説明

レーザ活性化による印刷装置

【課題】印刷品質を最適化し、パワーを減少させ得る印刷ヘッドを提供すること。
【解決手段】
本発明の印刷ヘッドは、モノリシック半導体レーザアレイと、駆動回路63と、変調回路66とを含んでいる。駆動回路63は、アレイ中の各レーザ素子に駆動電流を供給し、アレイ中のレーザ素子を、所望の印刷パターンに従ってアドレス指定するようにように構成されている。変調回路66は、アレイ中の各レーザ素子に対する駆動電流を、予め定められた較正アルゴリズムに従って変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法及び印刷装置に関する。本発明に係る印刷方法及び印刷装置では、媒体上に印刷イメージを形成するに当たり、半導体レーザを用いて、感熱性印刷媒体又は感光性印刷媒体を活性化する。
【背景技術】
【0002】
感熱性印刷媒体(即ち、感熱性紙)は、例えば金額印刷領収書、値札、書式など、様々な用途で広く用いられている。更に、一般的には、普通紙印刷よりも、感熱性印刷媒体を用いることにコスト上の不利益のない用途に、広く用いられている。
【0003】
局部加熱を感熱性印刷媒体に与えるための従来技術は、小さな抵抗発熱素子を用いるものであった。この抵抗発熱素子は、リニア・アレイとして形成されていて、紙が印刷ヘッドを通過する際、感熱性紙の表面に当てられる。更に最近は、半導体レーザアレイを用い、光エネルギーにより、感熱性紙に局部所加熱を与えることが提案されている。感熱性印刷媒体に送られる光エネルギーによれば、印刷媒体構造に従い、従来の直接加熱技術と同じ手法で、媒体上にマークやイメージを形成することができる。
【0004】
印刷媒体についてレーザ加熱を用いることには、いくつかの利点がある。エネルギーが光ビームとして与えられるから、印刷ヘッドと印刷媒体との間には何らの接触も必要でない。このため、従来の熱印刷システムで典型的に要求される光沢のある、スムーズな表面を持つ印刷媒体よりも、むしろ、粗い紙の表面に印刷することができる。また、非接触印刷ヘッドによれば、印刷ヘッドの摩耗及び印刷ヘッドの清掃作業を減少させることにもなる。
【0005】
半導体レーザは、印刷ドットの所望の体裁に従い、印刷媒体上に、ある範囲の光学的スポットのサイズ及び形状を生じるべく、設定され得る。
半導体レーザは、また、印刷媒体が印刷ヘッドを通過する際、所望の印刷イメージが生成されるように、タイミングよく、電気的に制御することができる。更に、半導体レーザは、単一のモノリシック基板上に並列レーザアレイとして形成することができ、それによって、個別的に指定しえる多重のレーザスポットを、各レーザアレイにより生成することができるとともに、多重化されて隣接するアレイを、一つの担体の上に位置決めし、それによって広幅印刷ヘッドを構成することができる。
【0006】
もっとも、感熱性印刷媒体用プリンタとして使用するレーザアレイを実施するには、多くの問題がある。これらの問題は、大略、3つのカテゴリーに分かれる。
【0007】
1.熱管理
半導体レーザの光出力は、動作温度による影響を受ける。光出力を制御するためには、レーザアレイの動作温度、なかんずく、1つのアレイ中にある個々のレーザの動作温度が、安定出力特性を生じるべく制御されなければならないし、予測可能な出力特性を生じるように、レーザ駆動電流が知られていて、しかも、補償されなければならない。
【0008】
2.アレイの実装及び位置合わせ
広幅印刷ヘッドを得るためには、アレイ状に配列した多数の並列レーザを準備する必要がある。単一のモノリシックなレーザアレイでは、現在のところ、いくつかの理由により、各基板上に数十以上のレーザを作り込むことは不利益になるということが解っている。まず、レーザ素子の数の増大により生産性が低下し、大型アレイが著しく高価になる。
【0009】
第2に、アレイが大きくなればなるほど、例えば、アレイの温度分布のために、アレイ中の各レーザから出力される出力特性を、一定に維持することが困難になる。従って、より小さなアレイ(例えば16個のレーザ)を作成し、次に、単一担体の上に複合アレイとして実装することが好ましい。この手法は、隣接アレイから生じるレーザスポットが、相互に非常に高精度に位置決めされるために、アレイ配列に関して様々な問題を生じる。人間の目は、正規のアレイドットにおけるスペースドットの僅かな変化に対して、非常に感受性が高く、それゆえ、個々のアレイを、互いに精度よく配置しなければならない。
【0010】
3.光学的出力
レーザスポット形成では、ビームプロファイル、即ち、ビーム形状、つまり、レーザスポットは、様々な要因による影響を受ける。熱印刷技術用レーザアレイを用いる場合、正確なスポット配列が重要になることは勿論、イメージ平面(即ち、感熱性印刷媒体の平面)で見たビームの断面プロファイルが、一貫性のある特定のスポットとなるように制御されなければならない。この技術は、焦点合わせや導波のための特定の光出力素子による手法など、様々な手法によって達成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、上述した様々な問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の内容は、添付された独立クレームで特定されている。
更に、好ましい特徴が、従属クレームに特定されている。
【0013】
本発明の実施例は、印刷媒体上に印刷画像を形成するために、感熱性印刷媒体を活性化する半導体レーザの用法を参照して、詳しく述べられている。しかしながら、ここに述べられた技術及び装置は、感光性印刷媒体、即ち、印刷画像を生成するに当たり、熱と同様に、又は、熱よりもむしろ、光学的に直接的に活性化される印刷媒体にも用いることができる。
【0014】
この明細書は、半導体レーザアレイに言及している。半導体レーザアレイという表現は、熱的又は光学的印刷技術に適用するのに充分な強度及びスポットサイズを持ち、合焦性及び収束性のある光学的出力を生成することができる半導体装置であれば、何れも含まれることを意味する。
【0015】
「印刷媒体」という表現は、紙と組み合わされる感熱性インクを用いるものであるか、紙以外のものと組み合わされる感熱性インクを用いるものであるかどうかに関わらず、局部加熱により結果的に特定のマーク、イメージを媒体の上に形成することになる感熱性媒体であれば、その全てを含む。「印刷媒体」という表現は、また、紙と組み合わされる感光性インクを用いるものであるか、紙以外のものと組み合わされる感光性インクを用いるものであるかどうかに関わらず、直接的な光学的活性化により結果的に特定のマーク、イメージを媒体の上に形成することになる感光性媒体であれば、その全てを含む。熱的活性化及び光学的活性化の組み合わせもまた想定されている。更に、特定されたマークも、肉眼で視認可能であるものに限らず、肉眼では必ずしも視認できないが、例えば、紫外スペクトル内であれば視認できるものをも含む。
【0016】
<印刷ヘッドの熱管理>
通常の動作において、レーザアレイは、かなりの熱量を生じる。この熱はレーザアレイ自体の効率を低下させるとともに、光出力の制御可能性及び安定性に悪影響を与える。効率的動作を維持するためには、レーザアレイからの熱を、効率よく放熱し、アレイ温度を適切な低い温度に維持することが必要である。
【0017】
従来は、アレイ温度の低下は、レーザアレイに熱結合されたヒートシンク及び能動性熱伝導機構、例えばファン,熱電冷却装置又は液体ヒートパイプなどによってなされていた。
【0018】
本発明では、ヒートシンクの効率を向上させるため、印刷媒体それ自体が、レーザアレイで生じた余剰熱を排出するのに用いられる。図1を参照すると、レーザアレイ10が、ヒートシンク11の上に搭載されている。このヒートシンクは、1つ又はそれ以上の放熱素子(例えば、フィン12、13)を有している。放熱素子は、レーザ出力14の方向に対して、横向きに延びている。
【0019】
紙搬送機構(図示しない)は、紙15(又は他の印刷媒体)を、搬送路に沿って搬送すべく備えられている。前記紙15は、レーザアレイ10の光学的出力部を通過する。搬送路は、上流部16(紙がレーザビーム14に到達する前)及び下流部17(紙がレーザビーム14を通過した後)を含んでいる。ヒートシンク11は、下流部17の紙通過路に沿って下流方向に延びている。好ましくは、少なくとも1つの放熱素子12が紙案内部を構成し、それによって、紙15が放熱素子12と直接に接触し、最大の熱伝達が行われる。もっとも、紙搬送路は、紙がヒートシンク素子12に極めて接近(接近した熱的関係)するように配置され、それによって、大きな熱伝導を起こさせることができる。
