つ光(以下、常光と称す)に対する屈折率(以下、常光屈折率と記す)との差(以下、複屈折と記す)を利用して異常光と常光の位相差を生み出し、偏光を回転させる。このような素子に対し、C軸に対して偏光方向が45度傾いた光1103を入射する。入射した光1103は、偏光回転素子1100である結晶内で、異常光と、常光に分かれて伝搬する。異常光と常光の位相差が偏光回転素子1100内でπとなったとき、偏光回転素子1100から出射される光は入射した光の偏光に対して90度回転した光1105となる。一方、異常光と常光の位相差が偏光回転素子1100中で2πとなるとき、出射される光は入射した光と同一の偏光方向を持つ光1104となる。
【0012】
電気光学効果を有する強誘電体結晶を用いた偏光回転素子においては、偏光回転素子1100のC軸1001に平行となる電界を印加することで複屈折率差を変化させ、異常光と常光の位相差を制御する事が出来る。異常光と常光の位相差がπ(ラジアン)となるときの電圧を半波長電圧といい、偏光回転素子1100のC軸方向の厚みをa、相互作用長をb、異常光屈折率をn、常光屈折率をno、電気光学定数をr33、r13とすると、下記の数式1で表すことができる。
【0013】
【数1】

【0014】
偏光回転素子1100を用いて共振器型固体レーザの出力変調を行なうには、偏光回転素子1100と偏光子1102を共振器内に配置する。この時、偏光子1102は偏光回転素子1100に入射した光に対して透過率100%となるように配置する。偏光回転素子1102に半波長電圧を印加することで、入射レーザ光の偏光方向を90度回転させ偏光子の透過率が0%となり、レーザ光源の出力が停止するという仕組みになっている。
【0015】
上記特許文献2に提案された出力変調方法では、偏光回転素子1100を構成する電気光学結晶の屈折率が素子温度で変化すると、半波長電圧がずれることにより偏光回転角が所望の角度とならず、出射光の一部が偏光子を透過してしまうため、レーザ光源からの出力を完全に停止することができなくなるという課題があった。
【0016】
一方、レーザ光源からの光出力を停止させるための電圧を低減するには、半波長電圧を低減する必要がある。数式1からわかるように、半波長電圧を低減するためには、偏光回転素子1100のC軸方向の厚みを薄くして電極間隔を近づけるか、偏光回転素子1100の相互作用長を長くすることが必要となる。しかしながら、偏光回転素子1100のC軸方向の厚みが薄くなると、入射する光のビーム径を小さくする必要がある等の課題が発生する。
【0017】
また、一般に偏光回転素子1100の相互作用長を長くすると、偏光回転角の波長依存性が大きくなる。つまり、入射レーザ光波長変化やスペクトル幅拡がりに対する偏光子の透過率変動が大きくなる。このことを端的に示すものとして、波長1064nmの光の半波長電圧を印加したときの、偏光子の透過率と波長の関係を示したグラフを図12に示す。図12の実線は相互作用長が1mmの場合を示しており、また破線は相互作用長が10mmの場合を示している。グラフから明らかなように、例えば入射レーザ光波長スペクトル幅が±0.3nm程度(比較的狭い発振スペクトル幅を有するDFB半導体レーザの代表的な値)であったとしても、50%程度の光が透過してしまう。そのため、1064nmの光と1063.7nmの光を同時に発振停止させることが困難となり、1064nmと1063.7nmの光を同時に含むような波長スペクトル幅の広いレーザ光源の出力を完全に発振を停止させることができない。なお、一般に、偏光回転素子1100の相互作用長を長くすると偏光回転角の温度依存性も大きくなる。そのため、偏光回転素子の温度もしくは印加電圧をより高い精度で調整する必要が生じる。
【0018】
上述のように、特許文献2の構成では駆動電圧の低電圧化が困難な上、素子温度や波長スペクトル幅により、駆動電圧が変化するという課題が生じることが明らかになった。
【0019】
本発明では、上記課題を解決することを目的として、新しい出力変調機構を備えたレーザ光源を提案する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるレーザ光源の構成の一例を示す模式図である。また、図2(a)〜図2(c)は、図1に示す電気光学素子の構成例を示している。本構成例は、本発明を下記のみに限定するものではない。
【0021】