【0020】
紙15に対してヒートシンク11を接近させることにより、接触、非接触(伝導又は放射)の何れの方法をとるにしても、ヒートシンク11から熱を取り去ることができる。
【0021】
紙は、生来、かなり熱伝導性が高いから、ヒートシンクから熱をよく吸収し、その搬送経路に沿って移動する際、その熱エネルギーを印刷ヘッド領域から運び出す。
【0022】
<レーザアレイの搭載及び配置>
多数のドットを同時に印刷可能な広幅印刷ヘッドを得るためには、単一担体上に、多数のレーザアレイを、高精度で、かつ、正確に配置する必要がある。現実の生産性という観点からは、チップ当たり、16個ののモノリシック・レーザアレイを製造することが経済的であり、それによって、チップ毎に、同時に16個のドットまでの印刷に適する16個のレーザスポットを得ることができる。
【0023】
しかしながら、これよりも更に幅広の印刷ヘッド、64個のアレイ素子又はそれ以上の幅を持つ印刷ヘッドを提供することができる。個々のモノリシック・アレイについての歩留まりが上昇したとしても、著しく幅の大きな印刷ヘッドを製造することについては、なお実際的な困難性が存在する。なぜなら、モノリシック・レーザアレイの最大寸法は、いずれにしても、利用できる半導体基板の最大寸法(例えば、GaAs基板については150mm)によって制限されるからである。
【0024】
本発明では、複合型モノリシック・アレイが一個の共通担体の上に搭載され、それによって幅広のレーザアレイが形成される。説明の都合上(明確化が要求されるとして)複合アレイとして複合型モノリシック・アレイを含む単一のアレイに言及しなければならない。典型的な熱印刷での要求は、203dpi(dots per inch)、即ち、8(dots per mm)である。これは、アレイ中のレーザが125マイクロ ピッチでなければならないことを意味する。250dpi、300dpi、600dpi、1200dpiなど、他の標準ピッチも、広く用いられている。後述の実施例は、203dpiを図示している。これらのピッチは、従来のフォトリソグラフィ工程を用いて形成された単一モノリシック・アレイにおいて、既に、実現可能である。しかしながら、これらのピッチでは、別々のモノリシック・アレイから幅広複合型アレイを形成する場合、多くの問題を惹起する。その理由は次のとおりである。
【0025】
まず、半導体ウエハ分割工程がかなり不正確で、かなり粗いチップ端部を生じる。この粗いチップ端部は、互いに隣接するチップ(モノリシック・アレイ)の位置決め能力を害する。第2に、現在のチップ位置決め技術及び表面実装技術では、複合アレイ中の全モノリシック・アレイについて、所定のレーザピッチの配列が正確に維持されるように、単一担体の上に、複合チップを高精度でたやすく位置決めすることができるものではない。
【0026】
図2に、モノリシック半導体レーザアレイ20が示されている。この半導体レーザアレイ20は、広幅印刷ヘッド複合アレイを形成する際に用いるのに適したもので、各アレイ20は、それぞれ光出射面22を有する16個のレーザ素子21−1、21−2...21−16を含んでおり、それによって16個の並列出力ビームが出射される。各レーザ素子21は、光導波路23を含んでおり、その受動領域は視認できるが、能動領域は金属化層24の下側に隠れている。光導波路23は、リッジ導波管であってもよく、その場合、駆動接触部は突起方向に延びる(例えば金属化層24における金属化された狭い部分に示されるように)。
【0027】
駆動接触部を構成する金属化層24はまた、導波路から離れた部分に第1のボンドパッド領域25を有しており、アレイの一端付近に位置しており、標準ワイヤボンディング技術に従ってワイヤボンディングを行う。発明の一つの態様によれば、第2のボンドパッド領域26は、導波路から離れた部分で、光導波路の第1のボンドパッド領域25と光導波路とをはさんだ反対側に設けられる。レーザ素子21−2の第2のボンドパッド領域26は、本来ならば隣接するレーザ素子21−3が存在する、長方形の半導体領域に侵入していることに注意されたい。
【0028】
各レーザ素子はまた、レーザ素子21の出力端の近くに配置された位置合わせ基準27を有する。好ましくは、位置合わせ基準27は、視認可能な位置合わせ端部を、直交する2方向に含む。例えば図示のように、一つの位置合わせ端部28aはx方向にあり、もう一つの位置合わせ端部28bはz方向にある。z方向は光軸で、x方向はアレイ幅である。位置合わせ基準27は、レーザアレイ製造におけるフォトリソグラフィ・プロセスにおいて形成される。基準27は、好ましくは同時に形成され得る基板のエッチング工程として形成され、レーザ21がリッジ導波管であるとき、導波路23の突起の決定に際し、同一のフォトリソグラフィマスクを用いる。こうすることにより、基準が導波路のx軸と、光軸に沿うように正確に位置合わせされる。
【0029】
従って基準の形状は、好ましくは導波路と平行かつ垂直である。好ましい配列では、突出したエッチング層で作られた整列端として、エッチングされたずれが5μmである。
【0030】
基準により、分割片(die)を、正確に担体の上に配置することができるため、高価な映像認知システムの代わりに「照準線発生システム」を使用して分割片を配置することができる。従って高い費用効率で組立てることができる。
【0031】
図3に、個別モノリシック・レーザアレイ31−1、31−2及び31−3の複合アレイ30を示す。複合アレイの組立てにおいて重要なことだが、隣接するアレイ31同士のギャップ32を、レーザ素子のピッチに保たなくてはいけない。これは、ウエハ分割プロセスで、個々の分割片の端部が「乱雑に」なる、すなわち端部の処理が不十分になるため、問題を含む。分割線、従って分割片の端部が、一つまたは複数の(i)レーザ軸に非平行な線であり、(ii)分割片分の平面と非直交であり、(iii)まっすぐでなく(即ち、非線形で)、(iv)非平面(即ち、端部が水平でない)となる場合がある。さらに、分割片端部は、アレイの第1レーザ21−1(または21−16)の光軸からの距離が不定である場合がある。
【0032】
基準27により、複合アレイ30における各一連のアレイ31の、担体基板33に関する相対的位置を正確に決めることができる。各アレイは、担体33を基準に位置決めしてもよいし、別のアレイを基準に位置決めしてもよい。
【0033】
しかしながら、人間の目は、隣接するアレイのずれのために印刷されたドットのピッチが一つでも不連続であることに対し、徐々にピッチが変化したり、長いアレイにわたってレーザ位置が初期の格子に対し相違する場合よりも、非常に感受性が高い。言い換えると、2つの隣接する分割片31同士を所要のレーザー素子ピッチに等しくなるように、できるだけ近い位置に置き、互いの位置関係を決めることが、複合アレイ全体にわたる各アレイ間の誤差に関するずれの総和を制御することよりも重要である。印刷された文字の質について、アレイ31にわたる累積誤差が与える影響は相対的に少なく、隣接する分割片のずれによる影響は非常に大きい。
【0034】
従って、分割片の位置を担体基板33上に決める場合、好ましくは、各分割片31は隣接するアレイに対して配列され位置決めされる。担体上の単一の基準マークや、初期アレイ31のみを基準にして位置決めすべきではない。従って、好ましい方法では、第1の分割片31−1は担体上のある基準マークに関して、予定の位置で前端と側端と直角をなすように、位置決めされ配列される。第2のアレイ31−2は第1のアレイ31−1に対して位置決めされ配列される。第3のアレイ31−3は第2のアレイ31−2に対して位置決めされ配列される。後続する各アレイは、担体上において直前のアレイに対して位置決めされ配列される。明確化のため、「位置決め」という表現は、x−z平面における分割片の相対的位置を意味し、「配列」はx−z平面における分割片の相対的角度(担体表面の平面に対して回転した位置)を意味する。
【0035】
この方法によると、分割片の設置装置で使用する視野を、より小さくすることができ、システムを簡略化できる。
【0036】
さらに図3を参照すると、各アレイ31はウエハから分割されており、一つの分割を有するレーザ素子34−1のアレイ31−2の第1ボンドパッド領域25−1にわたり、別の分割はレーザ素子34−16の第2ボンドパッド領域25−16にわたる。しかしながら、レーザ素子34−1には(第2の)ボンドパッド領域26−1が残存し、レーザ素子34−16には(第1の)ボンドパッド領域25−16が残存する。
【0037】
これには幾つかの利点がある。第1に、ボンドパッド領域の幅の実質的な部分でどこでも分割することがある。第2に、あるレーザ素子の幅の実質的な部分は、その素子の機能に影響を与えることなく、アレイの一端において犠牲になることが可能となる。従って、隣接するアレイ全体にわたり、レーザ素子のピッチを確実に維持することができる一方で、隣接する直近のアレイ同士は互いに十分な間隔を持って位置決めすることができる。
【0038】
好ましい実施例において、ピッチを125μmとする場合は、ボンドパッド領域は、典型的には幅80μmであり、ピッチ125μmを保ちながらもアレイ間の間隔は最大75μmまで許容し、かつ、分割プロセスで有効なマージン幅を得ることができる。
【0039】
図4に、ワイヤボンド配列を示す。適当な隣接するアレイ分割片31−1と31−2の角部を示す。アレイ31−2のレーザ素子34−1とアレイ31−1のレーザ素子34−16は端部要素である。素子34−16には第2ボンドパッド領域26−16がない。レーザ素子のほとんどは、第1ボンドパッド領域25を使用するので、問題とならない。
【0040】
レーザ素子34−1には第1ボンドパッド領域25−1はないが、駆動接触部との電気的接触は、第2バンドパッド領域26−1を利用して行うことができるので、問題とならない。第2ボンドパッド領域26を使用しなければならない場合を除いて、レーザ素子には従来のワイヤボンド40を使用する。
【0041】
この方法により、連続アレイ31におけるレーザの一定ピッチを妨げることなく、担体33上で規則的な形のワイヤボンドポイント35を使用することができる。図4の配列では、直線状ワイヤボンド40で直近の(第1の)各ボンドパッド領域25とつなぐか、くの字形またはS字形ワイヤボンド41で遠くの(第2の)ボンドパッド領域26とつないでいるが、当然のことながら、この配列は逆でもよい。言い換えると、第2のボンドパッド領域26は、遠くまで届く直線状ワイヤボンド40を利用した大半のワイヤボンドに使うことができ、第1ボンドパッド領域25は各領域の端において、くの字形ワイヤボンド41で近くのものと接続するために使うことができる。
【0042】
上述のように、隣接するアレイ間のギャップは重要である。ギャップにより、アレイ間のレーザピッチを増加させることは避けなければならない。一連の白黒印刷において、人間の目は5μmのギャップでさえ感知することができる。アレイ間のギャップを5μmより小さく維持することは困難であり、費用がかかる上に、端部許容誤差を高精度に制御し、1μmの差もなく正確に配置するシステムが必要となる。本願によれば、アレイ端部許容誤差とシステムの配置の正確性を、緩和することができる。上述したダブルボンドパッド構造によって標準罫引き許容誤差と分割許容誤差とを調整する。
【0043】
図示した好ましい配置では、モノリシック・アレイのレーザ素子の全てに対して、ダブルボンドパッドが与えられるが、関係するアレイの横方向端部におけるレーザ素子(例えば34−1)のみが第2のボンドパッド26−1を必要とすることに注意されたい。
【0044】
ボンドパッドは、ワイヤボンドパッドを破損させる危険を避けつつ、バーテスト(bar test probing)のための分離したテストパッド27,28(図3)を与える適切なマスク設計によって形成される。
【0045】
様々な形のボンドパッド領域と、基準と他の金属被覆領域を利用することができる。図2aに示す他の配列では、駆動接触金属被覆領域24aは、導波路23の一側面から延びる第2のボンドパッド領域26aと同一の広がりをもち、一方で、第1のボンドパッドエリア25aは導波路の別の一側面を横方向に超えて延びる。この配列は、金属被覆がリッジを超えて行われているリッジ導波管について用いられるが、リッジのないヘテロ構造の導波路について特に有用である。
【0046】
図2aもまた、別の基準29を図示する。この基準は、x方向に一配列端部28aと、z方向に一配列端部28bとを与え、識別機能29aを設ける。重要な違いは、基準29が、同一の基板上に形成された隣接する装置の分割境界を越えて、z方向に延びていることである。従って、基板から個別アレイ20aを分割する際には、個別の基準29は、切り離されて分割端部280,281が残る(隣接分割片上に同等物が残る)。レーザ出射面22の位置を明確に区分することができるので、基準のコントラストが高いことは特に有用である。これにより、担体上のz軸(光軸)に関してレーザアレイ20aの正確な位置決めが可能になる。このことは、正確なビーム形状制御を維持する場合に非常に重要となる。言い換えると、分割基準は非常に正確にレーザ端面のz位置を定める。
【0047】
従って、一般的な態様では、レーザアレイ20は、基準マーク29を一つ又は複数のレーザ素子32上に含み、基準マークは、レーザ素子21の光軸を横切る(好ましくは直交する)第1の基準即ち配列端部28aと、レーザ素子21の光軸と平行する方向に延びる第2の基準即ち配列端部28bとを持つ。基準マークは分割帯即ちアレイの境界にわたって延びており、アレイをウエハ基板から分割すると、基準マーク29はレーザ素子端面280,281に延び、分割平面を正確に示す。
【0048】
好ましくは、図2aに示すように、基準マーク29はレーザ素子21の各端部の近辺に(即ち前端面22aと後端面22bとの両方の付近に)あり、2つの基準の相対的位置を比較することにより、x−z平面に関してアレイの角度配置を正確に行うことができる。代わりに、または加えて、基準マークは、同じ理由で、アレイを構成して分離した少なくとも2つのレーザ素子の上に設けられる。より好ましくは、アレイの各レーザ素子はそのような基準マークを有する。
【0049】
図2aに示す基準マークの、より広い領域では、分割境界上で金属基準の接着が強くなる。分割する操作の際に、金属層の中にある薄い基準マークは、剥離を起こしたり、引き裂かれやすい傾向がある。金属基準は、一般的に、コントラストと視認性とが高く、位置合わせ操作の際に有用である。金属基準は、レーザ素子の駆動接触をつくるときと同じフォトリソグラフィ工程とエッチング工程とを用いて形成される。
【0050】
上述のレーザアレイは、好ましくはGaAs半導体基板を用いて製造される。従来は、GaAs分割片は、担体の熱膨張率に合わせて熱伝導及び電気伝導性のよい共晶はんだ(例 AuSn、InPbAg)を用いて担体にはんだ付けされる。もし同じ領域にさらに成分が必要になれば、低融点のはんだを第2の成分として利用し、第1のはんだ接合をリフローさせないように第2のリフロー温度を低く保つ。もし、第1のはんだ接合が2度目にリフローする場合は、成分は移動して金属が担体/分割片の金属化(接合部の金属の脆化と信頼性の問題を引き起こすかもしれない)から、はんだ接合部に溶け出すだろう。以前にはんだ付けされた成分が動くと、正確な位置決めと、レーザアレイの配列が重要である場合に問題になる。
【0051】
従って、いくつかのはんだを“はんだ階層”の形で用いて、いくつかの連続する成分を担体にはんだ付けする。しかしながら、構成要素の非常に多いアレイの場合は(例えばモノリシック・アレイ31を何十も組み合わせたもの)、はんだ付けする分割片の数は、様々なリフロー温度のはんだより多いかもしれない。従って、はんだ階層を効率よく利用すると、アレイの運動またははんだ接合の脆化の危険を必ず伴う。単一の担体33上に、40個または80個までのモノリシック・アレイ31を構成することが予想される。
【0052】
別の態様として、全アレイ31を取付具で位置決めし、全アレイを同時に同一のはんだでリフローする。この工程と取付具については、必要とするアレイの正確な配列を損なう運動及び、アレイの損傷を回避することが、非常に困難である。従って、好ましい配列でははんだ接合よりも電気または/および熱伝導性の熱硬化性接着を行う。このような熱硬化性接着は粘稠液又はフィルム接着の形式で行われる。熱硬化の工程は非可逆なので、担体にさらにアレイを接着するための連続熱サイクルによって、先に接着したアレイに支障をきたすことはない。熱硬化接着の薄膜層を各アレイに塗布して、次の構成要素の接着に先立って現場で接着剤を硬化させる。接着剤を硬化させるために連続アレイを加熱する場合は、先の接合部はリフローせず、分割片は動かない。