図1において、101は励起光1を出射する励起用半導体レーザ(以下、励起LDと称す)、102は集光レンズ、103は凹面ミラー、104は固体レーザ結晶、105は電気光学素子、107は電気光学素子105の自発分極が反転した領域(以下、分極反転領域と記す)、106は出射ミラーである。また、図2(a)は分極反転領域により入射レーザ光の集光状態を変化させる電気光学素子の全体図を示しており、図2(b)は図2(a)中のA−A‘面で示した電気光学素子の断面図を示している。また図2(c)は電気光学素子への電界印加系を示している。図2において、105は電気光学素子、107は分極反転領域、203は電気光学素子が持つ自発分極の方向、204は電気光学素子105へ電界を印加するための電極を示している。なお、励起LD101には波長808nm付近の半導体レーザダイオード、凹面ミラー104には曲率20.8mmの凹面ミラー、固体レーザ結晶104にはネオジウムドープのYVO(以下、Nd:YVOと記す)、105には分極反転領域107が形成されたMgOドープニオブ酸リチウム(以下、MgLNと記す)、106には平面ミラーを用いた。分極反転領域107は図2(a)中のx−z平面上で平凸レンズ形状になるように形成されており、凸側の曲率rは0.25mmとした。電気光学素子105の自発分極方向(図2(a)〜図2(c)中のy軸方向)の厚みは0.5mmとし、相互作用長方向(図2(a)〜図2(c)中のz方向)の長さは0.3mmとした。電気光学素子105へ電界を印加するための電極204は、電気光学素子105が持つ自発分極の方向203と平行に電界が印加されるように形成されている。また、固体レーザ結晶104の励起LD101側端面には励起光1と基本波2に対して低い反射率(Anti−Reflecting:以下、ARと記す)、となる誘電体多層膜(図示せず)が施されており、出射ミラー106側の端面には基本波2に対してARとなる誘電体多層膜(図示せず)が施されている。出射ミラー106の固体レーザ結晶104側には基本波2の一部を反射(反射率98%程度)する誘電体多層膜(図示せず)が施されている。また、凹面ミラー103と出射ミラー106とにより基本波2に対する共振器が構成されており、共振器を構成する凹面ミラー103の中心および出射ミラー106の中心を通る軸を共振器の光軸とする。なお、電気光学素子105の両端面には基本波2に対してARとなる誘電体多層膜(図示せず)を施してあり、電気光学素子105を共振器内に挿入することによる出力の低下を防ぐことができる。また、基本波2に対して共振器を構成する凹面ミラー103の凹面側と出射ミラー106のミラー面までの光学距離を共振器長とし、共振器長が19.5mmとなるように配置した。さらに、電気光学素子105の凹面ミラー側端面から凹面ミラー103までの光学距離を凹面ミラー103から電気光学素子105までの距離とし、18mmとなるように配置した。
【0022】
上記構成についてその機能を詳細に述べる。励起LD101から出射された励起光1は集光レンズ102を介して固体レーザ結晶104に入射される。入射された励起光1は固体レーザ結晶104の内部で吸収され、固体レーザ結晶104の発振波長である基本波2が自然放出される。電気光学素子105に電界を印加していないときには、光励起により発生した基本波2は凹面ミラー103と出射ミラー106の間で共振する。凹面ミラー103と出射ミラー106との間で基本波2が共振することで誘導放出が起こり、共振器内の基本波2が増幅される。増幅された基本波2の一部が出射ミラー106から出射されレーザ出力を得ることができる。一方、電気光学素子105に電界を印加した場合には、下記に示すように電気光学効果による電気光学素子105内での集光状態変化が発生し、基本波2の共振条件が成立しなくなるため、レーザ光源出力が得られなくなる。
【0023】
ここで、電気光学素子に電界を印加することによる、基本波2の共振状態の変化について説明する。共振器を構成する凹面ミラーの曲率をR、R2、共振器長をLとしたときの共振条件は、下記の数式2となる。
【0024】
【数2】

【0025】
本実施の形態では、共振器を構成する反射ミラーの1つは凹面ミラー、もう1つは平面ミラーを用いていることからR=R、R2=∞とすると、下記の数式3となる。
【0026】
【数3】

【0027】
数式3を変形すると下記の数式4となる。
【0028】
【数4】

【0029】