【0053】
例示した熱硬化接着はEpotek H20E、Epotek 353ND、Epotek H70E、エイブルボンド(Ablebond) 84-1 Lmi、ロックタイト(Loctite) 3873、Tra-Duct 2958を含む。例示した熱硬化フィルムはエイブルフィルム(Ablefilm) ECF561とエイブルフィルム ECF5015を含む。
【0054】
上述した熱硬化接着を用いる別の態様として、はんだ付け操作の間に担体の温度を局部的に制御することがある。この方法では、温度制御装置は温度偏位の数を制限するために用いられる。
【0055】
図5を参照すると、この方法では、担体33は、熱伝導性物質、例えばCuWで形成される。薄い加熱要素50をCuW担体の下に置き、はんだ接着されたアレイ31−4に対応する担体の狭い領域のみを局部加熱する。アレイ31−1、31−2及び31−3はすでに位置決めされ接着されている。狭い加熱領域は、好ましくは設置されたアレイのはんだをリフローするだけでよく、局部的に作用するので、先に接着した付近のアレイは大きな影響をうけない。
【0056】
さらに改良すると、先にはんだ接着されたアレイ31−1…31−3の下部の領域近辺で、冷却板51をCuW担体の下に置く。この方法によって、加熱領域を閉じ込める。
【0057】
この方法によって、各アレイ31の下にある共晶はんだ52がリフローされる回数は最小化される。各はんだ接合リフローの回数を2または3回に制限すれば、共晶はんだ52によって、周囲の金属化層から多量の金を溶出させて脆化を引き起こすことはない。ピックアップ具または特別の(custom)取付具を用いて、アレイを配置するときに近接したアレイを同時に固定することにより、アレイの運きを最小限に抑えることができる。そのような装置または取付具は、アレイの運動を制限するためにアレイを2個または3個だけ同時に固定するだけでよい、というのは残りのアレイは、冷却されはんだがリフローしないからである。この装置または取付具は、その大きさが限られているので、同時に数十のアレイを固定する同等の取付具よりも簡単に作ることができるし、制御することもできる。
【0058】
好ましくは、加熱器50は、十分に局所的に存在し、冷却装置51は十分に電力があり、リフローの回数は1回―即ち、最初の設置だけに制限することができる。冷却装置は、電気的冷却(例えば、ペルチエ装置)または水冷却チャックでもよく、一端またはチャックの凹部に加熱部を持ち、連続するアレイが置かれるとチャックに関して担体33が動作する。
【0059】
一般的な態様では、加熱装置は、はんだ付けされた装置に近接して配置され、同時に、冷却装置は、はんだ付けされる装置の直近にある一つまたは複数の先にはんだ付けされた装置に近接して配置される。
【0060】
<アレイの特性>
印刷ヘッドの標準操作では、レーザが所定の時間にドットを印刷するか否かに従って、各レーザへ流れる駆動電流が制御される。よって、印刷されるべき像に従って、駆動電流の電源が入ったり切れたりする(または切替スレショールドの側によって電流が強くまたは弱くなる)。
【0061】
所望のビーム形状、サイズ、強度およびレーザ素子から与えられるエネルギー分布を生成するため必要とされる駆動電流は、例えば、レーザ素子の温度の関数として変化する。そのため、スポット形状、サイズ、強度、レーザアレイから与えられるエネルギー分布の高精度制御を維持するために、上述した駆動電流電源のスイッチング動作に加えて、レーザ素子に供給される駆動電流を調整することが必要になる。
【0062】
理想的には、各レーザ素子の駆動電流は、アレイの各素子からの光学的フィードバックに応じて個別に調整され、それによって、各レーザ素子でビームのパラメータを確実に正確にすることができる。これを行うためには、例えば各レーザ素子に組み込まれたフォトダイオードによって光学的アウトプットを感知することが必要となる。これによって製造コストと複雑性が増加する。
【0063】
図6に概略的に示しているように、もう一つの方法は、様々な操作温度の範囲において、アレイの各レーザ素子61に必要とされる駆動電流変調を行うことにより、レーザアレイ61を事前に調整ことである。調整されたデータは、参照テーブル62のメモリー(例えばEEPROM)に格納されて、駆動回路63によりリアルタイムで接続し、印刷ヘッドの測定または仮定温度について、アレイ60の各素子61の理想駆動パラメータを、決定することができる。
【0064】
この配列では、印刷ヘッドは、アレイ領域の平均ヘッド温度を測定する熱電対64を含む。レーザアレイ60の製造または調整の際に、レーザ61のそれぞれは、関連する性質、例えばスレショールドなど、によって特徴づけられ、この情報はメモリ62に格納される。平均温度と個々のレーザの特徴に基づいて、駆動電子63によって各レーザ素子の個々の駆動条件を計算することができる(例えば駆動電流と電源を入れるまたは切る時間)。各レーザ素子61のために個別調整した駆動条件を利用して、印刷の質の制御がよりよくできるようになり、製造が容易になり費用効果が高い。
【0065】
このように、図示した実施例では、2つの条件に従って駆動回路63は駆動電流をアレイの各レーザ素子61に与える。第1に、駆動回路は、印刷エンジンにより与えられる所望の印刷パターン、例えば画素プロセッサ65などに従って、アレイ60の各レーザ素子61を別々に指定、すなわち駆動する。駆動回路は、変調回路66で組み込まれており、特定の各レーザ素子に優位性または関連する特定の条件を計算に入れた所定の較正アルゴリズムに従って、アレイの各レーザに流れる駆動電流を変化させる。一つ又は複数の駆動回路63、メモリ62および変調回路6によってASICを作ることができる。
【0066】
較正アルゴリズムは、例えば印刷ヘッドなどの操作条件を保障するが、後述するように特定色のドットの印刷(または他の特別な特徴的な印刷)を達成するために必要な、特定の電流駆動レベルを計算に入れることもできる。
【0067】
印刷ヘッドまたはアレイまたはASICの温度を監視しながら、一つまたは複数の温度センサ64を使ってもよい。温度センサは、レーザアレイ60、ASICまたは印刷ヘッドの別の部分に常設させてもよい。好ましくは、少なくとも一つの温度センサ64はレーザアレイ60すなわち各レーザアレイ60と近接している。制御アルゴリズムは、参照テーブル62よりもむしろ、ソフトウエアまたはハードウエアに実装されたリアルタイムに行われる計算によって実行されてもよい。アルゴリズムによって、各レーザ素子がレーザ素子の温度を考慮に入れて選択電力を放出するように、個別の駆動電力を決定する。
【0068】
アルゴリズムは、
(i)モジュールの測定された温度および/またはASICおよび/またはレーザアレイ
(ii)各素子の駆動履歴
(iii)整素子の駆動履歴およびチップ内の光学的に別の素子、アレイ内の駆動素子の相対的位置
の一つまたは複数を計算に入れることにより、単一の温度測定に基づいて、個別レーザ素子の温度を仮定して、駆動電流を選択してもよい。条件(ii)と(iii)は、印刷パターンが高いレーザ素子利用率を要求したか、低い利用率を要求したかを考慮に入れてもよい。較正データの範囲が制限されている場合は、補間によって駆動電流変調値を得てもよい。
【0069】
駆動回路63は、電子印刷データ・ソースに反応して低レベル(ゼロまたはゼロでない可能性もある)と高レベルの間を流れるレーザ駆動電流レーザ素子の電源を入れたり切ったりするよう配置してもよい。メモリバッファは画素プロセッサ65と駆動回路63との間に供給されてもよい。
【0070】
図6に関する上述した装置は、半導体レーザダイオードが温度変化に応じて変化することを認識し、また、それに応じて駆動電流の制御によって性能のむらを補償しようとするものである。特に、レーザスレショールド電流(照射開始電流、すなわちターンオン電流)は、温度の上昇に伴って増加する傾向があり、温度の低下に伴って減少する傾向がある。またスロープ効率(スレショールド電流を超えた後に与えた電流のアンペアまたはミリアンペア当たりの光パワー)は、温度上昇によって上昇し、温度低下に伴って低下する傾向がある。