数式4を満たす状態、つまり共振可能な状態を安定状態と定義し、数式4を満たさない状態つまり共振不可能な状態を不安定状態と定義した場合、電気光学素子を用いて共振条件を安定状態から不安定状態へと変化させることで基本波2の発振・停止を制御することができる。本実施の形態では、この安定状態から不安定状態への変化を電気光学素子に形成された平凸レンズ形状の分極反転領域により切り替える。平凸レンズ形状の分極反転領域の凸側の曲率半径をrとする。電極はMgLNが持つ自発分極の方向と印加電界の方向が平行になるように形成されている。これは、MgLNが持つ最大の電気光学定数r33を用いることで、屈折率変化を最大にすることができるためである。電気光学効果により得られる屈折率変化量は、MgLNの自発分極と平行な偏光成分を持つ光を入射したときの屈折率(以下、異常光屈折率)ne、電気光学定数r33、印加電界強度をEとすると、下記の数式5となる。
【0030】
【数5】

【0031】
電気光学素子の表裏面に一様な電極を形成し電界を印加することで、未反転領域の屈折率は減少し、分極反転領域の屈折率は増加する。電気光学素子に電界を印加することで、図2(a)のx軸方向のみにレンズ効果を持つ平凸面のシリンドリカルレンズを挿入することと同様の効果(以下、凸レンズ効果と称す)を得ることができる。電気光学素子により得られる凸レンズ効果の焦点距離は近軸光線による解析から、下記の数式6となる。
【0032】
【数6】

【0033】
電気光学素子の凸レンズ効果により共振条件を不安定状態へと変化させている。電気光学素子に電界を印加した際の共振器は、等価的に曲率半径R´の凹面ミラーと平面ミラーによる共振器とみなすことができる。ここで、曲率半径Rの凹面ミラーと焦点距離fを持つ電気光学素子との距離をdとすると、下記の数式7となる。
【0034】
【数7】

【0035】
そのため、下記の数式8となることで不安定状態となり、基本波出力を停止させることができる。
【0036】
【数8】

【0037】
本発明のポイントは、電気光学素子105に分極反転領域107を形成し、反転領域と未反転領域に一様な電界を印加することで基本波2の共振状態を変化させ、レーザ光源出力を停止させている点である。この構成を採ることにより、一定の電圧(Vth)以上の電圧を印加することで発振を停止することができる。ここで、Vthは基本波波長がλ、電気光学結晶の温度がT1のとき、レーザ発振を停止できる最低の電圧と定義し、基本波波長がλからずれた(λ+Δλ)、電気光学結晶の温度がT1のとき、レーザ発振を停止できる最低の電圧をVth´と定義する。この時、V>Vth、V>Vth´を同時に満たす電圧Vが存在するため、波長λの基本波と、波長(λ+Δλ)の光が共振器内に同時に存在しても、波長λおよび(λ+Δλ)の光の発振を同時に停止することが可能となる。つまり、スペクトル幅拡がりを有するレーザ光に対しても一定以上の電圧を印加することでレーザ光源出力を停止することができる。なお、従来例では波長λのときの半波長電圧をVπ、波長λ+Δλのときの半波長電圧をVπ´とするとVπ≠Vπ´であるため、V=Vπ、V=Vπ´を同時に満たすVは存在しない。なお、電気光学素子105の温度が変化したときも同様である。Vthは基本波波長がλ、電気光学結晶の温度がT1のとき、レーザ発振を停止できる最低の電圧と定義し、電気光学結晶の温度がTからΔTずれた(T1+ΔT)のとき、レーザ発振を停止できる最低の電圧をVth”と定義する。この時、V>Vth、V>Vth”を同時に満たす電圧Vが存在するため、電気光学結晶温度がT1から、(T1+ΔT)のに変化しても、電気光学結晶にV以上の電圧を印加することで停止することが可能となる。つまり、電気光学結晶温度が変化してもレーザ光源出力を停止することができる。
【0038】
また、電気光学素子105を分極反転領域が形成された構成とすることで、従来の構成に比べて2倍の屈折率変化を得ることができ、より低電圧で基本波出力の発振・停止を制御することが可能な上、従来課題となっていた出力を停止するために必要な電圧の温度や波長に対する依存性を低減することができるという効果も得られた。我々の検討においては、上記構成における基本波出力停止に必要な印加電界強度は4000V/mmとなり、従来構成の偏光回転素子の長さが0.3mm時に必要な電界強度の10000V/mmと比較して4割ほどに低減することができるという知見が得られている。
【0039】
なお、本実施の形態では、電気光学素子の分極反転領域として、x−z平面上に平凸レンズ形状となる領域を1つだけ形成した場合について示したが、平凸レンズ形状の分極反転領域を光の伝搬方向に複数個並べることで、発振・停止を制御する駆動電圧をさらに下げることが出来る。複数個の平凸レンズ形状の分極反転領域を電気光学素子に並べたとき、電気光学素子全体で得られる凸レンズ効果は各平凸レンズ形状の分極反転領域に電界を印加することにより得られる凸レンズ効果の合成となる。具体的には2つの平凸レンズ形状(いずれも凸側の曲率半径がr)の分極反転領域を光の伝搬方向に距離0.1mmだけ離して配置したときの凸レンズ効果により得られる焦点距離Fは下記の数式9となる。
【0040】
【数9】

【0041】
平凸レンズ形状の分極反転領域が1つのときに比べ2つの平凸レンズ形状の分極反転領域を並べたときの方が、同じ焦点距離のレンズ効果は小さなΔnで実現できる。すなわち、屈折率変化量Δnを得るために必要な印加電界強度を低減することができる。一例として曲率0.25mmの平凸レンズ形状の分極反転領域を電気光学素子に複数個並べたときの凸レンズ効果の変化を図4に示す。前述したとおり、電気光学素子に凸レンズ効果を持たせることで共振条件を安定条件から不安定条件に変化させて基本波2の発振・停止を制御しているため、相互作用長を長くした場合であっても、必ずV>Vth、V>Vth´となる動作電圧Vが存在する。従って相互作用長は物理的に共振器に挿入可能な長さまで長くすることが可能となり基本波出力停止に必要な印加電界強度をさらに低減することが可能となる。
【0042】
上記構成において、電気光学素子に形成された平凸レンズ形状の分極反転領域の曲率を0.25mmとしたが、入射光ビームに対して十分大きな分極反転領域が得られる範囲内において、できる限り曲率を小さくした方が低電界の印加で発振・停止の制御が可能となるので望ましい。数式6から分かるとおり、電気光学素子に形成された平凸レンズ形状の分極反転領域の曲率rを小さくすることで、所望の凸レンズ効果を得るために必要なΔnは小さくなる。つまり、必要な印加電界強度が低くなる。分極反転領域の曲率rが取りうる下限は電気光学素子を通過する基本波2のビーム径できまり、基本波2のビーム半径の2倍以上とすると良い。なお、基本波2のビーム径はガウシアンビームの光強度が中心の光強度から1/e2に減少する半径もしくは直径とする。この時、光軸に対して垂直な断面において、ガウシアンビームはビーム径の2倍の領域内にビーム全体の強度の99.9%以上が含まれる。そのため、曲率rを基本波2のビーム半径の2倍にすることで、固体レーザから放出された基本波全体の強度の99.9%以上に凸レンズ効果を与えることができ、発振・停止の制御を行なう事が可能となる。
【0043】
また、上記構成では、電気光学素子の自発分極方向の厚みを0.5mmとしたが、より薄いほうが望ましい。印加される電界強度は、印加する電圧に比例し、厚みに反比例するため、厚みを薄くすることで、同じ電圧を印加したときの印加電界強度は大きくなる。電気光学素子の自発分極方向の厚みは曲率r同様に、基本波2のビーム径で決定される。電気光学素子の自発分極方向の厚さは曲率rと同様の理由から、基本波2のビーム直径の2倍以上にする事が望ましい。電気光学素子の自発分極方向の厚さを2倍にすることで、基本波2の99.9%以上を電気光学素子に入射することができる。そのため、電気光学素子挿入による損失が低減され、効率の低下を防ぐことができる。
【0044】
図7に、凹面ミラーの曲率Rは20.8mmとしたときの、共振器長とOFFするのに必要な電界強度の関係を示した。実線は本発明によるもの、破線は従来例によるものを示している。このとき、電気光学素子は基本波2のビーム径が一番小さくなる位置に配置した。また、曲率rはビーム半径の2倍、厚さはビーム直径の2倍とした。上記構成において、共振器の光学距離Lは19.5mmであるとしたが、本構成において、共振器の光学距離を曲率の0.88倍である18.4mm以上とすることで、従来構成と比較して低い電界強度で発振停止を実現することができる。凹面ミラーの曲率をRとしたとき、共振器の光学距離Lを0.88R<L<Rの範囲とすることで、従来例と比較して低電圧で電気光学素子を駆動することができる効果を奏する。そのため、共振器長は、0.88R<L<Rの範囲であることが望ましい。