【0071】
従って、レーザに与えられた一定の電流のため、レーザ出力端面から放出された光パワーは、温度上昇に伴って低下し、温度低下に伴って増加する。先に述べたように、印刷された指標が、入射光パワーにより、光密度において異なる場合、温度変化に伴い放出される光パワーが変化することは望ましくない。
【0072】
発明の一つの態様として、放出される光パワーは、所定の印刷色またはドットサイズに応じて光パワーを変化させるように、慎重に制御される。感熱性印刷媒体の感熱性インクの中には、温度スレショールドに達するまで熱せられると色が変わるものがある。2色印刷紙(典型的には黒と赤)は技術的に入手可能である。こういった紙では、赤インクが活性化される温度は、黒インクが活性化される温度より低い。紙の温度を赤インクのスレショールドまで上昇させると、赤インクを活性化させ、黒インクのスレショールドまで上昇させると、赤インクと黒インクを活性化させるが、黒インクの色のほうが強い。この方法は多様な色に応用できる。
【0073】
図6に関する原則は、様々な色のレーザ素子出力の変調を制御するために利用することができる。この場合、画素プロセッサ65はドットが印刷されるか否かに関する情報だけを供給するのみならず、ドットの色に関する情報も供給する。変調器と参照テーブルは一定のドット色を得るために必要な駆動電流を決定するために利用してもよい。
【0074】
類似の原則を、ドット色の変わりにドットサイズに適用する。
【0075】
電力レベルを効率よく変調する一つの方法は、単一のオン電力レベルを使い、デジタル処理でオンパルス幅を変化させて電力レベルを変調することである。言い換えると、電力変調は時間領域において発生する。この方法の標準的な操作では、駆動回路63は、1画素当たりのオン時間の間で、レーザ素子を切り換えるように動作し、その1画素当たりのオン時間の数は、一定の画素に必要なレーザ電力(印刷媒体加熱効果)に従い変調器66によって変化する。例えば、1kHzの画素印刷率について、レーザは好ましくは10kHzでパルスを出す。最初の色画素については、おそらく10パルスのうち3パルスを使うことができ、第2の色画素については、おそらく10パルス全てを使うことができる。このデジタル処理した変調は、参照テーブル62を用いて行ってもよい。
【0076】
スポットエネルギー密度を変化させる一つの方法は、印刷ヘッドを通る印刷媒体の速度を変化させることである。
【0077】
電力変調のための一つの方法は、例えば2色またはそれ以上の数の色を印刷する場合、印刷媒体の同じポイントに2またはそれ以上のレーザを当てることである。低い電力しか要しない最初の色の印刷には、単一のレーザ素子のみが活性化され、2度目の色のためには、印刷される画素に対応するレーザ素子の両方が活性化される。
【0078】
半導体レーザにおける電力の変化を除去するための一つの方法は、レーザの温度を積極的に監視して、マイクロ・コントローラで冷却/加熱装置を順番に制御する帰還ループを使うことである。制御ループはコントラストレーザ温度と一定の放出光パワーとを維持するよう振舞う。他の方法としては、フォトダイオードと結合器とを用いて、放出光パワーを監視する方法を含む。測定された光パワーは、レーザに与えられた電流を調整し、一定電力を保つ。この方法はフォトダイオードと結合光学部品類(ともに装置の費用が非常に高価になる)とを必要とするという短所がある。レーザアレイにおいては、フォトダイオードと結合装置がアレイの各レーザ素子に必要とされる。そのような冷却を可能にする装置は、熱電冷却すなわちペルチエポンプ(Peltier pump)を含むが、これらの構成要素の費用は非常に高い。さらに、これらは操作のために莫大な追加電力を必要とする。
【0079】
ここで提案するそのほかの方法は、レーザを常に一定の高温度に保つことである。この方法によれば、温度センサからのフィードバックによって温度を一定に保つことができ、高価なペルチエ冷却器が必要ないという利点もある。周囲温度が最高に達して、装置内で熱放散が最大に達したときの温度を超えるように、温度を設定する。そうしなければ、この条件下で装置は設定温度を超す可能性がある。
【0080】
好ましい構成では、印刷ヘッドは、レーザ素子の温度を、レーザ素子の標準周囲操作温度より高い、スレショールド温度まで上昇させる補助熱源(例えば、その標準操作の際にレーザ素子とその操作回路とによって本質的に形成されている熱源)を含む。レーザ素子に対する動作時の負荷によって、素子が常に高いスレショールド温度で動作するように、補助熱源はレーザ素子の温度をスレショールド温度にまで高める。
【0081】
好ましい実施例では、この温度は、少なくとも周囲よりも10度高い。より好ましくは、各素子、各アレイ、各担体または印刷ヘッド全体としての温度が、50℃,70℃または80℃に保たれる。
【0082】
補助熱源は、モノリシック・アレイの各レーザ素子上に一つまたは複数の分離した加熱素子と、アレイ上に一つまたは複数の加熱素子と、担体上に一つまたは複数の加熱素子と、印刷ヘッドの中に加熱素子とを含んでもよい。
【0083】
補助熱源は、レーザ素子が安定した操作特性を持つように、レーザ素子温度を実質的に一定に保つ。
【0084】
<出力光学系>
熱印刷媒体の印刷ヘッドに利用されるレーザアレイの一つの態様として、使用する感熱性印刷媒体の平面に、適切な形状と、サイズと、分布とをもった複数のスポットを生成するように、レーザビームが集束される。ビーム集束および成形は、レーザ素子のデザイン及び駆動パラメータのみならず、アレイのレーザの光出力に近接した適切な光学素子によっても影響されまたは制御され得る。光学素子は、導波路と、レンズと、レーザ素子の光出力通路に位置する窓とを有してもよい。
【0085】
好ましい実施例として、光学素子は、レーザ素子の出力端面に、ある程度の保護を与える。もっとも、印刷ヘッドの外観を考慮するとき重要ことは、印刷ヘッドをきれいに保ち、光学的能力の品質を悪くするゴミおよび付着物を印刷媒体から除くことができる能力である。
【0086】
発明の他の態様は、自動洗浄メカニズムを提供することである。先に述べたように、印刷媒体に熱エネルギーを光学的に与えることの利点は、印刷ヘッドと印刷媒体の接触が必要ないことである。ここで述べる方法は、光学的印刷ヘッドの洗浄ができるように印刷媒体自身を使用して、ユーザが別途にシステム洗浄する必要を減少または除去する。
【0087】
光学的印刷ヘッドを自動洗浄するために、標準印刷媒体より厚い特別に改変された「ヘッド洗浄部」が印刷媒体に備えられ、ヘッド洗浄部は光学ヘッドを通る搬送通路に沿って通り、印刷媒体が印刷ヘッド出力素子(例えば、レンズまたは導波路)を効率的にぬぐうことができる程度にまで、印刷ヘッドと印刷媒体自身の間の間隔が縮小される。
【0088】
従って、好ましい実施例では、1ロールの感熱性紙は、第1の厚さとヘッド洗浄部とを、ロールの始まり、または終わりに有し、ロールは第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する。第1と第2の厚さの差は、印刷ヘッドから印刷媒体までの標準分離距離をゼロに減少させるようになっており、従って印刷媒体のヘッド洗浄部により印刷ヘッドの研磨洗浄が可能になる。
【0089】
印刷媒体のヘッド洗浄部は、洗浄工程を補助するために、厚いだけでなく、例えばやわらかいか、繊維が多いか、成型されているか、粘着性を持つかなど、様々な表面性質を有してもよい。ヘッド洗浄工程は、印刷媒体の1ロールの終わりに付いている、付加的な「つまみ」であってもよい。
【0090】
他の配置では、印刷媒体を印刷ヘッドレンズに接触させて印刷ヘッドに払拭動作を起こさせるように、印刷媒体搬送メカニズムが、印刷ヘッドに向かう搬送通路を周期的に変更してもよい。これは、1ロールの紙の最初または終わりで、印刷動作または「セットアップ」もしくは「スイッチオフ」手順の間に行うこともできる。
【0091】
従って、一般的な態様では、この方法により、印刷ヘッドを通る搬送通路に沿って印刷媒体を搬送することにより、印刷ヘッドを自動洗浄する。ここで、印刷媒体の表面は、印刷媒体が印刷ヘッドを通過する点において、標準的印刷操作を行う間にあらかじめ決められた距離だけ印刷ヘッドの出力面から分離されている。機械的払拭動作を印刷ヘッドの出力面に与えるため、印刷媒体の表面は、印刷媒体を搬送通路に沿って搬送する間に、周期的に印刷ヘッドの出力面に接触させられる。この周期的な払拭は、印刷媒体の残りの部分よりも厚みが大きい印刷媒体のヘッド洗浄部によって、または印刷ヘッドに向かう搬送通路を一時的に移動させることによって、行うことができる。