【0045】
なお、共振器の光学距離を長くすることで発振・停止を制御する電圧を低減することができるため、共振器長は0.88R<L<Rを満たす範囲内でRに近い値となることが望ましい。数式4からわかる様にRを一定としたとき、Lが長くなれば数式4を満たすR´に必要なΔnが小さくなることが容易にわかる。すなわち、共振器の光学距離を長くする方が不安定状態になりやすいといえる。また、共振器の光学距離を長くすることで共振器内の基本波2のビーム形が小さくなり、分極反転領域の曲率rを小さくしたり、電気光学素子の自発分極方向の厚さを薄くしたりすることが可能となり、小型低コストな変調器が実現できるという効果が得られる。図5に共振器の光学距離と基本波2のビーム形の関係を示す。
【0046】
上述した効果をわかりやすくするため、電気光学素子に形成した分極反転領域の凸側の曲率rと電気光学素子の自発分極方向の厚みを固定して共振器の光学距離を変化させたときに基本波出力変調に必要な印加電界を示す。分極反転領域は曲率半径0.25mmとし、自発分極方向の厚さは0.5mm、相互作用長長は0.25mmとした。従来構成の偏光回転素子のC軸方向の厚みを0.5mm、相互作用長を0.25mmとして比較した。図6に従来例と本構成の基本波停止に必要な印加電界を示す。また、共振器内の基本波2のビーム径に応じて反転領域の凸側の曲率rと電気光学素子の自発分極方向の厚さ変えたときの比較は図7に示している。このとき、凹面ミラーの曲率Rは20.8mmとしたが、共振器の光学距離と同様に0.88R<L<Rを満たす範囲内であれば良い。
【0047】
なお、共振器の構成部材については、凹面ミラーの曲率を小さくすると光源を小型にすることができ、大きくすると印加する電圧を下げることができるといったそれぞれの利点があるので、使用に応じて最適に選ぶ必要がある。
【0048】
また、分極反転の領域は、平凸レンズ形状としたが、図3(a)に示すように三角形でも良い。効率的に共振状態を変化させるため、三角形の一つの頂点が光軸上にあり、この頂点の対辺となる辺303は光軸に対してほぼ垂直となるように配置する。この光軸に対してほぼ垂直になる辺の長さを基本波2のビーム直径の2倍としたとき、上記辺303と異なる2つの辺(図3中の辺304および辺305)から電気光学素子内の図3中y軸方向に形成される分極反転領域と未反転領域の境界面と基本波2の光軸との傾きをθとすると、0<θ<15°のとき平凸レンズ形状と同様の電圧で基本波出力の発振・停止を制御することができる。
【0049】
なお、図3(b)のように基本波が1方向のみに屈折するように分極反転を形成しても同様にスペクトル幅の拡大した基本波に対して、基本波出力を停止することができる。本構成例では、図3中のx軸方向に屈折させる構成を示したが、図3(c)のようにy方向に屈折するように分極反転領域を形成しても同様の効果を得ることができる。
【0050】
またさらに、固体レーザ結晶104を凹面ミラーに近いところに配置することで、共振器の光学距離を変えたときにも固体レーザ結晶104内で、(基本波のビーム径)>(励起光のビーム径)となり、励起光1から基本波2へ高い変換効率を保つことができる。固体レーザ結晶104の励起LD側の端面は基本波1064nmの光に対してARとしたが、HRとしても良い。これにより、固体レーザ結晶104端面と平面ミラー端面とで共振器を構成することができ凹面ミラーを省くことができ、構成を簡略化できるので望ましい。
【0051】
なお、共振器を構成するミラーは凹面ミラーと平面ミラーとしたが、凹面ミラー、凸面ミラー、平面ミラーの組み合わせても同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、固体レーザ結晶104はYVOとしたが、GdVOやYAGを用いても同様の効果が得られる。特に、波長依存性が小さいため2種類以上の固体レーザ結晶を用いて、基本波2のスペクトル幅が拡大したときや、基本波波長が複数波長となっても同様に基本波出力の発振・停止を制御することが可能である。また、電気光学結晶にはMgLNを用いたが、タンタル酸リチウム(LT)やマグネシウムドープLT(MgLT)やストイキオメトリックLT(sLT)やKTiOPO(KTP)結晶を用いても同様の効果を得ることが可能である。
【0053】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2におけるレーザ光源の構成の一例を示す模式図である。図8において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0054】
実施の形態1と異なる点は、基本波2を発生させるための共振器内部に基本波2の波長を変換する波長変換素子801を備えている点、出射ミラー106の誘電体多層膜を基本波2に対してはHRとし、波長変換された光(高調波)3に対してはARとした点である。
【0055】
波長変換素子801の固体レーザ結晶104側端面には少なくとも基本波2に対してはARとなる誘電体多層膜が施されている。なお、出射ミラー106の代わりに、波長変換素子の出射側端面に基本波2に対してはHR、高調波3に対してはARとなる誘電体多層膜を施しても良い。出射ミラー106を省略しても同様の効果を得ることが出来るため、構成を簡略化することができる。
【0056】
実施の形態2における構成の一例を示す。本構成例は、本発明を下記のみに限定するものではない。実施の形態1と異なる点は、基本波2の波長を変換する波長変換素子801を備えている点と、出射ミラー106を1064nm付近の光に対してはHR、532nm付近の光に対してはARとした点である。波長変換素子には周期分極反転を施したMgLN(PPMgLN)を用いた。共振器長や電気光学素子は実施の形態1と同様である。
【0057】
電気光学素子の動作は実施の形態1と同様である。電気光学素子105に電界を印加していないときには、出射ミラー106に施された誘電体多層膜が基本波2に対してはHRであるため共振した基本波2は共振器内部に閉じ込められる。閉じ込められた基本波2は共振器内部に配置された波長変換素子801によって波長変換され、高調波3が発生する。出射ミラー106は高調波3に対してARであるので、出射ミラー106を介して高調波3を出力として得ることができる。一方、電気光学素子105に電界を印加した場合には、基本波2の共振が起こらず、基本波2のレーザ発振が停止するため、基本波2から高調波3への波長変換も起こらず、出力が停止する。上記構成とすることで、半導体レーザや固体レーザで発振できない波長においても、出力変調可能なレーザ光源を得ることができる。
【0058】
また、基本波から高調波に変換する変換効率ηは、基本波のパワーをP、波長変換素子でのビーム断面積をAとすると、η ∝ P / A となる。そのため、高い変換効率を得るためには基本波のビーム径が小さなところに波長変換素子を配置することが望ましい。図5に示すとおり、凹面ミラー103と平面ミラー106で共振器を構成するとき、平面ミラーで基本波のビーム径が最小となる。そのため、波長変換素子は平面ミラーの隣に配置するのが望ましい。
【0059】
また、波長変換素子の出射端面側に基本波2に対するHR、高調波3に対するARの誘電体多層膜を施しても同様の効果が得られる。波長変換素子の出射端面側に基本波2に対してHRとなるような誘電体多層膜を施すことで、基本波2のビーム径は波長変換素子内で最小となる。そのため、基本波2から高調波3への波長変換効率が高くなるので望ましい。出射ミラー106を省くことができ、構成を簡略化できる点からも望ましい。
【0060】
また、波長変換素子と電気光学素子が一体化していても同様の効果を得ることができる。例えばMgLNのような電気光学効果及び非線形光学効果を同時に持つ結晶を用いて、固体レーザ結晶104側の領域を電気光学素子用の領域とし、出射側の領域を波長変換用の領域とすることで同様の効果を得ることができる。この構成により、波長変換素子の片面と電気光学素子の片面に誘電体多層膜を施す必要がなく、簡略化することができる点で望ましい。
【0061】
また、波長変換素子801にはPPMgLNを用いたが、周期分極反転構造を有したLT(PPLT)、PPMgLT、KTiOPO4、LiBなどを用いても同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、波長変換された高調波3が電気光学素子105に入射することで、所望の電圧をかけることができなくなることが明らかになった。これは、電気光学素子105に高調波3が入射することで、光吸収が起こり、結晶内のキャリアが励起され、絶縁体である電気光学素子105の抵抗が低下し、本来流れなかった電流が流れることで所望の電圧を印加することができなくためであるということが分かった。