【0092】
印刷で所定の品質を得るためには、サイズ、形状および印刷媒体に対する光エネルギーの強度プロファイルは所定の規格を満たすように、レーザ出射面から印刷媒体までの光の伝播を制御することが必要である。
【0093】
レーザビームは、レーザ出射面を出た後で発散する傾向がある。発散の程度は、特に垂直の平面においては、(即ちレーザアレイ基板の表面に直交する)非常に大きいので、光ビームを所定の寸法内に収めるために、レーザは印刷媒体にきわめて近い場所に置かなければならない。
【0094】
図7に、レーザアレイを、垂直方向に閉じ込める技術を示す。レーザアレイ31は、ガラス70のスラブで位置決めされ、光エネルギー71は、ガラス70の入力端面72に入力して、反対の出力端面73で出る。ガラス70と周囲の空気の間の屈折率の差によって、全内部屈折によるガラス内の光エネルギーを制限する。ガラス・スラブ70の入力および出力端面72、73は、抗屈折被覆により被覆されて、ビームがガラス・スラブに入射または出射したときの光エネルギーにおける損失を減少させる。ガラス・スラブの長さL(ビームについて、すなわちz方向)は、光ビーム71が横の水平方向(図示の通り、x方向)に発散し、その程度は、ビームがガラス・スラブ70から出射して印刷媒体76に入射するとき所望の水平方向を向いている程度である。ガラス・スラブ70の厚みTは(垂直方向すなわちy方向)、印刷媒体への入射が所定の方向となるとき、光学的スポットが確実に垂直方向をとるように選択される。ガラス・スラブ70は、ガラス・スラブの内部で光閉じ込めを促進するように、上部および下部面74、75で金属化されてもよい。
【0095】
従って、ガラス・スラブ70は、アレイ31から生じる各半導体レーザの出力31を結像平面76に合焦するように構成された導波路を形成する。その結像平面76は、印刷媒体の搬送通路に沿って移動する印刷媒体表面に対応する。ビーム方向zにおける出力導波路の長さLは、横方向xにおけるビーム発散によって、印刷媒体表面76のx方向について所望のスポット寸法を得られるように選択され、垂直方向yにおける出力導波路の厚さTは、印刷媒体表面のy方向について所望のスポット寸法を得られるように選択される。言い換えると、出力導波路の長さLと厚さTは、印刷媒体平面で所望のスポット縦横比を得るために、一定の導波路の屈折率について、即ち、z方向に出力導波路と印刷平面とを隔てる距離について、選択される。
【0096】
図8を参照して、レーザアレイに出力レンズを与える、低コストの技術を説明する。従来のガラスもしくはプラスチック光学レンズまたはシステムは、費用が非常に高い。この実施例では、横置きされた「バー」レンズ82が、透光性を有するエポキシを利用して形成される。レーザ素子34のレーザアレイ31は担体33に実装される(先に述べたように他のレーザアレイと共に複合アレイを形成する)。はんだ、エポキシまたはワイヤボンディングの一つを用いてレーザアレイ31を機械的に固定し、電気的に接続する場合に、フィレットが半ロッド様の構造82を形成するように、エポキシ82のフィレットまたはビードをレーザアレイ31の端面80に施す。エポキシをキュアして硬化させる。供給する間に、エポキシの表面張力によって、例えばレーザアレイの上端部83において自己位置合わせが達成される。または、エポキシ・フィレット82はy方向に厚さをもっていてもよく、レーザアレイの端面80の末端を完全に覆い、レーザアレイの上端部及び下端部83,84の位置合わせを効率的に行う。
【0097】
図9を参照すると、エポキシ82がレンズ構造90を確実に形成していて、レンズ構造90の内部では、半導体プロファイル91が、レーザアレイ31の光学導波路92(モノリシック・レーザアレイ31の表面93の下部にある)に関して、y方向に正しく設置されているようにするため、所定の厚みを(y方向に)持つ追加されたガラスブロック94を、レーザアレイ31の上部に実装してあってももよい。これにより、レーザ端面95(たとえばレーザ導波路92の位置)と上及び下端部83,84それぞれとの間の距離が均等化される。これは、レーザ端面に対するエポキシレンズの正確な手動または自己位置合わせを可能とするために重要である。
【0098】
図10を参照すると、この技術は、レーザ端面95に適用されるガラス窓100と、ガラス100に適用されるエポキシ・フィレット82とに関して利用してもよい。ガラス窓100は最適な高さをもち、エポキシ・フィレット82を、ビーム軸/レーザ導波路92に関して正確に設置する。文中の「ガラス」という表現は、光学的に透過可能な硬い物質、好ましくは結晶の形をしたものを包含することを意味する。
【0099】
図8,9及び10の技術は、非エポキシ、廃棄可能な物質、例えば、シリコンなどに適用してもよい。一般的な態様では、ビードまたはフィレットを形成するために用いられる物質としては、流動性を有する形で(例えば廃棄ノズルによる圧力の下で)廃棄できる物質ならば、いかなる物質でも利用することができ、セットしてキュアすると、光学的に透過可能な物質の硬化したビードまたはバーを形成する。
【0100】
図8,9及び10の各技術を、成型工程でエポキシ(または他の物質の)フィレットをつくることにより適用してもよい。この例では、エポキシ・フィレットは、レーザアレイの端面端部に適用した後に成型して利用してもよい。また、エポキシ・フィレットは、レーザアレイの端面端部に適用する前にあらかじめ成型されてもよい。成型可能な光学的透過物質であれば、いかなるものでも利用することができる。
【0101】
成型レンズを延長し、レーザアレイの上側表面を覆い、ある程度密封することもできる。
【0102】
成型工程の前にレーザアレイの表面に対して、一つまたは複数の追加物資を施すことが必要であり、好ましいかもしれない。例えばワイヤボンドに損失を与えないで熱膨張を起こさせることができるため、弾性物質をワイヤボンドの上に供給してもよい。
【0103】
出力導波路とレンズとを利用して、レーザスポット・エネルギー分布を、従来のガウス分布(xとy軸に平行でビーム方向zに直交する)から変更してもよい。マルチモード回折出力導波路を利用し、ビームエネルギーについて、x軸とy軸とに交わる山高帽形プロファイル120(図12)を作ることができる。これにより、それが好ましい特徴である場合は、鮮明で端部がはっきり見えている印刷ドットを製造することができる。これは、導波路の中の横モードをできるだけ多く励起させる導波路を用いて達成することができる。他に、2連または多重位相差版などの回折光学器類を用いて達成することもできる。
【0104】
別の実施例では、x軸およびy軸と交わるビームパワーの“こうもりの羽”型(bat wing)121をつくるマルチモード回折導波路または回折光学素子配列が望ましい。例えば、レーザ導波路は、第1の幅を有する能動領域と、1×2のマルチモード干渉カプラの形を取った光出力端に受動領域とを備えてもよい。導波路の幅が、能動領域から受動領域にいたるまで、または受動領域内で能動領域に支えられる単一の横モードが受動領域での2つの横モードによって分断されるように、段階的に増加してもよい。受動領域に支えられる2つのモードのそれぞれについて、ガウス分布を大部分重ねることにより、図12のこうもりの羽型121に似た形が得られる。
【0105】
図12に図示されたプロファイルは、x軸もしくはy軸、または、x軸及びy軸の両方の関数として像平面の強度分布を表す。一つの実施例では、図示された強度分布は、x軸及びy軸と、それらの中間にある全ての軸とについて、同一である。すなわち、スポット形状130は図13aに示す円形に近づく。他の実施例では、x軸に関する強度分布はy軸に関する強度分布よりも広くてもよく、同時にx軸とy軸との間の連続的な可変スポット次元が、例えば図13bに示すように楕円スポット形状131を生じ、またはその逆でもよい。別の実施例では、図13dに示すように、回折光学素子は長方形のスポット形状133をもつように構成されていてもよい。より好ましくは、図13cに示すように、正方形のスポット形状でもよい。像平面(例えば印刷媒体の表面)におけるスポットのアスペクト比は、適切な値となるように決められており、例えばスポット130、132のように1:1か、またはスポット131、133のように1:1より大きいか、又は、小さい。