前記構成では、波長変換素子の固体レーザ結晶104側の端面は少なくとも基本波2に対してはARとなる誘電体多層膜を施しているとしたが、高調波3に対してはHRとなるような誘電体多層膜を施しているほうが望ましい。本実施の形態では、固体レーザ結晶104から出射ミラー106側に向かう基本波2だけでなく、出射ミラー106側から固体レーザ結晶104側へと向かう基本波2も波長変換素子により基本波2から高調波3へと変換される。この時、波長変換素子801の固体レーザ結晶104側の端面もしくは、電気光学素子の波長変換側端面に高調波3に対してHRとなるように誘電体多層膜を施すことで、高調波3が電気光学素子に入射することを防ぐことができる。この構成により、光吸収による電気光学素子の抵抗の低下を防ぐことができ、上記課題を解決できる点で望ましい。
【0063】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3におけるレーザ光源の構成の一例を示す模式図である。図9において、図1〜8と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0064】
実施の形態1,2と異なる点は、アパーチャー901を備えている点である。
【0065】
共振器内の基本波2は横モードがTEM00モードの発振が主であっても実際には高次の横モードを含んでいる場合がある。この時、出射される基本波2のビーム品質Mが低下する。なお、ビーム品質Mはレーザ光がTEM00モードのみを含む場合に1となり、それ以外の高次横モードを含むときには1より大きくなる。Mが1に近いほどビーム品質が良いとする。高次横モードの基本波2のビーム径がTEM00モードのビーム径に比べ共振器内で大きくなるため、共振器内に適当な大きさのアパーチャーを配置することにより、TEM00モード以外のモードに対する共振内の損失を増加させることができる。この構成により、高次横モードの発振が減少し、出射されるビーム品質を向上させることができる。特にアパーチャーを円形とし、TEM00モードのビーム径の2倍以上とすることにより、TEM00モードの損失を増加させることなく、TEM00モード以外の光への損失を増加させることができる。この構成により、効率を低下させることなく、ビーム品質を向上させることができる。また、アパーチャー径をTEM00モードの1.7倍〜2倍にすることにより、TEM00モード以外のすべての光に損失を与えることができ、TEM00モードのみを得ることができるため望ましい。
【0066】
また、実施の形態2と同様に波長変換素子を共振器内部に配置してもよい。波長変換素子を内部に配置することで、基本波2と同様に高調波3のビーム品質を向上させることができる。
【0067】
また、アパーチャーの代わりに凹面ミラー103の反射領域のサイズを限定しても良い。この構成により、アパーチャーを配置することと同様の効果を得ることができ、ビーム品質を向上させることが可能である。
【0068】
なお、アパーチャーは円形としたが、四角形やL字型のものでも同様の効果を得ることができる。前記構成では、基本波2に対して±x、±y方向の4方向から損失を増加させるたが、+xと+y、+xと−y、−xと+y、−xと−yのいずれか2つの方向から損失を増加させても良い。近軸光線による解析結果を用いて説明する。図10(b)は図10(a)の等価光学系である。図10(b)の凸レンズ亜1003bから中心までは、(a)の凹面ミラー1003aから平面ミラー1005aに向かう光を示しており、中心から凸面レンズ1003bまでは、平面ミラー1005aから凹面ミラー1003aへ向かう光を示している。図10(b)が示すように、凸レンズ1003bから中心まで向かうとき、つまり平面ミラー1005aに向かうときには、アパーチャー1004aにより基本波1002に対して損失が与えられる。一方、中心から凸レンズ1003bに向かうとき、つまり平面ミラー1005aから凹面ミラー1003aに向かうときには基本波1001に対して損失が与えられる。これらから、損失を±xの両方向から与える必要がないことが分かる。y方向も同様に説明することができる。これにより、2方向のみから損失を与えることでビーム品質を向上させることができることがわかる。構成を簡略化することができ、アパーチャーの位置調整も容易になるので望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかるレーザ光源は、高出力・出力変調可能な特徴を有し、走査型ディスプレイ用の光源等として有用である。またレーザ加工等の用途にも応用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 励起光