【0106】
一般的な意味で、レーザ及び出力光素子は、x−y平面における形状が実質的に正方形または長方形であるか、x−y平面における形状が実質的に円形または、楕円形であってもよい。x−y平面は像平面または、ビーム軸に直交する印刷媒体表面であってもよい。上述の場合、いずれでも、レーザと出力光素子は、xおよび/またはy軸と交わり、正方形端部形状120、正方形に近い端部プロファイル121、ガウス分布的端部122、水平な上部プロファイル120、こうもりの羽のビ―ム強度プロファイル、または、環状のプロファイル122となるビーム強度を持つ出力ビームを作るよう構成されていてもよい。
【0107】
プリンタにおける効果的なスポットサイズを変化させるための他の技術として、印刷媒体の上で、小さなスポットを印刷媒体に与え、多数の大きいドットに関しては、印刷ヘッドと印刷媒体の変換を、相対的にすばやく展開することである。このことは、例えば圧電アクチュエータを用いた、印刷ヘッドまたは印刷媒体のディザリングすなわち振動により行うことができる。典型的な1kHzの印刷レート(レーザスイッチング周波数)を得るためには、5kHz以上の振動周波数が好ましい。振動はx方向またはy方向のどちらに与えてもよく、また両方に与えてもよい。
【0108】
従って、一般的な態様では、相対的、かつ、周期的に、印刷媒体に関するレーザアレイの出力ビームの変位(すなわちディザリング)を起こさせるメカニズムを提供する。その変位は、例えば、レーザビーム光学素子軸に直交する少なくとも一つの方向に生ずる。好ましい態様では、変位は、印刷媒体に関する印刷ヘッドの周期の速い機械的変位によって、生じる。別の実施例では、印刷ヘッドのレーザアレイによる電子ビームステアリングが可能であり、電子ビームステアリング操作ユニットにより出力ビームの周期の速い相対的変位を実行することが可能となる。
【0109】
レーザアレイ製造の多数の態様により、レーザ素子間最低間隔、例えば、レーザ素子最低ピッチなど、を決定する。これらの態様はレーザ素子幅(例えば、図2のボンドパッド領域25、26で決定される幅、及び、図4に示すワイヤボンド装置とワイヤボンドポイント35で決定される最低ワイヤボンド距離を含む)。
【0110】
図11に、一定レーザアレイ・ピッチについて可能なドットピッチから、印刷されたドットピッチを縮減する技術を示す。
【0111】
図11(a)の第1の構成によると、印刷ヘッドは、リニア・アレイ110に光スポット出力を有するレーザアレイを含み、リニア・アレイ110に直交する搬送方向111をもつ印刷媒体、または紙通路に対して配置されている。リニア・アレイ110は、例えば125μmの最低レーザ分離間隔をもつレーザ出力112を有しており、紙113上の最低ドット分離間隔もまた125μmとなる。
【0112】
図11(b)に他の構成を示すと、レーザアレイ114はプリンタにおいて紙113に関して傾いており、アレイ方向が搬送方向111に対して傾斜している。このことにより、ピッチ125μmの出力117があるために、レーザ素子の最低ピッチより小さいドットピッチ118を、搬送方向と直交する方向に紙113上に作り出すことができる。印刷ドットピッチは、搬送方向に関して、アレイの傾斜角の余弦を乗じたレーザ素子ピッチである。
【0113】
搬送軸に対して25度傾斜した軸を持つ、例えば125μmのピッチレーザアレイは、紙113上で搬送軸に直交する方向に約90μmのドットピッチを作り出す。60度のアレイ傾斜により62.5μmのピッチが与えられる。紙上のピッチを減少させると、紙上のスポットサイズを減少することができ、その速度を線形的に増加させることができる。例えば、60度のアレイ傾斜、及び、62μmのピッチならば、速さは、電力密度の増加のため、125μmのピッチを持つ直交アレイの2倍となる。その負担(cost)となるのは、わずかに長めのアレイ(同一の印刷幅を覆うための)と、より大きくて(正方形の印刷ヘッドモジュール)、より複雑なデジタルコーディングである。そのデジタルコーディングは、前端レーザ素子116の後にある各レーザ素子を作動させるのに必要な時間遅延を考慮に入れた、各レーザ素子に対する駆動電流を生成するための、連続したレーザを制御するためのデジタルコーディングである。しかしながら、書き込みバーコードまたはブラックスクエア(black square)(アレイの長さ×正弦角よりも短い)では、パワーの消費が非傾斜の場合より低い。
【0114】
図11aに、z軸(光ビーム軸)に沿って、例えば、印刷媒体平面から見た、複数の傾斜アレイ141,142を示す。各アレイはビーム軸と直交する横軸と、アレイの中に平面をもつ。各アレイは、好ましくは支持構造114上に実装されている。図11aに示すように、複数の支持構造114−1、114−2、…114−nなどの上に複数の傾斜アレイを連続して置くことには、多くの利点が存する。支持構造114上の各レーザアレイは、基板上に単一のモノリシック・アレイ114を有する。しかしながら、より好ましくは、各基板114は複数の隣接するモノリシック・レーザアレイ141−1、141−2、…141−nをその上に配置して、上述した技術を使う。各アレイ基板、例えば114−2などは印刷ヘッドの上に位置決めされて、「後端」レーザ素子142は直ちに次の隣接アレイ基板114−3の「前端」レーザ素子143に、x方向に「隣接」する。もっとも、隣接するアレイの後端レーザ素子142と前端レーザ素子143は、示すように、y方向に離れている。一般的な態様では、アレイ141の横軸は、実質的に互いに平行に、、互いに同軸でな胃状態に位置決めされている。
【0115】
従ってアレイとアレイ基板114は、アレイ141の平面の間にあるスペース145に向けた空気冷却フロー144の通路を屈折させるよう構成された、「風車」または「ルーバー」構造を形成する。従って、高密度実装された印刷ヘッドでは、レーザアレイの冷却は非常に促進される。これによって、各レーザの温度を一定に保ち、印刷の整合性と印刷品質に影響を与えうるアレイ素子の性能一貫性を改良することに、非常に大きな利点がある。
【0116】
傾斜アレイを利用すると、スポットピッチを減少させることができ、既存のレーザアレイを用いることもできる。しかしながら、他の方法としては、達成可能な一定のレーザアレイ・ピッチについて、レーザアレイのピッチを増やして歩留まりを向上させることができる。適切な熱発散を維持しつつ高いパワーを用いて関連するスポットピッチとすることもできる。レーザピッチを増加させることは、潜在的な歩留まりと、駆動電流と、熱放散とを向上させるのみならず、ワイヤボンド・プロセスにおいて、高電流ボンドワイヤを使用することができると共に、ダイボンディングプロセスをゆるやかにして、ワイヤボンド・プロセスにおける歩留まりを向上させることができる。
【0117】
ルーバー配列の別の実施例では、モノリシック・アレイの有限サイズと、前端および後端のレーザ素子142、143を越えて横に伸びるキャリアおよび/または支持構造が、横方向の所定の間隔の障害となることはない。支持構造が、レーザアレイによって決められる平面において、部分的に重なって配置される得るからである。
【0118】
個別のアレイ141および/または支持構造114は、好ましくは別々にプラグ接続され、または脱着可能であり、印刷ヘッド・アッセンブリは、品質が悪い場合に、レーザ素子またはモノリシック・アレイのアレイを個別に再配置することができる。このモジュラー方法もまた、歩留まりと保守性を高める。
【0119】
y方向(印刷媒体運動方向)の連続レーザ素子の変位を補償する駆動回路は、個別のレーザアレイ回路上に位置してもよいし、より好ましくは、印刷ヘッド自体の上に位置していてもよい。そのような回路の機能は、いくつかの空間ドメイン印刷情報を、印刷媒体と印刷ヘッドの相対的置き換えを行う一時的ドメインに搬送することである。言い換えると、駆動回路は、印刷されるべき空間パターンに対応した空間印刷データを受け取り、その空間印刷データを複合した空間および一時的印刷データに転換し、(a)搬送方向におけるレーザアレイに対する印刷媒体の速度と、(b)搬送方向に対するアレイの傾斜角との関数としての個別レーザ素子を活性化させるように構成されている。
【0120】
印刷ドットサイズとピッチを制御するにあたっては、その他の方法も可能であり、レーザビーム・スポットサイズとビームプロファイルを制御するその他の技術も可能である。
【0121】
圧電アクチュエータの詳細については、当業者であれば、公知の技術から選択できるし、構成することもできる。他の実施例について、その意図するところは、添付の特許請求の範囲内にあればよいということにある。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】印刷ヘッド及び印刷用紙搬送経路の概略的側面断面図である。
【図2】印刷ヘッドに用いるのに適したモノリシック・レーザアレイの平面図で、第1の位置合わせ基準構造を示している。
【図2a】印刷ヘッドに用いるのに適した別のモノリシック・レーザアレイの平面図で、第2の位置合わせ基準構造を示している。
【図3】図2に示したモノリシック・レーザアレイを、担体上に一連に配置して形成された複合アレイの平面図を示している。
【図4】図3の複合アレイの一部を拡大して示す平面図で、ワイヤボンディング構造を示している。
【図5】前記担体にレーザアレイを装着するためのはんだ付工程における複合アレイの端部断面図を示している。
【図6】レーザアレイを有する印刷ヘッドの概略的ブロック図であり、レーザアレイは好ましい特性に従い、レーザエレメント出力を個別に変調する手段を含んでいる。
【図7】印刷ヘッド用レーザアレイの概略的な斜視図であり、印刷ヘッドは,スポットアスペクト比を制御するための出力導波器を有している。
【図8】レーザアレイの概略的な斜視図で、レーザアレイは出射面にビーズレンズを有している。
【図9】レーザアレイの概略的な斜視図で、レーザアレイは出射面にビーズレンズを有しており、ビーズレンズの位置は、アレイとガラスブロックを搭載した表面によって部分的に決定される。
【図10】レーザアレイの概略的側面断面図であって,レーザアレイは、その出力出射面を形成するガラス窓上にビーズレンズを有している。
【図11】印刷ドットピッチを縮小するための、レーザアレイに対する紙搬送を概略に示す図である。
【図11a】印刷ヘッド用傾斜アレイ構造を概略的に示す図である。
【図12】ビーム軸と交差するX及び/又はY関数として、3つのレーザビーム強度プロファイルを概略的に示す図である。
【図13a】好ましいビームスポットの一例を示す図である。
【図13b】好ましいビームスポットの別の例を示す図である。
【図13c】好ましいビームスポットの更に別の例を示す図である。
【図13d】好ましいビームスポットの更に別の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのモノリシック半導体レーザアレイと、駆動回路と、変調回路とを含む印刷ヘッドであって、
前記駆動回路は、前記アレイ中の各レーザ素子に駆動電流を供給し、所望の印刷パターンに従って、前記アレイ中の各レーザ素子を別々に指定するように構成されており、
前記変調回路は、前記アレイ中の各レーザ素子に対する駆動電流を、予め定められた較正アルゴリズムに従って変化させるものである、
印刷ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載された印刷ヘッドであって、前記変調回路は、較正アルゴリズムを実行するための参照テーブルを含んでおり、前記参照テーブルは、要求される駆動電流値を、前記レーザ素子の動作条件に従って決定するためのものである、
印刷ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された印刷ヘッドであって、更に、各モノリシック・アレイと関連する動作温度を監視する温度センサを含んでおり、前記較正アルゴリズムは、検出された動作温度を考慮して、所要の駆動電流値を決定する、印刷ヘッド。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載された印刷ヘッドであって、前記較正アルゴリズムは、レーザ素子の最新の駆動履歴を考慮して、前記レーザ素子に要求される駆動電流値を決定する、印刷ヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載された印刷ヘッドであって、前記レーザ素子に要求される駆動電流値を決定するに当たり、隣り合うレーザ素子の最新の駆動履歴を考慮する、印刷ヘッド。
【請求項6】
請求項3に記載された印刷ヘッドであって、前記温度センサは、前記アレイの全部又は前記印刷ヘッドの全部について、その温度を監視する、印刷ヘッド。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載された印刷ヘッドであって、前記駆動回路は、所望の印刷特性に従い、値の異なる駆動電流を、前記各レーザ素子に供給するように構成されている、印刷ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載された印刷ヘッドであって、所望の印刷特性は、色彩である、印刷ヘッド。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載された印刷ヘッドであって、前記変調は、その時間領域において、デジタル的に実行される、印刷ヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れかに記載された印刷ヘッドであって、複合アレイを形成するための多重レーザアレイを含む、印刷ヘッド。
【請求項11】
印刷ヘッドを動作させる方法であって、前記印刷ヘッドは、半導体レーザからなる少なくとも1つのモノリシック・アレイを有し、各半導体レーザは、感熱性印刷媒体又は感光性印刷媒体に光エネルギーを供給すべく動作するものであり、
所望の印刷パターンに従って、前記アレイ中の各レーザ素子に駆動電流を供給し、
予め定められた較正アルゴリズムに従って、前記アレイ中の各レーザ素子に対する前記駆動電流のレベルを変調する、
ステップを含む方法。
【請求項12】
少なくとも1つの半導体レーザ装置と、補助熱源とを含む印刷ヘッドであって、
前記半導体レーザ装置は、印刷媒体を活性化するのに適した光出力を生成するものであり、
前記補助熱源は、前記半導体レーザ装置に安定した動作特性を与えるように、前記半導体レーザ装置の温度を、周囲温度を超える実質的に一定の値に保持すべく、前記半導体レーザ装置に近接している、
印刷ヘッド。
【請求項13】
請求項12に記載された印刷ヘッドであって、前記補助熱源は、前記半導体レーザ装置の有する基板上に形成されている、印刷ヘッド。
【請求項14】
請求項12又は13に記載された印刷ヘッドであって、前記半導体レーザ装置は、そのアレイ上に形成されている、印刷ヘッド。
【請求項15】
請求項14に記載された印刷ヘッドであって、担体上に搭載された複数のアレイを含み、前記補助熱源は、前記担体上に備えられている、印刷ヘッド。
【請求項16】
請求項12に記載された印刷ヘッドであって、前記補助熱源は、前記半導体レーザ装置の動作温度を、50℃またはそれ以上に維持するように動作する、印刷ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図11a】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【公表番号】特表2007−538396(P2007−538396A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517423(P2007−517423)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001973
【国際公開番号】WO2005/114803
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(505163877)インテンス リミテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Intense Limited
【住所又は居所原語表記】4 Stanley Boulevard,Hamilton International Technology Park,High Blantyre,Glasgow G72 0BN United Kingdom
【Fターム(参考)】