2 基本波レーザ光
3 高調波レーザ光
101 半導体レーザ
102 集光レンズ
103 凹面ミラー
104 固体レーザ結晶
105,301a,301b,301c 電気光学素子
106,302a,302b,302c 分極反転領域
203 電気光学素子が持つ自発分極の方向(C軸方向)
204 電気光学素子に電界を印加するための電極
801 波長変換素子
901 アパーチャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体レーザ結晶と、
前記固体レーザ結晶を励起するための励起レーザと、
前記固体レーザ結晶を発振させるための共振器を構成する反射ミラー対と、
前記固体レーザ結晶の発振・停止を制御するための電気光学素子を備え、
前記共振器を構成する反射ミラー対のうち、少なくとも一つの反射ミラーは凹面ミラーであり、
前記固体レーザ結晶と前記電気光学素子は、前記反射ミラー対の間に配置され、
前記電気光学素子は、前記固体レーザから発振された光が通過する領域に対して、自発分極と平行な方向に電界を印加するための電極を備え、
前記電気光学素子は、自発分極が反転した領域を持ち、
前記電気光学素子に電界を印加することで、前記共振器の共振条件が外れ、前記固体レーザ結晶の発振が停止することを特徴とするレーザ光源。
【請求項2】
前記電気光学素子において、前記自発分極が反転した領域と反転していない領域との境界面のうち、少なくとも1つの面が、前記共振器を構成する反射ミラー対の中心を通る光軸に対して、垂直でも平行でもないことを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項3】
前記電気光学素子は、電界を印加することで、前記固体レーザから発振された光に対してレンズ効果を持つことを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項4】
前記電気光学素子は、電界を印加することで、前記固体レーザから発振された光を屈折させる効果を持つことを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項5】
前記凹面ミラーは、前記励起レーザと前記固体レーザ結晶の間に位置し、
前記凹面ミラーの曲率をR、前記共振器の光学距離をLとしたとき、0.88R<L<Rであることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項6】
前記固体レーザ結晶により発振される光の波長を変換する波長変換素子を備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項7】
前記波長変換素子は、周期的に自発分極を反転させた領域を持つことを特徴とする請求項6に記載のレーザ光源。
【請求項8】
前記波長変換素子と前記電気光学素子が、一体化されていることを特徴とする請求項6に記載のレーザ光源。
【請求項9】
前記波長変換素子は、前記電気光学素子よりも出射ミラー側に配置され、
前記波長変換素子の、前記電気光学素子側の端面には、波長変換された光を反射する誘電体多層膜が施されていることを特徴とする請求項6に記載のレーザ光源。
【請求項10】
前記共振器内にアパーチャーを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項11】
前記アパーチャーの形状が円形で、共振器内の基本波のビーム直径(1/e2幅)の2倍以上3倍以下であることを特徴とする請求項10に記載のレーザ光源。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−119421(P2011−119421A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275110(P2009−275110)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】